(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】光走査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/47 20060101AFI20240611BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20240611BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20240611BHJP
H04N 1/113 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B41J2/47 101D
G02B26/10 Z
G03G15/04
H04N1/113
(21)【出願番号】P 2020100269
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真悟
(72)【発明者】
【氏名】小林 竜也
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-031467(JP,A)
【文献】特開2001-343876(JP,A)
【文献】特開2009-258712(JP,A)
【文献】特開2013-223991(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0245850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G02B 26/10
G03G 15/04
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光走査用の光線を発生する光学機構を収容すると共に、前記光線を外部へ出射する窓部を備えた筐体と、
前記筐体に組付けられ、前記窓部を清掃する清掃機構と、を備え、
前記清掃機構は、清掃部材と、前記清掃部材を保持するホルダとを含み、前記ホルダが前記窓部に対して所定の移動方向へ移動されることにより、前記清掃部材が前記窓部を清掃するものであって、
前記清掃部材は、
前記窓部の表面に当接するクリーナー部材と、
前記クリーナー部材を前記窓部に向けて押圧する押圧面を有し、弾性体からなる押圧部材と、を含み、
前記移動方向において、前記クリーナー部材の幅が、前記押圧面の幅よりも幅広とされている、光走査装置
において、
前記押圧部材は、前記押圧面となる下面と、この下面の前記移動方向の両端縁から立ち上がる一対の側面と、前記下面と対向する上面とを有する直方体からなり、
前記クリーナー部材は、前記下面、前記一対の側面及び前記上面を包み込むように前記押圧部材に添設され、
前記クリーナー部材の包み込みによって、前記移動方向における前記クリーナー部材の幅が、前記押圧面の幅よりも幅広とされており、
前記ホルダは、前記クリーナー部材によって包み込まれた前記押圧部材の前記上面が嵌め込まれる保持凹部を備える、光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置において、
前記清掃部材は、前記押圧部材の前記下面と前記クリーナー部材との間、前記押圧部材の前記上面と前記クリーナー部材との間、又は、前記保持凹部と前記クリーナー部材との間の少なくとも一箇所に配置される両面テープをさらに備え、
前記押圧部材の前記一対の側面と前記クリーナー部材とは直接対向している、光走査装置。
【請求項3】
光走査用の光線を発生する光学機構を収容すると共に、前記光線を外部へ出射する窓部を備えた筐体と、
前記筐体に組付けられ、前記窓部を清掃する清掃機構と、を備え、
前記清掃機構は、清掃部材と、前記清掃部材を保持するホルダとを含み、前記ホルダが前記窓部に対して所定の移動方向へ移動されることにより、前記清掃部材が前記窓部を清掃するものであって、
前記清掃部材は、
前記窓部の表面に当接するクリーナー部材と、
前記クリーナー部材を前記窓部に向けて押圧する押圧面を有し、弾性体からなる押圧部材と、を含み、
前記移動方向において、前記クリーナー部材の幅が、前記押圧面の幅よりも幅広とされている、光走査装置において、
前記押圧部材は、
前記押圧面となる下面と、この下面の前記移動方向の両端縁から立ち上がる一対の側面と、前記下面と対向する上面とを有する直方体からなり、
前記ホルダは、前記押圧部材の前記上面が嵌め込まれる保持凹部と、この保持凹部を区画する壁面を貫通するスリットと、を含み、
前記クリーナー部材は、前記下面及び前記一対の側面を包み込み、且つ、前記スリットを通して前記保持凹部の上面を包み込むように、前記押圧部材及び前記ホルダに添設されて
おり、
前記クリーナー部材の包み込みによって、前記移動方向における前記クリーナー部材の幅が、前記押圧面の幅よりも幅広とされている、光走査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光走査装置において、
前記清掃部材は、前記押圧部材の前記下面と前記クリーナー部材との間、又は、前記保持凹部の上面と前記クリーナー部材との間の少なくとも一箇所に配置される両面テープをさらに備え、
前記押圧部材の前記一対の側面と前記クリーナー部材とは直接対向している、光走査装置。
【請求項5】
請求項3に記載の光走査装置において、
前記保持凹部の上面に、前記クリーナー部材と機械的に係合する係合部を備える、光走査装置。
【請求項6】
像担持体と、
画像情報に基づいて前記像担持体に対して走査光を照射する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の光走査装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査対象物に照射する光走査用の光線を発生する光走査装置、及びその光走査装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査光を発生する光走査装置は、光源、ポリゴンミラー及び走査レンズ等の走査光学系と、この走査光学系を収容し塵埃から保護する筐体とを含む。走査光は、前記筐体に備えられた透明ガラスからなる窓部を通して、所定の走査対象物に照射される。画像形成装置の場合、前記走査対象物は感光体ドラムであり、前記走査光の照射によって前記感光体ドラムの周面に静電潜像が形成される。
【0003】
前記窓部が汚濁した場合、走査光が適正に走査対象物へ照射されなくなる。このため、前記窓部を定期的に自動清掃することが求められる。この自動清掃のために、前記窓部に摺接する清掃部材と、この清掃部材を保持するホルダとを含む清掃ユニットを、前記窓部に沿って往復移動させる清掃機構が光走査装置に付設される。清掃部材は、前記窓部に当接するクリーナー部材を含み、このクリーナー部材が前記ホルダで保持される(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-333799号公報
【文献】特開2012-042588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記窓部の清掃時に、クリーナー部材がホルダ等の保持部材から剥がれたり、或いはロール状に捲れたりする不具合の生じることがあった。これらの不具合は、前記透明ガラスの摩擦係数が比較的高い初期段階に生じ易い。また、前記清掃ユニットの往復移動方向において、前記透明ガラスの摩擦係数に不均一さが生じている場合にも、上記の不具合は生じ易くなる。初期段階の摩擦係数の高さ、摩擦係数の不均一さは不可避的であることから、上記の剥がれや捲れの防止対策が求められていた。なお、摩擦係数を低く且つ一定にするには、前記透明ガラスにコーティングを施すことが有用であるが、コスト上昇を招来してしまう。
【0006】
本発明の目的は、クリーナー部材の保持部材からの剥がれや捲れを防止することが可能な清掃機構を含む光走査装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る光走査装置は、光走査用の光線を発生する光学機構を収容すると共に、前記光線を外部へ出射する窓部を備えた筐体と、前記筐体に組付けられ、前記窓部を清掃する清掃機構と、を備え、前記清掃機構は、清掃部材と、前記清掃部材を保持するホルダとを含み、前記ホルダが前記窓部に対して所定の移動方向へ移動されることにより、前記清掃部材が前記窓部を清掃するものであって、前記清掃部材は、前記窓部の表面に当接するクリーナー部材と、前記クリーナー部材を前記窓部に向けて押圧する押圧面を有し、弾性体からなる押圧部材と、を含み、前記移動方向において、前記クリーナー部材の幅が、前記押圧面の幅よりも幅広とされていることを特徴とする。
【0008】
この光走査装置によれば、弾性体からなる押圧部材に押圧されたクリーナー部材が、窓部に当接して清掃を行う。前記押圧部材の弾発的な押圧により、クリーナー部材の前記窓部への当接面の全面を、均等な圧力で当該窓部に当接させることができる。従って、クリーナー部材の片当たり等を生じさせず、良好に窓部の清掃を行わせることができる。
【0009】
この構成において、クリーナー部材に剥がれや捲れが生じる要因としては、前記窓部の側端縁とクリーナー部材の側端縁との干渉や、前記押圧部材の前記窓部との接触による引っ掛かりを挙げることができる。前者の干渉は、例えばホルダの往路での清掃を終え、一旦クリーナー部材が前記窓部のエッジから外れた後、復路での清掃のため再度クリーナー部材が前記エッジから窓部上に乗り上がるときに生じ易い。後者の引っ掛かりは、押圧部材の前記移動方向の幅が、少しでも前記クリーナー部材の幅よりも大きい状態となると生じ易い。弾性体からなる押圧部材は一般に摩擦係数が高く、押圧部材が直接窓部に接してしまうと一気に摩擦抵抗が上がり、クリーナー部材の剥がれや捲れを誘発する。上記の光走査装置によれば、前記移動方向において、前記クリーナー部材の幅が、前記押圧面の幅よりも幅広とされている。このため、前記窓部の側端縁とクリーナー部材の側端縁との干渉が生じ難い。また、前記クリーナー部材の幅広部分にガードされて前記押圧部材が直接窓部に接することはない。従って、前記クリーナー部材の前記押圧部材からの剥がれや捲れを防止することができる。
【0010】
上記の光走査装置において、前記クリーナー部材はシート片からなり、前記押圧部材は、下面に前記押圧面を有する直方体からなり、前記移動方向において、前記シート片の幅が、前記直方体の辺長よりも幅広とされていることは、望ましい具体的態様の一つである。
【0011】
上記の光走査装置において、前記清掃部材は、前記クリーナー部材と前記押圧面との間に配置され、両者を接合する両面テープをさらに備え、前記両面テープの、前記移動方向における幅は、前記押圧面の幅よりも幅広である一方、前記クリーナー部材の幅よりも幅狭であることが望ましい。
【0012】
この光走査装置によれば、押圧部材の押圧面に、両面テープを用いてクリーナー部材を簡易に取り付けることができる。また、クリーナー部材における前記押圧面の幅よりも幅広の部分にトナーや塵埃が堆積する状況となっても、前記両面テープの前記押圧面の幅よりも幅広の部分の粘着面に堆積物が着床する。従って、堆積物の飛散を防止することができる。
【0013】
上記の光走査装置において、前記押圧部材は、前記押圧面となる下面と、この下面の前記移動方向の両端縁から立ち上がる一対の側面とを有し、前記クリーナー部材は、前記下面及び前記一対の側面を包み込むように前記押圧部材に添設され、前記クリーナー部材の包み込みによって、前記移動方向における前記クリーナー部材の幅が、前記押圧面の幅よりも幅広とされていることが望ましい。
【0014】
この光走査装置によれば、移動方向におけるクリーナー部材の幅を押圧面の幅よりも幅広とする態様として、押圧部材の下面及び一対の側面を包む態様が取られる。この包み込みにより、前記押圧面と前記クリーナー部材との接合界面が表出することはない。従って、前記クリーナー部材の前記押圧面からの剥がれや捲れを確実に防止することができる。
【0015】
上記の光走査装置において、前記押圧部材は、前記下面及び前記一対の側面と、前記下面と対向する上面とを有する直方体からなり、前記クリーナー部材は、前記下面、前記一対の側面及び前記上面を包み込むように前記押圧部材に添設され、前記ホルダは、前記クリーナー部材によって包み込まれた前記押圧部材の前記上面が嵌め込まれる保持凹部を備えることが望ましい。
【0016】
この光走査装置によれば、クリーナー部材が押圧部材の上面まで包み込んだ状態で、ホルダの収容凹部に嵌め込まれる。このため、前記押圧部材を包み込んだクリーナー部材が解れないようにすることができる。
【0017】
上記の光走査装置において、前記清掃部材は、前記押圧部材の前記下面と前記クリーナー部材との間、前記押圧部材の前記上面と前記クリーナー部材との間、又は、前記保持凹部と前記クリーナー部材との間の少なくとも一箇所に配置される両面テープをさらに備え、前記押圧部材の前記一対の側面と前記クリーナー部材とは直接対向していることが望ましい。
【0018】
この光走査装置によれば、両面テープの介在によって、クリーナー部材と押圧部材、若しくは、押圧部材を包み込んだクリーナー部材と保持凹部とを、強固に一体化することができる。他方、押圧部材の前記一対の側面には両面テープは取り付けられないので、前記押圧部材の弾発特性は実質的に変化しない。従って、前記押圧部材によりクリーナー部材を、設定通りに押圧させることができる。
【0019】
上記の光走査装置において、前記押圧部材は、前記下面及び前記一対の側面と、前記下面と対向する上面とを有する直方体からなり、前記ホルダは、前記押圧部材の前記上面が嵌め込まれる保持凹部と、この保持凹部を区画する壁面を貫通するスリットと、を含み、前記クリーナー部材は、前記下面及び前記一対の側面を包み込み、且つ、前記スリットを通して前記保持凹部の上面を包み込むように、前記押圧部材及び前記ホルダに添設されていることが望ましい。
【0020】
この光走査装置によれば、押圧部材を包み込むクリーナー部材が、さらにスリットを貫通して保持凹部の上面も包み込む。このため、前記押圧部材及び前記クリーナー部材が強固にホルダに取り付けられる構造を実現することができる。
【0021】
上記の光走査装置において、前記清掃部材は、前記押圧部材の前記下面と前記クリーナー部材との間、又は、前記保持凹部の上面と前記クリーナー部材との間の少なくとも一箇所に配置される両面テープをさらに備え、前記押圧部材の前記一対の側面と前記クリーナー部材とは直接対向していることが望ましい。
【0022】
この光走査装置によれば、両面テープの介在によって、クリーナー部材と押圧部材、若しくは、押圧部材を包み込んだクリーナー部材と保持凹部とを、強固に一体化することができる。他方、押圧部材の前記一対の側面には両面テープは取り付けられないので、前記押圧部材の所期の弾性特性を維持することができる。
【0023】
上記の光走査装置において、前記保持凹部の上面に、前記クリーナー部材と機械的に係合する係合部を備えることが望ましい。
【0024】
この光走査装置によれば、両面テープ等の接着部材を用いることなく、或いは前記接着部材の使用数を減らして、押圧部材を包み込んだクリーナー部材をホルダに取り付けることができる。
【0025】
本発明のさらに他の局面に係る画像形成装置は、像担持体と、画像情報に基づいて前記像担持体に対して走査光を照射する、上記の光走査装置とを備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、クリーナー部材の保持部材からの剥がれや捲れを防止することが可能な清掃機構を含む光走査装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略的な断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る光走査装置の内部構成を示す概略的な断面図である。
【
図6】
図6(A)は、比較例の清掃部材の断面図、
図6(B)及び(C)は、比較例の清掃部材の問題点を示す模式図である。
【
図7】
図7(A)は、本発明の第1実施形態に係る清掃部材の断面図、
図7(B)はその拡大図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る清掃部材の断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る清掃部材の断面図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態に係る清掃部材の断面図である。
【
図11】
図11は、第5実施形態に係る清掃部材が取り付けられるホルダの斜視図である。
【
図12】
図12は、第5実施形態に係る清掃部材の断面図である。
【
図13】
図13は、第6実施形態に係る清掃部材の断面図である。
【
図14】
図14は、第7実施形態に係る清掃部材が取り付けられるホルダの斜視図である。
【
図15】
図15は、第7実施形態に係る清掃部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳述する。本実施形態では、本発明に係る光走査装置が、画像形成装置の一例であるカラープリンター1に適用される例を示す。画像形成装置は、モノクロプリンター、ファクシミリ装置、或いは複合機等であっても良い。また、本発明に係る光走査装置は、画像形成装置以外の機器に適用されても良い。
【0029】
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るカラープリンター1の内部構造を示す概略的な断面図である。カラープリンター1は、略直方体のハウジングからなる本体ハウジング10と、この本体ハウジング10に収容された、画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bk、光走査ユニット23(光走査装置)、中間転写ユニット28及び定着ユニット30とを含む。本体ハウジング10の上面には排紙トレイ11が備えられている。排紙トレイ11に対向して、シート排出口12が開口している。また、本体ハウジング10の側壁には、手差しトレイ13が開閉自在に取り付けられている。本体ハウジング10の下部には、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット14が、着脱自在に装着されている。
【0030】
画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナー像を、外部機器から伝送された画像情報に基づき形成する。各画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bkは、静電潜像及びトナー像を担持する感光体ドラム21(像担持体)、感光体ドラム21の周面を帯電させる帯電器22、画像情報に基づき感光体ドラム21に走査光を照射して静電潜像を形成する光走査ユニット23、前記静電潜像に現像剤を付着させてトナー像を形成する現像器24、この現像器24に各色のトナーを供給するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各トナーコンテナ25Y、25C、25M、25Bk、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を一次転写させる一次転写ローラー26、及び感光体ドラム21の周面の残留トナーを除去するクリーニング装置27を含む。これらのうち、光走査ユニット23については後記で詳述する。
【0031】
中間転写ユニット28は、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を一次転写させる。中間転写ユニット28は、各感光体ドラム21の周面に接触しつつ周回する転写ベルト281と、転写ベルト281が架け渡される駆動ローラー282および従動ローラー283とを含む。転写ベルト281は、一次転写ローラー26によって各感光体ドラム21の周面に押し付けられている。各色の感光体ドラム21上のトナー像は転写ベルト281上の同一箇所に重ね合わせて一次転写される。これにより、フルカラーのトナー像が転写ベルト281上に形成される。
【0032】
駆動ローラー282に対向して、転写ベルト281を挟んで二次転写ニップ部Tを形成する二次転写ローラー29が配置されている。転写ベルト281上のフルカラートナー像は、二次転写ニップ部Tにおいてシート上に二次転写される。シート上に転写されずに転写ベルト281の周面に残留したトナーは、従動ローラー283に対向して配置されたベルトクリーニング装置284によって回収される。
【0033】
定着ユニット30は、熱源が内蔵された定着ローラー31と、定着ローラー31と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラー32とを含む。定着ユニット30は、二次転写ニップ部Tにおいてトナー像が転写されたシートを、定着ニップ部Nにおいて加熱及び加圧することで、トナーをシートに溶着させる定着処理を施す。定着処理が施されたシートは、シート排出口12から排紙トレイ11に向けて排出される。
【0034】
本体ハウジング10の内部には、シートを搬送するためのシート搬送路が設けられている。シート搬送路は、二次転写ニップ部T及び定着ユニット30を経由して、上下方向に延びるメイン搬送路P1を含む。メイン搬送路P1の下流端は、シート排出口12に接続されている。両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路P2が、メイン搬送路P1の最下流端から上流端付近まで延設されている。また、手差しトレイ13からメイン搬送路P1に至る手差しシート用搬送路P3が、給紙カセット14の上方に配置されている。
【0035】
給紙カセット14は、シートの束を収容するシート収容部を備える。給紙カセット14の右上付近には、シート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すピックアップローラー151と、そのシートをメイン搬送路P1の上流端に送り出す給紙ローラー対152とが備えられている。手差しトレイ13に載置されたシートも、手差しシート用搬送路P3を通して、メイン搬送路P1の上流端に送り出される。メイン搬送路P1の二次転写ニップ部Tよりも上流側には、所定のタイミングでシートを転写ニップ部に送り出すレジストローラー対153が配置されている。
【0036】
シートに片面印刷(画像形成)処理が行われる場合、給紙カセット14又は手差しトレイ13からシートがメイン搬送路P1に送り出され、該シートに二次転写ニップ部Tにおいてトナー像の転写処理が、定着ユニット30において転写されたトナーをシートに定着させる定着処理が、各々施される。その後、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。一方、シートに両面印刷処理が行われる場合、シートの片面に対して転写処理及び定着処理が施された後、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に一部が排紙される。その後、該シートはスイッチバック搬送され、反転搬送路P2を経て、メイン搬送路P1の上流端付近に戻される。しかる後、シートの他面に対して転写処理及び定着処理が施され、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。
【0037】
[清掃機構付き光走査ユニット]
続いて、光走査ユニット23について詳述する。
図2は、光走査ユニット23の内部構成を示す概略的な断面図である。
図3は、各々光走査ユニット23の斜視図、
図4はその上面図である。
図2~
図4には前後、左右、上下の方向表示を付しているが、これは説明の便宜のためであり、必ずしも実際の方向とは一致しない。
【0038】
光走査ユニット23は、走査光L(光走査用の光線)を発生する光学機構OSと、光学機構OSを収容する筐体4と、筐体4に組付けられる清掃機構50とを含む。筐体4は、上面が開口した直方体の容器からなる下部筐体41と、前記開口を塞ぐ蓋体42とからなる。
図2では、蓋体42が取り外された状態の断面図が示されており、
図3では、下部筐体41が点線で簡略的に示されている。蓋体42は、光学機構OSが発生する走査光Lを外部へ出射するための出射開口を備え、その出射開口には防塵ガラス48(窓部)が嵌め込まれている。清掃機構50は、蓋体42(筐体40)に組付けられ、防塵ガラス48を清掃する。
【0039】
図2を参照して、光学機構OSは、図略の光源、ポリゴンミラー43、ポリゴンモーター44、第1走査レンズ45、第2走査レンズ46及び複数のミラー47を含む。前記光源は、走査光Lとなるレーザー光線を発する半導体レーザーを含む。ポリゴンミラー43は、正六角形の各辺に沿って偏向面が形成された多面鏡である。ポリゴンモーター44は、ポリゴンミラー43を回転軸回りに回転駆動する。ポリゴンミラー43は、前記回転軸回りに回転しつつ、前記光源から発せられた各色用の走査光Lを偏向し、当該走査光Lにて各感光体ドラム21の周面を各々走査させる。
【0040】
第1走査レンズ45及び第2走査レンズ46は、走査光Lの光路上においてポリゴンミラー43と感光体ドラム21との間に配置され、各走査光Lを各感光体ドラム21の前記周面に結像させる。本実施形態では、ポリゴンミラー43を挟んで、二組の第1、第2走査レンズ45、46が対向配置される光走査ユニット23を例示している。すなわち、右方の2つの感光体ドラム21(例えばマゼンタ、ブラック用)に対して、一組の第1、第2走査レンズ45、46が配置され、左方の2つの感光体ドラム21(例えばイエロー、シアン用)に対して、他の一組の第1、第2走査レンズ45、46が配置されている。第1、第2走査レンズ45、46は、入射光の角度と像高とが比例関係となる歪曲収差(fθ特性)を有するレンズである。複数のミラー47は、ポリゴンミラー43で偏向された走査光Lを、各感光体ドラム21に向かうように反射する。
【0041】
図3及び
図4を参照して、防塵ガラス48は、4色の感光体ドラム21に対応して、4枚が蓋体42に装着されている。4枚の防塵ガラス48は、各々前後方向に長い矩形形状を備え、左右方向に所定間隔を置いて平行に配置されている。右方側の2枚の防塵ガラス48は、例えばマゼンタ及びブラック用の走査光Lを通過させ、左方側の2枚の防塵ガラス48は、例えばイエロー、シアン用の走査光Lを通過させる。
【0042】
蓋体42において、右方側及び左方側の2枚の防塵ガラス48の間には、それぞれ前後方向に延びる中央溝491が形成されている。また、2枚の防塵ガラス48の右外側には前後方向に延びる右ガイドレール492が、左外側には前後方向に延びる左ガイドレール493が、各々設けられている。中央溝491、右ガイドレール492及び左ガイドレール493は、概ね蓋体42の前端から後端の全長に亘って延びており、また、防塵ガラス48の長手方向と平行に配置されている。
【0043】
蓋体42の前端側及び後端側であって、2つの中央溝491の前後の端部には各々、従動回転するプーリー61が合計4個配置されている。4個のプーリー61には、駆動ワイヤー62が張架されている。駆動ギア63は、駆動ワイヤー62が掛け回される周面を備え、駆動モーターMTによって正回転駆動又は逆回転駆動される。駆動ワイヤー62は、駆動ギア63の周面に掛け回されている巻回部分621と、中央溝491内に収容される溝内部分622とを備える。駆動ギア63に駆動モーターMTから駆動力が与えられると、駆動ワイヤー62は4個のプーリー61で定められた周回経路を移動する。
【0044】
清掃機構50は二つの清掃ユニット5(第1清掃ユニット5A、第2清掃ユニット5B)を備えている。本実施形態では、右方側の2枚の防塵ガラス48の清掃のために第1清掃ユニット5Aが、左方側の2枚の防塵ガラス48の清掃のために第2清掃ユニット5Bが、各々配置されている。
図5は、清掃ユニット5(5A、5B)の斜視図である。清掃ユニット5は、防塵ガラス48に摺接して清掃する清掃部材51と、この清掃部材51を保持するホルダ52とを含む。
【0045】
ホルダ52は、ホルダ本体520、結合ボス部521、右ガイド部522、左ガイド部523及び保持凹部53を含む。ホルダ本体520は、左右方向に長いフレーム部材である。ホルダ本体520の左右幅は、2枚の防塵ガラス48の左右の並び幅よりも長い。結合ボス部521は、ホルダ本体520の左右方向中央の下部に突設されている。結合ボス部521は、駆動ワイヤー62が密に嵌め込まれるワイヤー溝WGを備えている。このワイヤー溝WGにおいてホルダ52は駆動ワイヤー62に固定され、駆動ワイヤー62が移動するとホルダ52も移動する。右ガイド部522は、ホルダ本体520の右端側に設けられたフック状の係合部分である。左ガイド部523は、ホルダ本体520の左端側に設けられたフック状の係合部分である。
【0046】
結合ボス部521は、蓋体42の中央溝491に遊嵌される。右ガイド部522は右ガイドレール492に、左ガイド部523は左ガイドレール493に、それぞれ外側から嵌め込まれるように係合される。従って、ホルダ52は、右及び左ガイドレール492、493でガイドされながら、また、結合ボス部521は中央溝491にガイドされながら、前方向又は後方向に移動することが可能である。
【0047】
保持凹部53は、清掃部材51を保持する部分であって、ホルダ本体520の右方側及び左方側に各々配置されている。清掃部材51の上端領域が保持凹部53に嵌め込まれる態様で、清掃部材51は保持凹部53に保持される。例えば、清掃部材51の上面と保持凹部53との間に両面テープや接着剤が介在され、両者が接合される。保持凹部53の配置位置は、防塵ガラス48に対応した位置である。すなわち、ホルダ52が右及び左ガイドレール492、493に嵌め込まれた状態において、右方側の防塵ガラス48に対向する位置と、左方側の防塵ガラス48に対向する位置とに、各々保持凹部53が配置されている。保持凹部53で保持された清掃部材51の下面は、所定の押圧力を持って防塵ガラス48の表面に当接される。
【0048】
例えば、駆動ギア63が駆動モーターMTにより正回転駆動されると、
図4に示す駆動ワイヤー62が時計方向に周回移動すると想定する。前記正回転駆動の場合、駆動ワイヤー62に固定された右方側の第1清掃ユニット5Aは、右及び左ガイドレール492、493にガイドされつつ後方から前方へ移動する。一方、左方側の第2清掃ユニット5Bは、同様にガイドされながら前方から後方へ移動する。これに対し、駆動ギア63が逆回転駆動されると、第1清掃ユニット5Aは前方から後方へ移動し、第2清掃ユニット5Bは後方から前方へ移動する。
【0049】
第1、第2清掃ユニット5A、5B(ホルダ52)の移動の際、清掃部材51の下面は防塵ガラス48の表面上を前後方向(所定の移動方向)に摺動する。これにより、防塵ガラス48が清掃される。例えば、駆動ギア63が正回転駆動される期間が往路清掃期間、逆回転駆動される期間が復路清掃期間であると想定する。また、
図4の状態が、前記往路清掃期間の開始前の状態とする。前記往路清掃期間では、第1清掃ユニット5Aが中央溝491の後端付近から前端付近まで移動される一方、第2清掃ユニット5Bは前端付近から後端付近まで移動される。この移動の際、第1、第2清掃ユニット5A、5Bの清掃部材51は、防塵ガラス48の往路清掃を行う。これに対し、前記復路清掃期間では、第1清掃ユニット5Aが中央溝491の前端付近から後端付近まで移動される一方、第2清掃ユニット5Bは後端付近から前端付近まで移動される。この移動の際、第1、第2清掃ユニット5A、5Bの清掃部材51は、防塵ガラス48の復路清掃を行うものである。
【0050】
[比較例の清掃部材]
図6(A)は、比較例の清掃部材51Pの断面図である。ここでは、ホルダ52については、保持凹部53だけを模式的に示している(以下の図でも同じ)。清掃部材51Pは、防塵ガラス48の表面に当接するクリーナー部材54Pと、弾性体からなる押圧部材55とを含む。押圧部材55は、クリーナー部材54Pを防塵ガラス48に向けて押圧する下面551を有する。図中の矢印は、ホルダ52の移動方向Mを示している。
【0051】
クリーナー部材54Pは、両面テープ又は接着剤等を用いて押圧部材55の下面551に固着されている。移動方向Mの幅において、クリーナー部材54Pの幅は、下面551の幅よりも僅かに短く設定されている。このため、下面551の移動方向Mにおける両端部が僅かに露出している。清掃部材51Pは、保持凹部53に保持された状態で移動方向Mに移動し、その移動の際にクリーナー部材54Pが防塵ガラス48に摺接し、当該防塵ガラス48の表面の汚れを拭い取るように清掃する。
【0052】
しかし、比較例の清掃部材51Pでは、クリーナー部材54Pの剥がれや捲れが生じることがある。
図6(B)は、比較例の清掃部材51Pの問題点を示す模式図である。上述の通り、清掃部材51Pは防塵ガラス48上を往復動する往路清掃m1と復路清掃m2とを行う。往路清掃m1では、防塵ガラス48のガラスエッジ部48Eを超えるまで、清掃部材51Pが移動される。往路清掃m1が完了した状態では、清掃部材51Pは防塵ガラス48上から外れた位置にある。続く復路清掃m2では、清掃部材51Pは往路清掃m1とは反対の方向に移動される。その初動時、清掃部材51Pはガラスエッジ部48Eから防塵ガラス48上へ再度乗り上げる。この際、ガラスエッジ部48Eの存在部分には段差が生じるため、クリーナー部材54Pの側端縁54Eがガラスエッジ部48Eに衝突する。この衝突によって、クリーナー部材54Pが押圧部材55の下面551から剥離してしまうことがある。
【0053】
図6(C)は、比較例の清掃部材51Pの他の問題点を示す模式図である。ここでは、押圧部材55と防塵ガラス48との接触による引っ掛かりの問題を示している。一般に、使用初期段階における防塵ガラス48の摩擦係数が高く、また、移動方向Mにおいて摩擦係数が一定でない。このため、清掃部材51Pが防塵ガラス48に当接しつつ移動方向Mに移動してゆくときに、摩擦係数が高い箇所に遭遇すると、保持凹部53(ホルダ52)の移動に清掃部材51Pが追従できない場合が生じる。この場合、清掃部材51Pは前のめりのような状態となり、押圧部材55の下面551の移動方向先端部551Eが防塵ガラス48に直接接触することがある。弾性体からなる押圧部材55は一般に摩擦係数が高い。すると、清掃部材51Pの防塵ガラス48に対する摩擦抵抗が一気に上がり、クリーナー部材54Pの移動方向先端部が捲れ上がってカールする捲れ部Rが発生し得る。
【0054】
[清掃部材の各種実施形態]
以下、上記の比較例のような、クリーナー部材の剥がれや捲れの問題が生じることのない、清掃部材の各種実施形態を例示する。
【0055】
<第1実施形態>
図7(A)は、本発明の第1実施形態に係る清掃部材51の断面図、
図7(B)はその拡大図である。清掃部材51は、防塵ガラス48の表面に当接するクリーナー部材54と、弾性体からなる押圧部材55とを含む。上述の比較例と同様に、清掃部材51は、保持凹部53に保持された状態で移動方向Mに往復移動する。その移動の際に、クリーナー部材54が防塵ガラス48に摺接し、当該防塵ガラス48の表面の汚れを拭い取るように清掃する。
【0056】
クリーナー部材54としては、例えばフェルトや不織布等からなるシート片を用いることができる。押圧部材55としては、例えばウレタンゴム等のゴム又はゴム製スポンジや、所要の弾性を有する樹脂ブロック片などを用いることができる。
【0057】
押圧部材55は、直方体の形状を有し、下面551(押圧面)と、下面551とは反対側の面である上面552と、下面551と上面552との間に延びる一対の側面553(一対の側面)とを備える。下面551は、クリーナー部材54を防塵ガラス48に向けて押圧する押圧面である。下面551には、例えば両面テープ又は接着剤等を用いて、クリーナー部材54が固着される。上面552は、保持凹部53に取り付けられる面である。例えば上面552は、両面テープ又は接着剤等の接着手段や、機械的な係合手段を用いて、保持凹部53に固着される。
【0058】
一対の側面553は、下面551の移動方向Mの両端縁から立ち上がり、上面552の両端縁に至る面である。一対の側面553は、特段の拘束を受けない面である。これは、一対の側面553に何らかの部材が接合されると、押圧部材55の弾発特性を変化させてしまうからである。なお、
図7の紙面の垂直方向にも一対の側面が存在するが、当該側面も何らの拘束を受けない面とされる。
【0059】
クリーナー部材54は、前記シート片の下面である清掃面541と、上面である接合面542とを含む。清掃面541は、防塵ガラス48の表面に当接する面である。接合面542は、押圧部材55の下面551に固着される面である。クリーナー部材54には、ホルダ52からの押圧力が押圧部材55を介して与えられる。ホルダ52の押圧力は、右及び左ガイドレール492、493への係合に由来して発生する。押圧部材55の介在によって前記押圧力は均圧化され、清掃面541の全面が均等な圧力で防塵ガラス48の表面に当接することができる。従って、クリーナー部材54の片当たり等を生じさせず、良好に防塵ガラス48の清掃を行わせることができる。
【0060】
保持凹部53は、水平方向に延びる水平壁531と、水平壁531の端縁から下方に垂下する垂下壁532とによって区画されている。保持凹部53は、清掃部材51の上端付近の領域を収容可能なキャビティである。水平壁531は、下面533と上面534とを含む。下面533には、押圧部材55の上面552が接合される。
【0061】
第1実施形態の清掃部材51が上述の比較例と相違する点は、クリーナー部材54の移動方向Mの幅である。移動方向Mにおいて、クリーナー部材54の幅d1は、押圧部材55の下面551の幅d2よりも幅広(d1>d2)に設定されている。つまり、移動方向Mにおいて、クリーナー部材54を構成するシート片の幅が、直方体からなる押圧部材55の辺長よりも幅広とされている。d1は、d2の1.05倍~1.50倍程度に設定することが望ましい。d1>d2の関係とされた結果、クリーナー部材54は、押圧部材55の一対の側面553から移動方向Mに各々突出する延出部543を備えている。各延出部543の突出長d3は、(d1-d2)×(1/2)の長さである。
【0062】
延出部543は、押圧部材55から弾発的な押圧力を受けない部分となるため、防塵ガラス48の清掃にはさほど寄与しない。しかし、延出部543を備えることで、クリーナー部材54は、防塵ガラス48のガラスエッジ部48E(
図6(B)参照)との干渉を生じ難くすることができる。例えば、往路清掃m1が完了したとき、延出部543の少なくとも一部がガラスエッジ部48Eに乗り上げた状態となるようにホルダ52に移動を規制しておく。そうすると、復路清掃m2の初動時に、クリーナー部材54の移動方向Mの先端縁とガラスエッジ部48Eとの干渉の発生を回避させることができる。
【0063】
また、防塵ガラス48の摩擦係数が高い、若しくは移動方向Mにおいて摩擦係数が一定でないことに起因する、押圧部材55と防塵ガラス48との接触による引っ掛かりの問題も、延出部543の存在によって回避できる。すなわち、摩擦力によって保持凹部53(ホルダ52)の移動に清掃部材51が追従できない場合が生じたとしても、移動方向Mの前方側に延びる延出部543が、押圧部材55の防塵ガラス48に対する接触をガードする。従って、押圧部材55が直接的に防塵ガラス48に接することはなく、クリーナー部材54の押圧部材55からの剥がれや捲れを防止することができる。
【0064】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る清掃部材51Aの断面図である。清掃部材51Aが第1実施形態の清掃部材51と相違する点は、押圧部材55の下面551よりも幅広の両面テープ56を備える点である。清掃部材51Aのその他の構成は第1実施形態と同様であるので、詳しい説明は省く。
【0065】
両面テープ56は、シート状の基材の両面に接着層を備えた部材である。両面テープ56は、クリーナー部材54の接合面542と押圧部材55の下面551との間に配置され、クリーナー部材54と押圧部材55とを接合している。両面テープ56の、移動方向Mにおける幅d4は、下面551の幅d2よりも幅広である一方、クリーナー部材54の幅d1よりも幅狭とされている(d1>d4>d2)。
【0066】
d4>d2の関係とされた結果、両面テープ56は、押圧部材55の一対の側面553から移動方向Mに各々突出する突出部分を備えている。この突出部分は、トナーや塵埃等のトラップ部56Tである。また、d1>d4であるので、クリーナー部材54の延出部543は、トラップ部56Tよりもさらに一対の側面553から突出している。なお、延出部543の突出長さを、実質的にトラップ部56Tの突出長さと同一(d1=d4)としても良い。
【0067】
第2実施形態の清掃部材51Aによれば、押圧部材55の下面551に、両面テープ56を用いてクリーナー部材54を簡易に取り付けることができる。また、トラップ部56Tにより、延出部543に堆積するトナーや塵埃を捕捉することができる。すなわち、クリーナー部材54に延出部543を具備させた場合、延出部543の上面には押圧部材55が存在しないことから、画像形成ユニット2Y~2Bkで用いられるトナーや周囲の塵埃が堆積し得る。その堆積物が振動等で防塵ガラス48上に転落すると、走査光Lを遮って画像不良を発生させる。しかし、本実施形態では、延出部543上にトラップ部56Tが重畳されている。トラップ部56Tは、その下面はクリーナー部材54の延出部543に接着されるものの、その上面は接着層が露出した状態となる。従って、延出部543上にトナーや塵埃が堆積する状況となっても、トラップ部56Tの接着層に堆積物が着床する。従って、堆積物の転落や飛散を防止することができる。
【0068】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る清掃部材51Bの断面図である。第3実施形態では、が押圧部材55を包み込む態様のクリーナー部材54Aを備えた清掃部材51Bを例示する。クリーナー部材54Aは、押圧部材55の下面551及び一対の側面553を包み込むように、押圧部材55に添設されている。すなわち、クリーナー部材54Aは、清掃面541を備えた清掃部分に加えて、一対の側面包皮部544及び一対の上面包皮部545を備えている。
【0069】
清掃面541を備えた前記清掃部分は、押圧部材55の下面551を覆っている。清掃面541が押圧部材55によって弾発的な押圧力を与えられ、防塵ガラス48を清掃する点は、上記の第1、第2実施形態と同じである。一対の側面包皮部544は、清掃面541の移動方向Mの両端縁から上方へ折れ曲がる部分である。一対の側面包皮部544は、下面551の移動方向Mの両端縁から立ち上がる一対の側面553の全てを覆っている。一対の上面包皮部545は、側面包皮部544の上端から各々内側に折れ曲がり、上面552の大半を覆っている。つまり、本実施形態は、押圧部材55をクリーナー部材54Aで包み込むことによって、移動方向Mにおけるクリーナー部材54Aの幅d1を、下面551(押圧面)の幅d2よりも幅広とする態様である。
【0070】
清掃部材51Bの上端付近、つまり、クリーナー部材54Aによって包み込まれた押圧部材55の上面552は、保持凹部53に嵌め込まれている。これにより、上面包皮部545は、保持凹部53の下面533と押圧部材55の上面552とによって挟み込まれた状態とされている。このような、クリーナー部材54Aによる押圧部材55の包皮状態が維持されるよう、適宜な接着手段が適所に設けられる。但し、押圧部材55の弾発特性を変化させないよう、側面包皮部544と側面553とは非接着の状態とされる。
【0071】
第3実施形態の清掃部材51Bによれば、移動方向Mにおけるクリーナー部材54Aの幅d1を下面551の幅d2よりも幅広とする態様として、クリーナー部材54Aが押圧部材55の下面551、一対の側面553及び上面552を包む態様が取られる。この包み込みにより、下面551とクリーナー部材54Aとの接合界面が表出することはない。このため、清掃部材51Bが防塵ガラス48のガラスエッジ部48Eに衝突しても、清掃部材51Bが下面551から剥がれることはない。また、押圧部材55がクリーナー部材54Aで包皮されているので、押圧部材55が防塵ガラス48と直接接触することはない。従って、クリーナー部材54Aの下面551からの剥がれや捲れを確実に防止することができる。
【0072】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態に係る清掃部材51Cの断面図である。清掃部材51Cが第4実施形態と相違する点は、上記の接着手段として、第1、第2、第3両面テープ56A、56B、56Cが用いられる点である。
【0073】
第1両面テープ56Aは、押圧部材55の下面551とクリーナー部材54Aの清掃面541の部分との間に配置されている。第2両面テープ56Bは、押圧部材55の上面552とクリーナー部材54Aの上面包皮部545との間に配置されている。第3両面テープ56Cは、保持凹部53における水平壁531の下面533と上面包皮部545との間に配置されている。一方、押圧部材55の一対の側面553とクリーナー部材54Aの側面包皮部544とは、両面テープを介することなく直接対向しており、非接着の状態である。
【0074】
第4実施形態の清掃部材51Cによれば、第1、第2両面テープ56A、56Bによって、クリーナー部材54Aが押圧部材55を包み込んだ状態で、両者を強固に一体化することができる。また、クリーナー部材54A及び押圧部材55の組み立て体を、第3両面テープ56Cを用いて、ワンタッチで保持凹部53に取り付けることができる。従って、清掃ユニット5の組み立て作業の効率化を図ることができる。また、一対の側面553には両面テープが取り付けられないので、押圧部材55の弾発特性に実質的な変化は生じない。従って、押圧部材55によりクリーナー部材54Aの清掃面541へ、設定通りの押圧力を与えることができる。なお、第1、第2、第3両面テープ56A、56B、56Cの少なくとも一つを所定の箇所に配置し、他の一つ又は二つの配置を省くようにしても良い。
【0075】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態に用いられるホルダ52Aの斜視図、
図12は、ホルダ52Aに取り付けられる第5実施形態に係る清掃部材51Dの断面図である。第5実施形態のホルダ52Aが
図5のホルダ52と相違する点は、保持凹部53Aに一対のスリット535が形成されている点である。各スリット535は、保持凹部53Aを区画する水平壁531を上下方向に貫通している。一のスリット535が水平壁531の前端付近に、他のスリット535が水平壁531の後端付近に、それぞれ配置されている。スリット535の左右方向の幅は、清掃部材51Dにおいて用いられるクリーナー部材54Aの左右幅よりもやや大きい幅である。
【0076】
クリーナー部材54Aは、押圧部材55の下面551及び一対の側面553を包み込み、且つ、スリット535を通して保持凹部53Aの上面534を包み込むように、押圧部材55及びホルダ52Aに添設されている。すなわち、クリーナー部材54Aは、第3、第4実施形態と同様に、清掃面541を備えた清掃部分に加えて、一対の側面包皮部544及び一対の上面包皮部545を備えている。側面包皮部544は、押圧部材55の側面553を覆っている。側面包皮部544の上端は、スリット535を貫通し、水平壁531の上面534を超える位置まで至っている。上面包皮部545は、保持凹部53Aの上面534と対向している。
【0077】
クリーナー部材54A、押圧部材55及び保持凹部53Aの接合のため、第4、第5両面テープ56D、56Eが用いられている。第4両面テープ56Dは、押圧部材55の下面551とクリーナー部材54Aの清掃面541に相当する部分との間に配置され、両者を接着している。第5両面テープ56Eは、上面包皮部545と保持凹部53Aの上面534との間に配置され、両者を接着している。組み立てに際しては、押圧部材55の下面551とクリーナー部材54Aとを第4両面テープ56Dで接合した上で、上面包皮部545をスリット535に貫通させ、上面534に予め接着しておいた第5両面テープ56Eに上面包皮部545を接着させる。
【0078】
第5実施形態の清掃部材51Dによれば、押圧部材55を包み込むクリーナー部材54Aが、さらにスリット535を貫通して保持凹部53Aの上面534も包み込む。このため、押圧部材55及びクリーナー部材54Aが強固にホルダ52Aに取り付けられる構造を実現することができる。
【0079】
<第6実施形態>
図13は、第6実施形態に係る清掃部材51Eの断面図である。第6実施形態も、スリット535を備えたホルダ52Aを使用する実施形態であるが、第5実施形態と異なる点は、第6両面テープ56Fを一枚使用するだけで、ホルダ52Aに清掃部材51Eを固定する点である。
【0080】
清掃部材51Eのクリーナー部材54Aは、押圧部材55の下面551及び一対の側面553を包み込み、且つ、スリット535を通して保持凹部53Aの上面534を包み込むように、押圧部材55及びホルダ52Aに添設されている。第6両面テープ56Fは、上面包皮部545と保持凹部53Aの上面534との間に配置され、両者を接着している。一方、押圧部材55の下面551とクリーナー部材54Aとは接着されていない。
【0081】
組み立てに際しては、押圧部材55の下面551及び側面553をクリーナー部材54Aで包み込んだ上で、上面包皮部545をスリット535に貫通させ、上面534に予め接着しておいた第6両面テープ56Fに上面包皮部545を接着させる。この際、押圧部材55の上面552が保持凹部53の下面533に押し当たる状態とされる。第6実施形態の清掃部材51Eによれば、使用する両面テープの枚数を減らすことができる。
【0082】
<第7実施形態>
図14は、第7実施形態に用いられるホルダ52Bの斜視図、
図15は、ホルダ52Bに取り付けられる第7実施形態に係る清掃部材51Fの断面図である。第7実施形態のホルダ52Bが先に示した
図11のホルダ52Aと相違する点は、保持凹部53Aの水平壁531に一対の係合突起536(係合部)が突設されている点である。一対の係合突起536は、一対のスリット535の内側に配置され、水平壁531の上面534から鉛直方向に突出する平板状の突起である。係合突起536の左右方向の幅は、清掃部材51Fにおいて用いられるクリーナー部材54Bの左右幅よりも狭い幅である。
【0083】
クリーナー部材54Bは、清掃面541を備えた清掃部分、一対の側面包皮部544及び一対の上面包皮部545を備えている。さらに、一対の上面包皮部545には、係合突起536に嵌め込まれる係止孔546が各々備えられている。クリーナー部材54Bは、押圧部材55の下面551及び一対の側面553を包み込み、且つ、スリット535を通して保持凹部53Aの上面534を包み込んでいる。そして、上面包皮部545の係止孔546が係合突起536に嵌め込まれることによって、清掃部材51Fがホルダ52Bに取り付けられている。なお、押圧部材55の下面551とクリーナー部材54Aの前記清掃部分とは、第7両面テープ56Gによって接着されている。
【0084】
清掃部材51Fがホルダ52Bへの組付けに際しては、押圧部材55の下面551とクリーナー部材54Aとを第7両面テープ56Gで接合する。そして、上面包皮部545をスリット535に貫通させ、上面534に突設されている係合突起536に係止孔546を嵌め込む。この嵌め込みによって、押圧部材55の上面552が保持凹部53の下面533に押し当たる状態となる。
【0085】
第7実施形態の清掃部材51Fによれば、両面テープ等の接着部材を用いることなく、清掃部材51Fとホルダ52Bとを、係合突起536の係止孔546への挿通という機械的な係合によって一体化することができる。従って、押圧部材55を包み込んだクリーナー部材54Bを、簡単な作業でホルダ52Bに取り付けることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 カラープリンター(画像形成装置)
2Y、2C、2M、2Bk 画像形成ユニット
21 感光体ドラム(像担持体)
23 光走査ユニット(光走査装置)
40 筐体
48 防塵ガラス(窓部)
50 清掃機構
5 清掃ユニット
51、51A~51F 清掃部材
52 ホルダ
53 保持凹部
531 水平壁(保持凹部を区画する壁)
535 スリット
536 係合突起(係合部)
54、54A、54B クリーナー部材
55 押圧部材
551 下面(押圧面)
552 上面
553 側面(一対の側面)
56、56A~56G 両面テープ
L 走査光(光走査用の光線)
M 移動方向