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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】画像形成装置及び媒体検出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/10 20060101AFI20240611BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240611BHJP
   B41J 19/18 20060101ALI20240611BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240611BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B41J15/10
B41J2/01 303
B41J2/01 451
B41J19/18
B41J29/00 U
B65H7/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020097034
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021187655
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】平田 勝
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-069657(JP,A)
【文献】特開2006-272700(JP,A)
【文献】特開2015-016963(JP,A)
【文献】特開2016-215590(JP,A)
【文献】特開2007-230721(JP,A)
【文献】特開平06-135083(JP,A)
【文献】特開2007-245626(JP,A)
【文献】特開2020-044792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/10
B41J 2/01 - 2/215
B41J 29/00
B41J 19/18
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動処理部と、
(b)キャリッジを第1のキャリッジ速度で移動させ、記録媒体のメディア幅を算出するメディア幅算出処理部と、
(c)キャリッジを、前記第1のキャリッジ速度、又は前記メディア幅に基づいて算出した第2のキャリッジ速度で移動させ、キャリッジに配設されたセンシング用の媒体検出部によって記録媒体のセンシングを行うセンシング処理部と、
(d)前記センシング用の媒体検出部のセンサ出力に基づいて記録媒体を特定する記録媒体特定処理部とを有するとともに、
(e)前記センシング処理部は、記録媒体のメディア幅が所定の値より小さい場合に、第1のキャリッジ速度より低い第2のキャリッジ速度でキャリッジを移動させて記録媒体のセンシングを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
(a)前記メディア幅算出処理部がメディア幅を算出する際に、キャリッジが第1の方向に移動させられ、
(b)前記センシング処理部が記録媒体のセンシングを行う際に、キャリッジが第2の方向に移動させられる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記メディア幅算出処理部は、キャリッジに配設されたエッジ検出用の媒体検出部によって検出された記録媒体のエッジに基づいてメディア幅を算出する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記センシング処理部は、前記メディア幅、記録媒体を特定するのに必要な、前記センシング用の媒体検出部のセンサ出力の数を表す必要サンプリング数、及びサンプリング周期に基づいて前記第2のキャリッジ速度を算出する請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体特定処理部は、前記センシング用の媒体検出部のセンサ出力の出力電圧の周波数解析を行うことによって記録媒体を特定する請求項1~のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
(a)キャリッジを第1のキャリッジ速度で移動させ、記録媒体のメディア幅を算出し、
(b)キャリッジを、前記第1のキャリッジ速度、又は前記メディア幅に応じて算出された第2のキャリッジ速度で移動させ、キャリッジに配設されたセンシング用の媒体検出部によって記録媒体のセンシングを行い、
(c)前記センシング用の媒体検出部のセンサ出力に基づいて記録媒体を特定するとともに、
(d)前記キャリッジは、記録媒体のメディア幅が所定の値より小さい場合に、第1のキャリッジ速度より低い第2のキャリッジ速度で移動させられることを特徴とする媒体検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び媒体検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、インクジェットプリンタにおいては、キャリッジがレールに沿って移動させられ、キャリッジに搭載された複数の記録ヘッドから各色のインクが吐出され、媒体としての記録媒体に付着させられることによって、文字、イメージ等のカラーの画像が形成され、印刷が行われるようになっている。
【0003】
ところで、キャリッジに配設された媒体検出部によって記録媒体のセンシングを行い、媒体検出部のセンサ出力に基づいて記録媒体を特定し、記録媒体の特性に応じた印刷を行うようにしたインクジェットプリンタが提供されている。
【0004】
該インクジェットプリンタにおいては、媒体検出が発光部及び受光部備え、キャリッジの走行に伴って媒体検出部が記録媒体に沿って移動させられ、発光部によって記録媒体の複数箇所に光が照射され、記録媒体で反射された反射光が受光部によって受光されることによりセンシングが行われて、受光部のセンサ出力の出力電圧の周波数解析が行われ、記録媒体が特定されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-215590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のインクジェットプリンタにおいては、発光部によって記録媒体に光が照射され、受光部によって反射光が受光されて生成されるセンサ出力の数を表すサンプリング数が不足すると、出力電圧の周波数解析を行うことができず、記録媒体を特定することができない。その結果、記録媒体の特性に応じた印刷を行うことができない。
【0007】
本発明は、前記従来のインクジェットプリンタの問題点を解決して、記録媒体のセンシングを行う際のサンプリング数が不足することがなく、記録媒体を確実に特定することができる画像形成装置及び媒体検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像形成装置においては、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動処理部と、キャリッジを第1のキャリッジ速度で移動させ、記録媒体のメディア幅を算出するメディア幅算出処理部と、キャリッジを、前記第1のキャリッジ速度、又は前記メディア幅に基づいて算出した第2のキャリッジ速度で移動させ、キャリッジに配設されたセンシング用の媒体検出部によって記録媒体のセンシングを行うセンシング処理部と、前記センシング用の媒体検出部のセンサ出力に基づいて記録媒体を特定する記録媒体特定処理部とを有する。
そして、前記センシング処理部は、記録媒体のメディア幅が所定の値より小さい場合に、第1のキャリッジ速度より低い第2のキャリッジ速度でキャリッジを移動させて記録媒体のセンシングを行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置においては、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動処理部と、キャリッジを第1のキャリッジ速度で移動させ、記録媒体のメディア幅を算出するメディア幅算出処理部と、キャリッジを、前記第1のキャリッジ速度、又は前記メディア幅に基づいて算出した第2のキャリッジ速度で移動させ、キャリッジに配設されたセンシング用の媒体検出部によって記録媒体のセンシングを行うセンシング処理部と、前記センシング用の媒体検出部のセンサ出力に基づいて記録媒体を特定する記録媒体特定処理部とを有する。
そして、前記センシング処理部は、記録媒体のメディア幅が所定の値より小さい場合に、第1のキャリッジ速度より低い第2のキャリッジ速度でキャリッジを移動させて記録媒体のセンシングを行う。
【0010】
この場合、キャリッジが第1のキャリッジ速度で移動させられ、記録媒体のメディア幅が算出され、キャリッジが、第1のキャリッジ速度、又はメディア幅に基づいて算出された第2のキャリッジ速度で移動させられて、センシング用の媒体検出部によって記録媒体のセンシングが行われるので、サンプリング数が不足することがなく、記録媒体を確実に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの制御ブロック図である。
図2】本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの斜視図である。
図3】本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの要部概念図である。
図4】本発明の実施の形態における再帰性反射メディアの概念図である。
図5】本発明の実施の形態におけるメディア検出センサによってセンシングを行ったときの受光部のセンサ出力の例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態におけるセンシング処理のサブルーチンを示す図である。
図8】本発明の実施の形態における第1の印刷処理のサブルーチンを示す図である。
図9】本発明の実施の形態における第2の印刷処理のサブルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのインクジェットプリンタについて説明する。
【0013】
図2は本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの斜視図、図3は本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの要部概念図、図4は本発明の実施の形態における再帰性反射メディアの概念図である。
【0014】
図において、10はインクジェットプリンタ、Frは、該インクジェットプリンタ10の本体、すなわち、装置本体を支持するフレームであり、該フレームFrは、インクジェットプリンタ10を前側(図2において手前側)から見たときの左端から右端にかけて延在させて配設された受け板BP、該受け板BPの左端より所定の距離だけ右方において受け板BPから立ち上げて形成された第1の支持部としての枠体PL、及び前記受け板BPの右端より所定の距離だけ左方において受け板BPから立ち上げて形成された第2の支持部としての枠体PRを備える。
【0015】
前記受け板BPの両端間に、レール15が直線状に延在させて配設(架設)され、該レール15に沿ってキャリッジ17が左右方向、すなわち、主走査方向(矢印A方向)に移動自在に配設される。前記キャリッジ17には、後述される複数の、本実施の形態においては、4個の記録ヘッドHdi(i=1、2、3、4)(図1)が、図示されない複数のノズルが開口する面、すなわち、ノズル面を下方に向けて搭載される。本実施の形態においては、各記録ヘッドHdiの前記各ノズルからブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のインクがインク滴として吐出され、各インクによって媒体としての記録媒体Pにカラーの画像が形成される。なお、図3において、eg1は、記録媒体Pの、インクジェットプリンタ10における右端側の縁部であるエッジ、eg2は、記録媒体Pの、インクジェットプリンタ10における左端側の縁部であるエッジである。
【0016】
また、前記レール15の左端の近傍に駆動側のプーリ18が、レール15の右端の近傍に従動側のプーリ19が回転自在に配設され、プーリ18、19間に無端ベルト21が走行自在に張設され、該無端ベルト21の所定の箇所に前記キャリッジ17が取り付けられる。そして、前記プーリ19にキャリッジ移動用の駆動部としてのキャリッジモータ22が連結される。
【0017】
したがって、該キャリッジモータ22を駆動し、無端ベルト21を走行させることによって、キャリッジ17を主走査方向に移動させ、各記録ヘッドHdiを主走査方向に移動させることができる。このとき、記録ヘッドHdiの各ノズルから各色のインクが吐出され、キャリッジ17の移動方向に対して直交する方向、すなわち、副走査方向(矢印C方向)に搬送される記録媒体Pにインクが付着させられ、これにより、記録媒体Pに文字、イメージ等の画像が形成され、印刷が行われる。なお、記録媒体Pとしては、用紙のほかに、塩化ビニル、PET等の樹脂製のフィルムを使用したり、再帰性反射メディアPx等の特殊媒体を使用したりすることができる。
【0018】
前記レール15に沿って、かつ、レール15と平行に延在させて図示されないリニアスケールが直線状に配設され、該リニアスケールの目盛りが、キャリッジ17に配設された後述されるエンコーダ35(図1)によって光学的に読み取られ、該エンコーダ35のセンサ出力に基づいてキャリッジ17の位置が検出され、キャリッジ17の位置の変化及び時間に基づいてキャリッジ17の移動速度が算出される。
【0019】
そして、キャリッジ17に、記録媒体Pを検出する第1の媒体検出部としての、かつ、センシング用の媒体検出部としてのメディア検出センサ24、及び記録媒体Pのエッジを検出する第2の媒体検出部としての、かつ、エッジ検出用の媒体検出部としてのエッジ検出センサ27が配設される。
【0020】
また、前記レール15に沿って、かつ、レール15と平行に延在させて、プレート状の形状を有する金属製のプラテン25が配設される。該プラテン25は、前記受け板BP上における枠体PL、PR間に配設され、プラテン25上を搬送される記録媒体Pを支持する。
【0021】
そして、前記プラテン25より後方に、第1の媒体案内部としての図示されないプリガイドが配設される。該プリガイドは、図示されない繰出ロールから繰り出された記録媒体Pをプラテン25に案内する。そのために、記録媒体Pの搬送方向における前記プリガイドとプラテン25との間に、搬送部材としての搬送ローラ対30が回転自在に配設される。
【0022】
該搬送ローラ対30は、プラテン25に隣接させて、インクジェットプリンタ10の主走査方向に延在させて回転自在に配設された第1のローラとしての搬送ローラ30a、及び該搬送ローラ30aより上方における複数箇所に回転自在に配設され、記録媒体Pを搬送ローラ30aに押し付ける第2のローラとしてのピンチローラ30bから成る。後述される搬送用の駆動部としての搬送モータ34を駆動し、前記搬送ローラ30aを回転させると、前記各ピンチローラ30bが連れ回りで回転させられる。
【0023】
これにより、記録媒体Pは、搬送ローラ30aとピンチローラ30bとによって挟まれた状態で前記プリガイドに沿って搬送され、プラテン25上に送られる。続いて、記録媒体Pと記録ヘッドHdiのノズル面とが対向させられ、各ノズルからインクが吐出され、記録媒体Pに付着させられる。このようにして印刷が行われる。
【0024】
また、前記プラテン25より前方に、印刷が行われた後の記録媒体Pを案内し、排出するための第2の媒体案内部としてのアフターガイド33が配設される。該アフターガイド33は、前記プラテン25から水平方向に排出された記録媒体Pを下方に向けて案内するために、湾曲した形状を有する。
【0025】
したがって、前記繰出ロールから繰り出された記録媒体Pは、前記プリガイドによって案内されてプラテン25に送られ、該プラテン25上において、記録ヘッドHdiの各ノズルから吐出されたインクが付着させられて印刷が行われ、印刷が行われた後、前記アフターガイド33によって案内され、図示されない巻取装置に送られて巻き取られる。
【0026】
ところで、印刷が行われた記録媒体Pにはインクが付着しているので、インクが付着した記録媒体Pを、インクが乾かないうちにインクジェットプリンタ10から排出し、その後、前記巻取装置によって巻き取ると、記録媒体Pがインクで汚れてしまう。
【0027】
そこで、本実施の形態においては、記録媒体P上のインクを乾燥させ、記録媒体Pに定着させるために、前記プラテン25に第1の加熱体としての図示されないヒータが埋設され、また、前記プリガイド及びアフターガイド33の裏面に第2、第3の加熱体としての図示されないヒータがそれぞれ取り付けられ、該各ヒータがアルミシートによって覆われる。したがって、各ヒータによって、プリガイド、プラテン25及びアフターガイド33上を搬送される記録媒体Pが加熱されるので、記録媒体Pに付着したインクを十分に乾燥させることができる。
【0028】
ところで、例えば、道路上に設置される交通標識は、運転者が夜間に光源である車両の前照灯を点灯したときに十分に視認できることが望ましい。したがって、交通標識のような被照射体の記録媒体として、特殊媒体、例えば、図4に示されるような再帰性反射メディアPxを使用することが考えられる。
【0029】
この場合、該再帰性反射メディアPxには、例えば、基層Saの上に中間層Sbが形成され、該中間層Sbの上にフィルム層(表面層)Scが形成され、該フィルム層Scに交通標識の画像が形成される。
【0030】
前記中間層Sbは、複数のプリズムから成るプリズム層、及び各プリズムを包囲する空気から成る空気層によって形成された反射層Sd、並びに該反射層Sdの厚さを維持するために所定の形状を有する枠から成り、反射層Sdを区切る支持層(結合剤層)Seを備える。
【0031】
前記反射層Sdにおいて、プリズム層の各プリズムに入射された光Liは、プリズム内で屈折させられて、入射した方向と逆の方向に放射される。
【0032】
すなわち、車両の前照灯からの光Liは、再帰性反射メディアPxに照射されると、フィルム層Scを透過して中間層Sbに送られ、該中間層Sbで反射された反射光Lo1~Lo3がフィルム層Scを介して放射される。
【0033】
このとき、中間層Sbの支持層Seにおいては、用紙、樹脂製のフィルム等の通常の記録媒体と同じように鏡面反射又は乱反射が起こるので、鏡面反射及び乱反射による反射光Lo1、Lo2はフィルム層Scを透過して各方向に放射されるが、反射層Sdにおいては再帰性反射が起こり、プリズム内で光が屈折させられるので、再帰性反射による反射光Lo3はフィルム層Scを透過して車両に向けて放射される。
【0034】
したがって、運転者は車両に向けて放射された反射光Lo3によって、再帰性反射メディアPxが使用された交通標識を十分に視認することができる。
【0035】
前記インクジェットプリンタ10においては、記録媒体Pに対して印刷を行うに当たり、記録媒体Pに画像を形成するための、記録ヘッドHdiの駆動条件、記録媒体Pの搬送条件等の画像形成条件が、後述される画像形成条件設定部Pr8によって設定されるが、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxである場合、記録媒体Pに付着させられたインクの乾燥条件も画像形成条件として設定される必要がある。
【0036】
そのために、本実施の形態においては、前記メディア検出センサ24によって記録媒体Pが検出され、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxであるかどうかが、後述される記録媒体特定処理部Pr7によって判断され、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxである場合に、記録媒体Pの搬送方向におけるプラテン25より下流側、本実施の形態においては、アフターガイド33より下流側に配設された後述される外部乾燥機61によって記録媒体P上のインクが前記乾燥条件で乾燥させられるようになっている。
【0037】
次に、インクジェットプリンタ10の制御装置について説明する。
【0038】
図1は本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの制御ブロック図である。
【0039】
図において、10はインクジェットプリンタ、24はメディア検出センサ、27はエッジ検出センサ、51は操作パネル、61は外部乾燥機、80は、前記インクジェットプリンタ10の全体のシーケンスを制御し、印刷制御を行う制御部、81は不揮発性メモリから成る第1の記憶部としてのROM、82は揮発性メモリから成る第2の記憶部としてのRAM、83は、上位装置としての、かつ、情報処理装置としての図示されないホストコンピュータから印刷データを受け、RAM82に記録するインタフェース制御部である。本実施の形態においては、印刷データがUSBケーブルを介して受信されるようになっているが、無線LANを介して受信されるようにすることもできる。
【0040】
前記メディア検出センサ24は、反射型のホトセンサであり、LED等から成る発光部49、及びホトトランジスタ等から成る受光部50を備え、発光部49によって発生させられた光を記録媒体P(図3)に照射し、記録媒体Pで反射された光を受光部50によって受光することにより、記録媒体Pのセンシングを行い、受光部50においてセンサ出力を生成する。
【0041】
そのために、本実施の形態においては、前記キャリッジ17の移動に伴ってメディア検出センサ24が主走査方向に移動させられ、その間、所定のサンプリング周期、本実施の形態においては1〔ms〕のサンプリング周期で発光部49が、前記プラテン25上で停止させられた記録媒体Pに光を照射し、受光部50が、記録媒体Pで反射された光を受光し、センサ出力を生成する。
【0042】
また、前記エッジ検出センサ27は、反射型の赤外線センサであり、発光部52及び受光部53を備え、発光部52によって発生させられた赤外線をプラテン25に向けて放射し、プラテン25及び記録媒体Pで反射された赤外線を受光部53によって受光することにより、記録媒体Pの前記エッジeg1、eg2を検出する。
【0043】
そのために、本実施の形態においては、キャリッジ17の移動に伴ってエッジ検出センサ27が主走査方向に移動させられ、その間、発光部52が、前記プラテン25、及びプラテン25上で停止させられた記録媒体Pに赤外線を照射し、受光部53が、記録媒体Pで反射された赤外線を受光し、センサ出力を生成する。
【0044】
前記操作パネル51は、インクジェットプリンタ10の状態を表示するためのLED画面等から成る表示部54、及び操作者がインクジェットプリンタ10への指示を入力するための、スイッチ、キー等から成る操作部55を備える。なお、操作パネル51がタッチパネルによって形成される場合、操作パネル51は表示部として機能するとともに、操作部としても機能する。
【0045】
前記外部乾燥機61は、記録媒体Pと対向するように配設された第4の加熱体としての赤外線ヒータ等のヒータ39、及び外部乾燥機61の全体の制御を行い、前記ヒータ39の通電を制御してヒータ39をオン・オフさせる乾燥制御部41を備える。
【0046】
前記ヒータ39は、記録媒体Pと対向するように記録媒体Pの幅方向にわたって配設され、記録媒体Pを画像が形成された側から輻射熱によって直接加熱することによって記録媒体P上のインクを乾燥させる。
【0047】
前記制御部80は、図示されない演算装置としてのCPU、入出力ポート、タイマ等を備え、ROM81に記録されたプログラムに基づいて各種の処理を行う。ROM81には、前記プログラムのほかに、各種の初期設定値等が記録される。また、RAM82には、前記印刷データに基づいて生成され、通常の印刷を行うための画像データのほかに、各種の制御用のデータが一時的に記録される。なお、前記RAM82は、前記CPUが演算を行う際にワークエリアとして機能する。
【0048】
また、制御部80は、ヘッド駆動処理部Pr1、搬送処理部Pr2、キャリッジ駆動処理部Pr3、印刷処理部Pr4、メディア幅算出処理部Pr5、センシング処理部Pr6、記録媒体特定処理部Pr7、画像形成条件設定部Pr8等を備える。
【0049】
前記ヘッド駆動処理部Pr1は、前記RAM82から印刷データを読み出し、印刷データに対してデータ変換を行い、画像データを生成し、生成した画像データを記録ヘッドHdiに送り、該記録ヘッドHdiを駆動して記録媒体Pに画像を形成する。
【0050】
なお、記録ヘッドHdiには、ノズルごとに駆動素子としてのピエゾ素子26が配設される。該ピエゾ素子26の両端に所定の電圧が印加されると、ピエゾ素子26が駆動され、伸縮させられ、これにより、記録ヘッドHdiにおいてノズルにインクを送る流路の側壁が変形させられ、インクがインク滴となってノズルから吐出される。
【0051】
前記搬送処理部Pr2は、搬送モータ34に駆動信号を送り、該搬送モータ34を駆動し、前記搬送ローラ対30を回転させ、記録媒体Pを副走査方向に搬送する。
【0052】
前記キャリッジ駆動処理部Pr3は、PWM制御によってキャリッジモータ22を駆動し、前記無端ベルト21(図2)を走行させ、キャリッジ17を主走査方向に移動(往復移動)させる。そのために、キャリッジ駆動処理部Pr3は、ROM81からキャリッジ17の目標位置及び目標速度を読み出し、前記エンコーダ35のセンサ出力を受け、該センサ出力をA/D変換してキャリッジ17の位置を検出し、制御値としてのPWM制御信号を発生させてキャリッジモータ22に送る。該キャリッジモータ22は、PWM制御信号を受けて、PWM制御信号のデューティに比例させて回転速度を変化させ、キャリッジ17を加速したり減速したりして目標速度で目標位置に移動させる。続いて、キャリッジ駆動処理部Pr3は、キャリッジ17の位置をヘッド駆動処理部Pr1に送り、該ヘッド駆動処理部Pr1は、キャリッジ17の位置に合わせて、記録ヘッドHdiから、画像データに基づいて算出されたタイミングでインクを吐出させる。
【0053】
前記印刷処理部Pr4は、前記ヘッド駆動処理部Pr1、搬送処理部Pr2及びキャリッジ駆動処理部Pr3に指示を送り、所定の画像形成条件で印刷を行う。
【0054】
前記メディア幅算出処理部Pr5は、印刷が開始される前に、インクジェットプリンタ10の仕様で規定された第1のキャリッジ速度としての規定キャリッジ速度Urでキャリッジ17を移動させ、エッジ検出センサ27の受光部53のセンサ出力を読み込み、該センサ出力を閾値と比較することによってプラテン25上の記録媒体Pのエッジeg1、eg2を検出し、検出したエッジeg1、eg2間の距離に基づいて記録媒体Pのメディア幅Wを算出する。
【0055】
前記センシング処理部Pr6は、メディア幅算出処理部Pr5によって算出されたメディア幅Wに基づいて理論上の第2のキャリッジ速度としての理論キャリッジ速度Ucを算出し、キャリッジ17を前記規定キャリッジ速度Ur又は理論キャリッジ速度Ucで移動させ、主走査方向においてメディア検出センサ24によって記録媒体Pのセンシングを行う。そのために、キャリッジ17の移動に伴い、メディア検出センサ24において、発光部49によって記録媒体Pの複数箇所に光が照射され、受光部50によって、記録媒体Pで反射された反射光が受光され、センサ出力が生成され、サンプリングが行われる。
【0056】
前記記録媒体特定処理部Pr7は、センシング処理部Pr6においてセンシングが行われて得られた受光部50のセンサ出力を読み込み、読み込んだセンサ出力の出力電圧Vの周波数解析を行い、周波数によって得られる振幅γに基づいて記録媒体Pを特定し、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxであるかどうかを判断する。
【0057】
前記画像形成条件設定部Pr8は、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxでない通常の記録媒体である場合と、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxである場合とで、画像形成条件を異ならせて設定する。すなわち、画像形成条件設定部Pr8は、記録媒体Pが通常の記録媒体である場合、記録媒体Pをヒータ39によって加熱せず、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxである場合、画像形成条件を変更し、記録媒体Pをヒータ39によって加熱する。
【0058】
次に、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxであるかどうかを判断する際の制御部80の動作について説明する。
【0059】
図5は本発明の実施の形態におけるメディア検出センサによってセンシングを行ったときの受光部のセンサ出力の例を示す図である。なお、図において、横軸に記録媒体P上の、メディア検出センサ24(図3)の発光部49(図1)の光が照射される位置を、縦軸に受光部50のセンサ出力の出力電圧Vを採ってある。
【0060】
前述されたように、再帰性反射メディアPxには、例えば、基層Saの上に中間層Sbが形成され、該中間層Sbの上にフィルム層Scが形成され、該フィルム層Scに画像が印刷される。中間層Sbは、プリズム層及び空気層によって形成された反射層Sd、並びに支持層Seを備える。
【0061】
前記発光部49から光Liが再帰性反射メディアPxに照射されると、中間層Sbの支持層Seにおいて反射光Lo1及び反射光Lo2が各方向に放射され、反射層Sdにおいて反射光Lo3が発光部49に向けて放射される。
【0062】
メディア検出センサ24において、発光部49及び受光部50は主走査方向において互いに隣接させて配設されるので、発光部49及び受光部50が支持層Sdの上方にあるときに反射光Lo1が受光部50に向けて放射されるのに対して、発光部49及び受光部50が支持層Sd以外の部分の上方にあるときは、反射光Lo3が、発光部49に向けて放射され、受光部50に向けて放射されない。
【0063】
したがって、図に示されるように、再帰性反射メディアPxにおける位置A-B間、位置C-D間、位置E-F間及び位置G-H間に支持層Seが形成されている場合、位置A-B間、位置C-D間、位置E-F間及び位置G-H間上をメディア検出センサ24が通過する間の受光部50のセンサ出力の出力電圧Vは高くなり、反射層Sd上をメディア検出センサ24が通過する間の受光部50のセンサ出力の出力電圧Vは低くなる。
【0064】
なお、図において、Vth1は、発光部49及び受光部50が反射層Sdの上方を移動しているかどうかを判断するための値であり、出力電圧Vが値Vth1より低い場合、発光部49及び受光部50が反射層Sdの上方を移動していると判断される。
【0065】
また、Vth2、Vth3は、発光部49及び受光部50が支持層Seの上方を移動しているかどうかを判断するための値であり、出力電圧Vが、値Vth2以上で、かつ、値Vth3より低い場合、発光部49及び受光部50が支持層Seの上方を移動していると判断される。
【0066】
さらに、Vth4は、発光部49及び受光部50が通常の記録媒体の上方を移動しているかどうかを判断するための値であり、出力電圧Vが値Vth4以上である場合、発光部49及び受光部50が通常の記録媒体の上方を移動していると判断される。
【0067】
すなわち、発光部49及び受光部50が再帰性反射メディアPxにおける反射層Sdの上方を移動している間、出力電圧Vは値Vth1より低く、発光部49及び受光部50が支持層Seの上方を移動している間、出力電圧Vは、値Vth2以上で、かつ、値Vth3より低く、発光部49及び受光部50が通常の記録媒体の上方を移動している間、出力電圧Vは値Vth4以上になる。
【0068】
そこで、本実施の形態においては、キャリッジ駆動処理部Pr3がキャリッジ17を主走査方向に移動させ、その間、センシング処理部Pr6が、メディア検出センサ24の発光部49によって所定のサンプリング周期で記録媒体Pに光Liを照射し、受光部50によって反射光Lо1~Lо3を受光し、センサ出力を生成し、記録媒体特定処理部Pr7が、センサ出力の出力電圧Vに基づいて、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxであるかどうかを判断するようになっている。
【0069】
そのために、記録媒体特定処理部Pr7は、センサ出力を読み込み、出力電圧Vの周波数解析を行い、周波数解析によって得られた振幅γ〔v〕が、各種の再帰性反射メディアの特性に応じて設定され、ROM81にあらかじめ記録された設定範囲に収まるかどうかを判断し、振幅γ〔v〕が設定範囲に収まる場合に、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxであると判断し、振幅γ〔v〕が設定範囲に収まらない場合、記録媒体Pが、再帰性反射メディアPxでない通常の記録媒体であると判断する。
【0070】
ところで、センシング処理部Pr6が読み込んだセンサ出力の出力電圧Vが値Vth2以上で、かつ、値Vth3より低い範囲に収まる回数が一定数以上ないと、前記記録媒体特定処理部Pr7は出力電圧Vの周波数解析を行うことができない。
【0071】
すなわち、前記センシング処理部Pr6による記録媒体Pのセンシングにおいて発生するセンサ出力の数をサンプリング数Nとすると、該サンプリング数Nは、出力電圧Vの周波数解析を行うのに必要なサンプリング数、すなわち、必要サンプリング数Ns以上でなければならない。
【0072】
そして、キャリッジ17の移動速度、すなわち、キャリッジ速度をU〔mm/s〕とし、サンプリング周期をεとしたとき、出力電圧Vの周波数解析を行うのに必要なメディア検出センサ24の移動量、すなわち、必要センシング距離Ls〔mm〕は、
Ls=Ns×ε×U
であるので、出力電圧Vの周波数解析を行う場合、メディア幅Wは必要センシング距離Ls以上である必要がある。
【0073】
例えば、キャリッジ速度Uが500〔mm/s〕であり、サンプリング周期εが1〔ms〕であり、必要サンプリング数Nsが1000〔個〕である場合、必要センシング距離Ls〔mm〕は
Ls=500〔mm〕
になる。したがって、メディア幅Wが500〔mm〕より短い記録媒体Pについては、センシングを行っても、出力電圧Vの周波数解析を行うことができず、記録媒体Pを特定することができない。
【0074】
仮に、キャリッジ速度Uを低く、例えば、200〔mm/s〕に設定すると、必要センシング距離Ls〔mm〕は
Ls=200〔mm〕
になり、メディア幅Wが200〔mm〕の記録媒体Pについてセンシングを行うことができ、出力電圧Vの周波数解析を行うことができ、記録媒体Pを特定することができる。
【0075】
例えば、記録媒体Pが、支持層Se及び反射層Sdによって形成される鱗模様が20〔個〕分の100〔mm〕のメディア幅Wを有する再帰性反射メディアPxである場合、センシングを行うに当たりキャリッジ速度Uを100〔mm/s〕に設定すると、出力電圧Vの周波数解析を行うことができ、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxであると判断される。
【0076】
そこで、本実施の形態においては、記録媒体Pのメディア幅Wに基づいてキャリッジ速度Uが設定されてセンシングが行われるようになっている。
【0077】
次に、インクジェットプリンタ10の動作について説明する。
【0078】
図6は本発明の実施の形態におけるインクジェットプリンタの動作を示すフローチャート、図7は本発明の実施の形態におけるセンシング処理のサブルーチンを示す図、図8は本発明の実施の形態における第1の印刷処理のサブルーチンを示す図、図9は本発明の実施の形態における第2の印刷処理のサブルーチンを示す図である。
【0079】
まず、インタフェース制御部83(図1)は、ホストコンピュータからUSBケーブルを介して印刷データを受け(ステップS1)、RAM82に記録する。
【0080】
次に、メディア幅算出処理部Pr5は、キャリッジ駆動処理部Pr3に指示を送り、キャリッジ17(図3)を、インクジェットプリンタ10の右端側から左端側にかけて、すなわち、第1の方向に規定キャリッジ速度Urで移動させ、プラテン25上で停止させられた記録媒体Pのエッジeg1、eg2をエッジ検出センサ27によって検出する(ステップS2)。このとき、キャリッジ駆動処理部Pr3は、エンコーダ35のセンサ出力に基づいて、記録媒体Pのエッジeg1、eg2が検出されたときのキャリッジ17の位置を検出し、メディア幅算出処理部Pr5は、キャリッジ17の位置を読み込み、エッジeg1、eg2の位置としてRAM82に記録する。
【0081】
続いて、メディア幅算出処理Pr5は、RAM82からエッジeg1、eg2の位置を読み出し、エッジeg1、eg2間の距離であるメディア幅Wを算出する(ステップS3)。
【0082】
次に、センシング処理部Pr6はセンシング処理を行う(ステップS4)。センシング処理において、センシング処理部Pr6は、まず、メディア幅Wの記録媒体P上でキャリッジ17を主走査方向に移動させ、サンプリング周期εで必要サンプリング数Nsの回数センシングを行う場合を想定し、そのときの、前記理論キャリッジ速度Uc
Uc=W/(Ns×ε)
を算出する(ステップS4-1)。
【0083】
続いて、センシング処理部Pr6は、理論キャリッジ速度Ucと規定キャリッジ速度Urとを比較し、理論キャリッジ速度Ucが規定キャリッジ速度Ur以上であるかどうかを判断する(ステップS4-2)。
【0084】
理論キャリッジ速度Ucが規定キャリッジ速度Ur以上である場合、センシング処理部Pr6は、キャリッジ駆動処理部Pr3に指示を送り、キャリッジ17を、インクジェットプリンタ10の左端側から右端側にかけて、すなわち、第2の方向に、規定キャリッジ速度Urで移動させて、メディア検出センサ24によって記録媒体Pのセンシングを行う(ステップS4-3)。一方、理論キャリッジ速度Ucが規定キャリッジ速度Urより低い場合、センシング処理部Pr6は、キャリッジ駆動処理部Pr3に指示を送り、キャリッジ17を第2の方向に理論キャリッジ速度Ucで移動させて、メディア検出センサ24によって記録媒体Pのセンシングを行う(ステップS4-4)。
【0085】
例えば、規定キャリッジ速度Urが500〔mm/s〕であり、メディア幅Wが所定の値、例えば、200〔mm〕であり、サンプリング周期εが1〔ms〕であり、必要サンプリング数Nsが1000〔個〕である場合、理論キャリッジ速度Ucは、
Uc=200〔mm/s〕
になるので、キャリッジ17は、第2の方向に、規定キャリッジ速度Urより低い200〔mm/s〕の理論キャリッジ速度Ucで移動させられる。
【0086】
続いて、記録媒体特定処理部Pr7は、メディア検出センサ24の受光部50のセンサ出力を読み込み、読み込んだセンサ出力の出力電圧Vの周波数解析を行い(ステップS5)、記録媒体Pを特定し、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxであるかどうかを判断する(ステップS6)。
【0087】
記録媒体Pが再帰性反射メディアPxではなく、通常の記録媒体である場合、印刷処理部Pr4は第1の印刷処理を行う(ステップS7)。該第1の印刷処理において、印刷処理部Pr4は、RAM82から印刷データを読み出し(ステップS7-1)、印刷データに対してデータ変換を行い、画像データを生成する(ステップS7-2)。そして、制御部80は、記録ヘッドHdiに画像データを送り(ステップS7-3)、印刷を実行する(ステップS7-4)。
【0088】
そのために、キャリッジ駆動処理部Pr3はキャリッジ17を主走査方向に移動させ、搬送処理部Pr2は記録媒体Pを搬送し、ヘッド駆動処理部Pr1は、記録ヘッドHdiを駆動し、記録媒体Pに画像を形成する。
【0089】
一方、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxである場合、画像形成条件設定部Pr8は外部乾燥機61に昇温指示を送る(ステップS8)。外部乾燥機61の乾燥制御部41は、制御部80から昇温指示を受けると、ヒータ39をオンにし(ステップS9)、ヒータ39の温度が設定温度になるのを待機する(ステップS10)。
【0090】
ヒータ39の温度が設定温度になると、乾燥制御部41は印刷処理部Pr4に昇温完了通知を送り、印刷処理部Pr4は、昇温完了通知を受けると、第2の印刷処理を行う(ステップS11)。第2の印刷処理において、印刷処理部Pr4は、RAM82から印刷データを読み出し(ステップS11-1)、印刷データに対してデータ変換を行い、画像データを生成する(ステップS11-2)。続いて、制御部80は、記録ヘッドHdiに画像データを送り(ステップS11-3)、印刷を実行する(ステップS11-4)。
【0091】
そのために、キャリッジ駆動処理部Pr3はキャリッジ17を主走査方向に移動させ、搬送処理部Pr2は記録媒体Pを搬送し、ヘッド駆動処理部Pr1は、記録ヘッドHdiを駆動し、記録媒体Pに画像を形成する。
【0092】
そして、前記搬送処理部Pr2は、記録媒体Pを更に搬送し、外部乾燥機61によって乾燥させる(ステップS11-5)。
【0093】
これにより、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxである場合でも記録媒体Pを十分に乾燥させることができる。なお、記録媒体Pが通常の記録媒体である場合は、外部乾燥機61によって乾燥させられることがないので、記録媒体Pが無用に乾燥させられることはない。
【0094】
次に、図6のフローチャートについて説明する。
ステップS1 インタフェース制御部83はホストコンピュータから印刷データを受ける。
ステップS2 メディア幅算出処理部Pr5は記録媒体Pのエッジeg1、eg2を検出する。
ステップS3 メディア幅算出処理Pr5はメディア幅Wを算出する。
ステップS4 センシング処理部Pr6はセンシング処理を行う。
ステップS5 記録媒体特定処理部Pr7はセンサ出力の出力電圧Vの周波数解析を行う。
ステップS6 記録媒体特定処理部Pr7は記録媒体Pが再帰性反射メディアPxであるかどうかを判断する。記録媒体Pが再帰性反射メディアPxである場合はステップS8に進み、記録媒体Pが再帰性反射メディアPxではない場合はステップS7に進む。
ステップS7 印刷処理部Pr4は第1の印刷処理を行い、処理を終了する。
ステップS8 画像形成条件設定部Pr8は外部乾燥機61に昇温指示を送る。
ステップS9 乾燥制御部41はヒータ39をオンにする。
ステップS10 乾燥制御部41はヒータ39の温度が設定温度になるのを待機する。ヒータ39の温度が設定温度になった場合はステップS11に進む。
ステップS11 印刷処理部Pr4は第2の印刷処理を行い、処理を終了する。
【0095】
次に、図7のサブルーチンについて説明する。
ステップS4-1 センシング処理部Pr6は理論キャリッジ速度Ucを算出する。
ステップS4-2 センシング処理部Pr6は理論キャリッジ速度Ucが規定キャリッジ速度Ur以上であるかどうかを判断する。理論キャリッジ速度Ucが規定キャリッジ速度Ur以上である場合はステップS4-3に進み、理論キャリッジ速度Ucが規定キャリッジ速度Urより低い場合はステップS4-4に進む。
ステップS4-3 センシング処理部Pr6はキャリッジ17を第2の方向に規定キャリッジ速度Urで移動させてセンシングを行い、リターンする。
ステップS4-4 センシング処理部Pr6はキャリッジ17を第2の方向に理論キャリッジ速度Ucで移動させてセンシングを行い、リターンする。
【0096】
次に、図8のサブルーチンについて説明する。
ステップS7-1 印刷処理部Pr4はRAM82から印刷データを読み出す。
ステップS7-2 印刷処理部Pr4は画像データを生成する。
ステップS7-3 制御部80は記録ヘッドHdiに画像データを送る。
ステップS7-4 制御部80は印刷を実行し、リターンする。
【0097】
次に、図9のサブルーチンについて説明する。
ステップS11-1 印刷処理部Pr4はRAM82から印刷データを読み出す。
ステップS11-2 印刷処理部Pr4は画像データを生成する。
ステップS11-3 制御部80は記録ヘッドHdiに画像データを送る。
ステップS11-4 制御部80は印刷を実行する。
ステップS11-5 搬送処理部Pr2は記録媒体Pを外部乾燥機61によって乾燥させ、リターンする。
【0098】
このように、本実施の形態においては、キャリッジ17が規定キャリッジ速度Urで移動させられ、記録媒体Pのメディア幅Wが算出され、キャリッジ17が、規定キャリッジ速度Ur又はメディア幅Wに基づいて算出された理論キャリッジ速度Ucで移動させられ、メディア検出センサ24によって記録媒体Pのセンシングが行われるので、サンプリング数Nが不足することがなく、記録媒体Pを確実に特定することができる。
【0099】
また、サンプリング数Nが不足する際にキャリッジ速度がメディア幅Wに応じて低くされるので、インクジェットプリンタ10の操作を簡素化することができる。
【0100】
そして、例えば、キャリッジ17を、第1の方向に規定キャリッジ速度Urで移動させ、第2の方向に、規定キャリッジ速度Urより低い理論キャリッジ速度Ucで移動させることによって、センシング処理を行うのに必要なメディア幅より小さいメディア幅Wの記録媒体Pのセンシング処理を行うことができる。
【0101】
本実施の形態においては、キャリッジ17が、メディア幅Wを算出する際にインクジェットプリンタ10の右端側から左端側にかけて移動させられ、記録媒体Pのセンシングを行う際にインクジェットプリンタ10の左端側から右端側にかけて移動させられるようになっているが、メディア幅Wを算出する際にキャリッジ17をインクジェットプリンタ10の左端側から右端側にかけて移動させ、記録媒体Pのセンシングを行う際にキャリッジ17をインクジェットプリンタ10の右端側から左端側にかけて移動させるようにすることもできる。さらに、メディア幅Wを算出する際及び記録媒体Pのセンシングを行う際のいずれにおいても、キャリッジ17を、インクジェットプリンタ10の左端側から右端側にかけて移動させたり、右端側から左端側にかけて移動させたりすることもできる。
【0102】
そして、本実施の形態においては、記録媒体Pのセンシングを行うためにメディア検出センサ24が、記録媒体Pのエッジeg1、eg2を検出するためにエッジ検出センサ27が配設されるようになっているが、一つのセンサ、例えば、エッジ検出センサ27によって、記録媒体Pのセンシングを行うとともに、記録媒体Pのエッジeg1、eg2を検出することもできる。
【0103】
また、本実施の形態においては、インクジェットプリンタ10について説明しているが、本発明を画像形成装置としての複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用したり、画像読取装置としてのスキャナ等に適用したりすることができる。
【0104】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0105】
10 インクジェットプリンタ
17 キャリッジ
24 メディア検出センサ
P 記録媒体
Pr5 メディア幅算出処理部
Pr6 センシング処理部
Pr7 記録媒体特定処理部
Uc 理論キャリッジ速度
Ur 規定キャリッジ速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9