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特許7501042フィルタ装置及びバイオマス発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】フィルタ装置及びバイオマス発電システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/04 20060101AFI20240611BHJP
   C10J 3/00 20060101ALI20240611BHJP
   C10J 3/84 20060101ALI20240611BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B01D39/04
C10J3/00 F
C10J3/84
B01D46/10 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020059731
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021154255
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 良博
(72)【発明者】
【氏名】坂本 勝
(72)【発明者】
【氏名】小松 貴司
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-292768(JP,A)
【文献】特表2014-527095(JP,A)
【文献】特開2011-089136(JP,A)
【文献】特開昭63-215794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
C10J 1/00-3/86
B01D 46/00-46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面及び下面が開口された扁平筒形状の枠体と、前記枠体の内部に詰められたおがくずと、前記枠体の上面の開口部分に設けられる上部金網と、前記枠体の下面の開口部分に設けられ、少なくとも、前記おがくずの大きさよりも細かい網目を有する下部金網とを有するタール除去フィルタと、
前記タール除去フィルタが着脱自在に保持され、ガスが流れる方向に対して平行に且つ所定の間隔を空けて複数配置される棚段と、隣接する2つの前記棚段の間を前記ガスが流れる方向に対して傾斜させて仕切る整流板とを有するフィルタ設置枠と
を備えることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
請求項に記載のフィルタ装置において、
前記フィルタ設置枠を内部に有する装置本体をさらに備え、
前記棚段は、上下方向に且つ所定の間隔を空けて複数配置され、
前記整流板は、隣接する上下2つの前記棚段の間を前記装置本体の内部に送り込まれた前記ガスの下流側に向けて下り傾斜させて仕切る
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項3】
請求項又は請求項に記載のフィルタ装置において、
前記おがくずは、木質チップの生成時に発生するものを再利用するものであることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項4】
請求項から請求項のいずれか1項に記載のフィルタ装置において、
前記おがくずは、ガスに含まれるタールが付着して固化された後に金網から取り外されて、木質チップとともに、ガス化炉に投入される
ことを特徴とするフィルタ装置
【請求項5】
質バイオマスからガスを生成するガス化炉と、
前記ガスを用いて発電するガスエンジンと、
前記ガス化炉から前記ガスエンジンに向けて前記ガスを送出するファンと、
前記ファンの上流側に配置される請求項から請求項のいずれか1項に記載のフィルタ装置と
を備えることを特徴とするバイオマス発電システム。
【請求項6】
木質バイオマスからガスを生成するガス化炉と、
前記ガスを用いて発電するガスエンジンと、
前記ガス化炉から前記ガスエンジンに向けて前記ガスを送出するファンと、
前記ファンの下流側に配置される請求項から請求項のいずれか1項に記載のフィルタ装置と
を備えることを特徴とするバイオマス発電システム。
【請求項7】
請求項又は請求項に記載のバイオマス発電システムにおいて、
前記フィルタ装置は、前記ファンの下流側に配置されるHEPAフィルタと併用して配置される
ことを特徴とするバイオマス発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質バイオマスを高温加熱することで生成される可燃性ガスに含まれるタールを除去するフィルタ装置及びバイオマス発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
動植物由来の再利用可能な有機性のエネルギー資源であるバイオマスは、CO抑制に係る地球温暖化防止や循環社会の構築に寄与するものとして注目されている。近年では、バイオマスの有効利用、特に、木質バイオマスに対するエネルギー利用に関する研究開発が積極的に進められている。
【0003】
木質バイオマスは、例えば、間伐材、製材後の端材などの廃材、公園や植物園から出る剪定、刈込みで生ずる木屑、家屋の解体作業から出る木材などである。このような木質バイオマスは、再生可能な資源であり、地球環境保全の面でも優れた資源である。したがって、木質バイオマスの利用は、化石燃料の使用を抑制し、同時に、二酸化炭素の削減や地球温暖化を抑制する。
【0004】
木質バイオマスを用いたバイオマス発電システムとして、例えば、木質バイオマスをボイラーなどにより直接燃焼し、燃焼時の熱で発生する高圧の蒸気を用いてタービンを回転させて発電を行う方式(直接燃焼方式)が挙げられる。また、バイオマス発電システムとして、例えば、木質バイオマスをガス化炉において加熱分解により生成される可燃性ガス(燃料ガス)を燃料としてエンジンを駆動させて発電を行う方式(ガス化方式)もある。上述したように、直接燃焼方式の発電システムは、木質バイオマスを燃焼させたときの熱により発生した高圧の蒸気を用いてタービンを回転させるシステムであることから、システム全体が小規模であればあるほど放熱の影響が大きくなり、発電効率が悪いという欠点がある。一方、ガス化方式の発電システムは、加熱分解により発生する可燃性ガスの発生量に応じて発電出力を制御できるので、安定したエンジン稼働が可能となる。したがって、ガス化方式の発電システムは、直接燃焼方式の発電システムに比べて効率が良く、システム全体を小規模とすることが可能となる。
【0005】
上述したガス化方式の発電システムにおいて、木質バイオマスの加熱分解により生成される可燃性ガスは、高分子の炭化水素であるタールを含んでいる。タールは、高温ではガス状であるが、低温になると凝集する性格を有する。したがって、可燃性ガスに含まれるタールは、ガスエンジンに送り込まれる過程で、配管の内部や、ファンなどに付着する。例えば、タールの付着量が多いと、ファンの回転が停止する可能性もあることから、タールの発生は、発電システム全体の発電性能を低下させることになる。
【0006】
そこで、例えば、ガス化発電システムでは、ガス冷却器や湿式電気集塵機などの他に、HEPAフィルタ(高性能エアフィルタ:High Efficiency Particulate Air Filter)を用いて、排気ガスや可燃性ガスに含まれるタールを除去している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-90510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したHEPAフィルタは、例えば排気ガスや可燃性ガスに含まれる粒子状や液状のタールを除去する一方で、ガス状のタールを除去しづらいという問題がある。
【0009】
例えば、粒子状や液状のタールは、HEPAフィルタのフィルタ表面に付着することで、排気ガスや可燃性ガスから除去される。したがって、排気ガスや可燃性ガス中に粒子状や液状のタールが多く含まれている場合には、短期間で、フィルタとして機能しなくなる。したがって、HEPAフィルタは、短期間で交換される必要があるが、HEPAフィルタは高価であり、HEPAフィルタを頻繁に交換することは、システムのランニングコストを上昇させる。また、HEPAフィルタは、例えば、1台40kg前後と重量が重いことから、交換作業は面倒である。
【0010】
そこで、本件開示は、ガス状のタールを除去することが可能であるとともに、コストを削減し、フィルタの交換が容易なタール除去手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一つの観点によれば、フィルタ装置は、上面及び下面が開口された扁平筒形状の枠体と、枠体の内部に詰められたおがくずと、枠体の上面の開口部分に設けられる上部金網と、枠体の下面の開口部分に設けられ、少なくとも、おがくずの大きさよりも細かい網目を有する下部金網とを有するタール除去フィルタと、タール除去フィルタが着脱自在に保持され、ガスが流れる方向に対して平行に且つ所定の間隔を空けて複数配置される棚段と、隣接する2つの棚段の間をガスが流れる方向に対して傾斜させて仕切る整流板とを有するフィルタ設置枠とを有することを特徴とする。
【0015】
なお、上記のフィルタ装置において、フィルタ設置枠を内部に有する装置本体をさらに有し、棚段は、上下方向に且つ所定の間隔を空けて複数配置され、整流板は、隣接する上下2つの棚段の間を装置本体の内部に送り込まれたガスの下流側に向けて下り傾斜させて仕切ってもよい。
【0016】
また、上記のフィルタ装置において、おがくずは、木質チップの生成時に発生するものを再利用するものであってもよい。
【0017】
また、上記のフィルタ装置において、おがくずは、ガスに含まれるタールが付着して固化された後に金網から取り外されて、木質チップとともに、ガス化炉に投入されてもよい。
【0021】
別の観点によれば、バイオマス発電システムは、木質バイオマスからガスを生成するガス化炉と、ガスを用いて発電するガスエンジンと、ガス化炉からガスエンジンに向けてガスを送出するファンと、ファンの上流側に配置される上記のフィルタ装置とを有することを特徴とする。
【0022】
別の観点によれば、バイオマス発電システムは、木質バイオマスからガスを生成するガス化炉と、ガスを用いて発電するガスエンジンと、ガス化炉からガスエンジンに向けてガスを送出するファンと、ファンの下流側に配置される上記のフィルタ装置とを有することを特徴とする。
【0023】
なお、上記のバイオマス発電システムにおいて、フィルタ装置は、ファンの下流側に配置されるHEPAフィルタと併用して配置されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本件開示によれば、ガス状のタールを除去することが可能であるとともに、コストを削減し、フィルタの交換が容易なタール除去手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】バイオマス発電システムの一つであるガス化発電システムの一例を模式的に示す図である。
図2】フィルタ装置の一例を示す図である。
図3】タール除去フィルタの一例を示す図である。
図4】ガス状タールのタール除去率の検証結果を示す図である。
図5】バイオマス発電システムの一つであるガス化発電システムの別の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本件開示のタール除去フィルタ、フィルタ装置、及びバイオマス発電システムの一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0027】
図1は、バイオマス発電システムの一つであるガス化方式の発電システム(以下、ガス化発電システムと称する)の一例を模式的に示す図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態のガス化発電システム1は、ガス化炉12に投入される木質バイオマスを高温加熱することで可燃性ガス(燃焼ガス)24を生成し、生成した可燃性ガスを燃料としてガスエンジン17を駆動させて発電を行うシステムである。なお、ガス化炉12に投入される木質バイオマスとして、木質チップ21(ペレットを含む)が挙げられる。木質チップ21は、間伐材、製材後の端材や廃材、公園や植物園から出る剪定、刈込みで生ずる木屑、家屋の解体作業から出る木材等を不図示の破砕棟で砕いたものである。
【0029】
図1に示すように、ガス化発電システム1は、ホッパー11、ガス化炉12、生成ガス冷却器13、湿式電気集塵機14、ファン15、フィルタ装置16、ガスエンジン17、熱交換器18、排気塔19を含む。
【0030】
ホッパー11は、ガス化炉12に投入される木質チップ21を貯留する装置である。なお、ホッパー11の内部に貯留される木質チップ21は、コンベヤ装置11aによりガス化炉12に向けて搬送され、ガス化炉12の上方から、ガス化炉12の内部に投入される。
【0031】
ガス化炉12は、炉内温度(言い換えればガス化温度)が所定の温度範囲となるように炉内で保持される。ガス化炉12は、例えば、固定床、移動床、流動床、噴流床などの炉の形式や、直接加熱(直接ガス化方式)と間接加熱(間接ガス化方式)の加熱の方法がある。したがって、ガス化炉12は、使用条件に基づいて、炉の形式と加熱の方法とが組み合わされたものを使用する。
【0032】
ガス化炉12は、上方から木質チップ21を投入する一方で、下方に設けた吹込口からガス化剤23を炉の内部に送り込む。なお、ガス化剤23は、例えば、空気・酸素・水蒸気などの混合物である。なお、ガス化剤は、温水28で予熱された後、ガス化炉12に送り込まれる。
【0033】
ガス化炉12では、炉の上部から投入される木質チップ21と、炉の下部から投入されるガス化剤23とが熱反応(熱分解)し、可燃性ガス(一酸化炭素、二酸化炭素、水素、メタンなど)24と、チャーとを生成する。ここで、ガス化炉12の内部で生成される可燃性ガス24は、タール分や炭素微粒子を多く同伴している。この可燃性ガス24は、ガス化炉12の上部から、生成ガス冷却器13に送り出される。
【0034】
生成ガス冷却器13は、ガス化炉12から送り出される可燃性ガス24を、2つの生成ガス冷却器13a,13bを用いて冷却する。可燃性ガス24の冷却の過程で、可燃性ガス24から、水分やタール25(木タールと木酢液)が除去される。ここで、ガス化炉12から生成ガス冷却器13に向けて送り出された可燃性ガス24の温度は、例えば75℃である。生成ガス冷却器13が有する1つ目の生成ガス冷却器13aにおいて、可燃性ガス24は、例えば55℃まで冷却され、2つ目の生成ガス冷却器13bにおいて、さらに、例えば35℃まで冷却される。
【0035】
湿式電気集塵機14は、生成ガス冷却器13で冷却された可燃性ガス24に残留するタール25および水分を捕集する装置である。
【0036】
ファン15は、湿式電気集塵機14からの可燃性ガス24を引き込み、フィルタ装置16に向けて送り出す。ファン15により後段側に送り出された可燃性ガス24は、ファン15による送り出しの過程で加圧される。その結果、ファン15により湿式電気集塵機14から引き込まれた可燃性ガス24の温度は、例えば35℃であるが、ファン15から送り出される可燃性ガス24の温度は、ファン15による加圧により、例えば65℃まで加温される。
【0037】
フィルタ装置16は、可燃性ガス24に含まれるタール25を除去する。なお、フィルタ装置16の詳細については、後述する。
【0038】
ガスエンジン17は、フィルタ装置16によりタール25が除去された可燃性ガス24を燃料として駆動することで発電を行う装置である。
【0039】
熱交換器18は、ガスエンジン17からの排気ガス27と、循環される温水28との間で熱交換を行う装置である。
【0040】
排気塔19は、ガスエンジン17からの排気ガス27を排出する煙突である。
【0041】
可燃性ガス24は、木質バイオマスの一例である木質チップ21とガス化剤23とを用いてガス化炉12にて生成されたガスである。ここで、可燃性ガス24は、図1で符号24を付した矢印に示すように流れる。可燃性ガス24は、生成直後は高温であり、タール25や水分を多く含んでいる。可燃性ガス24は、生成ガス冷却器13、湿式電気集塵機14を経由することで、冷却され、また、タール25と水分とを含んだタール含有水26を除去する。湿式電気集塵機14から送り出された可燃性ガス24は、ファン15により加圧された状態でフィルタ装置16に到達する。可燃性ガス24は、フィルタ装置16を通過するときに、タール25を除去する。フィルタ装置16を通過した可燃性ガス24は、清浄なガスとなってガスエンジン17に送り込まれる。
【0042】
タール25は、炭化水素・フェノール類・酢酸などが含まれるものであり、有機物質の熱分解によって得られる、粘り気のある黒から褐色の油状の液体である。
【0043】
タール含有水26は、主に木質チップ21に含まれる水分と、水蒸気改質用に供給する加湿水と、タール25とから構成される。タール含有水26は、木質チップ21に含まれる水分と、水蒸気改質に使用されなかった水蒸気とが、生成ガス冷却器13と湿式電気集塵機14とで凝縮されて可燃性ガス24から分離され、タール25とともに排出されたものである。なお、排出されたタール含有水26は、重質タールと軽質タールとに比重分離され、重質タールは、不図示のタール燃焼装置の重質タールバーナーで燃焼焼却され、軽質タールは、熱交換等された後、不図示のタール燃焼装置で燃焼焼却される。
【0044】
排気ガス27は、ガスエンジン17から排出されるものである。排気ガス27は、熱交換器18によって熱交換された後、排気塔19から排出される。
【0045】
温水28は、ガスエンジン17からの排気ガス27で熱交換されたものであり、ガス化炉12で使用するガス化剤23の余熱や、不図示のタール燃焼装置における空気の余熱等に利用される。
【0046】
次に、図2を用いて、フィルタ装置16について説明する。図2は、フィルタ装置16の一例を示す。
【0047】
図2に示すように、フィルタ装置16は、装置本体31、フィルタ設置枠33、扉34、複数のタール除去フィルタ35を含む。
【0048】
装置本体31は、例えば矩形状であり、上面に可燃性ガス24が流入する流入口36と、可燃性ガス24が送り出される送出口37とを有する。ここで、フィルタ装置16の装置本体31の下部にはタール25が溜まるため、下面に流入口36と送出口37とを有した場合には、タール25が流入口36と送出口37とを伝って下方の設備のメンテナンスを行う必要が生じてしまうことを考慮して、流入口36と送出口37とは、装置本体31の上部に設けられる。しかしながら、タール25の影響を受けない位置であれば、装置本体31の上部に限定する必要はない。また、装置本体31は、複数のタール除去フィルタ35が設置されるフィルタ設置枠33の上流側及び下流側に、装置本体31内部を清掃する、又は複数のタール除去フィルタ35を交換する等の作業スペースを有する。
【0049】
フィルタ設置枠33は、装置本体31の内部において、流入口36と送出口37との間の領域に設置される。つまり、装置本体31の内部において、流入口36又は送出口37の下方には、上述した作業スペースが設けられる。この作業スペースは、フィルタ装置16により可燃性ガス24中のタール25を除去する過程では、可燃性ガス24が流れる空間となる。この空間を設けることで、装置本体31の内部に流入した可燃性ガス24が、フィルタ設置枠33の棚段42に保持したタール除去フィルタ35に満遍なく行き渡る。なお、装置本体31は、その内部において、作業スペースを省いて、流入口36から流入する可燃性ガス24がフィルタ設置枠33の棚段42に保持したタール除去フィルタ35に直接案内される構成を有してもよい。
【0050】
フィルタ設置枠33は、複数のタール除去フィルタ35を上下方向に所定間隔を空けて保持する。フィルタ設置枠33は、上面及び図中左右側面が開口されている。フィルタ設置枠33は、複数の棚段42と、上下2つの棚段42の間に配置される整流板43とを有する。棚段42は、タール除去フィルタ35を着脱自在に保持する。つまり、各棚段42に保持されるタール除去フィルタ35は、交換可能である。
【0051】
整流板43は、上下2つの棚段42のうち、上部に位置する棚段42の手前(図2中左側端部)側から、下部に位置する棚段42の奥(図2中右側端部)側に向けて下り傾斜する板材である。したがって、フィルタ設置枠33の各棚段42にタール除去フィルタ35が設置されている場合、装置本体31の流入口36から流入する可燃性ガスは、フィルタ設置枠33の各整流板43により整流されて、棚段42に保持したタール除去フィルタ35を通過する。その過程で、可燃性ガス24に含まれるタール25が除去される。フィルタ設置枠33の幅、高さ、奥行きは、例えば、幅×高さ×奥行き=610mm×610mm×300mmである。また、フィルタ設置枠33の重さは、例えば、約35kgである。
【0052】
扉34は、作業者が装置本体31内部を清掃する、又は複数のタール除去フィルタ35を交換する場合に開閉される。
【0053】
次に、図3を用いて、タール除去フィルタ35の構成について説明する。図3は、タール除去フィルタ35の一例を示す。
【0054】
図3に示すように、タール除去フィルタ35は、水平方向に扁平な直方体状である。なお、タール除去フィルタ35の形状は、直方体状には限られず、水平方向に扁平な形状であれば設置場所の状態によっては他の形状でもよい。
【0055】
タール除去フィルタ35は、枠体51、上部金網52、下部金網53、おがくず54を含む。
【0056】
枠体51は、上面及び下面が開口された枠形状(扁平筒形状)である。枠体51の幅、高さ、奥行きは、例えば、幅×高さ×奥行き=610mm×30mm×300mmである。枠体51は、その一辺に、把持部52aを有する。把持部52aは、タール除去フィルタ35を棚段42から引き出す際に把持される。
【0057】
上部金網52は、枠体51の上面の開口部分に配置される。なお、上部金網52は、網目の大きさが例えば10mm×10mmのクリンプ金網である。ここで、上部金網52は、枠体51に対して回動自在に保持されるものであってもよいし、枠体51に対して着脱されるものであってもよい。
【0058】
下部金網53は、枠体51の下面の開口部分に配置される。下部金網53は、網目の大きさが、例えば、20mm×20mmのクリンプ金網53aと、20メッシュの金網53bと、を含む。なお、20メッシュの金網53bの材質は、ステンレスである。下部金網53は、例えば、下方から、クリンプ金網53a、金網53bの順で積層された状態で、枠体51の下面の開口部分に配置される。なお、下部金網53は、枠体51から着脱可能であってもよい。
【0059】
おがくず54は、不図示のチップ破砕棟で間伐材等の木材から木質チップ21を製造する際に発生するものである。おがくず54は、例えば、下部金網53を保持した枠体51の内部に満遍なく詰められる。なお、枠体51の内部に詰められるおがくず54の高さは、例えば、おおよそ20mmである。なお、枠体51におがくず54が詰められたタール除去フィルタ35の重量は、例えば、おおよそ2.5kgである。
【0060】
上述したように、下部金網53は、クリンプ金網53aの上方に20メッシュの金網53bを積層したものである。一方、おがくず54は、例えば10メッシュの篩にかけて残った2mm角程度の大きさである。一般に、20メッシュの金網の網目(目開き)は、最大でも1mm×1mm程度なので、枠体51の内部に詰められたおがくず54は、下部金網53の網目よりも大きく、下部金網53から落下することは無い。なお、下部金網53は、少なくとも網目の大きさがおがくず54よりも大きければよい。また、下部金網53は、2枚の金網を積層したものには限られず、1枚の金網であっても、3枚以上の金網を積層したものであってもよい。
【0061】
このような構成のタール除去フィルタ35は、扁平なトレイ状である。したがって、フィルタ装置16を通過する可燃性ガス24が接触する面積は、十分に確保される。また、タール除去フィルタ35として、おがくず54を用いることで、可燃性ガス24に含まれるタールは、タール除去フィルタ35を通過する際におがくず54に付着し、フィルタ通過後の可燃性ガスからタールが除去される。なお、タール除去フィルタ35を扁平なトレイ状とすることで、タール25がおがくず54に付着しても、圧力損失は抑制される。
【0062】
ところで、可燃性ガスの通過時にタール25が付着したおがくず54は、ブリケット状に固化される。タール25によりブリケット状に固化したタール25及びおがくず54は、ガス化炉12の燃料として利用することができる。
【0063】
次に、本実施形態のタール除去フィルタ35を用いた検証結果について説明する。
【0064】
一般に、バイオマス発電施設は、燃料となる樹木などの原料を細かく裁断して木質チップ21の大きさを調整する製造設備を有する。木質チップ21の製造に伴い、おかくず54が発生し、従来は、おがくず54は、産業廃棄物処理の対象となっていた。おがくず54は、木質チップ21と同様に、ガス化炉12に投入すれば、可燃性ガス24を生成することができる。しかしながら、おがくず54を木質チップ21と同時にガス化炉12に投入した場合には、おがくず54が木質チップ21の間に入り込み、下方から送り込まれるガス化剤23の流れを塞いでしまう。その結果、ガス化炉12の内部のガスの流れにおいて圧力損失が発生する。したがって、おがくず54は、バイオマス発電システム1特有の廃棄物として処分されてきた。
【0065】
ここで、おがくず54は、ナフタレンやフェナントレンなど、タール25に含まれる炭化水素を吸着する効果を有することが知られている。このため、出願人は、おがくず54をタールの除去に利用できるか否かを検証した。
【0066】
まず、出願人は、水平方向にガスを通過させる、ガスの通過方向に対して扁平な縦型のフィルタケース(縦幅610mm×横幅610mm×厚さ100mm)であって、ガスの通過方向の前面から後面に向けて可燃性ガス24が通過可能なケースの中におがくず54を充填したものを用いて検証した。この場合、ケース内部に詰められたおがくず54の圧密が影響し圧力損失が800Paとなり、HEPAフィルタの最大圧力損失である500Paよりも大きくなった。さらに、ケースの内部に垂直方向に大量に詰められたおがくず54が重みで下がってしまい、ケース内部の上部に空間を生成してしまう事象が発生した。この空間の発生により、可燃性ガス24がおがくず54の無い上部の空間を通過してしまったため、結局タール25を除去することができないという結果となった。
【0067】
このため、出願人は、可燃性ガス24を、フィルタの水平方向からではなく、フィルタの上方から下方に通過させることとした。この場合、おがくず54を詰めた部分の厚みが厚いと、圧力損失が増加する。そこで、出願人は、おがくず54を枠体51の内部に薄く詰めたタール除去フィルタ35を複数段並べ、上流側から下流側に向けて下り傾斜させた整流板43により、各タール除去フィルタ35に可燃性ガス24を上方から下方へ満遍なく通過させることで、可燃性ガス24に含まれるタール25を確実に除去し、かつ圧力損失を抑えた形状とした。
【0068】
ここで、出願人が、ガス化発電システム1の可燃性ガス24の流路に、5段のタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16を設置し、50時間使用した結果、タール吸着量は3.3kg(おがくず1.0kg当たりタール1.6kg)であった。また、圧力損失は約200Pa(50時間で+20Pa)であった。また、7段のタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16では、圧力損失は、約120Pa(50時間で+10Pa)であった。一方、HEPAフィルタは、使用開始時において圧力損失は270Paであった。
【0069】
上記の出願人の検証結果により、本実施形態のタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16は、圧力損失の性能面においてHEPAフィルタに代わる十分な性能を有し、HEPAフィルタよりも圧力損失が抑えられるという利点がある。また、本実施形態のフィルタ装置16は、5段よりも7段の方が可燃性ガス24が流れるフィルタ面積が大きく、圧力損失が抑えられる。
【0070】
次に、出願人は、おがくず54を用いた本実施形態のタール除去フィルタ35のHEPAフィルタに対する優位性について検証した。
【0071】
図4は、ガス状タールのタール除去率の検証結果を示す。図4において、横軸は、左から、HEPAフィルタを用いた場合と、本実施形態のタール除去フィルタ35を用いた場合とにおける、水溶性のタールと、非水溶性のタールとのタール除去率を示す。また、縦軸は、タール除去率(%)を示す。
【0072】
図4に示すように、水溶性のタールでは、HEPAフィルタを用いた場合のタール除去率は9%であるのに対し、本実施形態のタール除去フィルタ35を用いた場合のタール除去率は28%である。また、非水溶性のタールでは、HEPAフィルタを用いた場合のタール除去率は15%であるのに対し、本実施形態のタール除去フィルタ35を用いた場合のタール除去率は36%である。
【0073】
上記の出願人の検証結果により、HEPAフィルタを用いた場合よりも、本実施形態のタール除去フィルタ35を用いた場合の方が、水溶性のタールで3倍、非水溶性のタールで2倍以上除去率が大きいことがわかる。従って、HEPAフィルタを用いた場合よりも、本実施形態のタール除去フィルタ35を用いた場合の方が、タール除去率が大きく、ガス状タールを多く除去できることがわかる。
【0074】
なお、粒子状タールや液状タールは、おがくず54を用いた本実施形態のタール除去フィルタ35によっても除去できることが確認されている。また、本実施形態のタール除去フィルタ35において、おがくず54の厚みを増やしていけば、粒子状タールや液状タールの除去率が上がることも確認されている。ここで、粒子状タールや液状タールは、配管等の内壁に付着し易い性質を有するが、ガス化炉12によって生成された可燃性ガス24では、粒子状タールの量(濃度)よりもガス状タールの量(濃度)の方が多いため、ガス状タールの付着も無視できない。このため、ガス状タールの除去率の小さいHEPAフィルタに比べ、ガス状タールの除去率の大きい本実施形態のタール除去フィルタ35の方が優位であることがわかる。これは、HEPAフィルタは、篩効果によってタール25を除去するため、ガス状タールの除去率が小さいと考えられるためである。一方、おがくず54を用いた本実施形態のタール除去フィルタ35は、吸着効果によってタール25を除去するため、ガス状タールも粒子状タールや液状タールも両方とも除去できると考えられるためである。
【0075】
次に、本実施形態のフィルタ装置16の作用効果について説明する。
【0076】
図1から図4に示した実施形態では、HEPAフィルタの代わりに、おがくず54を用いたタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16を用いることとした。HEPAフィルタは、例えば、1台8万円程度と非常に高価なものであり、毎週交換すると非常にコストがかかるものであった。しかし、本実施形態では、木質チップ21の製造時に発生する廃棄物であるおがくず54を利用したタール除去フィルタ35を用いるものであるため、おがくず54を毎週交換してもコストは掛からない。
【0077】
また、HEPAフィルタは、例えば、1台40kg前後と重量が重く、交換が容易ではなかった。一方、本実施形態のおがくず54を用いたタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16では、例えば、1段当たり約2.5kgのタール除去フィルタ35を1段ごとに交換すれば良い構造であるため、1段当たりの重量が軽く、交換や清掃が容易な構造である。
【0078】
また、HEPAフィルタでは、篩効果でタール25を除去するため、粒子状タールや液状タールを除去することはできるが、ガス状タールを除去することができない。一方、本実施形態のおがくず54を用いたタール除去フィルタ35では、吸着効果でタール25を除去するため、粒子状タールや液状タールに加え、ガス状タールについても除去することができる。
【0079】
また、おがくず54は、木質チップ21と同様に木質バイオマスであるが、細かすぎるためそのままではガス化炉12に投入することができず廃棄していたものである。一方、タール25も元々は木質バイオマスであるため、発熱量を有するものであるが、配管等に付着して問題を起こすものであるため、設備の定期点検時に除去されて焼却処分していたものである。しかし、本実施形態のおがくず54を用いたタール除去フィルタ35では、タール25はおがくず54に付着してブリケット状に固化される。したがって、ブリケット状に固化されたタール25及びおがくず54は、タール除去フィルタ35(タール除去フィルタ35の上部金網52又は下部金網53)から取り外されて、木質チップ21とともにガス化炉12の燃料として利用することができる。なお、タール25がおがくず54に付着してブリケット状に固化されない場合は、ブリケットマシーン等でブリケット状にしてもよい。これにより、結果的に、廃棄物であるおがくず54の量が抑制される。また、タール25もガス化炉12の燃料として再利用でき、木質チップ21を原料とした発電システムにおける発電効率を向上させることができる。このように、本実施形態のおがくず54を用いたタール除去フィルタ35を用いることで、HEPAフィルタを用いたときよりも、発電効率を向上させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、上下のタール除去フィルタ35の間を上流側から下流側に向けて下り傾斜させて仕切る整流板43を設けることとした。これにより、可燃性ガス24がタール除去フィルタ35を満遍なく通過するため、可燃性ガス24中のタール25とおがくず54との接触機会が多くなり、タール25の除去率を上げることができる。
【0081】
次に、タール除去フィルタ、フィルタ装置、及びバイオマス発電システムの別の実施形態について、図5を用いて説明する。
【0082】
図5は、バイオマス発電システムの一つであるガス化発電システムの別の例を模式的に示す。なお、図5において、図1から図4に示した構成と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
図5に示すように、ガス化発電システム1’は、ホッパー11、ガス化炉12、生成ガス冷却器13、湿式電気集塵機14、ファン15、フィルタ装置16’、ガスエンジン17、熱交換器18、排気塔19、及びHEPAフィルタ61を含む。このガス化発電システム1’は、おがくず54を用いたタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16’をファン15の上流に配置している。また、ファン15の下流には、HEPAフィルタ61が配置される。すなわち、図5に示すガス化発電システム1’は、おがくず54を用いたタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16’と、HEPAフィルタ61とを併用する。なお、フィルタ装置16’の詳細な構成は、図3に示すフィルタ装置16と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0084】
このガス化発電システム1’では、ファン15の上流側における可燃性ガス24の温度は、例えば35℃と低く冷却されている。ここで、湿式電気集塵機14から流入する可燃性ガス24は水分を含んでいるため、可燃性ガス24の温度が低いと温度が高いときよりも相対湿度が高くなる。このため、結露による水濡れで圧力損失が高まりやすいHEPAフィルタ61は、ファン15の上流側に配置することは難しい。しかしながら、おがくず54を用いたタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16’は、結露による水濡れ程度では圧力損失が影響を受けず、相対湿度が高くても使用できるため、ファン15の上流側に配置することが可能である。
【0085】
HEPAフィルタ61は、空気中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄空気にする目的で使用するエアフィルタの一種である。HEPAフィルタ61は、主に直径1~10μm以下のガラス繊維でできている。HEPAフィルタ61は、水濡れに弱いが、ファン15の下流では、可燃性ガス24の温度が断熱圧縮効果により、例えば65℃とファン15の上流よりも高いため、ファン15の上流よりも可燃性ガス24の相対湿度が低く、HEPAフィルタ61を配置することが可能である。
【0086】
次に、図5に示した実施形態の作用効果について説明する。
【0087】
図5に示した実施形態では、フィルタ装置16と同様の構成を有するフィルタ装置16’を用いるため、図1から図4に示した実施形態と同様の効果を奏する。
【0088】
また、おがくず54を用いたタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16’は、水濡れに強いため、相対湿度の高いファン15の上流に配置することが可能である。フィルタ装置16’を、ファン15の上流側に配置することで、タール25がファン15に付着することを抑制できる。これにより、タール25が付着したファン15を駆動したときに必要となる供給電力を抑制できる。また、ファン15のメンテナンスに要するコストや手間を低減することができる。
【0089】
また、フィルタ装置16’とHEPAフィルタ61と併用することにより、タール25のHEPAフィルタ61への付着量が減少し、HEPAフィルタ61単体で運用していたときよりもHEPAフィルタ61の交換頻度を低減することが可能となる。その結果、コスト削減や交換の手間を低減することができる。同時に、ガスエンジン17のメンテナンス頻度も低減され、一層のコスト削減やメンテナンスの手間を低減することができる。
【0090】
なお、図1から図4に示した実施形態では、ファン15の下流にフィルタ装置16が配置されている。また、図5に示した実施形態では、ファン15の上流にフィルタ装置16’が、ファン15の下流にHEPAフィルタ61が配置されている。しかし、フィルタ装置16とHEPAフィルタ61とは、フィルタ装置16、HEPAフィルタ61の順で、ファン15の下流に配置されてもよい。また、ファン15の上流のみにフィルタ装置16’が配置されてもよい。さらに、ファン15の上流にフィルタ装置16が、ファン15の下流にフィルタ装置16’が配置されることも可能である。
【0091】
また、おがくず54を利用したタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16又はフィルタ装置16’は、複数直列に配置することも可能である。このように複数のフィルタ装置16又はフィルタ装置16’を直列に配置することで、タール25の除去率がさらに向上する。
【0092】
なお、図1から図5に示した実施形態では、おがくずを利用したタール除去フィルタ35を複数有するフィルタ装置16又はフィルタ装置16’を、ガスエンジン17を用いたバイオマス発電システムに利用することについて説明したが、これには限られない。フィルタ装置16又はフィルタ装置16’は、ガスタービンを用いたバイオマス発電システムに用いてもよい。この場合も、図1から図5に示した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0093】
また、おがくず54を用いたタール除去フィルタ35を有するフィルタ装置16又は16’は、バイオマス発電システムに限られず、例えば、ごみ、汚泥、又は木材等の有機物を炭化炉で熱分解した際に、炭化物とともにタール25を有するガスが発生するような炭化の施設や、自動車会社の実験施設等であって、エンジン排ガスを燃焼してVOC(揮発性有機化合物:Volatile Organic Compounds)を除去する際にタール25が発生するような施設など、タール25を排出する施設であれば、他の施設やシステムでも用いることが可能である。
【0094】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0095】
1,1’…ガス化発電システム;11…ホッパー;11a…コンベヤ装置;12…ガス化炉;13,13a,13b…生成ガス冷却器;14…湿式電気集塵機;15…ファン;16,16’…フィルタ装置;17…ガスエンジン;18…熱交換器;19…排気塔;21…木質チップ;23…ガス化剤;24…可燃性ガス;25…タール;26…タール含有水;27…排気ガス;28…温水;31…装置本体;33…フィルタ設置枠;34…扉;35…タール除去フィルタ;36…流入口;37…送出口;42…棚段;43…整流板;51…枠体;52…上部金網;52a…把持部;53…下部金網;53a…クリンプ金網;53b…金網;54…おがくず;61…HEPAフィルタ
図1
図2
図3
図4
図5