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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】読取装置、出力装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240611BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20240611BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H04N1/04 101
H04N1/10
H04N1/028 K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020089540
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184556
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 陽治
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-130444(JP,A)
【文献】特開2004-274298(JP,A)
【文献】特開2014-230116(JP,A)
【文献】特開2010-147859(JP,A)
【文献】特開2013-005334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/10
H04N 1/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散反射光用の光を出射する拡散反射用光出射部と、
前記拡散反射用光出射部から出射された光を反射する拡散反射用反射面と、
正反射光用の光を出射する正反射用光出射部と、
前記正反射用光出射部から出射された光を反射する正反射用反射面を有し、前記正反射用光出射部から出射された光のうち前記正反射用反射面に向かう光の一部を原稿まで導く光路を形成する光路部と、
前記光路部により導かれ且つ原稿で拡散反射される光および正反射した光が示す画像を生成するイメージセンサとを備え
前記正反射用光出射部の前記拡散反射用反射面側に設けられ、前記拡散反射用反射面に向かう光の一部を遮断する遮断部を有する
ことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記拡散反射用光出射部の前記正反射用反射面側に設けられ、前記正反射用反射面に向かう光の一部を遮断する第2遮断部を有する
請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記第2遮断部が前記遮断部と一体になるように形成されている
請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記正反射用反射面は、前記原稿に向けて収束光になるように光を反射する
請求項1から3のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記遮断部が板状の部材である
請求項1からのいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記拡散反射用光出射部の出射面が長方形である
請求項1から5のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項7】
前記拡散反射用光出射部は、光を発する光源と、平面の出射面を有して前記光源からの光を前記出射面に導く導光体とを備え、前記導光体は、前記出射面に直交する平面と交わる断面が長方形となる部分を有する
請求項1から6のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項8】
光を出射し且つ主走査方向を長手とする出射面を有する第2出射部であって、出射した光のうち前記原稿により拡散反射された光が前記正反射した光と共通の光路で前記イメージセンサに導かれるよう配置された第2出射部を備える
請求項1から7のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項9】
前記遮断部は、前記拡散反射用反射面側にのみ設けられている
請求項1から8のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項10】
前記第2遮断部が板状の部材である
請求項3に記載の読取装置。
【請求項11】
原稿まで導く光路の中で光量差があるものであって、光量の多い部分の方が、光量の少ない部分よりも、完全な正反射が得られる位置にくるようになっている光路部を有する
請求項1から10のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の読取装置を備え、
前記読取装置で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力する
出力装置。
【請求項13】
請求項12に記載の出力装置を備え、
前記読取装置で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力する
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、出力装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿からの正反射光成分の一部を読み取るために光を照射する第2の照射手段により照射される光の原稿への入射角度が、導光手段に導かれる正反射光の主光線の反射角度に対して0度でない傾きを有する読取装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-130444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イメージセンサまで到達する反射光を反射する反射領域に表されている画像が読み取られる読取装置においては、反射領域が広いほど反射光の光量が増えるメリットがあるが、一方で、正反射光を検出しようとした場合には、反射領域で反射する光に正反射光以外の拡散反射光が含まれやすくなり、画質に影響する場合がある。
そこで、本発明は、イメージセンサに到達する正反射光を反射する原稿表面の領域で反射してイメージセンサに到達する光に拡散反射光が含まれにくいようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る読取装置は、光を出射する出射部と、反射面を有し、前記出射部から出射された光のうち前記反射面に向かう光の一部を原稿まで導く光路を形成する光路部と、前記光路部により導かれ且つ原稿で正反射した光が示す画像を生成するイメージセンサとを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る読取装置は、請求項1に記載の態様において、前記光路部は、前記反射面に向かう光の一部を遮断する遮断部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る読取装置は、請求項2に記載の態様において、前記遮断部は、前記出射部よりも前記反射面の近くに配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る読取装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の態様において、前記反射面は、前記原稿に向けて収束光になるように光を反射することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る読取装置は、請求項1から4のいずれか1項に記載の態様において、前記出射部が出射した光の光量が最も多い方向に前記反射面が配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る読取装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載の態様において、前記出射部の出射面が長方形であることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る読取装置は、請求項1から6のいずれか1項に記載の態様において、前記出射部は、光を発する光源と、平面の出射面を有して前記光源からの光を前記出射面に導く導光体とを備え、前記導光体は、前記出射面に直交する平面と交わる断面が長方形となる部分を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る読取装置は、請求項1から7のいずれか1項に記載の態様において、光を出射し且つ主走査方向を長手とする出射面を有する第2出射部であって、出射した光のうち前記原稿により拡散反射された光が前記正反射した光と共通の光路で前記イメージセンサに導かれるよう配置された第2出射部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る読取装置は、光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光のうち原稿まで導かれ、前記原稿で反射した原稿反射光が示す画像を生成するイメージセンサと、前記出射部から出射された光を前記原稿まで導く光路部であって、前記原稿反射光に正反射光の比率が高くなるようにする光路部とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る読取装置は、光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光のうち原稿まで導かれ、前記原稿で反射した原稿反射光が示す画像を生成するイメージセンサと前記出射部から出射された光を前記原稿まで導く光路部であって、前記原稿反射光に拡散反射光が混ざるのを抑制する光路部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11係る読取装置は、請求項1から10のいずれか1項に記載の態様において、原稿まで導く光路の中で光量差があるものであって、光量の多い部分の方が、光量の少ない部分よりも、完全な正反射が得られる位置にくるようになっている光路部を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12に係る出力装置は、請求項1から11のいずれかに記載の読取装置を備え、前記読取装置で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項13に係る画像形成装置は、請求項12に記載の出力装置を備え、前記読取装置で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、9、10、11、12、13に係る発明によれば、イメージセンサに到達する正反射光を反射する原稿表面の領域で反射してイメージセンサに到達する光に拡散反射光が含まれにくいようにすることができる。
請求項2に係る発明によれば、遮断部を設けない場合に比べて、イメージセンサに到達する正反射光を反射する原稿表面の領域で反射してイメージセンサに到達する光に拡散反射光が含まれにくいようにすることができる。
請求項3に係る発明によれば、遮断部が反射面よりも出射面の近くに配置されている場合に比べて、反射面に到達した光の光量の分布を広げないよういすることができる。
請求項4に係る発明によれば、出射された光を原稿に向けて発散光になるように反射する場合に比べて、原稿が反射する光の光量を増強することができる。
請求項5に係る発明によれば、反射面が別の方向に配置される場合に比べて、正反射光に光量の少ない部分が含まれやすくなることを抑制することができる。
請求項6、7に係る発明によれば、形状が長方形でない場合に比べて、導光体の形状に公差が生じたときでも光量分布を安定させることができる。
請求項8に係る発明によれば、拡散反射光と正反射光の光路が異なる場合に比べて、読取装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例に係る画像読取装置のハードウェア構成を表す図
図2】画像読取部の詳細な構成を表す図
図3】キャリッジを拡大して表す図
図4】正面から見た出射面を表す図
図5】正反射用光出射部が出射した光の光量分布の一例を表す図
図6】正反射用リフレクタで反射した反射光の光量分布の一例を表す図
図7】原稿が浮いた場合を説明するための図
図8】2つの光源を拡大して表す図
図9】正反射光に拡散反射光が混ざる例を表す図
図10】第2実施例のキャリッジを拡大して表す図
図11】スリット通過光の光量分布の一例を表す図
図12】スリット部材の周辺を拡大して表す図
図13】変形例の正反射用リフレクタを表す図
図14】変形例のキャリッジを拡大して表す図
図15】変形例のキャリッジを拡大して表す図
図16】変形例のキャリッジを拡大して表す図
図17】正反射用光出射部が出射した光の光量分布の一例を表す図
図18】変形例の正反射用光出射部を表す図
図19】変形例の画像形成装置を表す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
[1]第1実施例
図1は実施例に係る画像読取装置10のハードウェア構成を表す。画像読取装置10は、原稿に表された画像を読み取る装置である。画像読取装置10は本発明の「読取装置」の一例である。本実施例においては、画像読取装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信部14と、UI部15(UI=User Interface)と、画像読取部20とを備える。なお、画像読取装置10は、画像読取部20のみで構成されてもよい。
【0021】
プロセッサ11は、例えば、CPU(=Central Processing Unit)等の演算装置、レジスタ及び周辺回路等を有する。メモリ12は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、RAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)等を有する。ストレージ13は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を有する。
【0022】
プロセッサ11は、RAMをワークエリアとして用いてROMやストレージ13に記憶されているプログラムを実行することで各ハードウェアの動作を制御する。通信部14は、アンテナ及び通信回路等を有し、図示せぬ通信回線を介した通信を行う。プロセッサ11が実行するプログラムは、通信部14を介して通信される外部装置から取得されてもよい。
【0023】
UI部15は、自装置を利用するユーザに対して提供されるインターフェースである。インターフェースとは、ユーザによる情報の入力を受け付け、画像読取装置10による情報の出力を行う装置である。UI部15は、例えば、表示手段であるディスプレイとディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを有するタッチスクリーンを有し、画像を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。
【0024】
画像読取部20は、光源、光学系及びイメージセンサ等を備え、光源からの光を原稿で反射させることで、原稿に表された画像を読み取る。画像読取部20は、読み取った原稿の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給された原稿画像データを用いて様々な処理(印刷処理及びファクシミリ送信処理等)を行う。
【0025】
図2は画像読取部20の詳細な構成を表す。図2では、主走査方向A1に沿った方向に見た画像読取部20が表されている。なお、図中の主走査方向A1は、紙面の手前から奥に向かう方向の矢印を表しているが、紙面の奥から手前に向かう方向も主走査方向A1というものとする。
【0026】
画像読取部20は、原稿台21と、原稿カバー22と、キャリッジ30と、キャリッジ40と、結像レンズ50と、イメージセンサ60とを備える。画像読取部20は、図示するこれらの構成を主走査方向A1について幅がある。キャリッジ30、キャリッジ40、結像レンズ50及びイメージセンサ60は、いずれも、主走査方向A1を長手とする細長い形状をしている。なお、図中の「A2」を付した矢印が示す方向が副走査方向A2である。画像読取部20はいわゆる縮小光学系の読取装置である。
【0027】
原稿台21は、画像の読み取り対象である原稿2を支持する透明のガラス板である。なお、原稿台21は、透明な板状の部材であれば、アクリル板等であってもよい。原稿カバー22は、外光を遮断するように原稿台21を覆い、原稿台21との間に原稿2を挟み込む。原稿2は、原稿台21及び原稿カバー22によって動かないように支持される。
【0028】
キャリッジ30は、原稿2を読み取るときに、決められた速度で副走査方向A2に移動する。キャリッジ30は、原稿2に光を照射する照射部を有するが、照射部については後ほど図3を参照して詳しく説明する。キャリッジ30は、ミラー35を有する。本件実施例ではキャリッジ30は上部が開口する箱型になっており、ミラー35はその内部に配置されている。なおキャリッジ30は箱型である必要はなく、空洞になっていても一体に移動できるようになっていればよい。ミラー35は、原稿2が反射した光を反射する。反射された光は、イメージセンサ60に至る光路B1に導かれる。
【0029】
キャリッジ40は、原稿2を読み取るときに、キャリッジ30の半分の速度で副走査方向A2に移動する。キャリッジ40は、ミラー41及びミラー42を有する。ミラー41及び42は、ミラー35が反射した光を反射して光路B1に導く。結像レンズ50は、ミラー42が反射した光を決められた位置に結像させる。
【0030】
イメージセンサ60は、CCD(Charge Coupled Device)等の受光素子を有し、結像レンズ50により結像された光を受け、受けた光に応じた画像信号を生成する。イメージセンサ60は、生成した画像信号を図1に表すプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給された画像信号に基づき原稿2の画像データを生成する。
【0031】
図3はキャリッジ30を拡大して表す。キャリッジ30は、正反射用光出射部31と、拡散反射用光出射部32と、正反射用リフレクタ33と、拡散反射用リフレクタ34と、ミラー35とを有する。
【0032】
正反射用光出射部31は、出射面313を有し、出射面313から光を出射する。正反射用光出射部31は、光源311と、導光体312とを有する。光源311は、LED(Light Emitting Diode)等の光を発する光源である。導光体312は、内部に光を透過させる透明な部材である。導光体312の出射面313は、本実施例においては、平面となっており、光源311からの光を出射面313に導く。
【0033】
拡散反射用光出射部32は、出射面323を有し、出射面323から光を出射する。拡散反射用光出射部32は、光源321と、導光体322とを有する。光源321は、LED等の光を発する光源である。導光体322は、内部に光を透過させる透明な部材である。導光体322は、平面の出射面323を有し、光源321からの光を出射面323に導く。拡散反射用光出射部32は、構造自体は、正反射用光出射部31と同様となっている。正反射用光出射部31は本発明の「出射部」の一例であり、拡散反射用光出射部32は本発明の「第2出射部」の一例である。
【0034】
出射面313及び出射面323の形状について図4を参照して説明する。
図4は正面から見た出射面313を表す。出射面313は、主走査方向A1を長手とする面であり、正面から見ると長方形の形をしている。なお、導光体312、光源311及びそれらを有する正反射用光出射部31も、主走査方向A1を長手とする部材である。出射面313の短手方向A3の寸法は長さW1である。また、拡散反射用光出射部32は、正反射用光出射部31と共通の形状及びサイズの部材である。よって、出射面323も、主走査方向A1を長手とする面であり、正面から見ると長方形の形をしている。
【0035】
また、導光体312は、出射面313に直交する平面と交わる断面が長方形となる部分を有し、導光体322は、出射面323に直交する平面と交わる断面が長方形となる部分を有する。このように出射面313及び出射面323の正面形状及び導光体312及び導光体322の断面形状が長方形になっていると、長方形でない場合に比べて、仮に導光体の形状に公差が生じたときでも光量分布が安定しやすい。
【0036】
ここでいう光量分布とは、光が照射された空間に出射面313と平行な架空の平面を設けた場合に、その平面の各位置を通過する光の量で表される分布である。
図5は正反射用光出射部31が出射した光の光量分布の一例を表す。図5の例では、導光体312の出射面313から距離L1に位置する平面を主走査方向A1に沿った方向に見た場合における光量の分布D1がグラフに表されている。
【0037】
上述したように、キャリッジ30は主走査方向A1を長手とする細長い形状をしている。そのキャリッジ30が有する光源311、導光体312及びそれらを有する正反射用光出射部31と、光源321、導光体322及びそれらを有する拡散反射用光出射部32とも、いずれも主走査方向A1を長手とする部材である。つまり、これらの部材の長手方向は主走査方向A1に沿っている。
【0038】
また、出射面313は、主走査方向A1を長手とする面である。主走査方向A1及び長手方向に直交し、且つ、出射面313に沿った方向を短手方向A3と言うものとする。図5に表すグラフの横軸は、その短手方向A3における空間上の位置を表している。また、図5に表すグラフの縦軸は、各位置を通過する光の光量を表している。ここで、出射面313の中心を通って出射面313の法線方向に出射される光の光路を光軸C1とする。
【0039】
短手方向A3における空間上の各位置の光量は、光軸C1において最大となり、光軸C1から離れるにつれて小さくなる。光量の分布D1は、出射面313の短手方向A3の長さW1よりも広い範囲まで広がっている。これは、出射面313が完全な平面ではなく多少の起伏を有しており出射される光が拡散されることや、光が直進以外にも進む性質などに起因する。出射面313から出射された光はその一部のみが、原稿2に向けて反射されるよう、図3に示すように正反射用リフレクタ33の形状が工夫されている。
【0040】
図6は正反射用リフレクタ33で反射した反射光の光量分布の一例を表す。図6では、正反射用リフレクタ33と、そこで反射された反射光の光量の分布D2が表されている。正反射用リフレクタ33の短手方向A4の長さW2は、出射面313の短手方向A3の長さW1よりも短くなっている。なお、長さW2は長さW1より小さいだけなく、拡散反射用リフレクタ34の反射面341の短手方向の長さよりも小さい。
【0041】
更に、長さW2は、拡散反射用光出射部32の出射面323の短手方向の長さよりも小さい。一方、反射面341の短手方向の長さは、出射面323の短手方向の長さよりも大きい。本実施例では、長さW1と出射面323の短手方向の長さは同じである。なお、本実施例では長さW1を4.5mmとし、長さW2を2.0mmとした。
【0042】
図6では、図5に表す光量の分布D1が二点鎖線で表されている。正反射用リフレクタ33の外側の光は正反射用リフレクタ33によって反射されないので、光量の分布D2では、分布D1と比較して正反射用リフレクタ33の外側の光量が減少している。ただし、正反射用リフレクタ33で反射した光は、正反射用リフレクタ33で反射した後もわずかに発散して光線としての幅が広がっていくため原稿に到達するまでの間には正反射用リフレクタ33の幅の外側にも光量が現れている。正反射用リフレクタ33は本発明の「反射部材」の一例である。反射面331は「反射面」の一例であり、本実施例では、平面の反射面である。
【0043】
図5に表すように、正反射用光出射部31が出射した光の光量は、光軸C1で最も多くなっている。そして、正反射用リフレクタ33の反射面331は、光軸C1周辺の光を反射している。つまり、反射面331は、正反射用光出射部31が出射した光の光量が最も多い方向に配置されている。このように光路で光を制限しつつも、光軸C1を含むように光路を設定することで、安定した光を原稿2に向かわせることができる。また、反射面331は、自反射面で反射した光が図3に表す原稿2の読取領域R1に到達するように、自反射面の向きが固定されている。
【0044】
反射面331により反射された光が原稿2の読取領域R1に到達すると、原稿2は、その光を反射する。この原稿で反射した光は、本発明の「原稿反射光」の一例である。この原稿反射光には正反射も拡散反射も両方含まれているが、本実施例では原稿2が正反射した光がミラー35に向かうようになっている。なお、ここでいう正反射とは、完全に入射角と反射角が一致する完全な正反射に限らず、それとほぼ同じ特性が得られるなら、多少角度がずれている場合も含むものとする。
【0045】
ミラー35は、本実施例においては、読取領域R1から見て鉛直下方に配置されている。このように配置することで、原稿2が原稿台21から浮いた場合にも対応できるようになっている。
図7は原稿2が浮いた場合を説明するための図である。図7(a)はミラー35を読取領域R1から見て鉛直下方に配置しない場合を示し、図7(b)はミラー35を読取領域R1から見て鉛直下方に配置した場合を示す。
【0046】
図7(a)のミラー35に入射する正反射光は、図7(b)のミラー35に入射する正反射光に比べて、原稿2に対する入射角度が小さいので、原稿2が浮いた場合の正反射光の光路が大きくずれ、ミラー35に入射しないことになりやすい。つまり、原稿2が浮くなどしてミラー35と原稿2との位置関係が変化しても、図7(a)の場合に比べて図7(b)の場合の方が、ミラー35において反射される正反射光の減少が抑制される。
【0047】
その一方で、鉛直下方に完全に正反射する光を受光しようとした場合には、入射する光も鉛直下方から入射する必要がある。しかしながら、構造上それはできないので、本実施例では5度ほど傾いている。完全な正反射光ではないが、ほぼ正反射光と同じよう反射特性が検出される。なお、本実施例のような5度に限らず、9度以下であればある程度正反射光と同じような画像が検出される。
【0048】
ミラー35により反射された光は、図2に表す光路B1(イメージセンサ60に至る光路)に導かれる。このように、原稿2が正反射する光については、正反射用リフレクタ33が、導光体312の出射面313から出射された光のうち正反射用リフレクタ33の反射面331に向かう光の一部を原稿2まで導く光路、すなわち、正反射用リフレクタ33に向かう光の光路と正反射用リフレクタ33で反射され原稿2まで向かう光路とを形成する。正反射用リフレクタ33は本発明の「光路部」の一例である。
【0049】
正反射用リフレクタ33により導かれ且つ原稿2で正反射した光は、ミラー35、ミラー41、ミラー42及び結像レンズ50により導かれてイメージセンサ60に到達する。イメージセンサ60は、到達した光、すなわち、原稿2で正反射した光が示す画像を生成する。以上のとおり、正反射用光出射部31が出射した光は、その一部が原稿2で正反射されて画像を示す。
【0050】
一方、拡散反射用光出射部32が出射した光は、原稿2で拡散反射されて画像を示す。拡散反射用光出射部32が有する導光体322の出射面323から出射された光は、多くは原稿2の読取領域に直接向かうが、直接向かわなかった光も原稿2に向かわせられるように拡散反射用リフレクタ34が設けられている。拡散反射光はなるべく多く受光したいので、このようにより多くの光が原稿2にいくような構成になっている。
【0051】
そのため、拡散反射用リフレクタ34の反射面341は、出射面323から拡散反射用リフレクタ34へ向かった光が原稿2の読取領域に向かうような幅をもち、原稿2の読取領域に向かう方向に反射する向きで固定されている。言い換えると、正反射用リフレクタ33は、反射面331で反射されて原稿2に到達した光のうち正反射した光が光路B1に向かわない位置に設けられている。
【0052】
そのため、原稿2に到達した光のうち拡散反射した光が図3に表すように光路B1に向かう。こうして光路B1に向かった光は、ミラー35等によってイメージセンサ60まで導かれる。以上のとおり、拡散反射用光出射部32は、自出射部が出射した光を原稿2が拡散反射した光が、正反射用光出射部31が出射して原稿2で正反射された光と共通の光路である光路B1でイメージセンサ60に導かれるよう配置されている。
【0053】
また、導光体322の出射面323から出射され原稿2の読取領域に直接向かった光も、直接向かった光が原稿で拡散反射されて光路B1に向かう。このように、原稿2の読取領域は、2つの方向から向かってきた光をそれぞれ拡散反射し、拡散反射光は前述した正反射光と共通の光路である光路B1によりイメージセンサ60に導かれる。イメージセンサ60は、到達した光、すなわち、原稿2で拡散反射した光が示す画像を生成する。
【0054】
続いて、光源311及び光源321の詳細な構成について説明する。
図8は光源311及び光源321を拡大して表す。光源311は、電子回路を支持する基板111と、光を発する発光部112と、基板111を固定する留め具113とを有する。発光部112は、例えばLEDアレイであり、基板111の下側の端114に寄せて設けられている。基板111は、端114とは反対側に設けられる留め具113によって自装置のフレームに固定されている。
【0055】
光源321は、電子回路を支持する基板211と、光を発する発光部212と、基板211を固定する留め具213とを有する。発光部212は、例えばLEDアレイであり、基板211の下側の端214に寄せて設けられている。基板211は、端214とは反対側に設けられる留め具213によって自装置のフレームに固定されている。基板111及び発光部112は、設けられている向きが異なるが、基板211及び発光部212と共通の部品として製造されたものである。
【0056】
これにより、これらが別部品である場合に比べて、部品の製造ラインが少なくなり、部品製造のコストが削減される。また、各留め具が発光部とは反対側に設けられていることで、留め具の位置が本実施例と異なる場合に比べて、発光部112及び発光部212がより近づけて配置されることになる。
【0057】
また、光源311及び光源321は、図8に表すとおり、基板111の端114及び基板211の端214を隣接させて設けられている。これにより、基板111の端114及び基板211の端214を隣接させない場合に比べて、発光部112及び発光部212を近づけて配置して、各発光部への電力供給のための配線が短くて済むようになっている。
【0058】
なお、原稿2の反射光は、正反射光及び拡散反射光の共通の光路である光路B1でイメージセンサ60に導かれるようリフレクタ及びミラー等が配置されているが、光を照射するタイミングは別々にしている。まず、画像読取部20は、拡散反射用光出射部32を点灯させて、キャリッジ30とキャリッジ40を原稿の副走査方向の端部まで移動させ、原稿2を読み取り、原稿2の拡散反射光の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。
【0059】
続けて、副走査方向の端部から元の位置にキャリッジ30とキャリッジ40を戻す際に、正反射用光出射部31を点灯させて、原稿2を読み取り、原稿2の正反射光の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。このように、本実施例においては、1つの原稿に対して、正反射した光が示す画像と、拡散反射した光が示す画像とを分けて読み取っている。プロセッサ11は、供給された2つの画像を示す画像データを用いて1つの画像を得る処理を行う。
【0060】
なお、本実施例では、読取領域R1を拡散反射用リフレクタ34と拡散反射用光出射部32で挟んだが、読取領域R1の両側に拡散反射用光出射部32を配置してもよい。なお、本実施例では導光体の形状が正反射用も拡散反射用も同じにしたが、変えてもよい。また、導光体の長手方向に垂直な方向の断面の形状はどこでも同じだが、長手方向で形状が変わっていてもよい。また、出射面が1つの平面でなく多面になっていてもよい。
【0061】
本実施例では、正反射用光出射部31が出射した光が上記のとおり正反射用リフレクタ33で、図6に表すように光量分布の範囲が狭くなった光が原稿2で正反射されてイメージセンサ60まで導かれる。正反射光を反射する原稿2の表面の領域に対して入射する光の光量分布の範囲が広すぎると、本実施例では光軸C1のようなある一定の領域、離れた領域であるその他の領域からの光の正反射光は光路B1から外れ、逆にその光の拡散反射光が光路B1に向かうようになる。
【0062】
図9は正反射光に拡散反射光が混ざる例を表す。図9(a)では、比較例として、正反射用光出射部31が出射して正反射用リフレクタ33xが反射した光の拡散反射光がイメージセンサ60に向かってしまっている状態を示す。入射角度が深い(原稿2に対してなす角度が90度に近いほど入射角度が深い)光路E11を通って原稿2に入射した光は、光路E12を通ってイメージセンサ60に向かう光との角度関係がほぼ正反射になっているが、入射角度が浅い光路E21を通って原稿2に入射した光は、正反射光が光路E22を通ってイメージセンサ60には向かわない。
【0063】
その代わり、光路E21を通って原稿2に入射した光の拡散反射光が光路E23を通ってイメージセンサ60に向かってしまう。このような場合には、イメージセンサ60は正反射光と拡散反射光の両方を同時に受光してしまうので、画像の正反射光特性を得ることができない。なお、これは、鉛直下方に反射光を向かわせないときも同様で、入射角度のばらつきを抑えないと、入射角度が大きくずれた光の拡散反射光が正反射光に混ざってしまう。
【0064】
そこで、本実施例においては、正反射用リフレクタ33の反射面331のサイズ(短手方向の長さ)を出射面313のサイズよりも小さくすることにより、原稿に向かう光の入射角度が大きく変わらないようにしている。これにより、正反射用リフレクタ33は、反射面331のサイズが出射面313のサイズよりも大きい場合に比べて、正反射用リフレクタ33のサイズを出射面原稿に向かう光の入射角度のばらつきを抑え、原稿2で反射してミラー35に向かう光(本発明の「原稿反射光」の一例)の成分のうちの正反射光成分の比率が多くなるようにしている。
【0065】
また、本実施例では、拡散反射光と正反射光の光路が共通なので、拡散反射光と正反射光の光路が異なる場合に比べて、読取装置が小型化されることになる。また、本実施例では、正反射用リフレクタ33の反射面331が、正反射用光出射部31が出射した光の光量が最も多い方向に配置されている。これにより、反射面331が別の方向に配置される場合に比べて、正反射光に光量の少ない部分が含まれやすくなることが抑制され、生成される画像の輝度が高められる。
【0066】
なお、本実施例は正反射用リフレクタ33で光を一部にすることにより、新たな部品を追加しなくてもよくなり、部品点数を抑えることができる。
【0067】
このように、正反射用光出射部31が出射した光は、正反射用リフレクタ33に到達した際に、正反射用リフレクタ33の反射面の幅が狭いため、光の一部のみが原稿方向に向かい、その他の光は、正反射用リフレクタ33の後方に抜けていき原稿方向には向かわない。つまり、照射された光のある領域のみが原稿方向に向かい、光の他の領域は原稿方向に向かわないようになっている。これは、光路の全体にフィルターなどを設けて光の特定の成分のみが原稿に向かうように調整したり、光の透過率により光の光量を低くしたりする構成とは異なる。
【0068】
[2]第2実施例
第1実施例では、正反射用リフレクタ33のサイズを小さくすることで原稿2まで導く光を制限したが、第2実施例では、スリットを用いて光を制限する。
【0069】
図10は第2実施例のキャリッジ30aを拡大して表す。キャリッジ30aは、正反射用光出射部31と、拡散反射用光出射部32と、正反射用リフレクタ33aと、拡散反射用リフレクタ34と、ミラー35と、スリット部材36を有する。正反射用光出射部31の出射面313から出射された光の一部は、図10に示すようにスリット部材36を通過して正反射用リフレクタ33に到達する。
【0070】
スリット部材36は、光を通過させるスリット361を有し、出射面313から出射された光の一部を遮断する部材である。スリット部材36は本発明の「遮断部」の一例である。また、以下では、スリット361を通過した光のことを「スリット通過光」と言う。スリット通過光の光量の分布について図11を参照して説明する。
【0071】
図11はスリット通過光の光量分布の一例を表す。図11では、導光体312の出射面313から距離L2の位置に配置されたスリット部材36と、その先の空間におけるスリット通過光の光量の分布D3が表されている。スリット部材36のスリット361の幅W3は、出射面313の短手方向A3の長さW1よりも狭くなっている。図11では、図5に表す光量の分布D1を二点鎖線で表している。
【0072】
スリット361の外側の光はスリット部材36によって遮断されるので、光量の分布D3では、分布D1と比較してスリット361の外側の光量が大幅に減少している。ただし、スリット通過光は、スリット361を通過した後もわずかに発散して光線としての幅が広がっていくためスリット361の外側にも光量が現れている。スリット部材36の配置及びサイズについて、図12を参照して詳しく説明する。
【0073】
図12はスリット部材36の周辺を拡大して表す。スリット部材36は、前述したように導光体312の出射面313から距離L2の位置に配置されている。また、スリット部材36から正反射用リフレクタ33aまでは、例えば光軸C1に沿った場合は距離L3だけ離れている。正反射用リフレクタ33aは、出射面313から出射された光を原稿2に向けて反射する反射面331aを有する部材である。
【0074】
第2実施例においては、第1実施例よりも短手方向の長さが長いリフレクタを使用している。このようにすることで、スリット部材と正反射用リフレクタ33aの位置が少しずれても、確実に正反射用リフレクタ33aに光がいくようにしている。ただしそれに限らず、例えばスリット部材や正反射用リフレクタ33aとで段階的に光の幅を狭くするようにしてもよい。
【0075】
距離L3は、図に示すとおり、距離L2よりも短い距離である。つまり、スリット部材36は、出射面313よりも正反射用リフレクタ33aの反射面331aの近くに配置されている。図6の説明で述べたようにスリット361を通過した光は発散するので、スリット部材36を上記のとおり配置することで、スリット部材36が反射面331aよりも出射面313の近くに配置されている場合に比べて、反射面331aに到達した光の光量の分布が広がらないようになっている。
【0076】
正反射用リフレクタ33aの反射面331aは、導光体312の出射面313と同様に主走査方向A1を長手とする面であり、正面から見ると長方形の形をしている。その反射面331aの短手方向A4の長さW5は、反射面331aのうちスリット通過光が到達する反射領域R2の短手方向A4の長さW4よりも長い。つまり、反射面331aは、全面でスリット通過光を反射するのではなく、面の一部の領域でスリット通過光を反射する。
【0077】
本実施例においては、正反射用リフレクタ33aは、上述した原稿反射光のうちミラー35に向かう光に拡散反射光が混ざるのを抑制している。ここでいう「ミラー35に向かう光」とは、導光体312の出射面313から出射された光のうち、スリット部材36がなかった場合に反射面331aに到達する光のみを含み、スリット部材36がなかった場合に反射面331aから外れた位置に到達する光を除く。
【0078】
本実施例では、スリット部材36により光量分布の範囲を狭くすることで、スリット部材36を備えない場合に比べて、イメージセンサ60に到達する正反射光を反射する原稿表面の領域で反射してイメージセンサ60に到達する光に拡散反射光が含まれにくくなっている。
【0079】
[3]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0080】
[3-1]リフレクタ
正反射用リフレクタ33の反射面331は実施例では平面であったが、反射面331の形状はこれに限らない。反射面331は、導光体312の出射面313から出射された光を原稿2に向けて収束光になるように反射する形状であってもよい。正反射用リフレクタ33は本発明の「反射部材」の一例である。
【0081】
収束光とは、決められた焦点に向けて収束する光のことである。焦点は原稿上に設定されてもよいし、原稿よりも奥又は手前に設定されてもよい。なお、拡散反射用リフレクタ34の反射面341も、導光体322の出射面323から出射された光を原稿2に向けて収束光になるように反射する形状であってもよい。
【0082】
図13は本変形例の正反射用リフレクタ33bを表す。正反射用リフレクタ33bは、反射面331bが凹面になっており、出射面323から出射された光を原稿2に向けて収束光になるように反射する。なお図に示した形状に限らず、凹面、多面、湾曲面などの形状が考えられる。
【0083】
また、実施例1では正反射用リフレクタ33の幅W2は、出射面313の短手方向A3の長さW1よりも半分以下の幅になるほど狭くしたが、収束光にする場合はそこまで狭くする必要はなく同じか、逆に長くなっていてもよい。本変形例によれば、例えば、出射された光を原稿2に向けて発散光になるように反射する場合に比べて、原稿2が反射する光の光量が増強されることになる。
【0084】
[3-2]遮断部
導光体312の出射面313から出射された光の一部を遮断する部材である遮断部は、第2実施例で述べたスリット部材36に限らない。例えば、スリット部材36は、導光体312と正反射用リフレクタ33との間に配置されたが、正反射用リフレクタ33と原稿2の間に配置されてもよい。
【0085】
また、出射面313に貼り付けて出射面313の一部を覆うマスキング部材が遮断部であってもよい。いずれの場合も、遮断部が原稿2に向かう光の一部を遮断して光量分布の範囲が狭くなるので、遮断部を備えない場合に比べて、イメージセンサ60に到達する正反射光を反射する原稿表面の領域で反射してイメージセンサ60に到達する光に拡散反射光が含まれにくくなっている。
【0086】
[3-3]異なる光を遮断する遮断部
上記の遮断部とは異なる光を遮断する遮断部が備えられていてもよい。
図14は本変形例のキャリッジ30cを拡大して表す。キャリッジ30cは、図3に表す各部に加えて、第2遮断部材37と、第3遮断部材38とを備える。第2遮断部材37は、拡散反射用光出射部32の出射面323と正反射用リフレクタ33の反射面331との間に設けられた板状の部材であり、出射面323から出射された光が反射面331に直接到達することを防いでいる。
【0087】
第2遮断部材37が設けられることで、拡散反射用に出射された光が正反射用の光に混ざることで読み取られた画像の画質が変化するという事象の発生が防がれる。第3遮断部材38は、正反射用光出射部31の出射面313と拡散反射用リフレクタ34の反射面341との間に設けられた板状の部材であり、第2遮断部材37と一体となるように形成されている。
【0088】
第3遮断部材38は、出射面313から出射された光が反射面341に直接到達することを防いでいる。第3遮断部材38は本発明の「第2遮断部」の一例である。第3遮断部材38が設けられることで、正反射用に出射された光が拡散反射用の光に混ざることで読み取られた画像の画質が変化するという事象の発生が防がれる。
【0089】
[3-4]入光
上記実施例では、正反射用リフレクタ33で照射部からの光を一旦反射させることで正反射用リフレクタ33からの反射光以外には原稿2の読取領域R1に入光させないようにしているが、反射を利用せず直接入光させるようにしてもよい。なお、上記実施例ではLEDが長手方向に複数設けられている例を説明したが、導光体が長手方向に伸び、その長手方向の端部にパワーLEDが設けられている構成であってもよい。また、導光体を使用せず、長手方向に複数設けられたLEDからの光を直接原稿に向けてもよい。
【0090】
[3-5]角度
上記実施例では、入射光と反射光の角度を小さく設定する例を示したが、正反射光をイメージセンサ60まで導ける角度配置になっていればよい。また、上記実施例では、拡散反射光を照射する部材(出射部及びリフレクタ)の方が正反射光を照射する部材よりも原稿に近い例を示したが、拡散反射光を照射する部材の方が原稿から遠くてもよい。その場合、例えば、正反射光の入射角度及び出射角度を例えば原稿に対して40°ずつ傾けるように配置する。このようにすることで、なるべく0°に近い角度を狙うよりも、原稿に向けた光路と原稿からの光路を距離的に離すことができるため、部品の配置が容易になる。
【0091】
特にリフレクタを使用せずに直接光を原稿に照射させ原稿と光源との間にスリットを設ける場合には、入射光と反射光に角度を持たせる構成にしないと、反射光がスリットにより遮断されやすくなり部品の配置が困難になる。また、拡散反射用の出射部を、正反射用の出射部と光路に対して同じ側に配置したが、異なる側に配置してもよい。
図15は本変形例のキャリッジ30dを拡大して表す。キャリッジ30dは、正反射用光出射部31dと、拡散反射用光出射部32dと、ミラー35dと、スリット36dとを有する。
【0092】
正反射用光出射部31dは、拡散反射用光出射部32dと光路B1dに対して異なる側に配置されている。また、拡散反射用光出射部32dは、リフレクタを使用せずに直接光を原稿2の読取領域R1に照射している。また、正反射用光出射部31d及び原稿2の間にはスリット36dが設けられている。図15の例においては、光源を読取領域R1の鉛直下方に配置する場合に比べて、読取装置の原稿2に対する鉛直方向の高さが低く抑えられる。
【0093】
[3-6]光軸について
上記実施例では、光軸C1が光路の中央に位置していたが、光軸C1を含みつつ光路の片側によせてもよいし、光軸C1を光路に含めないようにしてもよい。
図16は本変形例のキャリッジ30eを拡大して表す。キャリッジ30eは、図3に表す正反射用光出射部31eに加えて、光軸C1eが正反射用リフレクタ33eからずれた位置に向いている正反射用光出射部31eを備える。
【0094】
正反射用リフレクタ33eの反射面331eの左端領域331Lと右端領域331Rとで反射した光の光量について図17を参照して説明する。
図17は正反射用光出射部31eが出射した光の光量分布の一例を表す。図17の例では、正反射用光出射部31eから所定の距離に位置する平面を主走査方向A1に沿った方向に見た場合における光量の分布D1eがグラフに表されている。
【0095】
図17の例では、左端領域331Lでの反射光の光量と右端領域331Rでの反射光の光量とが示されており、前者の方が後者よりも多くなっている。また、光軸C1eは正反射用リフレクタ33eにおける反射光に含まれていない。なお、光軸C1eが正反射用リフレクタ33eにおける反射光に含まれるが片側(左端領域331L及び右端領域331Rのいずれか)に寄るように配置されていてもよい。
【0096】
図16の例では、正反射用リフレクタ33eが、原稿の読取領域R1まで導く光路の中で光量差が生じており、光量の多い部分(左端領域331Lで反射する光路)の方が、光量の少ない部分(右端領域331Rで反射する光路)よりも、完全な正反射に近い原稿反射光が得られる位置に配置されている。
【0097】
このように光路に光軸を含まないようにしたり片側に寄せたりした場合は、光軸を光路の中心にする場合に比べて、原稿2に向かう光に部分的に光量に差がでやすくなるので、原稿に向かう光の光路である領域のなかで、光量が多い方である左端領域331Lの方がよりちょうど正反射する角度で入射するようにして、光量が少ない右端領域331Rの方がそこから離れた角度になるようにするとなおよい。
【0098】
例えば、出射された光の一部のみが正反射用リフレクタ33eにより反射される場合は、正反射角度により近い端部を左端領域331L、正反射角度からずれ量の多い方の端部を右端領域331Rにするとよい。そのようにすることによって、正反射角度により近い端部を右端領域331Rにする場合に比べて、正反射光の比率が多くなる。
【0099】
[3-7]光出射部
光出射部の形状は実施例で述べたものに限らない。例えば、光出射部は、出射面が長方形以外の形をしていてもよい。また、出射部は、1つの面ではなく2以上の面を出射面として備えていてもよい。
【0100】
図18は本変形例の正反射用光出射部31fを表す。正反射用光出射部31fは、第1出射面313-1と、第2出射面313-2とを有し、各出射面から光をそれぞれ出射する。図18の例では、正反射用光出射部31fは、第1出射面313-1から出射した光が正反射用リフレクタ33に向かうように配置されているので、第1出射面313-1が、上記実施例の正反射用光出射部31の出射面313に相当している。つまり、正反射用リフレクタ33は、第1出射面313-1からの光の一部を反射する。
【0101】
なお、図18の構成において、第2出射面313-2から出射される光は正反射用リフレクタ33にも原稿方向に向かわない。本変形例では、第2出射面313-2から光が出射されるが、第2出射面313-2は光を出射するために作られた面ではない。なお、第2出射面313-2から出射された光が原稿方向に向かうように正反射用光出射部31fが配置されてもよい。
【0102】
また、2以上の出射面を、上記実施例の正反射用光出射部31の出射面313に相当する出射面として構成してもよい。その場合には、出射面のうちの正反射用リフレクタ33に向かう光を出射する2つの出射面からの光を、正反射用リフレクタ33などにより、光の一部のみが原稿方向に向かうようにすればよい。
【0103】
[3-8]等倍光学系
上記実施例では縮小光学系の読取装置を示したが、等倍光学系の読取装置に適用してもよい。等倍光学系は、例えばCIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)などがあり、光を発するLED光源と原稿2で反射した光が通る等倍レンズであるセルフォック(登録商標)レンズとその延長上に設けられた受光素子など一体になって構成されている。
【0104】
なお、CISの場合にはセルフォック(登録商標)レンズがあるので、上記実施例のように、入射光と反射光の角度を小さく設定することが難しい場合もある。その場合は、入射光と反射光の角度が同じになるように、例えばそれぞれ原稿に対して45°度傾いた状態となるように配置してもよい。そしてLED光源と原稿の間にスリットを設けるなどして、入射光を制限するように構成してもよい。
【0105】
[3-9]読取装置
上記実施例では、原稿台に置かれた原稿を読み取る読取装置を説明したが、これに限らず、例えば、搬送中の原稿の搬送方向に配置されたインラインセンサーなどに適用し、搬送中の用紙を原稿として読み取る読取装置に適用してもよい。上記実施例では、1つの原稿に対して、正反射用光源を点灯させる読み取りと、拡散反射用光源を点灯させる読み取りとの2回の読み取りを行った。
【0106】
これに対し、インラインセンサーの場合は、正反射用光源と拡散用光源それぞれにイメージセンサを設けて、搬送方向の違う位置で読取をしてもよいし、読み取りたいモード、例えば色度を優先して読取りたい場合には拡散反射用光源を点灯させ、光沢を優先して読取りたい場合には正反射用光源を点灯させるなど、を切り替えてもよい。また搬送中の原稿の全てを読み取らなくても、検品などで、全検品ではなくて、ある枚数間隔で拡散反射用光源と正反射用光源を切り替えたりしてもよい。
【0107】
[3-10]出力装置
画像読取装置10が読み取った結果が出力されてもよい。
図19は本変形例の画像形成装置70を表す。画像形成装置70は、図2に記載の画像読取装置10を備える。読取領域における正反射光が強ければ強いほど、その読取領域の光沢度が高くなっているので、原稿のどの位置がどの程度光沢原稿であったかが、CPUなどでの算出により求められる。この場合、拡散反射光との差分も用いてもよい。
【0108】
画像形成装置70は、その結果を反映した画像を、画像データとしてインクジェットで画像形成する。このように、画像形成装置70は、画像読取装置10で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力する。より詳細には、画像形成装置70は、画像読取装置10で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力する。なお、画像形成装置で出力する以外にも、光沢度合いにより画像を加工し、PCやタブレットの画面などの表示装置に出力してもよい。
【符号の説明】
【0109】
10…画像読取装置、20…画像読取部、21…原稿台、22…原稿カバー、30…キャリッジ、31…正反射用光出射部、32…拡散反射用光出射部、33…正反射用リフレクタ、34…拡散反射用リフレクタ、35…ミラー、36…スリット部材、37…第2遮断部材、38…第3遮断部材、40…キャリッジ、41…ミラー、42…ミラー、50…結像レンズ、60…イメージセンサ、70…画像形成装置。
図1
図2
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図19