(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】読取装置、出力装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240611BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20240611BHJP
H04N 1/028 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H04N1/04 101
H04N1/10
H04N1/028 K
(21)【出願番号】P 2020089543
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 陽治
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-130444(JP,A)
【文献】特開2004-274298(JP,A)
【文献】特開2007-108433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/10
H04N 1/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する照射部と、
前記照射部により照射された光を原稿に向けて反射する第1反射面を有する第1反射部と、
前記第1反射部により反射され且つ前記原稿で正反射した光を反射する第2反射面を有する第2反射部と、
前記第1反射部及び前記第2反射部を支持して前記第1反射面及び前記第2反射面の相対的な位置及び向きを固定する第1支持部と、
前記第1支持部の位置及び向きの少なくとも一方を調整可能に支持する第2支持部と
を備え
、
前記第1支持部は、回転軸を有し、前記第2支持部は、前記回転軸を中心に前記第1支持部を回転させる
読取装置。
【請求項2】
前記回転軸は、前記第1反射面よりも前記第2反射面の近くに設けられている
請求項
1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記第1支持部は、主走査方向の両端のうち主走査の上流側で、前記回転軸を中心に前記第1支持部を回転させる駆動部が設けられている
請求項
1又は2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記第1反射面及び前記第2反射面は、主走査方向が長手となる形状をしており、前記第1反射面は、前記第2反射面よりも短手方向の寸法が小さい
請求項1から
3のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記第2反射面を含み、原稿からイメージセンサに向かう光路を形成する光路部を備える
請求項1から
4のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項6】
光を照射する第2照射部であって、照射した光を前記原稿が拡散反射した光が前記光路部により前記イメージセンサに導かれるよう配置された第2照射部を備える
請求項
5に記載の読取装置。
【請求項7】
前記光路部は、前記第2反射部に加え、前記原稿が正反射した光及び前記原稿が拡散反射した光を共に反射する1以上の反射部を有し、当該1以上の反射部の位置及び向きが固定されている
請求項
6に記載の読取装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の読取装置を備え、
前記読取装置で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力する
出力装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の出力装置を備え、
前記読取装置で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力する
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、出力装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿からの正反射光成分の一部を読み取るために光を照射する第2の照射部により照射される光の原稿への入射角度が、導光部に導かれる正反射光の主光線の反射角度に対して0度でない傾きを有する読取装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
読取領域に向けて光を入光させる入光部と、読取領域からの反射光を導光する導光部が設けられる場合があるが、これらの相対位置が少しでもずれる正反射光を受光しようとした場合には画質が変化する。
そこで、本発明は、読取領域の前後で光を反射する反射部の位置決めを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る読取装置は、光を照射する照射部と、前記照射部により照射された光を原稿に向けて反射する第1反射面を有する第1反射部と、前記第1反射部により反射され且つ前記原稿で正反射した光を反射する第2反射面を有する第2反射部と、前記第1反射部及び前記第2反射部を支持して前記第1反射面及び前記第2反射面の相対的な位置及び向きを固定する第1支持部と、前記第1支持部の位置及び向きの少なくとも一方を調整可能に支持する第2支持部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る読取装置は、請求項1に記載の態様において、前記第1支持部は、回転軸を有し、前記第2支持部は、前記回転軸を中心に前記第1支持部を回転させることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る読取装置は、請求項2に記載の態様において、前記回転軸は、前記第1反射面よりも前記第2反射面の近くに設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る読取装置は、請求項2又は3に記載の態様において、前記第1支持部は、主走査方向の両端のうち主走査の上流側で、前記回転軸を中心に前記第1支持部を回転させる駆動部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る読取装置は、請求項1から4のいずれか1項に記載の態様において、前記第1反射面及び前記第2反射面は、主走査方向が長手となる形状をしており、前記第1反射面は、前記第2反射面よりも短手方向の寸法が小さいことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る読取装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載の態様において、前記第2反射面を含み、原稿からイメージセンサに向かう光路を形成する光路部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る読取装置は、請求項6に記載の態様において、光を照射する第2照射部であって、照射した光を前記原稿が拡散反射した光が前記光路部により前記イメージセンサに導かれるよう配置された第2照射部を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る読取装置は、請求項7に記載の態様において、前記光路部は、前記第2反射部に加え、前記原稿が正反射した光及び前記原稿が拡散反射した光を共に反射する1以上の反射部を有し、当該1以上の反射部の位置及び向きが固定されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る出力装置は、請求項1から8のいずれか1項に記載の読取装置を備え、前記読取装置で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る画像形成装置は、請求項9に記載の出力装置を備え、前記読取装置で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、9、10に係る発明によれば、第1支持部及び第2支持部を備えない場合に比べて、読取領域の前後で光を反射する反射部の位置決めを容易にすることができる。
請求項2に係る発明によれば、一度の調整作業で2つの反射面の位置又は向きを調整することができる。
請求項3に係る発明によれば、回転軸が第2反射面よりも第1反射面の近くに設けられる場合に比べて、正反射光による画像の画質の変化を大きくしつつ、光路を進む拡散反射光の成分の変化を少なくすることができる。
請求項4に係る発明によれば、どの原稿でも画像の読み取りの精度向上の恩恵が得られるようにすることができる。
請求項5に係る発明によれば、第2反射面の寸法が第1反射面の寸法よりも小さい場合に比べて、原稿の反射光の光路が公差等の原因でずれたときでも、反射光が第2反射面により反射されやすいようにすることができる。
請求項6、7に係る発明によれば、別々の光路部で反射光が導かれる場合に比べて自装置を小型化することができる。
請求項8に係る発明によれば、光路部が有する反射部が固定されていない場合に比べて、光路調整の作業を簡潔にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例に係る画像読取装置のハードウェア構成を表す図
【
図9】第1支持部材及び第2支持部材の一例を表す図
【
図13】正反射用光照射部が出射した光の光量分布の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1]実施例
図1は実施例に係る画像読取装置10のハードウェア構成を表す。画像読取装置10は、原稿に表された画像を読み取る装置である。画像読取装置10は本発明の「読取装置」の一例である。本実施例においては、画像読取装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信部14と、UI部15(UI=User Interface)と、画像形成部16と、画像読取部20とを備える。なお、画像読取装置10は、画像読取部20のみで構成されてもよい。
【0018】
プロセッサ11は、例えば、CPU(=Central Processing Unit)等の演算装置、レジスタ及び周辺回路等を有する。メモリ12は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、RAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)等を有する。ストレージ13は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を有する。
【0019】
プロセッサ11は、RAMをワークエリアとして用いてROMやストレージ13に記憶されているプログラムを実行することで各ハードウェアの動作を制御する。通信部14は、アンテナ及び通信回路等を有し、図示せぬ通信回線を介した通信を行う。プロセッサ11が実行するプログラムは、通信部14を介して通信される外部装置から取得されてもよい。
【0020】
UI部15は、自装置を利用するユーザに対して提供されるインターフェースである。インターフェースとは、ユーザによる情報の入力を受け付け、画像読取装置10による情報の出力を行う装置である。UI部15は、例えば、表示手段であるディスプレイとディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを有するタッチスクリーンを有し、画像を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける。
【0021】
画像形成部16は、用紙等の媒体に画像を形成する。画像形成部16は、本実施例では、インクジェット方式で媒体に画像を形成する。なお、画像形成の方式はこれに限らず、例えば電子写真方式でもよい。
【0022】
画像読取部20は、光源、光学系及びイメージセンサ等を備え、光源からの光を原稿で反射させることで、原稿に表された画像を読み取る。画像読取部20は、読み取った原稿の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給された原稿画像データを用いて様々な処理(印刷処理及びファクシミリ送信処理等)を行う。
【0023】
図2は画像読取部20の詳細な構成を表す。
図2では、主走査方向A1に沿った方向に見た画像読取部20が表されている。主走査方向A1は、紙面の手前から奥に向かう方向である。画像読取部20は、原稿台21と、原稿カバー22と、キャリッジ30と、キャリッジ40と、結像レンズ50と、イメージセンサ60とを備える。
【0024】
画像読取部20は、図示するこれらの構成を主走査方向A1について幅がある。キャリッジ30、キャリッジ40、結像レンズ50及びイメージセンサ60は、いずれも、主走査方向A1を長手とする細長い形状をしている。なお、図中の「A2」を付した矢印が示す方向が副走査方向A2である。画像読取部20はいわゆる縮小光学系の読取装置である。
【0025】
原稿台21は、画像の読み取り対象である原稿2を支持する透明のガラス板である。なお、原稿台21は、透明な板状の部材であれば、アクリル板等であってもよい。原稿カバー22は、外光を遮断するように原稿台21を覆い、原稿台21との間に原稿2を挟み込む。原稿2は、原稿台21及び原稿カバー22によって動かないように支持される。
【0026】
キャリッジ30は、原稿2を読み取るときに、決められた速度で副走査方向A2に移動する。キャリッジ30は、原稿2に光を照射する照射部を有するが、照射部については後ほど
図3を参照して詳しく説明する。キャリッジ30は、ミラー35を有する。本実施例ではキャリッジ30は上部が開口する箱型になっており、ミラー35はその内部に配置されている。なおキャリッジ30は箱型である必要はなく、空洞になっていても一体に移動できるようになっていればよい。ミラー35は、原稿2が反射した光を反射する。反射された光は、イメージセンサ60に至る光路B1に導かれる。
【0027】
キャリッジ40は、原稿2を読み取るときに、キャリッジ30の半分の速度で副走査方向A2に移動する。キャリッジ40は、ミラー41及びミラー42を有する。ミラー41及び42は、ミラー35が反射した光を反射して光路B1に導く。結像レンズ50は、ミラー42が反射した光を決められた位置に結像させる。
【0028】
イメージセンサ60は、CCD(Charge Coupled Device)等の受光素子を有し、結像レンズ50により結像された光を受け、受けた光に応じた画像信号を生成する。イメージセンサ60は、生成した画像信号を
図1に表すプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給された画像信号に基づき原稿2の画像データを生成する。
【0029】
図3はキャリッジ30を拡大して表す。キャリッジ30は、正反射用光照射部31と、拡散反射用光照射部32と、正反射用リフレクタ33と、拡散反射用リフレクタ34と、ミラー35と、第1支持部材36と、第2支持部材37と、第3支持部材38とを有する。
【0030】
正反射用光照射部31は、原稿2で正反射させるための光を照射する。正反射用光照射部31は、光を出射する出射面313を有し、原稿2で反射させるための光を出射面313から出射する。拡散反射用光照射部32は、原稿2で拡散反射させるための光を照射する。拡散反射用光照射部32は、光を出射する出射面323を有し、原稿2で反射させるための光を出射面323から出射する。正反射用光照射部31は本発明の「照射部」の一例であり、拡散反射用光照射部32は本発明の「第2照射部」の一例である。
【0031】
正反射用光照射部31は、光源311と、導光体312とを有する。光源311は、LED(Light Emitting Diode)等の光を発する光源である。導光体312は、内部に光を透過させる透明な部材である。導光体312は、前述した出射面313を有し、光源311からの光を出射面313に導く。出射面313は、概ね平面であるが、微細な起伏が設けられており、出射する光を拡散させる。
【0032】
拡散反射用光照射部32は、光源321と、導光体322とを有する。光源321は、LED等の光を発する光源である。導光体322は、内部に光を透過させる透明な部材である。導光体322は、前述した出射面323を有し、光源321からの光を出射面323に導く。出射面323は、概ね平面であるが、微細な起伏が設けられており、出射する光を拡散させる。拡散反射用光照射部32は、構造自体は、正反射用光照射部31と同様となっている。
【0033】
出射面313から出射された光の一部は、
図3に示すように正反射用リフレクタ33に到達する。
図4は正反射用リフレクタ33の周辺を拡大して表す。正反射用リフレクタ33は、出射面313から出射された光を原稿2の読取領域R1に向けて反射し、正反射用の光、つまり原稿で反射した光のうち原稿からイメージセンサに向かう光が正反射光となるような角度で入射する光、言い換えると原稿2により正反射される光を読取領域R1に向け照射する反射面331を有する部材である。
【0034】
正反射用リフレクタ33は本発明の「第1反射部」の一例であり、反射面331は本発明の「第1反射面」の一例である。反射面331は、本実施例では、平面の形をしている。正反射用光照射部31の導光体312が有する出射面313は、短手方向A3の寸法が寸法W1となる大きさで形成されている。短手方向A3とは、出射面313の長手方向(=主走査方向A1に沿った方向)に直交し且つ出射面313に沿った方向である。
【0035】
図5は正面から見た反射面331を表す。正反射用リフレクタ33の反射面331は、図に表すとおり、導光体312の出射面313と同様に主走査方向A1を長手とする面であり、正面から見ると長方形の形をしている。反射面331は、短手方向A4の寸法が寸法W3となる大きさで形成されている。短手方向A4とは、反射面331の長手方向(=主走査方向A1に沿った方向)に直交し且つ反射面331に沿った方向である。
【0036】
一方、導光体322の出射面323から出射された光の一部は、
図3に示すように拡散反射用リフレクタ34に到達する。
図6は拡散反射用リフレクタ34の周辺を拡大して表す。拡散反射用リフレクタ34は、出射面323から出射された光を原稿2の読取領域R1に向けて反射し、拡散反射用の光、言い換えると、原稿2により拡散反射される光を読取領域R1に向け照射する反射面341を有する部材である。
【0037】
図7は正面から見た反射面341を表す。拡散反射用リフレクタ34の反射面341は、図に表すとおり、導光体322の出射面323と同様に主走査方向A1を長手とする面であり、正面から見ると長方形の形をしている。反射面341は、短手方向A5の寸法が寸法W4となる大きさで形成されている。短手方向A5とは、反射面341の長手方向(=主走査方向A1に沿った方向)に直交し且つ反射面341に沿った方向である。
【0038】
なお、拡散反射用光照射部32の導光体322が有する出射面323は、短手方向A4の寸法が寸法W2となる大きさで形成されている。短手方向A4とは、出射面323の長手方向(=主走査方向A1に沿った方向)に直交し且つ出射面323に沿った方向である。
【0039】
反射面331により反射された光が原稿2の読取領域R1に到達すると、原稿2は、その光の一部を正反射する。原稿2が正反射した光は、
図2に表すミラー35に到達する。ミラー35は、正反射用リフレクタ33により反射され且つ原稿2で正反射した光を反射する反射面351を有する。ミラー35は本発明の「第2反射部」の一例であり、反射面351は本発明の「第2反射面」の一例である。
【0040】
ここで、本実施例においてミラー35はR1から見てほぼ鉛直下方に配置されている。このように配置することで、例え原稿2が浮いたりしてしまった場合にも対応できるようになっている。このようにミラー35を鉛直下方に配置した場合は、ミラー35に完全に正反射する光を受光しようとした場合には、入射する光も鉛直下方から入射する必要がある。
【0041】
しかしながら、構造上それはできないので、本実施例では入射する光、すなわち正反射用リフレクタ33とR1の角度は5度ほど傾いている。完全な正反射光ではないが、ほぼ正反射光と同じよう反射特性を検出できる。なお、本実施例のような5度に限らず、9度以下であればある程度正反射光と同じような画像を検出できる。
【0042】
図8は正面から見た反射面351を表す。ミラー35の反射面351は、図に表すとおり、主走査方向A1を長手とする面であり、正面から見ると長方形の形をしている。反射面351は、短手方向A6の寸法が寸法W5となる大きさで形成されている。短手方向A6とは、反射面351の長手方向(=主走査方向A1に沿った方向)に直交し且つ反射面351に沿った方向である。
【0043】
寸法W5は、正反射用リフレクタ33の反射面331の短手方向A4の寸法W3よりも大きい。このように寸法を大きくすることで、寸法W5が寸法W3よりも小さい場合に比べて、原稿2の反射光の光路B1が公差等の原因でずれたときでも、反射光が反射面331により反射されやすくなる。なお、寸法W3は寸法W5より小さいだけなく、寸法W4よりも小さい。更に寸法W3は寸法W1よりも小さい。一方、寸法W4は寸法W2よりも大きい。本実施例では、寸法W1と寸法W2は同じである。具体的には、寸法W1が4.5mmに対し、寸法W3は2mmとなっている。
【0044】
ミラー35により反射された光は、
図2に表すミラー41、ミラー42及び結像レンズ50により導かれて、イメージセンサ60に到達する。ミラー35、ミラー41、ミラー42及び結像レンズ50は、ミラー35の反射面351により反射された光を導く
図2に表す光路B1を形成する光路部3として機能する。イメージセンサ60は、光路部3により導かれた光が示す画像を生成する。ミラー35の寸法W5に対応するミラー41、ミラー42の寸法も寸法W3に対して倍以上の大きさになっている。
【0045】
一方、拡散反射用光照射部32が出射した光は、その一部が原稿2により反射されて画像を示す。拡散反射用光照射部32が有する導光体322の出射面323から出射された光の一部は、拡散反射用リフレクタ34に向かう。拡散反射用リフレクタ34の反射面341は、拡散反射用光照射部32により照射された光を原稿2の読取領域R1に向けて反射する。
【0046】
また、拡散反射用リフレクタ34は、反射面341により反射されて原稿2に到達した光のうち原稿2により正反射された光が光路B1に向かわない位置に設けられている。そのため、反射面331で反射されて原稿2に到達した光のうち拡散反射された光の一部が
図3に表すように光路B1に向かう。こうして光路B1に向かった光は、光路部3により導かれて、
図2に表す光路B1を通ってイメージセンサ60に到達する。
【0047】
このように、拡散反射用光照射部32は、照射した光を原稿2が拡散反射した光が光路部3によりイメージセンサ60に導かれるよう配置されている。つまり、光路部3は、原稿2が正反射した光及び原稿2が拡散反射した光を共に導く1以上の光学系の部材、すなわち、
図2に表すミラー41、ミラー42及び結像レンズ50を有する。本実施例では、このように正反射光も拡散反射光も光路部3によってイメージセンサ60に導かれるので、別々の光路部で導かれる場合に比べて自装置(画像読取装置10)の小型化がなされる。
【0048】
なお、共通の光路である光路B1でイメージセンサ60に導かれるよう配置されているが、光を照射するタイミングは別々にしている。まず、画像読取部20は、拡散反射用光照射部32を点灯させて、キャリッジ30とキャリッジ40を原稿の副走査方向の端部まで移動させ、原稿を読み取り、原稿の拡散反射光の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。
【0049】
続けて、副走査方向の端部から元の位置にキャリッジ30とキャリッジ40を戻す際に、正反射用光照射部31を点灯させて、原稿を読み取り、原稿の正反射光の画像を示す原稿画像データをプロセッサ11に供給する。このように、本実施例においては、1つの原稿に対して、正反射した光が示す画像と、拡散反射した光が示す画像とを分けて読取っている。プロセッサ11に供給された2つの画像を画像データを用いて1つの画像をえる処理を行う。
【0050】
イメージセンサ60は、到達した光、すなわち、原稿2により拡散反射された光により示される画像を生成する。以上のとおり、イメージセンサ60は、読取領域R1で正反射される光及び拡散反射される光のいずれからも画像を生成する。
【0051】
また、導光体322の出射面323から出射された光の一部は、原稿2の読取領域R1に直接向かい、拡散反射されてさらに一部の光が光路B1に向かう。つまり、拡散反射用光照射部32は、拡散反射用リフレクタ34及び読取領域R1に向けてそれぞれ光を出射する。イメージセンサ60は、拡散反射用光照射部32が出射して読取領域R1に直接到達して拡散反射した光からも画像を生成する。
【0052】
第1支持部材36は、正反射用リフレクタ33及びミラー35を支持して反射面331及び反射面351の相対的な位置及び向きを固定する部材である。第2支持部材37は、第1支持部材36を、その第1支持部材36の位置及び向きの少なくとも一方を調整可能に支持する部材である。第1支持部材36は本発明の「第1支持部」の一例であり、第2支持部材37は本発明の「第2支持部」の一例である。
【0053】
図9は第1支持部材36及び第2支持部材37の一例を表す。
図9(a)ではミラー35の短手方向A6から見た第1支持部材36、第2支持部材37、正反射用リフレクタ33及びミラー35が表されている。
【0054】
第1支持部材36は、主走査方向A1の下流側に設けられた板状の第1部材36-1及び主走査方向A1の上流側に設けられた板状の第2部材36-2を有する。第1部材36-1には正反射用リフレクタ33及びミラー35の主走査方向A1の下流側の端が固定され、第2部材36-2には正反射用リフレクタ33及びミラー35の主走査方向A1の上流側の端が固定されている。第1部材36-1及び第2部材36-2は、いずれも第1回転軸361を有する。
【0055】
第2支持部材37は、第1回転軸361を介して第1支持部材36を回転可能に支持し、第1回転軸361を中心に第1支持部材36を回転させる。第2支持部材37は、主走査方向A1の下流側に設けられた第1部材37-1と、主走査方向A1の上流側に設けられた板状の第2部材37-2と、駆動部37-3とを有する。第1部材37-1は、第1部材36-1に設けられた第1回転軸361を回転可能に支持している。
【0056】
第2部材37-2は、第2部材36-2に設けられた第1回転軸361を回転可能に支持している。駆動部37-3は、例えばステッピングモータ等を有し、第2部材37-2が支持する第1回転軸361を指定された角度だけ回転させる。駆動部37-3に対する回転角度の指定は、例えば画像読取装置10に接続された外部のコンピュータ(例えばノートパソコン等)から行われる。
【0057】
図9(b)では主走査方向A1の下流側から見た第1部材36-1及び第1部材37-1が表され、
図9(c)では主走査方向A1の上流側から見た第2部材36-2、第2部材37-2及び駆動部37-3が表されている。第1部材36-1は、前述した第1回転軸361に加え、第2回転軸362と、第3回転軸363とを有する。第1部材36-1は、第1部材37-1により第1回転軸361を介して回転可能に支持されている。
【0058】
また、第1部材36-1は、第2回転軸362によって、正反射用リフレクタ33の主走査方向A1の一方の端(主走査方向A1の下流側の端)を回転可能に支持している。また、第1部材36-1は、第3回転軸363によって、ミラー35の主走査方向A1の一方の端(主走査方向A1の下流側の端)を回転可能に支持している。第2回転軸362及び第3回転軸363は、例えば専用の治具を取り付けて作業すると回転するようになっている。
【0059】
第2部材36-2は、第2部材37-2により第1回転軸361を介して回転可能に支持されており、駆動部37-3から駆動力が伝達されると第1回転軸361を中心に回転する。以上のとおり、駆動部37-3の駆動力により第1支持部材36自体を回転させることで、一度の調整作業で2つの反射面、正反射用リフレクタ33の反射面331及びミラー35の反射面351の相対関係が保たれたまま、光路や原稿に対する位置又は向きが調整される。
【0060】
本実施例では、読取領域R1からミラー35までの光路が鉛直下方になるように調整した。このようにミラー35を調整するさいに、既にミラー35と正反射用リフレクタ33の相対位置がでているので正反射用リフレクタ33から入射した光がミラー35に確実に入射する。特に本実施例のように正反射用リフレクタ33が小さい場合には、このように構成していないと、原稿で正反射した光がミラー35のない位置に進む可能性があり、光が検出されなくなる。
【0061】
また、以上のとおり、第1支持部材36は、主走査方向A1の両端のうち主走査方向A1の上流側にのみ、第1回転軸361を中心に第1支持部材36を回転させる駆動部37-3が設けられている。第1支持部材36により支持された正反射用リフレクタ33及びミラー35については、駆動部37-3が設けられている主走査方向A1の上流側の方が下流側に比べて位置決めの精度が高くなりやすい。
【0062】
原稿は、原稿台21の主走査方向A1の上流側の端に合わせて固定される。そのため、原稿台21の主走査方向A1の上流側の端では、どのようなサイズの原稿であっても必ず画像の読み取りが発生する。一方、原稿台21の主走査方向A1の下流側の端では、原稿のサイズが小さければ画像の読み取りが発生しない。本実施例では、駆動部37-3を上記のとおり主走査方向A1の上流側に設けることで、どの原稿でも画像の読み取りの精度向上の恩恵が得られるようになっている。
【0063】
また、第1部材36-1及び第2部材36-2のいずれにおいても、第1回転軸361は、正反射用リフレクタ33の反射面331よりもミラー35の反射面351の近くに設けられている。そのため、例えば第1支持部材36が第1回転軸361を中心に回転した場合、正反射用リフレクタ33に比べてミラー35の方が移動する距離が短くなり、ミラー35に比べて正反射用リフレクタ33の方が移動する距離が長くなる。
【0064】
その結果、第1回転軸361が反射面351よりも反射面331の近くに設けられる場合に比べて、正反射用リフレクタ33の移動量が多いため正反射光による画像の画質の変化が大きくなり、また、ミラー35の移動量が少ないため光路B1を進む拡散反射光の成分の変化が小さくなる。ここでいう成分とは、例えば反射光の光束における光量の分布で表される。なお、拡散反射光はあらゆる方向に発せられているため、元々、正反射光に比べると、ミラー35が移動したときの成分の変化が小さい。
【0065】
また、第2部材36-2は、固定具364、固定具365、固定具366及び固定具367を有する。各固定具は、例えばねじ型の道具であり、第2部材36-2を貫通して突き出た部分が正反射用リフレクタ33又はミラー35に接触してそれらを固定する。固定具364及び固定具365は、正反射用リフレクタ33の主走査方向A1の上流側の端を固定している。固定具366及び固定具367は、ミラー35の主走査方向A1の上流側の端を固定している。
【0066】
このように、第1支持部材36は、正反射用リフレクタ33及びミラー35を、主走査方向A1の一方の端(主走査方向A1の下流側の端)を回転可能に支持し、他方の端(主走査方向A1の上流側の端)の2以上の箇所に接触することで固定する。これにより、正反射用リフレクタ33又はミラー35の長手方向の端のうち回転可能に支持された一方の端に対する作業だけで各々の反射面の向きが変更される。
【0067】
原稿は、原稿台21の主走査方向A1の上流側の端に合わせて固定される。そのため、原稿台21の主走査方向A1の上流側の端では、どのようなサイズの原稿であっても必ず画像の読み取りが発生する。一方、原稿台21の主走査方向A1の下流側の端では、原稿のサイズが小さければ画像の読み取りが発生しない。
【0068】
また、前述したように2以上の箇所に接触して正反射用リフレクタ33及びミラー35を固定すると、1箇所に接触して固定するよりも位置決めの精度が高められる。本実施例では、必ず画像の読み取りが発生する主走査方向A1の上流側の端において2以上の箇所に接触して正反射用リフレクタ33及びミラー35を固定することで、どの原稿でも画像の読み取りの精度向上の恩恵が得られるようになっている。
【0069】
第3支持部材38は、拡散反射用リフレクタ34を支持する部材である。
図10は第3支持部材38の一例を表す。
図10では第3支持部材38及び拡散反射用リフレクタ34が表されている。第3支持部材38は、回転軸381を有する。第3支持部材38は、回転軸381によって、自装置(画像読取装置10)の筐体に回転可能に支持されている。第3支持部材38を回転させることで拡散反射用リフレクタ34の向きが調整される。
【0070】
また、回転軸381の筐体への取り付け位置が調整可能になっており、それにより拡散反射用リフレクタ34とミラー35との相対的な位置関係が調整される。以上のとおり、拡散反射用リフレクタ34は、正反射用リフレクタ33及びミラー35とは別の部材によって支持されることで、正反射用リフレクタ33及びミラー35とは別に位置及び向きが調整される。
【0071】
一方、正反射用リフレクタ33は、ミラー35とは同じ部材である第1支持部材36によって支持されている。これにより、読取領域R1の前後で光を反射する反射部である正反射用リフレクタ33及びミラー35の相対的な位置関係を維持したままそれらの反射部の読取領域R1に対する位置及び向きが調整されることになり、その相対的な位置関係を調整する必要がないので、それらの反射部の位置決めが容易になっている。
【0072】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0073】
[2-1]ミラーの位置
調整上記実施例では、読取領域R1からミラー35に向け鉛直下方に光が進むように調整したがこれに限らない。ここで、正反射用リフレクタ33とミラー35の角度を変えると、主に正反射光が得られるという点では変わらないが、実際には正反射用リフレクタ33から読取領域R1への光が入射する入射角と読取領域R1からミラー35に向けて光が反射する反射角が変化するため、反射光に含まれる正反射光の割合が変化する。
【0074】
正反射光の割合が変化すると、それを元に出力される画質も変化する。そこで、その性質を利用して、例えば、出力画像に対する正反射成分の影響を強くしたい場合には、より入射角と反射角が同じになるように調整してもよい。また、逆に正反射部分が多い原稿で少し正反射光の影響を抑えたい場合に、少し入射角と反射角の差がでて、正反射光が少なくなるようにしてもよい。
【0075】
このように得たい原稿の状態によって調整するだけなく、これらを組み合わせてもよい。例えば、ブック原稿を読み込む際には、駆動部で読取領域R1からミラー35に向け鉛直下方に光が進むように調整し、光沢原稿を読み込む際には、駆動部で入射角と反射角が同じになるように調整してもよい。
【0076】
[2-2]リフレクタ
拡散反射光用の正反射用リフレクタ33の反射面331及び正反射光用の拡散反射用リフレクタ34の反射面341は実施例では平面であったが、これに限らない。例えば反射面331は、導光体312の出射面313から出射された光を原稿2に向けて収束光になるように反射する形状(通常は凹面の形状)であってもよい。
【0077】
収束光とは、決められた焦点に向けて収束する光のことである。焦点は原稿上に設定されてもよいし、原稿よりも奥又は手前に設定されてもよい。また、反射面331は、導光体312の出射面313から出射された光を原稿2に向けて発散光になるように反射する形状(通常は凸面の形状)であってもよい。発散光とは、決められた焦点に向けて収束せずに広がっていく光のことである。また、拡散反射用リフレクタ34の反射面341も、凹面であっても凸面であってもよい。
【0078】
[2-3]入光
上記実施例では、正反射用リフレクタ33で照射部からの光を一旦反射させることで正反射用リフレクタ33からの反射光以外には原稿2の読取領域R1に入光させないようにしているが、反射を利用せず直接入光させるようにしてもよい。なお、上記実施例ではLEDが長手方向に複数設けられている例を説明したが、導光体が長手方向に伸び、その長手方向の端部にパワーLEDが設けられている構成であってもよい。また、導光体を使用せず、長手方向に複数設けられたLEDからの光を直接原稿に向けてもよい。
【0079】
[2-4]角度
上記実施例では、入射光と反射光の角度を小さく設定する例を示したが、正反射光をイメージセンサ60まで導ける角度配置になっていればよい。また、上記実施例では、拡散反射光を照射する部材(照射部及びリフレクタ)の方が正反射光を照射する部材よりも原稿に近い例を示したが、拡散反射光を照射する部材の方が原稿から遠くてもよい。その場合、例えば、正反射光の入射角度及び出射角度を例えば原稿に対して40°ずつ傾けるように配置する。このようにすることで、なるべく0°に近い角度を狙うよりも、原稿に向けた光路と原稿からの光路を距離的に離すことができるため、部品の配置が容易になる。
【0080】
また、拡散反射用の照射部を、正反射用の照射部と光路に対して同じ側に配置したが、異なる側に配置してもよい。
図11は本変形例のキャリッジ30aを拡大して表す。キャリッジ30aは、正反射用光照射部31aと、拡散反射用光照射部32aと、正反射用リフレクタ33aと、ミラー35aとを有する。
【0081】
正反射用光照射部31aは、拡散反射用光照射部32aと光路B1aに対して異なる側に配置されている。正反射用光照射部31aが出射した光は、正反射用リフレクタ33aに反射して読取領域R1に入射する。また、拡散反射用光照射部32aは、リフレクタを使用せずに直接光を原稿2の読取領域R1に照射している。
図14の例においては、光源を読取領域R1の鉛直下方に配置する場合に比べて、読取装置の原稿2に対する鉛直方向の高さが低く抑えられる。
【0082】
[2-5]光軸について
上記実施例では、光軸C1が光路の中央に位置していたが、光軸C1を含みつつ光路の片側に寄せてもよいし、光軸C1を光路に含めないようにしてもよい。
図12は本変形例のキャリッジ30bを拡大して表す。キャリッジ30bは、
図3に表す正反射用光照射部31bに加えて、光軸C1bが正反射用リフレクタ33bからずれた位置に向いている正反射用光照射部31bを備える。
【0083】
正反射用リフレクタ33bの反射面331bの左端領域331Lと右端領域331Rとで反射した光の光量について
図13を参照して説明する。
図13は正反射用光照射部31bが出射した光の光量分布の一例を表す。
図13の例では、正反射用光照射部31bから所定の距離に位置する平面を主走査方向A1に沿った方向に見た場合における光量の分布D1bがグラフに表されている。
【0084】
図13の例では、左端領域331Lでの反射光の光量と右端領域331Rでの反射光の光量とが示されており、前者の方が後者よりも多くなっている。また、光軸C1bは正反射用リフレクタ33bにおける反射光に含まれていない。なお、光軸C1bが正反射用リフレクタ33bにおける反射光に含まれるが片側(左端領域331L及び右端領域331Rのいずれか)に寄るように配置されていてもよい。
【0085】
図12の例では、正反射用リフレクタ33bが、原稿の読取領域R1まで導く光路の中で光量差が生じており、光量の多い部分(左端領域331Lで反射する光路)の方が、光量の少ない部分(右端領域331Rで反射する光路)よりも、完全な正反射に近い原稿反射光が得られる位置に配置されている。
【0086】
このように光路に光軸を含まないようにしたり片側に寄せたりした場合は、光軸を光路の中心にする場合に比べて、原稿2に向かう光に部分的に光量に差がでやすくなるので、原稿に向かう光の光路である領域のなかで、光量が多い方である左端領域331Lの方がよりちょうど正反射する角度で入射するようにして、光量が少ない右端領域331Rの方がそこから離れた角度になるようにするとなおよい。
【0087】
例えば、出射された光の一部のみが正反射用リフレクタ33bにより反射される場合は、正反射角度により近い端部を左端領域331L、正反射角度からずれ量の多い方の端部を右端領域331Rにするとよい。そのようにすることによって、正反射角度により近い端部を右端領域331Rにする場合に比べて、正反射光の比率が多くなる。
【0088】
[2-6]光照射部
光照射部の形状は実施例で述べたものに限らない。例えば、光照射部は、出射面が長方形以外の形をしていてもよい。また、光照射部は、1つの面ではなく2以上の面を出射面として備えていてもよい。
【0089】
図14は本変形例の正反射用光照射部31cを表す。正反射用光照射部31cは、第1出射面313-1と、第2出射面313-2とを有し、各出射面から光をそれぞれ出射する。
図14の例では、正反射用光照射部31cは、第1出射面313-1から出射した光が正反射用リフレクタ33に向かうように配置されているので、第1出射面313-1が、上記実施例の正反射用光照射部31の出射面313に相当している。つまり、正反射用リフレクタ33は、第1出射面313-1からの光の一部を反射する。
【0090】
なお、
図14の構成において、第2出射面313-2から出射される光は正反射用リフレクタ33にも原稿方向に向かわない。本変形例では、第2出射面313-2から光が出射されるが、第2出射面313-2は光を出射するために作られた面ではない。なお、第2出射面313-2から出射された光が原稿方向に向かうように正反射用光照射部31cが配置されてもよい。
【0091】
また、2以上の出射面を、上記実施例の正反射用光照射部31の出射面313に相当する出射面として構成してもよい。その場合には、出射面のうちの正反射用リフレクタ33に向かう光を出射する2つの出射面からの光を、正反射用リフレクタ33などにより、光の一部のみが原稿方向に向かうようにすればよい。
【0092】
[2-7]等倍光学系
上記実施例では縮小光学系の読取装置を示したが、等倍光学系の読取装置に適用してもよい。等倍光学系は、例えばCIS(Contact Image Sensor:密着型イメージセンサ)などがあり、光を発するLED光源と原稿2で反射した光が通る等倍レンズであるセルフォック(登録商標)レンズとその延長上に設けられた受光素子など一体になって構成されている。
【0093】
なお、CISの場合にはセルフォック(登録商標)レンズがあるので、上記実施例のように、入射光と反射光の角度を小さく設定することが難しい場合もある。その場合は、入射光と反射光の角度が同じになるように、例えばそれぞれ原稿に対して45°度傾いた状態となるように配置してもよい。そしてLED光源と原稿の間にスリットを設けるなどして、入射光を制限するように構成してもよい。
【0094】
[2-8]読取装置
上記実施例では、原稿台に置かれた原稿を読み取る読取装置を説明したが、これに限らず、例えば、搬送中の原稿の搬送方向に配置されたインラインセンサーなどに適用し、搬送中の用紙を原稿として読み取る読取装置に適用してもよい。上記実施例では、1つの原稿に対して、正反射用光源を点灯させる読み取りと、拡散反射用光源を点灯させる読み取りとの2回の読み取りを行った。
【0095】
これに対し、インラインセンサーの場合は、正反射用光源と拡散用光源それぞれにイメージセンサを設けて、搬送方向の違う位置で読取をしてもよいし、読み取りたいモード、例えば色度を優先して読取りたい場合には拡散反射用光源を点灯させ、光沢を優先して読取りたい場合には正反射用光源を点灯させるなど、を切り替えてもよい。また搬送中の原稿の全てを読み取らなくても、検品などで、全検品ではなくて、ある枚数間隔で拡散反射用光源と正反射用光源を切り替えたりしてもよい。
【0096】
[2-9]出力装置
画像読取装置10が読み取った結果が出力されてもよい。
図15は本変形例の画像形成装置70を表す。画像形成装置70は、
図2に記載の画像読取装置10を備える。読取領域における正反射光が強ければ強いほど、その読取領域の光沢度が高くなっているので、原稿のどの位置がどの程度光沢原稿であったかが、CPUなどでの算出により求められる。この場合、拡散反射光との差分も用いてもよい。
【0097】
画像形成装置70は、その結果を反映した画像を、画像データとしてインクジェットで画像形成する。このように、画像形成装置70は、画像読取装置10で読み取った正反射光に基づいて正反射度合いを出力する。より詳細には、画像形成装置70は、画像読取装置10で読み取った正反射度合いに基づいて形成した画像を出力する。なお、画像形成装置で出力する以外にも、光沢度合いにより画像を加工し、PCやタブレットの画面などの表示装置に出力してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10…画像読取装置、20…画像読取部、21…原稿台、22…原稿カバー、30…キャリッジ、31…正反射用光照射部、32…拡散反射用光照射部、33…正反射用リフレクタ、34…拡散反射用リフレクタ、35…ミラー、36…第1支持部材、37…第2支持部材、40…キャリッジ、41…ミラー、42…ミラー、50…結像レンズ、60…イメージセンサ、70…画像形成装置。