(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】支持具
(51)【国際特許分類】
A47B 96/02 20060101AFI20240611BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20240611BHJP
A47B 81/00 20060101ALI20240611BHJP
A47G 29/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A47B96/02 C
A47K4/00
A47B81/00 J
A47G29/00 A
A47G29/00 J
(21)【出願番号】P 2020028237
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】水谷 暢
(72)【発明者】
【氏名】副島 嵩生
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-109560(JP,A)
【文献】実開平01-047281(JP,U)
【文献】実開平04-003076(JP,U)
【文献】米国特許第04660715(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/02
A47K 4/00
A47B 81/00
A47G 29/00
A47B 77/14
A47K 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁着によって壁面に着脱可能な支持具であって、
物品を支持する本体部と、
前記本体部に接着され前記壁面に磁着するマグネット板と、を備え、
前記マグネット板は、前記本体部と対向する面に、
前記本体部に接着されない非接着部と、
前記本体部に接着された接着部と、を有し、
前記非接着部は
、
前記マグネット板の
上端部に沿って延び
る上延出部を有し、
前記接着部は、
前記非接着部を有する前記マグネット板の
前記上端部とは異なる他の端部の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする支持具。
【請求項2】
前記マグネット板の前記非接着部は、前記マグネット板の左右の両端部側に位置して前記上延出部から下方に向けて延びる左延出部、右延出部を有していることを特徴とする請求項
1に記載の支持具。
【請求項3】
前記マグネット板の外形は、正面視において前記本体部の外形よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1
または2に記載の支持具。
【請求項4】
前記本体部は、
前記物品が保持される保持部と、
裏面に前記マグネット板が接着され前記壁面に沿って前記保持部から上下方向に延びる背面部と、を有し、
前記背面部は、
前記保持部から上方に向けて延びる上背面部と、
前記保持部から下方に向けて延び上下方向の長さが前記上背面部よりも短い下背面部と、を有していることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネット板の磁着により壁面に着脱可能な収納棚や小物かけなどの支持具が知られている。このような支持具は、日用品などの物品を簡便に収納したり掛けたりでき、使用者の好きな位置に配置できる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支持具に重量の大きい物品を支持させた場合には、支持具が壁面から落ちてしまう虞がある。また、例えば支持具にシャンプーや液体石鹸の容器を収納していた場合には、ポンピングにより支持具に大きな力がかかると支持具が壁面から落ちてしまう虞がある。
【0005】
このような場合には、支持具のマグネット板の磁力を強くすることにより、支持具が壁面から落下するのを抑制できる。しかし、マグネット板の磁力が強くなると、支持具が壁面から取り外しにくくなり、使い勝手が低下する虞がある。
【0006】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、物品の支持力と取り外しのしやすさを兼ね備えた支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、磁着によって壁面に着脱可能な支持具であって、物品を支持する本体部と、前記本体部に接着され前記壁面に磁着するマグネット板と、を備え、前記マグネット板は、前記本体部と対向する面に、前記本体部に接着されない非接着部と、前記本体部に接着された接着部と、を有し、前記非接着部は、前記マグネット板の任意の方向の端部に沿って延びており、前記接着部は、前記非接着部を有する前記マグネット板の端部とは異なる他の端部の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする支持具である。
【0008】
この支持具によれば、物品の支持力と取り外しのしやすさを兼ね備えることができる。すなわち、任意の方向のマグネット板の端部に非接着部を設けることで、本体部が任意の方向側から物品による大きな力を受けてもマグネット板が壁面から剥がれるのを抑制できる。また、支持具を壁面から取り外す場合には、マグネット板の接着部の位置する端部からマグネット板を簡単に剥がすことができる。なお、支持力とは、物品を支持する力のことである。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記本体部は、前記任意の方向が上方向となっており、前記マグネット板の前記非接着部は、前記マグネット板の上端部に沿って延びる上延出部を有していることを特徴とする支持具である。
【0010】
この支持具によれば、物品から本体部にかかる上方向から下方向への力が大きくても、マグネット板が壁面から剥がれるのを抑制でき、より効果的に物品の支持力と取り外しのしやすさを兼ね備えることができる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、前記マグネット板の前記非接着部は、前記マグネット板の左右の両端部側に位置して前記上延出部から下方に向けて延びる左延出部、右延出部を有していることを特徴とする支持具である。
ある。
【0012】
この支持具によれば、上方向から下方向への力に対する支持力が更に大きくなり、物品から本体部にかかる上方向から下方向への力が大きくても、マグネット板が壁面から剥がれるのを抑制できる。また、本体部を壁面から取り外す場合には、本体部に接着されているマグネット板の下端側から簡単に剥がすことができ、より効果的に物品の支持力と取り外しのしやすさを兼ね備えることができる。
【0013】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記マグネット板の外形は、正面視において前記本体部の外形よりも小さくなっていることを特徴とする支持具である。
【0014】
この支持具によれば、本体部を壁面に取り付けた場合に、正面視においてマグネット板が本体部からはみ出さないので、見栄えを向上することができる。
【0015】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記本体部は、前記物品が保持される保持部と、裏面に前記マグネット板が接着され前記壁面に沿って前記保持部から上下方向に延びる背面部と、を有し、前記背面部は、前記保持部から上方に向けて延びる上背面部と、前記保持部から下方に向けて延び上下方向の長さが前記上背面部よりも短い下背面部と、を有していることを特徴とする支持具である。
【0016】
この支持具によれば、本体部が物品により保持部から下方に向けた力を受けても、下背面部が壁面に押圧されるので支持力を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様によれば、物品の支持力と取り外しのしやすさを兼ね備えた支持具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る支持具を示す斜視図である。
【
図2】
図1中の壁面に取り付けられた支持具を矢示A-A方向からみた断面図である。
【
図3】壁面から支持具を取り外した状態を示す断面図である。
【
図4】
図2中の支持具を矢示B-B方向からみてマグネット板の接着状態を示す背面図である。
【
図5】第1変形例による支持具のマグネット板の接着状態を示す背面図である。
【
図6】第2変形例による支持具のマグネット板の接着状態を示す背面図である。
【
図7】第3変形例による支持具のマグネット板の接着状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る支持具を示す斜視図である。
図2は、
図1中の壁面に取り付けられた支持具を矢示A-A方向からみた断面図である。
図3は、壁面から支持具を取り外した状態を示す断面図である。
図4は、
図2中の支持具を矢示B-B方向からみてマグネット板の接着状態を示す背面図である。
図1、
図2に示すように、支持具10は、例えば物品2を収納可能な棚部材となっており、鋼板などの壁面3に磁着によって着脱可能となっている。そして、支持具10は、本体部20と、本体部20に接着されたマグネット板40と、を備えている。なお、本願明細書では、支持具10と向き合う使用者からみて手前側を「前方」とし、奥側を「後方」として説明する。また、
図1中の紙面左側を「右側方」とし、紙面右側を「左側方」として説明する。
【0021】
本体部20は、物品2を支持(収納)するもので、内部に物品2を保持可能な収納部22と、マグネット板40を介して壁面3に取り付けられる背面部24と、を有している。収納部22は、物品2が保持される保持部22aと、保持部22aの端部から上方に向けて延びる側壁部22bと、を有している。
【0022】
保持部22aは、収納部22の底板を構成しており、物品2が載置される部分となっている。側壁部22bは、保持部22aに載置された物品2が保持部22aから落ちないように保持部22aの端部から立設している。
【0023】
背面部24は、裏面24aにマグネット板40が接着され壁面3に沿って保持部22aから上下方向に延びている。本実施形態では、背面部24は矩形状となっている。背面部24は、保持部22aの後端から上方に向けて延びる上背面部25と、保持部22aの後端から下方に向けて延びる下背面部26と、を有している。すなわち、保持部22aは、背面部24の上下方向の途中部位から前方に向けて突出している。また、側壁部22bは、上背面部25の左右両端部から前方に向けて突出している。
【0024】
図2に示すように、下背面部26の上下方向の長さL1は、上背面部25の上下方向の長さL2よりも短くなっている。これにより、本体部20が物品2により保持部22aが下方に力F1を受けても、下背面部26が壁面3に押圧されるので、支持力を向上できる。
【0025】
マグネット板40は、例えば接着剤により本体部20の背面部24に接着されている。このマグネット板40は、例えば可撓性を有するシート状に形成され、壁面3に磁着することにより本体部20を壁面3に着脱可能に取り付ける。なお、マグネット板40は、ラバーマグネットから形成された可撓性を有するシートであることが好ましい。
【0026】
マグネット板40の外形は、正面視において本体部20の外形よりも小さくなっている。すなわち、支持具10が壁面3に磁着された状態で、本体部20とマグネット板40とは前後方向で重なっている。これにより、本体部20を壁面3に取り付けた場合に、正面視においてマグネット板40が本体部20からはみ出さないので、見栄えを向上することができる。
【0027】
図4に示すように、マグネット板40は、背面部24の形状に対応して矩形状に形成されている。この場合、マグネット板40は、マグネット板40に対面する本体部20(背面部24)の裏面24aよりも小さくなっている。すなわち、マグネット板40は、本体部20を壁面3に取り付けた状態で背面部24により隠蔽される。これにより、
図1に示すように、本体部20を壁面3に取り付けた場合にマグネット板40が背面部24から突出しないので見栄えを向上できる。
【0028】
図2、
図3に示すように、マグネット板40は、接着層30を介して背面部24の裏面24aに接着されている。
図2、
図3では、説明の便宜のために、接着層30の厚みとマグネット板40の厚みとを実際よりも大きくして示している。実際には、接着層30は、殆ど厚みを有していない。
【0029】
ここで、マグネット板40は、全体が背面部24に接着されていない。すなわち、マグネット板40は、本体部20の背面部24に接着されない非接着部42と、本体部20の背面部24に接着される接着部44と、を有している。
図2、
図3に示すように、マグネット板40と本体部20との間は、背面部24との間に接着層30を有する部分と、接着層30を有さない部分とを有している。以下、非接着部42と接着部44との範囲について説明する。
【0030】
非接着部42は、マグネット板40の任意の方向の端部に沿って延びている。本実施形態では、非接着部42が本体部20が物品2から受ける力F1の方向とは逆側に位置するマグネット板40の端部に沿って延びている。「本体部20が物品2から受ける力F1の方向とは逆側に位置するマグネット板40の端部」とは、例えば力F1の向きが下方である場合には、マグネット板40のうち最も上方(逆側)に位置するマグネット板40の上端部であり、力F1の向きが左側方である場合には、マグネット板40のうち最も右側(逆側)に位置するマグネット板40の右端部であることを意味している。
【0031】
本実施形態では、本体部20は、物品2から受ける力F1の方向が下方向であるので、その逆側に位置するマグネット板40の上端部40aに沿って非接着部42が設けられている。従って、
図2~
図4に示すように、非接着部42は、マグネット板40の上端部40aに沿って延びる上延出部42aを有している。
図4に示すように、上延出部42aは、マグネット板40の上端部40a側に位置してマグネット板40の左端部40bから右端部40cまで延びている。
【0032】
マグネット板40の上端部40aから下方向に延びる上延出部42aの上下方向の長さL3は、マグネット板40の大きさ、形状、磁力、および本体部20に係る力F1の大きさなどを考慮して、実験、シミュレーションなどにより設定することができる。一例を挙げると、マグネット板40の上端部40aから下方向に延びる上延出部42aの上下方向の長さL3は、例えばマグネット板40の上下方向の長さL4の10%~30%程度(好ましくは、20%程度)とすることができる。
【0033】
また、本実施形態では、非接着部42は、上延出部42aからマグネット板40の左右の両端部(左端部40b、右端部40c)に沿って延びる左延出部42b、右延出部42cを有している。左延出部42bは、マグネット板40の左端部40b側に位置して、上延出部42aから下方に向けて延びている。一方、右延出部42cは、マグネット板40の右端部40c側に位置して、上延出部42aから下方に向けて延びている。
【0034】
本実施形態では、左延出部42bと右延出部42cとは、上延出部42aからマグネット板40の下端部40dまで延びている。すなわち、非接着部42は、上延出部42a、左延出部42b、および右延出部42cによりコ字状となっている。なお、左延出部42bと右延出部42cとは、上延出部42aから下方向の途中部位まで延びていてもよい。
【0035】
左延出部42bと右延出部42cとの左右方向の長さL5は、マグネット板40の大きさ、形状、磁力、および本体部20に係る力F1の大きさなどを考慮して、実験、シミュレーションなどにより設定することができる。一例を挙げると、左延出部42bと右延出部42cとの左右方向の長さL5は、左右合計で例えばマグネット板40の左右方向の長さL6の10%~30%程度、好ましくは、20%程度(左延出部42bと右延出部42cとのそれぞれの長さL5が長さL6の10%程度)とすることができる。
【0036】
接着部44は、マグネット板40が本体部20の背面部24に接着される部分となっている。接着部44は、非接着部42を有するマグネット板40の端部とは異なる他の端部の少なくとも一部に形成されている。具体的には、接着部44は、非接着部42よりもマグネット板40の内側に位置する内側部44aと、非接着部42を有するマグネット板40の端部(例えば、上端部40a)とは異なる他の端部(例えば、下端部40d)に向けて延びる外側部44bと、を有している。
【0037】
本実施形態では、外側部44bは、左延出部42bと右延出部42cとの間でマグネット板40の下端部40dに沿って延びている。外側部44bは、本体部20を壁面3から取り外すときに、マグネット板40が壁面3から最初に剥がされる部分となっている。すなわち、
図3に示すように、本体部20を壁面3から取り外すときには、本体部20の収納部22を斜め上方に持ち上げる。これにより、マグネット板40は、壁面3に対して外側部44bから剥がされる。
【0038】
本実施形態による支持具10は、上述の如き構成を有するもので、次に支持具10による物品2の支持力と、壁面3に対する取り外しやすさとについて説明する。
【0039】
図2に示すように、本体部20は、マグネット板40の磁力F2により壁面3に磁着されている。本体部20は、収納部22に物品2が収納されているときには保持部22aに下方向の力F1が作用する。この力F1は、本体部20の上背面部25の上端側に、マグネット板40が壁面3から剥がれるような反時計回りのモーメントを発生させる。
【0040】
ここで、マグネット板40は、上端部40a側に非接着部42(上延出部42a)を有している。従って、マグネット板40には、接着層30の上端30aにマグネット板40が壁面3から離れる方向の力F3が作用する。この場合、
図2に示すように、例えば力F3が力F3に対向する磁力F2a以上の大きさでも、磁力F2aより上方に位置する非接着部42(上延出部42a)に磁力F2bが働いているので、マグネット板40の上端部40aが壁面3から剥がれるのを抑制できる。
【0041】
また、マグネット板40は、左右両端に非接着部42を構成する左延出部42bと右延出部42cとを有している。従って、マグネット板40は、左端部40b側では接着層30の左端30bにマグネット板40が壁面3から離れる方向の力が作用し、右端部40c側では接着層30の右端30cにマグネット板40が壁面3から離れる方向の力が作用する。一方、マグネット板40の下端部40dには、物品2から受ける力F1により壁面3に向けて作用する力が働くので、マグネット板40が下端部40dから剥がれることはない。
【0042】
すなわち、支持具10は、マグネット板40に非接着部42を有することで、マグネット板40が壁面3から剥がれる方向の力F3をマグネット板40の端部(上端部40a、左端部40b、および右端部40c)に作用しないようにしている。換言すると、支持具10は、マグネット板40が壁面3から離れる方向の力F3をマグネット板40の内部に作用させている。これにより、支持具10は、非接着部42の磁力F2bにより、物品2の支持力を高めることができる。
【0043】
なお、左延出部42bと右延出部42cとは、上延出部42aから下方向の途中部位まで延びていてもよいが、マグネット板40の下端部40dまで延びていることで、支持力が顕著に高くなる。このため、左延出部42bと右延出部42cとは、マグネット板40の下端部40dまで延びていることが好ましい。
【0044】
次に、支持具10を壁面3から取り外す場合について説明する。
図3に示すように、支持具10を壁面3から取り外すには、本体部20の収納部22を斜め上方に持ち上げる。この場合、マグネット板40は、接着部44の外側部44bがマグネット板40の下端部40dまで延びている。すなわち、接着層30の下端30dは、マグネット板40の下端部40dと同じ位置となっている。従って、マグネット板40の下端部40dには、壁面3から離れる方向の力F4が作用する。これにより、支持具10は、可及的に小さい力でマグネット板40の下端部40dを壁面3から剥がすことができる。すなわち、支持具10は、マグネット板40の端部側に位置する接着部44(外側部44b)側が支持具10を取り外すときに最初に壁面3から剥がされる部分となっている。
【0045】
図5は、第1変形例による支持具のマグネット板の接着状態を示す背面図である。
なお、上述した実施形態では、マグネット板40の非接着部42を上延出部42a、左延出部42b、および右延出部42cとした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図5に示す第1変形例のように、本体部50に接着されるマグネット板51は、非接着部52を上延出部52aのみとしていてもよい。この場合、本体部50が物品から受ける力の方向は下方向であり、上延出部52aにより本体部50の支持力を高めることができる。一方、マグネット板51の下端側および左右両端側を壁面に対して斜めに引っ張ることにより、マグネット板51を壁面から簡単に剥がすことができる。
【0046】
図6は、第2変形例による支持具のマグネット板の接着状態を示す背面図である。
また、例えば
図6に示す第2変形例のように、本体部60に接着されるマグネット板61は、非接着部62を左右両端側の少なくとも一方に設けてもよい。この場合、本体部60が物品から受ける力の方向は左右方向である。すなわち、本体部60が物品により左側方に力を受ける場合には、マグネット板61の右端部61aに沿って延びる非接着部62aを形成する。一方、本体部60が物品により右側方に力を受ける場合には、マグネット板61の左端部61bに沿って延びる非接着部62bを形成する。そして、マグネット板61の接着部63をマグネット板61の上端部61cおよび下端部61dまで延ばす。これにより、マグネット板61の上端部61cおよび下端部61dを壁面に対して斜めに引っ張ることにより、マグネット板61を壁面から簡単に剥がすことができる。
【0047】
図7は、第3変形例による支持具のマグネット板の接着状態を示す背面図である。
また、上述した実施形態では、マグネット板40が矩形状に形成された場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図7に示す第3変形例のように、本体部70に接着されるマグネット板71は、円形状に形成されていてもよい。この場合、例えば本体部70が上方向から下方向への力を物品から受ける場合には、マグネット板71の中心線C-Cよりも上方に位置する上端部71aに沿って周方向に延びる非接着部72を形成することができる。そして、接着部73をマグネット板71の内側に位置する内側部73aと、内側部73aからマグネット板71の下端部71bにまで延びる外側部73bと、により形成することができる。また、マグネット板は、矩形状、円形状に限らず、多角形状や楕円形状などでもよい。
【0048】
また、上述した実施形態では、支持具10の本体部20を棚部材とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば支持具は、本体部を物品を引っ掛けることができるフック、タオルを掛けることができるタオル掛け、およびシャワーヘッドを掛けるためのシャワーハンガーなど、磁着により壁面に着脱可能なものとすることができる。
【0049】
また、上述した実施形態では、本体部20とマグネット板40とが接着層30によって接着される場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、本体部とマグネット板は溶着によって繋ぎ合わせてもよく、インサート成形によって一体的に形成してもよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、支持具10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0051】
2 物品、 3 壁面、 10 支持具、 20 本体部、 22 収納部、 22a 保持部、 22b 側壁部、 24 背面部、 24a 裏面、 25 上背面部、 26 下背面部、 30 接着層、 30a 上端、 30b 左端、 30c 右端、 40 マグネット板、 40a 上端部、 40b 左端部、 40c 右端部、 40d 下端部、 42 非接着部、 42a 上延出部、 42b 左延出部、 42c 右延出部、 44 接着部、 44a 内側部、 44b 外側部、 50 本体部、 51 マグネット板、 52 非接着部、 52a 上延出部、 60 本体部、 61 マグネット板、 61a 右端部、 61b 左端部、 61c 上端部、 61d 下端部、 62 非接着部、 62a 非接着部、 62b 非接着部、 63 接着部、 70 本体部、 71 マグネット板、 71a 上端部、 71b 下端部、 72 非接着部、 73 接着部、 73a 内側部、 73b 外側部