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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】読取装置、出力装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240611BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20240611BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H04N1/04 101
H04N1/10
H04N1/028 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020089539
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184555
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕
(72)【発明者】
【氏名】西田 陽治
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-130444(JP,A)
【文献】特開2004-274299(JP,A)
【文献】特開2014-230116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/10
H04N 1/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反射部を有し、第1光源が発した決められた光量の光を原稿の読取領域で拡散反射させて受光素子まで導く拡散光学系と、
第2反射部を有し、第2光源が発した前記光量の光を前記読取領域で正反射させて受光素子まで導く正反射光学系と、
を備え
前記第2反射部の短手方向の寸法は、前記第1反射部の短手方向の寸法よりも短く、
前記第2反射部で反射される光は、前記第1反射部で反射される光よりも少なく、
前記第1光源及び前記第2光源は、前記読取領域において反射された光に対して同じ側に配置され、
前記第1光源は、第1基板と、前記第1基板の第1端に寄せて設けられ且つ光を発する第1発光部とを有し、前記第2光源は、第2基板と、前記第2基板の第2端に寄せて設けられ且つ光を発する第2発光部とを有し、前記第1光源及び前記第2光源は、前記第1端及び前記第2端を隣接させて設けられている
読取装置。
【請求項2】
前記第1基板及び前記第2基板は、共通の部品として製造される
請求項に記載の読取装置。
【請求項3】
前記第1基板は、前記第1端とは反対側に設けられる留め具によって固定され、前記第2基板は、前記第2端とは反対側に設けられる留め具によって固定される
請求項1又は2に記載の読取装置。
【請求項4】
部品が取り付けられるフレームと、前記部品として、前記第1発光部が発した光を出射する第1導光体と、前記第1導光体が出射した光を反射する第1反射部と、前記第2発光部が発した光を出射する第2導光体と、前記第2導光体が出射した光を反射する第2反射部とを備え、前記フレームには、前記第2基板、前記第2導光体、前記第2反射部、前記第1基板、前記第1導光体、前記第1反射部の順番で前記部品が取り付けられる
請求項1からのいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記第1基板、前記第1導光体及び前記第1反射部は、前記フレームに対して第1の方向から取り付けられ、前記第2基板、前記第2導光体及び前記第2反射部は、前記フレームに対して前記第1の方向とは反対向きの第2の方向から取り付けられる
請求項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記第1反射部は、前記第2反射部よりも前記原稿から離れた位置に設けられている
請求項4又は5に記載の読取装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の読取装置を備え、
前記読取装置で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力する
出力装置。
【請求項8】
請求項に記載の出力装置を備え、
前記読取装置で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力する
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、出力装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿からの正反射光成分の一部を読み取るために光を照射する第2の照射手段により照射される光の原稿への入射角度が、導光手段に導かれる正反射光の主光線の反射角度に対して0度でない傾きを有する読取装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-130444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イメージセンサまで到達する反射光を反射する反射領域に表されている画像が読み取られる読取装置においては、拡散反射光及び正反射光の光源を共通にすると部品の生産コストが抑えられる。一方で、拡散反射光は正反射光に比べて反射した光の向かう範囲が広いので、イメージセンサに向かう光の光量が少なくなりやすい。
そこで、本発明は、光源の光量を共通にした拡散反射光及び正反射光がイメージセンサに到達したときの光量の差異を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る読取装置は、第1光源が発した決められた光量の光を原稿の読取領域で拡散反射させて受光素子まで導く拡散光学系と、第2光源が発した前記光量の光を前記読取領域で正反射させて受光素子まで導く正反射光学系であって、前記読取領域に到達する光の光量が前記拡散光学系における当該光量に比べて少ない正反射光学系とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る読取装置は、請求項1に記載の態様において、前記拡散光学系は、前記第1光源が発して前記読取領域に直接到達して拡散反射された光も前記受光素子まで導くことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る読取装置は、請求項1に記載の態様において、前記拡散光学系は第1反射部を、前記正反射光学系は第2反射部をそれぞれ有し、前記第2反射部で反射される光は、前記第1反射部で反射される光よりも少ないことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る読取装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の態様において、前記第2光源は、前記第1光源よりも前記原稿から離れた位置に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る読取装置は、請求項4に記載の態様において、前記第1光源及び前記第2光源は、前記読取領域において反射された光に対して同じ側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る読取装置は、請求項4又は5に記載の態様において、前記第1光源は、第1基板と、前記第1基板の第1端に寄せて設けられ且つ光を発する第1発光部とを有し、前記第2光源は、第2基板と、前記第2基板の第2端に寄せて設けられ且つ光を発する第2発光部とを有し、前記第1光源及び前記第2光源は、前記第1端及び前記第2端を隣接させて設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る読取装置は、請求項6に記載の態様において、前記第1基板及び前記第2基板は、共通の部品として製造されることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る読取装置は、請求項6又は7に記載の態様において、前記第1基板は、前記第1端とは反対側に設けられる留め具によって固定され、前記第2基板は、前記第2端とは反対側に設けられる留め具によって固定されることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る読取装置は、請求項6から8のいずれか1項に記載の態様において、部品が取り付けられるフレームと、前記部品として、前記第1発光部が発した光を出射する第1導光体と、前記第1導光体が出射した光を反射する第1反射部と、前記第2発光部が発した光を出射する第2導光体と、前記第2導光体が出射した光を反射する第2反射部とを備え、前記フレームには、前記第2基板、前記第2導光体、前記第2反射部、前記第1基板、前記第1導光体、前記第1反射部の順番で前記部品が取り付けられることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る読取装置は、請求項9に記載の態様において、前記第1基板、前記第1導光体及び前記第1反射部は、前記フレームに対して第1の方向から取り付けられ、前記第2基板、前記第2導光体及び前記第2反射部は、前記フレームに対して前記第1の方向とは反対向きの第2の方向から取り付けられることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11に係る読取装置は、請求項1から10のいずれか1項に記載の態様において、前記第1反射部は、前記第2反射部よりも前記原稿から離れた位置に設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12に係る出力装置は、請求項1から11のいずれか1項に記載の読取装置を備え、前記読取装置で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項13に係る画像形成装置は、請求項12に記載の出力装置を備え、前記読取装置で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、12、13に係る発明によれば、光源の光量を共通にした拡散反射光及び正反射光がイメージセンサに到達したときの光量の差異を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、読取領域に直接到達する光を用いない場合に比べて、拡散反射光による画像の輝度を高めることができる。
請求項3に係る発明によれば、光量の関係が本発明と反対の場合に比べて、光源の光量を共通にした拡散反射光及び正反射光が受光素子に到達したときの光量の差異を抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、原稿から光源までの離れ具合が本発明と反対の場合に比べて、各反射面の配置を、光源の光量を共通にした拡散反射光及び正反射光が受光素子に到達したときの光量の差異が抑制される配置にしやすくすることができる。
請求項5に係る発明によれば、光源が異なる側に配置されている場合に比べて、光源への電力供給のための配線が短くて済むようにすることができる。
請求項6に係る発明によれば、第1端及び前記第2端を隣接させない場合に比べて、各発光部への電力供給のための配線を短くすることができる。
請求項7に係る発明によれば、第1基板及び第2基板が別部品である場合に比べて、部品製造のコストを削減することができる。
請求項8に係る発明によれば、留め具の位置が本発明と異なる場合に比べて、第1発光部及び第2発光部をより近づけて配置することができる。
請求項9に係る発明によれば、本発明と異なる順番で部品を取り付ける場合に比べて、取り付けの作業を容易にすることができる。
請求項10に係る発明によれば、1方向から部品を取り付ける場合に比べて、取り付け位置の誤差が大きくなることを抑制することができる。
請求項11に係る発明によれば、原稿から反射部までの離れ具合が本発明と反対の場合に比べて、各反射部の配置を、光源の光量を共通にした拡散反射光及び正反射光が受光素子に到達したときの光量の差異が抑制される配置にしやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例に係る画像読取装置のハードウェア構成を表す図
図2】画像読取部の詳細な構成を表す図
図3】キャリッジを拡大して表す図
図4】リフレクタの周辺を拡大して表す図
図5】正面から見た反射面を表す図
図6】リフレクタの周辺を拡大して表す図
図7】正面から見た反射面を表す図
図8】正面から見た反射面を表す図
図9】原稿が浮いた場合を説明するための図
図10】2つの光源を拡大して表す図
図11】正反射光に拡散反射光が混ざる例を表す図
図12】フレームを表す図
図13】変形例の正反射用リフレクタを表す図
図14】変形例のキャリッジを拡大して表す図
図15】変形例のキャリッジを拡大して表す図
図16】正反射用光照射部が出射した光の光量分布の一例を表す図
図17】変形例の正反射用光照射部を表す図
図18】変形例の画像形成装置を表す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
[1]実施例
図1は実施例に係る画像読取装置10のハードウェア構成を表す。画像読取装置10は、原稿に表された画像を読み取る装置である。画像読取装置10は本発明の「読取装置」の一例である。画像読取装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信部14と、UI部15(UI=User Interface)と、画像形成部16と、画像読取部20とを備えるコンピュータである。
【0021】
プロセッサ11は、例えば、CPU(=Central Processing Unit)等の演算装置、レジスタ及び周辺回路等を有する。メモリ12は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、RAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)等を有する。ストレージ13は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を有する。
【0022】
プロセッサ11は、RAMをワークエリアとして用いてROMやストレージ13に記憶されているプログラムを実行することで各ハードウェアの動作を制御する。通信部14は、アンテナ及び通信回路等を有し、図示せぬ通信回線を介した通信を行う。プロセッサ11が実行するプログラムは、通信部14を介して通信される外部装置から取得されてもよい。
【0023】
UI部15は、自装置を利用するユーザに対して提供されるインターフェースである。インターフェースとは、ユーザによる情報の入力を受け付け、画像読取装置10による情報の出力を行う装置である。UI部15は、例えば、表示手段であるディスプレイとディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを有するタッチスクリーンを有し、画像を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。
【0024】
画像形成部16は、用紙等の媒体に画像を形成する。画像形成部16は、本実施例では、インクジェット方式で媒体に画像を形成する。なお、画像形成の方式はこれに限らず、例えば電子写真方式でもよい。
【0025】
画像読取部20は、光源、光学系及びイメージセンサ等を備え、光源からの光を原稿で反射させることで、原稿に表された画像を読み取る。画像読取部20は、読み取った原稿の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給された原稿画像データを用いて様々な処理(印刷処理及びファクシミリ送信処理等)を行う。
【0026】
図2は画像読取部20の詳細な構成を表す。図2では、主走査方向A1に沿った方向に見た画像読取部20が表されている。主走査方向A1は、紙面の手前から奥に向かう方向である。画像読取部20は、原稿台21と、原稿カバー22と、キャリッジ30と、キャリッジ40と、結像レンズ50と、イメージセンサ60とを備える。画像読取部20のこれらの構成は、主走査方向A1について幅がある。キャリッジ30、キャリッジ40、結像レンズ50及びイメージセンサ60は、いずれも、主走査方向A1を長手とする細長い形状をしている。なお、図中の「A2」を付した矢印が示す方向が副走査方向A2である。画像読取部20はいわゆる縮小光学系の読取装置である。
【0027】
原稿台21は、画像の読み取り対象である原稿2を支持する透明のガラス板である。なお、原稿台21は、透明な板状の部材であれば、アクリル板等であってもよい。原稿カバー22は、外光を遮断するように原稿台21を覆い、原稿台21との間に原稿2を挟み込む。原稿2は、原稿台21及び原稿カバー22によって動かないように支持される。
【0028】
キャリッジ30は、原稿2を読み取るときに、決められた速度で副走査方向A2に移動する。キャリッジ30は、原稿2に光を照射する照射部を有するが、照射部については後ほど図3を参照して詳しく説明する。キャリッジ30は、ミラー35を有する。本件実施例ではキャリッジ30は上部が開口する箱型になっており、ミラー35はその内部に配置されている。なおキャリッジ30は箱型である必要はなく、空洞になっていても一体に移動できるようになっていればよい。ミラー35は、原稿2が反射した光を反射する。反射された光は、イメージセンサ60に至る光路B1に導かれる。
【0029】
キャリッジ40は、原稿2を読み取るときに、キャリッジ30の半分の速度で副走査方向A2に移動する。キャリッジ40は、ミラー41及びミラー42を内部に有する。ミラー41及び42は、ミラー35が反射した光を反射して光路B1に導く。結像レンズ50は、ミラー42が反射した光を決められた位置に結像させる。
【0030】
イメージセンサ60は、CCD(Charge Coupled Device)等の受光素子を有し、結像レンズ50により結像された光を受け、受けた光に応じた画像信号を生成する。イメージセンサ60は、生成した画像信号を図1に表すプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給された画像信号に基づき原稿2の画像データを生成する。
【0031】
図3はキャリッジ30を拡大して表す。キャリッジ30は、拡散反射用光照射部31と、正反射用光照射部32と、拡散反射用リフレクタ33と、正反射用リフレクタ34と、ミラー35と、フレーム36とを有する。なお、フレーム36については、図を見やすくするため図3には表さず、後ほど別の図に表して説明する。
【0032】
拡散反射用光照射部31は、原稿2で正反射させるための光を照射する。拡散反射用光照射部31は、光を出射する出射面313を有し、原稿2で拡散反射させるための光を出射面313から出射する。正反射用光照射部32は、原稿2で拡散反射させるための光を照射する。正反射用光照射部32は、光を出射する出射面323を有し、原稿2で拡散反射させるための光を出射面323から出射する。
【0033】
拡散反射用光照射部31は、光源311と、導光体312とを有する。光源311は、LED(Light Emitting Diode)等の光を発する光源である。導光体312は、内部に光を透過させる透明な部材である。導光体312は、前述した出射面313を有し、光源311が発した光を出射面313に導いて出射する。出射面313は、概ね平面であるが、微細な起伏が設けられており、出射する光を拡散させる。光源311は本発明の「第1光源」の一例であり、導光体312は本発明の「第1導光体」の一例である。
【0034】
正反射用光照射部32は、光源321と、導光体322とを有する。光源321は、LED等の光を発する光源である。導光体322は、内部に光を透過させる透明な部材である。導光体322は、前述した出射面323を有し、光源321が発した光を出射面323に導いて出射する。出射面323は、概ね平面であるが、微細な起伏が設けられており、出射する光を拡散させる。正反射用光照射部32は、構造自体は、拡散反射用光照射部31と同様となっている。光源321は本発明の「第2光源」の一例であり、導光体322は本発明の「第2導光体」の一例である。
【0035】
本実施例では、拡散反射用光照射部31及び正反射用光照射部32に同じ部品が用いられている。そのため、拡散反射用光照射部31の光源311が発する光の光量と、正反射用光照射部32の光源321が発する光の光量とは共通になり、また、拡散反射用光照射部31の導光体312が出射する光の光量と、正反射用光照射部32の導光体322が出射する光の光量とも共通になっている。
【0036】
出射面313から出射された光の一部は、図3に示すように拡散反射用リフレクタ33に到達する。
図4は拡散反射用リフレクタ33の周辺を拡大して表す。拡散反射用リフレクタ33は、出射面313から出射された光を原稿2の読取領域R1に向けて反射し、正反射用の光(原稿2により正反射される光)を読取領域R1に向け照射する反射面331を有する部材である。拡散反射用リフレクタ33は本発明の「第1反射部」の一例である。反射面331は、本実施例では、平面の形をしている。
【0037】
図5は正面から見た反射面331を表す。拡散反射用リフレクタ33の反射面331は、図に表すとおり、導光体312の出射面313と同様に主走査方向A1を長手とする面であり、正面から見ると長方形の形をしている。反射面331は、短手方向A4の寸法が寸法W3となる大きさで形成されている。短手方向A4とは、反射面331の長手方向(=主走査方向A1に沿った方向)に直交し且つ反射面331に沿った方向である。
【0038】
一方、導光体322の出射面323から出射された光の一部は、図3に示すように正反射用リフレクタ34に到達する。
図6は正反射用リフレクタ34の周辺を拡大して表す。正反射用リフレクタ34は、出射面323から出射された光を原稿2の読取領域R1に向けて反射し、拡散反射用の光(原稿2により拡散反射される光)を読取領域R1に向け照射する反射面341を有する部材である。正反射用リフレクタ34は本発明の「第2反射部」の一例である。反射面341は、本実施例では、平面の形をしている。
【0039】
図7は正面から見た反射面341を表す。正反射用リフレクタ34の反射面341は、図に表すとおり、導光体322の出射面323と同様に主走査方向A1を長手とする面であり、正面から見ると長方形の形をしている。反射面341は、短手方向A5の寸法が寸法W4となる大きさで形成されている。短手方向A5とは、反射面341の長手方向(=主走査方向A1に沿った方向)に直交し且つ反射面341に沿った方向である。
【0040】
反射面341の寸法W4は、出射面323の短手方向A3の寸法W1よりも短くなっている。なお、寸法W4は、寸法W1より小さいだけなく、拡散反射用リフレクタ33の反射面331の短手方向の寸法W3よりも小さい。更に、寸法W4は、拡散反射用光照射部31の出射面313の短手方向の寸法W1よりも小さい。一方、反射面331の短手方向の寸法W3は、出射面313の短手方向の寸法W1よりも大きい。なお、本実施例では寸法W4を2.0mmとし、寸法W3を4.5mmとした。
【0041】
拡散反射用リフレクタ33の反射面331により反射された光が原稿2の読取領域R1に到達すると、原稿2は、その光の一部を拡散反射する。原稿2が拡散反射した光は、図2に表すミラー35に到達する。ミラー35は、拡散反射用リフレクタ33により反射され且つ原稿2で拡散反射した光を反射する反射面351を有する。
【0042】
図8は正面から見た反射面351を表す。ミラー35の反射面351は、図に表すとおり、主走査方向A1を長手とする面であり、正面から見ると長方形の形をしている。反射面351は、短手方向A6の寸法が寸法W5となる大きさで形成されている。短手方向A6とは、反射面351の長手方向(=主走査方向A1に沿った方向)に直交し且つ反射面351に沿った方向である。ミラー35により反射された光は、図2に表すミラー41、ミラー42及び結像レンズ50により導かれて、イメージセンサ60に到達する。
【0043】
導光体312、拡散反射用リフレクタ33、ミラー35、ミラー41、ミラー42及び結像レンズ50は、光源311が発した決められた光量の光を原稿2の読取領域R1で拡散反射させてイメージセンサ60まで導く拡散光学系3として機能する。イメージセンサ60は、拡散光学系3により導かれた光が示す画像を生成する。イメージセンサ60は本発明の「受光素子」の一例である。
【0044】
また、導光体312の出射面313から出射された光の一部は、原稿2の読取領域R1に直接向かい、拡散反射されてさらに一部の光が光路B1に向かう。つまり、拡散反射用光照射部31は、拡散反射用リフレクタ33及び読取領域R1に向けてそれぞれ光を出射する。拡散光学系3は、拡散反射用光照射部31の光源311が発して読取領域R1に直接到達して拡散反射された光もイメージセンサ60まで導く。
【0045】
一方、正反射用光照射部32が出射した光は、その一部が原稿2により正反射されて画像を示す。正反射用光照射部32が有する導光体322の出射面323から出射された光は、正反射用リフレクタ34に向かう。正反射用リフレクタ34の反射面341は、正反射用光照射部32により照射された光を原稿2の読取領域R1に向けて反射する。
【0046】
反射面341により反射された光が原稿2の読取領域R1に到達すると、原稿2は、その光を反射する。この原稿で反射した光を以下では「原稿反射光」と言う。この原稿反射光には正反射も拡散反射も両方含まれているが、本実施例では原稿2が正反射した光がミラー35にむかうようになっている。なお、ここでいう正反射とは、完全に入射角と反射角が一致する完全な正反射に限らず、それとほぼ同じ特性が得られるなら、多少角度がずれている場合も含むものとする。
【0047】
ミラー35は、本実施例においては、読取領域R1からみて鉛直下方に配置されている。このように配置することで、原稿2が原稿台21から浮いた場合にも対応できるようになっている。
図9は原稿2が浮いた場合を説明するための図である。図9(a)はミラー35を読取領域R1からみて鉛直下方に配置しない場合を示し、図9(b)はミラー35を読取領域R1からみて鉛直下方に配置した場合を示す。
【0048】
図9(a)のミラー35に入射する正反射光は、図9(b)のミラー35に入射する正反射光に比べて、原稿2に対する入射角度が小さいので、原稿2が浮いた場合の正反射光の光路が大きくずれ、ミラー35に入射しないことになりやすい。つまり、原稿2が浮くなどしてミラー35と原稿2との位置関係が変化しても、図9(a)の場合に比べて図9(b)の場合の方が、ミラー35において反射される正反射光の減少が抑制される。
【0049】
その一方で、鉛直下方に完全に正反射する光を受光しようとした場合には、入射する光も鉛直下方から入射する必要がある。しかしながら、構造上それはできないので、本実施例では5度ほど傾いている。完全な正反射光ではないが、ほぼ正反射光と同じよう反射特性が検出される。なお、本実施例のような5度に限らず、9度以下であればある程度正反射光と同じような画像が検出される。
【0050】
原稿2が反射した光は、図2に表すミラー35に到達する。そのミラー35により反射された光は、図2に表すミラー41、ミラー42及び結像レンズ50により導かれて、イメージセンサ60に到達する。このように、導光体322、正反射用リフレクタ34、ミラー35、ミラー41、ミラー42及び結像レンズ50は、光源321が発した決められた光量の光を原稿2の読取領域R1で正反射させてイメージセンサ60まで導く正反射光学系4として機能する。
【0051】
イメージセンサ60は、正反射光学系4により導かれた光、すなわち、原稿2により拡散反射された光により示される画像を生成する。以上のとおり、イメージセンサ60は、読取領域R1で正反射される光及び拡散反射される光のいずれからも画像を生成する。
【0052】
正反射光学系4が有する正反射用リフレクタ34の反射面341の短手方向A5の寸法W4は、拡散光学系3が有する拡散反射用リフレクタ33の反射面331の短手方向A4の寸法W3よりも短い。そのため、上記のとおり拡散反射用光照射部31の光源311が発する光の光量と、正反射用光照射部32の光源321が発する光の光量とは共通であるが、正反射用リフレクタ34で反射される光は、拡散反射用リフレクタ33で反射される光よりも少ない。
【0053】
その結果、正反射光学系4は、読取領域R1に到達する光の光量が拡散光学系3における光量に比べて少なくなっている。なお、正反射光学系4における出射面323から反射面341までの距離は、拡散光学系3における出射面313から反射面331までの距離よりも短い。
【0054】
出射した光は少しずつ発散するため、仮に反射面331及び反射面341の短手方向の寸法が同じであった場合、出射面に近い反射面341が反射する光の方が、反射面331が反射する光よりも光量が多くなる。しかし、反射面341は、反射面331に比べて、上記のとおり短手方向の寸法を小さくしていることで、出射面からの距離の影響による光量の多さを打ち消して、反射する光の光量を少なくしている。
【0055】
読取領域R1において反射してイメージセンサ60に向かう光の光量は、入射する光の大半を含む正反射光に比べて、入射する光があらゆる方向に反射する拡散反射光の方が少ない。本実施例では、読取領域R1に到達する光の光量を前述の関係にすることで、光量の関係が反対の場合に比べて、光源の光量を共通にした拡散反射光及び正反射光がイメージセンサ60に到達したときの光量の差異が抑制されている。
【0056】
また、正反射光学系4における光源321は、拡散光学系3における光源311よりも原稿2から離れた位置に設けられている。これにより、原稿2から光源までの離れ具合が本実施例と反対の場合に比べて、正反射光学系4における光源321から原稿2までの光路に沿った距離が、拡散光学系3における光源311から原稿2までの光路に沿った距離よりも短くなる配置にしやすくなっている。
【0057】
言い換えると、原稿2から光源までの離れ具合が本実施例と反対の場合に比べて、各反射面(拡散光学系3における反射面331及び正反射光学系4における反射面341のこと)の配置を、光源の光量を共通にした拡散反射光及び正反射光がイメージセンサ60に到達したときの光量の差異が抑制される配置にしやすくなっている。
【0058】
同様に、正反射光学系4における正反射用リフレクタ34は、拡散光学系3における拡散反射用リフレクタ33よりも原稿2から離れた位置に設けられている。この場合も、原稿2からリフレクタまでの離れ具合が本実施例と反対の場合に比べて、各反射面(拡散光学系3における反射面331及び正反射光学系4における反射面341のこと)の配置を、光源の光量を共通にした拡散反射光及び正反射光がイメージセンサ60に到達したときの光量の差異が抑制される配置にしやすくなっている。
【0059】
また、拡散光学系3における光源311及び正反射光学系4における光源321は、読取領域R1において反射された光に対して同じ側(本実施例では図3に表す光路B1の右側)に配置されている。これにより、光源が異なる側に配置されている場合に比べて、光源への電力供給のための配線が短くて済むようになっている。
【0060】
また、本実施例では、拡散反射用光照射部31の光源311が発して読取領域R1に直接到達して拡散反射された光もイメージセンサ60まで導かれる。これにより、読取領域R1に直接到達する光を用いない場合に比べて、拡散反射光による画像の輝度が高められる。
【0061】
続いて、光源311及び光源321の詳細な構成について説明する。
図10は光源311及び光源321を拡大して表す。光源311は、電子回路を支持する基板111と、光を発する発光部112と、基板111を固定する留め具113とを有する。発光部112は、例えばLEDアレイであり、基板111の下側の端114に寄せて設けられている。
【0062】
基板111は、端114とは反対側に設けられる留め具113によって上述したフレーム36に固定されている。基板111は本発明の「第1基板」の一例であり、端114は本発明の「第1端」の一例である。また、発光部112は本発明の「第1発光部」の一例であり、留め具113は本発明の「留め具」の一例である。
【0063】
光源321は、電子回路を支持する基板211と、光を発する発光部212と、基板211を固定する留め具213とを有する。発光部212は、例えばLEDアレイであり、基板211の下側の端214に寄せて設けられている。基板211は、端214とは反対側に設けられる留め具213によってフレーム36に固定されている。
【0064】
基板211は本発明の「第2基板」の一例であり、端214は本発明の「第2端」の一例である。また、発光部212は本発明の「第2発光部」の一例であり、留め具213は本発明の「留め具」の一例である。基板111及び発光部112は、設けられている向きが異なるが、基板211及び発光部212と共通の部品として製造されたものである。
【0065】
これにより、これらが別部品である場合に比べて、部品の製造ラインが少なくなり、部品製造のコストが削減される。また、各留め具が発光部とは反対側に設けられていることで、留め具の位置が本実施例と異なる場合に比べて、発光部112及び発光部212がより近づけて配置されることになる。
【0066】
また、光源311及び光源321は、図10に表すとおり、基板111の端114及び基板211の端214を隣接させて設けられている。これにより、基板111の端114及び基板211の端214を隣接させない場合に比べて、発光部112及び発光部212を近づけて配置して、各発光部への電力供給のための配線が短くて済むようになっている。
【0067】
なお、原稿2の反射光は、正反射光及び拡散反射光の共通の光路である光路B1でイメージセンサ60に導かれるようリフレクタ及びミラー等が配置されているが、光を照射するタイミングは別々にしている。まず、画像読取部20は、拡散反射用光照射部31を点灯させて、キャリッジ30とキャリッジ40を原稿の副走査方向の端部まで移動させ、原稿2を読み取り、原稿2の拡散反射光の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。
【0068】
続けて、副走査方向の端部から元の位置にキャリッジ30とキャリッジ40を戻す際に、正反射用光照射部32を点灯させて、原稿2を読み取り、原稿2の正反射光の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。このように、本実施例においては、1つの原稿に対して、正反射した光が示す画像と、拡散反射した光が示す画像とを分けて読み取っている。プロセッサ11は、供給された2つの画像を示す画像データを用いて1つの画像を得る処理を行う。
【0069】
なお、本実施例では、読取領域R1を拡散反射用リフレクタ33と拡散反射用光照射部31で挟んだが、読取領域R1の両側に拡散反射用光照射部31を配置してもよい。なお、本実施例では導光体の形状が正反射用も拡散反射用も同じにしたが、変えてもよい。また、導光体の長手方向に垂直な方向の断面の形状はどこでも同じだが、長手方向で形状が変わっていてもよい。また、出射面が1つの平面でなく多面になっていてもよい。
【0070】
本実施例では、正反射用光照射部32が出射した光が上記のとおり正反射用リフレクタ34で、図6に表すように光量分布の範囲が狭くなった光が原稿2で正反射されてイメージセンサ60まで導かれる。正反射光を反射する原稿2の表面の領域に対して入射する光の光量分布の範囲が広すぎると、本実施例では光軸C1のようなある一定の領域、離れた領域であるその他の領域からの光の正反射光は光路B1から外れ、逆にその光の拡散反射光が光路B1に向かうようになる。
【0071】
図11は正反射光に拡散反射光が混ざる例を表す。図11(a)では、比較例として、正反射用光照射部32が出射して正反射用リフレクタ34xが反射した光の拡散反射光がイメージセンサ60に向かってしまっている状態を示す。入射角度が深い(原稿2に対してなす角度が90度に近いほど入射角度が深い)光路E11を通って原稿2に入射した光は、光路E12を通ってイメージセンサ60に向かう光との角度関係がほぼ正反射になっているが、入射角度が浅い光路E21を通って原稿2に入射した光は、正反射光が光路E22を通ってイメージセンサ60には向かわない。
【0072】
その代わり、光路E21を通って原稿2に入射した光の拡散反射光が光路E23を通ってイメージセンサ60に向かってしまう。このような場合には、イメージセンサ60は正反射光と拡散反射光の両方を同時に受光してしまうので、画像の正反射光特性を得ることができない。なお、これは、鉛直下方に反射光を向かわせないときも同様で、入射角度のばらつきを抑えないと、入射角度が大きくずれた光の拡散反射光が正反射光に混ざってしまう。
【0073】
そこで、本実施例においては、正反射用リフレクタ34の反射面341のサイズ(短手方向の長さ)を出射面323のサイズよりも小さくすることにより、原稿に向かう光の入射角度が大きく変わらないようにしている。これにより、正反射用リフレクタ34は、反射面341のサイズが出射面323のサイズよりも大きい場合に比べて、正反射用リフレクタ34のサイズを出射面原稿に向かう光の入射角度のばらつきを抑え、原稿2で反射してミラー35に向かう光(原稿反射光)の成分のうちの正反射光成分の比率が多くなるようにしている。
【0074】
なお、正反射用の出射面の短手方向の寸法を短くすることで光の幅を狭くする方法もあるが、この方法を用いると、図5に表す光量分布D1のように光量が少ない光が読取領域に入射することになる。本実施例では、上記のとおり正反射用リフレクタ34の反射面341の短手方向A5の寸法を短くすることで、出射面を狭くして原稿の反射領域を狭くしようとする場合に比較して、光の均一性が保たれる。
【0075】
また、本実施例では、拡散反射光と正反射光の光路が共通なので、拡散反射光と正反射光の光路が異なる場合に比べて、読取装置が小型化されることになる。また、本実施例では、正反射用リフレクタ34の反射面341が、正反射用光照射部32が出射した光の光量が最も多い方向に配置されている。これにより、正反射用リフレクタ34の反射面341が別の方向に配置される場合に比べて、正反射光に光量の少ない部分が含まれやすくなることが抑制され、生成される画像の輝度が高められる。
【0076】
原稿表面にインク等による起伏がある場合、光が入射する方向によって拡散反射される光の光量の分布が変化する場合がある。本実施例では、拡散反射用光照射部31が出射した光が拡散反射用リフレクタ33により反射されて読取領域R1に到達して拡散反射した光だけでなく、拡散反射用光照射部31が出射して読取領域R1に直接到達して拡散反射した光からも画像が生成される。これにより、1方向からの光だけを読取領域に照射する場合に比べて、原稿の向きを変えた場合の画質の変化が抑制される。
【0077】
図12はフレーム36を表す。図12(a)では主走査方向A1に見たフレーム36が表され、図12(b)では拡散反射用リフレクタ33の裏側から見たフレーム36が表されている。フレーム36は、部品が取り付けられる部材である。フレーム36は、板状部材361及び板状部材362を有し、導光体312、拡散反射用リフレクタ33、導光体322及び正反射用リフレクタ34の両端が例えば図示せぬネジ等によって各板状部材にそれぞれ固定されている。
【0078】
また、フレーム36は、2枚の板状の部材の間に設けられた板状の固定板363及び固定板364を有する。固定板363には、図9に表す留め具113によって基板111が固定されている。固定板364には、図9に表す留め具213によって基板211が固定されている。フレーム36には、基板211を有する光源321、導光体322、正反射用リフレクタ34、基板111を有する光源311、導光体312、拡散反射用リフレクタ33の順番で部品が取り付けられる。
【0079】
例えば光源321より先に導光体322を取り付けると、導光体322が邪魔になって光源321が取り付けられない。また、導光体322より先に正反射用リフレクタ34を取り付けると、導光体322も取り付けられないことはないが、正反射用リフレクタ34が取り付け作業の邪魔になる。本実施例では、上記の順番で部品を取り付けることで、異なる順番で取り付ける場合に比べて、取り付けの作業が容易になる。
【0080】
基板111を有する光源311、導光体312、拡散反射用リフレクタ33は、フレーム36に対して鉛直上方から取り付けられている。また、基板211を有する光源321、導光体322、正反射用リフレクタ34は、フレーム36に対して鉛直下方(すなわち鉛直上方とは反対向きの方向)から取り付けられている。この場合の鉛直上方から鉛直下方に向かう方向は本発明の「第1の方向」の一例であり、鉛直下方から鉛直上方に向かう方向は本発明の「第2の方向」の一例である。
【0081】
取り付けた部品の取り付け位置に誤差があると、その後に取り付ける部品の取り付け位置にも誤差が生じることになりやすい。例えば各部品を全て鉛直上方から鉛直下方に向かう方向から取り付けた場合、仮に最初の部品の取り付け位置に誤差があったとするとその後に取り付ける部品の取り付け位置の誤差も重なって大きな誤差になる。本実施例では、上記のとおり2方向から部品を取り付けることで、1方向から部品を取り付ける場合に比べて、取り付け位置の誤差が大きくなることを抑制している。
【0082】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0083】
[2-1]リフレクタ
拡散反射光用の拡散反射用リフレクタ33の反射面331及び正反射光用の正反射用リフレクタ34の反射面341は実施例では平面であったが、これに限らない。例えば反射面341は、導光体322の出射面323から出射された光を原稿2に向けて収束光になるように反射する形状(通常は凹面の形状)にして、光の幅を狭めるようにしたものであってもよい。
【0084】
図13は本変形例の正反射用リフレクタ34aを表す。正反射用リフレクタ34aは、反射面341aが凹面になっており、出射面323から出射された光を原稿2に向けて収束光になるように反射する。収束光とは、決められた焦点に向けて収束する光のことである。焦点は原稿上に設定されてもよいし、原稿よりも奥に設定されてもよい。なお図に示した形状に限らず、凹面、多面、湾曲面などの形状が考えられる
【0085】
また、実施例では正反射用リフレクタ34の短手方向A5の幅W4は、正反射用光照射部32の出射面323の短手方向A4の長さW2よりも半分以下の幅になるほど狭くしたが、収束光にする場合はそこまで狭くする必要はなく同じか、逆に長くなっていてもよい。本変形例によれば、例えば、出射された光を原稿2に向けて発散光になるように反射する場合に比べて、原稿2が反射する光の光量が増強されることになる。
【0086】
また、拡散反射用リフレクタ33の反射面331も、凹面であっても凸面であってもよい。その際、拡散反射用リフレクタ33の反射面331は、正反射用リフレクタ34の反射面341に比べて、入射した光を反射する際にその光に含まれる光線の進行方向を収束する方向に変化させる度合い(以下「収束度」と言う)を小さくしてもよい。
【0087】
上記実施例では、正反射光用の反射面341と拡散反射光用の反射面331との反射面の幅で光の幅を調整したが、形状で光の幅を調整しても良い。例えば、正反射光用の反射面341を凹面にして、拡散反射光用の反射面331を平面又は凸面としてもよい。また、正反射光用の反射面341を平面にして、拡散反射光用の反射面331を凸面としてもよい。
【0088】
このような場合は、反射面の幅が同じであっても、光の幅は正反射光用の反射面341で反射した光の方が狭くなる。読取領域に照射される光は、収束度が小さいほど、すなわち光に含まれる光線の進行方向を発散させる方向に変化させる度合いが大きいほど、光が広がりやすく光量分布がなだらかになる。そのため、本変形例によれば、収束度の関係が本変形例と反対の場合に比べて、拡散反射光の光量分布がなだらかになる。
【0089】
[2-2]入光
なお、上記実施例ではLEDが長手方向に複数設けられている例を説明したが、導光体が長手方向に伸び、その長手方向の端部にパワーLEDが設けられている構成であってもよい。また、導光体を使用せず、長手方向に複数設けられたLEDからの光を直接原稿に向けてもよい。
【0090】
[2-3]角度
上記実施例では、入射光と反射光の角度を小さく設定する例を示したが、正反射光をイメージセンサ60まで導ける角度配置になっていればよい。また、上記実施例では、拡散反射光を照射する部材(出射部及びリフレクタ)の方が正反射光を照射する部材よりも原稿に近い例を示したが、拡散反射光を照射する部材の方が原稿から遠くてもよい。その場合、例えば、正反射光の入射角度及び出射角度を例えば原稿に対して40°ずつ傾けるように配置する。このようにすることで、なるべく0°に近い角度を狙うよりも、原稿に向けた光路と原稿からの光路を距離的に離すことができるため、部品の配置が容易になる。
【0091】
また、拡散反射用の出射部を、正反射用の出射部と光路に対して同じ側に配置したが、異なる側に配置してもよい。
図14は本変形例のキャリッジ30bを拡大して表す。キャリッジ30bは、正反射用光照射部32bと、拡散反射用光照射部31bと、正反射用リフレクタ34bと、ミラー35bとを有する。
【0092】
正反射用光照射部32bは、拡散反射用光照射部31bと光路B1bに対して異なる側に配置されている。正反射用光照射部32bが出射した光は、正反射用リフレクタ34bに反射して読取領域R1に入射する。また、拡散反射用光照射部31bは、リフレクタを使用せずに直接光を原稿2の読取領域R1に照射している。図14の例においては、光源を読取領域R1の鉛直下方に配置する場合に比べて、読取装置の原稿2に対する鉛直方向の高さが低く抑えられる。
【0093】
[2-4]光軸について
上記実施例では、光軸C1が光路の中央に位置していたが、光軸C1を含みつつ光路の片側に寄せてもよいし、光軸C1を光路に含めないようにしてもよい。
図15は本変形例のキャリッジ30cを拡大して表す。キャリッジ30cは、図3に表す拡散反射用光照射部31に加えて、光軸C1cが正反射用リフレクタ34cからずれた位置に向いている正反射用光照射部32cを備える。
【0094】
正反射用リフレクタ34cの反射面341cの左端領域341Lと右端領域341Rとで反射した光の光量について図16を参照して説明する。
図16は正反射用光照射部32cが出射した光の光量分布の一例を表す。図16の例では、正反射用光照射部32cから所定の距離に位置する平面を主走査方向A1に沿った方向に見た場合における光量の分布D1cがグラフに表されている。
【0095】
図16の例では、左端領域341Lでの反射光の光量と右端領域341Rでの反射光の光量とが示されており、前者の方が後者よりも多くなっている。また、光軸C1cは正反射用リフレクタ34cにおける反射光に含まれていない。なお、光軸C1cが正反射用リフレクタ34cにおける反射光に含まれるが片側(左端領域341L及び右端領域341Rのいずれか)に寄るように配置されていてもよい。
【0096】
図15の例では、正反射用リフレクタ34cが、原稿の読取領域R1まで導く光路の中で光量差が生じており、光量の多い部分(左端領域341Lで反射する光路)の方が、光量の少ない部分(右端領域341Rで反射する光路)よりも、完全な正反射に近い原稿反射光が得られる位置に配置されている。
【0097】
このように光路に光軸を含まないようにしたり片側に寄せたりした場合は、光軸を光路の中心にする場合に比べて、原稿2に向かう光に部分的に光量に差がでやすくなるので、原稿に向かう光の光路である領域のなかで、光量が多い方である左端領域341Lの方がよりちょうど正反射する角度で入射するようにして、光量が少ない右端領域341Rの方がそこから離れた角度になるようにするとなおよい。
【0098】
例えば、出射された光の一部のみが正反射用リフレクタ34cにより反射される場合は、正反射角度により近い端部を左端領域341L、正反射角度からずれ量の多い方の端部を右端領域341Rにするとよい。そのようにすることによって、正反射角度により近い端部を右端領域341Rにする場合に比べて、正反射光の比率が多くなる。
【0099】
[2-5]光照射部
光照射部の形状は実施例で述べたものに限らない。例えば、光照射部は、出射面が長方形以外の形をしていてもよい。また、出射部は、1つの面ではなく2以上の面を出射面として備えていてもよい。
【0100】
図17は本変形例の正反射用光照射部32dを表す。正反射用光照射部32dは、第1出射面323-1と、第2出射面323-2とを有し、各出射面から光をそれぞれ出射する。図17の例では、正反射用光照射部32dは、第1出射面323-1から出射した光が正反射用リフレクタ34に向かうように配置されているので、第1出射面323-1が、上記実施例の正反射用光照射部32の出射面323に相当している。つまり、正反射用リフレクタ34は、第1出射面323-1からの光の一部を反射する。
【0101】
なお、図17の構成において、第2出射面323-2から出射される光は正反射用リフレクタ34にも原稿方向に向かわない。本変形例では、第2出射面323-2から光が出射されるが、第2出射面323-2は光を出射するために作られた面ではない。なお、第2出射面323-2から出射された光が原稿方向に向かうように正反射用光照射部32dが配置されてもよい。
【0102】
また、2以上の出射面を、上記実施例の正反射用光照射部32の出射面323に相当する出射面として構成してもよい。その場合には、出射面のうちの正反射用リフレクタ34に向かう光を出射する2つの出射面からの光を、正反射用リフレクタ34などにより、光の一部のみが原稿方向に向かうようにすればよい。
【0103】
[2-6]等倍光学系
上記実施例では縮小光学系の読取装置を示したが、等倍光学系の読取装置に適用してもよい。等倍光学系は、例えばCIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)などがあり、光を発するLED光源と原稿2で反射した光が通る等倍レンズであるセルフォック(登録商標)レンズとその延長上に設けられた受光素子など一体になって構成されている。
【0104】
なお、CISの場合にはセルフォック(登録商標)レンズがあるので、上記実施例のように、入射光と反射光の角度を小さく設定することが難しい場合もある。その場合は、入射光と反射光の角度が同じになるように、例えばそれぞれ原稿に対して45°度傾いた状態となるように配置してもよい。そしてLED光源と原稿の間にスリットを設けるなどして、入射光を制限するように構成してもよい。
【0105】
[2-7]読取装置
上記実施例では、原稿台に置かれた原稿を読み取る読取装置を説明したが、これに限らず、例えば、搬送中の原稿の搬送方向に配置されたインラインセンサーなどに適用し、搬送中の用紙を原稿として読み取る読取装置に適用してもよい。上記実施例では、1つの原稿に対して、正反射用光源を点灯させる読み取りと、拡散反射用光源を点灯させる読み取りとの2回の読み取りを行った。
【0106】
これに対し、インラインセンサーの場合は、正反射用光源と拡散用光源それぞれにイメージセンサを設けて、搬送方向の違う位置で読取をしてもよいし、読み取りたいモード、例えば色度を優先して読取りたい場合には拡散反射用光源を点灯させ、光沢を優先して読取りたい場合には正反射用光源を点灯させるなど、を切り替えてもよい。また搬送中の原稿の全てを読み取らなくても、検品などで、全検品ではなくて、ある枚数間隔で拡散反射用光源と正反射用光源を切り替えたりしてもよい。
【0107】
[2-8]出力装置
画像読取装置10が読み取った結果が出力されてもよい。
図18は本変形例の画像形成装置70を表す。画像形成装置70は、図2に記載の画像読取装置10を備える。読取領域における正反射光が強ければ強いほど、その読取領域の光沢度が高くなっているので、原稿のどの位置がどの程度光沢原稿であったかが、CPUなどでの算出により求められる。この場合、拡散反射光との差分も用いてもよい。
【0108】
画像形成装置70は、その結果を反映した画像を、画像データとしてインクジェットで画像形成する。このように、画像形成装置70は、画像読取装置10で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力する。より詳細には、画像形成装置70は、画像読取装置10で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力する。なお、画像形成装置で出力する以外にも、光沢度合いにより画像を加工し、PCやタブレットの画面などの表示装置に出力してもよい。
【符号の説明】
【0109】
10…画像読取装置、20…画像読取部、21…原稿台、22…原稿カバー、30…キャリッジ、31…拡散反射用光照射部、32…正反射用光照射部、33…拡散反射用リフレクタ、34…正反射用リフレクタ、35…ミラー、36…フレーム、40…キャリッジ、41…ミラー、42…ミラー、50…結像レンズ、60…イメージセンサ、70…画像形成装置。
図1
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