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特許7500969搬送装置、イメージスキャナー、及びプリンター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】搬送装置、イメージスキャナー、及びプリンター
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/12 20060101AFI20240611BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20240611BHJP
   G01B 17/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B65H7/12
B65H5/38
G01B17/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019235873
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104868
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大澤 栄治
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-199338(JP,A)
【文献】特開2019-148506(JP,A)
【文献】特開2013-166650(JP,A)
【文献】国際公開第2013/001762(WO,A1)
【文献】特開2005-249486(JP,A)
【文献】米国特許第06212130(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/04
B65H 5/08-5/20
B65H 5/24-7/20
B65H 29/52
B65H 43/00-43/08
G01B 17/00-17/08
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアが搬送される搬送路と、
超音波を送信する送信部と、
超音波を受信する受信部と、
前記搬送路と前記送信部との間に設けられる第一ガイドと、を備え、
前記第一ガイドは、前記送信部が送信する超音波が通過する第一貫通孔を備え、
前記第一貫通孔と前記送信部との距離は、前記送信部が送信する超音波の近距離音場限
界距離であり、
前記搬送路は、前記送信部と前記受信部との間に設けられ、かつ、前記送信部が送信す
る超音波の遠距離音場に設けられている
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記搬送路と前記受信部との間に設けられる第二ガイドと、を備え、
前記第二ガイドは、前記メディアから送信される超音波が通過する第二貫通孔を備える
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項に記載の搬送装置において、
前記送信部の超音波を送信する送信面を音軸に沿って前記第一ガイドに投影した投影面
積をT0、前記受信部の超音波を受信する受信面を前記音軸に沿って前記第二ガイドに投
影した投影面積をR0、前記第二貫通孔の開口面積をR1とし、前記送信部から送信され
る超音波の前記近距離音場限界距離での前記搬送路に平行なビーム断面の断面積をTNと
した場合に、T0≧TN、R0<R1、R0<TNの関係を満たす
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送装置において、
前記第一貫通孔の開口面積をT1とした場合に、T0≧T1の関係を満たす
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置により搬送された前記メディアに形成された画像を読み取るスキャン部と

を備えることを特徴とするイメージスキャナー。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置により搬送された前記メディアに画像を形成する印刷部と、
を備えることを特徴とするプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアを搬送する搬送装置、イメージスキャナー、及びプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙面やフィルムなどのシート状のメディアを搬送する搬送装置が知られている。このような搬送装置では、メディアの重送を検出したり、メディアの厚さや種別を判定したりする場合に、メディアの搬送位置に超音波センサーを設けることがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、メディアを搬送する搬送路を挟んで、超音波を送信する送信器と、超音波を受信する受信機が設けられている。搬送路と送信器の間、及び搬送路と受信器との間に、それぞれ、搬送ガイド板が設けられている。また、搬送路と送信器の間に設けられる搬送ガイドは、超音波を通過させる入射口を備え、搬送路と受信機の間に設けられる搬送ガイドは、超音波を通過させる出射口を備えている。そして、この搬送装置では、入射口は、送信器の超音波の送信面よりも大きく開口し、出射口は、受信器の超音波の受信面以下となるように開口する。これにより、送信器から送信された超音波の一部が多重反射されてノイズ成分として受信器で受信される不都合を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-207885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送信器から送信される超音波(送信波)は、近距離音場限界距離内では、平面波として伝搬され、超音波の音圧分布が複雑となる。したがって、特許文献1のような搬送装置で、近距離音場限界距離内にメディアが位置すると、メディアから受信器に向かう超音波(受信波)にも、複雑な音圧分布が重畳してしまい、ノイズ成分を含む受信信号が受信器から出力される。このため、搬送装置で搬送されたメディアが重送されているか否かを受信信号に基づいて判定する場合、或いは、メディアの厚みや種類を受信信号に基づいて判定する場合に、判定精度が低下する、との課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一態様の搬送装置は、メディアが搬送される搬送路と、前記搬送路に搬送された前記メディアに超音波を送信する送信部と、前記メディアからの超音波を受信する受信部と、を備え、前記搬送路は、前記送信部と前記受信部との間に設けられ、かつ、前記送信部から送信される超音波の遠距離音場に設けられている。
【0006】
第二態様のイメージスキャナーは、第一態様の搬送装置と、前記搬送装置により搬送された前記メディアに形成された画像を読み取るスキャン部と、を備える。
【0007】
第三態様のプリンターは、第一態様の搬送装置と、前記搬送装置により搬送された前記メディアに画像を形成する印刷部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一実施形態に係るイメージスキャナーの概略構成を示す外観図。
図2】第一実施形態のイメージスキャナーの概略を示す側断面図。
図3】超音波センサーの概略構成を示す断面図。
図4】超音波センサーにおける送信本体部の一部の概略構成を示す断面図。
図5】送信波のビーム形状と、送信部、受信部、第一貫通孔、及び第二貫通孔の位置とを説明する図。
図6】送信面からの距離が近距離音場内のLとなる位置での音圧分布を示す図。
図7】送信面からの距離が近距離音場内のLとなる位置での音圧分布を示す図。
図8】送信面からの距離が近距離音場内のLとなる位置での音圧分布を示す図。
図9】送信面からの距離が近距離音場限界距離Lとなる位置での音圧分布を示す図。
図10】送信面からの距離が遠距離音場の距離Lとなる位置での音圧分布を示す図。
図11】送信波の音軸に沿った音圧の大きさを示す図。
図12】送信面の投影面積を変化させた場合の各々について、送信面からの距離と、送信波のビーム径との関係とを示した図。
図13】受信部の投影面積に対し、第二貫通孔の開口面積を変化させた場合の、受信部からの受信信号の信号値を示す図。
図14】イメージスキャナーの制御構成を示すブロック図。
図15】第二実施形態のプリンターの概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のイメージスキャナー10の概略構成を示す外観図である。図2は、イメージスキャナー10の搬送部の概略を示す側断面図である。なお、図2では、搬送方向に対して直交するX方向からイメージスキャナー10を見た際の側断面図である。
[イメージスキャナー10の概略構成]
図1に示すように、本実施形態のイメージスキャナー10は、装置本体(以降、本体11と略す)と、メディアP(図2参照)が載置されるトレイ12と、を備える。本体11の内部には、図2に示すように、メディアPを搬送する搬送部13と、搬送されたメディアPの画像を読み取るスキャン部14と、メディアPの重送を検出する超音波センサー15と、イメージスキャナー10を制御する制御部16と、が設けられている。なお、メディアPとしては、例えば、紙面、フィルム、布帛等、種々のメディアを対象物とすることができる。
本体11には、図1及び図2に示すように、トレイ12との接続位置に給送口11Aが設けられている。トレイ12に載置されたメディアPは、給送口11Aへ1枚ずつ給送される。給送されたメディアPは、搬送部13により、本体11内の所定の搬送路130に沿って搬送される。そして、その搬送途中の読取位置で、スキャン部14により画像が読み取られた後、本体11の前側下部に開口する排出口11Bから排出される。また、イメージスキャナー10のうち、メディアPを搬送路130に搬送する搬送部13、搬送路130、及び超音波センサー15により搬送装置が構成されている。
【0010】
[搬送部13の構成]
搬送部13は、トレイ12に積載(セット)された複数枚のメディアPを、搬送路130に沿って、搬送方向に1枚ずつ搬送する。すなわち、搬送部13は、給送口11Aから送られたメディアPを本体11内へ案内しつつ給送し、給送したメディアPを搬送路130に沿って搬送する。
【0011】
より具体的には、搬送部13は、本体11内のメディアPの搬送方向の上流側に配置された第一給送ローラー対131と、第一給送ローラー対131よりも搬送方向の下流側に配置された第二給送ローラー対132とを備える。さらに、搬送部13は、メディアPの読取位置を挟んで搬送方向の上流側に配置された第一搬送ローラー対133と、下流側に配置された第二搬送ローラー対134とを備える。
【0012】
第一給送ローラー対131は、第一駆動ローラー131Aと第一従動ローラー131Bとにより構成される。同様に、第二給送ローラー対132は、第二駆動ローラー132Aと第二従動ローラー132Bとにより構成される。また、第一搬送ローラー対133は、第三駆動ローラー133Aと第三従動ローラー133Bとにより構成される。同様に、第二搬送ローラー対134は、第四駆動ローラー134Aと第四従動ローラー134Bとにより構成される。各従動ローラー131B~134Bは、それぞれが対をなす駆動ローラー131A~134Aの回転により従動する。
【0013】
各ローラー対131~134を構成する各駆動ローラー131A~134Aは、それらの動力源である搬送モーター135の動力により回転駆動する。なお、搬送モーター135は、制御部16により制御され、各駆動ローラー131A~134Aを駆動させる。
また、第二給送ローラー対132を構成する第二従動ローラー132Bはリタードローラーとなっており、その外周面のメディアPに対する摩擦係数が、第二駆動ローラー132Aの外周面のメディアPに対する摩擦係数よりも大きくなっている。このため、第二給送ローラー対132は、メディアPを1枚ずつ分離して搬送方向の下流側へ送り出す分離機構として機能する。よって、第一給送ローラー対131の回転によりトレイ12に積載された複数のメディアPは、例えば最下位のものから順番に1枚ずつ給送口11Aから本体11内へ給送され、さらに第二給送ローラー対132の回転により1枚ずつ分離されて搬送方向の下流側へ給送される。
【0014】
[スキャン部14の構成]
図2に示すように、搬送路130の第一搬送ローラー対133と、第二搬送ローラー対134との間には、メディアPの画像を読み取る読取位置が設けられ、スキャン部14が設けられている。
スキャン部14は、例えば、搬送路130を挟む両側に設けられた第1スキャン部14Aと第2スキャン部14Bとを含む。このスキャン部14は、搬送中のメディアPに光を照射可能な光源141と、主走査方向(搬送方向に交差するX方向)に延びるイメージセンサー142とにより構成される。メディアPの片面(表面)を読み取る通常読取モードのときは、第1スキャン部14Aが読取動作を行い、メディアPの両面(表裏面)を読み取る両面読取モードのときは、第1スキャン部14Aと第2スキャン部14Bとが共に読取動作を行う。スキャン部14(14A,14B)を構成する光源141及びイメージセンサー142は、制御部16に接続され、制御部16の制御によって、メディアPの画像を読み取るスキャン処理を実施する。
【0015】
[超音波センサー15の構成]
超音波センサー15は、例えば、搬送方向で、第二給送ローラー対132と第一搬送ローラー対133との間の位置に設けられている。この超音波センサー15は、重送センサーであり、搬送部13により搬送路130に沿って搬送されるメディアPの重送を検出する。
【0016】
図3は、超音波センサー15の概略構成を示す断面図である。なお、図3は、超音波センサー15を、搬送方向から見た際の断面図を示す。なお、搬送方向のうち、超音波センサー15が設けられる位置での方向をY方向とする。
図3に示すように、超音波センサー15は、送信部151と、受信部152とを備える。また、送信部151と搬送路130の間には、第一ガイド136が設けられ、受信部152と搬送路130との間には、第二ガイド137とが設けられている。これらの第一ガイド136及び第二ガイド137は、搬送路130に平行なガイド面を備え、メディアPは、当該ガイド面に沿って搬送される。すなわち、第一ガイド136及び第二ガイド137は、搬送部13とともに、搬送路130を形成する。
【0017】
この超音波センサー15では、搬送部13により搬送されるメディアPに対して送信部151から超音波を発信する。送信部151から送信された超音波は、第一ガイド136に設けられた第一貫通孔136Aを通過してメディアPに入力される。メディアPを透過した超音波は、第二ガイド137の第二貫通孔137Aを通過して受信部152で受信される。そして、受信部152で超音波が受信されると、受信部152から受信した超音波の音圧に応じた受信信号が出力され、この受信信号の信号強度に基づいてメディアPの重送が検出される。なお、以降の説明にあたり、送信部151から送信される超音波を送信波と称し、受信部152で受信される超音波を受信波と称する場合がある。
【0018】
ここで、図3に示すように、受信部152は、送信部151から送信される送信波の音軸15C上に配置されている。また、送信部151は、搬送路130及び搬送路130に搬送されるメディアPの法線に対して、音軸15Cが所定の角度θ(例えば20°)で傾斜するように配置されている。
つまり、音軸15Cが、メディアPの表面の法線方向と一致する場合、送信部151から送信された超音波が、メディアPと送信部151との間で多重反射するおそれがある。また、メディアPを通過した超音波が受信部152とメディアPとの間で多重反射する虞がある。この場合、受信部152では、送信部151からメディアPを通過して受信部152で受信される超音波(測定したい超音波)に加えて、多重反射による超音波も受信部152で受信されることになり、正確な重送判定ができない。
これに対して、音軸15CをメディアPの表面の法線に対して傾斜させることで、受信部152における多重反射された超音波等の不要な超音波成分の受信を低減でき、精度の高い重送判定が可能となる。
【0019】
[第一ガイド136及び第二ガイド137の構成]
第一ガイド136及び第二ガイド137は、搬送路130に対向する第一ガイド面136B及び第二ガイド面137Bを有し、メディアPを案内する。本実施形態では、第二ガイド137の第二ガイド面137Bは、搬送路130と一致(または略一致)する。つまり、本実施形態では、メディアPは、第二ガイド137の第二ガイド面137Bに沿って搬送される。
また、第一ガイド136は、音軸15Cに沿って貫通し、送信波が通過する第一貫通孔136Aを備える。
同様に、第二ガイド137は、音軸15Cに沿って貫通し、受信波が通過する第二貫通孔137Aを備える。なお、第一貫通孔136A、第二貫通孔137Aの開口面積に関する詳細な説明は後述する。
【0020】
[送信部151の構成]
送信部151は、送信台座部151Aと、送信本体部151Bと、送信側シールド151Cと、送信回路基板31と、を備える。送信本体部151Bは、送信台座部151Aに固定されており、これらの送信台座部151A及び送信本体部151Bが送信側シールド151Cの内部に収納される。また、この送信側シールド151Cは、送信回路基板31に固定される。送信回路基板31は、本体11内において、例えば搬送路130に対して平行となるように固定されている。
【0021】
送信台座部151Aは、基端側端面151Dが、送信回路基板31に固定され、基端側端面151Dとは反対側の先端側端面151Eが、基端側端面151Dに対して角度θで傾斜する。そして、先端側端面151Eに送信本体部151Bが固定されることで、送信部151の超音波の送信面151Fが音軸15Cに対して直交する角度で固定される。
【0022】
送信側シールド151Cは、例えば円筒状や矩形筒状の筒形状に形成され、送信側シールド151Cの内部に送信台座部151A及び送信本体部151Bが挿通されて収納される。この送信側シールド151Cは、例えば金属等の導電性素材により形成されており、静電気及び電磁波ノイズを抑制する。
また、送信側シールド151Cの搬送路130に対向する筒端面は、開口端であり、送信本体部151Bからの送信波が通過可能となる。さらに、送信側シールド151Cの開口端から送信本体部151Bの間に、超音波が通過する多数の孔部が設けられた第一保護部材151Gを設けてもよい。このような第一保護部材151Gとしては、例えば、金属メッシュ等を例示できる。第一保護部材151Gを設けることで、送信側シールド151C内への異物の侵入を抑制することが可能となる。
また、送信側シールド151Cの開口端とは反対側の他端は、送信回路基板31に固定される。
なお、本実施形態では、送信回路基板31に、送信台座部151A及び送信本体部151Bを収納した送信側シールド151Cが固定される構成を例示するが、これに限定されない。例えば、送信台座部151A、送信本体部151B、及び送信回路基板31が、送信側シールド151C内に収納される構成としてもよい。この場合、送信側シールド151Cを、本体11内の、第一貫通孔136Aに対向する所定位置に固定すればよい。
【0023】
受信部152は、送信部151と略同様の構成を有する。すなわち、受信部152は、受信台座部152Aと、受信本体部152Bと、受信側シールド152Cとを備え、受信回路基板32に固定される。受信回路基板32は、本体11内において、例えば搬送路130に対して平行に固定されている。
受信台座部152Aは、基端側端面152Dが、受信回路基板32に固定され、基端側端面152Dとは反対側の先端側端面152Eが、基端側端面152Dに対して角度θで傾斜する。そして先端側端面152Eに受信本体部152Bが固定されることで、受信部152の超音波の受信面152Fが音軸15Cに対して直交する角度で固定される。
受信側シールド152Cは、例えば円筒状や矩形筒状の筒形状に形成され、受信台座部152A及び受信本体部152Bが内部に収納される。この受信側シールド152Cは、例えば金属等の導電性素材により形成されており、静電気及び電磁波ノイズを抑制する。
受信側シールド152Cの搬送路130に対向する筒端面は、開口端であり、メディアPからの受信波が通過可能となる。さらに、受信側シールド152Cの開口端から受信本体部152Bの間に、超音波が通過する多数の孔部が設けられた第二保護部材152Gを設けてもよい。このような第二保護部材152Gとしては、例えば、金属メッシュ等を例示できる。保護部材を設けることで、受信側シールド152C内への異物の侵入を抑制することが可能となる。
受信側シールド152Cの開口端とは反対側の他端は、受信回路基板32に固定されている。
なお、本実施形態では、受信回路基板32に、受信台座部152A及び受信本体部152Bを収納した受信側シールド152Cが固定される構成を例示するが、これに限定されない。例えば、受信台座部152A、受信本体部152B、及び受信回路基板32が、受信側シールド152C内に収納される構成としてもよい。この場合、受信側シールド152Cを、本体11内の、第二貫通孔137Aに対向する所定位置に固定すればよい。
【0024】
また、本実施形態では、送信回路基板31及び受信回路基板32がそれぞれ独立して設けられる例を示すが、これに限定されず、送信回路基板31及び受信回路基板32が1つの基板に一体的に設けられる構成としてもよい。また、送信回路基板31及び受信回路基板32の少なくともいずれか一方を複数の基板により構成してもよい。
【0025】
[送信部151の素子構成]
次に、送信部151を構成する送信本体部151Bをより具体的に説明する。なお、受信本体部152Bは、送信本体部151Bと同様の構成を有する。したがって、受信本体部152Bの詳細な構成については省略する。
図4は、送信本体部151Bの一部の概略構成を示す断面図である。
図4に示すように、送信本体部151Bは、素子基板21と圧電素子22とを含んで構成されている。本実施形態では、素子基板21の基板厚み方向(Z方向)は、音軸15Cと一致または略一致する。
【0026】
送信本体部151Bは、図4に示すように、素子基板21と、圧電素子22と、を備えて構成されている。
素子基板21は、基板本体部211と、基板本体部211の一面側に設けられる振動板212と、を備える。ここで、以降の説明にあたり、素子基板21の基板厚み方向をZ方向とする。Z方向は、超音波を送信する方向であり、音軸15Cと平行となる。
基板本体部211は、振動板212を支持する基板であり、Si等の半導体基板で構成される。基板本体部211には、Z方向に沿って基板本体部211を貫通する開口部211Aが設けられている。
【0027】
振動板212は、SiOや、SiO及びZrOの積層体等より構成され、基板本体部211の-Z側に設けられる。この振動板212は、開口部211Aを構成する基板本体部211の隔壁211Bにより支持され、開口部211Aの-Z側を閉塞する。振動板212のうち、Z方向から見た際に開口部211Aと重なる部分は、振動部212Aを構成する。
【0028】
圧電素子22は、振動板212上で、かつ、Z方向から見た際に、各振動部212Aと重なる位置に設けられている。この圧電素子22は、図4に示すように、振動板212上に第一電極221、圧電膜222、及び第二電極223が順に積層されることにより構成されている。
【0029】
ここで、1つの振動部212Aと、当該振動部212A上に設けられた圧電素子22とにより、1つの超音波トランスデューサーTrが構成される。図示は省略するが、本実施形態では、このような超音波トランスデューサーTrが、2次元アレイ構造に配置されることで、送信本体部151Bが構成されている。
【0030】
送信本体部151Bは、各超音波トランスデューサーTrの第一電極221及び第二電極223間に所定周波数のパルス波電圧が印加されることで、圧電膜222が伸縮する。これにより、振動部212Aが開口部211Aの開口幅等に応じた周波数で振動し、振動部212Aから+Z側に向かって超音波が送信される。つまり、素子基板21の+Z側の面が送信部151の超音波の送信面151Fとなる。
【0031】
受信本体部152Bは、上述したように、送信本体部151Bと同様の構成を有し、図4に示す送信本体部151Bを上下逆転させた構成となる。つまり、受信本体部152Bでは、基板本体部211の+Z側に振動板212が配置され、振動板212の+Z側に圧電素子22が配置される。したがって、受信本体部152Bでは、素子基板21の振動板212が設けられていない-Z側の面が受信面152Fとなり、-Z側から+Z側に向かって入力される超音波を受信する。この受信本体部152Bは、開口部211Aから超音波が入力されると、振動部212Aが振動する。これにより、圧電膜222の第一電極221側と第二電極223側とで電位差が発生し、当該電位差に応じた受信信号が受信本体部152Bから出力される。
【0032】
[第一貫通孔136Aの位置及び開口面積]
次に、送信部151に対する、第一貫通孔136Aの位置、及び開口面積について説明する。
図5は、送信波のビーム形状と、送信部151、受信部152、第一貫通孔136A、及び第二貫通孔137Aの位置関係と、を説明するための図である。
図6は、送信面151Fからの距離が近距離音場内の距離Lとなる位置での、音軸15Cに直交する一方向に沿った音圧分布を示す図である。図7は、送信面151Fからの距離が近距離音場内の距離Lとなる位置での音圧分布を示す図である。図8は、送信面151Fからの距離が近距離音場内の距離Lとなる位置での音圧分布を示す図である。図9は、送信面151Fからの距離が近距離音場限界距離Lとなる位置での音圧分布を示す図である。図10は、送信面151Fからの距離が、メディアPが配置される距離Lとなる位置での音圧分布を示す図である。図11は、送信波の音軸15Cに沿った音圧の大きさを示す図である。
【0033】
送信部151から送信される送信波は、図5に示すように、送信面151Fからの距離が近距離音場限界距離Lまでの近距離音場Fと、近距離音場限界距離L以上の遠距離音場Fとを含むビーム形状となる。
近距離音場Fでは、送信波は平面波として伝搬される。つまり、送信本体部151Bの各超音波トランスデューサーTrから球面波が送信されることで、これらの球面波が合成されて平面波が形成され、平面波が音軸15Cに沿って空気中を伝搬する。このため、近距離音場F内では、球面波が強め合う場所と弱め合う場所とが混在する。これにより、図6から図8に示すように、音軸15Cに直交するビーム断面での音圧分布は複雑となり、かつ、送信面151Fからの距離によって、それぞれ異なる分布となる。一方、近距離音場限界距離L以降では、図9及び図10に示すように、音軸15C上での音圧がピークとなり、音軸15Cから離れるに従って、音圧が低くなるコーシー分布に従った分布となる。つまり、遠距離音場Fでは、音圧分布が単純な形状となる。
【0034】
近距離音場FにメディアPが位置する場合、メディアPに入力される音圧分布が複雑であるため、メディアPから受信部152に向かう受信波においても、複雑な音圧分布が残る。つまり、メディアPに、音圧が大きい部分と音圧が小さい部分とが混在する送信波が入力されると、メディアPのうち音圧の高い送信波が入力された部分が大きく振動し、その振動に応じた球面波が受信部152に向かって送信される。このため、メディアPのうち音圧が高い部分から発せられた球面波が、互いに強め合ったり、弱め合ったりすることで、音圧が高い部分と低い部分とが混在した音圧分布となる。
ここで、受信信号の信号電圧に基づいて重送を検出するには、受信信号の信号値が閾値以下となるか否かを判定する必要がある。互いに強め合った超音波が受信部152に入力されると、メディアPが重送されているにもかかわらず、閾値を超える信号値の受信信号が出力される場合がある。また、互いに弱め合った超音波が受信部152に入力されると、メディアPが重送されていないにもかかわらず、閾値以下となる信号値の受信信号が入力される場合がある。
【0035】
これに対して、本実施形態では、送信部151と、第一ガイド136の第一貫通孔136Aとの距離が、近距離音場限界距離Lとなる。具体的には、送信面151Fの中心点と、第一貫通孔136Aの開口中心点とを結ぶ線分の長さが近距離音場限界距離Lである。搬送路130は、第一貫通孔136Aよりも受信部152側に位置するので、搬送路130に沿って搬送されるメディアPは、遠距離音場Fに位置する。
これにより、本実施形態では、メディアPには、音軸15Cを中心に、コーシー分布に略従った音圧分布となる送信波が入力される。したがって、受信波の音圧も音軸15C上で最も高くなる。この場合、受信部152から、音圧がピーク値となる音軸15C上の受信波に対応した受信信号が出力されるので、上述したノイズ成分を少なくでき、重送検知の精度向上を図れる。
【0036】
ところで、メディアPの重送を超音波センサー15により検出する場合、受信信号のS/N比の向上のため、受信波の音圧を十分に高める必要がある。このため、送信部151から出力された送信波が、第一ガイド136で阻害されず、メディアPに到達されることが好ましい。つまり、第一貫通孔136Aは、送信波が通過するための十分な開口面積を有することが好ましい。しかしながら、第一貫通孔136Aの開口面積を大きくすると、搬送路130に沿って搬送されるメディアPが、第一貫通孔136Aに引っ掛かり、メディアPに皺が生じたり、メディアPが搬送路130内で詰まったりする場合がある。このため、第一貫通孔136Aは、メディアPの引っ掛かりを抑制し、かつ、送信波が阻害されない開口面積に形成する必要がある。
【0037】
図12は、送信面151Fを第一ガイド面136Bに投影された投影像の投影面積を変化させた場合の各々について、送信面151Fからの距離と、送信波のビーム径との関係とを示した図である。図12において、データA1は、送信面151Fを直径3.5mmの円形状とした場合のビーム径の変化であり、近距離音場限界距離は4.3mmとなる。データA2は、送信面151Fを直径4.2mmの円形状とした場合のビーム径の変化であり、近距離音場限界距離は6.2mmとなる。データA3は、送信面151Fを直径6.3mmの円形状とした場合のビーム径の変化であり、近距離音場限界距離は13.9mmとなる。
図12に示すように、送信波のビーム形状は、送信面151Fから近距離音場限界距離Lまでの間では、送信面151Fからの距離が長くなる程、ビーム径が小さくなる。また、送信面151Fからの距離が近距離音場限界距離Lを超えると、音軸15Cを中心にしてビーム径が増大する。
ここで、送信面151Fを音軸15Cに沿って第一ガイド面136Bに投影させた際の投影面積をT、第一貫通孔136Aの開口面積をTとした場合に、T≧Tとすることが好ましい。
また、第一貫通孔136Aの開口面積Tは、近距離音場限界距離L近傍の送信波が通過すればよい。したがって、送信波の超音波ビームのうち、第一貫通孔136Aを通過する部分の断面積をTとすると、T≧Tとすることがより好ましい。この断面積Tは、送信面151Fの中心点から音軸15Cに沿って近距離音場限界距離Lとなる点を、第一貫通孔136Aの開口中心点Nとし、開口中心点Nを含み、かつ、第一ガイド面136Bに平行な平面での、超音波ビームのビーム断面の面積である。
第一貫通孔136Aの開口面積Tが、T≧Tを満たすことで、送信波が第一ガイド136に阻害されることによる音圧の低下を抑制できる。
【0038】
ところで、超音波センサー15を本体11に固定する場合に、第一貫通孔136Aに対して厳密に送信部151の位置合わせを行える場合では、T=Tとすることができる。この場合、第一貫通孔136Aの開口面積Tが最小となり、メディアPの第一貫通孔136Aへの引っ掛かりをさらに抑制することができる。ただし、送信部151を固定する際のアライメント調整で、僅かな位置ずれがあった場合、送信波が第一ガイド136に阻害されるおそれがある。したがって、ある程度のマージンを考慮し、T≧T>Tとしてもよい。これにより、第一貫通孔136Aに対する送信面151Fの位置ずれによる、送信波の音圧低下を抑制できる。
また、送信面151Fの面積が小さくなるに従って、近距離音場限界距離Lも小さくなるので、送信面151Fの面積が十分に小さい場合では、T≒Tとしてもよい。
【0039】
[第二貫通孔137Aの位置及び開口面積]
次に、受信部152に対する、第二貫通孔137Aの位置、及び開口面積について説明する。
受信部152で受信される受信波は、メディアPを通過した超音波であるため、送信部151で送信される送信波に比べて、その音圧は非常に小さくなる。このため、受信部152の受信面152Fは、メディアPに近接して配置されることが好ましい。例えば、本実施形態では、第二貫通孔137Aと受信面152Fとの距離は、第一貫通孔136Aと送信面151Fとの距離(近距離音場限界距離L)よりも短い。
【0040】
また、受信面152Fを、音軸15Cに沿って第二ガイド面137Bに投影させた際の投影像の投影面積をRとした場合に、R<Tの関係を満たす。つまり、本実施形態では、上記のように、搬送路130に搬送されたメディアPは、送信部151の超音波に基づく遠距離音場Fに位置するので、メディアPには、音軸15Cの位置で音圧がピークとなる超音波が入力される。この場合、メディアPから受信部152に向かう受信波も、音軸15Cでの音圧がピークとなるコーシー分布に従った音圧分布となる。このため、受信部152は、音軸15C近傍の音圧を測定できればよい。一方、音軸15Cから離れた位置では、超音波の多重反射成分等のノイズ成分が多くなる。
本実施形態では、R<Tとすることで、音軸15Cの近傍の受信波を検出するように構成されており、これにより、受信信号に含まれるノイズ成分を減らすことができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、第二貫通孔137Aの開口面積をRとすると、T>R>Rの関係を満たす。
図13は、受信面152Fの投影面積Rに対し、第二貫通孔137Aの開口面積Rを変化させた場合の、受信面152Fからの受信信号の信号値を示す図である。具体的には、1辺が1mmの正方形状の受信面152Fに対して、正方形状の第二貫通孔137Aの1辺の長さを1mm、2mm、3mm、4mm、9mmとした各場合の受信信号を示している。
第二貫通孔137Aの1辺の長さを4mm、9mmとした場合、受信信号の信号値は十分に大きい。これに対して、第二貫通孔137Aの1辺の長さを3mm、2mmとした場合、受信信号の信号値が僅かに低下する。また、第二貫通孔137Aの1辺の長さを、受信面152Fと同じく1mmとした場合、受信信号の信号値がさらに低下する。これは、第二貫通孔137Aに対する受信面152Fの位置により、僅かなアライメントずれによって、受信信号が低下していることを示している。
=Rとした場合でも、厳密に第二貫通孔137Aに対する受信面152Fの位置調整が行われていれば、受信信号の信号値の低下は抑制可能である。しかしながら、このようなアライメント調整を行うためには、高精度にアライメント調整を行う調整治具が必要となり、製造効率性の低下、及び製造コストの高騰を招く。これに対して、上記のように、R>Rとすることで、製造効率性の低下や製造コストの高騰を招くことなく、適正な信号値の受信信号を受信することが可能となる。
なお、R<Rとする場合では、受信部152で十分な超音波を受信できないので、受信信号が低下し、重送判定の精度に悪影響を与える。
さらに、本実施形態では、T>Rを満たす。このため、メディアPが第二貫通孔137Aに引っ掛かる不都合を抑制することができる。
【0042】
[超音波センサー15の回路構成]
図14は、イメージスキャナー10の制御構成を示すブロック図である。
本実施形態では、超音波センサー15の回路構成として、送信回路基板31に、送信部151の駆動を制御する送信制御回路が設けられ、受信回路基板32に受信部152の駆動を制御する受信処理回路が設けられる。なお、超音波センサー15の回路構成としては、これに限定されるものではなく、上述したように、送信回路基板31に、受信部152を制御する回路構成が一体に設けられていてもよく、受信回路基板32に送信部151を制御する回路構成が一体に設けられていてもよい。その他、複数の回路基板により、これらの回路構成が構成されていてもよい。
【0043】
本実施形態では、図14に示すように、送信回路基板31には、送信回路311が設けられている。
送信回路311は、送信部151の各超音波トランスデューサーTrに電気的に接続されており、各超音波トランスデューサーTrを駆動させる駆動信号を生成する。
【0044】
また、受信回路基板32は、受信信号を処理して制御部16に出力する受信回路等が設けられている。受信回路としては、超音波の受信により入力される受信信号を処理する一般的な回路を用いることができる。図14に示すように、受信回路は、バンドパスフィルター321、アンプ322、サンプルアンドホールド回路323、及びコンパレーター324等により構成することができる。
受信部152から出力された受信信号は、バンドパスフィルター321に入力される。この受信信号は、バンドパスフィルター321でノイズ成分等が除去され、アンプ322で所定の信号強度以上となるように増幅され、サンプルアンドホールド回路323に入力される。サンプルアンドホールド回路323は、所定周波数で受信信号をサンプリングし、サンプリングされた受信信号は、コンパレーター324に入力される。コンパレーター324は、サンプリングされた受信信号のうち、信号強度が所定の閾値を超える受信信号を検出して制御部16に入力する。
【0045】
[制御部16の構成]
制御部16は、図14に示すように、CPU(Central Processing Unit)等により構成された演算部161と、メモリー等の記録回路により構成された記憶部162とを備える。
この制御部16は、搬送部13の搬送モーター135、スキャン部14、及び超音波センサー15に接続され、これらの搬送モーター135、スキャン部14、及び超音波センサー15の駆動を制御する。また、制御部16は、インターフェイス部17に接続され、パーソナルコンピューター等の外部機器から入力された各種のデータや信号を受信したり、イメージスキャナー10が読み取った読取データを外部機器に出力したりする。
【0046】
記憶部162は、イメージスキャナー10を制御するための各種データや、各種プログラムが記録されている。
演算部161は、記憶部162に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、図14に示すように、第一制御部161A、第二制御部161B、及び判定部161C等として機能する。
【0047】
第一制御部161Aは、搬送部13の搬送モーター135を制御して、複数のローラー対131~134を回転させることで、トレイ12にセットされたメディアPを1枚ずつ本体11内へ給送する。さらに第一制御部161Aは、給送されたメディアPを搬送路130に沿って搬送させる。
第二制御部161Bは、メディアPの搬送中にスキャン部14を制御し、メディアPの画像を読み取らせる。
【0048】
判定部161Cは、メディアPの状態を検出する状態検出部であり、本実施形態では、超音波センサー15を制御して、受信部152から入力された受信信号に基づいて、メディアPの重送を判定する。
具体的には、受信信号の電圧値が所定の閾値より小さい場合に、メディアPが重送されていると判定する。なお、判定部161Cに重送と判定された場合、第一制御部161Aは、メディアPの搬送を停止する。
【0049】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のイメージスキャナー10は、メディアPが搬送される搬送路130と、搬送路130に搬送されたメディアPに送信波を送信する送信部151と、メディアPからの受信波を受信する受信部152と、を備える。そして、搬送路130は、送信部151と受信部152との間に設けられ、かつ、搬送路130は、送信部151から送信される超音波の遠距離音場Fに設けられている。
【0050】
このため、メディアPに入力される送信波の音圧分布は、音軸15Cでの音圧がピークとなるコーシー分布に従った分布となる。よって、メディアPを通過する受信波も、音軸15Cでの音圧がピークとなるコーシー分布に従った音圧分布となり、受信信号に含まれるノイズ成分を抑制できる。このため、受信部からの受信信号に基づいて、メディアの重送や厚みを精度よく検出することができる。
【0051】
本実施形態では、搬送路130と送信部151との間に設けられた第一ガイド136と、搬送路130と受信部152との間に設けられた第二ガイド137と、を備える。また、第一ガイド136は、送信波をメディアPに向かって通過させる第一貫通孔136Aを備え、第二ガイド137は、メディアPからの受信波を受信部152に向かって通過させる第二貫通孔137Aを備える。
これにより、メディアPが、第一ガイド136及び第二ガイド137に案内されて搬送されるため、メディアPの搬送中に、メディアPが本体11内の他の部材への干渉を抑制できる。よって、メディアPに皺が発生したり、搬送路130内で詰まりが発生したりする不都合を抑制できる。
また、第一ガイド136に第一貫通孔136Aが設けられ、第二ガイド137に第二貫通孔137Aが設けられているので、送信波が第一ガイド136で阻害されたり、受信波が第二ガイド137で阻害されたりする不都合を抑制できる。
【0052】
本実施形態では、第一貫通孔136Aと送信部151の送信面151Fとの距離は、送信波の近距離音場限界距離Lである。
メディアPを搬送路130に沿って搬送する場合、メディアPが第一貫通孔136Aに引っ掛かり、メディアPに皺が発生したり、詰まりが発生したりすることがあるので、第一貫通孔136Aの開口寸法は、可能な限り小さくすることが好ましい。一方、第一貫通孔136Aは、送信波が通過する孔部であり、送信波のビーム径よりも小さいと、メディアPに入力される送信波の音圧も低下し、S/N比が悪化する。従って、第一貫通孔136Aは、送信波のビーム径以上で、かつ、開口面積が最小となるように形成する必要がある。これに対して、本実施形態では、送信波のビーム径が最も小さくなる近距離音場限界距離Lに設けられているので、第一貫通孔136Aの開口面積を、当該ビーム径に併せて可能な限り小さくできる。これにより、メディアPの皺や詰まりの発生を抑制することができる。
【0053】
本実施形態では、送信面151Fを音軸15Cに沿って第一ガイド面136Bに投影した投影面積をT、受信面152Fを音軸15Cに沿って第二ガイド面137Bに投影した投影面積をR、第二貫通孔137Aの開口面積をRとし、送信波の近距離音場限界距離Lでの搬送路130に平行なビーム断面の断面積をTとした場合に、T≧T、R<R、R<Tの関係を満たす。
本実施形態では、T≧Tを満たし、近距離音場限界距離でビーム径が収束する送信波が送信面151Fから送信され、遠距離音場Fに位置するメディアPには、音軸15Cでの音圧がピークとなるコーシー分布に略従った送信波が入力される。これにより、受信波も、音軸15Cでの音圧がピークとなるコーシー分布に略従った音圧分布となり、音軸15Cの超音波を受信することが好ましい。つまり、音軸15Cから離れた位置では、多重反射等の他の超音波成分がノイズとして含まれる可能性が高くなるが、音軸15Cの近傍の受信波は、音圧が大きく、ノイズの影響が小さい。よって、R<Tとして、音軸15C近傍の受信波を受信部152で受信することで、受信信号に基づく重送判定を高精度に実施できる。
この場合、第二貫通孔137Aには、受信面152Fで受信する音軸15C近傍の受信波を通過させればよく、第二貫通孔137Aの開口面積を小さくできる。しかしながら、第二貫通孔137Aの開口面積Rを、送信面151Fの投影面積Rと同じにすると、第二貫通孔137Aに対する受信面152Fの位置合わせが困難となる。これに対して、R>Rとして所定のマージンを設けることで、第二貫通孔137Aに対して受信面152Fの位置合わせを容易に行うことができ、位置ずれが生じたとしてもマージン以内であれば、受信信号の低下を抑制できる。
【0054】
本実施形態では、第一貫通孔136Aの開口面積をTとして、T≧Tを満たす。
このように、T≧Tとすることで、上述したように、第一貫通孔136AでメディアPが引っ掛かる不都合を抑制できる。また、T≧Tとすることで、第一ガイド136で送信波の送信が阻害されず、かつ、第一貫通孔136AでのメディアPが引っ掛かりを抑制可能な構成とすることができる。
【0055】
本実施形態のイメージスキャナー10は、上記のような搬送装置の構成に加え、搬送路130の読取位置でメディアPに形成された画像を読み取るスキャン部14と、を備える。
上記の様に、本実施形態では、超音波センサー15により、メディアPの重送を精度よく判定することができ、これにより、スキャン部14は、重送されたメディアPの画像を読み取る不都合が抑制できる。例えば、第1のメディアPと、第2のメディアPとが重送され、第1のメディアPの裏面と第2のメディアPの表面とが対面している場合、これらの第1のメディアPの裏面の画像と、第2のメディアPの表面の画像とが読み取れない。本実施形態では、メディアPの重送を精度よく判定できるので、上記のような画像の読み取りミスを抑制することができる。
【0056】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。
第一実施形態では、搬送装置を備えるイメージスキャナー10を例示したが、本開示の搬送装置を備える電子機器としてはこれに限定されない。第二実施形態では、本開示の搬送装置を備えるプリンターについて説明する。なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については、同符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0057】
図15は、第二実施形態のプリンター50の概略構成を示す模式図である。
プリンター50は、図15に示すように、メディアPを搬送路130に沿って搬送する搬送部51、搬送路130の所定位置に設けられたキャリッジ52、キャリッジ52を搬送路130に沿って移動させる移動機構53、超音波センサー15、及び制御部54を備える。
【0058】
搬送部51は、第一実施形態の搬送部13と同様、例えばトレイ等に載置されたメディアPを1枚ずつプリンター50内に送り、搬送路130に沿ってメディアPを搬送する。搬送部51の具体的な構成は特に限定されず、例えば、第一実施形態と同様、複数のローラー対でメディアPを所定の搬送方向に送り出す機構等が例示できる。
搬送路130には、キャリッジ52に対向する位置に、プラテン511が設けられている。プリンター50は、プラテン511上に搬送されたメディアPに、キャリッジ52に設けられた印刷部521を用いて印刷処理を実施する。
【0059】
キャリッジ52は、プラテン511に対向する位置に設けられ、印刷部521を搭載する。
キャリッジ52は、搬送部51により搬送されるメディアPの搬送方向に対して直交する走査方向に移動可能に設けられており、移動機構53によって、キャリッジ52は、走査方向の所定の位置に移動される。
キャリッジ52に搭載される印刷部521は、メディアPに画像を印刷する。メディアPへの画像の印刷方法は特に限定されない。例えば、印刷部521は、インクタンクから供給された複数色のインクを吐出するノズルを有し、ノズルから各色インクを吐出させることで、メディアPにドットを形成する。
移動機構53は、キャリッジ52を走査方向に移動させる。搬送部51によるメディアPの搬送方向への搬送と、移動機構53によるキャリッジ52の移動とにより、印刷部521による印刷位置を、メディアPの所定位置に一致させることができる。
【0060】
本実施形態のプリンター50は、プラテン511に搬送されたメディアPに対して印刷部521による印刷処理を実施する。そして、本実施形態では、プラテン511よりも搬送路130の上流側に、超音波センサー15と、搬送路130を挟む第一ガイド136及び第二ガイド137とが設けられている。
これらの超音波センサー15、第一ガイド136、及び第二ガイド137は、上記第一実施形態と同様である。
【0061】
制御部54は、CPU等により構成された演算部541と、メモリー等の記録装置により構成された記憶部542とを備える。
制御部54は、搬送部51、印刷部521、移動機構53、及び超音波センサー15に接続され、これらの搬送部51、印刷部521、移動機構53、及び超音波センサー15の駆動を制御する。また、図示は省略するが、制御部54は、パーソナルコンピューター等の外部機器に接続され、これらの外部機器から入力された各種画像データを受信する。
【0062】
記憶部542は、プリンター50を制御するための各種データや、各種プログラムが記録されている。
演算部541は、記憶部542に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、図15に示すように、第三制御部541A、第四制御部541B、及び判定部161C等として機能する。
【0063】
第三制御部541Aは、搬送部51を制御して、トレイにセットされたメディアPを1枚ずつ、搬送路130に沿って搬送する。
第四制御部541Bは、キャリッジ52を走査方向に移動させ、かつ、印刷部521からインクを吐出させて、メディアPに対して画像を形成する。第三制御部541AによるメディアPの搬送と、第四制御部541Bによるキャリッジ52の移動及び印刷処理により、メディアPに対して2次元画像が形成される。
判定部161Cは、第一実施形態と同様、超音波センサー15から出力される受信信号に基づいて、メディアPの重送を判定する。
【0064】
以上のような本実施形態では、第一実施形態と同様、搬送路130に搬送されたメディアPに対して超音波による重送判定を行う超音波センサー15を備えている。このため、上記第一実施形態と同様の作用効果を奏することができ、超音波センサー15により、メディアPの重送を精度よく判定することができる。
また、本実施形態では、さらに、プラテン511に搬送されたメディアPに画像を形成する印刷部521と、を備える。
これにより、重送されたメディアPに画像が形成される不都合が抑制され、メディアPに画像を適正に形成することができる。
【0065】
[変形例]
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
【0066】
[変形例1]
上記実施形態では、搬送方向から超音波センサー15を見た際に、音軸15CがメディアPの法線に対して角度θで傾斜する例を示したが、これに限定されない。
例えば、搬送方向に交差する方向から超音波センサー15を見た際に、音軸15CがメディアPの法線に対してθで傾斜するように、送信部151及び受信部152を配置してもよい。
【0067】
[変形例2]
上記実施形態では、送信部151が搬送路130の上方に配置され、受信部152が搬送路130の下方に配置される例を示したが、これに限定されない。送信部151が搬送路130の下方に配置され、受信部152が搬送路130の上方に配置される構成としてもよい。また、上記実施形態では、超音波センサー15が配置される位置で搬送路130が水平となる例であるが、搬送路130が垂直に搬送される構成としてもよく、この場合、搬送路130を挟んで送信部151及び受信部152が水平に配置されていてもよい。
【0068】
[変形例3]
上記実施形態では、第二ガイド137の第二ガイド面137Bが搬送路130と一致する例を示したが、これに限定されない。例えば、第一ガイド面136Bが搬送路130と一致してもよく、第二ガイド面137Bに対してスペーサーが設けられ、スペーサーによって搬送路130の位置が規定されていてもよい。
【0069】
[変形例4]
上記実施形態では、搬送路130を挟む第一ガイド136及び第二ガイド137が設けられる例を示したが、これに限定されない。第一ガイド136及び第二ガイド137が設けられない構成としてもよい。
【0070】
[変形例5]
上記実施形態では、送信部151の送信面151Fから第一貫通孔136Aまでの距離が近距離音場限界距離Lである例を示したが、これに限定されない。例えば、送信部151の送信面151Fから第一貫通孔136Aまでの距離は、近距離音場限界距離Lよりも短くてもよい。この場合でも、メディアPが遠距離音場Fに設けられていれば、受信信号のノイズの影響を抑制することができる。また、近距離音場Fでは、図12に示すように、送信面151Fからの距離に応じて、ビーム径が小さくなる。このため、当該ビーム径の超音波が通過できるように第一貫通孔136Aを形成すれば、第一貫通孔136Aの開口面積を小さくできる。
【0071】
[変形例6]
第一実施形態では、送信面151Fの投影面積T、第一貫通孔136Aの開口面積T、受信面152Fの投影面積R、第二貫通孔137Aの開口面積Rが、T≧T≧T、R<R、R<Tの関係を満たす例を示したが、これに限定されない。
例えば、T≧T≧T、R>R、R≧Tとしてもよい。この場合、第二貫通孔137Aを、音軸15C近傍の受信波のみが通過するように、開口面積を絞ることで、受信部152で、音軸15C近傍の音圧が大きい受信波を受信することができる。なお、この場合で、R=Rとしてもよいが、第二貫通孔137Aに対する受信面152Fの位置合わせが困難となる。これに対して、R>Rとすることで、第二貫通孔137Aに対する受信面152Fの位置が多少ずれたとしても、第二貫通孔137Aを通過した受信波を、受信面152Fで受信することができる。
【0072】
[変形例7]
上記実施形態では、制御部16,54は、判定部161Cとして機能し、受信部152からの受信信号に基づいて、メディアPの重送を判定したが、これに限定されない。例えば、搬送されるメディアPの種別が分かっている場合では、制御部16,54は、受信部152からの受信信号に基づいて、メディアPの厚みを検出してもよい。
【0073】
また、第二実施形態では、判定部161Cは、超音波センサー15からの受信信号に基づいて、さらに、メディアPの種類を判定してもよい。
つまり、メディアPを通過した受信波の音圧は、メディアPの種類、及び単層のメディアPであるか、二層のメディアPであるかによって、それぞれ異なる。したがって、複数のメディアPに関し、単層及び二層について、それぞれ、超音波の送受信処理を複数回実施し、得られた受信信号の信号値を教師データとして予め取得する。そして、これらの教師データに基づいて、受信信号の信号値を入力、メディアPの種類及び重送判定結果(単層か二層か)を出力とした学習モデルを、機械学習により生成する。この場合、判定部161Cは、学習モデルに対して受信信号の信号値を入力するだけで、メディアPの種類と、重送判定結果を得ることができる。
さらに、第四制御部541Bは、判定されたメディアPの種類に対応した印刷プロファイルを取得し、当該印刷プロファイルに基づいて、メディアPに対するインクの吐出量を制御して印刷処理を実施してもよい。
【0074】
[本開示のまとめ]
本開示の第一態様に係る搬送装置は、メディアが搬送される搬送路と、超音波を送信する送信部と、超音波を受信する受信部と、を備え、前記搬送路は、前記送信部と前記受信部との間に設けられ、かつ、前記送信部が送信する超音波の遠距離音場に設けられている。
【0075】
これにより、送信部から送信されメディアに入力される超音波(送信波)は、音軸での音圧がピークとなるコーシー分布に従った音圧分布となる。よって、メディアを通過した超音波(受信波)も、音軸での音圧がピークとなるコーシー分布に従った音圧分布となる。このため、近距離音場で見られるような複雑な音圧分布の送信波をメディアに入力する場合に比べて、受信波に含まれるノイズ成分を少なくでき、受信部からの受信信号に基づいて、メディアの重送や厚みを精度よく検出することができる。
【0076】
第一態様の搬送装置は、前記搬送路と前記送信部との間に設けられる第一ガイドと、前記搬送路と前記受信部との間に設けられる第二ガイドと、を備え、前記第一ガイドは、前記送信部から送信される超音波が通過する第一貫通孔を備え、前記第二ガイドは、前記メディアから送信される超音波が通過する第二貫通孔を備えることが好ましい。
【0077】
これにより、メディアが、第一ガイド及び第二ガイドに案内されて搬送され、メディアの搬送中での他の部材への干渉を抑制できる。よって、メディアが他の部材に干渉した際に発生する皺や詰まりを抑制できる。また、第一ガイドに第一貫通孔が設けられ、第二ガイドに第二貫通孔が設けられているので、送信波が第一ガイドで阻害される不都合、受信波が第二ガイドで阻害される不都合を抑制できる。
【0078】
第一態様の搬送装置では、前記第一貫通孔と前記送信部との距離は、前記送信部から送信される超音波の近距離音場限界距離であることが好ましい。
これにより、第一貫通孔の開口寸法を、送信波の超音波ビームが通過可能な最小寸法にすることができ、メディアが第一貫通孔に引っ掛かる不都合を抑制できる。
【0079】
第一態様の搬送装置では、前記送信部の超音波を送信する送信面を音軸に沿って前記第一ガイドに投影した投影面積をT、前記受信部の超音波を受信する受信面を前記音軸に沿って前記第二ガイドに投影した投影面積をR、前記第二貫通孔の開口面積をRとし、前記送信部から送信される超音波の前記近距離音場限界距離での前記搬送路に平行なビーム断面の断面積をTとした場合に、T≧T、R<R、R<Tの関係を満たす。
【0080】
また、本態様では、T≧Tの関係を満たし、送信部から送信される送信波は、近距離音場限界距離で収束する音場を形成する。この場合、遠距離音波に設けられたメディアには、音軸での音圧がピークとなるコーシー分布に略従った音圧分布の送信波が入力される。このため、受信波も、音軸での音圧がピークとなるコーシー分布に略従った音圧分布となる。この場合、受信部は、受信波のうち音軸近傍の超音波を受信することが好ましい。本態様では、R<Tであるので、音軸近傍の受信波を受信部で受信することができ、受信信号に基づく重送判定等の各種処理の精度を向上できる。さらに、第二貫通孔は、受信部で受信する音軸近傍の受信波を通過させればよいので、第二貫通孔の開口面積を小さくできる。
一方、R=Rとすると、第二貫通孔に対する受信面の位置合わせが困難となる。これに対して、本態様では、R>Rとすることで、一定のマージンが設けられ、第二貫通孔に対して受信面の位置合わせを容易に行うことができる。
【0081】
本態様の搬送装置は、前記第一貫通孔の開口面積をTとした場合に、T≧Tの関係を満たすことが好ましい。
このようにT≧Tとすることにより、第一貫通孔でのメディアの引っ掛かりを抑制できる。
【0082】
本開示の第二態様のイメージスキャナーは、第一態様の搬送装置と、前記搬送装置により搬送された前記メディアに形成された画像を読み取るスキャン部と、を備える。
これにより、制御部は、搬送装置の受信部からの受信信号に基づいて、精度の高い重送判定を実施することができる。よって、重送されたメディアPの画像を取り込む不都合を抑制できる。
【0083】
本開示の第三態様のプリンターは、第一態様の搬送装置と、前記搬送装置により搬送された前記メディアに画像を形成する印刷部と、を備える。
これにより、重送されたメディアPに画像が形成される不都合が抑制され、メディアPに画像を適正に形成することができる。
【符号の説明】
【0084】
10…イメージスキャナー、13…搬送部、14…スキャン部、15…超音波センサー、15C…音軸、16…制御部、50…プリンター、51…搬送部、54…制御部、130…搬送路、136…第一ガイド、136A…第一貫通孔、136B…第一ガイド面、137…第二ガイド、137A…第二貫通孔、137B…第二ガイド面、151…送信部、151F…送信面、152…受信部、152B…受信本体部、152F…受信面、161…演算部、161A…第一制御部、161B…第二制御部、161C…判定部、521…印刷部、530…搬送路、541…演算部、541A…第三制御部、541B…第四制御部、F…遠距離音場、F…近距離音場、L…近距離音場限界距離、P…メディア、R…受信面の投影面積、R…第二貫通孔の開口面積、T…送信面の投影面積、T…第一貫通孔の開口面積。
図1
図2
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