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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】画像形成装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240611BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G03G15/08 366
G03G15/08 310
G03G15/00 303
G03G15/08 321B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020039819
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021140105
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河田 真典
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-223795(JP,A)
【文献】特開2016-133677(JP,A)
【文献】特開2018-91958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを含む現像剤を収容する収容室と、
前記収容室の現像剤を攪拌する攪拌手段と、
前記収容室の所定箇所における前記トナーの濃度を検出する検出手段と、
前記トナーを前記収容室に補給する補給手段と、
前記補給手段にトナーを補給させ、かつ前記攪拌手段に攪拌を行わせる制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記補給手段によって所定量の前記トナーが供給され、かつ前記攪拌手段によって第1の攪拌が行われた場合に、前記濃度が予め定められた値以上にならないときには、前記収容室の現像剤を前記収容室内で流動させる制御を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記画像形成装置における画像形成動作をさらに制御し、
前記収容室の現像剤を前記収容室内で流動させるときには、前記画像形成動作を停止させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記収容室の現像剤を前記収容室内で流動させるときには、前記補給手段による前記トナーの補給を停止させる、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記攪拌手段による第2の攪拌によって、前記収容室の現像剤を前記収容室内で流動させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2の攪拌が実行されているときに、前記収容室から前記トナーを強制的に排出させる制御を実行する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の攪拌は、第1の攪拌速度での攪拌と、第2の攪拌速度での攪拌とを含む、請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記収容室を振動させる振動手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記振動手段に前記収容室を振動させることによって、前記収容室の現像剤を前記収容室内で流動させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記収容室を振動させる振動手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記振動手段に前記収容室を振動させることと、前記攪拌手段による第2の攪拌とによって、前記収容室の現像剤を前記収容室内で流動させる、請求項4から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された濃度、前記画像形成装置の周囲の環境を示す環境情報、および前記画像形成装置の稼働実績を示す稼働情報のいずれか1つに基づいて、前記第2の攪拌の攪拌時間の長さを決定する、請求項4から6、8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記環境情報は、温度と湿度との情報を含み、
前記制御手段は、前記温度が第1の温度であり、かつ前記湿度が第1の湿度である場合には、前記温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度であり、かつ前記湿度が前記第1の湿度よりも低い第2の湿度である場合よりも、前記第2の攪拌の攪拌時間を長くする、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記環境情報は、温度と湿度との情報を含み、
前記制御手段は、前記温度が第1の温度であり、かつ前記湿度が第1の湿度である場合には、前記温度が前記第1の温度よりも高い第2の温度であり、かつ前記湿度が前記第1の湿度よりも高い第2の湿度である場合よりも、前記第2の攪拌の攪拌時間を長くする、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記環境情報は、温度の情報を含み、
前記制御手段は、前記温度が第1の基準温度以上、または前記温度が前記第1の基準温度未満の第2の基準温度以下になると、前記第2の攪拌の攪拌時間を長くする、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記環境情報は、湿度の情報を含み、
前記制御手段は、前記湿度が第1の基準湿度以上、または前記湿度が前記第1の基準湿度未満の第2の基準湿度以下になると、前記第2の攪拌の攪拌時間を長くする、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記稼働情報は、前記画像形成装置の印字枚数の情報を含み、
前記制御手段は、前記印字枚数が多くなるほど、前記第2の攪拌の攪拌時間を長くする、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記稼働情報は、前記画像形成装置の駆動時間の情報を含み、
前記制御手段は、前記駆動時間が長くなるほど、前記第2の攪拌の攪拌時間を長くする、請求項9または14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記検出手段で検出された前記濃度と、前記予め定められた値との差分が大きいほど、前記第2の攪拌の攪拌時間を長くする、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項17】
トナーを含む現像剤を収容する収容室を備えた画像形成装置の制御方法であって、
前記収容室の現像剤を攪拌するステップと、
前記収容室の所定箇所における前記トナーの濃度を検出するステップと、
前記トナーを前記収容室に補給するステップと、
所定量の前記トナーが供給され、かつ前記攪拌が行われた場合に、前記濃度が予め定められた値以上にならないことを条件に、前記収容室の現像剤を前記収容室内で流動させるステップとを備える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および特許文献2に示すように、トナーとキャリアとを含む現像剤(二成分現像剤)を用いて像担持体に画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
上記の現像剤は、現像器の現像槽に収容されている。現像剤は、現像槽内で攪拌かつ搬送(循環)される。現像槽内のセンサーによって、現像剤中のトナーの濃度(以下、「トナー濃度」とも称する)が測定される。トナー濃度が適正値になるように、トナーホッパーから現像槽内にトナーが補給される。上記センサーとしては、典型的には、透磁率センサーが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-154001号公報
【文献】特開平09-305015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像形成装置の省スペース化および低コスト化が進んでいる。このため、画像形成装置内の現像器を構成する部品も、小型化および低コスト化が求められている。
【0006】
現像器の部品の小型化等が進められると、現像器の現像槽内の短い区間(循環路)において、少ない現像剤を攪拌および循環させる必要がある。さらに低い印字率、低湿な動作環境、または連続印字枚数の増加に伴う帯電量の上昇によって、キャリアとトナーとの静電的な吸着力が増す。その結果、現像槽に新たに補給されたトナー(以下、「新規トナー」とも称する)が、補給前から現像槽内に存在していた現像剤に取り込まれにくくなる。
【0007】
また、現像槽内のトナー濃度は、典型的には、検出部としての透磁率センサーによって計測される。透磁率センサーの測定精度を高めるためには、透磁率センサーの検知域の搬送力を落として現像剤をある程度パッキングする(固める)必要がある。このため、透磁率センサーによってトナーの濃度が検知される領域(以下、「検知域」とも称する)では、他の場所に比べて現像剤の単位時間当たりの動きを少なくしている。その結果、検知域付近で現像剤の一部が滞留してしまい、滞留している現像剤に新規トナーが混ざりにくくなる。
【0008】
それゆえ、透磁率センサー付近のトナー濃度が、現像槽内の他の場所のトナー濃度よりも低くなる現象が発生する。また、上記のように透磁率センサー付近の現像剤にはトナーが取り込まれにくいため、現像槽内に新規トナーの補給が行われても透磁率センサー付近のトナー濃度は、かわらず低い値を示す。
【0009】
このような現象により、様々な不具合が発生する。たとえば、透磁率センサーによって測定されるトナー濃度が適正値になるように、トナーの補給量が繰り返される。その結果、トナーの過補給となってしまう。これにより、現像器中のトナー濃度が高くなり、かぶり、粉煙などの問題が発生する。
【0010】
特許文献1に開示された現像器は、透磁率センサーの検知面をシートによって清掃することにより、現像剤の滞留を抑制する。しかしながら、当該構成では、シートがハウジングに物理的に接触すると現像剤が擦られてスペント(キャリアへのトナー成分付着)が発生し、トナー帯電不良となる可能性がある。このため、画像品質が劣化することもあり得る。
【0011】
特許文献2に開示された現像器は、現像槽の内壁面よりも攪拌部材の外周に近接する位置に透磁率センサーの検知面を設けることによって、透磁率センサー付近の現像剤滞留を抑制しようとしている。しかしながら、当該構成では、攪拌部材と検出面との間の距離(クリアランス)が狭いため、現像剤が擦られてスペントが発生しやすい。このため、特許文献1と同様に、画像品質が劣化することもあり得る。
【0012】
本開示は、トナーを収容する収容室(現像槽)内のトナーの濃度を検出する検出部(センサー)付近のトナー濃度が収容室内の他の場所のトナー濃度よりも低くなる現象が発生した場合に、当該現象を解消可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示のある局面に従うと、画像形成装置は、トナーを含む現像剤を収容する収容室と、収容室の現像剤を攪拌する攪拌手段と、収容室の所定箇所におけるトナーの濃度を検出する検出手段と、トナーを収容室に補給する補給手段と、補給手段にトナーを補給させ、かつ攪拌手段に攪拌を行わせる制御手段とを備える。制御手段は、補給手段によって所定量のトナーが供給され、かつ攪拌手段によって第1の攪拌が行われた場合に、濃度が予め定められた値以上にならないときには、収容室の現像剤を収容室内で流動させる制御を実行する。
【0014】
好ましくは、制御手段は、画像形成装置における画像形成動作をさらに制御する。制御手段は、収容室の現像剤を収容室内で流動させるときには、画像形成動作を停止させる。
【0015】
好ましくは、制御手段は、収容室の現像剤を収容室内で流動させるときには、補給手段によるトナーの補給を停止させる。
【0016】
好ましくは、制御手段は、攪拌手段による第2の攪拌によって、収容室の現像剤を収容室内で流動させる。
【0017】
好ましくは、制御手段は、第2の攪拌が実行されているときに、収容室からトナーを強制的に排出させる制御を実行する。
【0018】
好ましくは、第2の攪拌は、第1の攪拌速度での攪拌と、第2の攪拌速度での攪拌とを含む。
【0019】
好ましくは、画像形成装置は、収容室を振動させる振動手段をさらに備える。制御手段は、振動手段に収容室を振動させることによって、収容室の現像剤を収容室内で流動させる。
【0020】
好ましくは、画像形成装置は、収容室を振動させる振動手段をさらに備える。制御手段は、振動手段に収容室を振動させることと、攪拌手段による第2の攪拌とによって、収容室の現像剤を収容室内で流動させる。
【0021】
好ましくは、制御手段は、検出手段によって検出された濃度、画像形成装置の周囲の環境を示す環境情報、および画像形成装置の稼働実績を示す稼働情報のいずれか1つに基づいて、第2の攪拌の攪拌時間の長さを決定する。
【0022】
好ましくは、環境情報は、温度の情報を含む。制御手段は、温度が第1の温度であり、かつ湿度が第1の湿度である場合には、温度が第1の温度よりも低い第2の温度であり、かつ湿度が第1の湿度よりも低い第2の湿度である場合よりも、第2の攪拌の攪拌時間を長くする。
【0023】
好ましくは、環境情報は、温度の情報を含む。制御手段は、温度が第1の温度であり、かつ湿度が第1の湿度である場合には、温度が第1の温度よりも高い第2の温度であり、かつ湿度が第1の湿度よりも高い第2の湿度である場合よりも、第2の攪拌の攪拌時間を長くする。
【0024】
好ましくは、環境情報は、温度の情報を含む。制御手段は、温度が第1の基準温度以上、または温度が第1の基準温度未満の第2の基準温度以下になると、第2の攪拌の攪拌時間を長くする。
【0025】
好ましくは、環境情報は、湿度の情報を含む。制御手段は、湿度が第1の基準湿度以上、または湿度が第1の基準湿度未満の第2の基準湿度以下になると、第2の攪拌の攪拌時間を長くする。
【0026】
好ましくは、稼働情報は、画像形成装置の印字枚数の情報を含む。制御手段は、印字枚数が多くなるほど、第2の攪拌の攪拌時間を長くする。
【0027】
好ましくは、稼働情報は、画像形成装置の駆動時間の情報を含む。制御手段は、駆動時間が長くなるほど、第2の攪拌の攪拌時間を長くする。
【0028】
好ましくは、制御手段は、検出手段で検出された濃度と、予め定められた値との差分が大きいほど、第2の攪拌の攪拌時間を長くする。
【0029】
本開示の他の局面に従うと、制御方法は、トナーを含む現像剤を収容する収容室を備えた画像形成装置で実行される。制御方法は、収容室の現像剤を攪拌するステップと、収容室の所定箇所におけるトナーの濃度を検出するステップと、トナーを収容室に補給するステップと、所定量のトナーが供給され、かつ攪拌が行われた場合に、濃度が予め定められた値以上にならないことを条件に、収容室の現像剤を収容室内で流動させるステップとを備える。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、トナーを収容する収容室内のトナーの濃度を検出するトナー濃度検出部付近のトナー濃度が収容室内の他の場所のトナー濃度よりも低くなる現象が発生した場合に、当該現象を解消可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】画像形成装置の全体構成の概要を表した図である。
図2】現像部の典型的な構成を示す横断面図である。
図3図2のP-P線で切断した現像部の一部を分解して示す斜視図である。
図4図2のQ-Q線における矢視断面図である。
図5】検知域付近の壁面に現像剤の一部がへばりついて滞留している状態を表した模式図である。
図6】現像剤の2極化が発生したときの、透磁率センサーによって測定されたトナー濃度と、現像ローラー上のトナー濃度と、現像部内へのトナー補給量との関係を示す図である。
図7】画像形成装置の制御部を説明するための模式図である。
図8】画像形成装置の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
図9】所定量のトナーを補給した後のトナー濃度の推移を表した図である。
図10】画像形成装置において実行される処理の流れを説明するためのフロー図である。
図11】温度と湿度と攪拌の追加時間との関係を示した図である。
図12】印字枚数と、追加する攪拌時間との関係を表した図である。
図13】トナー濃度の差分と、追加する攪拌時間との関係を表した図である。
図14】振動発生装置を説明するための図である。
図15図14の状態からカムがさらに回転した状態を表した図である。
図16】画像形成装置1の制御部を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施の各形態における画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0033】
また、画像形成装置は、モノクロプリンター、カラープリンターであってもよいし、FAXであってもよいし、モノクロプリンター、カラープリンターおよびFAXの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
【0034】
[実施の形態1]
<A.画像形成装置の全体構成>
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成の概要を表した図である。
【0035】
図1を参照して、画像形成装置1は、主として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の再現色に対応した作像部2Y,2M,2C,2Kと、中間転写部3と、給送部4と、定着部5とを備える。
【0036】
画像形成装置1は、ネットワーク(たとえば、LAN(Local Area Network))に接続され、外部の端末装置(図示せず)からプリントジョブの実行指示を受け付ける。画像形成装置1は、当該実行指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各トナー像を形成する。さらに、画像形成装置1は、形成された各トナー像を記録用のシートSへ転写して、カラー画像を形成する。また、画像形成装置1は、ブラック(K)のトナー像のみのモノクロ画像の形成を選択的に実行することもできる。
【0037】
作像部2Y,2M,2C,2Kは、この順に中間転写部3の中間転写ベルト15の走行方向(矢印B方向)に沿って並置されている。
【0038】
作像部2Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム10Kと、帯電部11Kと、現像部13Kと、クリーナー14Kとを備える。作像部2Kは、感光体ドラム10K上にK色のトナー像を作像する。作像部2Y,2M,2Cは、作像部2Kと基本的に同様の構成を有する。作像部2Y,2M,2Cは、感光体ドラム10Y,10M,10Cと、帯電部11Y,11M,11Cと、現像部13Y,13M,13Cと、クリーナー14Y,14M,14Cとを備える。作像部2Y,2M,2Cは、感光体ドラム10Y,10M,10C上にY,M,C色のトナー像を作像する。
【0039】
現像部13Y,13M,13C,13Kの具体的な構成については、後述する。
中間転写部3は、作像部2Y,2M,2C,2Kよりも上に配置される中間転写ベルト15を備える。中間転写部3は、さらに、駆動ローラー16と、従動ローラー17と、一次転写ローラー18Y,18M,18C,18Kと、二次転写ローラー19と、クリーナー20とを備える。
【0040】
中間転写ベルト15は、駆動ローラー16と、従動ローラー17と、一次転写ローラー18Y,18M,18C,18Kとに張架されている。中間転写ベルト15は、矢印B方向に周回駆動される。
【0041】
一次転写ローラー18Y,18M,18C,18Kは、各々に対応する感光体ドラム10Y、10M,10C,10Kに中間転写ベルト15を介して対向配置されている。二次転写ローラー19は、中間転写ベルト15を介して駆動ローラー16に対向配置されている。二次転写ローラー19が中間転写ベルト15に接する位置19aが、二次転写位置となる。
【0042】
露光部12は、作像部2Y,2M,2C,2Kよりも下に位置する。露光部12は、主制御部51からの駆動信号によって、各色(Y,M,C,K)の画像形成のための光ビームLを発光素子から発する。
【0043】
作像部2Y,2M,2C,2K毎に、帯電部11Y,11M,11C,11Kによって帯電された感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kが露光部12から発せられた光ビームLにより露光走査される。これにより、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に静電潜像が形成される。静電潜像は、現像部13Y,13M,13C,13Kの現像剤(詳しくは、トナーとキャリアを含む二成分現像剤)によって現像され、その結果、対応する色のトナー像が感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成される。
【0044】
感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラー18Y,18M,18C,18Kの静電作用によって中間転写ベルト15に一次転写される。この際、各色の作像動作は、各色のトナー像が中間転写ベルト15上の同じ位置に重ね合わせて転写されるようにタイミングをずらして実行される。なお、一次転写の際に、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上のトナー像のうち、中間転写ベルト15に転写されずに感光体ドラム上に残った残留トナーは、クリーナー14Y,14M,14C,14Kによって除去される。
【0045】
中間転写ベルト15上に多重転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト15の周回走行により二次転写位置19aまで移動する。
【0046】
給送部4は、給紙カセット(図示せず)に収容された記録用のシートSを繰り出しローラー21で搬送路(破線)に繰り出す。給送部4は、停止中のタイミングローラー22までシートSを搬送する。
【0047】
タイミングローラー22は、周回する中間転写ベルト15上に多重転写された各色トナー像が二次転写位置19aに到達するタイミングに合わせて、回転を開始する。タイミングローラー22は、シートSを二次転写位置19aに搬送する。
【0048】
シートSが二次転写位置19aを通過する際に、中間転写ベルト15上に多重転写された各色のトナー像が二次転写ローラー19の静電作用によってシートS上に二次転写される。これにより、シートS上にカラートナー像が形成される。なお、二次転写の際に、中間転写ベルト15上のトナー像のうち、シートSに転写されずに中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の周回走行によりクリーナー20まで搬送される。残留トナーは、クリーナー20により中間転写ベルト15上から除去される。
【0049】
二次転写位置19aによってカラートナー像が二次転写されたシートSは、定着部5に搬送される。定着部5は、加熱ローラー5aと、加熱ローラー5aに圧接して定着ニップを形成する加圧ローラー5bとを有する。定着部5は、二次転写ローラー19により搬送されて来るシートSが定着ニップを通過する際に、シートS上のカラートナー像(未定着画像)を加熱および加圧により熱定着する。定着部5を通過したシートSは、排出ローラー23によって機外に排出され、その後、排紙トレイ24に収容される。
【0050】
上記においては、カラープリントの動作について説明したが、モノクロプリントでは、作像部2Kのみによるブラック色のトナー像の感光体ドラム10Kへの作像の後、感光体ドラム10Kから中間転写ベルト15への一次転写と、シートSへの二次転写と、シートSへの定着とが、この順に実行される。すなわち、帯電、露光、現像、転写、および定着の各プロセスが実行される。
【0051】
現像部13Y,13M,13C,13Kの直上には、各現像部13Y,13M,13C,13Kに補充用のトナーを供給するトナーホッパー7Y,7M,7C,7Kが配置されている。
【0052】
トナーホッパー7Yは、後述するトナー濃度制御部9Yから指示されるイエロー(Y)色のトナー補給量に応じて、補充用の新たなイエロー色のトナーを現像部13Yに供給する。他のトナーホッパー7M,7C,7Kについても、トナーホッパー7Yと基本的に同様の構成を有する。トナーホッパー7M,7C,7Kは、それぞれ対応する現像部13M、13C,13Kに補充用の新たなマゼンタ色,シアン色,ブラック色のトナーを供給する。
【0053】
現像部13Y,13M,13C,13Kの近傍には、トナー濃度制御部9Y,9M,9C,9Kが配置されている。トナー濃度制御部9Y,9M,9C,9Kは、トナーホッパー7Y,7M,7C,7Kから各現像部13Y,13M,13C,13Kに供給するトナー量を制御し、かつ各現像部13Y,13M,13C,13Kにおけるトナー濃度を一定に制御する。なお、以下では、現像部13Yと、トナー濃度制御部9Yを有する現像器制御部120Y(図8,9参照)とを合わせて「現像器6Y」とも称す。同様に、現像部13M、13C、13Kとトナー濃度制御部9M、9C、9Kとをそれぞれ合わせてマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色用の現像器6M,6C,6Bを構成する。なお、現像器は、現像装置とも称される。
【0054】
トナー濃度制御部9Yは、主制御部51から入力される画像信号および現像部13Yに設けられている透磁率センサー8Yの出力等に基づいて、現像部13Yに補充するトナーの補給量を決定し、決定された補給量のトナーをトナーホッパー7Yから供給させる。なお、他のトナー濃度制御部9M,9C,9Kについても、トナー濃度制御部9Yと基本的に同様の構成を有する。トナー濃度制御部9M,9C,9Kは、対応する現像部13M、13C,13Kに補充するトナーの補給量を制御する。
【0055】
以下、イエロー用の現像部13Yの構成を説明する。なお、現像部13M,13C13Kは、基本的に現像部13Yと同じ構成であるため、説明を繰り返さない。
【0056】
<B.現像部13Yの構成>
図2は、現像部13Yの典型的な構成を示す横断面図である。
【0057】
図2を参照して、現像部13Yは、主として、ハウジング30と、現像ローラー31と、供給スクリュー32と、攪拌スクリュー33と、規制部材34とを備える。ハウジング30と、現像ローラー31と、供給スクリュー32と、攪拌スクリュー33と、規制部材34との各々は、現像ローラー31の軸方向(紙面垂直方向)に沿って長尺状になっている。なお、当該軸方向は、感光体ドラム10Yの回転軸方向に平行である。以下、供給スクリュー32の位置を基準に上下方向を規定する。
【0058】
ハウジング30は、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)などの樹脂製である。ハウジング30の内部には、現像剤D(二成分現像剤)が収容されている。ハウジング30は、隔壁(仕切り)37を介して区画されている第1収容室38と第2収容室39とを有する。同図ではハウジング30内の現像剤Dのうち第2収容室39に存する一部を代表して示している。第1収容室38と第2収容室39とを合わせて、「現像槽」とも称する。
【0059】
第1収容室38には、現像ローラー31と、供給スクリュー32とが収容される。第2収容室39には、攪拌スクリュー33が収容されている。
【0060】
現像ローラー31の斜め下方に供給スクリュー32が配置される。供給スクリュー32の斜め下方に攪拌スクリュー33が配置される。また、第1収容室38と第2収容室39とを仕切る隔壁37が、鉛直方向に対して傾斜した姿勢で立設されている。隔壁37を挟んで第1収容室38の斜め下方に第2収容室39が配置されている。
【0061】
現像ローラー31は、円筒形の現像スリーブ31aと、マグネット体31bとを備える。現像ローラー31は、供給スクリュー32の位置する側とは反対側の部分が第1収容室38の、感光体ドラム10Yに対向する位置に設けられた開口部から外に出ている。現像スリーブ31aの内部に、軸方向に沿って挿通される円柱状のマグネット体31bが設けられている。
【0062】
マグネット体31bは、複数の磁極(たとえば、S1、N1・・の形成された部分)が周方向に順に並ぶように設けられている。マグネット体31bは、回転不可となるように軸方向の端部がハウジング30に固定されている。各磁極は、軸方向に沿って延在されている。
【0063】
現像スリーブ31aは、ハウジング30の開口部を介して感光体ドラム10Yと対向する部分が開口部から露出した状態で矢印E方向に回転する。現像スリーブ31aは、静止しているマグネット体31b周りを、マグネット体31bの磁力により表面に現像剤Dを保持(担持)しつつ回転する。
【0064】
供給スクリュー32は、図の矢印F方向に回転することにより、第1収容室38内の現像剤Dを軸方向に沿って搬送しつつ、当該搬送中に現像剤Dの一部を現像ローラー31に供給する。
【0065】
攪拌スクリュー33は、矢印G方向に回転することにより、第2収容室39内の現像剤Dを供給スクリュー32による搬送方向とは反対の方向に攪拌しつつ搬送する。
【0066】
規制部材34は、規制部材34の先端が現像ローラー31の表面との間に所定の間隙を有するように配置される。規制部材34は、感光体ドラム10Yと現像ローラー31とが対向する現像位置29において、現像ローラー31の表面上の現像剤量が適切な量になるように、上記間隙を通る現像剤Dの量を規制する。
【0067】
図3は、図2のP-P線で切断した現像部13Yの一部を分解して示す斜視図である。
図3を参照して、以下では、供給スクリュー32と攪拌スクリュー33との並ぶ方向を「X軸方向」とする。現像ローラー31の軸方向を「Z軸方向」とする。X軸とZ軸の双方に直交する方向を「Y軸方向」とする。
【0068】
図3に示すように、ハウジング30に設けられている第1収容室38と第2収容室39とは、軸方向(Z軸方向)に沿って長尺で筒状に形成されている。第1収容室38と第2収容室39とは、隔壁37により仕切られている。第1収容室38と第2収容室39とは、隔壁37の軸方向一方端側に設けられた連通孔37aと、他方端側に設けられた連通孔37bとをそれぞれ介して、相互に連通する構成になっている。
【0069】
供給スクリュー32は、回転軸(軸体)32aと、回転軸32aの外周面に沿って螺旋状に設けられてなるスクリュー羽根32bとを有する。
【0070】
回転軸32aは、軸方向両端部が第1収容室38の軸方向両側壁に軸受部材(不図示)などを介して回転自在に支持される。回転軸32aは、左端側の軸部分32zが側壁の外に延出されている。回転軸32aは、回転軸32aの軸部分32zにギア(不図示)が取着されている。回転軸32aは、ギアからの回転駆動力により矢印F方向に回転駆動される。
【0071】
回転軸32aの外周面に設けられたスクリュー羽根32bは、回転軸32aの回転により第1収容室38内の現像剤Dに搬送方向(矢印T1方向)の搬送力を付与する。
【0072】
スクリュー羽根33bは、回転軸33aの外周面に設けられている。スクリュー羽根33bは、回転軸33aの回転により第2収容室39内の現像剤Dに搬送方向(矢印T1とは逆方向の矢印T2方向)の搬送力を付与する。
【0073】
供給スクリュー32と攪拌スクリュー33とは、たとえば鉄、アルミ等の金属またはABSなどの樹脂からなる。供給スクリュー32と攪拌スクリュー33とは、たとえば、回転軸の径が5mm、スクリュー羽根の外径が12mm、ピッチが25mmになっている。
【0074】
なお、第1収容室38と第2収容室39との各々では、現像剤Dの嵩高さ(液面高さ)が供給スクリュー32の回転軸32a、攪拌スクリュー33の33aよりも少し上になる位置になっている。また、図3において第2収容室39の右端に示す破線39aは、トナーホッパー7Yから新たに供給される補充用のY色トナーを受け入れる受入口を示している。
【0075】
次に、現像剤の流れ(流動)を説明する。
現像ローラー31と、供給スクリュー32と、攪拌スクリュー33との各々が、回転駆動することにより、ハウジング30内の現像剤Dが図3に示す矢印の方向に搬送される。
【0076】
具体的には、第1収容室38内の現像剤Dは、供給スクリュー32により矢印T1方向(同図の右方向)に搬送される。現像剤Dが、現像剤搬送方向下流側の端部まで搬送されると、重力の作用により、隔壁37の連通孔37bを介して、第1収容室38よりも斜め下方に位置する第2収容室39に落下する。これにより、第1収容室38内の現像剤Dが隔壁37の連通孔37bを通じて矢印T3方向に第2収容室39に搬送される。
【0077】
第2収容室39に搬送された現像剤Dは、攪拌スクリュー33により矢印T2方向(同図の左方向)に攪拌されつつ搬送される。なお、第2収容室39において現像剤搬送方向上流側の端部には、受入口39aを介してトナーホッパー7Yから新たな補充用のY色のトナーが供給される。このため、第2収容室39内に既に存していた現像剤Dと、新たに供給された新規トナー(補充されたトナー)とは、混合されつつ、攪拌スクリュー33により攪拌搬送される。
【0078】
第2収容室39を搬送中の現像剤Dが現像剤搬送方向の下流端であるハウジング30の側壁30zまで搬送されると、現像剤Dは、第1収容室38に搬送される。詳しくは、現像剤Dは、隔壁37の連通孔37aを通じて矢印T4方向に搬送される。より詳しくは、現像剤Dは、第2収容室39の下流端部分39zに溜まりつつ、重力に逆らって、第2収容室39よりも斜め上方に位置する第1収容室38に搬送される。
【0079】
第2収容室39から連通孔37aを通じて第1収容室38に搬送された現像剤Dは、供給スクリュー32によって、矢印T1方向に搬送される。
【0080】
このように、第1収容室38における現像剤搬送方向の下流側と、第2収容室39における現像剤搬送方向の上流側とが、連通孔37bで連通している。さらに、第2収容室39における現像剤搬送方向の下流側と、第1収容室38における現像剤搬送方向の上流側とが、連通孔37aで連通している。それゆえ、供給スクリュー32により現像剤Dが搬送される第1搬送路98と、攪拌スクリュー33により現像剤Dが搬送される第2搬送路99とが、連通孔37a、37b(第1、第2連通路)を介して連通する。これにより、ハウジング30内に現像剤Dの循環路(現像剤Dが矢印T1、T3、T2、T4の順に搬送される経路)が形成される。現像剤Dは、当該循環路を循環搬送される。
【0081】
循環路上において第1収容室38内を供給スクリュー32により現像剤Dが搬送される際に、現像剤Dの一部が、供給スクリュー32に隣接配置されている現像ローラー31に供給される。現像ローラー31に供給された現像剤Dは、感光体ドラム10Y上の静電潜像をトナーで顕像化するのに用いられる。
【0082】
<C.現像剤の2極化>
図4は、図2のQ-Q線における矢視断面図である。
【0083】
図4を参照して、ハウジング30内の第2収容室39には、現像剤Dを攪拌搬送させる攪拌スクリュー33が収容されている。攪拌スクリュー33は、上述したように、回転軸33aと、回転軸33aの外周面に沿って螺旋状に設けられてなるスクリュー羽根33bとを有する。
【0084】
回転軸33aは、軸方向両端部が第2収容室39の軸方向両側壁に軸受部材(図示せず)などを介して回転自在に支持されている。回転軸33aは、左端側の軸部分33zが側壁の外に延出されている。回転軸33aは、軸部分33zにギア(不図示)が取着され、かつ、当該ギアからの回転駆動力により回転駆動される。
【0085】
回転軸33aの外周面に設けられたスクリュー羽根33bは、回転軸33aの回転により第2収容室39内の現像剤に搬送方向(矢印T2A、T2B方向)の搬送力を付与する。第2収容室39の底部には、透磁率センサー8Yが備えられている。透磁率センサー8Yは、検知域81内の現像剤Dの透磁率を計測する。
【0086】
攪拌スクリュー33は、透磁率センサー8Yの検知域81付近においてスクリュー羽根33bがない構成になっている。透磁率センサー8Yの検知域81付近において現像剤Dに付与される搬送力(矢印T2B付近での搬送力)は、スクリュー羽根33bの存在する箇所において、現像剤Dに付与される搬送力(矢印T2A付近での搬送力)よりも小さくなっている。このように透磁率センサー8Yの検知域81付近で搬送力を落とすことにより、透磁率センサー8Yの測定精度を向上させている。
【0087】
画像形成装置1では、現像部13Y内の現像剤Dの循環路(経路)で現像剤Dを攪拌させる必要がある。画像形成装置1を小型化するほど、現像剤Dの循環路が短くなる。この欠点を補うために、攪拌スクリュー33の回転量を大きくすると、摩擦帯電により、現像剤Dの帯電量が高くなってしまう。また、低湿環境や低印字率で連続印字枚数が増加する等の条件により、現像剤Dの帯電量がさらに大きくなる。
【0088】
現像剤Dの帯電量が大きくなると、現像剤Dの流動性が低下する。また、第2収容室39に新たに補給された新規トナーが、補給前から第2収容室39に存在していた現像剤Dに取り込まれにくくなる。
【0089】
透磁率センサー8Yの検知域81付近において現像剤Dの搬送力が落とされていること、および、現像剤Dの帯電量が大きくなって流動性が低下することにより、透磁率センサー8Yの検知域81付近の壁面に現像剤Dの一部がへばりついて滞留することが生じ易くなる。
【0090】
図5は、検知域81付近の壁面に現像剤Dの一部がへばりついて滞留している状態を表した模式図である。
【0091】
図5を参照して、現像剤Dの一部の滞留が生じると、透磁率センサー8Yの検知域81付近に滞留して攪拌搬送されない現像剤82と、通常通り攪拌搬送される現像剤83とに現像剤Dが分離した状態になってしまう。このような状態で、透磁率センサー8Yによってトナー濃度が低いと検出されると、トナーホッパー7Yからトナーが第2収容室39に補給される。
【0092】
補給されたばかりの新規トナーは帯電量が低く流動性が高いという性質があるため、新規トナーは、滞留している現像剤82には取り込まれ難い。それゆえ、検知域81付近は、現像剤82のトナー濃度が低いままとなる。
【0093】
現像剤83のトナー濃度が実際には目標値まで上昇していても、第2収容室39へのトナー補給が継続されてしまう。その結果、現像剤83のトナー濃度が目標値よりも高くなり、トナー過補給という状況が起こる。
【0094】
以下では、透磁率センサー8Yの検知域81付近に一部の現像剤82が滞留し、検知域81付近のトナー濃度と、検知域81付近以外のトナー濃度とが異なる状況に陥ってしまうことを、説明の便宜上、「現像剤の2極化」とも称する。なお、現像剤の2極化は、現像部13Yと同様に、現像部13M,13C,13Kでも起こり得る。
【0095】
図6は、現像剤の2極化が発生したときの、透磁率センサー8Yによって測定されたトナー濃度(現像剤82のトナー濃度に相当)と、現像ローラー31上のトナー濃度(現像剤83のトナー濃度に相当)と、現像部13Y内へのトナー補給量との関係を示す図である。
【0096】
図6を参照して、時刻tdより後に、トナー補給量が上昇しても、透磁率センサー8Yによって測定されたトナー濃度(透磁率センサー測定値)は、目標トナー濃度よりも低いままである。現像ローラー31上のトナー濃度が目標トナー濃度を超えて上昇し続けるトナー過補給に陥っている。
【0097】
<D.機能的構成>
図7は、画像形成装置1の制御部を説明するための模式図である。
【0098】
図7を参照して、画像形成装置1の各部を動作させる制御部100(コントローラー)は、主制御部51と、イエロー用の現像器制御部120Yと、マゼンタ用の現像器制御部120Mと、シアン用の現像器制御部120Cと、ブラック用の現像器制御部120Bとを含む。主制御部51は、現像器6Y,6M,6C,6B以外の部材の動作を制御する。主制御部51が、複数の制御部によって構成されてもよい。
【0099】
主制御部51は、典型的には、CPU等のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。主制御部51は、ASIC等のハードウェアにより実現されてもよい。また、現像器制御部120Y,120M,120C,120Bの各々も、CPU等のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。現像器制御部120Y,120M,120C,120Bの各々は、ASIC等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0100】
なお、図7では、制御部100が複数の制御部によって構成された例を示したが、これに限定されない。1つの制御部(たとえば1つの制御基板)が画像形成装置1の全体を制御する構成としてもよい。
【0101】
図8は、画像形成装置1の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
図8を参照して、画像形成装置1は、主制御部51と、現像器6Y,6M,6C,6Bと、温度センサー182と、湿度センサー184と、トナー補給部130Y,130M,130C,130Kとを備える。なお、温度センサー182と湿度センサー184とを利用する制御方法については、後述する。
【0102】
現像器6Yは、現像器制御部120Yと、第2収容室39とを備える。現像器制御部120Yは、トナー濃度制御部9Yと、判定部122とを含む。トナー濃度制御部9Yは、補給量算出部121を有する。第2収容室39は、トナー濃度検出部140と、攪拌部150とを含む。
【0103】
現像器制御部120Yは、現像器6Yの動作を制御する。トナー濃度制御部9Yは、現像器6Y内のトナー濃度を制御する。判定部122は、2極化が発生しているか否かを判断する。補給量算出部121は、トナーホッパー7Yから第2収容室39に補給するトナー量を算出する。
【0104】
トナー濃度検出部140は、透磁率センサー8Yに相当する。すなわち、トナー濃度検出部140は、検知域81内のトナー濃度を検出する。
【0105】
攪拌部150は、第2収容室39内の現像剤を攪拌する。攪拌部150は、現像剤を攪拌することにより、キャリアとトナーとを混ぜる。攪拌部150は、攪拌スクリュー33に相当する。
【0106】
トナー補給部130Yは、第2収容室39にトナーを供給する。詳しくは、トナー補給部130Yは、現像器制御部120Yからの指示基づき、トナーを補給する。ある局面において、トナー補給部130Yは、トナー濃度制御部9Yからの指示基づき、補給量算出部121で算出された量のトナーを補給する。トナー補給部130Yは、トナーホッパー7Yに相当する。
【0107】
以下では、2極化が発生していることを検知する方法と、発生した2極化を解消する方法を説明する。以下においても、イエロー用の現像器6Yを例に挙げて説明することにより、他の現像器6M,6C,6Kについての重複する説明を繰り返さない。
【0108】
(2極化の検知方法)
判定部122は、現像部13Yのトナー濃度を目標トナー濃度(以下、「目標値J」と称する)まで上昇させるために十分な量(以下、「所定量」とも称する)をトナーホッパー7Yから第2収容室39に補給したにもかかわらず、所定時間Ta経過しても、透磁率センサー8Yに基づくトナー濃度が目標値Jまで上昇しない場合に、現像剤の2極化が発生していると判断する。以下、2極化の検知方法について、詳しく説明する。
【0109】
トナー濃度制御部9Yは、上記所定量のトナーを補給するようにトナー補給部130Yに指示する。トナー濃度制御部9Yは、たとえば、当該所定量のトナーとして、現像部13Y内の現像剤重量の0.5%の量のトナーを補給するように、トナー補給部130Yに指示する。補給量算出部121は、現像部13Y内の現像剤重量を算出する。補給量算出部121は、たとえば、現像部13Yの底面から現像剤の液面までの高さを光学センサーなどで検出することで得られる現像剤の体積に基づき、現像剤重量を算出する。
【0110】
トナー濃度制御部9Yは、トナー補給部130Yから補給された補給量に基づいて、当該補給量に基づくトナー濃度の目標値Jを算出する。トナー濃度制御部9Yは、現在の現像部13Yの現像剤重量および透磁率センサー8Yの測定結果に基づいて算出されたトナー濃度に基づき、現像剤重量の0.5%の量のトナーを補給した後のトナー濃度を算出する。トナー濃度制御部9Yは、算出されたトナー濃度を目標値Jとする。
【0111】
判定部122は、上記所定量のトナーを補給した後所定時間Ta以内に透磁率センサー8Yの測定結果に基づくトナー濃度が目標値Jまで上昇したか否かを判定する。判定部122は、たとえば、現像部13Yの現像剤の循環路(図3の矢印T1,T3,T2,T4の順に搬送される経路)を2周する程度の時間(ここでは、たとえば20秒)以内に、透磁率センサー8Yに基づくトナー濃度が目標値Jまで上昇したか否かを判定する。
【0112】
トナー濃度検出部140による検出結果(トナー濃度)が、上記所定時間Ta以内に目標値Jまで上昇した場合、判定部122は、現像剤の2極化が発生していないと判定する。トナー濃度検出部140による検出結果が、上記所定時間Ta以内に目標値Jまで上昇しない場合、判定部122は、現像剤の2極化が発生していると判定する。このように、画像形成装置1では、現像剤の2極化を判定することができる。
【0113】
図9は、ある局面において、所定量のトナーを補給した後のトナー濃度の推移を表した図である。
【0114】
図9を参照して、現像部13Yの現像剤の循環路を2周する程度の時間(20秒)を経過しても、トナー濃度検出部140による検出結果が、目標値を超えていない。したがって、このような場合には、判定部122は、現像剤の2極化が発生していると判定する。
【0115】
(2極化の解消方法)
次に、2極化が発生した場合において、当該2極化を解消する処理について説明する。
【0116】
(1)現像器制御部120Yは、トナー補給部130Yによって所定量のトナーが第2収容室39に供給され、かつ攪拌部150によって攪拌(以下、「攪拌#1」とも称する)が所定時間Ta(たとえば20秒)行われた場合に、トナー濃度が目標値J(予め定められた値)以上にならないときには、第2収容室39の現像剤を第2収容室39内で流動させる制御を実行する。すなわち、現像器制御部120Yは、現像剤の2極化が発生したと判定された場合に、第2収容室39の現像剤を第2収容室39内で流動させる制御を実行する。
【0117】
このような処理により、透磁率センサー8Y(トナー濃度検出部140)付近の現像剤82(図5参照)を流動させることができる。したがって、透磁率センサー8Y(トナー濃度検出部140)付近のトナー濃度が第2収容室39内の他の場所のトナー濃度よりも低くなる現象(2極化)が発生した場合に、当該現象を解消することが可能となる。
【0118】
(2)主制御部51は、画像形成装置における画像形成動作を制御する。さらに、主制御部51は、第2収容室39の現像剤を第2収容室39内で流動させるときには、画像形成動作を停止させる。
【0119】
また、現像器制御部120Yは、第2収容室39の現像剤を第2収容室39内で流動させるときには、トナー補給部130Yによるトナーの補給を停止させる。これによれば、トナーのさらなる過補給を防止できる。
【0120】
本例では、現像器制御部120Yは、攪拌部150によるさらなる攪拌(以下、「攪拌#2」とも称する)によって、第2収容室39の現像剤を第2収容室39内で流動させる。実験を行ったところ、2極化が発生していると判定された後に、所定時間Tb(たとえば90秒間)にわたり、トナーの補給を停止した状態でさらに攪拌#2を行うことによって、2極化を解消することができた。
【0121】
なお、トナーの補給を停止しているが、数百mgのトナーがトナーホッパーから自然落下することもある。このような場合であっても、2極化を解消することができた。
【0122】
(3)現像器制御部120Yは、上記のさらなる攪拌#2が実行されているときに、第2収容室39からトナーを強制的に排出させる制御を実行することが好ましい。
【0123】
この理由は、以下のとおりである。現像剤が2極化している状態では、第2収容室39(および第1収容室38)内のトナー濃度が高めに推移している。よって、強制的にトナーの消費を行うことにより、現像槽内のトナー濃度を下げることができる。このように、ハウジング30内のトナー濃度を滞留している現像剤82(図5)のトナー濃度に近づけつつ、攪拌制御を実施することができる。その結果、2極化を解消する実施時間を短縮できる。実験を行ったところ、トナー濃度1%分強制消費することより、強制消費しないときに比べて攪拌時間を20秒短縮することができた。
【0124】
なお、現像器制御部120Yは、パッチ画像を形成することによりトナーを内部で消費することにより、強制的にトナーを消費する。なお、強制トナー消費の場合には、プリントアウトは行われない。
【0125】
(4)さらなる攪拌#2では、攪拌速度を変化させることが好ましい。具体的には、現像器制御部120Yは、攪拌スクリュー33および供給スクリュー32の回転速度を変化させてもよい。たとえば、現像器制御部120Yは、第1の攪拌速度での攪拌を行った後に、第1の攪拌速度よりも早い(あるいは遅い)第2の攪拌速度での攪拌を行うように、攪拌スクリュー33および供給スクリュー32の動作を制御してもよい。あるいは、第1の攪拌速度での攪拌と第2の攪拌速度での攪拌とが交互に繰り返されるように、攪拌スクリュー33および供給スクリュー32の動作を制御してもよい。
【0126】
このような処理を行うことにより、現像剤の滞留がほぐされやすくなる。その結果、攪拌速度を変化させない構成に比べて、攪拌時間を短縮することができる。実験を行ったところ、通常の攪拌速度と通常の攪拌速度の半分の速度で交互に10秒ごとに攪拌することにより、攪拌速度を変化させない場合に比べて攪拌時間を20秒短縮することができた。
【0127】
<E.制御構造>
図10は、画像形成装置1において実行される処理の流れを説明するためのフロー図である。なお、ここでも、イエロー用の現像器6Yに着目して説明する。
【0128】
図10を参照して、ステップS2において、現像器制御部120Yは、トナーホッパー7Yからトナーを所定量だけ第2収容室に補給する。ステップS4において、現像器制御部120Yは、攪拌スクリュー33を回転させることにより、第2収容室39内の現像剤Dを所定時間Ta(たとえば20秒)だけ攪拌する。すなわち、ステップS4では、上述した攪拌#1が行われる。
【0129】
ステップS6において、現像器制御部120Yは、透磁率センサー8Y(トナー濃度検出部140)によって検出されるトナー濃度が目標値Jを越えたか否かを判断する。目標値Jを越えたと判断された場合(ステップS6においてYES)、現像器制御部120Yは、一連の処理を終了する。
【0130】
目標値Jを越えていないと判断された場合(ステップS6においてNO)、現像器制御部120Yは、ステップS8において、画像形成処理を実行中であるか否かを判断する。現像器制御部120Yは、主制御部51からの指示に基づき動作するため、画像形成処理を実行中か否かを判断できる。
【0131】
画像形成処理を実行中であると判断された場合(ステップS8においてYES)、ステップS10において、主制御部51は、画像形成処理を停止する。その後、主制御部51は、処理をステップS12に進める。画像形成処理を実行中でないと判断された場合(ステップS8においてNO)、ステップS12において、主制御部51は、トナー補給を禁止するモードに移行する。
【0132】
ステップS14において、現像器制御部120Yは、攪拌スクリュー33を回転させることにより、第2収容室39内の現像剤Dを所定時間Tb(たとえば90秒)だけ攪拌することにより、第2収容室39の現像剤を第2収容室39内で流動させる。すなわち、ステップS14では、上述した攪拌#2が行われる。
【0133】
所定時間Tbの攪拌が終了した後、ステップS16において、主制御部51は、トナー補給を禁止するモードを解除し、トナー補給を許可するモードに、動作モードを遷移させる。
【0134】
<F.変形例>
以下では、2極化を解消するための攪拌#2の攪拌時間を変化させる構成について説明する。ここでも、イエロー用の現像器6Yを例に挙げて説明する。
【0135】
(f1.第1の変形例)
現像器6Yの現像器制御部120Yは、トナー濃度検出部140によって検出されたトナー濃度、画像形成装置1の周囲の環境を示す環境情報、および画像形成装置1の稼働実績を示す稼働情報(耐久情報)の少なくとも1つに基づいて、攪拌#2の攪拌時間の長さを決定する。
【0136】
環境情報としては、たとえば、温度の情報と湿度の情報とが挙げられる。稼働情報としては、印字枚数の情報と、駆動時間の情報(稼働時間の情報)とが挙げられる。なお、駆動時間は、現像器6Yの駆動時間としてもよい。
【0137】
以下では、温度および湿度の情報を利用する構成と、印字枚数の情報を利用すると、駆動時間の情報を利用する構成とについて説明する。
【0138】
(温度情報および湿度情報の利用)
高温および高湿の状態であれば、攪拌#2の攪拌時間を長くするほうが好ましい。低温および低湿状態においても、攪拌#2の攪拌時間を長くするほうが好ましい。以下、このように、温度および/または湿度に基づき攪拌時間を変更する構成について説明する。
【0139】
図11は、温度と湿度と攪拌の追加時間との関係を示した図である。
図11を参照して、攪拌時間は、温度および湿度の組み合わせが、3つの領域R1,R2,R3のいずれかに属するかで決定される。領域R1と領域R2とは隣接している。領域R2と領域R3とは隣接している。領域R1と領域R3とは隣接していない。
【0140】
領域R1と領域R2とは、湿度V1と温度K1とを結ぶ線(本例では曲線)で区分される。V1はたとえば20%であり、K1はたとえば10度である。また、領域R2と領域R3とは、湿度V2と温度K2とを結ぶ線(本例では曲線)で区分される。V2はたとえば80%であり、K2はたとえば30度である。領域R1,R2,R3の順に、概ね、湿度および温度が高くなっている。なお、上記各線として、単調減少の曲線を例に挙げたが、これに限定されるものではない。上記各線は、1つの直線(線分)あるいは複数の直線で構成されてもよい。
【0141】
温度は、画像形成装置1に備えられた温度センサー182によって測定される。測定結果は、現像器制御部120Yに通知される。湿度は、画像形成装置1に備えられた湿度センサー184によって測定される。測定結果は、現像器制御部120Yに通知される。
【0142】
領域R2においては、攪拌時間の追加を行わない。本例では、現像器制御部120Yは、攪拌#2として、所定時間Tb(90秒)の攪拌を行う。
【0143】
領域R1においては、現像器制御部120Yは、所定時間Tb(デフォルトの攪拌時間)に対して攪拌時間を追加する。本例では、現像器制御部120Yは、90秒に30秒を追加して、攪拌時間を120秒とする。
【0144】
領域R1のように低温および低湿の状態では、トナーの帯電量が上昇する。それゆえ、現像剤Dの流動性が低下する。したがって、領域R1においては、攪拌#2の攪拌時間を延ばすことが好ましい。
【0145】
領域R3においても、領域R1と同様に、現像器制御部120Yは、所定時間Tbに対して攪拌時間を追加する。本例では、領域R1と同様に、現像器制御部120Yは、90秒に30秒を追加して、攪拌時間を120秒とする。
【0146】
領域R3のように高温および高湿の状態では、現像剤Dが水分を含みやすくなり、現像剤Dの流動性が低下する。このため、領域R2のように通常の温度および通常の湿度の場合に比べ、現像剤の2極化の解消に時間がかかる。したがって、領域R3においても、攪拌#2の攪拌時間を延ばすことが好ましい。
【0147】
たとえば、領域R2内に含まれる特定の点G1((温度,湿度)=(Kg1,Vg1))と、領域R2内に含まれる特定の点G2(Kg2,Vg2)と、領域R3内に含まれる特定の点G3(Kg3,Vg3)とに着目すると、以下のことが言える。なお、特定の点G1,G2,G3の一例として、グラフの原点を通過する直線W上の点を挙げている。温度に関する関係式“Kg1<Kg2<Kg3”と、湿度に関する関係式“Vg1<Vg2<Vg3”とが成立している。
【0148】
現像器制御部120Yは、温度が温度Kg3であり、かつ湿度が湿度Vg3である場合には、温度が温度Kg3よりも低い温度Kg2であり、かつ湿度が湿度Vg3よりも低い湿度Vg2である場合よりも、攪拌#2の攪拌時間を長くする。
【0149】
現像器制御部120Yは、温度が温度Kg1であり、かつ湿度が湿度Vg1である場合には、温度が温度Kg1よりも高い温度Kg2であり、かつ湿度が湿度Vg1よりも高い湿度Vg2である場合よりも、攪拌#2の攪拌時間を長くする。
【0150】
ところで、上記においては、現像器制御部120Yは、温度と湿度との組み合わせに基づいて、追加で攪拌を行うか否かを決定した。しかしながら、これに限定されるものではない。現像器制御部120Yは、温度および湿度のうち温度のみに基づいて、追加で攪拌を行うか否かを決定してもよい。同様に、現像器制御部120Yは、温度および湿度のうち湿度のみに基づいて、追加で攪拌を行うか否かを決定してもよい。
【0151】
すなわち、温度に関し、現像器制御部120Yは、温度センサー182によって測定された温度が温度K2以上、または温度が温度K2未満の温度K1以下になると、攪拌#2の攪拌時間を長くする。また、湿度に関し、現像器制御部120Yは、湿度が湿度V2以上、または湿度が湿度V2未満の湿度V1以下になると、攪拌#2の攪拌時間を長くする。
【0152】
(印字枚数の利用)
印字枚数が多くなると、現像剤Dの流動性が低下する。このため、印字枚数が多くなると、攪拌#2の攪拌時間を長くする。
【0153】
図12は、印字枚数と、追加する攪拌時間との関係を表した図である。
図12を参照して、現像器制御部120Yは、印字枚数がたとえば1万枚を超えると、攪拌時間を長くする。詳しくは、現像器制御部120Yは、印字枚数が増加すると、追加する攪拌時間を長くする。より詳しくは、現像器制御部120Yは、所定時間Tbに対して、印字枚数によって定まる時間を追加して、攪拌#2の攪拌時間とする。
【0154】
実験を行ったところ、このような処理によって、現像剤Dの2極化を確実に解消することができた。
【0155】
(駆動時間の利用)
画像形成装置1の駆動時間が長くなると、現像剤Dの流動性が低下する。このため、駆動時間が多くなると、攪拌#2の攪拌時間を長くする。詳しくは、現像器制御部120Yは、画像形成装置1の駆動時間が増加すると、追加する攪拌時間を長くする。実験を行ったところ、このような処理によって、現像剤Dの2極化を確実に解消することができた。
【0156】
なお、現像器6Yの駆動時間が増加すると、追加する攪拌時間を長くするように、現像器制御部120Yを構成してもよい。
【0157】
(f2.第2の変形例)
目標値Jと、トナー濃度検出部140(透磁率センサー8Y)で検出されたトナー濃度との差分が大きい場合には、滞留している現像剤の範囲が広い可能性がある。このため、現像器制御部120Yは、トナー濃度検出部140(透磁率センサー8Y)で検出されたトナー濃度と、目標値Jとの差分が大きいほど、さらなる攪拌#2の攪拌時間を長くすることが好ましい。
【0158】
以下の例では、差分をパーセントとして表した場合について説明する。具体的には、差分を目標値Jで割り、その商を100倍したときの値を差分として扱う。
【0159】
図13は、トナー濃度の差分(%)と、追加する攪拌時間との関係を表した図である。
図13を参照して、現像器制御部120Yは、差分が0.5%を超えると、攪拌時間を長くする。詳しくは、現像器制御部120Yは、差分が増加すると、追加する攪拌時間を長くする。より詳しくは、現像器制御部120Yは、所定時間Tbに対して、差分によって定まる時間を追加して、攪拌#2の攪拌時間とする。
【0160】
実験を行ったところ、このような処理によって、現像剤Dの2極化を確実に解消することができた。
【0161】
[実施の形態2]
実施の形態1では、発生した2極化を解消するために、攪拌部150によるさらなる攪拌#2によって、第2収容室39の現像剤を第2収容室39内で流動させた。本実施の形態では、攪拌#2の代わりに、第2収容室39を含む現像部13Yを振動させることにより、第2収容室39の現像剤を第2収容室39内で流動させる構成について説明する。
【0162】
なお、以下では、実施の形態1と異なる点を説明し、実施の形態1と同じ点については、説明を繰り返さない。また、本例においても、主として、イエロー用の現像器6Yに着目して説明する。
【0163】
図14は、振動発生装置190Yを説明するための図である。
図14を参照して、振動発生装置190Yは、現像部13Yの端部付近に設けられている。振動発生装置190Yは、位置決め部材191と、カム部材192と、付勢部材であるバネ部材193とを備える。
【0164】
位置決め部材191は、現像部13YのZ軸の正方向への移動を規制する。現像部13Yの端部が位置決め部材に当接すると、現像部13YのZ軸の正方向への移動が停止する。
【0165】
バネ部材193は、バネと、当該バネの一端を固定する台座部分とを有する。台座部分は、固定されている。バネ部材193は、現像部13Yに対して、位置決め部材191およびカム部材192とは反対側に設けられている。
【0166】
バネは、現像部13YをZ軸の正方向に付勢している。詳しくは、バネは、現像部13Yの端部をZ軸の正方向に付勢している。
【0167】
カム部材192は、中心軸Nを中心に回転する。現像器6Yによる制御よって、カム部材192は回転する。カムが図14の状態にあるときには、バネが圧縮されるとともに、現像部13Yの端部(図の右側端部)は位置決め部材191から離れた状態となる。
【0168】
図15は、図14の状態からカムがさらに回転した状態を表した図である。詳しくは、図15は、図14の状態からカム部材192が角度θ(0度<θ<90度)だけ回転した状態を表した図である。図15を参照して、カム部材192が図14の状態から回転すると、バネの復元力によって、現像部13YがZ軸の正方向に移動する。
【0169】
以降、カム部材192が回転をし続けると、現像器6Yは、Z軸の正方向と負方向との移動を繰り返す。
【0170】
このように、振動発生装置190Yによって、第2収容室39を含む現像部13Yを振動させることにより、第2収容室39の現像剤を第2収容室39内で流動させることが可能となる。その結果、発生した現像剤の2極化を解消することが可能となる。
【0171】
図16は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御部を説明するための模式図である。
【0172】
図16を参照して、画像形成装置1の各部を動作させる制御部100A(コントローラー)は、主制御部51と、イエロー用の現像器制御部120Yと、マゼンタ用の現像器制御部120Mと、シアン用の現像器制御部120Cと、ブラック用の現像器制御部120Bと、イエロー用の振動制御部170Yと、マゼンタ用の振動制御部170Mと、シアン用の振動制御部170Cと、ブラック用の振動制御部170Bとを含む。
【0173】
制御部100Aは、振動制御部170Y,170M,170C,170Bを含む点において、これら含まない実施の形態1の制御部100とは異なる。
【0174】
振動制御部170Yは、イエロー用の振動発生装置190Yの動作を制御する。詳しくは、振動制御部170Yは、カム部材192の回転を制御する。なお、同様に、振動制御部170M,170C,170Bは、それぞれ、各色用の振動発生装置190C,190M,190Bの動作を制御する。
【0175】
振動制御部170Y,170M,170C,170Bの各々も、CPU等のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。振動制御部170Y,170M,170C,170Bの各々は、ASIC等のハードウェアにより実現されてもよい。なお、図16では、制御部100が複数の制御部によって構成された例を示したが、これに限定されない。1つの制御部(たとえば1つの制御基板)が画像形成装置1の全体を制御する構成としてもよい。
【0176】
また、振動制御部170Yは、カム部材192の回転速度を変化させてもよい。このような処理により、現像器6Yの移動速度(振動周期)を変化させることができる。他の振動制御部170M,170C,170Bについても同様である。
【0177】
また、画像形成装置1は、発生した2極化を解消するために、実施の形態1の攪拌#2と、本実施の形態の振動動作との両方を行ってもよい。画像形成装置1は、攪拌#2と振動動作とを行うことにより、一方の処理の場合に比べて、2極化を早期に解消することが可能となる。
【0178】
実施の形態1の攪拌#2と、本実施の形態の振動動作との両方を同時に行ってもよいし、交互に行ってもよい。タイミングおよび順序は、特に限定されるものではない。たとえば、画像形成装置1は、実施の形態1の攪拌#2を実施しても2極化が解消されない場合、振動動作を実行してもよい。
【0179】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0180】
1 画像形成装置、2C,2K,2M,2Y 作像部、3 中間転写部、4 給送部、5 定着部、5a 加熱ローラー、5b 加圧ローラー、6B,6C,6M,6Y 現像器、7C,7K,7M,7Y トナーホッパー、8Y 透磁率センサー、9C,9K,9M,9Y トナー濃度制御部、10C,10K,10M,10Y 感光体ドラム、11C,11K,11M,11Y 帯電部、12 露光部、13C13K,13C,13K,13M,13Y 現像部、14C,14K,14M,14Y,20 クリーナー、15 中間転写ベルト、16 駆動ローラー、17 従動ローラー、18C,18K,18M,18Y 一次転写ローラー、19 二次転写ローラー、19a 二次転写位置、21 繰り出しローラー、22 タイミングローラー、23 排出ローラー、24 排紙トレイ、29 現像位置、30 ハウジング、30z 側壁、31 現像ローラー、31a 現像スリーブ、31b マグネット体、32 供給スクリュー、32a,33a 回転軸、32b,33b スクリュー羽根、32z,33z 軸部分、33 攪拌スクリュー、34 規制部材、37 隔壁、37a,37b 連通孔、38 第1収容室、39 第2収容室、39a 受入口、39z 下流端部分、51 主制御部、81 検知域、82,83,D 現像剤、98 第1搬送路、99 第2搬送路、100,100A 制御部、120B,120C,120M,120Y 現像器制御部、121 補給量算出部、122 判定部、130C,130K,130M,130Y トナー補給部、140 トナー濃度検出部、150 攪拌部、170B,170C,170M,170Y 振動制御部、182 温度センサー、184 湿度センサー、190B,190C,190M,190Y 振動発生装置、191 位置決め部材、192 カム部材、193 バネ部材、W 直線、L 光ビーム、N 中心軸、R1,R2,R3 領域、S シート、T1,T2B,T2,T2A,T3,T4 矢印。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16