(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】接続装置、通信システム、プログラム、接続方法、及び変換方法
(51)【国際特許分類】
H04L 69/085 20220101AFI20240611BHJP
【FI】
H04L69/085
(21)【出願番号】P 2020075372
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】木村 敢
(72)【発明者】
【氏名】有澤 久
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0071029(US,A1)
【文献】特開2010-109936(JP,A)
【文献】特開2011-130311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期通信網と非同期通信網との物理接続点に設けられ、回線種別変換を行う信号変換装置と、
前記物理接続点と分離されている前記同期通信網と前記非同期通信網との論理接続点に設けられ、プロトコルスタック変更を行うプロトコル変換装置と、を備える
接続装置。
【請求項2】
前記プロトコル変換装置が、前記非同期通信網の内部に設けられている請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記信号変換装置が、前記同期通信網と前記非同期通信網との間に設けられている請求項1又は2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記同期通信網からの信号をカプセル化して前記非同期通信網へ転送し、
前記非同期通信網からの信号をデカプセル化して前記同期通信網へ転送する請求項1から3のいずれか一項に記載の接続装置。
【請求項5】
前記プロトコル変換装置が、前記信号変換装置から受信した内部情報に基づき、前記同期通信網との同期を行う請求項1から4のいずれか一項に記載の接続装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の接続装置と、
前記同期通信網と、
前記非同期通信網と、を備える通信システム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の接続装置のコンピュータに、
前記物理接続点において、回線種別変換を行うステップを実行させるための
プログラム。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の接続装置のコンピュータに、
前記論理接続点において、プロトコルスタック変更を行うステップを実行させるための
プログラム。
【請求項9】
回線種別変換を行う信号変換装置を、同期通信網と非同期通信網との物理接続点に設けるステップと、
プロトコルスタック変更を行うプロトコル変換装置を、前記物理接続点と分離されている前記同期通信網と前記非同期通信網との論理接続点に設けるステップと、を実施する
接続方法。
【請求項10】
同期通信網と非同期通信網との物理接続点において、回線種別変換を行うステップと、
前記物理接続点と分離されている前記同期通信網と前記非同期通信網との論理接続点において、プロトコルスタック変更を行うステップと、を実施する
変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続装置、通信システム、プログラム、接続方法、及び変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固定電話設備等において、同期通信網と非同期通信網とを接続することが知られている。
例えば、非特許文献1には、公衆回線網とIP網とが接続された通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】2017年10月17日「固定電話のIP網への移行後のサービス及び移行スケジュールについて」P10(東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、西日本電信電話株式会社(NTT西日本))[閲覧:2019年12月04日]URL:https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/pdf/20171017_01_01.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に開示された通信システムでは、同期通信網と非同期通信網とを接続するために専用の接続手段が必要となる。
このため、同期通信網と非同期通信網とを接続するのに費用が掛かる。
【0005】
本開示の目的は、上述のいずれの課題を鑑みて、同期通信網と非同期通信網との接続に掛る費用を抑えることが可能な接続装置、通信システム、プログラム、接続方法、及び変換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る接続装置は、同期通信網と非同期通信網との物理接続点に設けられ、回線種別変換を行う信号変換装置と、前記物理接続点と分離されている前記同期通信網と前記非同期通信網との論理接続点に設けられ、プロトコルスタック変更を行うプロトコル変換装置と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る接続方法は、回線種別変換を行う信号変換装置を、同期通信網と非同期通信網との物理接続点に設けるステップと、プロトコルスタック変更を行うプロトコル変換装置を、前記物理接続点と分離されている前記同期通信網と前記非同期通信網との論理接続点に設けるステップと、を実施する。
【0008】
本開示の一態様に係る変換方法は、同期通信網と非同期通信網との物理接続点において、回線種別変換を行うステップと、前記物理接続点と分離されている前記同期通信網と前記非同期通信網との論理接続点において、プロトコルスタック変更を行うステップと、を実施する。
【発明の効果】
【0009】
上記一態様によれば、同期通信網と非同期通信網との接続に掛る費用を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一実施形態に係る接続装置のブロック図である。
【
図2】第一実施形態に係る信号変換装置のブロック図である。
【
図3】第一実施形態に係るプロトコル変換装置のブロック図である。
【
図4】第一実施形態に係る接続装置の動作を説明する図である。
【
図5】第一実施形態に係る接続装置の動作を説明する図である。
【
図6】第一実施形態に係る接続装置の送信処理を説明するフローチャートである。
【
図7】第一実施形態に係る接続装置の同期処理を説明するフローチャートである。
【
図9】他の比較例に係る接続装置を説明する図である。
【
図10】さらなる他の比較例に係る接続装置を説明する図である。
【
図11】最小構成の実施形態に係る接続装置のブロック図である。
【
図12】最小構成の実施形態に係る接続方法のフローチャートである。
【
図13】最小構成の実施形態に係る変換方法のフローチャートである。
【
図14】最小構成の実施形態に係る信号変換装置のブロック図である。
【
図15】最小構成の実施形態に係るプロトコル変換装置のブロック図である。
【
図16】各実施形態に係る処理装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
<第一実施形態>
以下、本開示に係る第一実施形態について、
図1~
図10を用いて説明する。
【0013】
(通信システムの構成)
図1に示すように、通信システム100は、接続装置3と、同期通信網4と、非同期通信網5と、を備える。
例えば、同期通信網4は、TDM(Time Division Multiplexing)網であってもよい。
例えば、非同期通信網5は、IP(Internet Protocol)網であってもよい。
【0014】
(接続装置の構成)
接続装置3は、信号変換装置1と、プロトコル変換装置2と、を備える。
例えば、接続装置3は、同期通信網4からの信号をカプセル化して非同期通信網5へ転送してもよい。
例えば、接続装置3は、非同期通信網5からの信号をデカプセル化して同期通信網4へ転送してもよい。
【0015】
信号変換装置1は、回線種別変換を行う。
信号変換装置1は、同期通信網4と非同期通信網5との物理接続点J1に設けられている。
以下、物理接続点J1とは、同期通信網4と非同期通信網5とが物理的に接続されている点である。
例えば、信号変換装置1は、同期通信網4と非同期通信網5とに接続されてもよい。
【0016】
図2に示すように、信号変換装置1は、同期通信網インターフェース1aと、信号変換機能部1bと、非同期通信網インターフェース1cと、を備える。
例えば、信号変換装置1は、同期通信網4と非同期通信網5との間に設けられてもよい。
例えば、信号変換装置1は、同期通信網4と非同期通信網5との物理的な境界に設けられてもよい。
【0017】
同期通信網インターフェース1aは、同期通信網4に接続可能である。
例えば、同期通信網インターフェース1aは、物理接続点J1において、同期通信網4に接続されてもよい。
信号変換機能部1bは、回線種別変換を行う。
信号変換機能部1bは、ハードウェアによる実装であってもよく、ソフトウェアによる実装であってもよい。
非同期通信網インターフェース1cは、非同期通信網5に接続可能である。
例えば、非同期通信網インターフェース1cは、物理接続点J1において、非同期通信網5に接続されてもよい。
【0018】
例えば、信号変換機能部1bは、通知部1dを機能的に備えてもよい。
通知部1dは、信号変換装置1の内部時刻情報、又はTDM送信バッファ使用容量等の内部データDiをプロトコル変換装置2に通知する。
【0019】
プロトコル変換装置2は、プロトコルスタック変更を行う。
プロトコル変換装置2は、
図1に示すように、同期通信網4と非同期通信網5との論理接続点J2に設けられている。
論理接続点J2は、物理接続点J1と分離されている。
ここで、同期通信網4と非同期通信網5とを含む通信網は、論理接続点J2を論理的な境界とする論理同期通信網6と論理非同期通信網7とみることもできる。
例えば、論理接続点J2は、非同期通信網5の内部にあってもよい。
例えば、プロトコル変換装置2は、同期通信網4と非同期通信網5との論理的な境界である論理同期通信網6と論理非同期通信網7との間に設けられてもよい。
【0020】
図3に示すように、プロトコル変換装置2は、非同期通信網インターフェース2aと、プロトコル機能部2bと、を備える。
例えば、プロトコル変換装置2は、信号変換装置1から受信した内部情報に基づき、同期通信網4との同期を行ってもよい。
【0021】
例えば、プロトコル変換装置2は、少なくとも2つの非同期通信網インターフェース2aを有してもよい。
非同期通信網インターフェース2aは、非同期通信網5に接続可能であってもよい。
非同期通信網インターフェース2aは、論理接続点J2において、非同期通信網5に接続されてもよい。
【0022】
プロトコル機能部2bは、プロトコルスタック変更を行う。
例えば、プロトコル機能部2bは、受取部2cと、同期部2dと、同期信号生成部2eと、調整部2fと、を機能的に備えてもよい。
受取部2cは、信号変換装置1から内部データDiを受け取る。
同期部2dは、受取部2cが受け取った内部データDiを参考にして同期を行う。
同期信号生成部2eは、同期信号Ssを生成する。
調整部2fは、同期信号Ssを参照して、送信タイミングを調整する。
例えば、調整部2fは、同期信号Ssを参照して、パケット化したデータを信号変換装置1へ送信するタイミングを調整してもよい。
【0023】
(動作)
図4及び
図5は、通信システム100における同期通信網4と非同期通信網5との接続の一例を説明する図である。
図4及び
図5に示すように、信号変換装置1は、TDMからIPへの信号変換において、一定ビット数か時間でTDMストリームから常に固定長になるようにTDMデータを取り出す。
信号変換装置1は、取り出したTDMデータをカプセル化し、UDP(User Datagram Protocol)のデータ部分に格納する(TDMoverIP)。
信号変換装置1において、宛先のアドレスは、プロトコル変換装置2に設定される。
【0024】
信号変換装置1は、プロトコルの解読等を行わないため、複雑なソフトウェアや高機能なハードウェアを搭載する必要が無くなる。TDMデータをそのままカプセル化することにより、信号変換装置1は、TDM上で実装されるすべてのプロトコルに対応が可能となる。
【0025】
信号変換装置1は、IPからTDMへの信号変換において、同期通信網インターフェース1aで受信したパケット(TDMoverIPパケット)をデカプセル化し、TDMデータを取り出すことで信号変換を行う。
【0026】
信号変換装置1は、回線の置き換えのみを行うため、ただの通信路とみなすことができる。これにより、同期通信網4と非同期通信網5の接続位置を物理的な境界からずらすことが可能になる。
【0027】
図4に示すように、TDMからIPへ変換する方向において、プロトコル変換装置2は、信号変換装置1から、TDMoverIPパケットを受信する。受信後、プロトコル変換装置2は、TDMoverIPパケットをデカプセル化し、内部のTDMデータを取り出す。その後、プロトコル変換装置2は、データのプロトコルに従い、内部データDiに応じた通信処理(信号トラフィック制御や、ルーティング等)を実施する。
【0028】
同様に、プロトコル変換装置2は、IP網(非同期通信網5)から来たデータに対して、必要に応じて送信処理を実施する。
TDM網(同期通信網4)へ転送するデータがある場合、
図6に示すように、プロトコル変換装置2からTDM網へのデータの送信に際し、プロトコル変換装置2は、TDM網宛てのデータを受信しているか確認する(P010)。受信している際(P010:Yes)には、プロトコル変換装置2は、TDM網宛てのデータをTDMのプロトコルに合わせてフレーム化する(P020)。受信していない際(P010:No)には、アイドルパターンのTDMデータを生成する(P021)。
【0029】
P20又はP21の実施に続いて、プロトコル変換装置2は、生成したTDMデータを含むTDMストリームを、
図5に示した形式であるTDMoverIPパケットにパケット化する(P030)。
【0030】
P30の実施に続いて、プロトコル変換装置2は、パケット化したデータを一旦送信バッファに格納した後(P040)、同期信号Ssの生成処理(P41)において生成した同期信号Ssを参照して送信を行う(P050)。
【0031】
プロトコル変換装置2は、TDMoverIPパケットのプロトコルスタックを解読するため、同期通信網4と非同期通信網5との論理的な(プロトコルの)境界とみなすことができる。
信号変換装置1とプロトコル変換装置2とを併用することで、接続装置3は、同期通信網4と非同期通信網5との物理接続点J1と論理接続点J2とを分離することができる。
【0032】
TDMoverIPパケットの送信処理P050の詳細について説明する。
P050では、信号変換装置1とプロトコル変換装置2との同期処理及び同期信号Ssの生成、そして同期信号Ssを参照して送信を行っている。
【0033】
図7に示すように、P050では、まず信号変換装置1が内部データ(内部時刻情報、又はTDM送信バッファ使用容量等)をプロトコル変換装置2に通知する(P110)。
P110の実施に続いて、プロトコル変換装置2は、信号変換装置1から内部データDiを受け取り、受け取った内部データDiを参考にして同期を行う(P120)。
【0034】
信号変換装置1が通知する内部データDiが内部時刻情報であれば、プロトコル変換装置2は、受け取った内部時刻情報にプロトコル変換装置2の時刻を合わせる。
【0035】
信号変換装置1が通知する内部データDiがTDMバッファ使用容量であれば、プロトコル変換装置2は、想定される容量と比較する。
TDMバッファ使用容量が想定される容量より大きければ、プロトコル変換装置2は、同期クロックの周期を短くする制御を行う。
TDMバッファ使用容量が想定される容量より小さければ、プロトコル変換装置2は、同期クロックの周期を長くする制御を行う。
このような制御によれば、信号変換装置1がプロトコル変換装置2に通知する情報によって処理を変更することで柔軟な送信側主体の同期が可能になる。
【0036】
P120の実施に続いて、プロトコル変換装置2は、同期信号Ssを生成する(P130)。
この同期信号Ssを参照してプロトコル変換装置2は、TDMoverIPパケットの送信タイミングを調整する。プロトコル変換装置2側でタイミング調整を行うため、信号変換装置1側は、プロトコル変換装置2に同期する必要が無い。
【0037】
(作用及び効果)
本実施形態の接続装置3によれば、信号変換装置1とプロトコル変換装置2とが分離して設けられている。
このため、信号変換装置1及びプロトコル変換装置2の各機能の低減化が可能となる。
したがって、同期通信網4と非同期通信網5との接続に掛る費用を抑えることができる。
【0038】
例えば、単純で安価な信号変換装置1と汎用サーバによって構築されるプロトコル変換装置2とを使用すれば、同期通信網4と非同期通信網5の物理接続点と論理接続点を分離することができる。
このため、プロトコル変換装置2の機能は、すべてソフトウェアにより実現できるため、専用ハードウェアの維持管理と比較して低コスト化が実現可能となる。
また、機能のソフトウェア化により、汎用サーバ交換による処理能力向上により新規ソフトウェア開発不要でプロトコル変換装置2の能力向上を図ることが可能となる。
【0039】
比較例として、同期通信網と非同期通信網とが、
図8に示すように、MG(Media Gateway)等の専用の変換装置によって接続されているとする。
さらにこの比較例において、MGには、物理層信号の変換と上位層プロトコルスタックの変換という二つの機能があるとする。
この場合、この二つの機能をそれぞれ低コストで簡易な信号変換装置と汎用サーバで構築されるプロトコル変換装置で代替することでコストを下げることができると考えられる。
しかしながら、汎用サーバで構築されたプロトコル変換装置は、専用ハードウェアを具備しないため、同期通信網と同期できず代替にはならない。
【0040】
これに対し、本実施形態の一例では、同期通信網4と非同期通信網5とに接続している信号変換装置1からプロトコル変換装置2へ情報を渡し、それを基にプロトコル変換装置2が信号変換装置1に対して同期を行い、同期通信網4と同期している。
この同期により、本実施形態では、比較例のMGを信号変換装置1とプロトコル変換装置2という異なる二つの装置で代替することが可能になる。
また、プロトコル変換装置2が同期通信網4に同期することで、上位層プロトコルスタックの変換を非同期通信網5内部で行うことができる。
【0041】
また、本実施形態の一例によれば、信号変換装置1とプロトコル変換装置2の同期は、送信側に内部情報を伝えるような多少の改造を受信側に加えることで、送信側主体で同期をとることが可能になる。
これにより、同期用の専用回路を排除できるためコストを下げることが可能になる。
【0042】
また本実施形態の一例によれば、回線種別の変換を行う装置と、プロトコル変換を行う装置を分け、信号変換装置1を主体とした同期を図ることで、一つのプロトコル変換装置2に複数の信号変換装置1を接続することが可能になる。
これにより、必要な同期/非同期通信網接続装置の数を減らし、コストの削減が実施できる。
プロトコル変換装置を同期通信網と同期する手法でもこのような多対一接続にも対応可能ではあるが、
図9に示される他の比較例の接続装置のように、各信号変換装置とプロトコル変換装置との間の経路が異なり、経路1から経路nの各経路の遅延や揺らぎが異なる場合や、
図10に示されるさらなる他の比較例の接続装置のように、各信号変換装置がクロックソースの異なる同期通信網と接続している場合等では、各信号変換装置内のTDM送信バッファ容量のズレを許容できない。
しかし本実施形態の一例によれば、プロトコル変換装置2は信号変換装置1と回線毎に、各々独立して同期することになるため、同期通信網4と非同期通信網5との多対一接続が可能になる。
【0043】
本実施形態の変形例として、プロトコル変換装置2のソフトウェアをクラウド上に実装してもよい。
クラウド上に実装することにより、遠隔地にあるものの集中管理が実施できる上、局舎に配置する装置が減り、設置コストの節約になる。
【0044】
本実施形態の接続装置3は、変形例として、公衆回線網をIP網に置き換えるPSTN(Public Switched Telephone Network)マイグレーションにおいて適用されてもよい。
重要インフラである固定電話設備の老朽化に伴い、PSTNマイグレーションが急務になっている。
このようなPSTNマイグレーションが進められると、同期通信網と非同期通信網とが混在することなる。
例えば、この混在する同期通信網と非同期通信網とに対し、
図8に示す比較例のように、MGのような専用ハードウェアを用いることにより、接続、回線種別変換、及びプロトコルスタック変更を行ったとする。
この場合、専用ハードウェアは、高機能・高性能なために非常に高価であることに加え、専用であることから、導入・維持管理に多くのコストが発生する。固定電話の需要が低下していることを念頭に置くと、設備の移行及びその維持管理コストを抑える必要がある。そのため、専用ハードウェアを移行・維持管理費用を抑えつつ代替する手段が必要となる。
これに対し、本実施形態の接続装置3によれば、同期通信網4と非同期通信網5との接続に掛る費用を抑えることができる。
したがって、公衆回線網の一部PSTNマイグレーションにおいて、設備の移行及びその維持管理コストを抑えることができる。
【0045】
本実施形態では、
図7に示すように、信号変換装置1は、内部データDiをプロトコル変換装置2に通知しているが、信号変換装置1とプロトコル変換装置2とを同期できるなら、どのような処理であってもよい。
変形例として、プロトコル変換装置2は、外部クロックを受信することにより、信号変換装置1と同期されてもよい。
【0046】
本実施形態では、
図5に示すように、信号変換装置1は、TDMデータをUDPでカプセル化しているが、TDMデータをカプセル化できるなら、任意のプロトコルでカプセル化してもよい。
このような任意のプロトコルは、トランスポート層に限らず、さらに上位のプロトコルであってもよい。
また、本実施形態では、信号変換装置1は、TDMデータを変換しているが、どのような信号を変換してもよく、TDMデータ以外の他の同期通信規格の信号を変換してもよい。
【0047】
信号変換装置1は、NIC(Network Interface Card)で実現されてもよい。
さらに、NICで実現されることで、信号変換装置1は、プロトコル変換装置2と一体化されてもよい。
【0048】
<接続装置の最小構成の実施形態>
以下、本開示に係る接続装置の最小構成の実施形態について、
図11を用いて説明する。
図11に示すように、接続装置203は、信号変換装置201と、プロトコル変換装置202と、を備える。
信号変換装置201は、同期通信網と非同期通信網との物理接続点に設けられ、回線種別変換を行う。
プロトコル変換装置202は、物理接続点と分離されている同期通信網と非同期通信網との論理接続点に設けられ、プロトコルスタック変更を行う。
【0049】
<接続方法の最小構成の実施形態>
以下、本開示に係る接続方法の最小構成の実施形態について、
図12を用いて説明する。
図12に示すように、接続方法は、信号変換装置を設けるステップ(ST01)と、プロトコル変換装置を設けるステップ(ST02)と、を実施する。
ST01では、回線種別変換を行う信号変換装置を、同期通信網と非同期通信網との物理接続点に設ける。
ST02では、プロトコルスタック変更を行うプロトコル変換装置を、物理接続点と分離されている同期通信網と非同期通信網との論理接続点に設ける。
例えば、接続方法において、ST01とST02とが並行して実施されてもよい。
例えば、接続方法において、ST01に続いてST02が実施されてもよい。
例えば、接続方法において、ST02に続いてST01が実施されてもよい。
【0050】
<変換方法の最小構成の実施形態>
以下、本開示に係る変換方法の最小構成の実施形態について、
図13を用いて説明する。
図13に示すように、変換方法は、回線種別変換を行うステップ(ST11)と、プロトコルスタック変更を行うステップ(ST12)と、を実施する。
ST11では、同期通信網と非同期通信網との物理接続点において、回線種別変換を行う。
ST12では、物理接続点と分離されている同期通信網と非同期通信網との論理接続点において、プロトコルスタック変更を行う。
【0051】
<信号変換装置の最小構成の実施形態>
以下、本開示に係る信号変換装置301の最小構成の実施形態について、
図14を用いて説明する。
信号変換装置301は、同期通信網インターフェース301aと、信号変換機能部301bと、非同期通信網インターフェース301cと、を備える。
同期通信網インターフェース301aは、同期通信網と非同期通信網との物理接続点において、同期通信網に接続されている。その際、物理接続点は、プロトコルスタック変更を行うプロトコル変換装置が設けられている同期通信網と非同期通信網との論理接続点と分離されている。
信号変換機能部301bは、同期通信網と非同期通信網との間の回線種別変換を行う。
非同期通信網インターフェース301cは、物理接続点において、非同期通信網に接続されている。
【0052】
<プロトコル変換装置の最小構成の実施形態>
以下、本開示に係るプロトコル変換装置302の最小構成の実施形態について、
図15を用いて説明する。
プロトコル変換装置302は、非同期通信網インターフェース302aと、プロトコル変換機能部302bと、を備える。
非同期通信網インターフェース302aは、同期通信網と非同期通信網との論理接続点において、非同期通信網に接続されている。その際、論理接続点は、回線種別変換を行う信号変換装置が設けられている同期通信網と非同期通信網との物理接続点と分離されている。
プロトコル変換機能部302bは、プロトコルスタック変更を行う。
【0053】
<機能部のハードウェア構成>
上述の各実施形態において、信号変換装置の信号変換機能部、及びプロトコル変換装置のプロトコル機能部の各機能部を実現するためのハードウェア構成の一例について、
図16を用いて説明する。
図16に示すように、各機能部は、プロセッサ91と、メモリ92と、記憶/再生装置93と、通信I/F(通信Interface)94と、IO I/F(Input Output Interface)95等の各ハードウェアを備えたコンピュータ9である。
【0054】
プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
メモリ92は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶媒体である。
記憶/再生装置93は、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の外部メディアへプログラム、データ等を記憶したり、外部メディアのプログラム、データ等を再生したりするための装置である。
通信I/F94は、インターネット、専用通信回線等の通信回線を介して、信号変換装置及びプロトコル変換装置の各装置と他の装置との間で通信を行うインターフェースである。
IO I/F95は、ソースプログラムの入力、信号変換装置及びプロトコル変換装置の各装置と他の装置との間で情報等の入出力等を行うためのインターフェースである。
【0055】
<コンピュータプログラム>
上述の各実施形態において、信号変換機能部及びプロトコル機能部の各機能部の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶して、この記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0056】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0057】
また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0058】
また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含むとする。
【0059】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0060】
例えば、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0061】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 信号変換装置
1a 同期通信網インターフェース
1b 信号変換機能部
1c 非同期通信網インターフェース
1d 通知部
2 プロトコル変換装置
2a 非同期通信網インターフェース
2b プロトコル機能部
2c 受取部
2d 同期部
2e 同期信号生成部
2f 調整部
3 接続装置
4 同期通信網
5 非同期通信網
6 論理同期通信網
7 論理非同期通信網
9 コンピュータ
91 プロセッサ
92 メモリ
93 記憶/再生装置
94 通信I/F
95 IO I/F
100 通信システム
201 信号変換装置
202 プロトコル変換装置
203 接続装置
301 信号変換装置
301a 同期通信網インターフェース
301b 信号変換機能部
301c 非同期通信網インターフェース
302 プロトコル変換装置
302a 非同期通信網インターフェース
302b プロトコル変換機能部
Di 内部データ
J1 物理接続点
J2 論理接続点
Ss 同期信号