(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】表示システム、情報処理装置及び表示システムの表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20240611BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240611BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20240611BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
G06F3/01 510
G09G5/00 550C
G09G5/00 550X
G09G5/00 555D
G09G5/38
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2020060698
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 由貴
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/002347(WO,A1)
【文献】特開2016-161611(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158000(WO,A1)
【文献】特開2013-174642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0331576(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0001348(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
3/048-3/04895
G09G5/00-5/42
H04N5/64-5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面にオブジェクト画像を表示させる表示装置と、
使用者の頭部に装着され、オブジェクト画像を、外景とともに視認できるように表示する頭部装着型表示装置と、
前記表示装置及び前記頭部装着型表示装置に通信可能に接続された情報処理装置と、
を備え、
前記頭部装着型表示装置は、
前記頭部装着型表示装置の位置を検出する位置検出部と、
前記使用者の頭部の向きと、鉛直方向に対する頭部の角度とを検出する頭部向き検出部と、を備え、
前記位置検出部が検出した前記頭部装着型表示装置の位置と、前記頭部向き検出部が検出した前記頭部の向き及び角度と、を通知情報として前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、前記実空間での前記表示面の位置とが記録されたマップデータを記憶する第1記憶部と、
前記通知情報により通知された前記頭部の向き及び角度に基づいて前記使用者の視野範囲を推定し、推定した視野範囲において視認可能な実空間の位置に対応づけられた前記オブジェクト画像
と、前記表示面の前記実空間の位置と、を前記マップデータを参照して
取得し、
前記頭部装着型表示装置から通知された前記頭部装着型表示装置の位置と、取得した前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、取得した前記表示面の前記実空間での位置とに基づき、
取得した前記オブジェクト画像を前記表示装置に表示させるのか、前記頭部装着型表示装置に表示させるのかを選択する制御部と、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記制御部は、検出した前記オブジェクト画像のうち、前記頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置との距離が、前記頭部装着型表示装置と前記表示面との距離よりも近い場合、前記オブジェクト画像の画像データを前記頭部装着型表示装置に送信して前記オブジェクト画像を前記頭部装着型表示装置に表示させ、検出した前記オブジェクト画像のうち、前記頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置との距離が、前記頭部装着型表示装置と前記表示面との距離よりも離れている場合、前記オブジェクト画像の画像データを前記表示装置に送信して前記オブジェクト画像を前記表示装置に表示させる、請求項1の記載の表示システム。
【請求項3】
前記頭部装着型表示装置は、
前記頭部装着型表示装置を識別する識別情報を記憶した第2記憶部を備え、
前記位置検出部が検出した前記頭部装着型表示装置の位置と、前記頭部装着型表示装置の識別情報とを前記通知情報として前記情報処理装置に送信し、
前記第1記憶部は、前記オブジェクト画像を識別する識別情報と、前記頭部装着型表示装置を識別する識別情報とを対応づけて記憶し、
前記制御部は、前記頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置との距離が、前記頭部装着型表示装置と前記表示面との距離よりも近い場合であって、前記オブジェクト画像の識別情報が、前記頭部装着型表示装置の識別情報に対応付けられている場合に、前記頭部装着型表示装置に、前記オブジェクト画像の画像データを送信する、請求項1又は2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置との距離が、前記頭部装着型表示装置と前記表示面との距離より離れている場合、前記頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置とに基づき前記オブジェクト画像を表示させる前記表示面の位置を決定し、
決定した前記表示面の位置を示す位置情報を、前記オブジェクト画像の画像データと共に前記表示装置に送信する、請求項2に記載の表示システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、前記オブジェクト画像を表示させる前記表示面の位置とが直線上に並ぶように、前記オブジェクト画像を表示させる前記表示面の位置を決定する、請求項4記載の表示システム。
【請求項6】
前記頭部装着型表示装置は、第1頭部装着型表示装置と、第2頭部装着型表示装置とを備え、
前記制御部は、前記第1頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置との距離が、前記第1頭部装着型表示装置と前記表示面との距離より離れ、前記第2頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置との距離が、前記第2頭部装着型表示装置と前記表示面との距離より離れている場合、前記第1頭部装着型表示装置の位置と、前記第2頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、に基づき前記オブジェクト画像を表示させる前記表示面の位置を決定し、
決定した前記表示面の位置を示す位置情報を、前記オブジェクト画像の画像データと共に前記表示装置に送信する、請求項4記載の表示システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置とを結ぶ直線上に位置するように前記オブジェクト画像の前記表示面の第1表示位置を選択し、
前記第2頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置とを結ぶ直線上に位置するように前記オブジェクト画像の前記表示面の第2表示位置を選択し、前記第1表示位置と、前記第2表示位置との間に、前記オブジェクト画像を表示させる前記表示面の位置を決定し、
決定した前記表示面の位置を示す位置情報を、前記オブジェクト画像の画像データと共に前記表示装置に送信する、請求項6記載の表示システム。
【請求項8】
前記頭部装着型表示装置は、前記使用者の操作を受け付ける受付部を備え、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置を変更する操作、及び、前記実空間の位置を移動させる移動量及び移動方向を指定する操作を前記受付部により受け付けると、受け付けた移動量及び移動方向を示す情報を前記情報処理装置に送信し、
前記制御部は、前記頭部装着型表示装置から受信した前記移動量及び移動方向を示す情報に基づいて、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置を変更する、請求項1から7のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項9】
表示面にオブジェクト画像を表示させる表示装置と、使用者の頭部に装着され、オブジェクト画像を、外景とともに視認できるように表示する頭部装着型表示装置と、に通信可能に接続された情報処理装置であって、
前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、前記表示面の前記実空間での位置とが記録されたマップデータを記憶する第1記憶部と、
前記頭部装着型表示装置が検出した前記頭部装着型表示装置の位置と、前記頭部の向き
、及び、鉛直方向に対する前記頭部の角度と、を含む通知情報を受信する受信部と、
受信した前記通知情報に含まれる前記頭部の向き及び角度に基づいて前記使用者の視野範囲を推定し、推定した視野範囲において視認可能な実空間の位置に対応づけられた前記オブジェクト画像
と、前記表示面の前記実空間の位置と、を前記マップデータを参照して
取得し、
前記頭部装着型表示装置から通知された前記頭部装着型表示装置の位置と、取得した前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、取得した前記表示面の前記実空間での位置とに基づき、検出した前記オブジェクト画像を前記表示装置に表示させるのか、前記頭部装着型表示装置に表示させるのかを選択する制御部と、を備える、情報処理装置。
【請求項10】
表示面にオブジェクト画像を表示させる表示装置と、使用者の頭部に装着され、オブジェクト画像を、外景とともに視認できるように表示する頭部装着型表示装置と、前記表示装置及び前記頭部装着型表示装置に通信可能に接続された情報処理装置と、を備える表示システムの表示制御方法であって、
前記頭部装着型表示装置は、
前記頭部装着型表示装置の位置と、前記使用者の頭部の向き、及び、鉛直方向に対する頭部の角度と、を検出し、
検出した前記頭部装着型表示装置の位置と、前記頭部の向き及び角度と、を通知情報として前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記通知情報に含まれる前記頭部の向き及び角度に基づいて前記使用者の視野範囲を推定し、
前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、実空間での前記表示面の位置とが記録されたマップデータを参照して、推定した前記視野範囲において視認可能な実空間の位置に対応づけられた前記オブジェクト画像と、前記表示面の前記実空間の位置と、を取得し、
前記頭部装着型表示装置から通知された前記頭部装着型表示装置の位置と、取得した前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、取得した前記表示面の前記実空間での位置とに基づき、検出した前記オブジェクト画像を前記表示装置に表示させるのか、前記頭部装着型表示装置に表示させるのかを選択する、
ことを特徴とする表示システムの表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システム、情報処理装置及び表示システムの表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外景を透過し、外景とともに視認できるように画像を表示する頭部装着型表示装置が知られている。頭部装着型表示装置は、画像を表示した状態で外景を視認できるため、頭部装着型表示装置を、他の表示装置と連動させる仕組みが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1が開示する透過型の表示装置は、外部表示装置が表示する表示画像のデータを取得し、表示画像をカメラで撮影する。表示装置は、カメラの撮影画像により、外部表示装置が表示する表示画像の一部が障害物によって遮られ、視認不可能、或いは視認しにくくなったことを検出し、この表示画像の一部を表示して視認可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
頭部装着型表示装置は、頭部装着型表示装置を装着した使用者に違和感のない画像を視認させるため、画像のフレームレートを高フレームレート化する傾向にあり、頭部装着型表示装置の負荷は増加傾向にある。また、頭部装着型表示装置は、画像を実空間に重畳して表示させるが、画像を重畳させる実空間の位置が使用者から離れすぎると、意図した画像を使用者に視認させることができない場合がある。例えば、頭部装着型表示装置により立体画像を表示させる場合、立体画像を重畳させる実空間の位置が使用者から離れすぎると、使用者は、立体画像として視認できなくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する一態様は、表示面にオブジェクト画像を表示させる表示装置と、使用者の頭部に装着され、オブジェクト画像を、外景とともに視認できるように表示する頭部装着型表示装置と、を備え、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、前記表示面の前記実空間での位置とが記録されたマップデータを参照して、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、前記表示面の前記実空間の位置とを取得し、前記頭部装着型表示装置から通知された前記頭部装着型表示装置の位置と、取得した前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、取得した前記表示面の前記実空間での位置とに基づき、前記オブジェクト画像を、前記表示装置と、前記頭部装着型表示装置とのいずれか一方に表示せる、ことを特徴とする表示システムである。
【0007】
上記課題を解決する別の一態様は、表示面にオブジェクト画像を表示させる表示装置と、使用者の頭部に装着され、オブジェクト画像を、外景とともに視認できるように表示する頭部装着型表示装置と、に通信可能に接続された情報処理装置であって、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、前記表示面の前記実空間での位置とが記録されたマップデータを記憶した第1記憶部と、前記頭部装着型表示装置から通知された前記頭部装着型表示装置の位置と、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、前記表示面の前記実空間での位置とに基づき、前記オブジェクト画像を、前記表示装置と、前記頭部装着型表示装置とのいずれか一方に表示せる制御部と、を備える、情報処理装置である。
【0008】
上記課題を解決する別の一態様は、表示面にオブジェクト画像を表示させる表示装置と、使用者の頭部に装着され、オブジェクト画像を、外景とともに視認できるように表示する頭部装着型表示装置と、を備える表示システムの表示制御方法であって、前記頭部装着型表示装置から前記頭部装着型表示装置の位置を通知する通知情報を受信し、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、前記表示面の前記実空間での位置とが記録されたマップデータを参照して、前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、前記表示面の前記実空間での位置とを取得し、前記頭部装着型表示装置の位置と、取得した前記オブジェクト画像が対応づけられた実空間の位置と、取得した前記表示面の前記実空間での位置とに基づき、前記オブジェクト画像を、前記表示装置と、前記頭部装着型表示装置とのいずれか一方に表示せる、ことを特徴とする表示システムの表示制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】プロジェクターの構成を示すブロック構成図。
【
図6】オブジェクト画像の表示面での表示位置を示す図。
【
図7】オブジェクト画像の表示面での表示位置を示す図。
【
図8】表示システムにより表示されるオブジェクト画像の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、表示システム1の概略構成を示す図である。
表示システム1は、プロジェクター100と、頭部装着型表示装置200と、情報処理装置300とを備える。プロジェクター100は、本発明の表示装置に相当する。情報処理装置300は、プロジェクター100及び頭部装着型表示装置200にデータ通信可能に接続される。
図1には、情報処理装置300とプロジェクター100とをケーブルにより有線接続し、情報処理装置300とHMD200とを無線により接続した例を示すが、情報処理装置300とプロジェクター100とを無線により接続してもよい。以下では、頭部装着型表示装置200を、HMD200と表記する。HMDは、Head Mounted Displayを省略した表記である。
【0011】
図1には、プロジェクター100と情報処理装置300とを1台ずつ示し、HMD200としてHMD200Aと、HMD200Bとの2台を示すが、プロジェクター100、HMD200及び情報処理装置300の台数は任意である。例えば、情報処理装置300に複数のプロジェクター100及び複数のHMD200を接続した構成であってもよい。また、複数のプロジェクター100及び複数のHMD200を接続した情報処理装置300を複数設けてもよい。以下の説明において、HMD200A及びHMD200Bを総称する場合、HMD200と表記する。HMD200Aは、本発明の第1頭部装着型表示装置に相当し、HMD200Bは、本発明の第2頭部装着型表示装置に相当する。
【0012】
プロジェクター100は、情報処理装置300から供給されるコンテンツデータ363に基づく画像光を生成し、生成した画像光を表示面10に投射する。表示面10は、幕状のスクリーンであってもよいし、建造物の外壁や室内の壁面、設置物の平面等を表示面10としてもよい。また、表示面10は、平面に限らず、曲面や凹凸を有する面であってもよい。
【0013】
HMD200は、使用者Uの頭部に装着される画像表示部210と、この画像表示部210を制御する制御装置230と備える。HMD200は、情報処理装置300から受信したコンテンツデータ363に基づく画像を画像表示部210により表示させる。HMD200は、画像表示部210を頭部に装着した使用者Uに虚像を視認させるとともに、外景も直接視認可能な光学透過型の表示装置である。
【0014】
また、制御装置230は、HMD200のために専用に設けられた装置であってもよいし、画像表示部210に接続した接続装置を介して、スマートフォン等の外部装置を接続する構成であってもよい。接続装置を介して外部装置を接続する構成の場合、接続装置は、画像表示部210が備える各種センサーを動作させたり、外部装置から入力される映像データや表示データに基づき、画像表示部210に画像を表示させたりする処理を実行する。
【0015】
情報処理装置300は、プロジェクター100やHMD200にコンテンツデータ363を供給する装置である。より詳細には、情報処理装置300は、HMD200から通知されるHMD200の位置情報に基づき、コンテンツデータ363に基づく画像をHMD200に表示させるのか、プロジェクター100に表示させるのかを選択する。情報処理装置300は、選択したHMD200又はプロジェクター100にコンテンツデータ363を送信し、コンテンツデータ363に基づく画像を表示させる。
【0016】
HMD200や、プロジェクター100は、コンテンツデータ363に基づく画像の一例として、オブジェクト画像500を表示する。オブジェクト画像500は、例えば、テーブルや、机、家具、家等の静止物であってもよいし、動物や人等の動体であってもよい。
HMD200により表示されるオブジェクト画像500は、仮想オブジェクトとして表示される。仮想オブジェクトは、実空間には存在しないが、使用者Uが画像表示部210を通して視認することで実空間に重畳され、あたかも実空間に存在するように使用者Uに感じさせる画像である。プロジェクター100は、オブジェクト画像500を表示面10に表示させる。
【0017】
図2は、プロジェクター100の構成を示すブロック構成図である。
図2を参照しながらプロジェクター100の構成について説明する。
プロジェクター100は、通信部110、画像処理部120、フレームメモリー130、駆動部140、投射部150及びPJ制御部160を備える。
【0018】
通信部110は、所定の通信規格に準拠したコネクター及びインターフェイス回路を備え、ケーブルを介して接続された情報処理装置300とデータの送受信を行う。通信部110は、情報処理装置300からコンテンツデータ363を受信すると、受信したコンテンツデータ363をPJ制御部160に出力する。
【0019】
画像処理部120には、PJ制御部160から画像データが入力される。画像データは、コンテンツデータ363に含まれるデータである。画像処理部120は、PJ制御部160から入力された画像データをフレームメモリー130に展開する。画像処理部120は、フレームメモリー130に展開した画像データに対して、例えば、解像度変換処理又はリサイズ処理、歪曲収差の補正、形状補正処理、デジタルズーム処理、画像の色合いや輝度の調整等の画像処理を行う。画像処理部120は、上記のうち複数の画像処理を組み合わせて実行することも勿論可能である。画像処理部120は、画像処理が終了すると、フレームメモリー130に展開された画像データに対応した表示信号を生成し、生成した表示信号を駆動部140に出力する。
【0020】
駆動部140は、画像処理部120から入力された表示信号に基づいて光変調装置151を駆動する。また、駆動部140は、PJ制御部160の制御に従い、光源を点灯させたり、消灯させたり、投射光学系のズームやフォーカスを調整する。
【0021】
投射部150は、光変調装置151及び投射光学系153を備える。光変調装置151は、例えば、赤、緑及び青の色ごとに設けられた3枚の液晶パネルを備える。光変調装置151は、駆動部140によって駆動され、3枚の液晶パネルの光透過率が変更される。具体的には、3枚の液晶パネルの光透過率が表示信号に対応した光透過率に変更される。光源が射出した光が、光変調装置151を透過することで、表示信号に対応した画像光が生成される。投射光学系153は、レンズやミラー等の光学素子を備え、光変調装置151で生成された画像光を表示面10に結像させる。
【0022】
PJ制御部160は、PJ記憶部161及びプロセッサー163を備える。
PJ記憶部161は、例えば、ROMやRAM、フラッシュメモリー等のメモリーを備える。ROMは、Read Only Memoryを省略した表記であり、RAMは、Random access memoryを省略した表記である。
PJ記憶部161は、プロセッサー163が実行するプログラムや、プロセッサー163により処理される各種データを不揮発的に記憶する。
【0023】
PJ制御部160は、プロセッサー163がプログラムを実行することで、プロジェクター100の各部を制御する。PJ制御部160がプロジェクター100の各部を制御することで、プロジェクター100は、情報処理装置300から受信したコンテンツデータ363に基づく画像光を生成し、生成した画像光を表示面10に表示させる。
【0024】
プロジェクター100は、いわゆるプロジェクションマッピングにより建物等の3次元的な投射対象に映像等のコンテンツを表示させることができる。また、プロジェクター100は、複数台のプロジェクター100を並べて配置し、並べて配置された複数台のプロジェクター100により表示面10に画像を投射するマルチプロジェクションを行うことも可能である。
【0025】
次に、
図3を参照しながらHMD200の構成について説明する。
なお、HMD200AとHMD200Bとは、同一の構成を備えるため、ここでは、HMD200の構成として説明する。
画像表示部210は、
図1に示すように眼鏡形状の部材である。画像表示部210は、右保持部21と、左保持部23と、前部フレーム27とを有する本体に、右表示部22、左表示部24、右導光板26及び左導光板28を備える。また、画像表示部210には、センサーとして、カメラ211、地磁気センサー213及び6軸センサー215が搭載される。
【0026】
右保持部21及び左保持部23は、前部フレーム27の両端部から後方に延び、使用者Uの頭部に画像表示部210を保持する。
前部フレーム27は、右導光板26の一端と左導光板28の一端とを互いに連結した形状を有し、この連結位置は、使用者Uが画像表示部210を装着する装着状態で、使用者Uの眉間に対応する。
【0027】
右表示部22及び左表示部24は、それぞれ、光学ユニット及び周辺回路をユニット化したモジュールである。右表示部22は、右導光板26により画像を表示させ、左表示部24は左導光板28により画像を表示させる。右表示部22は右保持部21に取り付けられ、左表示部24は左保持部23に取り付けられる。
【0028】
右表示部22は、右眼に画像を視認させる構成として、画像光を発する右OLEDユニットや、右OLEDユニットが発する画像光を右導光板26に導く右光学系を備える。OLEDはOrganic Light Emitting Diodeを省略した表記である。右OLEDユニットや、右光学系の図示は省略する。
左表示部24は、左眼に画像を視認させる構成として、画像光を発する左OLEDユニットや、左OLEDユニットが発する画像光を左導光板28に導く左光学系を備える。左OLEDユニットや、左光学系の図示は省略する。
【0029】
カメラ211は、前部フレーム27において、右導光板26及び左導光板28を透過する外光を遮らない位置に設けられる。カメラ211は、CCDやCMOS等の撮像素子及び撮像レンズ等を備えるデジタルカメラであり、単眼カメラであってもよいし、ステレオカメラであってもよい。カメラ211の画角は、画像表示部210を装着した使用者Uが右導光板26及び左導光板28を透過して視認する外景の範囲の少なくとも一部を含む。
【0030】
地磁気センサー213は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向における磁界を検出する3軸のセンサーである。X軸、Y軸及びZ軸は、
図1に示すように相互に直交する3軸方向であり、Z軸方向が鉛直方向に対応し、X軸方向が使用者Uの頭部の左右方向に対応し、Y軸方向が使用者Uの頭部の前後方向に対応する。
【0031】
6軸センサー215は、3軸加速度センサー及び3軸ジャイロセンサーを備えるモーションセンサーである。6軸センサー215は、上記のセンサーがモジュール化されたIMUを採用してもよい。
【0032】
6軸センサー215及び地磁気センサー213は、例えば、50msec等の所定の周期毎にサンプリングを実行し、検出結果を示すアナログ電圧値を出力する。出力された電圧値は、A/D変換器によってデジタル信号に変換され、HMD制御部250に出力される。
【0033】
次に、制御装置230について説明する。
制御装置230は、操作部231、通信部233、ビーコン受信部235及びHMD制御部250を備える。
【0034】
操作部231は、ボタンやスイッチ等を備え、使用者Uの操作を受け付ける受付部である。操作部231は、受け付けた操作に対応した操作信号を制御装置230に出力する。
【0035】
通信部233は、BluetoothやWi-Fi等の無線通信プロトコルに対応し、情報処理装置300との無線通信を実行する。Bluetooth及びWi-Fiは登録商標である。
【0036】
ビーコン受信部235は、ビーコン信号を受信する。
フィールドには、ビーコン信号を送信する複数のビーコン装置が設置される。フィールドとは、プロジェクター100や情報処理装置300、表示面10が設置され、使用者Uが移動可能な領域であり、屋外であってもよいし、屋内であってもよい。ビーコン受信部235は、これらのビーコン装置から送信されるビーコン信号を受信する。
【0037】
HMD制御部250は、HMD記憶部260及びプロセッサー270を備える。
【0038】
HMD記憶部260は、ROMやRAMを備える。また、HMD記憶部260は、ROMやRAMに加えてフラッシュメモリー等の不揮発性メモリーを備える構成であってもよい。HMD記憶部260は、本発明の第2記憶部に相当する。
HMD記憶部260は、プロセッサー270が実行するプログラムや、プロセッサー270により処理される各種データを不揮発的に記憶する。例えば、HMD記憶部260は、プロセッサー270が実行する基本制御プログラムとしてのオペレーティングシステム、及び、オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラム等を記憶する。また、プロセッサー270は、アプリケーションプログラムの実行時に処理されるデータや処理結果のデータを記憶する。
【0039】
また、HMD記憶部260は、HMD200を識別する識別情報265を記憶する。さらに、HMD記憶部260は、ビーコン信号を送信するビーコン装置のフィールド内での設置位置を示す位置情報や、各ビーコン装置を識別する識別情報を記憶する。
【0040】
プロセッサー270は、CPU、マイコン、DSP等で構成され、プログラムを実行することにより制御装置230の各部を制御する。プロセッサー270は、プロセッサー270及びHMD記憶部260を統合したSoCであってもよい。DSPは、Digital Signal Processorを省略した表記である。SoCは、System-on-a-chipを省略した表記である。
【0041】
HMD制御部250は、HMD記憶部260が記憶するプログラムをプロセッサー270が実行することで各種の機能的構成を実現する。HMD制御部250は、機能的構成として、通信制御部271、位置検出部273、頭部向き検出部275、音声処理部277、表示制御部279及び検出制御部281を備える。
【0042】
通信制御部271は、通信部233を制御して情報処理装置300とのデータ通信を実行する。
【0043】
位置検出部273は、6軸センサー215に含まれる3軸の加速度センサー及び3軸のジャイロセンサーのセンサーデータに基づいて、HMD200の移動量や移動方向を検出する。位置検出部273は、検出した移動量及び移動方向に基づき、フィールド内でのHMD200の位置を検出する。
【0044】
また、位置検出部273は、ビーコン受信部235が受信したビーコン信号に基づいてフィールド内でのHMD200の位置を検出する。位置検出部273は、少なくとも3つのビーコン装置からビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号の信号強度に基づき、ビーコン信号の送信元のビーコン装置とHMD200との距離を推定する。そして、位置検出部273は、推定した少なくとも3つのビーコン装置とHMD200との距離に基づき、3点測位又は4点測位によりHMD200の現在位置を推定する。位置検出部273がビーコン信号に基づいて現在位置を推定するためには、HMD200を静止させた状態で、少なくとも3つのビーコン装置からビーコン信号を受信する必要がある。このため、ビーコン装置は、複数のビーコン装置が送信するビーコン信号の到達範囲が一部分で重なるように配置し、ビーコン装置の送信電力を設定する必要がある。また、複数のビーコン装置を近接して配置する場合、ビーコン信号の送信タイミングが一致しないように送信期間が調整される。これは、HMD200が複数のビーコン装置から送信されるビーコン信号を同時に受信した場合に、一部のビーコン信号の受信に失敗したり、ビーコン信号に重畳された情報の取得に失敗したりする確率を高めてしまうのを防ぐためである。
また、位置検出部273は、ビーコン信号の信号強度に基づいて検出したHMD200の位置を、6軸センサー215に含まれる3軸の加速度センサーや、3軸のジャイロセンサーのセンサーデータにより補正する構成であってもよい。
【0045】
頭部向き検出部275は、6軸センサー215や地磁気センサー21のセンサーデータに基づき、使用者Uの頭部の位置や動きを検出する。また、頭部向き検出部275は、使用者Uの頭部を含む上半身の動きを検出してもよい。
頭部向き検出部275は、地磁気センサー213のセンサーデータに基づいて、使用者Uの頭部が向いた方向を示す方位角を検出する。方位角は、本発明の頭部の向きに相当する。また、頭部向き検出部275は、6軸センサー215に含まれるジャイロセンサーのセンサーデータに基づき、頭部のX軸周りの回転角であるピッチ角を検出する。検出されるピッチ角は、頭部の左右方向に設定したX軸、及び頭部の前後方向に設定したY軸を含む面である水平面に対する傾きとなる。この傾きが、仰角又は俯角となる。仰角又は俯角が、本発明の鉛直方向に対する頭部の角度に相当する。
【0046】
HMD制御部250は、HMD200の位置を示す位置情報と、頭部の向きを示す方位角情報、及び仰角又は俯角情報と、HMD200の識別情報とを含む通知情報を、所定時間ごとに情報処理装置300に送信する。
【0047】
音声処理部277は、情報処理装置300から受信したコンテンツデータ363に音声データが含まれる場合、コンテンツに含まれる音声を処理してイヤホン220より出力させる。
【0048】
表示制御部279は、情報処理装置300から受信したコンテンツデータ363に含まれる映像データに基づき、画像表示部210に画像を表示させるための各種処理を実行する。表示制御部279は、映像データからフレームの切り出し、解像度変換、スケーリング、中間フレーム生成、フレームレート変換等の各種処理を実行し、各種処理を実行後の映像データを左表示部24及び右表示部22に出力する。
【0049】
検出制御部281は、カメラ211の撮影画像を解析して、使用者Uが行った操作を検出する。カメラ211及び検出制御部281は、本発明の受付部に相当する。
検出制御部281は、画像表示部210によりオブジェクト画像500を表示している状態で、予め設定された操作を操作部231が受け付けると、カメラ211の撮影画像から使用者Uの手の画像を検出して、オブジェクト画像500の移動量及び移動方向を指定する操作を受け付ける。検出制御部281は、連続して撮影されたカメラ211の撮影画像から検出される手の画像に基づいて、使用者Uの手が動いた方向である移動方向や、使用者Uの手が動いた移動量を検出する。この他、使用者Uは、操作部231を操作して、オブジェクト画像500を対応づけるフィールド内の位置を移動させる移動方向、及び移動量を入力してもよい。
【0050】
検出制御部281は、手の移動量や移動方向を検出すると、検出した移動量や移動方向を示す情報を情報処理装置300に送信する。情報処理装置300は、HMD200から移動量及び移動方向を示す情報を受信すると、後述する3次元マップデータ361に記録されたオブジェクト画像500が対応づけられたフィールドの位置を書き換える。
【0051】
次に、
図4を参照しながら情報処理装置300の構成について説明する。
図4は、情報処理装置300の構成を示すブロック構成図である。
情報処理装置300は、いわゆるコンピューター装置であり、ノートPCデスクトップPCが用いられる。PCは、Personal Computerを省略した表記である。情報処理装置300は、第1通信部310、第2通信部320、入出力I/F330、表示部331、入力装置333及び処理制御部350を備える。第1通信部310、第2通信部320、入出力I/F330及び処理制御部350は、バス305を介して相互に接続される。I/Fは、Interfaceを省略した表記である。
【0052】
第1通信部310は、所定の通信規格に準拠したコネクター及びインターフェイス回路を備え、ケーブルを介して接続されたプロジェクター100とデータの送受信を行う。
【0053】
第2通信部320は、BluetoothやWi-Fi等の無線通信プロトコルに対応し、HMD200AやHMD200Bと無線通信を実行する。
【0054】
入出力I/F330は、表示部331や、入力装置333に接続され、バス305を介して入力したデータを表示部331に出力したり、入力装置333から入力されるデータを処理制御部350に出力したりする。
【0055】
表示部331は、例えば、液晶パネル等の表示パネルを備え、処理制御部350により生成された表示画像を表示させる。液晶パネルの図示は省略する。
【0056】
入力装置333は、マウスやキーボード等の入力デバイスを備え、使用者の操作を受け付ける。入力装置333は、受け付けた操作に対応した操作信号を、入出力I/F330を介して処理制御部350に出力する。なお、使用者は、HMD200の画像表示部210を頭部に装着した使用者Uとは異なる。
【0057】
処理制御部350は、処理装置記憶部360及びプロセッサー370を備える。処理装置記憶部360は、ROMやRAM、フラッシュメモリー等のメモリーや、HDDやSSD等のストレージ装置を備える。HDDは、Hard Disk Driveを省略した表記であり、SSDは、Solid State Driveを省略した表記である。処理装置記憶部360は、本発明の第1記憶部に相当する。
【0058】
処理装置記憶部360は、基本制御プログラムとしてのオペレーティングシステムや、オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムを記憶する。また、処理装置記憶部360は、プロジェクター100により表示面10に表示させる背景画像のデータである背景画像データを記憶する。
【0059】
さらに、処理装置記憶部360は、3次元マップデータ361、コンテンツデータ363及び識別情報登録テーブル365を記憶する。3次元マップデータ361は、本発明のマップデータに相当する。
【0060】
3次元マップデータ361には、オブジェクト画像500や表示面10が対応付けられたフィールド内の位置を示す情報が登録される。フィールドは、本発明の実空間に相当する。フィールド内での位置を示す情報は、フィールドに設定された3次元直交座標系の座標情報であってもよいし、フィールド内の位置を示す緯度や経度であってもよい。本実施形態では、フィールドの位置を示す情報が3次元直交座標系の座標情報である場合について説明する。以下では、3次元直交座標系の座標軸を、x軸、y軸及びz軸と表記する。z軸は、フィールドの鉛直方向に延びる軸であり、x軸は、z軸に対して垂直な軸であり、y軸は、z軸及びx軸に対して垂直な軸である。また、以下では、オブジェクト画像500や表示面10が対応付けられたフィールド内の位置を対応位置という。
【0061】
3次元マップデータ361に登録されたオブジェクト画像500の対応位置を示す座標情報は、入力装置333の操作により変更することができる。処理制御部350は、オブジェクト画像500の対応位置を変更する操作を入力装置333により受け付けると、受け付けた操作に応じて、3次元マップデータ361に登録したオブジェクト画像500の対応位置を示す座標情報を書き換える。
【0062】
コンテンツデータ363は、オブジェクト画像500の画像データである。コンテンツデータ363は、静止画の画像データであってもよいし、動画像の画像データであってもよい。また、コンテンツデータ363は、音声データを含んでもよい。
【0063】
コンテンツデータ363には、オブジェクト画像500をARにより表示するためのデータが含まれる。ARは、Augmented Realityを省略した表記である。AR表示された仮想オブジェクトの画像は、使用者Uが画像表示部210を通して視認する外景、すなわち実空間の景色や物体に重ねて視認される画像である。AR表示された仮想オブジェクトの画像を表示するときの外景の視認性は、右表示部22及び左表示部24がそれぞれ発する画像光の光量と、画像表示部210の外から使用者Uの右眼及び左眼に入射する外光の光量との比により特定される。
【0064】
また、コンテンツデータ363には、オブジェクト画像500を立体表示するためのデータが含まれる。オブジェクト画像500を立体表示するためのデータは、動画像でも静止画像でもよい。オブジェクト画像500を立体表示するためのデータには、右表示部22により表示される右眼用の画像データと、左表示部24により表示される左眼用の画像データとを含む。右眼用の画像データと左眼用の画像データとの視差は、予め設定されてもよい。また、この視差は、HMD200により調整可能であってもよく、使用者Uの操作により視差を指定できる構成であってもよい。
【0065】
識別情報登録テーブル365は、HMD200の識別情報と、処理装置記憶部360が記憶するコンテンツデータ363の識別情報とを対応づけて登録したテーブルである。処理装置記憶部360が記憶するコンテンツデータ363には、予め設定された特定の使用者Uだけが視認又は試聴を許可されるコンテンツが含まれる。識別情報登録テーブル365には、特定の使用者Uにだけ視認又は試聴が許可されたコンテンツの識別情報と、このコンテンツの視認又は試聴を許可された使用者Uが装着するHMD200の識別情報とが対応づけて登録される。
【0066】
プロセッサー370は、CPU、マイコン、DSP等で構成され、プログラムを実行することにより情報処理装置300の各部を制御する。プロセッサー370は、プロセッサー370及び処理装置記憶部360を統合したSoCであってもよい。
【0067】
処理制御部350は、プロセッサー370が、処理装置記憶部360が記憶するオペレーティングシステムや、アプリケーションプログラムを実行することで各種の機能的構成を実現する。
【0068】
次に、処理制御部350の動作について説明する。
情報処理装置300の第2通信部320は、HMD200から送信される通知情報を受信する。第2通信部320は、HMD200が所定時間ごとに送信する通知情報を受信する。第2通信部320が受信した通知情報は、処理制御部350に入力される。処理制御部350は、通知情報が入力されることで処理を開始する。
【0069】
処理制御部350は、まず、通知情報に含まれるHMD200の位置情報や、方位角情報、及び仰角又は俯角情報を取得する。処理制御部350は、使用者Uが視認可能な視野範囲を推定する。処理制御部350は、取得した位置情報や、方位角情報、及び仰角又は俯角情報に基づいて使用者Uの視野範囲405を設定する。視野範囲405の設定方法について
図5を参照しながら説明する。
図5は、使用者Uの視野範囲405を示す図である。
【0070】
まず、処理制御部350は、取得した位置情報が示す座標を、使用者位置に設定する。使用者位置は、HMD200を装着した使用者Uの位置である。次に、処理制御部350は、位置情報に基づき、HMD200を装着した使用者Uの眼の位置である視点位置401を設定する。使用者Uのフィールド内での位置は、通知情報に含まれる位置情報を使用し、高さは、予め設定された所定の高さに設定される。この高さは、男女で異なる値に設定することで、より精度を高めることができる。また、使用者Uの伸長、又は眼までの高さを示す情報を事前に取得しておいてもよい。
【0071】
次に、処理制御部350は、通知情報に含まれる方位角情報、及び仰角又は俯角情報に基づき、使用者Uの視野範囲405を設定する。処理制御部350は、設定した視点位置401を基準にして方位角情報、及び仰角又は俯角情報に基づき視線方向403を設定する。
図5には、方位角情報が方位角を角度αとし、仰角情報が示す仰角を角度βとした視線方向403を示す。次に、処理制御部350は、視線方向403を中心とし、この視線方向403から上下左右方向に所定距離の範囲を視野範囲405に設定する。このとき、視点位置401と、視野範囲405との水平方向の距離は、予め設定された距離に設定される。例えば、使用者Uの位置から視線方向403におけるフィールドの端部までの距離であってもよい。
【0072】
処理制御部350は、視野範囲405を設定すると、視点位置401と、視野範囲405の4つの頂点とを結んだ範囲内に、対応づけられたフィールドの位置が含まれるオブジェクト画像500を検出する。視点位置401と、視野範囲405の4つの頂点とを結んだ範囲を検出範囲という。
例えば、処理制御部350は、オブジェクト画像500が対応づけられたフィールド内の位置を示す座標情報が、x軸、y軸及びz軸の3次元の情報を有している場合、検出範囲に位置が対応づけられたオブジェクト画像500を検出する。
また、処理制御部350は、オブジェクト画像500が対応づけられたフィールド内の位置を示す座標情報が、x軸及びy軸の2次元の情報を有している場合、検出範囲を、x軸及びy軸により構成されるxy平面での範囲に変換する。処理制御部350は、検出範囲のxy平面における範囲内に位置が対応づけられたオブジェクト画像500を検出する。
【0073】
処理制御部350は、オブジェクト画像500を検出すると、検出したオブジェクト画像500に識別情報が設定されているか否かを判定する。処理制御部350は、検出したオブジェクト画像500に識別情報が設定されていない場合、検出したオブジェクト画像500に対応したコンテンツデータ363を処理装置記憶部360から読み出す。処理制御部350は、読み出したコンテンツデータ363を、通知情報を受信したHMD200に送信する。
【0074】
また、処理制御部350は、検出したオブジェクト画像500が、識別情報が設定されたオブジェクト画像500である場合、識別情報登録テーブル365を参照する。処理制御部350は、識別情報登録テーブル365を参照してオブジェクト画像500の識別情報が、通知情報を受信したHMD200の識別情報に対応づけられているか否かを判定する。
【0075】
オブジェクト画像500の識別情報が、通知情報を受信したHMD200の識別情報に対応づけられている場合、処理制御部350は、検出したオブジェクト画像500に対応したコンテンツデータ363を処理装置記憶部360から読み出す。処理制御部350は、読み出したコンテンツデータ363をHMD200に送信する。
また、処理制御部350は、オブジェクト画像500の識別情報が、通知情報を受信したHMD200の識別情報に対応づけられていない場合、コンテンツデータ363をHMD200には送信しない。これにより、試聴又は視認を許可された使用者Uだけが、コンテンツデータ363を試聴又は視認することができる。
【0076】
次に、設定した視野範囲405に含まれるオブジェクト画像500であったが、使用者Uの位置と、オブジェクト画像500の対応位置との距離が、基準距離よりも離れている場合について説明する。
処理制御部350は、HMD200の位置と、オブジェクト画像500の対応位置との位置関係に基づき、オブジェクト画像500をプロジェクター100に表示させるのか、HMD200に表示させるのかを選択する。本実施形態では、処理制御部350は、HMD200と表示面10との距離を基準距離として、HMD200との距離が、基準距離よりも近いオブジェクト画像500をHMD200に表示させる。また、処理制御部350は、HMD200との距離が、基準距離よりも離れているオブジェクト画像500を、プロジェクター100により表示面10に表示させる。
【0077】
処理制御部350は、位置情報が示す使用者位置から表示面10までの距離を算出する。処理制御部350は、例えば、使用者位置から表示面10の中心までの距離を算出してもよい。また、処理制御部350は、使用者位置に最も近い表示面10の位置、又は使用者位置から最も離れた表示面10の位置を、表示面10までの距離として検出してもよい。ここで算出された距離を、基準距離という。
【0078】
処理制御部350は、基準距離を算出すると、検出したオブジェクト画像500に、使用者位置からの距離が、基準距離よりも離れているオブジェクト画像500があるか否かを判定する。処理制御部350は、使用者位置の座標と、オブジェクト画像500の対応位置の座標とに基づき、オブジェクト画像500までの距離を算出し、算出した距離を基準距離と比較する。
【0079】
処理制御部350は、使用者位置からの距離が、基準距離よりも離れているオブジェクト画像500を検出すると、このオブジェクト画像500を表示面10に表示させる画像と判定する。
処理制御部350は、視野範囲405内に対応位置が含まれるオブジェクト画像500であって、使用者位置からの距離が、基準距離よりも離れたオブジェクト画像500を検出した場合、このオブジェクト画像500を表示面10に表示させる画像と判定する。
【0080】
次に、処理制御部350は、オブジェクト画像500を表示させる表示面10の位置を決定する。この処理について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
図6及び
図7は、オブジェクト画像500の表示面10での対応位置を示す図である。
【0081】
まず、オブジェクト画像500を視認可能な位置にいる使用者Uの人数が1人である場合について
図6を参照しながら説明する。
処理制御部350は、
図6に示すように、使用者Uの視点位置401と、オブジェクト画像500の中心とを結ぶ直線531を設定し、設定した直線531が表示面10と交差する位置に、オブジェクト画像500の中心が位置するように表示面10での表示位置を決定する。
【0082】
次に、オブジェクト画像500を視認可能な位置にいる使用者Uの人数が複数である場合について
図7を参照しながら説明する。ここでは、オブジェクト画像500を視認可能な位置にいる使用者Uとして、使用者U1と、使用者U2の2人の使用者が存在する場合について説明する。使用者U1は、HMD200Aを装着した使用者であり、使用者U2は、HMD200Bを装着した使用者である。
【0083】
処理制御部350は、
図7に示すように、使用者U1の視点位置401と、オブジェクト画像500の中心とを結ぶ第1直線533を設定し、使用者U2の視点位置401と、オブジェクト画像500の中心とを結ぶ第2直線535を設定する。また、処理制御部350は、第1直線533の表示面10との交点を第1表示位置541として求め、第2直線535の表示面10との交点を第2表示位置543として求める。
【0084】
処理制御部350は、設定した第1直線533と、第2直線535とによって挟まれた範囲内に、オブジェクト画像500の表示位置を設定する。例えば、処理制御部350は、第1表示位置541と第2表示位置543とを結ぶ第3直線545を設定する。さらに、処理制御部350は、第4直線537を設定する。この第4直線537は、第1表示位置541から第2表示位置543までの間で第3直線545に交差し、第1直線533との成す角度θ、及び第2直線535との成す角度θとが同一の角度になるように設定される。処理制御部350は、この第4直線537が表示面10と交差する交差位置に、オブジェクト画像500の中心が位置するように表示位置を決定する。
【0085】
処理制御部350は、オブジェクト画像500の表示位置を決定すると、コンテンツデータ363と、決定した表示位置を示す位置情報とを、プロジェクター100に出力する。プロジェクター100は、情報処理装置300から入力されるコンテンツデータ363を、設定情報が示す背景画像の表示位置に重畳させ、オブジェクト画像500として表示面10に表示させる。
【0086】
これにより、
図8に示すように、使用者位置から表示面10までの距離である基準距離よりも近い位置のオブジェクト画像500は、HMD200によりAR表示、又は立体表示されることにより、仮想オブジェクトとして使用者Uに認識される。また、基準距離よりも離れた位置のオブジェクト画像500は、プロジェクター100により表示面10に二次元の画像として表示される。
【0087】
図8には、表示面10を1つだけ設置した場合を示すが、表示面10は、フィールド内に複数設置してもよい。例えば、2枚の表示面10を貼り合わせ、2機設置したプロジェクター100により2枚の表示面10にそれぞれ画像を表示してもよい。この場合、貼り合わせた表示面10の両側が、フィールドなり、貼り合わせた表示面10の両側にオブジェクト画像500の表示位置が設定されることになる。
【0088】
図9は、画像表示方法を実行する情報処理装置300の動作を示すフローチャートである。
図9のフローチャートを参照しながら情報処理装置300の動作を説明する。
処理制御部350は、入力装置333により予め設定された操作を受け付けると、まず、処理装置記憶部360から背景画像データを読み出す。処理制御部350は、読み出した背景画像データをプロジェクター100に送信する。処理装置記憶部360に、複数の背景画像データが記憶されている場合、処理制御部350は、入力装置333により選択された背景画像データや、入力装置333により選択されたテーマに対応した背景画像データを選択する。
プロジェクター100は、情報処理装置300から背景画像データを受信すると、受信した背景画像データに基づく画像である背景画像を表示画10に表示させる。
【0089】
次に、処理制御部350は、HMD200から識別情報、位置情報及び方位角情報、仰角又は俯角情報を含む通知情報を受信したか否かを判定する(ステップS2)。処理制御部350は、HMD200から通知情報を受信していない場合(ステップS2/NO)、ステップS14の判定に移行する。ステップS2は、本発明の受信ステップに相当する。
【0090】
処理制御部350は、HMD200から通知情報を受信すると(ステップS2/YES)、プロジェクター100により表示面10に表示させるオブジェクト画像500を判定する。まず、処理制御部350は、受信した位置情報が示す使用者Uの位置から表示面10までの距離である基準距離を算出する。例えば、処理制御部350は、使用者Uの位置から表示面10の中心までの距離を基準距離として算出する。
【0091】
次に、処理制御部350は、使用者Uの位置から、3次元マップデータ361に登録された対応位置までの距離が、算出した基準距離よりも離れているオブジェクト画像500があるか否かを判定する(ステップS3)。使用者Uの現在位置からの距離が、基準距離よりも離れているオブジェクト画像500がない場合(ステップS3/NO)、処理制御部350は、ステップS8の処理に移行する。ステップS3は、本発明の選択ステップに相当する。
【0092】
また、処理制御部350は、使用者Uの位置から対応位置までの距離が、基準距離よりも離れているオブジェクト画像500がある場合、他のHMD200から通知情報を受信しているか否かを判定する(ステップS4)。すなわち、処理制御部350は、表示システム1を利用する他の使用者Uがいるか否かを判定する。処理制御部350は、他のHMD200から通知情報を受信していない場合(ステップS4/NO)、ステップS2で受信した通知情報に含まれる位置情報に基づき、オブジェクト画像500を表示させる表示面10の表示位置を決定する(ステップS6)。
【0093】
また、処理制御部350は、他のHMD200から通知情報を受信している場合(ステップS4/YES)、複数の使用者Uの位置情報に基づき、オブジェクト画像500を表示させる表示面10の表示位置を決定する(ステップS5)。処理制御部350は、決定した表示位置と、オブジェクト画像500のコンテンツデータ363とをプロジェクター100に送信する(ステップS7)。ステップS7は、本発明の送信ステップに相当する。
【0094】
次に、処理制御部350は、通知情報を受信したHMD200の画像表示部210に表示させるオブジェクト画像500を選択する。まず、処理制御部350は、使用者Uの視野範囲405を設定する(ステップS8)。処理制御部350は、受信した通知情報に含まれる位置情報や、方位角情報、及び仰角又は俯角情報に基づき、使用者Uが視認可能な視野範囲405を設定する。処理制御部350は、視野範囲405を設定すると、視点位置401と、視野範囲405の4つの頂点とを結んだ範囲内に対応位置が含まれるオブジェクト画像500を検出する(ステップS9)。
【0095】
次に、処理制御部350は、検出したオブジェクト画像500に識別情報が設定されているか否かを判定する(ステップS10)。処理制御部350は、検出したオブジェクト画像500に識別情報が設定されている場合(ステップS10/YES)、オブジェクト画像500の識別情報に、HMD200の識別情報が対応づけられているか否かを判定する(ステップS11)。
【0096】
処理制御部350は、オブジェクト画像500の識別情報に、HMD200の識別情報が対応づけられていない場合(ステップS11/NO)、ステップS14の判定に移行する。また、処理制御部350は、オブジェクト画像500の識別情報に、HMD200の識別情報が対応づけられている場合(ステップS11/YES)、検出したオブジェクト画像500のコンテンツデータ363を処理装置記憶部360から取得する(ステップS12)。処理制御部350は、取得したコンテンツデータ363を該当のHMD200に送信する(ステップS13)。
【0097】
また、処理制御部350は、ステップS10において、検出したオブジェクト画像500に識別情報が設定されていない場合(ステップS10/NO)、検出したオブジェクト画像500のコンテンツデータ363を処理装置記憶部360から取得する(ステップS12)。処理制御部350は、取得したコンテンツデータ363を該当のHMD200に送信する(ステップS13)。
【0098】
次に、処理制御部350は、終了操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS12)。処理制御部350は、終了操作を受け付けていない場合(ステップS12/NO)、ステップS2の判定に移行する。また、処理制御部350は、終了操作を受け付けた場合(ステップS12/YES)、この処理フローを終了させる。
【0099】
以上説明したように本実施形態の表示システム1は、表示面10にオブジェクト画像500を表示させるプロジェクター100と、使用者Uの頭部に装着され、オブジェクト画像500を、外景とともに視認できるように表示するHMD200と、プロジェクター100及びHMD200に通信可能に接続された情報処理装置300とを備える。
情報処理装置300は、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置と、表示面10の実空間での位置とが記録された3次元マップデータ361を参照して、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置と、表示面10の実空間の位置とを取得する。
また、情報処理装置300は、HMD200から通知されたHMD200の位置と、取得したオブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置と、取得した表示面10の実空間での位置とに基づき、オブジェクト画像500を、プロジェクター100と、HMD200とのいずれか一方に表示せる。
【0100】
情報処理装置300は、HMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置との位置関係に基づき、オブジェクト画像500を、プロジェクター100と、HMD200とのいずれか一方に表示せる。
例えば、HMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置とが、HMD200と表示面10との位置より近い場合には、オブジェクト画像500を、HMD200に表示させることができる。また、HMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置とが、HMD200と表示面10との位置より離れている場合には、オブジェクト画像500を、表示面10に表示させることができる。
従って、HMD200にすべてのオブジェクト画像500を表示させる場合と比較して、HMD200の処理負荷を軽減させることができる。また、一部のオブジェクト画像500が表示面10に表示されるので、使用者Uに与える臨場感の低下を抑制しつつ、HMD200の装置の処理負荷を軽減することができる。
【0101】
HMD200は、地磁気センサー213、6軸センサー215及びビーコン受信部235と、これらから出力されるデータに基づいてHMD200の位置を検出する位置検出部273を備える。HMD200は、位置検出部273が検出したHMD200の位置を通知情報として情報処理装置300に送信する。
また、情報処理装置300は、処理装置制御部350と、3次元マップデータ361を記憶した処理装置記憶部360と、を備える。
処理装置制御部350は、通知情報により通知されたHMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置との距離が、HMD200と表示面10との距離より離れている場合、オブジェクト画像500のコンテンツデータ363をプロジェクター100に送信する。
プロジェクター100は、情報処理装置300から受信したコンテンツデータ363に基づくオブジェクト画像500を表示面10に表示させる。
例えば、HMD200により、オブジェクト画像500を立体表示する場合、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置が使用者Uから離れ過ぎると、使用者Uには、オブジェクト画像500が立体として認識できない場合がある。このため、使用者Uが立体として認識できないオブジェクト画像500を、プロジェクター100により表示面10に表示させることで、臨場感の低下を抑制しつつ、HMD200の処理負荷を軽減することができる。
【0102】
処理装置制御部350は、HMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置との距離が、HMD200と表示面10との距離よりも近い場合、オブジェクト画像500のコンテンツデータ363をHMD200に送信する。
HMD200は、情報処理装置300から受信したオブジェクト画像500のコンテンツデータ363に基づく画像を、外景を視認可能に表示する。
従って、HMD200が立体表示可能なオブジェクト画像500をHMD200により表示させることで、使用者Uに与える臨場感の低下を抑制することができる。
【0103】
HMD200は、使用者Uの頭部の向きと、鉛直方向に対する頭部の角度とを検出する頭部向き検出部275を備える。HMD200は、頭部向き検出部275が検出した頭部の向き及び角度を通知情報として情報処理装置300に送信する。
処理装置制御部350は、通知情報により通知された頭部の向き及び角度に基づいて使用者Uの視野範囲405を推定し、推定した視野範囲405において視認可能な実空間の位置に対応づけられたオブジェクト画像500を候補として検出する。また、処理装置制御部350は、候補として検出したオブジェクト画像500をプロジェクター100に表示させるのか、HMD200に表示させるのかを選択する。
従って、HMD200の使用者Uから視認可能なオブジェクト画像500を候補として選択し、HMD200又はプロジェクター100により表示させることができる。
【0104】
HMD200は、HMD200を識別する識別情報を記憶したHMD記憶部260を備える。HMD200は、位置検出部273が検出したHMD200の位置と、HMD200の識別情報とを通知情報として情報処理装置300に送信する。
処理装置記憶部360は、オブジェクト画像500を識別する識別情報と、HMD200を識別する識別情報とを対応づけて登録した識別情報登録テーブル365を記憶する。
処理装置制御部350は、HMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置との距離が、HMD200と表示面10との距離よりも近い場合であって、オブジェクト画像500の識別情報が、HMD200の識別情報に対応付けられている場合に、HMD200に、オブジェクト画像500のコンテンツデータ363を送信する。
従って、オブジェクト画像500の識別情報が対応づけられたHMD200にだけ、オブジェクト画像500を表示させることができる。
【0105】
処理装置制御部350は、HMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置との距離が、HMD200と表示面10との距離より離れている場合、HMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置とに基づきオブジェクト画像500を表示させる表示面10の位置を決定する。
また、処理制御部350は、決定した表示面10の位置を示す位置情報を、オブジェクト画像500のコンテンツデータ363と共にプロジェクター100に送信する。
従って、HMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置とに基づきオブジェクト画像500を表示させる表示面10の位置を決定することができる。
【0106】
処理装置制御部350は、HMD200の位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置と、オブジェクト画像500を表示させる表示面10の位置とが直線上に並ぶように、オブジェクト画像500を表示させる表示面10の位置を決定する。
従って、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置の方向に対応する表示面10の位置に、オブジェクト画像500を表示させることができる。
【0107】
表示システム1は、HMD200としてHMD200A及びHMD200Bを備える。
処理装置制御部350は、HMD200Aの位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置との距離が、HMD200Aと表示面10との距離より離れ、HMD200Bの位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置との距離が、HMD200Bと表示面10との距離より離れている場合、HMD200Aの位置と、HMD200Bの位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置とに基づきオブジェクト画像500を表示させる表示面10の位置を決定する。
処理装置制御部350は、決定した表示面10の位置を示す位置情報を、オブジェクト画像500のコンテンツデータ363と共にプロジェクター100に送信する。
従って、HMD200Aの位置と、HMD200Bの位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置とに基づきオブジェクト画像500を表示させる表示面10の位置を決定することができる。
【0108】
処理装置制御部350は、HMD200Aの位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置とを結ぶ直線上に位置するようにオブジェクト画像500の表示面10の第1表示位置541を選択する。また、処理装置制御部350は、HMD200Bの位置と、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置とを結ぶ直線上に位置するようにオブジェクト画像500の表示面10の第2表示位置543を選択する。
処理装置制御部350は、第1表示位置541と、第2表示位置543との間に、オブジェクト画像500を表示させる表示面10の位置を決定し、決定した表示面10の位置を示す位置情報を、オブジェクト画像500のコンテンツデータ363と共にプロジェクター100に送信する。
従って、HMD200Aの使用者Uの位置から、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置の方向を見た場合と、HMD200Bの使用者Uの位置から、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置の方向を見た場合とのズレが小さくなるように、オブジェクト画像500が表示される表示面10の位置を設定することができる。
【0109】
HMD200は、使用者Uの操作を受け付ける受付部として、操作部231、又は、カメラ211及び検出制御部281を備える。
HMD200は、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置を変更する操作、及び、実空間の位置を移動させる移動量及び移動方向を指定する操作を受付部により受け付けると、受け付けた移動量及び移動方向を示す情報を情報処理装置300に送信する。
処理装置制御部350は、HMD200から受信した移動量及び移動方向を示す情報に基づいて、オブジェクト画像500が対応づけられた実空間の位置を変更する。
従って、HMD200の使用者Uの操作により、オブジェクト画像500が対応づけられる実空間の位置を変更することができる。
【0110】
次に、表示システム1の適用例について、具体例を挙げて説明する。
表示システム1は、例えば、使用者Uが機器を操作する作業を行う場合に、機器の操作を説明し、案内するなど、遠隔地から援助者が機器の操作に関する情報を提供して、作業を支援する目的で使用できる。具体的には、パーソナルコンピューターを作業対象物として、セットアップやアプリケーションプログラムの操作を行う場合に適用できる。また、例えば、工作機械、工業機械、家庭用各種電子機器などの機械を作業対象物として、機械の操作やメンテナンスを行う場合に適用できる。すなわち、各種機械のメンテナンスを行う使用者Uが、ユーザーの依頼に応じて作業対象の機械の設置場所を訪問し、メンテナンスを行う場合に、習熟度の低い使用者Uを援助者が支援する用途で表示システム1を使用できる。
【0111】
この例において、作業対象の作業対象物として、工作機械、工業機械、家庭用各種電子機器などの機械、パーソナルコンピューター等を、作業台に設置することができる。また、これらの機器やパーソナルコンピューター等が設置された位置を、作業台を見なすこともできる。この場合、HMD200を装着する使用者Uは、作業対象である工作機械、工業機械、家庭用各種電子機器などの機械、パーソナルコンピューター等の設置場所において、ハンズフリーで作業を行うことができる。
【0112】
このような場合、遠隔地の被援助サイトにいる使用者Uとサービスセンター等の援助サイトにいる援助者が情報を共有し、援助サイトの援助者は、HMD200にAR画像を表示させて、指示、表示の変更ができる。そして、HMD200により、援助サイトにいる援助者の手や手指による操作をバーチャル画像として見せて、支援できる。この場合、援助サイトにおいて援助者の前に被援助サイトの作業対象物と同じ機器を置いて実際に操作しながら説明することも有効である。援助者にとっては、現場の現物の特定部位に対して位置指示操作により指示や教示を行うことができ、シンプルな操作で効率よく支援できる。
【0113】
また、情報処理装置300には、作業の全体の工程を示す工程表や、HMD200に表示させたAR画像の拡大画像を表示させてもよい。
【0114】
本発明は上記各実施形態で説明した構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
例えば、カメラ211の撮影画像に基づいて、HMD200の現在位置を検出してもよい。この場合、HMD記憶部260に、フィールド内に存在する物体の配置が記載された地図データを記憶させておく。HMD制御部250は、カメラ211の撮影画像に写った物体を検出し、検出した物体との距離に基づいてHMD200の現在位置を検出してもよい。
【0115】
また、ポジショントラッキングセンサーにより使用者Uの頭部の動きや、位置を検出してもよい。例えば、フィールド内の固定位置に赤外線センサーを設置する。この赤外線センサーを用いて、HMD200の表面に設けられた赤外線発光体又は赤外線反射マーカーを検知することにより、HMD200を装着した使用者Uの頭の向きや、HMD200の位置を検出してもよい。
【0116】
図2~
図4に示した各機能ブロックのうち少なくとも一部は、ハードウェアにより実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアの協働により実現される構成としてもよく、図に示した通りに独立したハードウェア資源を配置する構成に限定されない。また、情報処理装置300のプロセッサー370が実行するプログラムは、外部の装置に記憶されたプログラムを第1通信部310又は第2通信部320を介して取得して実行する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0117】
21…右保持部、22…表示部、23…左保持部、24…左表示部、26…右導光板、27…前部フレーム、28…左導光板、100…プロジェクター、110…通信部、120…画像処理部、130…フレームメモリー、140…駆動部、150…投射部、151…光変調装置、153…投射光学系、160…PJ制御部、161…PJ記憶部、163…プロセッサー、200…HMD、210…画像表示部、211…カメラ、213…地磁気センサー、215…6軸センサー、220…イヤホン、230…制御装置、231…操作部、233…通信部、235…ビーコン受信部、250…HMD制御部、260…HMD記憶部、265…識別情報、270…プロセッサー、271…通信制御部、273…位置検出部、275…頭部向き検出部、277…音声処理部、279…表示制御部、300…情報処理装置、305…バス、310…第1通信部、320…第2通信部、330…入出力I/F、331…表示部、333…入力装置、350…処理制御部、360…処理装置記憶部、361…3次元マップデータ、363…コンテンツデータ、365…識別情報登録テーブル、370…プロセッサー、401…視点位置、403…視線方向、405…視野範囲、500…オブジェクト画像、531…直線、533…第1直線、535…第2直線、537…第4直線、541…第1表示位置、543…第2表示位置、545…第3直線。