(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】車両の駐車位置報知システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240611BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20240611BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G5/00 A
G08G1/0968 B
(21)【出願番号】P 2020087615
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】橋口 拓允
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 貴志
(72)【発明者】
【氏名】安竹 昭
(72)【発明者】
【氏名】有永 剛
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-138853(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0089144(KR,A)
【文献】特開2019-163968(JP,A)
【文献】特開2016-035432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、撮影部を有し、前記車両の車外を飛行可能な飛行体と、
前記飛行体を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記車両が駐車されている状況において所定の開始条件を満たした場合に、前記飛行体が前記車両から離陸し、
前記車両の位置情報と車外のユーザが携帯する表示部を有する携帯端末の位置情報とに基づいて、前記車両及び車外の前記ユーザの双方が同時に含まれる撮影画像を含む位置報知画像を前記撮影部が撮影し、前記位置報知画像を
前記携帯端末に送信するよう制御する、車両の駐車位置報知システム。
【請求項2】
前記位置報知画像には、前記ユーザの現在位置に対する前記車両の駐車位置の方向を指し示す方向指示図形が表示される、請求項
1に記載の車両の駐車位置報知システム。
【請求項3】
前記位置報知画像には、前記ユーザの現在位置から前記車両の駐車位置までの推奨経路を指し示す経路指示図形が表示される、請求項1
又は2に記載の車両の駐車位置報知システム。
【請求項4】
前記飛行体は、光を照射する照明部をさらに有し、
前記制御部は、前記照明部が前記ユーザに向けて光を照射するよう制御する、請求項1~
3のいずれか一つに記載の車両の駐車位置報知システム。
【請求項5】
前記制御部は、駐車中の前記車両への前記ユーザの接近が検出されたことを前記開始条件として、前記飛行体が前記車両から離陸し、前記撮影部が前記位置報知画像を撮影し、前記位置報知画像を前記携帯端末に送信するよう、前記飛行体を制御する、請求項1~
4のいずれか一つに記載の車両の駐車位置報知システム。
【請求項6】
前記飛行体は、テザーを介して前記車両に接続されており、
前記飛行体の駆動電力は、前記車両のバッテリから前記テザーを介して前記飛行体に供給される、請求項1~5のいずれか一つに記載の車両の駐車位置報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車位置報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型商業施設等の広い駐車場に車両を駐車した場合には、ユーザが車両から一旦離れて、その後に車両に戻ってくる際に、自車の正確な駐車位置を失念してしまうことがある。
下記特許文献1には、広い駐車場に車両が駐車されている状況において、キーレスエントリーシステムによって車両のドアロックが解除された場合に、車両に搭載された飛行体を飛行させることによって、飛行体を自車位置の目印として活用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、車両に搭載される飛行体は一般的に小型であると考えられるため、広い駐車場で飛行体を単に飛行させただけでは、ユーザが車両の遠方に位置している場合に飛行体を視認するのは困難である。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、広い駐車場に車両が駐車されている状況において、車両の駐車位置をユーザに確実に報知することが可能な、車両の駐車位置報知システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両の駐車位置報知システムは、車両に搭載され、撮影部を有し、前記車両の車外を飛行可能な飛行体と、前記飛行体を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記車両が駐車されている状況において所定の開始条件を満たした場合に、前記飛行体が前記車両から離陸し、前記車両の位置情報と車外のユーザが携帯する表示部を有する携帯端末の位置情報とに基づいて、前記車両及び車外の前記ユーザの双方が同時に含まれる撮影画像を含む位置報知画像を前記撮影部が撮影し、前記位置報知画像を前記携帯端末に送信するよう制御することを特徴とするものである。
【0007】
この態様によれば、制御部は、車両が駐車されている状況において所定の開始条件を満たした場合に、飛行体が車両から離陸し、撮影部が位置報知画像を撮影し、撮影された位置報知画像を車外のユーザが携帯する携帯端末に送信するよう、飛行体を制御する。携帯端末を携帯しているユーザは、携帯端末の表示部に表示された位置報知画像を確認して、車両周辺の目印となる建物等を特定することによって、車両の駐車位置を判断することができる。その結果、広い駐車場に車両が駐車されている状況において、車両の駐車位置をユーザに確実に報知することが可能となる。
【0009】
また、この態様によれば、位置報知画像には、車両及び車外のユーザの双方が同時に含まれている。従って、携帯端末を携帯しているユーザは、携帯端末の表示部に表示された位置報知画像を確認して、自身と車両との相対的な位置関係を把握することによって、車両の駐車位置を容易に判断することができる。
【0010】
上記態様において、前記位置報知画像には、前記ユーザの現在位置に対する前記車両の駐車位置の方向を指し示す方向指示図形が付加されることが望ましい。
【0011】
この態様によれば、位置報知画像には、ユーザの現在位置に対する車両の駐車位置の方向を指し示す方向指示図形が表示されている。従って、携帯端末を携帯しているユーザは、携帯端末の表示部に表示された位置報知画像及び方向指示図形を確認することによって、車両の駐車位置を容易に判断することができる。
【0012】
上記態様において、前記位置報知画像には、前記ユーザの現在位置から前記車両の駐車位置までの推奨経路を指し示す経路指示図形が付加されることが望ましい。
【0013】
この態様によれば、位置報知画像には、ユーザの現在位置から車両の駐車位置までの推奨経路を指し示す経路指示図形が表示されている。従って、携帯端末を携帯しているユーザは、携帯端末の表示部に表示された位置報知画像及び経路指示図形を確認することによって、車両の駐車位置に容易に到達することができる。
【0014】
上記態様において、前記飛行体は、光を照射する照明部をさらに有し、前記制御部は、前記照明部が前記ユーザに向けて光を照射するよう制御することが望ましい。
【0015】
この態様によれば、制御部は、飛行体の照明部がユーザに向けて光を照射するよう制御する。これにより、ユーザは遠方からでも飛行体を容易に視認することができる。
【0016】
上記態様において、前記制御部は、駐車中の前記車両への前記ユーザの接近が検出されたことを条件として、前記駐車位置報知制御を実行することが望ましい。
【0017】
この態様によれば、制御部は、駐車中の車両へのユーザの接近が検出されたことを開始条件として、飛行体が車両から離陸し、撮影部が位置報知画像を撮影し、位置報知画像を携帯端末に送信するよう、飛行体を制御する。従って、これらの制御の実行を開始するにあたり、ユーザによる手動の操作入力は不要であるため、ユーザの利便性を向上することができる。
上記態様において、前記飛行体は、テザーを介して前記車両に接続されており、前記飛行体の駆動電力は、前記車両のバッテリから前記テザーを介して前記飛行体に供給されることが望ましい。
この態様によれば、飛行体の駆動電力を、テザーを介して車両側から飛行体に供給することにより、飛行体へのバッテリの搭載を省略でき、その結果、飛行体の軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、広い駐車場に車両が駐車されている状況において、車両の駐車位置をユーザに確実に報知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る駐車位置報知システムの適用例を示す図である。
【
図5】飛行体制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図7】車両の制御部によって実行される駐車位置報知制御の制御フローを示すフローチャートである。
【
図8】携帯端末の表示部に表示された撮影映像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る駐車位置報知システムの適用例を示す図である。車両1には、車両1の車外を飛行可能な飛行体2が搭載されている。車両1の所定箇所(この例ではリアウインドウ上)には、飛行体2の発着台3が配置されている。発着台3は、飛行体2が離着陸を行うための水平な発着面を有する。発着面の下方には、巻き取りリール19(
図1には表れない)が配置されている。巻き取りリール19は、給電用のケーブルであるテザー4が巻装された回転軸(図略)を有している。発着面の略中央部には貫通孔が設けられており、巻き取りリール19の回転軸に巻装されたテザー4は、この貫通孔内を挿通して発着面の上方に引き出され、飛行体2に接続されている。
【0022】
図2は、飛行体2の外観を模式的に示す図である。飛行体2は、いわゆるクワッドコプター型のドローンとして構成されている。飛行体2は、本体部111と、本体部111の前面に配置されたカメラ112と、本体部111の四隅に配置されたプロペラ113と、本体部111の左右両面から垂直に延在するシャフト114と、本体部111を内包する網目球体状の緩衝部材115とを備えている。本体部111と緩衝部材115とは、シャフト114によって互いに固定されている。本体部111の底面にテザー4が接続されている。
【0023】
図3は、飛行体2の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように飛行体2は、通信部21、撮影部22、駆動部23、位置検出部24、姿勢検出部25、及び照明部26を有している。また、飛行体2は、これら各処理部の動作を制御することによって飛行体2の全体の制御を司る制御部20を有している。さらに、飛行体2は、これら各処理部及び制御部20に駆動電力を供給する電力供給部29を有している。電力供給部29は、テザー4に接続されている。飛行体2の駆動電力を、テザー4を介して車両1側から供給することにより、飛行体2へのバッテリの搭載を省略でき、その結果、飛行体2の軽量化が図られている。飛行体2の総重量は、重量に基づく飛行規制の対象となる制限重量(例えば200グラム)未満である。
【0024】
通信部21は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式によって、後述する車両1側の通信部122との間で双方向にデータ通信を行う。但し、テザー4内にデータ通信線を追加することにより、通信部21と通信部122とが当該データ通信線を介して有線通信を行う構成としても良い。
【0025】
撮影部22は、
図2に示したカメラ112を含む。撮影部22によって撮影される画像には、静止画像(写真)及び動画像(映像)の双方が含まれる。以下の説明では、撮影部22によって映像が撮影される場合を例にとる。撮影部22は、カメラ112によって撮影された映像の映像データを、フラッシュメモリ等の記録媒体に記録するとともに、リアルタイムで出力する。なお、映像データの記録は車両1側で行っても良い。
【0026】
駆動部23は、
図2に示したプロペラ113のプロペラシャフトを回転駆動するためのモータを含む。駆動部23は、4つのプロペラ113の回転方向及び回転速度を個別に制御する。これにより、飛行体2は、前進、後進、上昇、降下、旋回、及びホバリング等の任意の飛行動作を行うことができる。
【0027】
位置検出部24は、GPS受信機及び高度センサ等を含み、飛行体2の位置をリアルタイムに検出することにより、その検出された位置を示す位置データを出力する。
【0028】
姿勢検出部25は、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び方位センサ等を含み、飛行体2の姿勢をリアルタイムに検出することにより、その検出された姿勢を示す姿勢データを出力する。
【0029】
照明部26は、飛行体2の本体部111の前面を含む1以上の面に配置されたLED等の任意の照明装置を含む。
【0030】
制御部20は、撮影部22から出力された映像データ、位置検出部24から出力された位置データ、及び姿勢検出部25から出力された姿勢データを、リアルタイムで通信部21から車両1に送信する。
【0031】
図4は、車両1の機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように車両1は、バッテリ制御部11、飛行体制御部12、車両情報検出部14、通信部15、映像処理部51、及び接近検出部52を有している。また、車両1は、これら各処理部の動作を制御することによって車両1の全体の制御を司る制御部10を有している。さらに、車両1は、これら各処理部及び制御部10に駆動電力を供給するバッテリ18を有している。テザー4は、バッテリ18に接続されている。また、車両1は、巻き取りリール19を有している。巻き取りリール19の駆動電力は、バッテリ18から供給される。巻き取りリール19は、テザー4が巻装された回転軸(図略)と、当該回転軸を回転駆動するためのモータ(図略)とを有している。巻き取りリール19は、飛行体2の飛行状況に応じた適正量のテザー4が回転軸から繰り出されるように、モータによる回転軸の駆動によってテザー4の送出及び回収を制御する。
【0032】
バッテリ制御部11は、バッテリ18の充放電動作を制御する。また、バッテリ制御部11は、バッテリ18からテザー4への電力供給の開始及び停止を制御する。
【0033】
飛行体制御部12は、飛行体2の飛行を制御する。飛行体制御部12の詳細については後述する。
【0034】
車両情報検出部14は、車両1の各種情報を検出する。車両情報検出部14の詳細については後述する。
【0035】
通信部15は、予め登録されたユーザの携帯端末50との間で、Bluetooth(登録商標)、無線LAN、又は公衆電話回線網等の任意の無線通信方式によって、双方向にデータ通信を行う。携帯端末50は、スマートフォン、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、又はスマートキー等であり、表示部(LCD又は有機EL等)及び位置検出部(GPS受信機等)を有する。
【0036】
映像処理部51は、車両1の位置情報を車両情報検出部14のGPS受信機148(
図6)から取得し、飛行体2の位置情報を位置検出部24から飛行体制御部12を介して取得し、携帯端末50の位置情報を携帯端末50から通信部15を介して取得する。また、映像処理部51は、飛行体2の姿勢情報を姿勢検出部25から飛行体制御部12を介して取得する。映像処理部51は、車両1、飛行体2、及び携帯端末50の各位置情報と、飛行体2の姿勢情報とに基づいて、飛行体2の撮影部22によって撮影された撮影映像60(
図8)内において車両1及びユーザ70(携帯端末50を携帯しているユーザ)を特定する。また、映像処理部51は、撮影映像60を解析することにより、撮影映像60内において歩道、横断歩道、車道、及び駐車枠等を特定する。映像処理部51は、歩道及び横断歩道を優先することによって、ユーザ70が現在位置から車両1の駐車位置まで歩行する際の推奨経路を導出する。映像処理部51は、その推奨経路を指し示す経路指示図形63を、AR(Augmented Reality)技術によって撮影映像60に重畳する。
【0037】
接近検出部52は、車両1及び携帯端末50の各位置情報に基づき、車両1の位置に対する携帯端末50の位置の時系列変化を観測することによって、車両1へのユーザ70の接近を検出する。接近検出部52は、車両1と携帯端末50との間の距離が所定値(数十メートル、例えば30m)未満となった場合に、ユーザ70が車両1に接近したことを検出する。
【0038】
図5は、飛行体制御部12の機能構成を示すブロック図である。
図5に示すように飛行体制御部12は、通信部122、飛行経路作成部123、操縦信号生成部124、撮影信号生成部125、リール制御部126、及び照明信号生成部127を有している。また、飛行体制御部12は、これら各処理部の動作を制御する制御部121を有している。
【0039】
通信部122は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式によって、上述した飛行体2側の通信部21との間で双方向にデータ通信を行う。通信部122は、飛行体2側の通信部21から送信された映像データ、位置データ、及び姿勢データを受信する。
【0040】
飛行経路作成部123は、車両1の位置情報を車両情報検出部14のGPS受信機148から取得し、携帯端末50の位置情報を携帯端末50から通信部15を介して取得する。飛行経路作成部123は、車両1及び携帯端末50の各位置情報に基づいて、車両1及びユーザ70の双方が同一フレーム内に同時に含まれる映像を撮影するための撮影ポジションを導出する。飛行経路作成部123は、車両1の現在位置からその撮影ポジションに飛行体2を移動飛行させる最短経路を、飛行経路として作成する。
【0041】
操縦信号生成部124は、飛行経路作成部123が作成した飛行経路に沿って飛行体2を飛行させるための操縦信号を、通信部122が受信した映像データ、位置データ、及び姿勢データに基づいて生成する。
【0042】
撮影信号生成部125は、飛行体2の飛行状況に応じて、飛行体2の撮影部22に対して撮影を開始させるための撮影開始信号、及び、撮影を停止させるための撮影停止信号を生成する。
【0043】
リール制御部126は、巻き取りリール19を制御する。具体的にリール制御部126は、飛行体2の飛行状況に応じた適正量のテザー4が巻き取りリール19の回転軸から繰り出されるように、モータによる回転軸の駆動によってテザー4の送出及び回収を制御する。
【0044】
照明信号生成部127は、飛行体2の照明部26に所定の報知照明の照射(例えば高輝度フラッシュ光の連続照射)を実行させるための照明信号を生成する。
【0045】
制御部121は、操縦信号生成部124によって生成された操縦信号、撮影信号生成部125によって生成された撮影開始信号及び撮影停止信号、並びに照明信号生成部127によって生成された照明信号を、リアルタイムで通信部122から飛行体2に送信する。
【0046】
図6は、車両情報検出部14の機能構成を示す図である。
図6に示すように車両情報検出部14は、ドアロックセンサ141、ドア開閉センサ142、シートセンサ143、始動検知センサ144、車内侵入検知センサ146、及びGPS受信機148を含む。
【0047】
ドアロックセンサ141は、車両1のドアの施錠状態/解錠状態を検出する。ドア開閉センサ142は、車両1のドアの開状態/閉状態を検出する。シートセンサ143は、車両1のシートへの人員の着座状態を検出する。始動検知センサ144は、イグニッションセンサにより、又は、バッテリと走行モータとを接続するリレースイッチのオン/オフ状態を検出することにより、車両1の駆動力発生装置(エンジン又は走行モータ等)の始動状態/停止状態を検出する。車内侵入検知センサ146は、駐車中の車両1の車内を監視エリアとして、その監視エリア内における侵入者の有無を検知する。GPS受信機148は、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて車両1の現在位置を特定し、その現在位置を示す位置情報を出力する。
【0048】
図7は、車両1の制御部10によって実行される駐車位置報知制御の制御フローを示すフローチャートである。制御部10は、大型商業施設の駐車場等、一定面積以上の広大な駐車場内で車両1が駐車中である場合に、この制御フローを実行する。制御部10は、GPS受信機148から出力される位置情報に基づいて、車両1の現在位置が駐車場内であることを検出する。また、制御部10は、始動検知センサ144が車両1の駆動力発生装置が停止状態であることを検出し、車内侵入検知センサ146が車両1の車内が無人であることを検出し、かつ、ドアロックセンサ141が車両1の全ドアが施錠状態であることを検出したことにより、車両1が駐車中であることを検出する。
【0049】
携帯端末50を携帯しているユーザ70は、広大な駐車場内において車両1の駐車位置を失念した場合、携帯端末50のタッチパネル等から操作入力を行うことにより、車両1に対して位置報知画像の送信要求を行うことができる。ユーザ70がこの送信要求を行うことにより、携帯端末50から車両1に要求信号が送信される。
【0050】
ステップSP11において制御部10は、通信部15が携帯端末50から要求信号を受信したか否かを判定する。
【0051】
通信部15が要求信号を受信しない場合(ステップSP11:NO)は、制御部10はステップSP11の処理を繰り返し実行する。
【0052】
通信部15が要求信号を受信した場合(ステップSP11:YES)は、次にステップSP12において制御部10は、飛行体制御部12に飛行体2の離陸制御を実行させる。まずバッテリ制御部11は、バッテリ18からテザー4を介して飛行体2への電力供給を開始する。次に操縦信号生成部124は、飛行体2を発着台3から離陸させるための操縦信号を生成する。次に通信部122は、その操縦信号を飛行体2に送信する。次に飛行体2側の通信部21は、車両1側の通信部122から送信された操縦信号を受信する。次に駆動部23は、その操縦信号に基づいてプロペラ113を駆動することにより、飛行体2を離陸させるための制御を開始する。これにより、飛行体2は発着台3から離陸する。
【0053】
次にステップSP13において制御部10は、飛行体制御部12に飛行体2の飛行制御及び撮影制御を実行させる。まず飛行経路作成部123は、車両1及び携帯端末50の各位置情報に基づいて、車両1及びユーザ70の双方が同一フレーム内に同時に含まれる映像を撮影するための撮影ポジションを導出し、飛行体2をその撮影ポジションに移動させるための飛行経路を作成する。次に操縦信号生成部124は、飛行体2を上記飛行経路に沿って上記撮影ポジションに移動させるための操縦信号を生成する。次に通信部122は、その操縦信号を飛行体2に送信する。次に飛行体2側の通信部21は、車両1側の通信部122から送信された操縦信号を受信する。次に駆動部23は、その操縦信号に基づいてプロペラ113を駆動する。これにより、飛行体2は上記飛行経路に沿って上記撮影ポジションまで飛行し、その後、ホバリングによってその撮影ポジションを維持する。また、撮影信号生成部125は、飛行体2の撮影部22に対して撮影を開始させるための撮影開始信号を生成する。撮影開始信号は通信部122から飛行体2に送信され、それによって撮影部22はカメラ112による撮影を開始する。カメラ112によって撮影された撮影映像60の映像データは、通信部21から車両1に送信される。
【0054】
なお、ステップSP13において制御部10は、上記報知照明の照射を実行させるための照明信号を、照明信号生成部127に生成させても良い。照明信号は通信部122から飛行体2に送信され、それによって飛行体2の照明部26からユーザ70に向けて報知照明(光)が照射される。これにより、ユーザ70は遠方からでも飛行体2を容易に視認することができる。
【0055】
次にステップSP14において制御部10は、撮影映像60を携帯端末50で表示させるための映像表示制御を実行する。制御部10は飛行体2から受信した映像データを通信部15に転送し、通信部15はその映像データを携帯端末50に送信する。これにより、飛行体2のカメラ112によって撮影された撮影映像60が、携帯端末50の表示部55に表示される。なお、撮影部22から出力された映像データは、車両1を介さずに、飛行体2から携帯端末50に直接送信されても良い。
【0056】
図8は、携帯端末50の表示部55に表示された撮影映像60の一例を示す図である。飛行体2のカメラ112が車両1の斜め上方の撮影ポジションから車両1及びユーザ70を撮影することにより、撮影映像60には車両1及びユーザ70の双方が含まれている。撮影映像60内における車両1及びユーザ70には、他車及び他者との区別の容易化のために、映像処理部51によって着色又はラベル付け等の強調表示を行っても良い。また、撮影映像60には、映像処理部51によって、ユーザ70が現在位置から車両1の駐車位置まで歩行する際の推奨経路を指し示す経路指示図形63が重畳されている。
【0057】
また、表示部55には、ユーザ70の現在位置に対する車両1の駐車位置の方向を指し示す方向指示図形61が表示されている。
図8に示した方向指示図形61は、携帯端末50を体の正面で保持して直立するユーザ70から眺めて、右斜め前方向に車両1が存在することを意味する。方向指示図形61は、車両1及び携帯端末50の各位置情報と、携帯端末50の姿勢情報とに基づいて、携帯端末50によって生成される。
【0058】
さらに、表示部55には、ユーザ70が車両1を発見した時にユーザ70によってタップされる確認図形62が表示されている。確認図形62は、映像処理部51又は携帯端末50によって生成される。確認図形62がタップされることにより、飛行体2の帰艦命令を含む駐車位置報知制御の終了信号が、携帯端末50から車両1に送信される。
【0059】
ステップSP15において制御部10は、通信部15が携帯端末50から駐車位置報知制御の終了信号を受信したか否かを判定する。
【0060】
通信部15が終了信号を受信しない場合(ステップSP15:NO)は、次にステップSP16において制御部10は、ユーザ70が車両1へ乗車したことが検出されたか否かを判定する。具体的に、制御部10は、車両1の運転席ドアの開閉動作が行われたことをドア開閉センサ142が検出したことにより、あるいは、当該開閉動作の後に車両1の運転席への人員の着座をシートセンサ143が検出したことにより、ユーザ70が車両1に乗車したことを検出する。
【0061】
車両1へのユーザ70の乗車が検出されない場合(ステップSP16:NO)は、制御部10はステップSP13~SP16の処理を繰り返し実行する。
【0062】
通信部15が終了信号を受信した場合(ステップSP15:YES)、又は、車両1へのユーザ70の乗車が検出された場合(ステップSP16:YES)は、次にステップSP17において制御部10は、飛行体2を現在位置から発着台3に向けて飛行させるための操縦信号を操縦信号生成部124に生成させる。この操縦信号が飛行体2に送信されることによって飛行体2の飛行が制御され、飛行体2は発着台3に帰艦する。
【0063】
なお、車両1へのユーザ70の乗車が検出されたことによって飛行体2を帰艦させる場合には、制御部10は、飛行体2を帰艦させるための操縦信号を操縦信号生成部124に生成させる代わりに、リール制御部126によって巻き取りリール19の回転軸を高速に回転駆動させることによって、飛行体2を強制的に回収しても良い。これにより、飛行体2を迅速に回収することが可能となる。
【0064】
次に、撮影信号生成部125は、飛行体2の撮影部22に対して撮影を停止させるための撮影停止信号を生成する。撮影停止信号は飛行体2に送信され、撮影部22はカメラ112による撮影を停止する。その後、バッテリ制御部11は、バッテリ18から飛行体2への電力供給を停止する。
【0065】
本実施の形態に係る駐車位置報知システムによれば、制御部10は、車両1が駐車場に駐車されている状況で、車両1から飛行体2を飛行させ、飛行体2の撮影部22に撮影映像60(位置報知画像)を撮影させ、撮影映像60を携帯端末50の表示部55に表示させる。携帯端末50を携帯しているユーザ70は、携帯端末50の表示部55に表示された撮影映像60を確認して、車両1の周辺の目印となる建物等を特定することによって、車両1の駐車位置を判断することができる。その結果、広い駐車場に車両1が駐車されている状況において、車両1の駐車位置をユーザ70に確実に報知することが可能となる。
【0066】
また、撮影映像60には、車両1及びユーザ70の双方がフレーム内に同時に含まれている。従って、携帯端末50を携帯しているユーザ70は、携帯端末50の表示部55に表示された撮影映像60を確認して、自身と車両1との相対的な位置関係を把握することによって、車両1の駐車位置を容易に判断することができる。
【0067】
また、撮影映像60には、ユーザ70の現在位置に対する車両1の駐車位置の方向を指し示す方向指示図形61が付加されている。従って、携帯端末50を携帯しているユーザ70は、携帯端末50の表示部55に表示された撮影映像60及び方向指示図形61を確認することによって、車両1の駐車位置を容易に判断することができる。
【0068】
また、撮影映像60には、ユーザ70の現在位置から車両1の駐車位置までの推奨経路を指し示す経路指示図形63が付加されている。従って、携帯端末50を携帯しているユーザ70は、携帯端末50の表示部55に表示された撮影映像60及び経路指示図形63を確認することによって、車両1の駐車位置に容易に到達することができる。
【0069】
また、制御部10は、位置報知画像の送信要求を携帯端末50から受信したことを条件として、駐車位置報知制御を実行する。従って、ユーザ70が車両1の駐車位置を記憶している場合に不要な駐車位置報知制御が実行されることを、予め回避することができる。
【0070】
また、制御部10は、車両1への乗員の乗車が検出された場合に飛行体2を車両1に帰艦させる。従って、車両1の走行開始前に飛行体2を帰艦させることができるため、走行開始後に飛行体2が周辺の障害物等に接触する事態を予め回避できる。
【0071】
<変形例>
上記実施の形態では、制御部10は、通信部15が携帯端末50から要求信号を受信したことを条件として飛行体2の離陸制御を実行したが、この例には限られない。制御部10は、車両1が駐車中の状況において、接近検出部52によって車両1へのユーザ70の接近が検出されたことを条件として、飛行体2の離陸制御を実行しても良い。
【0072】
接近検出部52は、車両1及び携帯端末50の各位置情報に基づき、駐車中の車両1と携帯端末50との間の距離が所定値(数十メートル、例えば30m)未満となった場合に、ユーザ70が駐車中の車両1に接近したことを検出する。制御部10は、車両1へのユーザ70の接近が接近検出部52によって検出されると、通信部15が携帯端末50から要求信号を受信したか否かに拘わらず、飛行体2の離陸制御(ステップSP12)を実行する。
【0073】
本変形例によれば、制御部10は、駐車中の車両1へのユーザ70の接近が検出されたことを条件として、駐車位置報知制御を実行する。従って、駐車位置報知制御の実行を開始するにあたり、ユーザ70による携帯端末50への手動の操作入力は不要であるため、ユーザ70の利便性を向上することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 車両
2 飛行体
4 テザー
10 制御部
12 飛行体制御部
14 車両情報検出部
19 巻き取りリール
22 撮影部
26 照明部
50 携帯端末
51 映像処理部
52 接近検出部
55 表示部
60 撮影画像
61 方向指示図形
63 経路指示図形