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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】読取装置、出力装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240611BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20240611BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H04N1/04 101
H04N1/10
H04N1/028 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020089541
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184557
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 陽治
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-130444(JP,A)
【文献】特開2013-005334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/10
H04N 1/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が接する透明な原稿台と、
前記原稿台に接した原稿の読取領域には向かわない方向に光を照射するし、前記原稿で正反射させるために光を照射する正反射用照射部と、
前記正反射用照射部から照射された光を前記読取領域に向けて反射する反射部と、
前記原稿で拡散反射させるための光を照射する拡散反射用照射部と、
前記反射部により反射され且つ前記読取領域において反射された光が示す画像を生成するイメージセンサと、
前記正反射用照射部が光を出射する出射面を有し、前記出射面の前記読取領域側に前記出射面から出射された光を遮る遮断部を備え、
副走査方向において、前記正反射用照射部および前記拡散反射用照射部が前記読取領域に対して同じ側に設けられている
読取装置。
【請求項2】
前記遮断部が、前記読取領域側にのみ設けられている
請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記正反射用照射部は、光を発する光源と、前記光源が発した光を導く導光体とを有し、前記遮断部は、前記導光体の前記読取領域側に取り付けられて当該導光体を補強する 請求項1又は2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記導光体は、前記遮断部によって支持されている
請求項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記遮断部は、前記出射面の前記読取領域に向かう方向をマスキングすることで前記出射面から出射された光を遮る
請求項1に記載の読取装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の読取装置を備え、
前記読取装置で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力する
出力装置。
【請求項7】
請求項に記載の出力装置を備え、
前記読取装置で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力する
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、出力装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿からの正反射光成分を読み取るために光を照射する第2の照射手段により照射される光の原稿への入射角度が、導光手段に導かれる正反射光の主光線の反射角度に対して0度でない傾きを有する読取装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-130444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿に照射された光の正反射光をイメージセンサで読み取って画像を生成する読取装置においては、原稿の読取位置に向けて照射された光が原稿のない部分では原稿台ガラスを透過してユーザの目に入る場合がある。
そこで、本発明は、原稿の読取位置のガラスを透過した光の眩しさを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る読取装置は、原稿が接する透明な原稿台と、前記原稿台に接した原稿の読取領域には向かわない方向に光を照射する照射部と、前記照射部から照射された光を前記読取領域に向けて反射する反射部と、前記反射部により反射され且つ前記読取領域において反射された光が示す画像を生成するイメージセンサとを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る読取装置は、前記照射部は、決められた範囲に向けて光を出射する出射面を有し、前記範囲に前記読取領域が含まれないように設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る読取装置は、請求項1又は2に記載の態様において、前記照射部は、光を出射する出射面を有し、前記出射面の前記読取領域側に前記出射面から出射された光を遮る遮断部を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る読取装置は、請求項3に記載の態様において、前記読取領域に向かう方向に光を照射する第2照射部と、前記反射部により反射され且つ前記読取領域において正反射された光と、前記第2照射部により照射され且つ前記読取領域において拡散反射された光とを共に導く光路を形成する光路部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る読取装置は、請求項1から4のいずれか1項に記載の態様において、前記照射部は、光を発する光源と、前記光源が発した光を導く導光体とを有し、前記遮断部は、前記導光体の前記読取領域側に取り付けられて当該導光体を補強することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る読取装置は、請求項5に記載の態様において、前記導光体は、前記遮断部によって支持されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る読取装置は、請求項1に記載の態様において、前記照射部は、光を出射する出射面を有し、前記出射面の前記読取領域に向かう方向がマスキングされていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る出力装置は、請求項1から7のいずれか1項に記載の読取装置を備え、前記読取装置で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る画像形成装置は、請求項8に記載の出力装置を備え、前記読取装置で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、8、9に係る発明によれば、原稿の読取領域には向かう方向に光を照射する場合に比べて、原稿の読取位置のガラスを透過した光の眩しさを抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、遮断部を儲ける場合に比べて読取装置の小型化を容易にすることができる。
請求項3に係る発明によれば、照射された光が拡散する場合に原稿の読取位置のガラスを透過した光の眩しさを抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、正反射された光と拡散反射された光とで光路が異なる場合に比べて、装置を小型化することができる。
請求項5に係る発明によれば、遮断部が導光体に取り付けられていない場合に比べて、導光体の破損を抑制することができる。
請求項6に係る発明によれば、装置本体に支持させるための構造を導光体に持たせなくてもよくすることができる。
請求項7に係る発明によれば、光の出射範囲に読取領域を含めない場合に比べて、照射部の設置の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例に係る画像読取装置のハードウェア構成を表す図
図2】画像読取部の詳細な構成を表す図
図3】キャリッジを拡大して表す図
図4】変形例のキャリッジを拡大して表す
図5】変形例のキャリッジを拡大して表す
図6】変形例の正反射用光出射部を表す
図7】変形例の画像形成装置を表す
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1]実施例
図1は実施例に係る画像読取装置10のハードウェア構成を表す。画像読取装置10は、原稿に表された画像を読み取る装置である。画像読取装置10は本発明の「読取装置」の一例である。画像読取装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信部14と、UI部15(UI=User Interface)と、画像読取部20とを備える。なお、画像読取装置10は、画像読取部20のみで構成されてもよい。
【0017】
プロセッサ11は、例えば、CPU(=Central Processing Unit)等の演算装置、レジスタ及び周辺回路等を有する。メモリ12は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、RAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)等を有する。ストレージ13は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を有する。
【0018】
プロセッサ11は、RAMをワークエリアとして用いてROMやストレージ13に記憶されているプログラムを実行することで各ハードウェアの動作を制御する。通信部14は、アンテナ及び通信回路等を有し、図示せぬ通信回線を介した通信を行う。プロセッサ11が実行するプログラムは、通信部14を介して通信される外部装置から取得されてもよい。
【0019】
UI部15は、自装置を利用するユーザに対して提供されるインターフェースである。インターフェースとは、ユーザによる情報の入力を受け付け、画像読取装置10による情報の出力を行う装置である。UI部15は、例えば、表示手段であるディスプレイとディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを有するタッチスクリーンを有し、画像を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。
【0020】
画像読取部20は、光源、光学系及びイメージセンサ等を備え、光源からの光を原稿で反射させることで、原稿に表された画像を読み取る。画像読取部20は、読み取った原稿の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給された原稿画像データを用いて様々な処理(印刷処理及びファクシミリ送信処理等)を行う。
【0021】
図2は画像読取部20の詳細な構成を表す。図2では、主走査方向A1に沿った方向に見た画像読取部20が表されている。なお、図中の主走査方向A1は、紙面の手前から奥に向かう方向の矢印を表しているが、紙面の奥から手前に向かう方向も主走査方向A1というものとする。
【0022】
画像読取部20は、原稿台21と、原稿カバー22と、キャリッジ30と、キャリッジ40と、結像レンズ50と、イメージセンサ60とを備える。画像読取部20のこれらの構成は、主走査方向A1について幅がある。キャリッジ30、キャリッジ40、結像レンズ50及びイメージセンサ60は、いずれも、主走査方向A1を長手とする細長い形状をしている。なお、図中の「A2」を付した矢印が示す方向が副走査方向A2である。画像読取部20はいわゆる縮小光学系の読取装置である。
【0023】
原稿台21は、画像の読み取り対象である原稿2が接する透明なガラス板である。なお、原稿台21は、透明な板状の部材であれば、アクリル板等であってもよい。原稿カバー22は、外光を遮断するように原稿台21を覆い、原稿台21との間に原稿2を挟み込む。原稿2は、原稿台21及び原稿カバー22によって動かないように支持される。
【0024】
キャリッジ30は、原稿2を読み取るときに、決められた速度で副走査方向A2に移動する。キャリッジ30は、原稿2に光を照射する照射部を有するが、照射部については後ほど図3を参照して詳しく説明する。キャリッジ30は、ミラー35を有する。本件実施例ではキャリッジ30は上部が開口する箱型になっており、ミラー35はその内部に配置されている。なおキャリッジ30は箱型である必要はなく、空洞になっていても一体に移動できるようになっていればよい。ミラー35は、原稿2が反射した光を反射する。反射された光は、イメージセンサ60に至る光路B1に導かれる。
【0025】
キャリッジ40は、原稿2を読み取るときに、キャリッジ30の半分の速度で副走査方向A2に移動する。キャリッジ40は、ミラー41及びミラー42を内部に有する。ミラー41及び42は、ミラー35が反射した光を反射して光路B1に導く。結像レンズ50は、ミラー42が反射した光を決められた位置に結像させる。
【0026】
イメージセンサ60は、CCD(Charge Coupled Device)等の受光素子を有し、結像レンズ50により結像された光を受け、受けた光に応じた画像信号を生成する。イメージセンサ60は、生成した画像信号を図1に表すプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給された画像信号に基づき原稿2の画像データを生成する。
【0027】
図3はキャリッジ30を拡大して表す。キャリッジ30は、正反射用光出射部31と、拡散反射用光出射部32と、正反射用リフレクタ33と、拡散反射用リフレクタ34と、ミラー35とを有する。
【0028】
正反射用光出射部31は、原稿2で正反射させるための光を照射する。正反射用光出射部31は、光を出射する出射面313を有し、原稿2で拡散反射させるための光を出射面313から出射する。拡散反射用光出射部32は、原稿2で拡散反射させるための光を照射する。拡散反射用光出射部32は、光を出射する出射面323を有し、原稿2で拡散反射させるための光を出射面323から出射する。正反射用光出射部31は本発明の「照射部」の一例であり、拡散反射用光出射部32は本発明の「第2照射部」の一例である。
【0029】
正反射用光出射部31は、光源311と、導光体312とを有する。光源311は、LED(Light Emitting Diode)等の光を発する光源である。本実施例では、主走査方向A1に沿って複数のLEDが配置されている。導光体312は、内部に光を透過させる透明な部材である。導光体312は、前述した出射面313を有し、光源311からの光を出射面313に導く。出射面313は、概ね平面であるが、微細な起伏が設けられており、出射する光を拡散させる。
【0030】
本実施例では、正反射用光出射部31が、出射範囲に読取領域R1が含まれないように、出射面313の向きを調整している。具体的には、出射面の向きを読取領域R1に向けず、出射面からの直接光が読取領域R1にはいかないようにしている。例えば図3の例では、正反射用光出射部31は、光軸に沿った光路C1への光以外に、斜め上の方向に進む光路C2への光も出射しているが、光路C2は読取領域R1には向かわない光路となっている。
【0031】
正反射用光出射部31は、光路C1、C2以外にも、読取領域R1には向かわない方向に進む光路への光を出射する。これにより、正反射用光出射部31は、読取領域R1には向かわない方向にのみ光を照射することになり、読取領域R1に向かう方向にも光を照射する場合に比べて、原稿の読取位置のガラスを透過した光の眩しさが抑制される。正反射用光出射部31が照射した光は、図3に示すように正反射用リフレクタ33に到達する。
【0032】
正反射用リフレクタ33は、反射面331を有し、正反射用光出射部31が照射した光を原稿2の読取領域R1に向けて反射する。正反射用リフレクタ33は本発明の「反射部」の一例である。反射面331により反射された光が原稿2の読取領域R1に到達すると、原稿2は、その光を正反射する。原稿2が正反射した光はミラー35により反射されて、図2に表す光路B1(イメージセンサ60に至る光路)に導かれる。
【0033】
正反射用リフレクタ33により反射され且つ原稿2により正反射された光は、ミラー35、ミラー41、ミラー42及び結像レンズ50により導かれてイメージセンサ60に到達する。イメージセンサ60は、正反射用リフレクタ33により反射され且つ読取領域R1において正反射された光が示す画像を生成する。
【0034】
続いて、拡散反射された光による画像の生成に関係する構成について説明する。拡散反射用光出射部32は、光を発する光源321と、導光体322とを有する。光源321は、LED等の光を発する光源である。導光体322は、内部に光を透過させる透明な部材である。導光体322は、前述した出射面323を有し、光源321からの光を出射面323に導く。出射面323は、概ね平面であるが、微細な起伏が設けられており、出射する光を拡散させる。
【0035】
拡散反射用光出射部32が照射した光の一部は、図3に示すように拡散反射用リフレクタ34に到達する。拡散反射用リフレクタ34は、反射面341を有し、拡散反射用光出射部32が照射した光を原稿2の読取領域R1に向けて反射する。反射面341により反射された光が原稿2の読取領域R1に到達すると、原稿2は、その光を拡散反射する。原稿2が拡散反射した光はミラー35により反射されて、図2に表す光路B1(イメージセンサ60に至る光路)に導かれる。
【0036】
拡散反射用リフレクタ34により反射され且つ原稿2により拡散反射された光は、ミラー35、ミラー41、ミラー42及び結像レンズ50により導かれてイメージセンサ60に到達する。また、拡散反射用光出射部32は、原稿2の読取領域R1に直接向かう方向に光の一部を照射する。照射された光は、読取領域R1で拡散反射されて光路B1に向かう。
【0037】
つまり、拡散反射用光出射部32は、拡散反射用リフレクタ34及び読取領域R1に向けてそれぞれ光を出射する。そして、イメージセンサ60は、拡散反射用リフレクタ34により反射され且つ読取領域R1において拡散反射された光と、拡散反射用光出射部32が照射して読取領域R1に直接到達して拡散反射した光とから画像を生成する。
【0038】
言い換えると、拡散反射用光出射部32は、原稿2の読取領域R1には向かう方向の光も照射する。これに対して、正反射用光出射部31は、原稿2の読取領域R1には向かう方向の光は照射しない。図3からもわかる通り、正反射用リフレクタ33は、拡散反射用リフレクタ34よりも光を反射する幅(短手方向の長さ)が狭い。これにより、正反射用リフレクタ33及び拡散反射用リフレクタ34の幅が同じである場合に比べて、読取領域R1がある方向に向かう光の光量が減り、明るさが減るので、より眩しさが抑制される。
【0039】
また、ミラー35、ミラー41、ミラー42及び結像レンズ50は、上述したとおり、正反射用リフレクタ33により反射され且つ読取領域R1において正反射された光と、拡散反射用光出射部32により照射され且つ読取領域R1において拡散反射された光とを共に導く光路を形成する、本発明の「光路部」の一例である。これにより、正反射された光と拡散反射された光とで光路が異なる場合に比べて、読取装置の小型化が可能になる。
【0040】
また、例えば原稿カバー22を閉めないで原稿の読み取りを行う場合、原稿のサイズが小さいと読取領域R1に向けて照射される光が原稿台21を透過してユーザの目に到達することがある。その場合に、本実施例では、正反射用光出射部31が読取領域R1には向かわない方向にのみ光を照射するため、必ず一度は反射した光がユーザの目に到達することになる。
【0041】
光源が発した光とその光の反射光とを比較すると、反射光の方が光源を直接見ているわけではなく、光源が発した光に照らされた反射板の光を見ているので、光源を直接見る場合に比べて、輝度が落ちるので眩しくない。特に本実施例のように、主走査方向A1に沿って複数のLEDが配置されている場合は、直接光にしてしまうと、LED光源の1つ1つが見えてより眩しさを感じる。本実施例では、上記の場合でもユーザの目に到達する光が必ず反射光になるので、原稿の読取領域に向かう方向に光を照射する場合に比べて、原稿の読取位置のガラスを透過した光の眩しさが抑制される。
【0042】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0043】
[2-1]光照射部
光照射部の形状は実施例で述べたものに限らない。例えば、光照射部は、出射面が長方形以外の形をしていてもよい。また、光照射部は、1つの面ではなく2以上の面を出射面として備えていてもよい。また、光照射部は、導光体を有しないで光源だけを有していてもよい。
【0044】
[2-2]照射方法
正反射用光出射部31は、実施例では、出射面の向きを調整することで読取領域R1には向かわない方向にのみ光を照射したが、光の照射方法はこれに限らない。
図4は本変形例のキャリッジ30aを拡大して表す。キャリッジ30aは、正反射用光出射部31aと、拡散反射用光出射部32aと、正反射用リフレクタ33と、拡散反射用リフレクタ34と、ミラー35と、遮断部材36とを有する。
【0045】
正反射用光出射部31a及び拡散反射用光出射部32aは、図に示すように多方向に光を出射する。そのため、正反射用光出射部31aが出射した光の一部は読取領域R1方向に向かってしまう。しかし、その読取領域R1方向に向かってしまった光は、遮断部材36によって遮られる。遮断部材36の表面は、反射板より反射率が少ないが、ごく一部の遮断部材36の表面で反射された光も、読取領域R1方向以外の方向に向かうようになっている。
【0046】
正反射用光出射部31aは、出射面313aの読取領域R1側に出射面313aから出射された光を遮る遮断部材36を備える。遮断部材36は、光を透過しない板状の部材であり、本発明の「遮断部」の一例である。遮断部材36は、導光体312aの読取領域R1側に取り付けられて導光体312aを支持するとともに補強する。これにより、遮断部材36が導光体312aに取り付けられていない場合に比べて、導光体312aの破損が抑制される。また、導光体312aを例えば装置本体に支持させるための構造をその導光体312aに持たせなくてもよくなる。
【0047】
出射面313aから出射された光は、前述したように拡散するので、原稿台21に接した原稿2の読取領域R1に向かう光も含まれる。しかし、遮断部材36が出射面313aから出射された光を遮ることで、正反射用光出射部31は、読取領域R1には向かわない方向にのみ光を照射するようになっている。
【0048】
正反射用光出射部31が照射した光の一部は、図3に示すように正反射用リフレクタ33に到達する。なお、この変形例では、出射面からの光が読取領域R1方向に向かうものに遮断部材36を取り付けたが、実施例1のようなものに、導光体の出射面ではなく、側面から漏れる光が読取領域R1方向に向かわないように、遮断部材36を取り付けてもよい。
【0049】
本変形例では、正反射用光出射部31が、出射範囲に読取領域R1が含まれないように遮断部材36が設けられている。言い換えると、出射面313aから出射された光のうち、読取領域R1方向に向かう光を遮断部材36で遮断することにより、正反射用光出射部31aは読取領域R1方向に向かう光を照射しない照射部となっている。これにより、正反射用光出射部31は、読取領域R1には向かわない方向にのみ光を照射することになり、原稿の読取位置のガラスを透過した光の眩しさが抑制される。
【0050】
[2-3]遮断部
上記の変形例では、正反射用光出射部31aの出射面313aから出射された光を遮る遮断部材36が、導光体312の読取領域R1側に取り付けられていたが、これに限らない。本変形例では、例えば、正反射用光出射部の出射面313の読取領域R1に向かう方向がマスキングされていてもよい。
【0051】
図5は本変形例のキャリッジ30bを拡大して表す。キャリッジ30bは、図3に表すキャリッジ30に遮断部材36bを設けたものである。遮断部材36bは、例えば光を透過しないテープ状の部材であり、正反射用光出射部31bの出射面313bの読取領域R1に向かう方向をマスキングしている。このマスキングにより、正反射用光出射部31bは、読取領域R1には向かわない方向にのみ光を照射する。
【0052】
本変形例によれば、実施例と同様に、原稿の読取位置のガラスを透過した光の眩しさが抑制される。また、例えば上記変形例のように光の出射範囲に読取領域を含めない場合、正反射用光出射部31aの設置可能な向きが制限される。これに対し、本変形例では、光の出射範囲に読取領域が含まれてもマスキングをすればよいので、その場合に比べて、光照射部の設置の自由度が高められる。
【0053】
[2-4]光出射部
光出射部の形状は実施例で述べたものに限らない。例えば、光出射部は、出射面が長方形以外の形をしていてもよい。また、出射部は、1つの面ではなく2以上の面を出射面として備えていてもよい。
【0054】
図6は本変形例の正反射用光出射部31cを表す。正反射用光出射部31cは、第1出射面313-1と、第2出射面313-2とを有し、各出射面から光をそれぞれ出射する。図6の例では、正反射用光出射部31cは、第1出射面313-1から出射した光が正反射用リフレクタ33に向かうように配置されているので、第1出射面313-1が、上記実施例の正反射用光出射部31の出射面313に相当している。つまり、正反射用リフレクタ33は、第1出射面313-1からの光の一部を反射する。
【0055】
なお、図6の構成において、第2出射面313-2から出射される光は正反射用リフレクタ33にも原稿方向に向かわない。本変形例では、第2出射面313-2から光が出射されるが、第2出射面313-2は光を出射するために作られた面ではない。なお、第2出射面313-2から出射された光が原稿方向に向かうように正反射用光出射部31cが配置されてもよい。
【0056】
また、2以上の出射面を、上記実施例の正反射用光出射部31の出射面313に相当する出射面として構成してもよい。その場合には、出射面のうちの正反射用リフレクタ33に向かう光を出射する2つの出射面からの光を、正反射用リフレクタ33などにより、光の一部のみが原稿方向に向かうようにすればよい。
【0057】
[2-5]等倍光学系
上記実施例では縮小光学系の読取装置を示したが、等倍光学系の読取装置に適用してもよい。等倍光学系は、例えばCIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)などがあり、光を発するLED光源と原稿2で反射した光が通る等倍レンズであるセルフォック(登録商標)レンズとその延長上に設けられた受光素子など一体になって構成されている。
【0058】
なお、CISの場合にはセルフォック(登録商標)レンズがあるので、上記実施例のように、入射光と反射光の角度を小さく設定することが難しい場合もある。その場合は、入射光と反射光の角度が同じになるように、例えばそれぞれ原稿に対して45°度傾いた状態となるように配置してもよい。そしてLED光源と原稿の間にスリットを設けるなどして、入射光を制限するように構成してもよい。
【0059】
[2-6]読取装置
上記実施例では、原稿台に置かれた原稿を読み取る読取装置を説明したが、これに限らず、例えば、搬送中の原稿の搬送方向に配置されたインラインセンサーなどに適用し、搬送中の用紙を原稿として読み取る読取装置に適用してもよい。上記実施例では、1つの原稿に対して、正反射用光源を点灯させる読み取りと、拡散反射用光源を点灯させる読み取りとの2回の読み取りを行った。
【0060】
これに対し、インラインセンサーの場合は、正反射用光源と拡散用光源それぞれにイメージセンサを設けて、搬送方向の違う位置で読取をしてもよいし、読み取りたいモード、例えば色度を優先して読取りたい場合には拡散反射用光源を点灯させ、光沢を優先して読取りたい場合には正反射用光源を点灯させるなど、を切り替えてもよい。また搬送中の原稿の全てを読み取らなくても、検品などで、全検品ではなくて、ある枚数間隔で拡散反射用光源と正反射用光源を切り替えたりしてもよい。
【0061】
[2-7]出力装置
画像読取装置10が読み取った結果が出力されてもよい。
図7は本変形例の画像形成装置70を表す。画像形成装置70は、図2に記載の画像読取装置10を備える。読み取り領域における正反射光が強ければ強いほど、その読み取り領域の光沢度が高くなっているので、原稿のどの位置がどの程度光沢原稿であったかが、CPUなどでの算出により求められる。この場合、拡散反射光との差分も用いてもよい。
【0062】
画像形成装置70は、その結果を反映した画像を、画像データとしてインクジェットで画像形成する。このように、画像形成装置70は、画像読取装置10で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力する。より詳細には、画像形成装置70は、画像読取装置10で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力する。なお、画像形成装置で出力する以外にも、光沢度合いにより画像を加工し、PCやタブレットの画面などの表示装置に出力してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…画像読取装置、20…画像読取部、21…原稿台、22…原稿カバー、30…キャリッジ、31…正反射用光出射部、32…拡散反射用光照射部、33…正反射用リフレクタ、34…拡散反射用リフレクタ、35…ミラー、36、36a…遮断部材、40…キャリッジ、41…ミラー、42…ミラー、50…結像レンズ、60…イメージセンサ、70…画像形成装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7