IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図1
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図2
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図3
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図4
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図5
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図6
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図7
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図8
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図9
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図10
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図11
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図12
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図13
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図14
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図15
  • 特許-液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、および、液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B41J2/14 305
B41J2/14 611
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020053956
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021154495
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼部 本規
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-321174(JP,A)
【文献】特開2008-198959(JP,A)
【文献】特開2006-205620(JP,A)
【文献】特開2008-195001(JP,A)
【文献】特開2006-044242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記第2部分の厚さは、前記第1部分の厚さよりも薄く、
前記振動板は、厚さ方向において前記圧力室から遠い一面である第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記厚さ方向において、前記第1部分における前記第1面の位置は、前記第2部分における前記第1面の位置と同じ位置であり、
前記厚さ方向において、前記第2部分における前記第2面は、前記第1部分における前記第2面に対して、前記圧力室と反対側に位置し、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記第2電極は、前記圧電体と前記振動板との間に設けられ、
前記第1電極は、前記第2電極との間に前記圧電体を挟んで設けられることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記第2部分の厚さは、前記第1部分の厚さよりも薄く、
前記振動板は、厚さ方向において前記圧力室から遠い一面である第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記厚さ方向において、前記第1部分における前記第1面の位置は、前記第2部分における前記第1面の位置と同じ位置であり、
前記厚さ方向において、前記第2部分における前記第2面は、前記第1部分における前記第2面に対して、前記圧力室と反対側に位置し、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記第2電極の前記第1位置における前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さいことを特徴とする体吐出ヘッド。
【請求項3】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記第2部分の厚さは、前記第1部分の厚さよりも薄く、
前記振動板は、厚さ方向において前記圧力室から遠い一面である第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記厚さ方向において、前記第1部分における前記第1面の位置は、前記第2部分における前記第1面の位置と同じ位置であり、
前記厚さ方向において、前記第2部分における前記第2面は、前記第1部分における前記第2面に対して、前記圧力室と反対側に位置し、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記振動板は、少なくとも前記第1位置において、前記第2部分から前記第1方向に前記第1部分を隔てて第3部分を有し、
前記第1方向及び前記第2方向において、前記第3部分と重なる位置には、前記圧電体が設けられていないことを特徴とする体吐出ヘッド。
【請求項4】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記第1部分及び前記第2部分は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲外の位置である第3位置まで延在し、
前記第3位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第2幅以下であり、
前記第2部分の厚さは、前記第1部分の厚さよりも厚いことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項5】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記第1部分及び前記第2部分は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲外の位置である第3位置まで延在し、
前記第3位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第2幅以下であり、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記第2電極は、前記圧電体と前記振動板との間に設けられ、
前記第1電極は、前記第2電極との間に前記圧電体を挟んで設けられることを特徴とする体吐出ヘッド。
【請求項6】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記第1部分及び前記第2部分は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲外の位置である第3位置まで延在し、
前記第3位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第2幅以下であり、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記第2電極の前記第1位置における前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さいことを特徴とする体吐出ヘッド。
【請求項7】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記第1部分及び前記第2部分は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲外の位置である第3位置まで延在し、
前記第3位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第2幅以下であり、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記振動板は、少なくとも前記第1位置において、前記第2部分から前記第1方向に前記第1部分を隔てて第3部分を有し、
前記第1方向及び前記第2方向において、前記第3部分と重なる位置には、前記圧電体が設けられていないことを特徴とする体吐出ヘッド。
【請求項8】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記圧電素子に積層された金属層を備え、
前記金属層は、前記第1方向及び前記第2方向において、前記第2部分の前記第1幅よりも小さい幅を有する部分と重なり、かつ、前記圧力室が延在する範囲外に延在することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項9】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記第2電極の前記第2位置における前記第1方向の幅は、前記第2幅よりも大きく、
前記第2部分の厚さは、前記第1部分の厚さよりも厚いことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項10】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記第2電極の前記第2位置における前記第1方向の幅は、前記第2幅よりも大きく、
前記第2電極は、前記圧電体と前記振動板との間に設けられ、
前記第1電極は、前記第2電極との間に前記圧電体を挟んで設けられることを特徴とする体吐出ヘッド。
【請求項11】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記第2電極の前記第2位置における前記第1方向の幅は、前記第2幅よりも大きく、
前記第2電極の前記第1位置における前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さいことを特徴とする体吐出ヘッド。
【請求項12】
圧電素子と、
前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、
前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、
複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、
前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有し、
前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、
前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であり、
前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、
前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、
前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられ、
前記第2電極の前記第2位置における前記第1方向の幅は、前記第2幅よりも大きく、
前記振動板は、少なくとも前記第1位置において、前記第2部分から前記第1方向に前記第1部分を隔てて第3部分を有し、
前記第1方向及び前記第2方向において、前記第3部分と重なる位置には、前記圧電体が設けられていないことを特徴とする体吐出ヘッド。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドの吐出動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および、アクチュエーターに関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドに関して、特許文献1には、振動板と、圧電素子と、並設された複数の圧力室と、圧力室と連通するノズルとを有する液体吐出ヘッドが開示されている。この液体吐出ヘッドは、例えば、プリンター等の液体吐出装置に備えられ、圧電素子の変形によって振動板を振動させることで圧力室の容積を変化させ、圧力室に供給されたインク等の液体をノズルから吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-58467号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような液体噴射ヘッドでは、複数の圧力室の並設方向において、振動板の、圧力室の端部に近い部分と圧力室の端部から離れた中央部分との間に段差を設けることによって、圧力室の容積の変化効率や振動体の耐久性が向上する可能性があることを、本願発明者らは見出した。一方で、上述した段差を設けることによって、個々の圧力室の長手方向の端部付近において振動板に段差が生じ、この端部付近に生じた段差に振動由来の応力が集中することで、クラック等の損傷が生じやすい虞があることを、本願発明者らは更に見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、圧電素子と、前記圧電素子に対応する圧力室が形成された圧力室基板と、前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドにおいて、複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有する。前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅である。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドは、上記第1の形態における液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドの吐出動作を制御する制御部と、を有する。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、圧電素子と、前記圧電素子に対応する圧力室と前記圧電素子との間に設けられる振動板と、を有するアクチュエーターが提供される。このアクチュエーターにおいて、複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、前記複数の圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有する。前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態としての液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置の概略構成を示す説明図である。
図2】本実施形態の液体吐出ヘッドの構成を示す分解斜視図である。
図3】液体吐出ヘッドの要部の断面を示す概略図である。
図4】圧電部の概略構成を説明する図である。
図5】第1実施形態の第1位置における圧電部及び圧力室基板の断面を示す図である。
図6】第1実施形態の第2位置における圧電部及び圧力室基板の断面を示す図である。
図7図4に示した圧電部のVII-VII断面を示す図である。
図8】第2実施形態における圧電部及び圧力室基板の断面を示す図である。
図9】第2実施形態の第1位置における圧電部及び圧力室基板の断面を示す図である。
図10】第2実施形態の第2位置における圧電部及び圧力室基板の断面を示す図である。
図11】第3実施形態における圧電部の概略構成を説明する図である。
図12】第4実施形態における圧電部の概略構成を説明する図である。
図13】第4実施形態の第1位置における圧電部及び圧力室基板の断面を示す図である。
図14】第5実施形態における圧電部の概略構成を説明する図である。
図15】第6実施形態の第1位置における圧電部及び圧力室基板の断面を示す図である。
図16】第6実施形態の第2位置における圧電部及び圧力室基板の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態としての液体吐出ヘッド200を備える液体吐出装置100の概略構成を示す説明図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。X,Y,Z方向は、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸に沿った方向であり、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを、両方含む。具体的には、前記X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向が、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向であり、前記X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向が、それぞれ-X方向,-Y方向,-Z方向である。X方向及びY方向に沿った平面をXY平面と呼び、X方向及びZ方向に沿った平面をXZ平面と呼び、Y方向及びZ方向に沿った平面をYZ平面と呼ぶこともある。なお、図1において、X軸およびY軸は水平面に沿った軸であり、Z軸は鉛直線に沿った軸である。従って、本実施形態では、-Z方向は、重力方向である。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。また、本明細書中で、直交とは、90°±10°の範囲を含む。
【0010】
本実施形態の液体吐出装置100は、液体としてインクを吐出することによって印刷媒体P上に画像を印刷する、インクジェットプリンターである。液体吐出装置100は、印刷媒体Pにおけるドットのオン・オフを示す印刷データに基づいて紙等の印刷媒体P上にインクを噴射し、印刷媒体P上の様々な位置にドットを形成することにより、印刷媒体P上に画像を印刷する。なお、印刷媒体Pとしては、紙の他にも、例えば、プラスチック、フィルム、繊維、布帛、皮革、金属、ガラス、木材、セラミックスなど、液体を保持できるものを用いることができる。
【0011】
液体吐出装置100は、液体を噴射する液体吐出ヘッド200と、液体吐出ヘッド200を保持するキャリッジ40と、キャリッジ40を駆動させる駆動モーター46と、印刷媒体Pを搬送する搬送モーター51と、液体としてのインクを貯留するインクカートリッジ80と、制御部110とを、備える。
【0012】
制御部110は、1以上のプロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。制御部110は、印刷データに従って、液体吐出装置100に備えられた各機構を制御することによって、液体吐出ヘッド200から印刷媒体P上にインクを吐出し、印刷媒体P上に画像を印刷する。すなわち、制御部110は、液体吐出ヘッド200の、液体を吐出する吐出動作を制御する。なお、制御部110は、例えば、図示しない外部のコンピューター等から受信した画像データを変換して、印刷データを生成することができる。
【0013】
インクカートリッジ80は、液体吐出ヘッド200へ供給されるインクを貯留する。本実施形態では、それぞれ異なる色彩を有するインクを貯留する4つのインクカートリッジ80が、キャリッジ40に着脱可能に装着されている。インクカートリッジ80は、キャリッジ40に装着されることによって液体吐出ヘッド200と接続され、インクカートリッジ80から液体吐出ヘッド200へのインクの供給が可能となる。なお、インクカートリッジ80は、例えば、キャリッジ40に装着されることなく、液体吐出装置100本体に装着されてもよい。また、インクカートリッジ80は、例えば、可撓性のチューブ等の流路や、加圧ポンプ等の圧送手段を介して液体吐出ヘッド200と接続されてもよい。また、液体吐出装置100は、インクを貯留する機構として、例えば、インクカートリッジ80ではなく、インクタンクや、可撓性フィルムで形成された袋状の液体パック等を備えていてもよい。
【0014】
本実施形態では、4つのインクカートリッジ80内には、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの色彩を有する、異なる4種類のインクが貯留されている。インクカートリッジ80やインクタンクに貯留されるインクの種類や数は特に限定されない。例えば、他の実施形態では、インクの種類は3種類以下であってもよいし、5種類以上であってもよい。液体吐出装置100は、例えば、上記の4色の他に、例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイトなど、任意の色のインクを貯留するインクカートリッジ80を、更に備えていてもよい。また、インクの種類の数と、インクカートリッジ80やインクタンクの数とは、対応していてもよいし、対応していなくてもよい。
【0015】
液体吐出ヘッド200は、印刷媒体P上に、インクカートリッジ80から供給されたインクを液滴状の形態で吐出する。液体吐出ヘッド200は、フレキシブルケーブル41を介して、制御部110と電気的に接続されている。液体吐出ヘッド200の詳細については後述する。なお、液体吐出装置100は、2つ以上の複数の液体吐出ヘッド200を備えていてもよい。
【0016】
キャリッジ40は、上述したように液体吐出ヘッド200を保持している。キャリッジ40は、駆動モーター46の駆動によって、主走査方向に沿って往復移動する。本実施形態では、主走査方向はX方向に沿った方向である。キャリッジ40は、駆動モーター46から駆動ベルト47を介して伝達された駆動力によって、X方向に沿って設けられた図示しないキャリッジガイドに沿って移動する。キャリッジ40の移動に伴って、キャリッジ40に保持された液体吐出ヘッド200、及び、キャリッジ40に装着されたインクカートリッジ80も、X方向に沿って往復移動する。
【0017】
印刷媒体Pは、搬送モーター51から図示しない搬送ローラーを介して伝達された駆動力によって、プラテン55上を主走査方向と交差する副走査方向に沿って搬送される。本実施形態では、副走査方向はY方向に沿った方向である。なお、本実施形態では主走査方向と副走査方向とは互いに直交する方向であるが、他の実施形態では、主走査方向と副走査方向とは互いに直交しなくてもよい。
【0018】
図2は、本実施形態の液体吐出ヘッド200の構成を示す分解斜視図である。本実施形態における液体吐出ヘッド200は、ノズル板210と、圧力室基板220と、圧電部230と、封止部250とが、Z方向に積層されることによって、構成されている。
【0019】
ノズル板210は、薄板状の部材である。本実施形態では、ノズル板210は、XY平面に沿って配置され、液体吐出ヘッド200の最も-Z方向に位置する部分を構成する。ノズル板210には、多数のノズル211がX軸方向に沿って一列に並んで形成されている。ノズル211は、ノズル板210を厚さ方向であるZ軸方向に貫通する貫通孔として形成されている。液体吐出ヘッド200は、このノズル211から液体を噴射する。ノズル211のことを吐出口と呼ぶこともある。なお、他の実施形態では、ノズル211の列の数は1列でなくてもよく、ノズル板210に2列以上のノズル211が形成されていてもよい。
【0020】
本実施形態では、ノズル板210は、ステンレス鋼(SUS)により形成されている。なお、ノズル板210は、ステンレス鋼に限らず、例えば、ニッケル(Ni)合金などの他の種類の金属、または、ポリイミドやドライフィルムレジストなどの樹脂材料、シリコン(Si)の単結晶基板やガラスセラミックスなどの無機材料等により形成されていてもよい。
【0021】
圧力室基板220は、圧力室221を区画する板状の部材である。図2に示すように、圧力室基板220は、ノズル板210上に積層される。具体的には、圧力室基板220の-Z方向の面は、接着剤を介してノズル板210の+Z方向の面と接合される。他の実施形態では、圧力室基板220とノズル板210との接合に接着剤を用いなくてもよい。例えば、圧力室基板220は、熱溶着フィルムを介してノズル板210と接合されてもよい。
【0022】
本実施形態において、圧力室基板220は、Siの単結晶基板によって形成されている。他の実施形態では、圧力室基板220は、Siの単結晶基板に限らず、例えば、Siを主成分とする他の材料や、他のセラミックス材料、ガラス材料等により形成された基板であってもよい。
【0023】
図2に示すように、圧力室基板220には、液体の流路となる圧力室221、インク供給路223、及び、連通部225を形成するための、圧力室基板220をZ方向に貫通する孔HLが形成されている。ノズル板210に圧力室基板220が積層され、圧力室基板220に後述する振動板231が積層されることによって、上述の圧力室221とインク供給路223と連通部225とが、区画される。なお、例えば、振動板231が圧力室基板220上に積層された後に、孔HLの一部や全部が形成されてもよい。
【0024】
図2に示すように、圧力室基板220は、複数の圧力室221を区画する。本実施形態では、複数の圧力室221は、X方向に沿って配列されている。ノズル板210に圧力室基板220が積層されることによって、複数の圧力室221それぞれは、ノズル211と連通する。本実施形態では、複数の圧力室221が、多数のノズル211の配列と対応するように、X方向に並んで配列されている。なお、複数の圧力室221が配列される方向のことを第1方向と呼ぶこともある。本実施形態では、第1方向はX方向である。
【0025】
図2に示すように、複数の圧力室221それぞれは、Z方向から見て、Y方向を長手方向とする略平行四辺形状を有している。すなわち、複数の圧力室221それぞれは、Y方向に沿って延在している。なお、複数の圧力室それぞれが延在する方向を第2方向と呼ぶこともある。本実施形態では、第2方向はY方向である。
【0026】
連通部225は、複数の圧力室221それぞれに共通な空部である。連通部225は、インク供給路223を介して、複数の圧力室221それぞれと連通する。インク供給路223は、圧力室221よりも狭い幅で形成されており、連通部225から圧力室221に流入するインクに対して流路抵抗となる。
【0027】
図2に示すように、圧電部230は、圧力室基板220上に、振動板231及び圧電素子240が積層されることによって構成されている。
【0028】
振動板231は、圧電素子240と、圧力室基板220との間に設けられている。本実施形態の振動板231は、圧力室基板220上に形成された可撓層232と、可撓層232上に形成された保護層233とを有している。可撓層232は、例えば、二酸化シリコンによって形成され、保護層233は、例えば、酸化ジルコニウムによって形成される。
【0029】
圧電部230は、圧電素子240の変形によって、振動板231を撓ませることで、圧力室221の容積を変化させることができる。圧電素子240の変形による振動板231の撓みのことを、振動や、単に変形と呼ぶこともある。なお、圧電部230をアクチュエーターと呼ぶこともある。また、圧電部230の構成や、圧電素子240の詳細については、後述する。
【0030】
封止部250は、圧電部230上に接着剤を介して接合される。封止部250は、圧電素子保持部251と、マニホールド部252とを、有している。また、封止部250の+Z方向側の面には、駆動回路90が設けられている。
【0031】
本実施形態では、封止部250は、Si単結晶基板を用いて形成されている。なお、封止部250は、他のセラミックス材料やガラス材料等によって構成されていてもよい。この場合、封止部250としては、圧力室基板220の熱膨張率と略同一の熱膨張率を有する材料を用いると好ましい。
【0032】
圧電素子保持部251は、封止部250の圧電素子240に対向する部分として設けられている。圧電素子保持部251は、圧電素子240の運動を阻害しない程度の空間を有している。圧電素子240は、この圧電素子保持部251の空間内に保持される。マニホールド部252は、封止部250のX方向及びZ方向に亘って形成されている。マニホールド部252は、圧力室基板220の連通部225と連通する。
【0033】
駆動回路90は、圧電素子240を駆動するための駆動信号を、圧電素子240に供給する。駆動回路90としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。駆動回路90と圧電素子240とは、リード電極280及び図示しない電気配線を介して電気的に接続されている。また、駆動回路90と制御部110とは、図示しない電気配線を介して電気的に接続されている。
【0034】
図3は、液体吐出ヘッド200の要部のYZ平面に沿った断面を示す概略図である。図3に示すように、上述した各部材が積層されることによって、マニホールド部252と連通部225とが連通し、複数の圧力室221それぞれの共通の液体室となるマニホールド270が形成される。更に、ノズル211、圧力室221、インク供給路223、及び、マニホールド270が連通し、インクの流路が形成される。液体吐出ヘッド200は、圧電部230によって圧力室221の容積を変化させることで、上述の流路を介して圧力室221に供給された液体を、ノズル211から吐出する。なお、マニホールド270を、共通液室やリザーバーと呼ぶこともある。
【0035】
図4は、圧電部230の概略構成を説明する図である。図4には、XY平面において圧力室221が形成されている部分が、一点鎖線によって示されている。図4には、第1位置Ps1と、第2位置Ps2とが、破線によって示されている。第1位置Ps1及び第2位置Ps2は、ともに、Y方向における圧力室221内の特定の位置を示している。第2位置Ps2は、Y方向において、第1位置Ps1よりも圧力室221の端部に近い位置である。
【0036】
図5は、第1位置Ps1における圧電部230及び圧力室基板220のXZ平面に沿った断面を示す図である。上述したように、圧電部230は、振動板231と、圧電素子240とを、備えている。
【0037】
本実施形態の圧電素子240は、圧電体245と、第1電極246と、第2電極247とが、積層されて構成されている。
【0038】
本実施形態において、圧電体245は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成されている。なお、圧電体245は、PZTに代えて、ABO3型で表されるいわゆるペロブスカイト構造を有する他の種類のセラミックス材料、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)、メタニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等によって形成されてもよい。また、圧電体245は、セラミックス材料に限らず、ポリフッ化ビニリデン、水晶など、圧電効果を有する任意の材料により形成されてもよい。
【0039】
第1電極246は、複数の圧力室221に対して共通に設けられた電極を指す。第2電極247は、複数の圧力室221に対して個別に設けられた電極を指す。第1電極246を共通電極と呼び、第2電極247を個別電極と呼ぶこともある。なお、図4では、構成の理解を容易にするために、圧電体245及び第1電極246は図示されていない。本実施形態の第1電極246は、複数の圧力室221に亘って、X方向に延在して設けられている。図4に示した範囲においては、第1電極246は、XY平面の全面に亘って設けられている。また、図4では、圧電部230のうち、XY平面において第2電極247が設けられている部分に対応する部分に、右上がりのハッチングが施されている。より詳しくは、図4において、右上がりの濃いハッチングが施されている部分と薄いハッチングが施されている部分との両方が、第2電極247が設けられている部分に対応する部分である。
【0040】
本実施形態では、第2電極247は、圧電体245と振動板231との間に設けられている。すなわち、第2電極247は圧電体245の下部に設けられており、下部電極と呼ばれることもある。本実施形態の第2電極247は、圧力室221の長手方向であるY方向に沿って延在している。一方で、第1電極246は、第2電極247との間に圧電体245を挟んで設けられている。すなわち、第1電極246は圧電体245の上部に設けられており、上部電極と呼ばれることもある。第1電極246や第2電極247は、例えば、白金、イリジウム、チタン、タングステン、タンタル、等の各種金属や、ニッケル酸ランタン(LaNiO)等の導電性金属酸化物等によって形成される。
【0041】
図5には能動領域Acが示されている。能動領域Acは、XY平面において、圧電体245の能動部に対応する部分である。圧電体245の能動部とは、圧電体245がZ方向において第1電極246と第2電極247とによって挟まれた部分である。圧電体245の能動部では、第1電極246及び第2電極247を介して圧電体245に電圧が印加された際に、圧電歪みが生じる。圧電素子240は、この圧電歪みに起因する変形によって、振動板231を変形させる。なお、図4において、能動領域Acは、XY平面において第2電極247が設けられている部分に対応する部分と一致する。
【0042】
図4及び図5に示すように、振動板231は、第1部分234及び第2部分235を有している。第2部分235は、X方向において、第1部分234よりも圧力室221の端部から遠い部分である。第2部分235は、第1部分234と異なる厚さを有している。従って、振動板231は、図5に示すように、第1部分234と第2部分235との境界において、段差Stを有している。具体的には、本実施形態の第2部分235の厚さは、第1部分234の厚さよりも厚い。図4では、圧電部230のうち、XY平面において振動板231の第2部分235に対応する部分には、右上がりの濃いハッチングが施されている。図4に示すように、第2部分235は、Y方向に沿って延在するとともに、Y方向においてX方向の幅が変化する部分を有している。更に、図4及び図5に示すように、XY平面において、第1部分234に対応する領域を第1領域R1と呼び、第2部分235に対応する領域を第2領域R2と呼ぶこともある。
【0043】
図5に示すように、振動板231は、Z方向において圧力室221から遠い第1面236と、第1面236の反対側の第2面237とを、有している。第1面236は振動板231の+Z方向の一面であり、第2面237は振動板231の-Z方向の一面である。図5に示すように、本実施形態の振動板231の第2部分235は、+Z方向に向かって突出する形状を有している。第2部分235における第1面236は、振動板231の厚さ方向であるZ方向において、第1部分234における第1面236に対して、圧力室221と反対側に位置している。Z方向における第2面237の位置は、第1部分234及び第2部分235において同じ位置である。なお、本実施形態では、第1面236は保護層233によって構成され、第2面237は可撓層232によって構成されている。また、厚さ方向とは、同じ軸に沿う一方側の方向とその反対方向とを両方含む。
【0044】
段差Stを有する振動板231は、例えば、圧力室基板220上に振動板231が形成され、形成された振動板231の一部が除去されることによって作成される。本実施形態では、例えば、圧力室221が形成される前の圧力室基板220上に形成された可撓層232の第1部分234に相当する部分の一部を、フォトレジストによるマスキングを利用したエッチングによって除去する。その後、可撓層232上に保護層233を形成する。これによって、第2部分235に相当する部分が、第1部分234よりも厚く形成された振動板231が作成される。他の実施形態では、第1部分234と第2部分235とで、保護層233の厚みを異ならせてもよい。振動板231の作成において、振動板231の表面を平滑にするためのエッチング等が施されてもよい。なお、可撓層232は、例えば、熱酸化やCVD法等によって、圧力室基板220上に形成される。保護層233は、例えば、CVD法等によって、可撓層232上に形成される。また、本実施形態では、圧力室221は、例えば、振動板231が作成された後に、圧力室基板220の圧力室221に相当する部分がエッチング等によって除去されることによって形成される。
【0045】
圧電体245と、第1電極246と、第2電極247との作成においても、フォトレジストによるマスキングを利用したエッチングを用いることによって、各部材を設ける位置や、各部材の位置ごとの厚みを調整することができる。なお、第1電極246と、第2電極247とは、例えば、白金等の材料をターゲット材としたスパッタリングによって形成される。圧電素子240は、例えば、ゾルゲル法によって作成され、振動板231上や第2電極247上にコーティングされる。なお、コーティング方法としては、スピンコート法等を用いることができる。
【0046】
本実施形態のように、第1部分234と第2部分235とで厚みを異ならせることによって、圧電部230の中立軸の位置を、第1領域R1と第2領域R2とで異ならせることができる。圧電部230の中立軸とは、圧電部230のYZ平面に沿った任意の断面において、中立面と交差する軸状の部分に相当する。圧電部230の中立面とは、圧電部230に曲げモーメントが生じた際に、圧縮歪み及び引っ張り歪みが生じない面である。本実施形態では、圧電部230はZ方向に沿って撓み変形するため、中立面はZ方向に交差する面であり、中立軸はX方向に沿った軸である。例えば、圧電素子240の能動部が収縮するように変形した場合、図5に示した第1位置Ps1における断面では、圧電部230の中立軸より+Z方向に位置する部分に圧縮歪みが生じ、中立軸より-Z方向に位置する部分に引っ張り歪みが生じる。
【0047】
例えば、本実施形態では、第2部分235が第1部分234よりも厚いため、Y方向の各位置において、第2領域R2における中立軸が、第1領域R1における中立軸よりも+Z方向に位置する。これによって、第2領域R2においては、第1領域R1における場合と比較して、圧電素子240のうち中立軸よりも+Z方向に位置する部分の割合が大きくなる。そのため、第2領域R2において、圧電素子240は、自身の変形によって、振動板231を高効率に変形させることができる。一方で、第1領域R1においては、第2領域R2における場合と比較して、圧電素子240のうち中立軸よりも-Z方向に位置する部分の割合が大きくなる。そのため、第1領域R1において、圧電素子240の変形が抑制されるため、振動板231の過剰な変形が抑制される。この第1領域R1は、X方向において、第2領域R2よりも圧力室221の端部に近いため、圧電部230のうち第1領域R1に含まれる部分は、振動板231の過剰な変形によって破損しやすい。そのため、第1部分234が第2部分235よりも薄いことによって、圧電部230の破損が効果的に抑制される。
【0048】
図6は、第2位置Ps2における圧電部230及び圧力室基板220の断面を示す図である。図4から図6に示すように、第2位置Ps2における第2部分235のX方向の幅である第2幅W2は、第1位置Ps1における第2部分235のX方向の幅である第1幅W1よりも小さい。
【0049】
本実施形態では、第2位置Ps2まで第2部分235が延在しているため、圧電素子240は、第2位置Ps2まで第2部分235が延在していない場合と比較して、より効率的に振動板231を変形させることができる。
【0050】
また、第2幅W2が第1幅W1よりも小さいことによって、第2位置Ps2における第1領域R1と第2領域R2との境界は、第1位置Ps1における第1領域R1と第2領域R2との境界よりも、X方向において圧力室221の端部から遠くに位置する。この第1領域R1と第2領域R2との境界は、振動板231に段差Stが生じる部分であるため、応力が集中しやすい。更に、第2位置Ps2における、X方向において圧力室221の端部に近い部分は、X方向及びY方向において圧力室221の端部に近い部分であるため、より破損しやすい部分である。そのため、第2幅W2が第1幅W1よりも小さいことによって、X方向及びY方向において圧力室221の端部に近い部分における応力の集中が緩和されるため、圧電部230の破損が効果的に抑制される。
【0051】
図7は、図4に示した圧電部230のVII-VII断面を示す図である。図4及び図7には、上述した第1位置Ps1と第2位置Ps2とに加え、第3位置Ps3が示されている。第3位置Ps3とは、Y方向において圧力室221が延在する範囲外の位置である。本実施形態では、図4及び図7に示すように、振動板231の第1部分234及び第2部分235は、第3位置Ps3まで延在している。図4に示すように、第3位置Ps3において、第2部分235のX方向の第3幅W3は、第2幅W2と等しい。本実施形態において、第3位置Ps3における圧電部230及び圧力室基板220の断面の形状は、図6に示した第2位置Ps2における形状と同様である。なお、第3幅W3は第2幅W2以下であればよく、他の実施形態では、例えば、第3幅W3は第2幅W2より小さくてもよい。
【0052】
第2部分235が第3位置Ps3まで延在することによって、第2部分235が第3位置Ps3まで延在しない場合と比較して、圧力室221のY方向の端部により近い部分においても、振動板231の段差Stによる効果を得ることができる。例えば、本実施形態では、圧電素子240は、圧力室221のY方向の端部により近い部分において、より効率的に振動板231を変形させることができる。また、第3幅W3が第2幅W2以下であることによって、第2部分235が第3位置Ps3まで延在する場合であっても、圧力室221のX方向及びY方向の端部付近における圧電部230の損傷を抑制することができる。
【0053】
本実施形態では、図4及び図6に示すように、第2電極247の第2位置Ps2におけるX方向の幅We2は、第2幅W2よりも大きい。更に、本実施形態の第2電極247は、第2位置Ps2において、第2部分235を覆っている。なお、本実施形態では、第2電極247の第1位置Ps1におけるX方向の幅、及び、第3位置Ps3におけるX方向の幅は、幅We2と等しい。また、幅We2は、第1幅W1よりも大きい。更に、本実施形態では、第2電極247は、第1位置Ps1や第3位置Ps3においても、第2部分235を覆っている。
【0054】
第2電極247の幅We2が、第2部分235の第2幅W2よりも大きいことによって、図6に示すように、第2位置Ps2では、第1領域R1の一部が及び第2領域R2が能動領域Ac内に含まれる。本実施形態では、上述したように、第2領域R2における中立軸が、第1領域R1における中立軸よりも+Z方向に位置するため、圧電素子240に電圧が印加された際、第1部分234を変形させつつ、その変形を第2部分235の変形よりも小さくすることができる。従って、第2位置Ps2において、第1部分234と第2部分235とのX方向の境界付近における応力の集中がより緩和される。
【0055】
以上で説明した第1実施形態の液体吐出ヘッド200によれば、振動板231の第2部分235の、第2方向において第1位置Ps1よりも圧力室221の端部に近い第2位置Ps2における第2幅W2は、第1位置Ps1における第1幅W1よりも小さい。そのため、第1方向において、振動板231の端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差Stを設ける場合に、圧力室221の第2方向の端部付近においても振動板231の段差Stの効果を得ることができ、かつ、圧力室221の第2方向の端部付近における振動板231や圧電素子240の損傷を抑制できる。
【0056】
また、本実施形態では、振動板231の第2部分235は、第2方向において圧力室221が延在する範囲外の第3位置Ps3まで延在し、第2部分235の第3位置Ps3における第3幅W3は、第2幅W2以下である。そのため、圧力室221の第2方向の端部により近い部分においても振動板231の段差Stの効果を得ることができ、かつ、圧力室221の第2方向の端部付近において振動板231や圧電素子240の損傷を抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、第2部分235の厚さは、第1部分234の厚さよりも厚い。そのため、第1部分234において振動板231の耐久性が向上する。また、圧力室221の第2部分235に対応する部分において、圧力室221の容積変化量が向上し、液体吐出ヘッド200の液体を吐出する効率が高まる。
【0058】
また、本実施形態では、Z方向において、第2部分235における第1面236は、第1部分234における第1面236に対して、圧力室221と反対側に位置し、第1部分234における第2面237の位置は、第2部分235における第2面237の位置と同じ位置である。そのため、簡易な構成によって、第2部分235を第1部分234よりも厚くすることができる。
【0059】
また、本実施形態では、圧電素子240は、圧電体245と、複数の圧電体245に対して共通に設けられた第1電極246と、複数の圧電体245に対して個別に設けられた第2電極247とが、積層されて構成されている。このような形態であっても、第1方向において、振動板231の端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差Stを設ける場合に、圧力室221の第2方向の端部付近における振動板231や圧電素子240の損傷を抑制できる。
【0060】
また、本実施形態では、第2電極247は圧電体245と振動板231との間に設けられ、第1電極246は、前記第2電極247との間に圧電体245を挟んで設けられている。そのため、第1電極246がいわゆる上部電極であり、第2電極247がいわゆる下部電極である場合であっても、圧力室221の第2方向の端部付近における振動板231や圧電素子240の損傷を抑制できる。
【0061】
また、本実施形態では、第2電極247の第2位置Ps2における第1方向の幅We2は、第2幅W2よりも大きい。これによって、第2位置Ps2において、第1部分234と第2部分235との境界付近に対応する部分に第2電極247が重なることで、振動板231や圧電素子240の、第1部分234と第2部分235との境界付近に対応する部分における損傷が抑制される。
【0062】
また、本実施形態では、第2電極247は、第2位置Ps2において、第2部分235を覆っている。そのため、第2位置Ps2において、第1部分234と第2部分235との境界付近が第2電極247によって直接支持されることで、振動板231や圧電素子240の、第1部分234と第2部分235との境界付近に対応する部分における損傷が抑制される。
【0063】
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態における圧電部230b及び圧力室基板220の、YZ平面に沿った断面を示す図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、圧電素子240bの共通電極である第1電極246bは、圧電体245と振動板231との間に設けられている。一方で、個別電極である第2電極247bは、第1電極246bとの間に圧電体245を挟んで設けられている。すなわち、本実施形態では、第1電極246bは下部電極に相当し、第2電極247bは上部電極に相当する。なお、第2実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0064】
図9は、第1位置Ps1における圧電部230b及び圧力室基板220の断面を示す図である。図10は、第2位置Ps2における圧電部230b及び圧力室基板220の断面を示す図である。図9及び図10に示すように、本実施形態の振動板231は、第1実施形態と同様に第1部分234及び第2部分235を有している。また、第2部分235は、第1部分234と異なる厚さを有している。なお、第1実施形態と同様に、第2部分235は、第1部分234よりも厚い部分である。
【0065】
以上で説明した第2形態の液体吐出ヘッド200によっても、第1方向において、振動板231の端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差Stを設ける場合に、圧力室221の第2方向の端部付近における振動板231や圧電素子240の損傷を抑制できる。特に、本実施形態では、第1電極246bがいわゆる下部電極であり、第2電極247bがいわゆる上部電極である場合であっても効果が得られるため、圧電素子240の構成の自由度が高まる。
【0066】
C.第3実施形態:
図11は、第3実施形態における圧電部230cの概略構成を説明する図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、第2電極247cの第1位置Ps1におけるX方向の幅We1は、振動板231の第1幅W1よりも小さい。なお、図11では、第2部分235に対応する部分に右上がりのハッチングが施され、第2電極247cに対応する部分に右下がりのハッチングが施されている。図11において両方のハッチングが施されている部分は、第2部分235であり、かつ、第2電極247cが設けられている部分に対応する。また、第3実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0067】
本実施形態の第2電極247cは、第1位置Ps1及び第3位置Ps3においても、幅We1を有している。幅We1は、第2幅W2及び第3幅W3よりも大きい。
【0068】
図11に示すように、第2電極247の幅We1が、第2部分235の第1幅W1よりも小さいことによって、第1位置Ps1では、第2部分235と第1部分234との境界付近において、能動領域Ac内と能動領域Ac外との境界が生じる。従って、第1位置Ps1では、第2部分235の端部付近において振動板231の変形が阻害されないため、圧電素子240は、第1位置Ps1において、振動板231を効率的に変形させることができる。
【0069】
以上で説明した第2形態の液体吐出ヘッド200によっても、第1方向において、振動板231の端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差Stを設ける場合に、圧力室221の第2方向の端部付近における振動板231や圧電素子240の損傷を抑制できる。特に、本実施形態では、第1位置Ps1における圧力室221の容積変化量が向上し、液体吐出ヘッド200の液体を吐出する効率が高まる。
【0070】
D.第4実施形態:
図12は、第4実施形態における圧電部230dの概略構成を説明する図である。本実施形態の振動板231は、第1実施形態と異なり、第1位置Ps1において、第2部分235からX方向に第1部分234を隔てて第3部分238を有している。XY平面において、この第3部分238と重なる位置には、圧電体245dが設けられていない。なお、図12において、圧電部230dのうち、第3部分238に対応する部分が、二点鎖線と右下がりのハッチングとによって示されている。また、第4実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0071】
図13は、第1位置Ps1における圧電部230d及び圧力室基板220の断面を示す図である。上述したように、本実施形態の振動板231は、第1位置Ps1において、第2部分235からX方向に第1部分234を隔てて第3部分238を有している。なお、図12及び図13に示すように、XY方向において、第3部分238に対応する領域を第3領域R3と呼ぶこともある。また、図12に示すように、振動板231は、第2位置Ps2において、第3部分238を有していない。
【0072】
図13に示すように、本実施形態では、第1位置Ps1において、第3領域R3には、第1電極246dが設けられ、圧電体245dが設けられていない。なお、本実施形態のような圧電素子240dを、例えば、第3領域R3の圧電体245をエッチングで除去した後に、第1電極246dを積層することで、形成することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、振動板231は、少なくとも第1位置Ps1において、第3部分238を有していればよい。従って、振動板231は、例えば、第2位置Ps2や第3位置Ps3においても、第3部分238を有していてもよい。
【0074】
以上で説明した第4実施形態の液体吐出ヘッド200によっても、第1方向において、振動板231の端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差Stを設ける場合に、圧力室221の第2方向の端部付近における振動板231や圧電素子240dの損傷を抑制できる。特に、本実施形態では、振動板231は少なくとも前記第1位置Ps1において、第3部分238を有し、第1方向及び第2方向において、第3部分238と重なる位置には、圧電体245dが設けられていない。そのため、第1位置Ps1における圧力室221の第1方向の端部付近において、振動板231の変形が圧電体245dによって阻害されにくいため、圧力室221の容積変化量が向上し、液体吐出ヘッド200の液体を吐出する効率が高まる。
【0075】
E.第5実施形態:
図14は、第5実施形態における圧電部230eの概略構成を説明する図である。本実施形態の圧電部230eは、第1実施形態と異なり、圧電素子240に積層された金属層260を備えている。図14には、圧電部230eに設けられた金属層260が、二点鎖線と、網点状のハッチングと、によって示されている。なお、第5実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0076】
本実施形態では、金属層260は、第1電極246上に積層されている。金属層260は、例えば、金(Au)等によって形成される。金属層260は、例えば、図2及び図3に示したリード電極280が形成される際に、共に形成される。この場合、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、又は、CVD法等によってAu薄膜を形成し、形成されたAu薄膜の一部をエッチング等によって除去することによって、金属層260及びリード電極280を形成することができる。なお、金属層260は、例えば、第1電極246との間に、密着層を挟んで積層されてもよい。この場合、密着層は、例えば、チタン、ニッケル、クロム、及び、これらの合金等によって形成される。
【0077】
図14に示すように、金属層260は、X方向及びY方向において、圧力室221が延在する範囲外に延在している。具体的には、金属層260は、X方向及びY方向において、圧力室221が延在する範囲内から圧力室221が延在する範囲外に亘って延在している。更に、金属層260は、Y方向において、第2部分235の第1幅W1よりも小さい幅を有する部分と重なっている。そのため、Y方向において、第1部分234と第2部分235との境界と重なるように金属層260が設けられるため、第1部分234と第2部分235との境界付近において、金属層260によって振動板231の過剰な変形が抑制される。
【0078】
以上で説明した第5実施形態の液体吐出ヘッド200によっても、第1方向において、振動板231の端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差Stを設ける場合に、圧力室221の第2方向の端部付近における振動板231や圧電素子240の損傷を抑制できる。特に、本実施形態では、第2方向において、第1部分234と第2部分235との境界と重なるように金属層260が設けられるため、第1部分234と第2部分235との境界付近において、金属層260によって振動板231の過剰な変形が抑制される。
【0079】
F.第6実施形態:
図15は、第1位置Ps1における、第6実施形態の圧電部230f及び圧力室基板220の断面を示す図である。図16は、第2位置Ps2における、第6実施形態の圧電部230f及び圧力室基板220の断面を示す図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、振動板231fの第2部分235fの厚さは、第1部分234fの厚さよりも薄い。第6実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0080】
図15に示すように、本実施形態では、第3実施形態と同様に、第1位置Ps1において、圧電素子240fの第2電極247fの幅We1は、第2部分235fの第1幅W1よりも小さい。なお、第2電極247fは、第1位置Ps1や第3位置Ps3においても、幅We1を有している。また、振動板231fは、第4実施形態と同様に、第3部分238fを有している。XY平面において第3部分238fと重なる位置には、圧電体245fが設けられておらず、第1電極246fが設けられている。なお、他の実施形態において、振動板231fは、第3部分238fを有していなくてもよい。
【0081】
図15及び図16に示すように、本実施形態の第2部分235fの第2幅W2は、第1実施形態と同様に、第1幅W1よりも小さい。
【0082】
上述したように、本実施形態の第2部分235fの厚さは、第1部分234fの厚さよりも薄い。図15及び図16に示すように、本実施形態の振動板231fの第2部分235fは、+Z方向に向かって凹んだ形状を有している。第2部分235fにおける第1面236の位置は、振動板231の厚さ方向であるZ方向において、第1部分234fにおける第1面236fの位置と同じ位置である。これに対して、第2部分235fにおける第2面237fは、Z方向において、第1部分234fにおける第2面237fに対して、圧力室221と反対側に位置している。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1面236fは保護層233fによって構成され、第2面237fは可撓層232fによって構成されている。
【0083】
本実施形態では、第1部分234fの厚さが、第2部分235fの厚さよりも厚いため、第1位置Ps1や第2位置Ps2において、圧力室221のX方向の端部付近における振動板231fの損傷を抑制することができる。
【0084】
以上で説明した第5実施形態の液体吐出ヘッド200によっても、第1方向において、振動板231fの端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差Stを設ける場合に、圧力室221の第2方向の端部付近における振動板231fや圧電素子240fの損傷を抑制できる。
【0085】
G.他の実施形態:
(G-1)上記実施形態において、第2部分235は、第2方向において圧力室221が延在する範囲外の位置である第3位置Ps3まで延在している。これに対して、第2部分235は、第2方向において、第3位置Ps3まで延在していなくてもよい。例えば、第2部分235は、第2方向において第2位置Ps2まで延在し、第3位置Ps3まで延在していなくてもよい。
【0086】
(G-2)上記実施形態において、第2電極247の第2位置Ps2における第1方向の幅We2は、第2部分235の第2位置Ps2における第2幅W2よりも大きい。これに対して、幅We2は、第2幅W2より小さくてもよいし、第2幅W2と同じ大きさであってもよい。
【0087】
(G-3)上記の第3実施形態から第6実施形態では、第2電極247は圧電体245と振動板231との間に設けられ、第1電極246は、前記第2電極247との間に圧電体245を挟んで設けられている。これに対して、第3実施形態から第6実施形態において、第2実施形態と同様に、第1電極246が圧電体245と振動板231との間に設けられ、第2電極247が第1電極246との間に圧電体245を挟んで設けられていてもよい。なお、第2実施形態と同様の形態において、更に、第5実施形態と同様に、第3領域R3において圧電体245を設けない場合、第1電極246上に保護膜等を形成してもよい。
【0088】
H.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0089】
(1)本開示の第1の形態によれば、圧電素子と、前記圧電素子に対応する圧力室を区画する圧力室基板と、前記圧電素子と前記圧力室基板との間に設けられた振動板と、を有する液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドにおいて、複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、複数の前記圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有する。前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅である。
このような形態によれば、第1方向において、振動板の端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差を設ける場合に、圧力室の第2方向の端部付近においても振動板の段差の効果を得ることができ、かつ、圧力室の第2方向の端部付近における振動板や圧電素子の損傷を抑制できる。
【0090】
(2)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1部分及び前記第2部分は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲外の位置である第3位置まで延在し、前記第3位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第2幅以下であってもよい。このような形態によれば、圧力室の第2方向の端部により近い部分においても振動板の段差の効果を得ることができ、かつ、圧力室の第2方向の端部付近において振動板や圧電素子の損傷を抑制できる。
【0091】
(3)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2部分の厚さは、前記第1部分の厚さよりも厚くてもよい。このような形態によれば、第1部分において振動板の耐久性が向上し、圧力室の第2部分に対応する部分において圧力室の容積変化量が向上するため、液体吐出ヘッドの液体を吐出する効率が高まる。
【0092】
(4)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記振動板は、厚さ方向において前記圧力室から遠い一面である第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、前記厚さ方向において、前記第2部分における前記第1面は、前記第1部分における前記第1面に対して、前記圧力室と反対側に位置し、前記厚さ方向において、前記第1部分における前記第2面の位置は、前記第2部分における前記第2面の位置と同じ位置であってもよい。このような形態によれば、簡易な構成によって、第2部分を第1部分よりも厚くすることができる。
【0093】
(5)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2部分の厚さは、前記第1部分の厚さよりも薄くてもよい。このような形態によれば、第2部分の厚さが第1部分の厚さより薄い場合であっても、圧力室の第2方向の端部付近における振動板や圧電素子の損傷を抑制できる。
【0094】
(6)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記振動板は、厚さ方向において前記圧力室から遠い一面である第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、前記厚さ方向において、前記第1部分における前記第1面の位置は、前記第2部分における前記第面の位置と同じ位置であり、前記厚さ方向において、前記第2部分における前記第2面は、前記第1部分における前記第2面に対して、前記圧力室と反対側に位置していてもよい。このような形態によれば、簡易な構成によって、第2部分を第1部分よりも薄くすることができる。
【0095】
(7)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子は、圧電体と、第1電極と、第2電極と、が積層されて構成され、前記第1電極は複数の前記圧力室に対して共通に設けられ、前記第2電極は複数の前記圧力室に対して個別に設けられていてもよい。
【0096】
(8)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1電極は、前記圧電体と前記振動板との間に設けられ、前記第2電極は、前記第1電極との間に前記圧電体を挟んで設けられていてもよい。このような形態によれば、第1電極246がいわゆる下部電極であり、第2電極247がいわゆる上部電極である場合であっても、圧力室の第2方向の端部付近における振動板や圧電素子の損傷を抑制できる。そのため、圧電素子の構成の自由度が高まる。
【0097】
(9)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2電極は、前記圧電体と前記振動板との間に設けられ、前記第1電極は、前記第2電極との間に前記圧電体を挟んで設けられていてもよい。このような形態によれば、第1電極がいわゆる上部電極であり、第2電極がいわゆる下部電極である場合であっても、圧力室の第2方向の端部付近における振動板や圧電素子の損傷を抑制できる。そのため、圧電素子の構成の自由度が高まる。
【0098】
(10)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2電極の前記第2位置における前記第1方向の幅は、前記第2幅よりも大きくてもよい。このような形態によれば、第2位置において、第1部分と第2部分との境界付近に対応する部分に第2電極が重なることで、振動板や圧電素子の、第1部分と第2部分との境界付近に対応する部分における損傷が抑制される。
【0099】
(11)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2電極は、前記第2位置において、前記第2部分を覆っていてもよい。このような形態によれば、第2位置において、第1部分と第2部分との境界付近が第2電極によって直接支持されることで、振動板や圧電素子の、第1部分と第2部分との境界付近に対応する部分における損傷が抑制される。
【0100】
(12)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2電極の前記第1位置における前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さくてもよい。このような形態によれば、第1位置における圧力室の容積変化量が向上するため、液体吐出ヘッドの液体を吐出する効率が高まる。
【0101】
(13)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記振動板は、少なくとも前記第1位置において、前記第2部分から前記第1方向に前記第1部分を隔てて第3部分を有し、前記第1方向及び前記第2方向において、前記第3部分と重なる位置には、前記圧電体が設けられていなくてもよい。このような形態によれば、第1位置における圧力室の第1方向の端部付近において、振動板の変形が圧電体によって阻害されにくいため、圧力室の容積変化量が向上し、液体吐出ヘッドの液体を吐出する効率が高まる。
【0102】
(14)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子に積層された金属層を備え、前記金属層は、前記第1方向及び第2方向において、前記第2部分の前記第1幅よりも小さい幅を有する部分と重なり、かつ、前記圧力室が延在する範囲外に延在していてもよい。このような形態によれば、第2方向において、第1部分と第2部分との境界と重なるように金属層が設けられるため、第1部分と第2部分との境界付近において、振動板の過剰な変形が抑制される。
【0103】
(15)本開示の第2の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、上記第1の形態における液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドの吐出動作を制御する制御部と、を備える。
このような形態によれば、圧電素子は、第2方向における圧力室の端部付近において、第1方向において、振動板の端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差を設ける場合に、圧力室の第2方向の端部付近においても振動板の段差の効果を得ることができ、かつ、圧力室の第2方向の端部付近における振動板や圧電素子の損傷を抑制できる。
【0104】
(16)本開示の第3の形態によれば、圧電素子と、前記圧電素子に対応する圧力室と前記圧電素子との間に設けられる振動板と、を有するアクチュエーターが提供される。このアクチュエーターにおいて、複数の前記圧力室が配列される方向を第1方向とし、前記複数の圧力室それぞれが延在する方向を第2方向とし、前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置を第1位置とし、前記第2方向における前記圧力室内の特定の位置であって、前記第2方向において前記第1位置よりも前記圧力室の端部に近い位置を第2位置としたとき、前記振動板は、前記第1位置及び前記第2位置において、第1部分と、前記第1方向において前記第1部分よりも前記圧力室の端部から遠く、前記第1部分と異なる厚さを有する第2部分と、を有する。前記第1位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、第1幅であり、前記第2位置において、前記第2部分の前記第1方向の幅は、前記第1幅よりも小さい第2幅であることを特徴とする。
このような形態によれば、第1方向において、振動板の端部に近い部分と端部から離れた中央部分との間に段差を設ける場合に、圧力室の第2方向の端部付近においても振動板の段差の効果を得ることができ、かつ、圧力室の第2方向の端部付近における振動板や圧電素子の損傷を抑制できる。
【0105】
本開示は、上述した液体吐出ヘッド、液体吐出装置やアクチュエーターとしての形態に限らず、液体吐出システムや、液体吐出装置を備える複合機等の種々の態様で実現可能である。
【符号の説明】
【0106】
40…キャリッジ、41…フレキシブルケーブル、46…駆動モーター、47…駆動ベルト、51…搬送モーター、55…プラテン、80…インクカートリッジ、90…駆動回路、100…液体吐出装置、110…制御部、200…液体吐出ヘッド、210…ノズル板、211…ノズル、220…圧力室基板、221…圧力室、223…インク供給路、225…連通部、230,230b,230c,230d,230e,230f…圧電部、231,231f…振動板、232,232f…可撓層、233,233f…保護層、234,234f…第1部分、235,235f…第2部分、236,236f…第1面、237,237f…第2面、238,238f…第3部分、240,240b,240d,240f…圧電素子、245,245d,245f…圧電体、246,246b,246d,246f…第1電極、247,247b,247c,247f…第2電極、250…封止部、251…圧電素子保持部、252…マニホールド部、260…金属層、270…マニホールド、280…リード電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16