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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】光走査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20240611BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240611BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240611BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B41J2/47 101D
G02B26/10 Z
G03G15/04
H04N1/113
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020100270
(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公開番号】P2021194780
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真悟
(72)【発明者】
【氏名】小林 竜也
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-139816(JP,A)
【文献】特開2015-225237(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0245866(US,A1)
【文献】特開2009-244540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0148173(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G02B 26/10
G03G 15/04
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光走査用の光線を発生する光学機構を収容すると共に、前記光線を外部へ出射する窓部を備えた筐体と、
前記筐体に組付けられ、前記窓部を清掃する清掃機構と、
前記清掃機構を駆動する駆動機構と、を備え、
前記窓部は、走査方向の一端側の第1エッジと、他端側の第2エッジとを有し、
前記清掃機構は、前記窓部の表面に当接する当接面を有する清掃部材と、前記清掃部材を保持するホルダと、を有する清掃ユニットを含み、
前記駆動機構は、
前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう往路清掃と、前記第2エッジから前記第1エッジへ戻る復路清掃とを行うように、前記ホルダを移動させるものであり、
前記往路清掃の開始位置においては、前記第1エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とし、
前記復路清掃の開始位置においては、前記第2エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とする、光走査装置において、
前記駆動機構は、前記往路清掃の開始位置における前記窓部と前記当接面との第1当接量L1と、前記復路清掃の開始位置における前記窓部と前記当接面との第2当接量L2とが、L1≠L2の関係となるように前記ホルダを移動させる、光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置において、
前記往路清掃の開始位置が、前記清掃機構が前記窓部の清掃を行わない期間における前記清掃ユニットの待機位置に設定されている場合において、
前記駆動機構は、L1<L2の関係を満たすように前記ホルダを移動させる、光走査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光走査装置において、
前記窓部は、前記筐体の異なる位置に配置された第1窓部及び第2窓部を含み、
前記清掃機構は、前記第1窓部を清掃する第1清掃ユニットと、前記第2窓部を清掃する第2清掃ユニットとを含み、前記第1清掃ユニットと前記第2清掃ユニットとは、
前記第1清掃ユニットが前記第1窓部の前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう前記往路清掃を行う際、前記第2清掃ユニットは前記第2窓部の前記第2エッジから前記第1エッジへ向かう前記復路清掃を行い、且つ、
前記第1清掃ユニットが前記第1窓部の前記第2エッジから前記第1エッジへ向かう前記復路清掃を行う際、前記第2清掃ユニットは前記第2窓部の前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう前記往路清掃を行うように連動するものであって、
前記筐体は、前記第1清掃ユニットが前記往路清掃の終了位置において当止するストッパを備え、
前記駆動機構は、
前記第1清掃ユニットの第1ホルダと前記第2清掃ユニットの第2ホルダとを連動させる連動部材と、
ギア部を備え、前記連動部材に駆動力を伝達する駆動伝達部材と、
駆動源から駆動力を与えられ、前記駆動伝達部材の前記ギア部と歯合する駆動ギアと、を備える、光走査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光走査装置において、
前記窓部は、前記筐体の異なる位置に配置された第1窓部及び第2窓部を含み、
前記清掃機構は、前記第1窓部を清掃する第1清掃ユニットと、前記第2窓部を清掃する第2清掃ユニットとを含み、前記第1清掃ユニットと前記第2清掃ユニットとは、
前記第1清掃ユニットが前記第1窓部の前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう前記往路清掃を行う際、前記第2清掃ユニットは前記第2窓部の前記第2エッジから前記第1エッジへ向かう前記復路清掃を行い、且つ、
前記第1清掃ユニットが前記第1窓部の前記第2エッジから前記第1エッジへ向かう前記復路清掃を行う際、前記第2清掃ユニットは前記第2窓部の前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう前記往路清掃を行うように連動するものであって、
前記駆動機構は、前記第1清掃ユニットの第1ホルダと前記第2清掃ユニットの第2ホルダとを連動させる連動部材を含み、
前記光走査用の光線が、前記第1エッジ側における走査端に至る走査角を持つ状態を第1最外角光線、前記第2エッジ側における走査端に至る走査角を持つ状態を第2最外角光線とし、
前記往路清掃の開始位置における前記第1最外角光線と前記第1ホルダとの間の距離をM1、前記復路清掃の開始位置における前記第2最外角光線と前記第2ホルダとの間の距離をM2とするとき、
L1=M1、L2=M2
の関係となるように設定されている、光走査装置。
【請求項5】
光走査用の光線を発生する光学機構を収容すると共に、前記光線を外部へ出射する窓部を備えた筐体と、
前記筐体に組付けられ、前記窓部を清掃する清掃機構と、
前記清掃機構を駆動する駆動機構と、を備え、
前記窓部は、走査方向の一端側の第1エッジと、他端側の第2エッジとを有し、
前記清掃機構は、前記窓部の表面に当接する当接面を有する清掃部材と、前記清掃部材を保持するホルダと、を有する清掃ユニットを含み、
前記駆動機構は、
前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう往路清掃と、前記第2エッジから前記第1エッジへ戻る復路清掃とを行うように、前記ホルダを移動させるものであり、
前記往路清掃の開始位置においては、前記第1エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とし、
前記復路清掃の開始位置においては、前記第2エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とする、光走査装置において、
前記筐体は、前記窓部の前記第1エッジ及び前記第2エッジに対して所定の収容空間をおいて各々対峙する壁部を備える、光走査装置。
【請求項6】
光走査用の光線を発生する光学機構を収容すると共に、前記光線を外部へ出射する窓部を備えた筐体と、
前記筐体に組付けられ、前記窓部を清掃する清掃機構と、
前記清掃機構を駆動する駆動機構と、を備え、
前記窓部は、走査方向の一端側の第1エッジと、他端側の第2エッジとを有し、
前記清掃機構は、前記窓部の表面に当接する当接面を有する清掃部材と、前記清掃部材を保持するホルダと、を有する清掃ユニットを含み、
前記駆動機構は、
前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう往路清掃と、前記第2エッジから前記第1エッジへ戻る復路清掃とを行うように、前記ホルダを移動させるものであり、
前記往路清掃の開始位置においては、前記第1エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とし、
前記復路清掃の開始位置においては、前記第2エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とする、光走査装置において、
前記筐体は、前記窓部の前記第1エッジ及び前記第2エッジの外側に各々配置され、前記当接面に当接が可能な突起部を備える、光走査装置。
【請求項7】
光走査用の光線を発生する光学機構を収容すると共に、前記光線を外部へ出射する窓部を備えた筐体と、
前記筐体に組付けられ、前記窓部を清掃する清掃機構と、
前記清掃機構を駆動する駆動機構と、を備え、
前記窓部は、走査方向の一端側の第1エッジと、他端側の第2エッジとを有し、
前記清掃機構は、前記窓部の表面に当接する当接面を有する清掃部材と、前記清掃部材を保持するホルダと、を有する清掃ユニットを含み、
前記駆動機構は、
前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう往路清掃と、前記第2エッジから前記第1エッジへ戻る復路清掃とを行うように、前記ホルダを移動させるものであり、
前記往路清掃の開始位置においては、前記第1エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とし、
前記復路清掃の開始位置においては、前記第2エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とする、光走査装置において、
前記筐体は、前記往路清掃の開始位置において前記第1エッジよりも外側に、前記復路清掃の開始位置において前記第2エッジよりも外側に各々配置され、前記当接面よりも大きい摩擦係数を備え、前記当接面が当接可能な剥ぎ取り部材を備える、光走査装置。
【請求項8】
像担持体と、
画像情報に基づいて前記像担持体に対して走査光を照射する、請求項1~7のいずれか1項に記載の光走査装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査対象物に照射する光走査用の光線を発生する光走査装置、及びその光走査装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査光を発生する光走査装置は、光源、ポリゴンミラー及び走査レンズ等の走査光学系と、この走査光学系を収容し塵埃から保護する筐体とを含む。走査光は、前記筐体に備えられた透明ガラスからなる窓部を通して、所定の走査対象物に照射される。画像形成装置の場合、前記走査対象物は感光体ドラムであり、前記走査光の照射によって前記感光体ドラムの周面に静電潜像が形成される。
【0003】
前記窓部が汚濁した場合、走査光が適正に走査対象物へ照射されなくなる。このため、前記窓部を定期的に自動清掃することが求められる。この自動清掃のために、前記窓部に摺接する清掃部材と、この清掃部材を保持するホルダとを含む清掃ユニットを、前記窓部に沿って往復移動させる清掃機構が光走査装置に付設される。清掃部材は、前記窓部に当接するクリーナー部材を含み、このクリーナー部材が前記ホルダで保持される(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-333799号公報
【文献】特開2012-042588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記窓部の清掃時に、クリーナー部材がホルダ等の保持部材から剥がれたり、或いはロール状に捲れたりする不具合の生じることがあった。一般に、前記透明ガラスは、窓部の開口縁に載置する態様で筐体に組付けられる。このため、前記透明ガラスのエッジには段差が生じる。上記の不具合は、清掃ユニットを透明ガラスに沿って往路移動させた後、復路移動を開始する際に、前記ガラスのエッジにクリーナー部材が引っ掛かることで生じることが多い。往路移動を開始する際も同様である。
【0006】
本発明の目的は、清掃部材の剥がれや捲れを防止することが可能な清掃機構を含む光走査装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る光走査装置は、光走査用の光線を発生する光学機構を収容すると共に、前記光線を外部へ出射する窓部を備えた筐体と、前記筐体に組付けられ、前記窓部を清掃する清掃機構と、前記清掃機構を駆動する駆動機構と、を備え、前記窓部は、走査方向の一端側の第1エッジと、他端側の第2エッジとを有し、前記清掃機構は、前記窓部の表面に当接する当接面を有する清掃部材と、前記清掃部材を保持するホルダと、を有する清掃ユニットを含み、前記駆動機構は、前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう往路清掃と、前記第2エッジから前記第1エッジへ戻る復路清掃とを行うように、前記ホルダを移動させるものであり、前記往路清掃の開始位置においては、前記第1エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とし、前記復路清掃の開始位置においては、前記第2エッジよりも内側に前記清掃部材の当接面の一部が位置するよう前記ホルダが停止した状態とすることを特徴とする。
【0008】
この光走査装置によれば、往路清掃の開始位置において当接面が第1エッジよりも外側に完全には離脱せず、また、復路清掃の開始位置において当接面が第2エッジよりも外側に完全には離脱しない。このため、往路清掃の開始直後若しくは復路清掃の開始に、前記第1エッジ若しくは前記第2エッジと清掃部材の側端縁との干渉が生じない。従って、清掃部材の剥がれや捲れを防止することができる。
【0009】
上記の光走査装置において、前記駆動機構は、前記往路清掃の開始位置における前記窓部と前記当接面との第1当接量L1と、前記復路清掃の開始位置における前記窓部と前記当接面との第2当接量L2とが、L1≠L2の関係となるように前記ホルダを移動させることが望ましい
【0010】
この光走査装置によれば、L1又はL2のいずれか一方を他方より大きくすることで、清掃機構及び駆動機構の組付け誤差や部品の公差を、当接量が大きい方に余裕を持って吸収させることができる。
【0011】
上記の光走査装置において、前記往路清掃の開始位置が、前記清掃機構が前記窓部の清掃を行わない期間における前記清掃ユニットの待機位置に設定されている場合において、前記駆動機構は、L1<L2の関係を満たすように前記ホルダを移動させることが望ましい。
【0012】
この光走査装置によれば、清掃ユニットは清掃の期間を除き、往路清掃の開始位置に待機する。この待機中、前記清掃部材の当接面の一部が、前記第1エッジの近傍の窓部へ乗り上げた状態となる。その乗り上げ部分は圧縮力を受け、前記清掃部材が変形する虞がある。そこで、L1<L2の関係とすれば、前記第1エッジ側における前記当接面の前記窓部への乗り上げ長さを比較的短くすることができる。これにより、前記清掃部材の変形を抑制することができる。
【0013】
上記の光走査装置において、前記窓部は、前記筐体の異なる位置に配置された第1窓部及び第2窓部を含み、前記清掃機構は、前記第1窓部を清掃する第1清掃ユニットと、前記第2窓部を清掃する第2清掃ユニットとを含み、前記第1清掃ユニットと前記第2清掃ユニットとは、前記第1清掃ユニットが前記第1窓部の前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう前記往路清掃を行う際、前記第2清掃ユニットは前記第2窓部の前記第2エッジから前記第1エッジへ向かう前記復路清掃を行い、且つ、前記第1清掃ユニットが前記第1窓部の前記第2エッジから前記第1エッジへ向かう前記復路清掃を行う際、前記第2清掃ユニットは前記第2窓部の前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう前記往路清掃を行うように連動するものであって、前記筐体は、第1清掃ユニットが前記往路清掃の終了位置において当止するストッパを備え、前記駆動機構は、前記第1清掃ユニットの第1ホルダと前記第2清掃ユニットの第2ホルダとを連動させる連動部材と、ギア部を備え、前記連動部材に駆動力を伝達する駆動伝達部材と、駆動源から駆動力を与えられ、前記駆動伝達部材の前記ギア部と歯合する駆動ギアと、を備えることが望ましい。
【0014】
この光走査装置によれば、第1清掃ユニットの第1ホルダが保持する清掃部材が、第1窓部の第2エッジから落ち、第1清掃ユニットがストッパに当止することで往路清掃が終了する。これと同じ時期に、第2清掃ユニットの第2ホルダが保持する清掃部材が、第2窓部の第1エッジから落ち、前記ストッパへの当止タイミングで第2清掃ユニットも停止する。このような連動機構において、L1≠L2の関係とされているので、第1清掃ユニットの清掃部材の移動方向先端が第1窓部の第2エッジから落ちるタイミングと、第2清掃ユニットの清掃部材の移動方向先端が第2窓部の第1エッジから落ちるタイミングとにズレを生じさせることができる。清掃部材が前記エッジから落ちる際には衝撃が発生し、駆動伝達部材のギア部と駆動ギアとの歯合部分に歯飛びを発生させ得る。例えばL1=L2とすると、第1及び第2清掃ユニットの清掃部材のエッジからの落下タイミングが一致してしまい、大きな衝撃が発生する。しかし、上記構成では、L1≠L2として落下タイミングにズレを生じさせているので、衝撃の発生を抑制することができる。
【0015】
上記の光走査装置において、前記窓部は、前記筐体の異なる位置に配置された第1窓部及び第2窓部を含み、前記清掃機構は、前記第1窓部を清掃する第1清掃ユニットと、前記第2窓部を清掃する第2清掃ユニットとを含み、前記第1清掃ユニットと前記第2清掃ユニットとは、前記第1清掃ユニットが前記第1窓部の前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう前記往路清掃を行う際、前記第2清掃ユニットは前記第2窓部の前記第2エッジから前記第1エッジへ向かう前記復路清掃を行い、且つ、前記第1清掃ユニットが前記第1窓部の前記第2エッジから前記第1エッジへ向かう前記復路清掃を行う際、前記第2清掃ユニットは前記第2窓部の前記第1エッジから前記第2エッジへ向かう前記往路清掃を行うように連動するものであって、前記駆動機構は、前記第1清掃ユニットの第1ホルダと前記第2清掃ユニットの第2ホルダとを連動させる連動部材を含み、前記光走査用の光線が、前記第1エッジ側における走査端に至る走査角を持つ状態を第1最外角光線、前記第2エッジ側における走査端に至る走査角を持つ状態を第2最外角光線とし、前記往路清掃の開始位置における前記第1最外角光線と前記第1ホルダとの間の距離をM1、前記復路清掃の開始位置における前記第2最外角光線と前記第2ホルダとの間の距離をM2とするとき、
L1=M1、L2=M2
の関係となるように設定されていることが望ましい。
【0016】
上記の第1清掃ユニット及び第2清掃ユニットの連動機構では、L1が小さく設定されるとL2が大きくなる。これにより、M1は大きくなる一方、M2は小さくなる。逆に、L1が大きく設定されるとL2が小さくなる。これにより、M1は小さくなる一方、M2は大きくなる。従って、L1=M1、L2=M2としておけば、例えば公差や組付け誤差の影響で、駆動機構が正確にホルダをL1の分だけ移動できない場合でも、その誤差を吸収可能となる。つまり、誤差が介在していても、決して第1及び第2清掃ユニットが第1及び第2最外角光線を遮らず、且つ、各々が保持する清掃部材の当接面が前記第1エッジ又は前記第2エッジの外側まで移動することがない。
【0017】
上記の光走査装置において、前記筐体は、前記窓部の前記第1エッジ及び前記第2エッジに対して所定の収容空間をおいて各々対峙する壁部を備えることが望ましい。
【0018】
この光走査装置によれば、前記窓部の表面から拭い取ったトナーや塵埃等の異物を、前記収容空間に回収することができる。
【0019】
上記の光走査装置において、前記筐体は、前記窓部の前記第1エッジ及び前記第2エッジの外側に各々配置され、前記当接面に当接が可能な突起部を備えることが望ましい。
【0020】
この光走査装置によれば、前記突起部により前記当接面に付着した異物を掻き落とすことができ、前記当接面を清浄化することができる。
【0021】
上記の光走査装置において、前記筐体は、前記往路清掃の開始位置において前記第1エッジよりも外側に、前記復路清掃の開始位置において前記第2エッジよりも外側に各々配置され、前記当接面よりも大きい摩擦係数を備え、前記当接面が当接可能な剥ぎ取り部材を備えることが望ましい。
【0022】
この光走査装置によれば、前記当接面を前記剥ぎ取り部材に摺接させることで、前記摩擦係数差に基づき、前記当接面に付着した異物を剥ぎ取らせることができる。
【0023】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、像担持体と、画像情報に基づいて前記像担持体に対して走査光を照射する、上記の光走査装置とを備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、清掃部材の剥がれや捲れを防止することが可能な清掃機構を含む光走査装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略的な断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る光走査装置の内部構成を示す概略的な断面図である。
図3図3は、前記光走査装置の斜視図である。
図4図4は、前記光走査装置の上面図である。
図5図5は、清掃ユニットの斜視図である。
図6図6は、図4の矢印VI部分の拡大図である。
図7図7は、図4の矢印VII部分の拡大図である。
図8図8は、図4の矢印VIII部分の拡大図である。
図9図9(A)は、清掃部材の側断面図、図9(B)は、清掃ユニットの駆動制御の比較例を示す模式図、図9(C)は、清掃ユニットの駆動制御の基本実施形態を示す模式図である。
図10図10は、第1実施形態を示し、筐体の蓋体の斜視図に、往路清掃及び復路清掃の開始位置における清掃部材の当接面の位置を示す断面図を付記した図である。
図11図11は、第2実施形態の清掃ユニットの駆動制御を示す図であって、往路清掃の開始位置における清掃部材の位置を示す断面図である。
図12図12は、第2実施形態の清掃ユニットの駆動制御を示す図であって、復路清掃の開始位置における清掃部材の位置を示す断面図である。
図13図13(A)及び(B)は、清掃ユニットを駆動するモーターの電流値の時間変化を示すグラフである。
図14図14は、トナーの回収機構を示す断面図である。
図15図15は、トナーの回収機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳述する。本実施形態では、本発明に係る光走査装置が、画像形成装置の一例であるカラープリンター1に適用される例を示す。画像形成装置は、モノクロプリンター、ファクシミリ装置、或いは複合機等であっても良い。また、本発明に係る光走査装置は、画像形成装置以外の機器に適用されても良い。
【0027】
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るカラープリンター1の内部構造を示す概略的な断面図である。カラープリンター1は、略直方体のハウジングからなる本体ハウジング10と、この本体ハウジング10に収容された、画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bk、光走査ユニット23(光走査装置)、中間転写ユニット28及び定着ユニット30とを含む。本体ハウジング10の上面には排紙トレイ11が備えられている。排紙トレイ11に対向して、シート排出口12が開口している。また、本体ハウジング10の側壁には、手差しトレイ13が開閉自在に取り付けられている。本体ハウジング10の下部には、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット14が、着脱自在に装着されている。
【0028】
画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナー像を、外部機器から伝送された画像情報に基づき形成する。各画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bkは、静電潜像及びトナー像を担持する感光体ドラム21(像担持体)、感光体ドラム21の周面を帯電させる帯電器22、画像情報に基づき感光体ドラム21に走査光を照射して静電潜像を形成する光走査ユニット23、前記静電潜像に現像剤を付着させてトナー像を形成する現像器24、この現像器24に各色のトナーを供給するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各トナーコンテナ25Y、25C、25M、25Bk、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を一次転写させる一次転写ローラー26、及び感光体ドラム21の周面の残留トナーを除去するクリーニング装置27を含む。これらのうち、光走査ユニット23については後記で詳述する。
【0029】
中間転写ユニット28は、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を一次転写させる。中間転写ユニット28は、各感光体ドラム21の周面に接触しつつ周回する転写ベルト281と、転写ベルト281が架け渡される駆動ローラー282および従動ローラー283とを含む。転写ベルト281は、一次転写ローラー26によって各感光体ドラム21の周面に押し付けられている。各色の感光体ドラム21上のトナー像は転写ベルト281上の同一箇所に重ね合わせて一次転写される。これにより、フルカラーのトナー像が転写ベルト281上に形成される。
【0030】
駆動ローラー282に対向して、転写ベルト281を挟んで二次転写ニップ部Tを形成する二次転写ローラー29が配置されている。転写ベルト281上のフルカラートナー像は、二次転写ニップ部Tにおいてシート上に二次転写される。シート上に転写されずに転写ベルト281の周面に残留したトナーは、従動ローラー283に対向して配置されたベルトクリーニング装置284によって回収される。
【0031】
定着ユニット30は、熱源が内蔵された定着ローラー31と、定着ローラー31と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラー32とを含む。定着ユニット30は、二次転写ニップ部Tにおいてトナー像が転写されたシートを、定着ニップ部Nにおいて加熱及び加圧することで、トナーをシートに溶着させる定着処理を施す。定着処理が施されたシートは、シート排出口12から排紙トレイ11に向けて排出される。
【0032】
本体ハウジング10の内部には、シートを搬送するためのシート搬送路が設けられている。シート搬送路は、二次転写ニップ部T及び定着ユニット30を経由して、上下方向に延びるメイン搬送路P1を含む。メイン搬送路P1の下流端は、シート排出口12に接続されている。両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路P2が、メイン搬送路P1の最下流端から上流端付近まで延設されている。また、手差しトレイ13からメイン搬送路P1に至る手差しシート用搬送路P3が、給紙カセット14の上方に配置されている。
【0033】
給紙カセット14は、シートの束を収容するシート収容部を備える。給紙カセット14の右上付近には、シート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すピックアップローラー151と、そのシートをメイン搬送路P1の上流端に送り出す給紙ローラー対152とが備えられている。手差しトレイ13に載置されたシートも、手差しシート用搬送路P3を通して、メイン搬送路P1の上流端に送り出される。メイン搬送路P1の二次転写ニップ部Tよりも上流側には、所定のタイミングでシートを転写ニップ部に送り出すレジストローラー対153が配置されている。
【0034】
シートに片面印刷(画像形成)処理が行われる場合、給紙カセット14又は手差しトレイ13からシートがメイン搬送路P1に送り出され、該シートに二次転写ニップ部Tにおいてトナー像の転写処理が、定着ユニット30において転写されたトナーをシートに定着させる定着処理が、各々施される。その後、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。一方、シートに両面印刷処理が行われる場合、シートの片面に対して転写処理及び定着処理が施された後、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に一部が排紙される。その後、該シートはスイッチバック搬送され、反転搬送路P2を経て、メイン搬送路P1の上流端付近に戻される。しかる後、シートの他面に対して転写処理及び定着処理が施され、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。
【0035】
[清掃機構付き光走査ユニット]
続いて、光走査ユニット23について詳述する。図2は、光走査ユニット23の内部構成を示す概略的な断面図である。図3は、各々光走査ユニット23の斜視図、図4はその上面図である。図2図4には前後、左右、上下の方向表示を付しているが、これは説明の便宜のためであり、必ずしも実際の方向とは一致しない。
【0036】
光走査ユニット23は、走査光S(光走査用の光線)を発生する光学機構OSと、光学機構OSを収容する筐体4と、筐体4に組付けられる清掃機構50とを含む。筐体4は、上面が開口した直方体の容器からなる下部筐体41と、前記開口を塞ぐ蓋体42とからなる。図2では、蓋体42が取り外された状態の断面図が示されており、図3では、下部筐体41が点線で簡略的に示されている。蓋体42は、光学機構OSが発生する走査光Sを外部へ出射するための出射開口を備え、その出射開口には防塵ガラス48(窓部)が嵌め込まれている。清掃機構50は、蓋体42(筐体40)に組付けられ、防塵ガラス48を清掃する。
【0037】
図2を参照して、光学機構OSは、図略の光源、ポリゴンミラー43、ポリゴンモーター44、第1走査レンズ45、第2走査レンズ46及び複数のミラー47を含む。前記光源は、走査光Sとなるレーザー光線を発する半導体レーザーを含む。ポリゴンミラー43は、正六角形の各辺に沿って偏向面が形成された多面鏡である。ポリゴンモーター44は、ポリゴンミラー43を回転軸回りに回転駆動する。ポリゴンミラー43は、前記回転軸回りに回転しつつ、前記光源から発せられた各色用の走査光Sを偏向し、当該走査光Sにて各感光体ドラム21の周面を各々走査させる。
【0038】
第1走査レンズ45及び第2走査レンズ46は、走査光Sの光路上においてポリゴンミラー43と感光体ドラム21との間に配置され、各走査光Sを各感光体ドラム21の前記周面に結像させる。本実施形態では、ポリゴンミラー43を挟んで、二組の第1、第2走査レンズ45、46が対向配置される光走査ユニット23を例示している。すなわち、右方の2つの感光体ドラム21(例えばマゼンタ、ブラック用)に対して、一組の第1、第2走査レンズ45、46が配置され、左方の2つの感光体ドラム21(例えばイエロー、シアン用)に対して、他の一組の第1、第2走査レンズ45、46が配置されている。第1、第2走査レンズ45、46は、入射光の角度と像高とが比例関係となる歪曲収差(fθ特性)を有するレンズである。複数のミラー47は、ポリゴンミラー43で偏向された走査光Sを、各感光体ドラム21に向かうように反射する。
【0039】
図3及び図4を参照して、防塵ガラス48は、4色の感光体ドラム21に対応して、4枚が蓋体42に装着されている。4枚の防塵ガラス48は、各々走査方向(前後方向)に長い矩形形状を備え、左右方向に所定間隔を置いて平行に配置されている。右方側の2枚の防塵ガラス48(以下、「第1ガラス48A」ということがある)は、例えばマゼンタ及びブラック用の走査光Sを通過させ、左方側の2枚の防塵ガラス48(以下、第2ガラス48Bということがある)は、例えばイエロー、シアン用の走査光Sを通過させる。
【0040】
蓋体42において、2枚の第1ガラス48A及び2枚の第2ガラス48Bの間には、それぞれ前後方向に延びる中央溝491が形成されている。また、第1、第2ガラス48A、48Bの右外側には前後方向に延びる右ガイドレール492が、左外側には前後方向に延びる左ガイドレール493が、各々設けられている。中央溝491、右ガイドレール492及び左ガイドレール493は、概ね蓋体42の前端から後端の全長に亘って延びており、また、第1、第2ガラス48A、48Bの長手方向と平行に配置されている。以下、第1、第2ガラス48A、48Bについて、後端側(走査方向の一端側)を第1エッジE1、前端側(走査方向の他端側)を第2エッジE2という。
【0041】
清掃機構50は二つの清掃ユニット5(第1清掃ユニット5A、第2清掃ユニット5B)を備えている。本実施形態では、2枚の第1ガラス48A(第1窓部)の清掃のために第1清掃ユニット5Aが、2枚の第2ガラス48B(第2窓部)の清掃のために第2清掃ユニット5Bが、各々配置されている。図5は、清掃ユニット5(5A、5B)の斜視図である。清掃ユニット5は、防塵ガラス48に摺接して清掃する清掃部材51と、この清掃部材51を保持するホルダ52(第1ホルダ52A、第2ホルダ52B)とを含む。
【0042】
清掃部材51は、2枚の第1ガラス48A又は2枚の第2ガラス48Bに各々対応して、一つの清掃ユニット5当たり2個ずつ保持されている。清掃部材51は、直方体の形状を有し、その下面が、第1、第2ガラス48A、48Bの各表面に当接する当接面54Sとされる。
【0043】
ホルダ52は、ホルダ本体520、結合ボス部521、右ガイド部522、左ガイド部523及び保持凹部53を含む。ホルダ本体520は、左右方向に長いフレーム部材である。ホルダ本体520の左右幅は、2枚の第1ガラス48A又は第2ガラスの左右の並び幅よりも長い。結合ボス部521は、ホルダ本体520の左右方向中央の下部に突設されている。結合ボス部521は、後述の駆動ワイヤー62が密に嵌め込まれるワイヤー溝WGを備えている。右ガイド部522は、ホルダ本体520の右端側に設けられたフック状の係合部分である。左ガイド部523は、ホルダ本体520の左端側に設けられたフック状の係合部分である。
【0044】
結合ボス部521は、蓋体42の中央溝491に遊嵌される。右ガイド部522は右ガイドレール492に、左ガイド部523は左ガイドレール493に、それぞれ外側から嵌め込まれるように係合される。従って、ホルダ52は、右及び左ガイドレール492、493でガイドされながら、また、結合ボス部521は中央溝491にガイドされながら、前方向又は後方向に移動することが可能である。
【0045】
保持凹部53は、清掃部材51を保持する部分であって、ホルダ本体520の右方側及び左方側に各々配置されている。清掃部材51の上端領域が保持凹部53に嵌め込まれる態様で、清掃部材51は保持凹部53に保持される。例えば、清掃部材51の上面と保持凹部53との間に両面テープや接着剤が介在され、両者が接合される。保持凹部53の配置位置は、防塵ガラス48に対応した位置である。例えば第1清掃ユニット5Aの場合、ホルダ52が右及び左ガイドレール492、493に嵌め込まれた状態において、2枚の第1ガラス48Aの右方側に対向する位置と、左方側に対向する位置とに、各々保持凹部53が配置されている。保持凹部53で保持された清掃部材51の下面は当接面54Sであり、所定の押圧力を持って防塵ガラス48の表面に当接される。
【0046】
[清掃機構の駆動機構]
光走査ユニット23は、上述の清掃機構50を駆動する駆動機構60を備えている。上掲の図4と、図4の矢印VI部分の拡大図である図6とを主に参照して、駆動機構60について説明する。駆動機構60は、プーリー61、駆動ワイヤー62(連動部材)、駆動伝達部材63、モーター70(駆動源)、駆動ギア71及び制御部72を備えている。
【0047】
モーター70は、プリンター1の本体ハウジング10内に配置されており、正回転又は逆回転の回転駆動力を発生する。駆動ギア71は、モーター70の出力軸に取り付けられている。制御部72は、モーター70の正回転又は逆回転の切り替え、回転期間、回転速度などの駆動制御を実行する。
【0048】
プーリー61は、蓋体42の上面に計4個配置されている。すなわち、蓋体42の前端側及び後端側であって、2つの中央溝491の前後の端部の位置に、それぞれプーリー61が配置されている。駆動ワイヤー62は、4個のプーリー61に張架された無端ワイヤーである。駆動ワイヤー62は、第1清掃ユニット5Aの第1ホルダ52Aと第2清掃ユニット5Bの第2ホルダ52Bとを連動させる部材である。第1ホルダ52A及び第2ホルダ52Bの各結合ボス部521が備えるワイヤー溝WGが(図5)、駆動ワイヤー62に嵌め込まれて固定されている。従って、駆動ワイヤー62が周回移動すると、第1及び第2ホルダ52A、52Bが連動して移動する。
【0049】
駆動伝達部材63は、駆動ワイヤー62に周回移動の駆動力を伝達する部材である。駆動伝達部材63は、軸回りに回転可能に蓋体42に支持されている。駆動伝達部材63は、ギア部631及び駆動ホイル部632を含む。ギア部631は、モーター70側の駆動ギア71と歯合する。図6では両者が離間しているが、光走査ユニット23が本体ハウジング10に装着された状態では、ギア部631は駆動ギア71に歯合する。モーター70から駆動力を与えられた駆動ギア71が回転すると、ギア部631で駆動ギア71と歯合している駆動伝達部材63は、その回転軸回りに回転する。駆動ホイル部632は、駆動ワイヤー62が掛け回される部分である。
【0050】
駆動ワイヤー62は、この駆動ホイル部632の周面に掛け回されている巻回部分621と、中央溝491内に収容される溝内部分622とを備える。駆動伝達部材63が回転すると、駆動ホイル部632において駆動ワイヤー62には推進力が与えられ、駆動ワイヤー62は4個のプーリー61で定められた周回経路を移動する。一つのプーリー61には、駆動ワイヤー62に適正な張力を与える張力調整部623が付設されている。
【0051】
図7は、図4の矢印VII部分、すなわち右方側の第1ガラス48Aの第2エッジE2付近の拡大図である。図8は、図4の矢印VIII部分、すなわち左方側の第2ガラス48Bの第2エッジE2付近の拡大図である。蓋体42の前端付近には、第1清掃ユニット5Aを当止する一対のストッパ42Sと、第2清掃ユニット5Bを当止する一対のストッパ42Sとが設けられている。一対のストッパ42Sは、蓋体42の上面に突設されたリブであり、中央溝491の配置ラインを挟むように、左右一対で配置されている。なお、蓋体42の後端付近にはストッパは配置されていない。
【0052】
第1、第2清掃ユニット5A、5Bの第1、第2ホルダ52A、52Bの前側面には、一対の小突起524が形成されている(図6)。一対の小突起524は、一対のストッパ42Sに対応する位置に各々突設されている。図8では、第2エッジE2側に位置する第2ホルダ52Bの小突起524が、ストッパ42Sに当止している状態を示している。
【0053】
本実施形態では、第1、第2清掃ユニット5A、5Bの位置検知用のセンサは配置されていない。その代替として、制御部72はモーター70に供給されるモーター電流をモニターする。第1清掃ユニット5A又は第2清掃ユニット5Bのいずれかがストッパ42Sに当止されると、モーター70はロックされ、モーター電流が急上昇する。制御部72は、このモーター電流の急上昇が所定期間検知されたことをもって、第1、第2清掃ユニット5A、5Bのいずれか一方が第2エッジE2まで移動し、他方が第1エッジE1まで移動したことを知見する。
【0054】
図4を参照して、駆動機構60が、第1、第2清掃ユニット5A、5Bの第1、第2ホルダ52A、52Bを、第1、第2ガラス48A、48Bの第1エッジE1から第2エッジE2へ向かうよう移動させながら行う清掃を往路清掃m1とし、第2エッジE2から第1エッジE1へ戻るよう移動させながら行う清掃を復路清掃m2とする。駆動ワイヤー62に各々取り付けられた第1、第2清掃ユニット5A、5Bは、次の通りに連動する。第1清掃ユニット5Aが第1ガラス48Aの第1エッジE1から第2エッジE2へ向かう往路清掃m1を行う際、第2清掃ユニット5Bは第2ガラス48Bの第2エッジE2から第1エッジE1へ向かう復路清掃m2を行うように連動する。また、第1清掃ユニット5Aが第1ガラス48Aの第2エッジE2から第1エッジE1へ向かう復路清掃m2を行う際、第2清掃ユニット5Bは第2ガラス48Bの第1エッジE1から第2エッジE2へ向かう往路清掃m1を行うように連動する。
【0055】
例えば、モーター70が正回転して駆動伝達部材63が駆動されると、図4に示す駆動ワイヤー62が時計方向に周回移動すると想定する。前記正回転の駆動の場合、駆動ワイヤー62に固定された第1清掃ユニット5Aは、右及び左ガイドレール492、493にガイドされつつ第1エッジE1から第2エッジE2へ移動する(往路清掃m1の実行)。往路清掃m1の終了位置において第1清掃ユニット5Aは、ストッパ42Sに当止する。一方、第2清掃ユニット5Bは、同様にガイドされながら第2エッジE2から第1エッジE1へ移動する(復路清掃m2の実行)。これに対し、モーター70が逆回転して駆動伝達部材63が駆動されると、第1清掃ユニット5Aは第2エッジE2から第1エッジE1へ移動し(復路清掃m2の実行)、第2清掃ユニット5Bは第1エッジE1から第2エッジE2へ移動する(往路清掃m1の実行)。往路清掃m1の終了位置において第2清掃ユニット5Bは、ストッパ42Sに当止する。
【0056】
第1、第2清掃ユニット5A、5Bの移動の際、各清掃部材51の当接面54Sは、第1、第2ガラス48A、48Bの表面上を前後方向に摺動する。第1、第2清掃ユニット5A、5Bは、第1エッジE1と第2エッジE2との間を往復移動する。これにより、第1、第2ガラス48A、48Bが清掃される。
【0057】
[清掃部材及びその停止位置]
図9(A)は、清掃部材51の側断面図である。清掃部材51は、防塵ガラス48(第1、第2ガラス48A、48B)の表面に当接するクリーナー部材54と、弾性体からなる押圧部材55とを含む。図中の矢印は、ホルダ52の移動方向Mを示している。清掃部材51は、保持凹部53に保持された状態で移動方向Mに往復移動する。その移動の際に、クリーナー部材54が防塵ガラス48に摺接し、当該防塵ガラス48の表面の汚れを拭い取るように清掃する。
【0058】
クリーナー部材54としては、例えばフェルトや不織布等からなるシート片を用いることができる。押圧部材55としては、例えばウレタンゴム等のゴム又はゴム製スポンジや、所要の弾性を有する樹脂ブロック片などを用いることができる。
【0059】
押圧部材55は、直方体の形状を有し、下面551と、下面551とは反対側の面である上面552とを備える。下面551は、クリーナー部材54を防塵ガラス48に向けて押圧する押圧面である。下面551には、例えば両面テープ又は接着剤等を用いて、クリーナー部材54が固着される。上面552は、保持凹部53に取り付けられる面である。例えば上面552は、両面テープ又は接着剤等の接着手段や、機械的な係合手段を用いて、保持凹部53に固着される。
【0060】
クリーナー部材54は、前記シート片の下面である当接面54Sと、上面である接合面54Uとを含む。当接面54Sは、防塵ガラス48の表面に当接する面である。接合面54Uは、押圧部材55の下面551に固着される面である。クリーナー部材54には、ホルダ52からの押圧力が押圧部材55を介して与えられる。ホルダ52の押圧力は、右及び左ガイドレール492、493への係合に由来して発生する。押圧部材55の介在によって前記押圧力は均圧化され、当接面54Sの全面を均等な圧力で防塵ガラス48の表面に当接させることができる。従って、クリーナー部材54の片当たり等を生じさせず、良好に防塵ガラス48の清掃を行わせることができる。
【0061】
図9(B)は、清掃ユニット5の駆動制御の比較例を示す模式図である。比較例の駆動制御では、クリーナー部材54の押圧部材55からの剥がれや捲れが生じることがある。上述の通り、清掃部材51は防塵ガラス48上を往復動する往路清掃m1と復路清掃m2とを行う。比較例の往路清掃m1では、防塵ガラス48の第2エッジE2を超えるまで、清掃部材51が移動される。このため、往路清掃m1が完了した状態、つまり復路清掃m2の開始位置では、清掃部材51の当接面54Sは、防塵ガラス48上から外れた位置にある。
【0062】
続く復路清掃m2では、清掃部材51は往路清掃m1とは反対の方向に移動される。その初動時、清掃部材51は第2エッジE2から防塵ガラス48上へ乗り上げる。ここで、防塵ガラス48は、蓋体42に設けられた走査光Sの通過用の開口縁に載置される態様で、蓋体42に取り付けられる。このため、防塵ガラス48の第2エッジE2には段差が生じる(第1エッジE1も同様)。従って、清掃部材51が防塵ガラス48上へ乗り上げる際、クリーナー部材54の側端縁54Eが第2エッジE2に衝突する。この衝突によって、クリーナー部材54が押圧部材55の下面551から剥離したり、捲れたりすることがある。
【0063】
図9(C)は、本発明における清掃ユニット5の駆動制御の基本実施形態を示す模式図である。図9(C)に示す清掃部材51の位置は、往路清掃m1の終了位置であって復路清掃m2の開始位置である。すなわち本実施形態の往路清掃m1では、清掃部材51が防塵ガラス48の第2エッジE2を超えない位置でホルダ52が停止される。このとき、清掃部材51の当接面54Sの一部(移動方向後端側)は、防塵ガラス48の上に乗り上げた状態となる。つまり、移動方向Mに所定の当接量Lをもって、当接面54Sは防塵ガラス48に当接している。この状態から、復路清掃m2が開始されることになる。
【0064】
本実施形態では、ホルダ52が次のような動作を行うよう、制御部72がモーター70の駆動を制御する。先ず、往路清掃m1の終了位置であって復路清掃m2の開始位置においては、図9(C)に示す通り、第2エッジE2よりも内側に清掃部材51の当接面54Sの一部が位置する状態でホルダ52を停止させる。実際は、ストッパ42Sへの当接によりホルダ52が停止する。このときの第2エッジE2から側端縁54Eまでの距離である当接量Lは、後記で詳述する通り、種々の技術的観点に基づき設定される。また、復路清掃m2の終了位置であって往路清掃m1の開始位置においては、第1エッジE1よりも内側に当接面54Sの一部が位置する状態でホルダ52を停止させる。
【0065】
以上の通り本実施形態では、往路清掃m1の開始位置において当接面54Sが第1エッジE1よりも外側に完全には離脱せず、また、復路清掃m2の開始位置において当接面54Sが第2エッジE2よりも外側に完全には離脱しない。このため、往路清掃m1の開始直後若しくは復路清掃m2の開始に、図6(B)の比較例に示したような、第1エッジE1若しくは第2エッジE2とクリーナー部材54の側端縁54Eとの干渉が生じない。従って、本実施形態によれば、クリーナー部材54の押圧部材55からの剥がれや捲れを防止することができ、清掃部材51の清掃能力を低下させることはない。
【0066】
[第1実施形態]
図10は、清掃ユニット5の駆動制御の具体的な第1実施形態を示す図である。図10では、筐体4の蓋体42の斜視図に、往路清掃m1及び復路清掃m2の開始位置における清掃部材51の当接面54Sの位置を示す断面図が付記されている。右方側の第1清掃ユニット5Aは、第1ガラス48Aの第1エッジE1側の、往路清掃m1の開始位置に停止している。これに対し、左方側の第2清掃ユニット5Bは、第2ガラス48Bの第2エッジE2側の、復路清掃m2の開始位置に停止している。
【0067】
第1清掃ユニット5Aの清掃部材51は、第1エッジE1の近傍の第1ガラス48Aと当接面54Sの一部とが当接する位置で待機している。詳しくは、第1エッジE1とクリーナー部材54の前方側の側端縁54Eとの距離に相当する第1当接量L1で、当接面54Sは第1ガラス48Aに当接している。第1ガラス48Aから離脱している第1エッジE1より外側の部分では、弾性体からなる押圧部材55には圧縮力が加わっておらず、押圧部材55は下方へ自由長で伸長している。一方、第1ガラス48Aに当接する部分において、弾性体からなる押圧部材55は当接面54Sから加わる圧縮力によって圧縮されている。その圧縮量は、蓋体42の開口縁426に載置された第1ガラス48Aの厚みに概ね相当する。なお、第2清掃ユニット5Bが往路清掃m1の開始位置に停止するときも上記と同様である。
【0068】
一方、第2清掃ユニット5Bの清掃部材51は、第2エッジE2の近傍の第2ガラス48Bと当接面54Sの一部とが当接する位置で待機している。詳しくは、第2エッジE2とクリーナー部材54の後方側の側端縁54Eとの距離に相当する第2当接量L2で、当接面54Sは第2ガラス48Bに当接している。第2清掃ユニット5Bの清掃部材51の押圧部材55も、第2ガラス48Bに当接する部分において、押圧部材55は圧縮された状態となっている。なお、第1清掃ユニット5Aが復路清掃m2の開始位置に停止するときも上記と同様である。
【0069】
第1当接量L1及び第2当接量L2は、任意に設定することができる。例えば、L1=L2となるように、駆動機構60が第1、第2ホルダ52A、52Bを移動させる(若しくはストッパ42Sの位置を設定する)ことができる。しかし、L1≠L2の関係となるように第1、第2ホルダ52A、52Bを移動させることが望ましい。L1又はL2のいずれか一方を他方より大きくすることで、清掃機構50及び駆動機構60の組付け誤差や部品の公差を、当接量が大きい方に余裕を持って吸収させることができる。例えば、第1エッジE1を原点側として第1当接量L1を比較的小さい値とし、第2エッジE2を誤差吸収側として第2当接量L2を比較的大きな値とすれば良い。
【0070】
清掃機構50及び駆動機構60は、例えばプリンター1が千枚~数千枚程度の画像形成動作を実行する度に防塵ガラス48の清掃を行う。そのインターバルの間、第1、第2清掃ユニット5A、5Bは、第1エッジE1側又は第2エッジE2側の待機位置に停止している。清掃時には、第1、第2清掃ユニット5A、5Bは往復移動され、往路清掃m1及び復路清掃m2を実行する。その後、第1、第2清掃ユニット5A、5Bは再び待機状態となる。
【0071】
第1清掃ユニット5Aに注目して、往路清掃m1の開始位置が、第1ガラス48Aの清掃を行わない期間における第1清掃ユニット5Aの待機位置に設定されている場合を想定する。待機中、清掃部材51の当接面54Sの一部が、第1エッジE1の近傍の第1ガラス48Aへ乗り上げた状態となる。その乗り上げ部分は清掃インターバルの間、長期間に亘って圧縮力を受け、押圧部材55が変形する虞がある。押圧部材55に変形が生じると、クリーナー部材54を均等に押圧できず、当接面54Sの片当たりが生じ得る。
【0072】
この場合、第1清掃ユニット5Aについては、駆動機構60は、L1<L2の関係を満たすように第1ホルダ52Aを移動させることが望ましい。L1<L2の関係とすれば、待機位置となる第1エッジE1側における当接面54Sの第1ガラス48Aへの乗り上げ長さを比較的短くすることができる。これにより、清掃部材51の押圧部材55が圧縮力を受ける領域を小さくし、押圧部材55の変形を抑制することができる。なお、第2清掃ユニット5Bは、第2エッジE2側が待機位置となるので、押圧部材55が圧縮変形を抑止するという観点では、L1>L2の関係とすれば良い。
【0073】
[第2実施形態]
第2実施形態では、走査光Sの最外角光線と清掃部材51との位置関係を考慮した実施形態を示す。図11及び図12は、第2実施形態に係る清掃ユニットの駆動制御を示す図である。図11は、第1清掃ユニット5Aが往路清掃m1の開始位置に配置された状態の断面図、図12は、第2清掃ユニット5Bが復路清掃m2の開始位置に配置された状態の断面図である。
【0074】
図11及び図12には、走査幅の一端と他端とを示す第1最外角光線SM1及び第2最外角光線SM2が記載されている。第1最外角光線SM1は、走査光Sが、第1エッジE1側における走査端に至る走査角を持つときの光線である。第2最外角光線SM2は、走査光Sが、第2エッジE2側における走査端に至る走査角を持つときの光線である。
【0075】
第1、第2清掃ユニット5A、5Bの第1、第2当接量L1、L2については、先に図10に基づき説明した通りである。これに加え、図11及び図12には、往路清掃m1の開始位置における第1最外角光線SM1と第1ホルダ52Aとの間の第1距離M1と、復路清掃m2の開始位置における第2最外角光線SM2と第2ホルダ52Bとの間の第2距離M2とが記載されている。
【0076】
詳しくは、第1距離M1は、往路清掃m1の開始位置にある第1清掃ユニット5Aの、第1ホルダ52Aの前側の側面52Sと、第1最外角光線SM1との間の前後方向の距離である。第1ホルダ52Aが、往路清掃m1の開始位置から前方に第1距離M1以上離間した位置に存在すると、第1最外角光線SM1が側面52Sに当たる。第2距離M2は、復路清掃m2の開始位置にある第2清掃ユニット5Bの、第2ホルダ52Bの後側の側面52Sと、第2最外角光線SM2との間の前後方向の距離である。第2ホルダ52Bが、復路清掃m2の開始位置から後方に第2距離M2以上離間した位置に存在すると、第2最外角光線SM2が側面52Sに当たる。つまり、清掃のインターバルの間、第1、第2清掃ユニット5A、5Bについて第1、第2距離M1、M2を確保して待機させておかないと、走査光Sを遮光する不具合が生じる。
【0077】
本実施形態では、第1、第2当接量L1、L2と第1、第2距離M1、M2との関係について、
L1=M1、L2=M2、L1≠L2
の関係となるように設定されている。
【0078】
上述の通り、第1、第2清掃ユニット5A、5Bが一本の駆動ワイヤー62に結合され、第1清掃ユニット5Aが往路清掃m1を行うとき、第2清掃ユニット5Bが復路清掃m2を行うように連動する。このような連動機構では、L1が小さく設定されるとL2が大きくなる。これにより、M1は大きくなる一方、M2は小さくなるという関係性がある。逆に、L1が大きく設定されるとL2が小さくなる。これにより、M1は小さくなる一方、M2は大きくなるという関係性がある。
【0079】
例えば公差や組付け誤差の影響で、駆動機構60が設計通りに第1、第2ホルダ52A、52Bを移動させることが出来ない場合が想定される。この場合、当接面54Sが設定された第1、第2当接量L1、L2を持つ状態で、第1、第2清掃ユニット5A、5Bを待機させられない。しかしながら、L1=M1、L2=M2としておけば、設計通りに第1、第2ホルダ52A、52Bを移動できない場合でも、その誤差を吸収可能となる。
【0080】
例えば、第1当接量L1が設計値よりもΔLだけ小さい状態で、第1清掃ユニット5Aが往路清掃m1の開始位置で停止したとする。この場合、第1距離M1はΔLだけ増加する。一方、第2清掃ユニット5Bの第2当接量L2は、逆にΔLだけ増加する。また、第2距離M2はΔLだけ減少する。このため、仮に移動誤差が介在しても、L1とM1、L2とM2が、互いの余裕範囲で誤差を打ち消し合うことができる。つまり、第1、第2ホルダ52A、52Bが決して第1、第2最外角光線SM1、SM2を遮らず、且つ、各々が保持する清掃部材51の当接面54Sが第1エッジE1又は第2エッジE2の外側まで決して移動することがない状態を形成することができる。
【0081】
上記の利点に加え、L1≠L2とすることで、駆動機構60の動作を安定化させることができる。具体的には、駆動伝達部材63のギア部631とモーター70の駆動ギア71との歯飛びを防止することができる。本実施形態では、第1、第2清掃ユニット5A、5Bの各当接面54Sの一部が、第1、第2当接量L1、L2で接した状態で往路清掃m1及び復路清掃m2を終了する。しかし、当接面54Sの他の一部は、第1又は第2ガラス48A、48Bの第1又は第2エッジE1、E2から離れる。この際、前記他の一部は、第1、第2ガラス48A、48Bの厚み分だけ落下することになり、衝撃が発生する。
【0082】
具体的には、第1清掃ユニット5Aの往路清掃m1では、第1ホルダ52Aが保持する清掃部材51(当接面54S)の一部が、第1ガラス48A(第1窓部)の第2エッジE2から落ち、第1ホルダ52Aがストッパ42Sに当止することで往路清掃m1が終了する。これと同じ時期に、復路清掃m2を行う第2清掃ユニット5Bでは、第2ホルダ52Bが保持する清掃部材51の一部が、第2ガラス48B(第2窓部)の第1エッジE1から落ち、第1ホルダ52Aのストッパ42Sへの当止タイミングにおいて、第2清掃ユニット5Bも停止する。
【0083】
清掃部材51が第1、第2エッジE1、E2から落ちる際の衝撃又はストッパ42Sへの衝突により、駆動伝達部材63のギア部631と駆動ギア71との歯合部分に歯飛びを発生させ得る。歯飛びが発生すると、駆動ギア71が空回りし、ギア部631のギア刃を破損させることがある。ここで、L1=L2とすると、第1、第2清掃ユニット5A、5Bの清掃部材51が第1、第2エッジE1、E2エッジから落下するタイミングが一致してしまい、大きな衝撃が発生する。このような大きな衝撃は、前記歯飛びの要因となる。
【0084】
しかし、本実施形態では、L1≠L2として落下タイミングにズレを生じさせているので、衝撃の発生を抑制することができる。すなわち、L1≠L2とすることで、第1清掃ユニット5Aの清掃部材51の移動方向先端が第1ガラス48Aの第2エッジE2からから落ちるタイミングと、第2清掃ユニット5Bの清掃部材51の移動方向先端が第2ガラス48Bの第1エッジE1から落ちるタイミングとにズレを生じさせることができる。従って、衝撃を緩和することができ、前記歯飛びを防止することができる。
【0085】
図13(A)及び(B)は、第1、第2清掃ユニット5A、5Bを駆動するモーター70の電流値の時間変化を示すグラフである。これらのグラフにおいて、時刻t1は、待機位置にある第1、第2清掃ユニット5A、5Bが、清掃のために駆動が開始されるタイミングである。時刻t2は、清掃部材51の当接面54Sが、完全に第1又は第2ガラス48A、48Bのガラス表面に乗るタイミングである。つまり、時刻t1~t2の期間Iは、待機位置にある第1、第2清掃ユニット5A、5Bの駆動開始から、各当接面54Sが第1又は第2ガラス48A、48Bのガラス表面に乗るまでの期間である。
【0086】
時刻t3は、当接面54Sが前記ガラス表面から落下を始めるタイミングである。つまり、クリーナー部材54の移動方向先端が、第1、第2エッジE1、E2を超えるタイミングである。時刻t2~t3の期間IIは、当接面54Sが前記ガラス表面を清掃している期間である。
【0087】
期間Iでは、徐々にモーター電流が増加する。これは、駆動当初は第1、第2当接量L1、L2で前記ガラス面に部分的に接触している各当接面54Sが、移動に伴い摩擦力が高い前記ガラス面との接触面積が徐々に増加して負荷が大きくなることによる。一方、期間IIでは、一定の摩擦抵抗下で第1、第2清掃ユニット5A、5Bは移動するので、モーター電流は安定する。
【0088】
時刻t4は、第1又は第2清掃ユニット5A、5Bがストッパ42Sに当止するタイミングである。つまり、時刻t3~t4の期間IIIは、当接面54Sが前記ガラス面から離脱開始を開始し、ストッパ42Sに突き当たるまでの期間である。期間IIIでは、摩擦抵抗が大きい前記ガラス面から当接面54Sが一部離脱することで一時的にモーター電流が低下するが、ストッパ42Sへの突き当たりによって負荷が上がり、急激にモーター電流が上昇する。時刻t5は、制御部72がモーター70の駆動を停止、又はモーター70の逆回転駆動を開始するタイミングである。第1又は第2清掃ユニット5A、5Bのストッパ42Sへの当止によってモーター70はロックし、モーター電流は高値で安定する。
【0089】
図13(A)はL1=L2とした場合、図13(B)はL1≠L2とした場合の、モーター電流の変化を示している。両者は、期間IIIにおけるモーター電流波形の傾きが相違する。L1=L2の場合、清掃部材51が前記ガラス面から落下するタイミング(t3)~ストッパ42Sに当接するタイミング(t4)が、第1、第2清掃ユニット5A、5Bで一致するので、期間IIIは短くなる。この短い期間IIIにモーター電流は上記の通り変化するので、その電流波形の傾きは急峻となる。この場合、前記衝撃が大きくなり、前記歯飛びが発生し易くなる。これに対し、L1≠L2の場合、清掃部材51が前記ガラス面から落下するタイミング(t3)において、第1、第2清掃ユニット5A、5B間にタイムラグがある。このため、期間IIIは比較的長くなり、その電流波形の傾きはL1=L2の場合よりも緩くなる。従って、前記衝撃が比較的小さくなり、前記歯飛びの発生を抑制することができる。
【0090】
[除去した異物の回収機構]
清掃部材51のクリーナー部材54によって防塵ガラス48(第1、第2ガラス48A、48B)から拭い取られたトナーや塵埃等の異物は、そのまま放置せず、何らかの手法で回収することが望ましい。図14は、異物の回収機構の一例を示す断面図である。ここでは、防塵ガラス48の第1エッジE1(第2エッジE2)に対して所定間隔を置いて対峙する対向壁421(壁部)を設ける例を示している。これにより、対向壁421と第1エッジE1との間には、収容空間422が形成されている。対向壁421は、第1エッジE1の外側近傍において蓋体42から立設された突起部423の側壁である。突起部423の頂面は、清掃部材51の当接面54Sに当接が可能な高さ位置にある。
【0091】
清掃部材51は、収容空間422の上方を通過し、突起部423の頂面に摺接する。このため、クリーナー部材54が防塵ガラス48の表面から拭い取った異物を、収容空間422に回収することができる。また、突起部423により当接面54Sに付着した異物を掻き落とすことができ、当接面54Sを清浄化することができる。なお、突起部423により掻き落とされた異物も、収容空間422に回収される。
【0092】
図15は、異物の回収機構の他例を示す断面図である。ここでは、防塵ガラス48の第2エッジE2よりも外側の位置において蓋体42の表面に、突起部424と、シート状の剥ぎ取り部材425とを配置した例を示している。突起部424は、第2エッジE2に対して所定間隔を置いて突設され、両者間には異物を回収する収容空間422が形成されている。剥ぎ取り部材425は、当接面54Sよりも大きい摩擦係数を備え、当接面54Sが当接可能な位置に貼り付けられている。この回収機構によれば、当接面54Sを剥ぎ取り部材425に摺接させることで、摩擦係数差に基づき、当接面54Sに付着した異物を剥ぎ取らせることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 カラープリンター(画像形成装置)
2Y、2C、2M、2Bk 画像形成ユニット
21 感光体ドラム(像担持体)
23 光走査ユニット(光走査装置)
40 筐体
421 対向壁(壁部)
422 収容空間
423、424 突起部
425 剥ぎ取り部材
48 防塵ガラス(窓部)
48A、48B 第1ガラス(第1窓部)、第2ガラス(第2窓部)
50 清掃機構
5 清掃ユニット
5A、5B 第1清掃ユニット、第2清掃ユニット
51 清掃部材
52 ホルダ
52A、52B 第1ホルダ、第2ホルダ
54S 当接面
60 駆動機構
62 駆動ワイヤー(連動部材)
63 駆動伝達部材
631 ギア部
70 モーター(駆動機構/駆動源)
71 駆動ギア
72 制御部
E1、E2 第1エッジ、第2エッジ
L1、L2 第1当接量、第2当接量
M 移動方向
M1、M2 第1距離、第2距離
OS 光学機構
S 走査光(光走査用の光線)
SM1、SM2 第1最外角光線、第2最外角光線
m1、m2 往路清掃、復路清掃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15