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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電気光学装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240611BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240611BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240611BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 611H
G09G3/20 642A
G09G3/20 623B
G09G3/20 680G
G09G3/20 622A
G09G3/20 621M
G02F1/133 550
G02F1/13 505
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020053852
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021156913
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】藤川 紳介
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/102229(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0092198(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0192573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 ー 5/42
G02F 1/133
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1から第K(Kは2以上の整数)系列に区分されるK本のデータ線を1グループとす
る複数のグループを含むM(MはKよりも大きい整数)本のデータ線と、走査線と、前記
M本のデータ線と前記走査線との各交差に設けられる画素回路と、を有する電気光学装置
において、
前記K本のデータ線に対応して設けられ、前記K本のデータ線に供給されるデータ電圧
が時分割多重された映像信号が供給される信号線と、
前記M本のデータ線の中から、前記信号線に供給されている映像信号の供給先となる少
なくとも1本のデータ線を、対応する系列の選択信号に応じて選択する選択回路と、を有
し、
前記選択回路は、
各々に異なる系列の選択信号が与えられる第1から第K系列の第1選択信号線と、
第1から第K系列の第2選択信号線と、
前記M本のデータ線に対応して設けられ、前記第1から第K系列の第2選択信号線のう
ち対応するデータ線の系列に対応する前記第2選択信号線から与えられる選択信号に応じ
て前記信号線と前記対応するデータ線との接続又は非接続を切り替えるM個のスイッチと

バッファー回路群と、を有し、
前記バッファー回路群は、
前記各系列に各々対応するK個のバッファー回路を含み、
前記K個のバッファー回路のうちの第k(k=1~K)系列のバッファー回路の入力端
は第k系列の前記第1選択信号線に接続され、前記第k系列のバッファー回路の出力端は
第k系列の前記第2選択信号線に接続され
前記バッファー回路群は、K×P(Pは2以上の整数)本のデータ線毎に設けられ、
前記K系列の第2選択信号線を分割する分離部がK×P×Q(Qは2以上の整数)本の
データ線毎に設けられる、
電気光学装置。
【請求項2】
前記第1選択信号線の入力端に近い側と遠い側とで前記Qの値が異なる、請求項に記
載の電気光学装置。
【請求項3】
第1から第K(Kは2以上の整数)系列に区分されるK本のデータ線を1グループとす
る複数のグループを含むM(MはKよりも大きい整数)本のデータ線と、走査線と、前記
M本のデータ線と前記走査線との各交差に設けられる画素回路と、を有する電気光学装置
において、
前記K本のデータ線に対応して設けられ、前記K本のデータ線に供給されるデータ電圧
が時分割多重された映像信号が供給される信号線と、
前記M本のデータ線の中から、前記信号線に供給されている映像信号の供給先となる少
なくとも1本のデータ線を、対応する系列の選択信号に応じて選択する選択回路と、を有
し、
前記選択回路は、
各々に異なる系列の選択信号が与えられる第1から第K系列の第1選択信号線と、
第1から第K系列の第2選択信号線と、
前記M本のデータ線に対応して設けられ、前記第1から第K系列の第2選択信号線のう
ち対応するデータ線の系列に対応する前記第2選択信号線から与えられる選択信号に応じ
て前記信号線と前記対応するデータ線との接続又は非接続を切り替えるM個のスイッチと

バッファー回路群と、を有し、
前記バッファー回路群は、
前記各系列に各々対応するK個のバッファー回路を含み、
前記K個のバッファー回路のうちの第k(k=1~K)系列のバッファー回路の入力端
は第k系列の前記第1選択信号線に接続され、前記第k系列のバッファー回路の出力端は
第k系列の前記第2選択信号線に接続され、
前記バッファー回路群において、第I(I=1~K)系列のバッファー回路の隣に第J
(J=1~K、且つIとJの差は1より大きい)系列のバッファー回路が配置される、
電気光学装置。
【請求項4】
第1から第K(Kは2以上の整数)系列に区分されるK本のデータ線を1グループとす
る複数のグループを含むM(MはKよりも大きい整数)本のデータ線と、走査線と、前記
M本のデータ線と前記走査線との各交差に設けられる画素回路と、を有する電気光学装置
において、
前記K本のデータ線に対応して設けられ、前記K本のデータ線に供給されるデータ電圧
が時分割多重された映像信号が供給される信号線と、
前記M本のデータ線の中から、前記信号線に供給されている映像信号の供給先となる少
なくとも1本のデータ線を、対応する系列の選択信号に応じて選択する選択回路と、を有
し、
前記選択回路は、
各々に異なる系列の選択信号が与えられる第1から第K系列の第1選択信号線と、
第1から第K系列の第2選択信号線と、
前記M本のデータ線に対応して設けられ、前記第1から第K系列の第2選択信号線のう
ち対応するデータ線の系列に対応する前記第2選択信号線から与えられる選択信号に応じ
て前記信号線と前記対応するデータ線との接続又は非接続を切り替えるM個のスイッチと

バッファー回路群と、を有し、
前記バッファー回路群は、
前記各系列に各々対応するK個のバッファー回路を含み、
前記K個のバッファー回路のうちの第k(k=1~K)系列のバッファー回路の入力端
は第k系列の前記第1選択信号線に接続され、前記第k系列のバッファー回路の出力端は
第k系列の前記第2選択信号線に接続され、
前記走査線を駆動する走査線駆動回路の電源と前記バッファー回路群の電源とが分離さ
れている、
電気光学装置。
【請求項5】
請求項1乃至のうちの何れか1項に記載の電気光学装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気光学装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、デマルチプレックス駆動の電気光学装置において、データ線を選択するスイッチ毎にバッファー回路を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-90800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術には、高精細化又は狭ピッチ化への対応が難しいという課題がある。データ線を選択するスイッチ毎にバッファー回路を設ける構成では高精細化又は狭ピッチ化しようとすると、バッファー回路の配置が困難になるからである。また、特許文献1に開示の技術には、データ線毎にバッファー回路が設けられているから、バッファー回路を構成する素子特性のばらつき等に起因して、バッファー回路の出力の遅延のばらつきによる表示ムラが発生するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本開示の電気光学装置の一態様は、第1から第K系列に区分されるK本のデータ線を1グループとする複数のグループを含むM本のデータ線と、走査線と、前記M本のデータ線と前記走査線との各交差に設けられる画素回路と、を有する電気光学装置において、前記K本のデータ線に対応して設けられ、前記K本のデータ線に供給されるデータ電圧が時分割多重された映像信号が供給される信号線と、前記K本のデータ線の中から、前記信号線に供給されている映像信号の供給先となる少なくとも1本のデータ線を、対応する系列の選択信号に応じて選択する選択回路と、を有し、前記選択回路は、各々に異なる系列の選択信号が与えられる第1から第K系列の第1選択信号線と、第1から第K系列の第2選択信号線と、前記M本のデータ線に対応して設けられ、前記第1から第K系列の第2選択信号線のうち対応するデータ線の系列に対応する前記第2選択信号線から与えられる選択信号に応じて前記信号線と前記対応するデータ線との接続又は非接続を切り替えるM個のスイッチと、バッファー回路群と、を有し、前記バッファー回路群は、前記各系列に各々対応するK個のバッファー回路を含み、前記K個のバッファー回路のうちの第k系列のバッファー回路の入力端は第k系列の前記第1選択信号線に接続され、前記第k系列のバッファー回路の出力端は第k系列の前記第2選択信号線に接続される。なお、Kは2以上の整数であり、MはKよりも大きい整数であり、kは1~Kの整数の何れかである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の第1実施形態に係る電気光学装置の説明図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る電気光学装置の構成例を示すブロック図である。
図3】選択回路の構成例を示すブロック図である。
図4】選択回路に含まれるバッファー回路群及びスイッチアレイの構成例を示すブロック図である。
図5】バッファー回路群におけるバッファー回路の配置順序に起因する効果の説明図である。
図6】バッファー回路の出力の遅延差を示す図である。
図7】バッファー回路の出力の遅延のばらつきを示す図である。
図8】遅延差に基づくバッファー回路のグループ分けの説明図である。
図9】本開示の第2実施形態に係る電気光学装置の選択回路の構成例を示すブロック図である。
図10】本開示の第3実施形態に係る電気光学装置の選択回路の構成例を示すブロック図である。
図11】本開示の第4実施形態に係る電気光学装置の選択回路の構成例を示すブロック図である。
図12】変形例1の選択回路の構成例を示すブロック図である。
図13】変形例1の選択回路の構成例を示すブロック図である。
図14】電子機器の一例を示す説明図である。
図15】電子機器の他の例を示す説明図である。
図16】電子機器の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
【0008】
<第1実施形態>
図1は、本開示の第1実施形態に係る電気光学装置1の説明図である。電気光学装置1は、デマルチプレックス駆動の電気光学装置である。図1は、電気光学装置1に対する信号伝送系の構成を示す。電気光学装置1は、電気光学パネル100と、ドライバーIC(Integrated Circuit)等の駆動用集積回路200と、フレキシブル回路基板300とを有する。
【0009】
電気光学パネル100は、駆動用集積回路200が搭載されるフレキシブル回路基板300に接続される。また、電気光学パネル100は、フレキシブル回路基板300及び駆動用集積回路200を介して、図示しないホストCPU(Central Processing Unit)装置に接続される。駆動用集積回路200は、映像信号及び駆動制御のための各種の制御信号をホストCPU装置からフレキシブル回路基板300を介して受信し、フレキシブル回路基板300を介して電気光学パネル100を駆動する装置である。駆動制御のための各種の制御信号には、デマルチプレックス駆動においてデータ線を選択するための選択信号が含まれる。
【0010】
電気光学装置1は、液晶素子を用いて映像を表示する。例えば、電気光学装置1は、各画素の階調を指定する映像信号に基づくデータ電圧を、画素に対応する画素回路に供給することで、各画素回路が有する液晶の透過率をデータ電圧に基づく透過率に制御する。この結果、各画素の階調は、映像信号で指定される階調に設定される。
【0011】
図2は、電気光学装置1の構成例を示すブロック図である。電気光学装置1は、電気光学パネル100と、第1走査線駆動回路110R及び第2走査線駆動回路110Lと、選択回路140Aと、信号生成部150と、実装端子群160とを有する。実装端子群160には、フレキシブル回路基板300が接続される。
【0012】
電気光学パネル100は、N本の走査線120と、M本のデータ線122と、N本の走査線120とM本のデータ線122との各交差に配置されるM×N個の画素回路PXと、を有する。走査線120の総数であるNは2以上の整数である。本実施形態ではN=1080である。また、データ線122の総数であるMも2以上の整数であり、本実施形態では1920である。図2に示す例では、画素回路PXは、縦1080行×横1920列の行列状に配置される。走査線120の数とデータ線122の数と画素回路PXの数とは、図2に示す例に限定されない。以下では、図2の一番上側に記載された画素回路PXの行を1行目とし、図2の一番右側に記載された画素回路PXの列を1列目とする。また、以下では、n行目の画素回路PXに接続される走査線120は、n行目の走査線120とも称され、m列目の画素回路PXに接続されるデータ線122は、m列目のデータ線122とも称される。
【0013】
M本のデータ線122は、例えば、第1系列から第K系列のK本のデータ線122を1つのグループとして複数のグループに分類される。但し、Kは2以上、且つMよりも小さい整数である。本実施形態ではKは8である。より詳細に説明すると、m列目のデータ線122は、mを8で除算したときの剰余により第1から第8系列の8個の系列に区分けされる。なお、mは1から1920までの整数の何れかである。例えば、1列目のデータ線122は第1系列に、2列目のデータ線122は第2系列に、3列目のデータ線122は第3系列に、そして、4列目のデータ線122は第4系列に夫々区分けされる。また、5列目のデータ線122は第5系列に、6列目のデータ線122は第6系列に、7列目のデータ線122は第7系列に、そして、8列目のデータ線122は第8系列に夫々区分けされる。以下では、第1から第8系列の8本のデータ線122を含むグループのことをデータ線群と呼ぶ。本実施形態では、1920本のデータ線122は、240個のデータ線群に分類される。なお、Kは2以上の整数かつMよりも小さい整数であれば8に限定されない。
【0014】
N本の走査線120は、一端が第1走査線駆動回路110Rに接続され、他端が第2走査線駆動回路110Lに接続される。第1走査線駆動回路110R及び第2走査線駆動回路110Lは、信号生成部150から与えられるクロック信号、スタートパルス信号、イネーブル信号に応じて、映像信号の供給対象の行を選択する走査信号を出力する。信号生成部150は、第1走査線駆動回路110R及び第2走査線駆動回路110Lと実装端子群160とに接続される。信号生成部150は、実装端子群160及びフレキシブル回路基板300を介して駆動用集積回路200から与えられる制御信号に応じて上記信号を生成する。本実施形態では、N本の走査線120の各々を順次選択する駆動回路を第1走査線駆動回路110Rと第2走査線駆動回路110Lとを設けたが、何れか1つの走査線回路で実装してもよい。
【0015】
電気光学パネル100には、240個のデータ線群の各々に対応して信号線170-1~170-240が設けられる。図2では、1列目から8列目のデータ線122を含むデータ線群に対応する信号線170-1、及び1913列目から1920列目のデータ線122を含むデータ線群に対応する信号線170-240のみが図示されている。以下では、信号線170-1~170-240の各々を区別する必要がない場合には、信号線170と表記する。信号線170は、実装端子群160と選択回路140Aとに接続される。信号線170には、フレキシブル回路基板300及び実装端子群160を介して駆動用集積回路200から映像信号が与えられる。例えば、信号線170-1には、1列目から8列目のデータ線122に供給されるデータ電圧を時分割多重化した映像信号VID1が与えられる。また、信号線170-240には、1913列目から1920列目のデータ線122に供給するデータ電圧を時分割多重化した映像信号VID240が与えられる。
【0016】
選択回路140Aには、映像信号の他に、第1から第8系列の各系列を選択する選択信号SEL1~SEL8がフレキシブル回路基板300及び実装端子群160を介して駆動用集積回路200から与えられる。選択回路140Aは、240個のデータ線群の各々について、データ線群に対応する信号線170に供給されている映像信号の供給先となる1本のデータ線122を、系列の選択信号SEL1~SEL8に応じて選択する。以下では、m列目のデータ線122に出力される映像信号をSmと表記する。図3は、選択回路140Aの構成例を示すブロック図である。図3に示すように、選択回路140Aは第1選択信号線群1410と、第2選択信号線群1420と、バッファー回路群1430A-1~1430A-3と、スイッチアレイ1440A-1~1440A-6と、第2選択信号線群1420の分離部1450とを有する。
【0017】
第1選択信号線群1410は、各々に異なる系列の選択信号が与えられる第1から第8系列の合計8本の第1選択信号線を含む。図3では詳細な図示を省略したが、本実施形態では、第1選択信号線の右端部が入力端であり、当該入力端は実装端子群160に接続されている。以下では、第k系列に対応する第1選択信号線、即ち選択信号SELkが供給される第1選択信号線を第1選択信号線1410(k)と表記する場合がある。なお、kは1から8の整数のうちの何れかである。図3に示すように、第1選択信号線1410(1)~1410(8)の各々は、互いに平行に配線されている。本実施形態では、第1選択信号線1410(1)~1410(8)の各々は走査線120と平行に配線されている。なお、第1選択信号線1410(k)の入力端は、レベルシフト回路及びバッファー回路を介して実装端子群160に接続されてもよい。
【0018】
第2選択信号線群1420は、第1から第8系列の合計8本の第2選択信号線を含む。以下では、第k系列の第2選択信号線を第2選択信号線1420(k)と表記する場合がある。図3に示すように、第2選択信号線1420(1)~1420(8)の各々は互いに平行に配線されている。また、第1選択信号線1410(k)と第2選択信号線1420(k)とは互いに平行に配線されている。第2選択信号線群1420は、第2選択信号線群1420の分離部1450よって、8×2×2=32本のデータ線122毎に分離されている。
【0019】
選択回路140Aは、240個のデータ線群の各々に一対一に対応する合計240個のスイッチアレイを有する。図3では、これら240個のスイッチアレイのうち、スイッチアレイ1440A-1、1440A-2、1440A-3、1440A-4、1440A-5、及び1440A-6が図示されている。図3に示す例では、スイッチアレイ1440A-1は、1列目から8列目のデータ線122を含むデータ線群に対応し、スイッチアレイ1440A-2は、9列目から16列目のデータ線122を含むデータ線群に対応する。以下では、240個のスイッチアレイの各々を区別する必要がない場合には、スイッチアレイ1440Aと表記する。スイッチアレイ1440Aの詳細については後に明らかする。
【0020】
また、本実施形態の選択回路140Aでは、2つのスイッチアレイ1440Aに対してバッファー回路群が1つ設けられる。本実施形態では、1つのスイッチアレイ1440Aに対して1つのデータ線群が対応し、1つのデータ線群には8本のデータ線122が含まれるのであるから、バッファー回路群は8×2=16本のデータ線122毎に設けられる。選択回路140Aは240個のスイッチアレイ1440Aを有するのであるから、選択回路140Aは120個のバッファー回路群を有する。図3では、これら120個のバッファー回路群のうち、バッファー回路群1430A-1、バッファー回路群1430A-2及びバッファー回路群1430A-3が図示されている。図3に示す例では、バッファー回路群1430A-1は、スイッチアレイ1440A-1及びスイッチアレイ1440A-2に対応する。以下では、120個のバッファー回路群の各々を区別する必要がない場合には、バッファー回路群1430Aと表記する。
【0021】
バッファー回路群1430Aには、高電位電源VDDXと低電位電源VSSXの電位差が動作電圧として供給される。図3に示すように、高電位電源VDDX及び低電位電源VSSXは、第1走査線駆動回路110R及び第2走査線駆動回路110Lに動作電圧を供給する高電位電源VDDY及び低電位電源VSSYとは分離されている。バッファー回路群1430Aの詳細については後に明らかする。
【0022】
図4は、バッファー回路群1430A及びスイッチアレイ1440Aの構成例を示すブロック図である。なお、図4では、バッファー回路群1430A-1、スイッチアレイ1440A-1及びスイッチアレイ1440A-2の構成が図示されている。バッファー回路群1430A-1は、第1から第8系列の各系列に一対一に対応する8個のバッファー回路を含む。図4におけるバッファー回路BUFkは第k系列に対応するバッファー回路である。以下では、バッファー回路BUF1~BUF8の各々を区別する必要がない場合には、バッファー回路BUFと表記する。バッファー回路BUFは、直列に接続されたインバーターINV1及びインバーターINV2により構成される。バッファー回路BUFkの入力端、即ちインバーターINV1の入力端は第1選択信号線1410(k)に接続される。バッファー回路BUFkの出力端、即ちインバーターINV2の出力端は第2選択信号線1420(k)に接続される。前述したように、選択回路140Aには120個のバッファー回路群1430Aが含まれ、1つのバッファー回路群1430Aには8個のバッファー回路BUFが含まれる。従って、選択回路140Aには、960個のバッファー回路BUFが含まれる。
【0023】
図4に示すように、1つのスイッチアレイ1440Aには、当該スイッチアレイ1440Aに対応するデータ線群に含まれる第1から第8系列の合計8本のデータ線122の各々に対応して設けられるスイッチSW1~SW8が含まれる。以下、スイッチSW1~SW8の各々を区別する必要がない場合には、スイッチSWと表記する。前述したように、選択回路140Aには、240個のスイッチアレイ1440Aが含まれ、1つのスイッチアレイ1440Aには8個のスイッチSWが含まれる。従って、選択回路140Aには、8×240=1920個、即ちデータ線122の総数と同数のスイッチSWが含まれる。選択回路140Aに含まれる1920個のスイッチSWの各々には、対応するデータ線122の系列に対応する第2選択信号線から与えられる選択信号に応じて信号線170と当該データ線122との接続又は非接続を切り替える。
【0024】
本実施形態では、スイッチSWはNチャンネルトランジスターである。1つのバッファー回路で複数のスイッチSWを駆動する場合には、スイッチング速度確保のために、バッファー回路を構成する最終段のインバーターのトランジスターの能力はスイッチSWのトランジスターのゲート容量や第2選択信号線の寄生容量を考慮した駆動能力を持たせる。例えば、チャネル長が同じであるならば、バッファー回路を構成する最終段のインバーターのトランジスターのチャネル幅は、バッファー回路が制御するスイッチSWのチャネル幅xスイッチ数のおおむね1/8以上にする態様がよい。スイッチSWkの一端は、当該スイッチSWkを含むスイッチアレイ1440Aに対応するデータ線群に含まれる8本のデータ線122のうちの第k系列のデータ線122に接続される。例えば、スイッチアレイ1440A-1のスイッチSWkの一端はk列目のデータ線122に接続される。スイッチSWkの他端は、上記データ線群に対応する信号線170に共通接続される。例えば、スイッチアレイ1440A-1のスイッチSWkの他端は信号線170-1に共通接続される。そして、スイッチSWkのゲート電極は第2選択信号線1420(k)に接続される。第2選択信号線1420(k)を介してスイッチSWkのゲートに与えられる選択信号がハイレベルになると、スイッチSWkはオンとなり、当該スイッチSWkに対応する第k系列のデータ線122に映像信号が供給される。なお、スイッチSWはNチャンネルトランジスターに限定されない。例えばCMOS構成であってもよい。その場合、第2選択信号線群はNチャンネルトランジスターとPチャンネルトランジスターを制御する一対の信号線をK個、すなわち2xK本有する信号線群となる。
【0025】
本実施形態において第2選択信号線群1420を第1選択信号線群1410と平行に配置した理由は、120個のバッファー回路群1430Aの各々におけるバッファー回路BUFkの出力端を効率良く第2選択信号線1420(k)に接続するためである。本実施形態では、複数のバッファー回路群1430Aの各々におけるバッファー回路BUFkの出力端が第2選択信号線1420(k)に接続されているため、バッファー回路BUFkの駆動負荷となる配線容量は当該バッファー回路BUFkが何れのバッファー回路群1430Aに属するかによらず略等しくなる。このため、本実施形態では、配線容量のばらつきに起因する表示ムラの発生が抑制される。また、本実施形態の選択回路140Aでは、第2選択信号線1420(k)とスイッチSWkとを接続する支線及び第2選択信号線1420(k)とバッファー回路BUFkとを接続する支線は、第2選択信号線1420(k)に沿って一方の方向に信号線170が配置され、他方の方向に他の系列の支線が配置されることが好ましい。このようにすると、第2選択信号線の支線と信号線170との容量結合に起因する第2選択信号線の支線の電位変動に応じた信号線170の電位変動が系列間で略均等になり、容量結合に起因する表示ムラが抑制される。
【0026】
また、第2選択信号線1420(k)には複数のバッファー回路群1430Aの各々におけるバッファー回路BUFkの出力端が接続されているので、バッファー回路BUFkを構成するトランジスターの特性のばらつきに起因するバッファー回路BUFkの出力の遅延のばらつきが平均化される。このため、本実施形態によれば、複数のバッファー回路群1430Aの各々におけるバッファー回路BUFkの出力端を互いに接続しない場合に比較して表示ムラの発生が抑制される。この表示ムラの典型例としては縦スジムラが挙げられる。このように、第2選択信号線は遅延のばらつきを平均化し補正する役割を担うので、第2選択信号線の配線幅は第1選択信号線の配線幅より小さいことが好ましい。このようにするとバッファー回路BUFkからスイッチSWkまでの結線領域をコンパクトに形成することができる。
【0027】
また、バッファー回路群1430Aにおけるバッファー回路BUF1~BUF8の並び順は、図4に示すように、第1選択信号線群1410の入力端に近い側、即ち右側から順にバッファー回路BUF1、バッファー回路BUF3、バッファー回路BUF5、バッファー回路BUF7、バッファー回路BUF2、バッファー回路BUF4、バッファー回路BUF6、そして、バッファー回路BUF8となっている。ここで、図5に示すようにバッファー回路BUF1~BUF8を系列順に並べて構成したバッファー回路群1430Bを有する選択回路140Bを想定する。選択回路140Bでは、図中の点線で囲った部分において、バッファー回路BUFkと第2選択信号線1420(k)とを接続する支線1422と、スイッチSWkと第2選択信号線1420(k)とを接続する支線1424と、で配線容量が形成される。このため、選択回路140Bでは、バッファー回路BUFの駆動負荷となる配線容量が系列毎に異なることとなる。バッファー回路BUFの駆動負荷が系列毎に異なると、スイッチSWを制御するタイミングが系列毎に異なることとなり、表示ムラが発生する。本実施形態では、図4に示すようにバッファー回路BUF1~BUF8が配列されているので、各系列の配線寄生容量が略等しくなり、スイッチSWの制御タイミングは系列によらず略等しくなる。このように、本実施形態によれば、バッファー回路BUFの駆動負荷のばらつきを軽減し、駆動負荷のばらつきに起因する表示ムラの発生を回避できる。図5のバッファー回路BUF1~BUF8が配列において、系列毎の配線容量を略等しくするには支線1422について、第2選択信号線との接続点より更にスイッチSW側へ延長し、1424とについて、第2選択信号線との接続点より更にバッファー回路BUF側へ延長する構成が考えられる。しかし、支線1422、支線1424配線間隔が密になるので配線容量が大きくなってしまう。つまりバッファー回路BUFの駆動負荷が大きくなる問題がある。
【0028】
第1選択信号線1410(k)を介して伝送される信号には、第1選択信号線1410(k)の配線抵抗及び駆動負荷に応じて、第1選択信号線1410(k)の入力側と末端側とで遅延を生じる。また、バッファー回路BUFのインバーターINV1及びインバーターINV2による遅延も存在する。例えば、図6に示すように、第1系列の選択信号SEL1に関しては、1列目のデータ線122に対応するバッファー回路BUFの出力の遅延TD1に比較して、17列目のデータ線122に対応するバッファー回路BUFの出力の遅延TD17は大きくなる。以降、1905列目のデータ線122に対応するバッファー回路BUFまで第1系列のバッファー回路BUFの遅延は大きくなってゆく。バッファー回路BUFの出力の遅延の変化は、巨視的にみれば、図7のグラフG01に示すように、第1選択信号線の入力橋に近い側では急峻で、入力端から遠い側では穏やかになる。以下では、1つの系列に対応する複数のバッファー回路BUFについて巨視的に見た出力の遅延の相違を遅延差と呼ぶ。
【0029】
上記遅延差がある状況下で第k系列に対応する複数のバッファー回路BUFの各々の出力端を第2選択信号線1420(k)に接続すると、上記遅延差を主因として、大きな貫通電流が流れ、バッファー回路BUFにおいて電圧降下が生じる。例えば、図6に示す例では、1列目のデータ線122に対応するバッファー回路群1430Aのバッファー回路BUF1の出力と1905列目のデータ線122に対応するバッファー回路群1430Aのバッファー回路BUF1の出力とが相違する期間T1及び期間T2において貫通電流が流れ得る。これに対して、本実施形態では、第2選択信号線群1420は分離部1450により分離されているので、遅延差の近いバッファー回路BUFでグループが形成される。このため、貫通電流が減少し、バッファー回路BUFにおける電圧降下の発生を抑制することができる。その結果、データ線122への書き込み能力の低下を抑制し、同時にスイッチSWのオフ電位を保つことができる。
【0030】
一方、バッファー回路BUFの出力の遅延を微視的にみた場合、バッファー回路BUFの出力の遅延には、バッファー回路BUFを構成するトランジスターの特性のばらつきに起因するばらつきが発生する。それらを誇張して示したのが図7のグラフG02である。電気光学パネル100において互いに近接した複数のデータ線122に対応するバッファー回路BUFに出力の遅延のばらつきがあると、典型的には縦スジムラとなって視認されやすく、また、外部回路による補正も困難である。これに対して、本実施形態では、図8に示すように、出力の遅延差が近いバッファー回路BUF同士で第1グループ、第2グループ、第3グループ、第4グループ及び第5グループが形成され、グループ内で遅延のばらつきが平均化される。このように、本実施形態では、バッファー回路BUFの出力の遅延のばらつきが補正されるので、当該ばらつきに起因する縦スジムラの発生が抑制される。また、出力の遅延差が近いバッファー回路BUF同士がグルーピングされるので、外部回路により映像信号に補正を施すことも容易になる。
【0031】
また、バッファー回路BUFの消費電力費は大きく、スイッチング時には電源ノイズが発生する。しかし、本実施形態では、バッファー回路BUFに動作電圧を供給する高電位電源VDDX及び低電位電源VSSXと、第1走査線駆動回路110R及び第2走査線駆動回路110Lに動作電圧を供給する高電位電源VDDY及びVSSYとが、電気光学パネル100内で分離されている。このため、バッファー回路BUFの動作に伴うノイズが走査線電位に重畳されることはなく、走査線120の選択電位が安定化する。従って、画素回路PXへの信号書き込み能力が損なわれることはない。また、走査線120の保持電位が安定化するので画素リークが発生せず、良好な表示が実現される。
【0032】
本実施形態の電気光学装置1によれば以下の4つの効果が奏される。
第1の効果は、スイッチSW毎にバッファー回路BUFを配置せず、複数のスイッチSWをより少ない数のバッファー回路BUFにより駆動するという構成から導かれる効果である。具体的には、高精細化及び狭ピッチ化への対応の際にバッファー回路BUFの配置が容易になる。また、複数のバッファー回路BUFにより同系列に属する複数のスイッチSWが駆動されるので、バッファー回路BUFの出力の遅延のばらつきが補正され、表示ムラの発生が抑制される。つまり、本実施形態によれば、表示ムラの発生を回避しつつ高精細化及び狭ピッチ化への対応が可能となる。
【0033】
第2の効果は、分離部1450により第2選択信号線群1420が分離されているという構成により導かれる効果である。具体的には、バッファー回路BUFの出力の遅延差に起因する貫通電流の発生が抑制され、バッファー回路BUFにおける電圧降下が抑制される。バッファー回路BUFにおける電圧降下が抑制されるので、データ線122への書き込み能力の低下が抑制される。また、スイッチSWのオフを保ち、意図しないリークの発生を回避できる。
【0034】
第3の効果は、バッファー回路群1430Aにおいて第I系列のバッファー回路BUFの隣に第J系列のバッファー回路BUFが配置されるという構成により導かれる効果である。なお、I及びJは1~Kの範囲の整数であり、且つIとJの差は1より大きい。この構成により、電気光学装置1では、各系列における第2選択信号線の配線寄生容量が略等しくなり、当該配線寄生要領のばらつきに起因する表示ムラの発生が抑制される。
【0035】
第4の効果は、第1走査線駆動回路110R及び第2走査線駆動回路110Lに動作電圧を供給する高電位電源VDDY及び低電位電源VSSYと、バッファー回路BUFに動作電圧を供給する高電位電源VDDX及び低電位電源VSSXとが電気光学パネル100内で分離されているという構成から導かれる効果である。この構成により、バッファー回路BUFの電源ノイズが走査線電位に重畳されず、走査線120の選択電位が安定化し、画素の信号書き込み能力が損なわれない。また、この構成により、走査線120の保持電位が安定化し、画素リークの発生が抑止され良好な表示が実現される。
【0036】
<その他の実施形態>
第1実施形態では、M本のデータ線122は第1から第8系列に区分される8本のデータ線122を1グループとする複数のグループにグループ分けされた。そして、第1から第8の各系列に各々対応する8個のバッファー回路BUFを含むバッファー回路群1430Aが8×2本のデータ線122毎に設けられた。しかし、データ線122の系列数Kは8に限定される訳ではない。
【0037】
図9は、本開示の第2実施形態の選択回路140Cの構成例を示す図である。選択回路140Cと選択回路140Aとの相違点は次の通りである。第1の相違点は、選択回路140CではKが12である点である。Kが12であるため、選択回路140Cは、各々が12個のスイッチSWを含むスイッチアレイ1440Bを160個有する。図9では160個のスイッチアレイ1440Bのうちの5個が図示されている。図9に示すように、選択回路140Cにおいても、2つのスイッチアレイ1440Bに対して、バッファー回路BUF1~BUF12を含むバッファー回路群が1つ設けられる。従って選択回路140Cは80個のバッファー回路群を有する。選択回路140Cに含まれるスイッチの総数は12×160=1920であり、選択回路140Cに含まれるバッファー回路BUFの総数は12×160/2=960である。本実施形態によれば、表示ムラの発生を回避しつつ高精細化及び狭ピッチ化への対応が可能となる。
【0038】
また、データ線の系列数がKであり、バッファー回路群をK×P本のデータ線毎に設ける場合におけるPの値は2に限定される訳ではない。図10は、本開示の第3実施形態の選択回路140Dの構成例を示す図である。選択回路140Dでは、Kは8であり、Pは4である。選択回路140Dは選択回路140Aと同様に240個のスイッチアレイ1440Aを含み、4つのスイッチアレイ1440Aに対して、8個のバッファー回路BUFを含むバッファー回路群を1つ有する。従って、選択回路140Dに含まれるバッファー回路BUFの総数は、8×240/4=480個である。選択回路140Dに含まれるバッファー回路BUFの総数は、選択回路140A又は選択回路140Cに含まれるバッファー回路BUFの総数よりも少ないため、第3実施形態によれば、第1実施形態及び第2実施形態に比較して高精細化及び狭ピッチ化への対応が容易になる。
【0039】
図11は、本開示の第4実施形態の選択回路140Eの構成例を示す図である。選択回路140Eでは、Kは12であり、Pは3である。選択回路140Eは選択回路140Cと同様に160個のスイッチアレイ1440Bを含み、3つのスイッチアレイ1440Bに対して、12個のバッファー回路BUFを含むバッファー回路群を1つ有する。従って、選択回路140Eに含まれるバッファー回路BUFの総数は、12×160/3=640個である。選択回路140Eに含まれるバッファー回路BUFの総数は、選択回路140A又は選択回路140Cに含まれるバッファー回路BUFの総数よりも少ないため、第4実施形態によっても、第1実施形態及び第2実施形態に比較して高精細化及び狭ピッチ化への対応が容易になる。
【0040】
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
<変形例1>
上記第1、第2、第3及び第4実施形態では、K×P×2本のデータ線毎に第2選択信号線群1420の分離部1450が設けられた。しかし、K×P×Q本のデータ線毎に第2選択信号線群1420の分離部1450を設ける場合におけるQの値は2に限定される訳ではなく、2以上の整数であればよい。図12は、K=8、P=2、及びQ=4の場合の選択回路140Fの構成例を示すブロック図である。なお、図12では、スイッチアレイはSWARと表記される。Qの値は、第2選択信号線群1420の分離部1450でグループ分けされる複数のバッファー回路BUFの出力の遅延差のばらつきの大きさが所定範囲に収まるように適宜設定されればよい。なお、バッファー回路BUFの出力の遅延差及びバッファー回路BUFにける電圧降下を無視できる場合には第2選択信号線群1420の分離部1450を省略してもよい。
【0041】
また、電気光学装置全体でQの値が一定である必要はない。具体的には、第1選択信号線の入力端に近い側と遠い側とでQの値が異なっていてもよい。図13は、第1選択信号線の入力端に近い側のから遠い側に向かうにつれてQ=2→2→4→4とQの値が大きくなるように構成された選択回路140Gの構成例を示すブロック図ある。なお、図13では、スイッチアレイはSWARと表記される。図7に示したように、第1選択信号線の入力端から遠い側におけるバッファー回路BUFの出力の遅延差は、当該入力端から近い側におけるバッファー回路BUFの出力の遅延差よりも小さくなる。このため、第1選択信号線の入力端から遠い側では、出力を平均化するバッファー回路BUFの数が多くなっても特段の問題は生じ難い。これを踏まえて、図13に示す例では、第1選択信号線の入力端に近い側のから遠い側に向かうにつれてQの値が大きくなるように第2選択信号線群1420の分離部1450が設けられている。
【0042】
<変形例2>
上記第1実施形態では、第I系列のバッファー回路BUFの隣に第J系列のバッファー回路BUFが配置され、JとIの差は1より大きかった。しかし、JとIの差が1より大きいことは必須ではない。また、上記第1実施形態では、バッファー回路BUFの電源と走査線駆動回路の電源とが分離されていたが、両電源の分離も必須ではない。
【0043】
<変形例3>
上述した第1、第2、第3及び第4実施形態においては、電気光学装置として液晶を用いた装置を例示したが、本開示はこれに限定されない。即ち、電気エネルギーによって光学特性が変化する電気光学材料を用いる電気光学装置であればよい。なお、電気光学材料とは、電流信号又は電圧信号等の電気信号の供給によって透過率や輝度といった光学的特性が変化する材料である。例えば、有機EL(ElectroLuminessent)、無機ELや発光ポリマーなどの発光素子を用いた表示パネルに対しても上述した各実施形態と同様に本開示が適用され得る。
【0044】
また、着色された液体と当該液体に分散された白色の粒子とを含むマイクロカプセルを電気光学材料として用いた電気泳動表示パネルに対しても上述した各実施形態と同様に本開示が適用され得る。更に、極性が相違する領域ごとに異なる色に塗り分けられたツイストボールを電気光学材料として用いたツイストボールディスプレイパネルに対しても上述した各実施形態と同様に本開示が適用され得る。黒色トナーを電気光学材料として用いたトナーディスプレイパネルなど各種の電気光学装置に対しても上述した各実施形態と同様に本開示が適用され得る。
【0045】
<応用例>
本開示は、各種の電子機器に利用され得る。図14から図16は、本開示の適用対象となる電子機器の具体的な形態を例示するものである。
【0046】
図14は、電子機器の一例を示す説明図である。なお、図14は、電気光学装置1を採用した可搬型のパーソナルコンピューター2000の斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置1と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを有する。
【0047】
図15は、電子機器の他の例を示す説明図である。なお、図15は、携帯電話機3000の斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する電気光学装置1とを有する。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置1に表示される画面がスクロールされる。
【0048】
図16は、電子機器の他の例を示す説明図である。なお、図16は、電気光学装置1を採用した投射型表示装置4000の構成を示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。図16に示す電気光学装置1Rは、赤色の表示色に対応する電気光学装置1であり、電気光学装置1Gは、緑の表示色に対応する電気光学装置1であり、電気光学装置1Bは、青色の表示色に対応する電気光学装置1である。
【0049】
即ち、投射型表示装置4000は、赤、緑及び青の表示色に各々対応する3個の電気光学装置1R、1G、1Bを有する。照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置1Rに供給し、緑色成分gを電気光学装置1Gに供給し、青色成分bを電気光学装置1Bに供給する。各電気光学装置1R、1G、1Bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置1R、1G、1Bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。即ち、本開示は、液晶プロジェクターにも適用可能である。
【0050】
なお、本開示が適用される電子機器としては、図1、及び図14から図16に例示した機器のほか、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)が挙げられる。その他にも、デジタルスチルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,車載用の表示器(インパネ),電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサー,ワークステーション,テレビ電話,POS端末が挙げられる。更に、プリンター,スキャナー,複写機,ビデオプレーヤー,タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【0051】
<実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様>
本開示は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実現することができる。例えば、本開示は、以下の態様によっても実現可能である。以下に記載した各態様中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、或いは本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0052】
本開示の電気光学装置は、第1から第K系列に区分されるK本のデータ線を1グループとする複数のグループを含むM本のデータ線と、走査線と、前記M本のデータ線と前記走査線との各交差に設けられる画素回路と、を有する。Kは2以上の整数であり、MはKよりも大きい整数である。また、本開示の電子光学機器は、前記K本のデータ線に対応して設けられ、前記K本のデータ線に供給されるデータ電圧が時分割多重された映像信号が供給される信号線と、前記K本のデータ線の中から、前記信号線に供給されている映像信号の供給先となる少なくとも1本のデータ線を、対応する系列の選択信号に応じて選択する選択回路と、を有する。前記選択回路は、各々に異なる系列の選択信号が与えられる第1から第K系列の第1選択信号線と、第1から第K系列の第2選択信号線と、を有する。前記選択回路は、更に、前記M本のデータ線に対応して設けられ、前記第1から第K系列の第2選択信号線のうち対応するデータ線の系列に対応する前記第2選択信号線から与えられる選択信号に応じて前記信号線と前記対応するデータ線との接続又は非接続を切り替えるM個のスイッチと、バッファー回路群と、を有する。前記バッファー回路群は、前記各系列に各々対応するK個のバッファー回路を含む。前記K個のバッファー回路のうちの第k系列のバッファー回路の入力端は第k系列の前記第1選択信号線に接続され、前記第k系列のバッファー回路の出力端は第k系列の前記第2選択信号線に接続される。kは1~Kまでの整数の何れかである。本態様によれば、スイッチ毎にバッファー回路を配置しないので、バッファー回路の配置が容易になり、高精細化及び狭ピッチ化への対応が可能となる。また、複数のバッファー回路により同系列に属する複数のスイッチが駆動されるので、当該複数のバッファー回路の出力の遅延のばらつきが補正され、表示ムラが抑制される。このように、本態様によれば、表示ムラの発生を回避しつつ高精細化及び狭ピッチ化への対応が可能となる。
【0053】
より好ましい態様の電気光学装置においては、前記バッファー回路群は、K×P本のデータ線毎に設けられてもよい。なお、Pは2以上の整数である。本態様によれば、データ線の系列数Kに応じてPの値を適切に設定することで、バッファー回路の配置を容易にしつつ、表示ムラの抑制を実現できる。
【0054】
更に好ましい態様の電気光学装置においては、前記K系列の第2選択信号線を分割する分離部がK×P×Q本のデータ線毎に設けられてもよい。なお、Qは2以上の整数である。本態様によれば、第2選択信号線群が適時分割されるので、バッファー回路の出力の遅延差による貫通電流が抑制され、バッファー回路の電圧降下が抑制される。
【0055】
更に好ましい態様の電気光学装置においては、電気光学装置全体でQの値が一定である必要はなく、前記第1選択信号線の入力端に近い側と遠い側とで前記Qの値が異なってもよい。具体的には、第1選択信号線の入力端に近い側のから遠い側に向かうにつれてQの値を大きくすることで、バッファー回路間の貫通電流を効果的に抑制し、バッファー回路の電圧降下を効果的に抑制することが可能になる。また、バッファー回路群を単位とした映像補正等も対応しやすくなる。
【0056】
更に好ましい態様の電気光学装置においては、前記バッファー回路群において、第I系列のバッファー回路の隣に第J系列のバッファー回路が配置されてもよい。なお、Iは1~Kの整数の何れかであり、Jは=1~K、且つIとの差が1より大きい整数である。本態様によれば、各系列における第2選択信号線の配線寄生容量が略等しくなり、表示ムラが抑制される。
【0057】
更に好ましい態様の電気光学装置においては、前記走査線を駆動する走査線駆動回路の電源と前記バッファー回路群の電源とが分離されていてもよい。本態様によれば、バッファー回路の電源ノイズが走査線電位に重畳されず、走査線の選択電位が安定するので、画素の信号書き込み能力を損なわない。また、走査線の保持電位を安定するので、画素リークの発生が抑止され、良好な表示を実現できる。
【0058】
また、本開示の電子機器は、上記何れかの態様の電気光学装置を有する。本態様によっても、表示ムラの発生を回避しつつ高精細化及び狭ピッチ化への対応が可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1、1B、1G、1R…電気光学装置、100…電気光学パネル、110R…第1走査線駆動回路、110L…第2走査線駆動回路、120…走査線、122…データ線、140A、140B、140C、140D、140E、140F、140G…選択回路、150…信号生成部、160…実装端子群、170…信号線、200…駆動用集積回路、300…フレキシブル回路基板、1410…第1選択信号線群、1420…第2選択信号線群、1430A、1430B、1430C…バッファー回路群、1440A、1440B…スイッチアレイ、BUF、BUF1~BUF8…バッファー回路、SW、SW1~SW8…スイッチ、INV1,INV2…インバーター、1450…分離部、2000…パーソナルコンピューター、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2010…本体部、3000…携帯電話機、3001…操作ボタン、3002…スクロールボタン、4000…投射型表示装置、4001…照明光学系、4002…照明装置、4003…投射光学系、4004…投射面、PX…画素回路。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16