(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240611BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20240611BHJP
B41J 29/377 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G21/20
B41J29/377 101
(21)【出願番号】P 2020050140
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】合田 峻広
(72)【発明者】
【氏名】市来 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】下平 彬
(72)【発明者】
【氏名】橋本 敬太
(72)【発明者】
【氏名】須藤 真樹
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038303(JP,A)
【文献】特開2003-156909(JP,A)
【文献】特開平11-084962(JP,A)
【文献】特開2018-034377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/20
B41J 29/377
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する経路と、
前記経路に対向して配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第1像搬送路と、
前記第1像搬送路に隣接して配置され、前記画像を作像する作像部と、
前記経路に対向し、前記作像部と離間し、
かつ前記第1像搬送路と前記経路とで前記作像部を囲うように配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第2像搬送路と、
前記作像部と前記第2像搬送路との間に形成された外気用通路と、
前記外気用通路の前記経路側に孔によって形成され、装置の外部に通じる通気口と、
前記外気用通路における前記通気口よりも前記経路側に配置され、前記媒体の搬送方向における上流側の端部に前記経路から離れる方向側へ延びる上流側返し部が形成された壁部と、
を有
し、
前記上流側返し部は、前記通気口の前記経路側における最も前記上流側に形成された孔の前記上流側に配置されている画像形成装置。
【請求項2】
媒体を搬送する経路と、
前記経路に対向して配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第1像搬送路と、
前記第1像搬送路に隣接して配置され、前記画像を作像する作像部と、
前記経路に対向し、
前記作像部と離間し、かつ前記第1像搬送路と前記経路とで前記作像部を囲うように配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第2像搬送路と、
前記作像部と前記第2像搬送路との間に
形成された外気用通路と、
前記外気用通路の前記経路側に孔によって形成され、装置の外部に通じる通気口と、
前記外気用通路における前記通気口よりも前記経路側に配置され、前記媒体の搬送方向における下流側の端部に前記経路から離れる方向側へ延びる下流側返し部が形成された壁部と、
を有
し、
前記下流側返し部は、前記通気口の前記経路側における最も前記下流側に形成された孔の前記下流側に配置されている画像形成装置。
【請求項3】
媒体を搬送する経路と、
前記経路に対向して配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第1像搬送路と、
前記第1像搬送路に隣接して配置され、前記画像を作像する作像部と、
前記経路に対向し、前記作像部と近接し、かつ前記第1像搬送路と前記経路とで前記作像部を囲うように配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第2像搬送路と、
前記作像部の前記経路側に孔によって形成され、装置の外部に通じる通気口と、
前記通気口よりも前記経路側に配置され、前記媒体の搬送方向における上流側の端部に前記経路から離れる方向側へ延びる上流側返し部が形成された壁部と、
を有し、
前記上流側返し部は、前記通気口の前記経路側における最も前記上流側に形成された孔の前記上流側に配置されている画像形成装置。
【請求項4】
媒体を搬送する経路と、
前記経路に対向して配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第1像搬送路と、
前記第1像搬送路に隣接して配置され、前記画像を作像する作像部と、
前記経路に対向し、前記作像部と近接し、かつ前記第1像搬送路と前記経路とで前記作像部を囲うように配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第2像搬送路と、
前記作像部の前記経路側に孔によって形成され、装置の外部に通じる通気口と、
前記通気口よりも前記経路側に配置され、前記媒体の搬送方向における下流側の端部に前記経路から離れる方向側へ延びる下流側返し部が形成された壁部と、
を有し、
前記下流側返し部は、前記通気口の前記経路側における最も前記下流側に形成された孔の前記下流側に配置されている画像形成装置。
【請求項5】
前記壁部の前記媒体の搬送方向における下流側の端部に前記経路から離れる方向側へ延びる下流側返し部が形成されており、
前記下流側返し部は、前記通気口の前記経路側における最も前記下流側に形成された孔の前記下流側に配置されている請求項1又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記壁部は、前記第1像搬送路及び前記第2像搬送路の搬送方向に沿った方向から見て、前記経路が見えないように該経路を覆う大きさに形成されている請求項
1~請求項5の
何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記通気口は、前記媒体の搬送方向と、前記第1像搬送路及び前記第2像搬送路の搬送方向と、に対して直交する方向の両側に形成されている請求項
1~請求項6の
何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
一方側の前記通気口を形成する複数の孔は、縦長の矩形状に配置され、他方側の前記通気口を形成する複数の孔は、横長の矩形状に配置されている請求項7
に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記通気口
から流入された空気を前記経路から離れる方向側へ流す気流を発生させる発生手段を有する請求項1~請求項8
の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記発生手段は、前記経路側とは反対側に配置されている請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記発生手段は、前記経路から離れる方向側へ流れた空気を排出する排出手段である請求項
10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記排出手段は、前記経路から離れる方向へ空気を吸引する吸引手段である請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記排出手段は、前記空気を低い側から高い側へと排出する請求項
11又は請求項12
に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置は、装置本体に着脱可能に設けられ、縦列配置された複数のプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジと対面して配置され、記録媒体を縦方向に搬送する搬送ベルトと、前記装置本体に対して開閉可能に設けられており、開放されると前記搬送ベルトを退避可能とさせ、前記プロセスカートリッジを露出させるカバー体と、前記プロセスカートリッジに色毎に設けられ、形状又は配置位置の異なる被識別部材と、前記装置本体に設けられ、前記被識別部材と干渉し又は干渉しないことで前記プロセスカートリッジが正規セット位置か否かを知らしめる識別部材と、前記プロセスカートリッジが正規セット位置でない状態で前記カバー体を閉止したとき、前記搬送ベルトをカバー体側へ退避させる搬送ベルト退避手段と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
媒体を搬送する経路に対向して配置された複数の像搬送路に対して作像部が隣接して配置された構成と比較して、作像部と像搬送路との間に気流を発生させやすい構成の画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に係る画像形成装置は、媒体を搬送する経路と、前記経路に対向して配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第1像搬送路と、前記第1像搬送路に隣接して配置され、前記画像を作像する作像部と、前記経路に対向し、前記作像部と離間し、且つ、前記第1像搬送路と前記経路とで前記作像部を囲うように配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第2像搬送路と、を有する。
【0006】
本発明の第2の態様に係る画像形成装置は、媒体を搬送する経路と、前記経路に対向して配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第1像搬送路と、前記第1像搬送路に隣接して配置され、前記画像を作像する作像部と、前記経路に対向し、前記第1像搬送路と前記経路とで前記作像部を囲うように配置され、前記媒体に形成する画像を搬送する第2像搬送路と、前記作像部と前記第2像搬送路との間に設けられ、前記作像部に面した外気用通路と、を有する。
【0007】
本発明の第3の態様に係る画像形成装置は、前記第1像搬送路と前記第2像搬送路との間に気流を発生させる発生手段を有する。
【0008】
本発明の第4の態様に係る画像形成装置は、前記発生手段は、前記作像部と前記第2像搬送路との間の空気を排出する排出手段である。
【0009】
本発明の第5の態様に係る画像形成装置は、前記排出手段は、前記作像部と前記第2像搬送路との間の空気を、低い側から高い側へと排出する。
【0010】
本発明の第6の態様に係る画像形成装置は、前記発生手段は、前記作像部と前記第2像搬送路との間の空気を、前記経路から離れる方向へ吸引する吸引手段である。
【0011】
本発明の第7の態様に係る画像形成装置は、前記発生手段は、前記作像部に対して前記経路と反対側に配置されている。
【0012】
本発明の第8の態様に係る画像形成装置は、前記媒体の搬送方向及び前記第1像搬送路及び前記第2像搬送路の搬送方向に対して交差する方向に、装置の外部に通じる通気口を有する。
【0013】
本発明の第9の態様に係る画像形成装置は、前記通気口は、前記媒体の搬送方向における側面視で、前記作像部に重なるように設けられている。
【0014】
本発明の第10の態様に係る画像形成装置は、前記作像部は、前記第1像搬送路に隣接して複数個設けられており、前記通気口は、前記媒体の搬送方向における側面方向から見て、前記経路の側に配置された前記作像部に対し、重なるように設けられている。
【0015】
本発明の第11の態様に係る画像形成装置は、前記通気口は、前記作像部よりも前記経路の側に設けられている。
【0016】
本発明の第12の態様に係る画像形成装置は、前記作像部は、前記第1像搬送路に隣接して複数個設けられており、前記通気口は、前記媒体の搬送方向における側面方向から見て、前記経路の側に配置された前記作像部よりも前記経路の側に配置されている。
【0017】
本発明の第13の態様に係る画像形成装置は、前記通気口は、前記媒体の搬送方向及び前記第1像搬送路及び前記第2像搬送路の搬送方向に対して交差する方向のうち両側に配置されている。
【0018】
本発明の第14の態様に係る画像形成装置は、前記発生手段から見て、前記経路における前記第1像搬送路と前記第2像搬送路との間を覆う壁部を備えていえる。
【0019】
本発明の第15の態様に係る画像形成装置は、前記壁部における、前記媒体の搬送方向の端部に、前記発生手段の側に延びる返し部が設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の態様に係る画像形成装置によれば、作像部が第1像搬送路及び第2像搬送路の両方に隣接して配置された構成と比較して、作像部と第2像搬送路との間の外気用通路に、空気が通る通路が確保される。
【0021】
本発明の第2の態様に係る画像形成装置によれば、作像部と第2像搬送路との間に、空気が通る通路が確保される。
。
【0022】
本発明の第3の態様に係る画像形成装置によれば、第1像搬送路と作像部との間に、強制的に気流が発生させられる。
【0023】
本発明の第4の態様に係る画像形成装置によれば、作像部と第2像搬送路との間に空気を送り込む構成と比較して、作像部の周囲の空気を作像部から取り除きやすい。
【0024】
本発明の第5の態様に係る画像形成装置によれば、作像部と第2像搬送路との間で熱された空気が、高い側から低い側へと排出する構成と比較して、効率よく排出される。
【0025】
本発明の第6の態様に係る画像形成装置によれば、作像部と第2像搬送路との間の空気を、経路に沿う方向に吸引する構成と比較して、作像部の周囲の空気を取り除きやすい。
【0026】
本発明の第7の態様に係る画像形成装置によれば、発生手段が作像部に対して経路と同じ側に配置されている構成と比較して、経路と第1像搬送路と第2像搬送路とで囲まれた領域内の部品点数が削減される。
【0027】
本発明の第8の態様に係る画像形成装置によれば、媒体の搬送方向及び第1像搬送路及び第2像搬送路の搬送方向に対して交差する方向において装置本体の内部と外部とが遮断された構成と比較して、経路と第1像搬送路と第2像搬送路とで囲まれた領域内へ、外部の空気が効率的に取り入れられる。
【0028】
本発明の第9の態様に係る画像形成装置によれば、作像部と隣接した箇所から外気が吸引される。
【0029】
本発明の第10の態様に係る画像形成装置によれば、装置の外部から取り入れられた空気が、複数の作像部を通過する。
【0030】
本発明の第11の態様に係る画像形成装置によれば、装置の外部から取り入れられた空気が、作像部を通過する。
【0031】
本発明の第12の態様に係る画像形成装置によれば、装置の外部から取り入れた空気が、複数の作像部を通過する。
【0032】
本発明の第13の態様に係る画像形成装置によれば、通気口が一方向にのみ設けられた構成と比較して、効率よく外気が取り入れられる。
【0033】
本発明の第14の態様に係る画像形成装置によれば、経路付近における気流の発生が抑制される。
【0034】
本発明の第15の態様に係る画像形成装置によれば、気流の方向が吸引手段側に誘導される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す正面図である。
【
図2】
図1のA-A断面沿って切断した状態を示す断面図である。
【
図5】
図1の画像形成装置を矢印Xからの視点で示す側面図である。
【
図6】第2実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例について
図1から
図5に従って説明する。なお、各図に示された矢印UPは、鉛直方向であって装置上方向を指す。また、
図1及び
図2に示されるように、矢印Rは水平方向であって装置に正対した際の右側を、矢印Lは水平方向であって装置に正対した際の左側を指す。さらに、矢印Dは、
図2に示されるように、水平方向であって、装置に正対した際の奥方向を指す。また、以下説明中において前提なく上下方向を指定した場合は、
図1に示す装置の上下方向を意味する。また、以下説明中において前提なく左右方向を指定した場合は、
図1に示された装置に正対した際の左(L)及び右(R)方向を意味する。さらに、以下説明中において前提なく奥行方向(手前及び奥)を指定した場合は、
図2に示す装置に正対した際の奥行方向を意味する。
【0037】
[画像形成装置10の全体構成]
まず、画像形成装置10(適宜、単に「装置10」と称する)の構成の概要を、用紙の搬送経路に沿って説明する。
【0038】
図1には、内部構造を示すために手前側のカバー60(
図2参照)を外された装置10が図示されている。
図1に示されるように、画像形成装置10には、画像が形成される媒体の一例としての用紙の裏面に接触して、用紙の搬送経路Pに沿って用紙を搬送する搬送ベルト12と、電子写真方式により画像を形成する画像形成手段14a及び画像形成手段14bと、が備えられている。また、用紙を格納するための用紙トレイ16と画像を用紙に定着するための定着手段18とが備えられている。なお、画像形成手段14a及び画像形成手段14bは、互いに離間して備えられている。
【0039】
用紙トレイ16に格納された用紙は、用紙(媒体)の供給手段の一例としての供給ロール20によって、搬送ベルト12へと供給される。なお、供給ロール20と搬送ベルト12との間では、用紙は適宜、搬送経路Pに沿って配置された搬送ロール22によって搬送される。
【0040】
搬送ベルト12に供給された用紙は、搬送ベルト12に対向して配置された2つの画像形成手段14a及び画像形成手段14bによってそれぞれ形成されたトナー画像を、転写部24a及び転写部24bにおいて転写される。なお、画像形成手段14a及び転写部24aは、用紙搬送方向における下流側に、画像形成手段14b及び転写部24bは、用紙搬送方向における上流側に、それぞれ配置されている。
【0041】
トナー画像を転写された用紙は、搬送ベルト12から定着手段18へと搬送される。そして、搬送ベルト12は、定着手段18によってトナー画像を定着される。その後、用紙は装置10の外部へと排出される、又は、図示しない搬送経路を搬送され、再度搬送ベルト12へと供給される。
【0042】
次に、画像形成装置10の構成の概要を、各部の配置に基づいて説明する。
【0043】
図1に示されるように、画像形成装置10の下部には、用紙トレイ16が設けられている。用紙トレイ16の左側上方には、用紙の搬送経路Pに沿って、搬送ベルト12が備えられている。ここで、搬送ベルト12における搬送面は、上下方向に延びるように配置されている。また、供給ロール20と搬送ベルト12との間には、複数の搬送ロール22が、用紙の搬送経路Pに沿って徐々に上方へと配置されている。このような構造により、供給ロール20によって用紙トレイ16から供給された用紙は、複数の搬送ロール22によって左方向から上方向へと搬送方向を転換され、さらに、搬送ベルト12によって上方へと搬送される。
【0044】
搬送ベルト12における搬送面には、2つの画像形成手段14a及び画像形成手段14bが対向して配置されている。画像形成手段14aと画像形成手段14bとは、上下に並んで、かつ、互いに離間して配置されており、画像形成手段14aが画像形成手段14bの上側に配置されている。したがって、画像形成手段14aと搬送ベルト12とが形成する転写部24aは、画像形成手段14bと搬送ベルト12とが形成する転写部24bの上側に構成されている。
【0045】
搬送ベルト12の上側には、定着手段18が備えられている。これにより、搬送ベルト12によって上方向へと搬送された用紙は、図示しない搬送ロールによって方向を横方向へと転換されつつ、定着手段18を通過し、装置外部へと排出される。若しくは、搬送ベルト12によって上方向へと搬送された用紙は、図示しない搬送経路によって搬送され、再度搬送ベルト12の搬送面の下端部へと供給される。
【0046】
次に、画像形成装置10の各部の構成について、詳細に説明する。
【0047】
[搬送ベルト12]
図1に示されるように、搬送ベルト12は、上下に離間して配置されたロール26及びロール28に架け渡されて構成されている。ここで、上側(すなわち、用紙搬送方向における下流側)に配置されたロール26は受動部を兼ねており、図示しない駆動源からの駆動力を受けて回転される。このロール26の回転によって、搬送ベルト12が回転される。なお、搬送ベルト12における用紙の搬送経路Pとの重複部分は、媒体を搬送する「経路」の一例に相当する。
【0048】
[画像形成手段14a、14b]
図1に示されるように、上側に配置された画像形成手段14aと下側に配置された画像形成手段14bとは、基本的構造が同一であるため、以下の説明では画像形成手段14aについて説明する。画像形成手段14bについては、対応する部分の部品番号の末尾にbの記号を付して説明を適宜省略する。
【0049】
画像形成手段14aは、中間転写ベルト30a(=第1像搬送路の一例に相当)と、中間転写ベルト30aの周方向に沿って並べられた後述する4つの作像部49aと、これらを囲う筐体50aと、を含んで構成されている。
【0050】
(中間転写ベルト30a)
図1に示されるように、中間転写ベルト30aは、無端状に形成されている。この中間転写ベルト30aは、左右方向に離間して配置されたロール36a及びロール38aに架け渡されて構成されている。ロール36aは、中間転写ベルト30aにおける左端側(すなわち、トナー画像の搬送方向における下流側)に配置され、ロール38aは、中間転写ベルト30aにおける右端側(すなわち、トナー画像の搬送方向における上流側)に配置されている。これにより、中間転写ベルト30aは、左右方向に長い形状として構成されている。
【0051】
また、右端側のロール38aは、左端側のロール36aよりも若干高い位置に配置されている。これにより、中間転写ベルト30aは、若干右上がりの傾斜を持つように配置されている。なお、左端側のロール36aは、駆動源から駆動力を受ける受動部であるギア(不図示)を有している。一方で、右端側のロール38aは、中間転写ベルト30aに張力を加えて姿勢を保つためのロールとして構成されている。
【0052】
左端側のロール36aは、搬送ベルト12に対向して配置されている。また、同様に中間転写ベルト30bの左端を保持する左端側のロール36bも、搬送ベルト12に対向して配置されている。このような構成により、搬送ベルト12と中間転写ベルト30aと中間転写ベルト30bとで、囲われた領域が形成されている。この領域内には、作像部49aが配置されている。なお、ここでいう「囲う」とは、少なくとも三方向を覆われている状態を意味する。
【0053】
(作像部)
各作像部49aは、感光体32a、現像手段34a、現像ロール42a、攪拌ロール44b、攪拌ロール46及び帯電ロール48a、を含んで構成される。この作像部49aは、前述したように、搬送ベルト12と中間転写ベルト30aと中間転写ベルト30bとによって、少なくとも三方向が囲われて配置されている。なお、各作像部49aには、駆動力を供給するための、図示しない駆動源が接続されている。
【0054】
(転写部24a)
中間転写ベルト30aの左端部は、搬送ベルト12と接触している。この接触している部分は、転写部24aとなっている。なお、搬送ベルト12に対して、ロール36aと反対側の対応する箇所には、二次転写用のバイアスを印加するための二次転写ロール40aが配置されている。
【0055】
(感光体32a)
中間転写ベルト30aの下側には、ロール状に形成された4つの感光体32aが、中間転写ベルト30aに接触するように配置されている。これらの4つの感光体32aは、左右方向に並べられており、中間転写ベルト30aの回転に合わせて回転するように構成されている。なお、これらの感光体32aも、中間転写ベルト30aの傾斜に合わせて、右上がりに傾斜して配置されている。
【0056】
(現像手段34a)
4つの感光体32aの下側には、それぞれ現像手段34aが配置されている。各現像手段34aは、トナー画像を感光体32aに現像するための現像ロール42aと、トナーを含む現像剤を搬送及び攪拌するための2本の攪拌ロール44a、攪拌ロール46aと、を含んで構成されている。
【0057】
(帯電ロール48a)
感光体32aの下側、かつ、現像手段34aの左側の位置には、感光体32aの表面を帯電するための帯電ロール48aが配置されている。帯電ロール48aは、電圧を印加された状態で、感光体32aの回転に合わせて、感光体32aの表面に接触しながら回転されるように構成されている。
【0058】
(基板)
図1に示されるように、中間転写ベルト30aの上側には、筐体50a(詳しくは後述する)を介して、画像形成手段14aの動作を制御する制御部の一例としての制御基板70a及び制御基板72aと、画像形成手段14aに電圧を供給する電源回路の一例としての電源基板74aと、が配置されている。なお、制御基板70aは画像形成手段14aにおける左寄りに配置され、制御基板72a及び電源基板74aは、右寄りに配置されている。
【0059】
ここで、制御基板72aは装置10における手前側に、電源基板74aは奥側に配置されている。
【0060】
また、制御基板70aと制御基板72a及び電源基板74aとは、中間転写ベルト30aの傾斜に沿って右上がりに傾斜して配置されている。
【0061】
なお、電源基板74aは、低電圧供給用の電源基板(LV/LVPS:Low Voltage Power Supply)の一例として構成されている。
【0062】
(筐体50a)
中間転写ベルト30aと4つの感光体32aと4つの現像手段34aと帯電ロール48aと駆動源とは、筐体50aによって、一体に保持されている。この筐体50aは、これらの部品を一体に保持したまま、搬送ベルト12が装着された装置10本体に対して着脱が可能に設けられている。
【0063】
なお、筐体50aの下側(底)の形状は、4つの感光体32a及び4つの現像手段34aの配置に合わせて、右上がりに傾斜した形状とされている。
【0064】
(駆動源)
筐体50aの手前側側面には、駆動用のギア(不図示)を有する駆動源(不図示)が備えられている。ギアは、複数の中間ギア(不図示)を介して、ロール36a、感光体32a、帯電ロール48a、現像ロール42a、攪拌ロール44a、及び、攪拌ロール46aにそれぞれ設けられた受動部(受動用の歯車(不図示))と噛み合わされている。このように、1つの駆動源から、筐体50aに搭載された各回転部品が、回転するための駆動力を受けることが可能な構造となっている。なお、各回転部品における回転速度は、それぞれ複数設けられた中間ギアにおける周速比によって調節されている。
【0065】
[定着手段18]
図1に示されるように、定着手段18は、受動部を兼ねた定着ロール52とロール状に形成された定着ベルト54とを含んで構成されている。詳細には、受動部は、定着ロール52と一体かつ同軸上に設けられたギア(不図示)を有している。なお、定着ロール52は、搬送される用紙のトナー画像が転写される面に接触するように配置されている。
【0066】
また、定着ベルト54は用紙の搬送経路Pを挟んで、定着ロール52に対向して備えられている。この定着ロール52と定着ベルト54との干渉によって、定着用のニップ55が形成される。なお、定着ベルト54は、定着ロール52の回転に従動して回転するように設けられている。
【0067】
本実施形態においては、搬送ベルト12の用紙搬送速度に対して、定着手段18における定着ロール52の回転速度が、若干遅く設定されている。この速度差があることによって、搬送ベルト12とニップ55との間で搬送される用紙にたわみが形成される。このたわみが形成されることによって、搬送される用紙が転写部24aとニップ55との両方に同時に挟まれた場合にも、いずれかに引っ張られることなく搬送される構成とされている。
【0068】
[要部の構成]
次に、本実施形態における要部の構成について説明する。
【0069】
(換気用の通路80)
図1に示されるように、装置10には、画像形成手段14aと画像形成手段14bとによって挟まれた領域が、換気用の通路80(=外気用通路の一例に相当)として構成されている。より詳細には、この通路80は、左側を覆う板金82と、上側を覆う画像形成手段14aと、下側を覆う画像形成手段14bと、右側を覆うカバー64及び吸引手段66(詳しくは後述する)と、奥側を覆うカバー62と、手前側を覆うカバー60と、によって囲まれた領域(空間)として構成される。なお、通路80の奥側及び手前側は、カバー60及びカバー62よりも内側が、別途設けられた壁面などによって覆われていてもよい。例えば、カバー60及びカバー62よりも内側に、図示しないフレームや板金などで構成された内側の壁面が設けられていてもよい。
【0070】
なお、より詳細には、通路80の上側は画像形成手段14aにおける筐体50aの底面側によって囲まれ、下側は画像形成手段14bにおける中間転写ベルト30b(=第2像搬送路の一例に相当)、制御基板70b、電源基板72b、及び、電源基板74bに囲まれている。
【0071】
(通気口76、78)
図2に示されるように、通路80の手前側に配置されたカバー60には複数の通気口76が、奥側に配置されたカバー62には複数の通気口78が、それぞれ形成されている。
【0072】
図3に示されるように、通気口76は、換気用の通路80における手前側の側面を構成するカバー60に形成されている。
【0073】
また、通気口76の少なくとも一部は、上側の画像形成手段14aにおける、最も左側の現像手段34aよりも左側(すなわち搬送ベルト12側)に配置されている。
【0074】
さらに、通気口76の少なくとも一部は、下側の画像形成手段14bにおける、制御基板70b、電源基板72b、及び、電源基板74b、よりも左側に配置されている
【0075】
図2に示されるように、通気口78は、換気用の通路80における奥側の側面を形成するカバー62に形成されている。
【0076】
ここで、
図4に示されるように、カバー62の裏面側には、上側の画像形成手段14aに対応する箇所に配置された上側のトナーカートリッジ83aと、下側の画像形成手段14bに対応する箇所に配置された下側のトナーカートリッジ83bと、が設けられている。そのため、通気口78は、カバー62におけるトナーカートリッジ83aとトナーカートリッジ83bに対応する箇所を避けるために、これらの間の位置に形成されている。
【0077】
図3に示されるように、手前側の通気口76と奥側の通気口78との配置関係を比較すると、装置10の手前側においては、複数の通気口76は縦長の領域内に分布するように形成されている。これに対し、装置10の奥側においては、上下のトナーカートリッジ83a及び83bを避けるために、複数の通気口78が横長の領域内に分布するように形成されている。通気口76の分布領域は、トナーカートリッジ83a及び83bを避けて設けられた通気口78の分布領域と比較して、より左側(すなわち搬送ベルト12の側)に多く分布している。
【0078】
(吸引手段66)
図1に示されるように、換気用の通路80の右側には、気流を発生させる発生手段の一例、かつ、空気を排出する排出手段の一例としての吸引手段66が配置されている。より詳細には、吸引手段66は、上側の中間転写ベルト30a及び下側の中間転写ベルト30bを挟んで用紙の搬送経路Pを構成する搬送ベルト12の反対側に配置されている。
【0079】
図2に示されるように、吸引手段66は、装置10における奥側に寄せて設けられている。
【0080】
ここで、吸引手段66は、通路80内の空気を、搬送ベルト12における搬送面の側(左側)から、この搬送面から離れる方向である装置10の外側(右側)へと吸引及び排出するように構成されている。なお、本実施形態では、吸引手段66は遠心ファンとされている。
【0081】
このような構成により、吸引手段66によって通路内の空気が装置10の外部へと排出される。これにより、通気口76及び78から、装置10の外気が通路内へと取り込まれる。
【0082】
詳細には、装置10の左寄りの手前側に形成された通気口76から取り込まれた外気は、通路80を対角線上に流され、装置10の右側の奥寄りに形成された吸引手段66によって装置10の外部へと排出される。一方で、装置10の左寄りの奥側に形成された通気口78から取り込まれた外気は、通路80の奥側を左から右へと流され、装置10の右側の奥寄りに形成された吸引手段66によって装置10の外部へと排出される。
【0083】
(板金82)
図1に示されるように、換気用の通路80における左側には、搬送ベルト12の搬送面側から見て、搬送ベルト12を覆う板金82(=壁部の一例に相当)が配置されている。この板金82は、搬送ベルト12における搬送面に対向する平面を有する板状となっている。また、板金82は、装置10の内部に設けられた、フレーム(不図示)に取り付けられている。
【0084】
ここで、板金82は、装置10における手前側のカバー60に形成された通気口76、及び、奥側のカバー62に形成された通気口78よりも搬送ベルト12側(すなわち左側)に配置されている。
【0085】
また、板金82は、通気口76及び通気口78よりも、上下方向の長さが長く形成されている。ここで、通気口76及び通気口78は、複数の孔を意味する。そのため、より詳細に説明すると、複数個設けられた孔である通気口76及び通気口78のうち、最も上側に設けられた孔の上端部よりも高い位置に板金82の上端部が配置されており、最も下側に設けられた孔の下端部よりも低い位置に板金82の下端部が配置されている。
【0086】
板金82の上端部及び下端部には、横方向(装置10における左右方向)へと延びる返し部84が設けられている。この返し部84は、板金82の上端部及び下端部が曲げ加工されることによって形成されている。
【0087】
板金82の上端側及び下端側に形成された返し部84は、いずれも搬送ベルト12における搬送面から離れる方向へ延びるように形成されている。ここで、返し部84の端部(
図1における右端)は、通気口76及び通気口78のうち最も左端側に形成されたものよりも右側に配置されるように形成されている。すなわち、板金82は、装置10の正面視で、手前側のカバー60及び奥側のカバー62における、複数の通気口76及び通気口78が配置された領域の、左側と左側上部と左側下部とを覆う略U字型となるように形成されている。
【0088】
図5に示されるように、
図1におけるX方向(すなわち、装置10における右側であり、吸引手段66の側から見て、筐体50a及び筐体50bの傾斜に沿った方向)からの視点で通路80を見ると、搬送ベルト12が、板金82によって覆われて見えないように構成されている。
【0089】
<作用>
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0090】
図1に示されるように、本実施形態によれば、上側に配置された画像形成手段14aと下側に配置された画像形成手段14bとの間に、換気用の通路が形成されている。このような構成によれば、画像形成手段同士を隣接して設けた構成と比較して、画像形成手段の間に気流を発生させやすい。そのため、画像形成手段14a又は画像形成手段14bによる放熱によって熱せられた周囲の空気が換気されやすい。
【0091】
また、通路80は、搬送ベルト12から離れるにつれて、上方へと傾斜している。そのため、画像形成手段14a又は画像形成手段14bによる放熱によって熱せられた周囲の空気が、通路に沿って上方へ上昇する。このような構成によれば、通路80が搬送ベルト12から離れるにつれて、下方へと傾斜して設けられた構成と比較して、熱せられた空気が搬送ベルト12から離れる方向へと移動されやすい。すなわち、本実施形態によれば、効率よく通路80内の空気を冷却することができる。
【0092】
なお、本実施形態においては、搬送ベルト12に対して、中間転写ベルト30a及び中間転写ベルト30bが、転写部24a及び24bにおいて接触するように構成されている。そのため、通路80における左側はこれらの部品によって囲まれており、通路80内の空気が溜まりやすく構成されている。そのため、通路80内の空気は、
図1に示されるような装置10における右側(すなわち、搬送ベルト12から離れる方向)へと流される構造が望ましい。
【0093】
また、本実施形態においては、通路80内の空気が気流を発生させる発生手段(吸引手段66)によって流される(気流が発生する)ように構成されている。このような構成によって、吸引手段66が設けられていない構成と比較して、通路80内に強制的に気流が発生させられる。
【0094】
吸引手段66は、通路80内の空気を、搬送ベルト12における搬送面から離れる方向へと吸引する(すなわち排気する)ように構成されている。このような構成によれば、搬送ベルト12によって通路80の左側がふさがれていても、通路80内の空気を奥行方向に吸引する構成と比較して、通路80内の空気を搬送ベルト12から離れる方向へ気流を発生させられる。
【0095】
また、下側の画像形成手段14bにおける上側には、上側の画像形成手段14aに対して離間して、制御基板70bが設けられている。このような構成によれば、制御基板70bと上側の画像形成手段14aとが隣接して配置された構成と比較して、制御基板70bの周囲に効率的に気流を発生させることができる。これにより、制御基板70bによって熱せられた空気を効率的に換気することができる。
【0096】
また、下側の画像形成手段14bにおける上側かつ制御基板70aの右側には、上側の画像形成手段14aに対して離間した状態で電源基板74bが設けられている。このような構成によれば、電源基板74bと上側の画像形成手段14aとが隣接して配置された構成と比較して、電源基板74bの周囲に効率的に気流を発生させることができる。
【0097】
また、本構成によれば、制御基板70bと比較して、より多く発熱する電源基板74bを左側に配置した構成と比較して、吸引手段66によってより高い温度の空気を効率的に換気することができる。
【0098】
さらに、電源基板74bは、装置10における奥側(すなわち吸引手段66に近い位置)に配置されている。このような構成によれば、電源基板74bを手前側に配置した構成と比較して、より高い温度の空気を効率的に換気することができる。
【0099】
また、通路80における、用紙の搬送経路Pに対して側方側には、外気が通過するための通気口76及び通気口78が備えられている。このような構成によれば、通気口76及び通気口78を設けない構成と比較して、通路80内に外気が効率的に取り込まれる。
【0100】
また、通路80における手前側の通気口76と奥側の通気口78との両方が設けられているため、いずれか片方のみを設けた構成と比較して、通路80内に外気が効率的に取り込まれる。
【0101】
また、通路80における手前側の通気口76と奥側の通気口78とは、上側の画像形成手段14aにおける、一番左側に配置された現像手段34aよりも搬送ベルト12側に配置される。このような構成によれば、通気口76と通気口78とが現像手段34aよりも搬送ベルト12と反対側(すなわち現像手段34aよりも右側)に配置された構成と比較して、現像手段34aの周りにより効率よく気流を発生させることができる。
【0102】
装置10の奥側の壁面には、画像形成手段14a及び14bへとトナーを供給するためのトナーカートリッジ83a及び83bが設けられている。そのため、装置10の奥側のカバー62においては、通気口78を設けるための領域が制限される。したがって、手前側と比較して、通気口76の数が少なくなっている。すなわち、奥側の通気口78よりも、手前側の通気口76の方が、より多くの外気を取り込むことができる。
【0103】
ここで、吸引手段66が、奥側に寄せて設けられていることで、手前側の通気口76から取り込まれた外気(空気)は、通路80における左側手前から、右側奥へと、対角線上に通過することとなる。これにより、吸引手段66を手前側に設けた場合と比較して、より多くの外気(空気)が通路80における長い経路を通過することとなる。すなわち、通路80内が効率的に換気される。
【0104】
また、板金82は、搬送ベルト12における搬送面を覆うように配置されている。ここで、本実施形態の構成によれば、用紙は搬送経路Pに沿って、搬送ベルト12上を縦方向に搬送される。このとき、用紙は、搬送ベルト12に、静電気力によって付着されている。このような搬送状態においては、用紙が横向きに搬送される構成と比較して、用紙が搬送中に搬送経路P上から剥がされやすい状態にある。
【0105】
さらに、本構成においては、吸引手段66によって、通路80内の空気が搬送ベルト12から離れる方向へ吸引されている。そのため、空気の流れによって、用紙が搬送中に搬送経路P上から、より剥がされやすい状態にある。
【0106】
これに対し、本願構成においては、板金82が搬送経路Pを覆っている。このような構成によれば、搬送される媒体を避けるように配置された壁部が設けられた構成と比較して、媒体への気流の影響を抑制できる。
【0107】
また、板金82は、通気口76及び78よりも左側に配置されている。このような構成によれば、板金が通気口76及び78よりも右側に配置された構成と比較して、通気口76及び78から取り込まれた外気(空気)の流れが右方向へと誘導されやすい。
【0108】
また、板金82は、右側に延びる返し部84を有している。このような構成によれば、返し部84が左側に延びた構成と比較して、通気口76及び78から取り込まれた外気(空気)の流れが右方向へと誘導されやすい。
【0109】
また、板金82は、通気口76及び78の最上端から最下端までの長さよりも、縦方向の長さが長く形成されている。このような構成によれば、板金82の縦方向の長さが、通気口76及び78の最上端から最下端までの長さよりも短く形成された構成と比較して、通気口76及び78から取り込まれた外気(空気)の流れが右方向へと誘導されやすい。
【0110】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る画像形成装置110について、
図6を用いて説明する。なお、本実施形態に係る画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置10の変形例であるため、重複する内容については、同一又は関連する記号を付して、適宜、説明を省略する。
【0111】
図6に示されるように、本実施形態における中間転写ベルト130aの右端側は、支持ベルト37及び支持ベルト38によって、上方へと屈曲されている。そして、支持ベルト37及び支持ベルト38よりも上方に配置されたロール138aへと架け渡されている。これにより、中間転写ベルト130aは、上方へ屈曲された略L字状を保つように支持されている。
【0112】
中間転写ベルト130aが、このような形状で保持されることによって、ベルト両端のみが支持された構成と比較して、小さな領域内に長い周長のベルトを設置することができる。また、これにより、中間転写ベルト138aには、より多くの作像部49aを隣接させて配置することができる。
【0113】
本実施形態では、画像形成装置110は、作像部49aで発生した熱を排出することが想定された構成となっている。作像部49aを構成する現像手段34aの内部では、トナー及びキャリアを含んで構成された現像剤が攪拌される。これにより、現像手段34aは、トナー及びキャリアの摩擦熱により発熱する。また、このとき、電圧の付加によっても現像剤が発熱する場合がある。これらにより、現像剤が高温になり、劣化が加速される場合がある。現像剤が劣化すると、帯電不良や、形成される画像の画質悪化を招くおそれがある。
【0114】
ここで、本実施形態にかかる画像形成装置110では、作像部49aは、中間転写ベルト130aに対しては隣接され、中間転写ベルト30bに対しては離間して配置されている。換言すると、作像部49aと中間転写ベルト30bとの間には、外気が通過するための通路80(=外気用通路の一例に相当)が形成されている。
【0115】
<作用>
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0116】
本実施形態では、主に現像手段34aにおいて発生した熱により、作像部49aが発熱する。特に、装置内110に作像部が複数配置されている場合には、作像部付近の空気が滞留し、それぞれの作像部において発生した熱による温度上昇がより顕著になる。ここで、作像部49aの周りの空気は、吸引手段66によって吸引されることで、画像形成装置110の外部へと排出される。また、搬送ベルト12と中間転写ベルト130aと中間転写ベルト30bによって囲まれた領域には、通気口78を通じて取り込まれた外気が流入する。これにより、作像部49aの周りの空気が入れ替えられ、作像部49aが冷却される。ここで、通気口78は、
図6の正面視において、いずれかの作像部49aと重なるように配置されていてもよい。これにより、作像部49aに外気を直接的に導くことが出来る。そのため、装置内110に作像部49aが複数配置されている場合であっても、他の作像部49aの配置に影響されることなく、作像部49aを冷却することができる。
【0117】
なお、画像形成装置110では、中間転写ベルト130aには、複数個の作像部49aが隣接して設けられている。また、通気口78は、少なくとも、これらの作像部49aのうちの、中心よりも搬送ベルト12側に設けられた作像部49aに対して、搬送ベルト12側に設けられている。これにより、通気口78から取り入れられた外気が、より多くの作像部49aを通過することとなる。
【0118】
より詳細には、通気口78は、複数の作像部49aのうち、最も搬送ベルト12側に設けられた作像部49aにおける中心部よりも、搬送ベルト12側に寄せて設けられている。これにより、通気口78から取り入れられた外気が、さらに多くの作像部49aを通過することとなる。
【0119】
本実施形態では、通気口78は、複数の孔によって構成されているが、このうち少なくとも一つの孔は、
図6における正面視(すなわち画像形成装置110における側方視)において作像部49aと重なる箇所に設けられていてもよい。この場合、通気口78を通過した外気が、直接的に作像部49aへと供給されることとなる。そのため、通気口78を通過した外気が他の部品に供給されて反射された後に作像部49aへと供給される構成と比較して、効率よく作像部49aが冷却される。
【0120】
また、通気口78は、複数の作像部49aのうち、少なくとも他の作像部49aよりも搬送ベルト寄りに配置された作像部49aと重なる箇所に設けられていてもよい。これにより、通気口78から取り入れられた外気が、一つの作像部49aに供給されたのちに、他の作像部49aにも供給されることとなる。すなわち、外気がより多くの作像部49aを通過することとなる。
【0121】
より詳細には、通気口78は、複数の作像部49aのうち、最も搬送ベルト12側に設けられた作像部49aと、
図6における正面視(すなわち画像形成装置110における側方視)において、重なるように設けられていてもよい。これにより、通気口78から取り入れられた外気が、さらに多くの作像部49aを通過することとなる。
【0122】
<その他の態様>
以上、本実施形態に係る画像形成装置について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、感光体32a、32bと現像手段34a、34bと帯電ロール48a、48bとは、それぞれ1つの画像形成手段14a、14bに、4つずつ含まれて構成されているとして説明したが、これらの数は複数であればこれより多いものであっても、少ないものであってもよい。また、上記各実施形態においては、媒体が搬送される経路として搬送ベルト12を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、搬送経路Pの上流側及び下流側をロールで保持し、連続紙又はラベル紙を搬送する構成においては、搬送ベルト12を省略してもよい。また、画像形成対象の媒体がカット紙である場合においても、搬送経路Pが、複数のロールによって構成され、搬送用のベルトを含まない構成であってもよい。これらの場合においては、複数の中間転写ベルトと、像形成対象の媒体とによって覆われる領域の空気を、上記各実施形態における構成によって、換気することができる。
【0123】
また、画像形成手段14a、14bにおいて、感光体32a、32bはそれぞれ中間転写ベルト30a、30bに対して下側に配置されているものとして説明したが、これらの配置関係を逆にしてもよい。また、中間転写ベルト30a、30bは、左右方向に離間して配置されたロール36a、36b及びロール38a、38bに架け渡されて構成されているものとして説明したが、架け渡されるロールは、複数でもよい。この場合、中間転写ベルトは、複数のロールに架け渡されるため、例えば略三角形状、略四角形状等の姿勢を保たれる。
【0124】
本実施形態において、用紙の搬送経路Pは、上流側が装置10の下側に、下流側が装置10の上側に配置されている。これにより、搬送される用紙は、装置10の下側から上側へと搬送される。しかしながら、用紙の搬送経路Pの配置はこれに限られるものではなく、例えば、搬送経路Pの上流側と下流側が横並びとされていてもよい。この場合、例えば、搬送経路Pの上流側を装置10における左側に、下流側を右側に配置することができる。このような構成とした場合、上流側の画像形成手段14a、下流側の画像形成手段14bは、用紙の搬送経路Pに沿って、横並びに構成することができる。
【0125】
また、用紙の搬送経路Pの上流側と下流側の配置を、上下逆に構成してもよい。この場合、用紙トレイ16は、装置10における上端側に配置される。また、上流側の画像形成手段14bは、下側の画像形成手段14aの上側に配置される。そして、定着手段18は、装置10の下端側へと配置される。
【0126】
また、下流側の画像形成手段14aと上流側の画像形成手段14bとの間には、さらに他の画像形成手段が配置されていてもよい。このとき、各画像形成手段の間には、それぞれ通路80、吸引手段66、通気口76及び78、及び、板金82が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0127】
10、110 画像形成装置
12 搬送ベルト
30a、30b、130a 中間転写ベルト
49a、49b 作像部
66 吸引手段(発生手段の一例、排出手段の一例、吸引手段の一例)
76、78 通気口
80 通路
82 板金(壁部の一例)
84 返し部