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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】車載システム及び車載ECU
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/023 20060101AFI20240611BHJP
   G06F 11/20 20060101ALI20240611BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B60R16/023 P
G06F11/20 628
B60R16/02 650J
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020101882
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021194979
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】後呂 翔太
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-534591(JP,A)
【文献】特開2004-189163(JP,A)
【文献】特開昭63-233401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00-16/08
G06F 11/20
B60T 7/12- 8/96
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される第1車載装置と、
前記第1車載装置から出力された信号に応じて制御される第2車載装置と、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、信号線を介して通信可能に接続される第1車載ECUと、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、前記信号線を介して通信可能に接続される第2車載ECUと
を備える車載システムであって、
前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとは、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、
前記第1車載装置から前記第2車載装置までの通信経路は、前記第1車載ECUによって中継される第1経路と、前記第2車載ECUによって中継される第2経路とを含み、
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUは、前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUのそれぞれの前記制御部は、
前記通信線を介した前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとの間の通信結果に基づき、他方の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記第1車載ECUが異常と判定された場合、前記第2車載ECUが前記第1車載ECUを代替し、
前記第2車載ECUが異常と判定された場合、前記第1車載ECUが前記第2車載ECUを代替し、
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUが共に正常と判定された場合、前記第1車載装置から前記第2車載装置への通信は、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUを介して行われる
車載システム。
【請求項2】
車両に搭載される第1車載装置と、
前記第1車載装置から出力された信号に応じて制御される第2車載装置と、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、信号線を介して通信可能に接続される第1車載ECUと、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、前記信号線を介して通信可能に接続される第2車載ECUと
を備える車載システムであって、
前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとは、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、
前記第1車載装置から前記第2車載装置までの通信経路は、前記第1車載ECUによって中継される第1経路と、前記第2車載ECUによって中継される第2経路とを含み、
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUは、前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUのそれぞれの前記制御部は、
前記通信線を介した前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとの間の通信結果に基づき、他方の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記第1車載ECUが異常と判定された場合、前記第2車載ECUが前記第1車載ECUを代替し、
前記第2車載ECUが異常と判定された場合、前記第1車載ECUが前記第2車載ECUを代替し、
前記第2車載ECUの制御部は、前記第1車載装置から信号を取得した後、
前記第1車載ECUから出力された信号を所定期間内に取得しなかった場合、前記第1車載ECUは異常であると判定し、
前記第1車載ECUから出力された信号を所定期間内に取得した場合、前記第1車載ECUは正常であると判定する
車載システム。
【請求項3】
車両に搭載される第1車載装置と、
前記第1車載装置から出力された信号に応じて制御される第2車載装置と、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、信号線を介して通信可能に接続される第1車載ECUと、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、前記信号線を介して通信可能に接続される第2車載ECUと
を備える車載システムであって、
前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとは、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、
前記第1車載装置から前記第2車載装置までの通信経路は、前記第1車載ECUによって中継される第1経路と、前記第2車載ECUによって中継される第2経路とを含み、
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUは、前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUのそれぞれの前記制御部は、
前記通信線を介した前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとの間の通信結果に基づき、他方の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記第1車載ECUが異常と判定された場合、前記第2車載ECUが前記第1車載ECUを代替し、
前記第2車載ECUが異常と判定された場合、前記第1車載ECUが前記第2車載ECUを代替し、
前記第1車載ECUの制御部は、前記第1車載装置から信号を取得した後、
前記第2車載装置からの応答を所定期間内に取得しなかった場合、前記第2車載ECUは異常であると判定し、
前記第2車載装置からの応答を所定期間内に取得した場合、前記第2車載ECUは正常であると判定する
車載システム。
【請求項4】
車両に搭載される第1車載装置と、
前記第1車載装置から出力された信号に応じて制御される第2車載装置と、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、信号線を介して通信可能に接続される第1車載ECUと、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、前記信号線を介して通信可能に接続される第2車載ECUと
を備える車載システムであって、
前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとは、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、
前記第1車載装置から前記第2車載装置までの通信経路は、前記第1車載ECUによって中継される第1経路と、前記第2車載ECUによって中継される第2経路とを含み、
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUは、前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUのそれぞれの前記制御部は、
前記通信線を介した前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとの間の通信結果に基づき、他方の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記第1車載ECUが異常と判定された場合、前記第2車載ECUが前記第1車載ECUを代替し、
前記第2車載ECUが異常と判定された場合、前記第1車載ECUが前記第2車載ECUを代替し、
前記第1車載ECUの制御部は、
前記第2車載装置から信号に対する応答を所定期間内に取得しなかった場合は更に、前記通信線を介して前記第2車載ECUに確認信号を出力し、
前記第2車載ECUから前記確認信号に対する応答を取得しなかった場合、前記第2車載ECUは異常であると判定し、
前記第2車載ECUから前記確認信号に対する応答を取得した場合、前記第2車載ECUは正常であると判定する
車載システム。
【請求項5】
前記第2車載ECUの制御部により、前記第1車載ECUが異常と判定された場合、前記第2車載ECUの制御部は、前記第2経路にて前記制御データを前記第2車載装置に出力することにより、前記第1車載ECUを代替し、
前記第1車載ECUの制御部により、前記第2車載ECUが異常と判定された場合、前記第1車載ECUの制御部は、前記第1経路にて前記制御データを前記第2車載装置に出力することにより、前記第2車載ECUを代替する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項6】
前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUと通信線を介して接続される第3車載ECUを備え、
前記第3車載ECUの制御部は、
前記通信線を介した前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUとの間の通信結果に基づき、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記第1車載ECUが異常と判定された場合、前記第2車載ECUが前記第1車載ECUを代替し、
前記第2車載ECUが異常と判定された場合、前記第1車載ECUが前記第2車載ECUを代替する
請求項1から請求項5のいずれか1項に車載システム。
【請求項7】
前記第3車載ECUの制御部は、
前記第1車載装置が出力した信号に応じて前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUから出力される信号検出データの取得結果に基づき、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUが正常又は異常の判定を行う
請求項に記載の車載システム。
【請求項8】
前記第3車載ECUと、前記第1車載装置及び前記第2車載装置とは、前記信号線によって直接接続されることなく、前記第1車載ECU又は前記第2車載ECUを介して接続されている
請求項又は請求項に記載の車載システム。
【請求項9】
車両に搭載される第1車載装置及び第2車載装置に信号線を介して通信可能に接続される車載ECUであって、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置に前記信号線を介して通信可能に接続される他の車載ECUと、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、
前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、
前記車載ECUの制御部は、
前記他の車載ECUとの通信結果に基づき、前記他の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記他の車載ECUが異常と判定された場合、前記他の車載ECUを代替する処理を行い、
前記他の車載ECUの制御部は、
前記車載ECUとの通信結果に基づき、前記車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記車載ECUが異常と判定された場合、前記車載ECUを代替する処理を行い、
前記車載ECU及び前記他の車載ECUが共に正常と判定された場合、前記第1車載装置から前記第2車載装置への通信は、前記車載ECU及び前記他の車載ECUを介して行われる
車載ECU。
【請求項10】
車両に搭載される第1車載装置及び第2車載装置に信号線を介して通信可能に接続される車載ECUであって、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置に前記信号線を介して通信可能に接続される他の車載ECUと、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、
前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、
前記車載ECUの制御部は、
前記他の車載ECUとの通信結果に基づき、前記他の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記他の車載ECUが異常と判定された場合、前記他の車載ECUを代替する処理を行い、
前記他の車載ECUの制御部は、
前記車載ECUとの通信結果に基づき、前記車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記車載ECUが異常と判定された場合、前記車載ECUを代替する処理を行い、
前記他の車載ECUの制御部は、前記第1車載装置から信号を取得した後、
前記車載ECUから出力された信号を所定期間内に取得しなかった場合、前記車載ECUは異常であると判定し、
前記車載ECUから出力された信号を所定期間内に取得した場合、前記車載ECUは正常であると判定する
車載ECU。
【請求項11】
車両に搭載される第1車載装置及び第2車載装置に信号線を介して通信可能に接続される車載ECUであって、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置に前記信号線を介して通信可能に接続される他の車載ECUと、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、
前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、
前記車載ECUの制御部は、
前記他の車載ECUとの通信結果に基づき、前記他の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記他の車載ECUが異常と判定された場合、前記他の車載ECUを代替する処理を行い、
前記他の車載ECUの制御部は、
前記車載ECUとの通信結果に基づき、前記車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記車載ECUが異常と判定された場合、前記車載ECUを代替する処理を行い、
前記車載ECUの制御部は、前記第1車載装置から信号を取得した後、
前記第2車載装置からの応答を所定期間内に取得しなかった場合、前記他の車載ECUは異常であると判定し、
前記第2車載装置からの応答を所定期間内に取得した場合、前記他の車載ECUは正常であると判定する
車載ECU。
【請求項12】
車両に搭載される第1車載装置及び第2車載装置に信号線を介して通信可能に接続される車載ECUであって、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置に前記信号線を介して通信可能に接続される他の車載ECUと、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、
前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、
前記車載ECUの制御部は、
前記他の車載ECUとの通信結果に基づき、前記他の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記他の車載ECUが異常と判定された場合、前記他の車載ECUを代替する処理を行い、
前記他の車載ECUの制御部は、
前記車載ECUとの通信結果に基づき、前記車載ECUが正常又は異常の判定を行い、
前記車載ECUが異常と判定された場合、前記車載ECUを代替する処理を行い、
前記車載ECUの制御部は、
前記第2車載装置から信号に対する応答を所定期間内に取得しなかった場合は更に、前記通信線を介して前記他の車載ECUに確認信号を出力し、
前記他の車載ECUから前記確認信号に対する応答を取得しなかった場合、前記他の車載ECUは異常であると判定し、
前記他の車載ECUから前記確認信号に対する応答を取得した場合、前記他の車載ECUは正常であると判定する
車載ECU。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載システム及び車載ECUに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン制御等のパワー・トレーン系、エアコン制御等のボディ系等の車載機器を制御するためのブレーキECU等の車載ECU(Electronic Control Unit)が搭載されている。車両には、これら複数の車載ECU及び、当該複数の車載ECUそれぞれに接続されるブレーキ制御部等の制御装置、及び当該制御装置に直接接続されるブレーキ等のアクチュエータを含む車載システムが、搭載されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-67187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車載システムは、アクチュエータと、制御装置又は車載ECUとの接続における冗長化に関する考慮がされていない。
【0005】
本開示の目的は、アクチュエータ等の車載装置との通信における冗長化を行うことができる車載システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載システムは、車両に搭載される第1車載装置と、前記第1車載装置から出力された信号に応じて制御される第2車載装置と、前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、信号線を介して通信可能に接続される第1車載ECUと、前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、前記信号線を介して通信可能に接続される第2車載ECUとを備える車載システムであって、前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとは、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、前記第1車載装置から前記第2車載装置までの通信経路は、前記第1車載ECUによって中継される第1経路と、前記第2車載ECUによって中継される第2経路とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、アクチュエータ等の車載装置との通信における冗長化を行う車載システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る車載システムの構成を例示する模式図である。
図2】第1個別ECU等による各処理(正常時)の一態様を例示する説明図である。
図3】第1個別ECU等による各処理(第1個別ECU異常時)の一態様を例示する説明図である。
図4】第1個別ECU等による各処理(第2個別ECU異常時)の一態様を例示する説明図である。
図5】第1個別ECUの制御部の処理を例示するフローチャートである。
図6】第2個別ECUの制御部の処理を例示するフローチャートである。
図7】実施形態2(統合ECU)に係る車載システムの構成を例示する模式図である。
図8】第1個別ECU等による各処理(正常時)の一態様を例示する説明図である。
図9】第1個別ECU等による各処理(第1個別ECU異常時)の一態様を例示する説明図である。
図10】第1個別ECU等による各処理(第2個別ECU異常時)の一態様を例示する説明図である。
図11】統合ECUの制御部の処理を例示するフローチャートである。
図12】実施形態3(第3個別ECU)に係る車載システムの構成を例示する模式図である。
図13】第1個別ECU等による各処理(正常時)の一態様を例示する説明図である。
図14】第1個別ECU等による各処理(第1個別ECU異常時1)の一態様を例示する説明図である。
図15】第1個別ECU等による各処理(第1個別ECU異常時2)の一態様を例示する説明図である。
図16】統合ECUの制御部の処理を例示するフローチャートである。
図17】実施形態4(ドアロック)に係る車載システムの構成を例示する模式図である。
図18】実施形態5(ワイパー)に係る車載システムの構成を例示する模式図である。
図19】実施形態6(ランプ)に係る車載システムの構成を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載システムは、車両に搭載される第1車載装置と、前記第1車載装置から出力された信号に応じて制御される第2車載装置と、前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、信号線を介して通信可能に接続される第1車載ECUと、前記第1車載装置及び前記第2車載装置と、前記信号線を介して通信可能に接続される第2車載ECUとを備える車載システムであって、前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとは、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、前記第1車載装置から前記第2車載装置までの通信経路は、前記第1車載ECUによって中継される第1経路と、前記第2車載ECUによって中継される第2経路とを含む。
【0011】
本態様にあたっては、第1車載装置と、当該第1車載装置から出力された信号に応じて制御される第2車載装置とは、夫々が第1車載ECU及び第2車載ECUと信号線により接続されており、第1車載ECUと第2車載ECUとは、通信線で接続されている。このような接続形態において、第1車載装置から第2車載装置までの通信経路は、第1車載ECUによって中継される第1経路と、第2車載ECUによって中継される第2経路とを含むため、第1車載装置と第2車載装置との間の接続経路を冗長化し、通信における可用性を向上させることができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUは、前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUのそれぞれの前記制御部は、前記通信線を介した前記第1車載ECUと前記第2車載ECUとの間の通信結果に基づき、他方の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、前記第1車載ECUが異常と判定された場合、前記第2車載ECUが前記第1車載ECUを代替し、前記第2車載ECUが異常と判定された場合、前記第1車載ECUが前記第2車載ECUを代替する。
【0013】
本態様にあたっては、第1車載ECU及び第2車載ECUの制御部は、他方の車載ECUが正常又は異常の判定を相互的又は相補的に行い、第1車載ECUが異常と判定された場合、第2車載ECUが第1車載ECUを代替し、第2車載ECUが異常と判定された場合、第1車載ECUが第2車載ECUを代替する。すなわち、第1車載ECU及び第2車載ECUは、いずれか一方が異常と判定された場合、相互的又は相補的に当該異常と判定された車載ECUを代替するため、第1車載装置からの信号に基づき制御データを生成する処理の信頼性を向上させることができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第2車載ECUの制御部により、前記第1車載ECUが異常と判定された場合、前記第2車載ECUの制御部は、前記第2経路にて前記制御データを前記第2車載装置に出力することにより、前記第1車載ECUを代替し、前記第1車載ECUの制御部により、前記第2車載ECUが異常と判定された場合、前記第1車載ECUの制御部は、前記第1経路にて前記制御データを前記第2車載装置に出力することにより、前記第2車載ECUを代替する。
【0015】
本態様にあたっては、第1車載装置と第2車載装置との間の接続経路は、第1車載ECU及び第2車載ECUを介して冗長化されており、第1車載ECUが異常と判定された場合、第2車載ECUの制御部は、第2経路にて制御データを第2車載装置に出力し、第2車載ECUが異常と判定された場合、第1車載ECUの制御部は、第1経路にて制御データを第2車載装置に出力する。従って、第1車載ECU又は第2車載ECUが異常と判定された場合であっても、冗長化された第1車載装置と第2車載装置との間の接続経路を用いて、第1車載ECU又は第2車載ECUのいずれかの車載ECUが生成した制御データを、第2車載装置に出力する処理を確実に行うことができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUが共に正常と判定された場合、前記第1車載装置から前記第2車載装置への通信は、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUを介して行われる。
【0017】
本態様にあたっては、第1車載ECU及び第2車載ECUが共に正常と判定された場合、制御データは、第1車載ECU及び第2車載ECUを介して、すなわち第1車載ECUと第2車載ECUとを接続する通信線を介して、第2車載装置に出力される。従って、第1車載装置及び第2車載装置が連関する一連の処理において、第1車載装置から信号を受信する第1車載ECUと、第2車載装置に制御データを出力する第2車載ECUとに、夫々の処理を分散させ、第1車載ECU及び第2車載ECUにおける負荷分散を行い、これら一連の処理を効率的に行うことができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第2車載ECUの制御部は、前記第1車載装置から信号を取得した後、前記第1車載ECUから出力された信号を所定期間内に取得しなかった場合、前記第1車載ECUは異常であると判定し、前記第1車載ECUから出力された信号を所定期間内に取得した場合、前記第1車載ECUは正常であると判定する。
【0019】
本態様にあたっては、第2車載ECUの制御部は、第1車載装置から信号を取得した後、第1車載ECUから出力された信号を所定期間内に取得しなかった場合は第1車載ECUは異常であると判定し、取得した場合は第1車載ECUは正常であると判定する。従って、第2車載ECUの制御部は、第1車載ECUが正常又は異常であるかを効率的に判定することができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第1車載ECUの制御部は、前記第1車載装置から信号を取得した後、前記第2車載装置からの応答を所定期間内に取得しなかった場合、前記第2車載ECUは異常であると判定し、前記第2車載装置からの応答を所定期間内に取得した場合、前記第2車載ECUは正常であると判定する。
【0021】
本態様にあたっては、第1車載ECUの制御部は、第1車載装置から信号を取得した後、第2車載装置からの応答を所定期間内に取得しなかった場合は第2車載ECUは異常であると判定し、第2車載装置からの応答を所定期間内に取得した場合は第2車載ECUは正常であると判定する。従って、第1車載ECUの制御部は、第2車載ECUが正常又は異常であるかを効率的に判定することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第1車載ECUの制御部は、前記第2車載装置から信号に対する応答を所定期間内に取得しなかった場合は更に、前記通信線を介して前記第2車載ECUに確認信号を出力し、前記第2車載ECUから前記確認信号に対する応答を取得しなかった場合、前記第2車載ECUは異常であると判定し、前記第2車載ECUから前記確認信号に対する応答を取得した場合、前記第2車載ECUは正常であると判定する。
【0023】
本態様にあたっては、第2車載装置から信号に対する応答を所定期間内に取得しなかった場合は更に、通信線を介して第2車載装置に確認信号を出力し、第2車載装置から確認信号に対する応答を取得しなかった場合は第2車載ECUは異常であると判定し、取得した場合は第2車載ECUは正常であると判定する。第2車載装置から信号に対する応答を所定期間内に取得しなかった場合は、第2車載装置又は第2車載ECUの異常が想定されるところ、更に通信線を介して第2車載ECUに確認信号を出力することにより、第2車載ECUからの応答の有無に基づき、第2車載ECUの正常又は異常の判定を確実に行うことができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUと通信線を介して接続される第3車載ECUを備え、前記第3車載ECUの制御部は、前記通信線を介した前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUとの間の通信結果に基づき、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUが正常又は異常の判定を行い、前記第1車載ECUが異常と判定された場合、前記第2車載ECUが前記第1車載ECUを代替し、前記第2車載ECUが異常と判定された場合、前記第1車載ECUが前記第2車載ECUを代替する。
【0025】
本態様にあたっては、第1車載ECU及び第2車載ECUと通信線を介して接続される第3車載ECUの制御部が、第1車載ECU及び第2車載ECUとの間の通信結果に基づき、第1車載ECU及び第2車載ECUが正常又は異常の判定を行うため、当該判定処理を第1車載ECU及び第2車載ECUが担うことを不要とすることができる。従って、第1車載ECU、第2車載ECU及び第3車載ECUにより、第1車載装置及び第2車載装置が連関する一連の処理における負荷分散を行うことができ、車載システムの可用性を向上させることができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第3車載ECUの制御部は、前記第1車載装置が出力した信号に応じて前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUから出力される信号検出データの取得結果に基づき、前記第1車載ECU及び前記第2車載ECUが正常又は異常の判定を行う。
【0027】
本態様にあたっては、第3車載ECUの制御部は、第1車載装置が出力した信号に応じて第1車載ECU及び第2車載ECUから出力される信号検出データの取得結果に基づき、第1車載ECU及び第2車載ECUが正常又は異常の判定を行うため、第1車載装置による信号の出力に対応して、第1車載ECU及び第2車載ECUの判定を行うことができる。
【0028】
(10)本開示の一態様に係る車載システムは、前記第3車載ECUと、前記第1車載装置及び前記第2車載装置とは、前記信号線によって直接接続されることなく、前記第1車載ECU又は前記第2車載ECUを介して接続されている。
【0029】
本態様にあたっては、第3車載ECUは、第1車載装置及び第2車載装置と信号線によって直接接続されることなく、第1車載ECU又は第2車載ECUを介して接続されている。従って、第3車載ECUと、第1車載装置及び第2車載装置との間にて信号線を配策することを不要とすることができる。
【0030】
(11)本開示の一態様に係る車載ECUは、車両に搭載される第1車載装置及び第2車載装置に信号線を介して通信可能に接続される車載ECUであって、前記第1車載装置及び前記第2車載装置に前記信号線を介して通信可能に接続される他の車載ECUと、前記信号線とは異なる種類の通信線で接続され、前記信号線を介して前記第1車載装置から信号を取得し、前記第1車載装置から出力された信号に基づき、前記第2車載装置を制御するための制御データを生成する制御部を備え、前記制御部は、前記他の車載ECUとの通信結果に基づき、前記他の車載ECUが正常又は異常の判定を行い、前記他の車載ECUが異常と判定された場合、前記他の車載ECUを代替する処理を行う。
【0031】
本態様にあたっては、アクチュエータ等の車載装置との通信における冗長化を行うことができる車載システムを構成する車載ECUを提供することができる。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載ECU(個別ECU1、2、3及び統合ECU4)を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0033】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る車載システムSの構成を例示する模式図である。車載システムSは、車両Cに搭載される第1個別ECU1及び第2個別ECU2を含み、これら第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、信号線8により第1車載装置5であるスイッチ51及び、第2車載装置6であるアクチュエータ61のそれぞれに通信可能に接続されている。
【0034】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、互いに通信線7により通信可能に接続されており、車両Cにおける各エリアに配置されている。第1個別ECU1及び第2個別ECU2と、これらを接続する通信線7により車載ネットワーク(車内LAN)が構成される。第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、第1車載装置5(スイッチ51)と第2車載装置6(アクチュエータ61)との間における通信を中継するゲートウェイ又はイーサスイッチ等の車載中継装置として機能するものであってもよい。第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、通信に関する中継に加え、蓄電装置(図示せず)から出力された電力を分配及び中継し、自ECUに接続される第1車載装置5又は第2車載装置6等の車載装置に供給する電力分配装置としても機能するPLB(Power Lan Box)であってもよい。
【0035】
第1車載装置5は、図示のとおり例えばスイッチ51であり、車両Cの操作者等の操作に基づき信号を生成し、生成した信号を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する。当該スイッチ51の一例に関しては後述する。
【0036】
第2車載装置6は、図示のとおり例えばアクチュエータ61であり、第1車載装置5であるスイッチ51から出力された信号に基づき、駆動される駆動装置である。当該アクチュエータ61の一例に関しては後述する。
【0037】
図示のとおり、第1個別ECU1は、第1車載装置5(スイッチ51)及び第2車載装置6(アクチュエータ61)の夫々に通信線7により直接、接続されている。第2個別ECU2も、第1個別ECU1と同様にスイッチ51及びアクチュエータ61の夫々に信号線8により直接、接続されている。このように第1個別ECU1及び第2個別ECU2と、第1車載装置5(スイッチ51)及び第2車載装置6(アクチュエータ61)との接続は、信号線8の二重化による冗長化された接続形態となっている。
【0038】
このような冗長構成により、第1個別ECU1又は第2個別ECU2のいずれかの個別ECUが故障等により異常な状態となった場合であっても、他方の個別ECUが当該異常となった個別ECUを代替する。従って、第1車載装置5(スイッチ51)及び第2車載装置6(アクチュエータ61)における通信を継続させることができ、車載システムSの可用性を向上させることができる。第1個別ECU1又は第2個別ECU2における故障とは、これら個別ECU自体の故障のみならず、第1車載装置5(スイッチ51)及び第2車載装置6(アクチュエータ61)とを接続するいずれかの信号線8の断線による障害も含む。このように構成された第1個別ECU1は第1車載ECUに相当し、第2個別ECU2は第2車載ECUする。
【0039】
車載システムSは、第1個別ECU1によって中継される第1経路と、第2個別ECU2によって中継される第2経路とを含むものとなり、いずれかの個別ECUの故障又は、いずれかの信号線8の断線等による障害に対する冗長化を図ることができる。第1経路及び第2経路は、第1車載装置5及び第2車載装置6と、第1個別ECU1及び第2個別ECU2とを直接接続する信号線8と、第1個別ECU1同士を第2個別ECU2直接接続する通信線7により形成される。これら信号線8及び通信線7は、車載ネットワークの見地からは、通信線7は基幹系ラインに相当し、信号線8は、分岐系ラインに相当し、これら通信線7及び信号線8は、異なる物理層プロコトルによるものである。本実施形態においては、信号線8を冗長化することにより、堅牢な車載ネットワークを構成することができる。
【0040】
第1個別ECU1は、制御部11、記憶部12、入出力I/F14及び通信部13を含む。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部12に予め記憶された制御プログラム及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。制御部11は、CPU等のソフトウェア処理を行うソフトウェア処理部のみに限定されず、FPGA、ASIC又はSOC等のハードウェア処理にて種々の制御処理及び演算処理等を行うハードウェア処理部を含むものであってもよい。例えば、制御部11は、入出力I/Fを介して接続されるドアSW52等のスイッチ51から入力信号をFPGA等のハードウェア処理部にて受信し、当該ハードウェア処理部が、CPU等のソフトウェア処理部を起動することにより、当該CPUによってスイッチ51からの入力信号に関する処理を行うものであってもよい。このようにスイッチ51からの入力信号による電流又は電圧によって行われるFPGA等の処理をトリガーとしてCPUを起動することにより、CPUによる電力消費を抑制することができる。
【0041】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してあり、制御プログラム及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部12に記憶された制御プログラムは、第1個別ECU1が読み取り可能な記録媒体から読み出された制御プログラムを記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから制御プログラムをダウンロードし、記憶部12に記憶させたものであってもよい。
【0042】
入出力I/F14は、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F14に接続されるワイヤーハーネス等の信号線8を介して、第1個別ECU1は、第1車載装置5及び第2車載装置6と通信可能に接続される。
【0043】
通信部13は、例えばCAN(Control Area Network)又はイーサネット(Ethernet/登録商標)の通信プロトコルを用いたCANトランシーバ又はイーサネットPHY部等の入出力インターフェイスである。制御部11は、通信部を介して車載ネットワークに接続されている他の個別ECUである第2個別ECU2又は、他の中継装置等の車載機器と相互に通信する。
【0044】
第2個別ECU2も、第1個別ECU1と同様に制御部21、記憶部22、入出力I/F24及び通信部23を含む。第2個別ECU2の制御部21、記憶部、入出力I/FF24及び通信部23は、第1個別ECU1と同様の構成によるものである。第2個別ECU2の記憶部に記憶されている制御プログラム及びデータと、第1個別ECU1の記憶部12に記憶されている制御プログラム及びデータとは、同じ又は相互に互換性を有するものである。
【0045】
このように第1個別ECU1及び第2個別ECU2において、ハードウェア構成及びソフトウェア構成は同一又は、相互に互換性を有することにより、いずれかの個別ECUが異常となった場合であっても、他方の個別ECUが、当該異常となった個別ECUが実行すべき機能を代替することができる。
【0046】
図2は、第1個別ECU1等による各処理(正常時)の一態様を例示する説明図である。本実施形態においては、第1個別ECU1は、第1車載装置5であるスイッチ51から受信した信号の処理、すなわちスイッチ51からの入力信号(SW入力信号)に対応した処理を主に行うSW入力主ECUとして機能する。第2個別ECU2は、第2車載装置6であるアクチュエータ61に対する制御データの生成及び出力、すなわちアクチュエータ61への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を主に行うACT出力主ECUとして機能する。その上で、第1個別ECU1は、第2個別ECU2が異常となった場合、アクチュエータ61への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を代替するACT出力副ECUとして機能する。第2個別ECU2は、第1個別ECU1が異常となった場合、スイッチ51からの入力信号(SW入力)に対応した処理を代替するSW入力副ECUとして機能する。
【0047】
本実施形態における図示にて、第1個別ECU1及び第2個別ECU2が共に正常である場合の処理の流れについて説明する。スイッチ51は、例えば車両Cの操作者によって行われた操作による入力を受け付ける(S01)。スイッチ51は、当該入力の受付結果に基づき信号(SW入力信号)を生成し、当該信号(SW入力信号)を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する(S02)。
【0048】
スイッチ51には、例えば各種センサが含まれており、当該センサの検知結果に基づき、操作者によって行われた操作による入力を受け付ける。又は、スイッチ51は、COMSカメラ又はLiDAR(Light Detection and Ranging)等の検知用機器が接続され、これら検知用機器から出力された各種データの入力を受け付け、信号を出力するものであってもよい。
【0049】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する(S03、S04)。第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出することにより、当該信号を取得(受信)する。
【0050】
第1個別ECU1は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)に基づき、制御データの生成を指示するための信号(指示信号)を生成し、当該信号(指示信号)を第2個別ECU2に出力(指示信号出力)する(S05)。
【0051】
第2個別ECU2は、第1個別ECU1から出力された信号(指示信号)を検出する(S06)。第2個別ECU2は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出した時点から所定の期間内に、第1個別ECU1から出力された信号(指示信号)を検出する。当該所定の期間とは、第1個別ECU1による処理に要する時間に基づき決定される期間(入力検知期間)であり、当該入力検知期間内に第1個別ECU1からの信号が取得できない場合、第1個別ECU1は異常であると判断するための期間である。入力検知期間の値は、例えば、第2個別ECU2の記憶部22に記憶されている。
【0052】
第2個別ECU2は、第1個別ECU1から出力された信号(指示信号)の検出結果に基づき、第1個別ECU1は正常であり、代替は不要であると判定する(S07)。
【0053】
第2個別ECU2は、第1個別ECU1から出力された信号(指示信号)に基づき、制御データを生成する(S08)。
【0054】
第2個別ECU2は、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する(S09)。
【0055】
アクチュエータ61は、第2個別ECU2から出力された制御データに基づき、応答信号を生成し、生成した応答信号を第1個別ECU1に出力する(S10)。
【0056】
アクチュエータ61は、第2個別ECU2から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する(S11)。
【0057】
第1個別ECU1は、アクチュエータ61から出力された応答信号を確認(出力確認)する(S12)。第1個別ECU1は、アクチュエータ61から出力された応答信号の確認結果(出力確認)に基づき、第2個別ECU2は正常であり、代替は不要であると判定する。
【0058】
第1個別ECU1は、アクチュエータ61から出力された応答信号を取得することにより、第2個別ECU2が正常であると判定することができる。このように第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、スイッチ51及びアクチュエータ61との通信結果と、第1個別ECU1と第2個別ECU2との間の通信結果に基づき、他方の個別ECUが正常又は異常であるかの判定を効率的に行うことができる。第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、これら通信結果に基づき、他方の個別ECUが正常又は異常であるかの判定するにあたり、所定の期間内に他方の個別ECU又は、アクチュエータ61からの通信を取得できない場合、他方の個別ECUは異常であると判定することにより、当該判定を効率的に行うことができる。
【0059】
図3は、第1個別ECU1等による各処理(第1個別ECU1異常時)の一態様を例示する説明図である。本実施形態における図示にて、第1個別ECU1が異常であり、第2個別ECU2が正常である場合の処理の流れについて説明する。
【0060】
スイッチ51は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2が正常である場合と同様に、入力を受け付け(F01)、生成した信号(SW入力信号)を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する(F02)。
【0061】
第2個別ECU2は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する(F03)。第1個別ECU1は異常であるため、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出することはできない。
【0062】
第2個別ECU2は、第1個別ECU1から出力されるべき信号(指示信号)の検出を試みる(F04)。第1個別ECU1は異常であるため、第2個別ECU2は、第1個別ECU1からの信号を検出することができない。第2個別ECU2は、第1個別ECU1に対し、生存確認を行うための信号(生存確認信号)を出力する(F05)。第1個別ECU1は異常であるため、第2個別ECU2は、生存確認信号に対する第1個別ECU1からの応答を取得することはできない。
【0063】
第2個別ECU2は、第1個別ECU1は異常であり、代替が必要であると判定する(F06)。第2個別ECU2は、F03にて検出したスイッチ51からの信号に基づき、制御データを生成し(F07)、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する(F08)。
【0064】
アクチュエータ61は、第2個別ECU2から取得した制御データに基づき、自装置を駆動する(F09)。
【0065】
図4は、第1個別ECU1等による各処理(第2個別ECU2異常時)の一態様を例示する説明図である。本実施形態における図示にて、第1個別ECU1が正常であり、第2個別ECU2が異常である場合の処理の流れについて説明する。
【0066】
スイッチ51は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2が正常である場合と同様に、入力を受け付け(K01)、生成した信号(SW入力信号)を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する(K02)。
【0067】
第1個別ECU1は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する(K03)。第2個別ECU2は異常であるため、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出することはできない。
【0068】
第1個別ECU1は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)に基づき、制御データの生成を指示するための信号(指示信号)を生成し、当該信号を第2個別ECU2に出力(指示信号出力)する(K04)。第2個別ECU2は異常であるため、第1個別ECU1から出力された信号(指示信号)を取得することができない。
【0069】
第1個別ECU1は、アクチュエータ61から出力されるべき応答信号の確認(出力確認)を試みる(K05)。第2個別ECU2は異常であるため、アクチュエータ61は、制御データを取得していない。従って、この時点において、アクチュエータ61から第1個別ECU1への応答信号は出力されていないため、第1個別ECU1は、アクチュエータ61から出力されるべき応答信号の確認、すなわち当該応答信号を取得していない。
【0070】
第1個別ECU1は、第2個別ECU2に対し、生存確認を行うための信号(生存確認信号)を出力する(K06)。第2個別ECU2は異常であるため、第1個別ECU1は、生存確認信号に対する第2個別ECU2からの応答を取得することはできない。
【0071】
第1個別ECU1は、第2個別ECU2は異常であり、代替が必要であると判定する(K07)。第1個別ECU1は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)に基づき、制御データを生成し(K08)、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する(K09)。
【0072】
アクチュエータ61は、第2個別ECU2から取得した制御データに基づき、自装置を駆動する(K10)。
【0073】
図5は、第1個別ECU1の制御部11の処理を例示するフローチャートである。第1個別ECU1の制御部11は、例えば車両Cが起動状態(イグニッションスイッチがオン)又は停止状態(イグニッションスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。
【0074】
第1個別ECU1の制御部11は、第1車載装置5であるスイッチ51が出力した信号を検出(取得)する(S101)。
【0075】
第1個別ECU1の制御部11は、スイッチ51が出力した信号の検出結果に基づき、指示信号を生成し、当該指示信号を、第2個別ECU2に出力する(S102)。第1個別ECU1の制御部11は、スイッチ51が出力した信号の検出結果に基づき、制御データの生成を支持する信号(指示信号)を生成し、当該指示信号を、第2個別ECU2に出力する。
【0076】
第1個別ECU1の制御部11は、第2車載装置6であるアクチュエータ61が出力した応答信号を取得(確認)できたか否かを判定する(S103)。応答信号を取得(確認)できた場合(S103:YES)、第1個別ECU1の制御部11は、第2個別ECU2は正常に動作していると判定し(S108)、一連の処理を終了する。第1個別ECU1の制御部11は、当該一連の処理を終了するにあたり、第2個別ECU2は正常に動作していると判定し、第1個別ECU1の記憶部12に当該判定結果を記憶するものであってもよい。
【0077】
応答信号を取得(確認)できなかった場合(S103:NO)、第1個別ECU1の制御部11は、第2個別ECU2に対し生存確認をするための生存確認信号を出力する(S104)。
【0078】
第1個別ECU1の制御部11は、生存確認信号に対する第2個別ECU2からの生存応答信号を取得できたか否かを判定する(S105)。第2個別ECU2から生存応答信号を取得できた場合(S105:YES)、第1個別ECU1の制御部11は、第2個別ECU2は正常に動作していると判定し(S108)、一連の処理を終了する。第1個別ECU1の制御部11は、当該一連の処理を終了するにあたり、第2個別ECU2は正常に動作していると判定し、第1個別ECU1の記憶部12に当該判定結果を記憶するものであってもよい。
【0079】
第2個別ECU2から生存応答信号を取得できなかった場合(S105:NO)、第1個別ECU1の制御部11は、第2個別ECU2は異常であり代替が必要であると判定する(S106)。
【0080】
第1個別ECU1の制御部11は、第1車載装置5であるスイッチ51から取得した信号に基づき制御データを生成し、当該制御データを第2車載装置6であるアクチュエータ61に出力する(S107)。第2車載装置6であるアクチュエータ61は、第1個別ECU1から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する。
【0081】
図6は、第2個別ECU2の制御部21の処理を例示するフローチャートである。第2個別ECU2の制御部21は、例えば車両Cが起動状態(イグニッションスイッチがオン)又は停止状態(イグニッションスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。
【0082】
第2個別ECU2の制御部21は、第1車載装置5であるスイッチ51が出力した信号を検出(取得)する(S111)。第2個別ECU2の制御部21は、第1個別ECU1が出力した指示信号を取得(確認)できたか否かを判定する(S112)。第2個別ECU2の制御部21は、第2個別ECU2の記憶部22に記憶されている入力検知期間を参照し、入力検知期間内に第1個別ECU1が出力した指示信号を取得できたか否かを判定する。入力検知期間とは、例えば、スイッチ51が出力した信号の検出時点を起算点とし、第1個別ECU1にて想定される最大処理時間に基づき決定されるものであってもよい。
【0083】
指示信号を取得できた場合(S112:YES)、第2個別ECU2の制御部21は、第1個別ECU1は正常であり代替は不要である判定する(S117)。第2個別ECU2の制御部21は、第1個別ECU1から取得した指示信号に基づき制御データを生成し、アクチュエータ61に出力する(S118)。第2車載装置6であるアクチュエータ61は、第2個別ECU2から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する。
【0084】
指示信号を取得できなかった場合(S112:NO)、第2個別ECU2の制御部21は、第1個別ECU1に対し生存確認をするための生存確認信号を出力する(S113)。第2個別ECU2の制御部21は、生存確認信号に対する第1個別ECU1からの生存応答信号を取得できたか否かを判定する(S114)。
【0085】
第1個別ECU1から生存応答信号を取得できた場合(S114:YES)、第2個別ECU2の制御部21は、第1個別ECU1は正常に動作していると判定し(S117)、以降の処理であるS118を行う。
【0086】
第1個別ECU1から生存応答信号を取得できなかった場合(S114:NO)、第2個別ECU2の制御部21は、第1個別ECU1は異常であり代替が必要であると判定する(S115)。第2個別ECU2の制御部21は、第1車載装置5であるスイッチ51から取得した信号に基づき制御データを生成し、アクチュエータ61に出力する(S116)。第2車載装置6であるアクチュエータ61は、第2個別ECU2から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する。
【0087】
本実施形態によれば、スイッチ51等の第1車載装置5と、当該第1車載装置5から出力された信号に応じて制御されるアクチュエータ61等の第2車載装置6とは、夫々が第1個別ECU1及び第2個別ECU2と信号線8により接続されており、第1個別ECU1と第2個別ECU2とは、通信線7で接続される。第1車載装置5から第2車載装置6までの通信経路は、第1個別ECU1によって中継される第1経路と、第2個別ECU2によって中継される第2経路とを含むため、第1車載装置5と第2車載装置6との間の接続経路を冗長化し、通信における可用性を向上させることができる。
【0088】
本実施形態によれば、第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、他方の個別ECUが正常又は異常であるかの判定を互いに行い、第1個別ECU1が異常と判定された場合、第2個別ECU2が第1個別ECU1を代替し、第2個別ECU2が異常と判定された場合、第1個別ECU1が第2個別ECU2を代替する。すなわち、第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、いずれか一方が異常と判定された場合、相互的又は相補的に当該異常と判定された個別ECUを代替する。従って、第1車載装置5からの信号に基づき制御データを生成し、当該制御データによって第2車載装置6を駆動する処理の信頼性を向上させることができる。
【0089】
(実施形態2)
図7は、実施形態2(統合ECU4)に係る車載システムSの構成を例示する模式図である。車載システムSは、車両Cに搭載される第1個別ECU1、第2個別ECU2及び統合ECU4を含む。第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、実施形態1と同様に信号線8により第1車載装置5であるスイッチ51及び、第2車載装置6であるアクチュエータ61のそれぞれに通信可能に接続されている。
【0090】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、統合ECU4を介して、通信線7により接続されている。従って、統合ECU4は、2本の通信線7により、第1個別ECU1及び第2個別ECU2と直接、接続されており、統合ECU4を中心としたスター形状のトポロジーとなる車載ネットワークが構成される。統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2とのみ接続されており、第1車載装置5及び第2車載装置6とは直接、信号線8によって接続されていない。
【0091】
統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2との通信に基づき、これら個別ECUの正常又は異常に関する判定を行い、当該判定結果に基づき、第1個別ECU1又は第2個別ECU2に対する代替指示に関する処理を行うものであり、例えばヴィークルコンピュータ等の中央制御装置である。統合ECU4は、第1個別ECU1と同様に制御部41、記憶部42及び通信部43を含む。統合ECU4の制御部41、記憶部42及び通信部43は、第1個別ECU1と同様の構成によるものであってもよい。統合ECU4の記憶部42には、これら処理を行うにあたり必要な制御プログラム及びデータが記憶されている。統合ECU4は、第3車載ECUに相当する。
【0092】
図8は、第1個別ECU1等による各処理(正常時)の一態様を例示する説明図である。本実施形態においては、実施形態1と同様に第1個別ECU1は、SW入力主ECU及びACT出力副ECUとして機能する。第2個別ECU2は、ACT出力副ECU及びW入力副ECUとして機能する。統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2との通信結果に基づき、第1個別ECU1及び第2個別ECU2が正常又は異常であるかの判定を行い、当該判定結果に基づき、正常な個別ECUに対し、異常な個別ECUの代替を指示する処理を行う。
【0093】
本実施形態における図示にて、第1個別ECU1及び第2個別ECU2が共に正常である場合の処理の流れについて説明する。スイッチ51は、実施形態1と同様に、操作による入力を受け付け(S21)、生成した信号(SW入力信号)を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する(S22)。
【0094】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、実施形態1と同様に、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する(S23、S24)。第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、スイッチ51から検知した信号(SW入力信号)に基づき、信号(検知信号)を生成し、当該検知信号を統合ECU4に出力する(S25,S26)。
【0095】
統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知を行う(S27)。統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知を行うことにより、第1個別ECU1及び第2個別ECU2を介して、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)に関する情報を取得する。
【0096】
統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知に基づき、第1個別ECU1及び第2個別ECU2は正常であり、いずれの代替も不要であると判定する(S28)。統合ECU4は、指示信号を生成し、生成した指示信号を第2個別ECU2に出力する(S29)。
【0097】
第2個別ECU2は、統合ECU4から取得した指示信号に基づき、実施形態1と同様に制御データを生成し(S30)、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する(S31)。
【0098】
アクチュエータ61は、実施形態1と同様に応答信号を生成し、生成した応答信号を第1個別ECU1に出力する(S32)。アクチュエータ61は、第2個別ECU2から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する(S33)。第1個別ECU1は、アクチュエータ61から出力された応答信号を確認(出力確認)する(S34)。
【0099】
図9は、第1個別ECU1等による各処理(第1個別ECU1異常時)の一態様を例示する説明図である。本実施形態における図示にて、第1個別ECU1が異常であり、第2個別ECU2が正常である場合の処理の流れについて説明する。
【0100】
スイッチ51は、実施形態1と同様に、操作による入力を受け付け(F21)、生成した信号(SW入力信号)を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する(F22)。
【0101】
第2個別ECU2は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する(F23)。第1個別ECU1は異常であるため、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出することはできない。第2個別ECU2は、スイッチ51から検知した信号(SW入力信号)に基づき、信号(検知信号)を生成し、当該検知信号を統合ECU4に出力する(F24)。
【0102】
統合ECU4は、第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知を行う(F25)。統合ECU4は、第1個別ECU1から出力されるべき信号(検知信号)の入力検知を試みるが、第1個別ECU1は異常であるため、第1個別ECU1からの信号(検知信号)を検出することはできない。
【0103】
統合ECU4は、第1個別ECU1からの信号(検知信号)を検出することができなかったことに基づき、第1個別ECU1に対し、生存確認を行うための信号(生存確認信号)を出力する(F26)。第1個別ECU1は異常であるため、統合ECU4は、生存確認信号に対する第1個別ECU1からの応答を取得することはできない。
【0104】
統合ECU4は、第1個別ECU1は異常であり、代替が必要であると判定する(F27)。統合ECU4は、第2個別ECU2に対し、第1個別ECU1の機能を代替させるための指示である信号(代替指示信号)を出力する(F28)。
【0105】
第2個別ECU2は、統合ECU4から取得した代替指示信号に基づき、実施形態1と同様に制御データを生成し(F29)、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する(F30)。アクチュエータ61は、第2個別ECU2から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する(F31)。
【0106】
図10は、第1個別ECU1等による各処理(第2個別ECU2異常時)の一態様を例示する説明図である。本実施形態における図示にて、第1個別ECU1が正常であり、第2個別ECU2が異常である場合の処理の流れについて説明する。
【0107】
スイッチ51は、実施形態1と同様に、操作による入力を受け付け(K21)、生成した信号(SW入力信号)を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する(K22)。
【0108】
第1個別ECU1は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する(K23)。第2個別ECU2は異常であるため、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出することはできない。第1個別ECU1は、スイッチ51から検知した信号(SW入力信号)に基づき、信号(検知信号)を生成し、当該検知信号を統合ECU4に出力する(K24)。
【0109】
統合ECU4は、第1個別ECU1から出力された信号(検知信号)の入力検知を行う(K25)。統合ECU4は、第2個別ECU2から出力されるべき信号(検知信号)の入力検知を試みるが、第2個別ECU2は異常であるため、第2個別ECU2からの信号(検知信号)を検出することはできない。
【0110】
統合ECU4は、第2個別ECU2からの信号(検知信号)を検出することができなかったことに基づき、第2個別ECU2に対し、生存確認を行うための信号(生存確認信号)を出力する(K26)。第2個別ECU2は異常であるため、統合ECU4は、生存確認信号に対する第2個別ECU2からの応答を取得することはできない。
【0111】
統合ECU4は、第2個別ECU2は異常であり、代替が必要であると判定する(K27)。統合ECU4は、第1個別ECU1に対し、第2個別ECU2の機能を代替させるための指示である信号(代替指示信号)を出力する(K28)。
【0112】
第1個別ECU1は、統合ECU4から取得した代替指示信号に基づき、実施形態1と同様に制御データを生成し(K29)、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する(K30)。アクチュエータ61は、第1個別ECU1から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する(K31)。
【0113】
図11は、統合ECU4の制御部41の処理を例示するフローチャートである。統合ECU4の制御部41は、例えば車両Cが起動状態(イグニッションスイッチがオン)又は停止状態(イグニッションスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。
【0114】
統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力されたそれぞれの信号を取得したか否かを判定する(S201)。統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力されるそれぞれの信号の受信、すなわち当該信号の入力の検知結果に基づき、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力されたそれぞれの信号を取得したか否かを判定する。
【0115】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力されたそれぞれの信号を取得した場合(S201:YES)、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2は共に正常であると判定する(S206)。統合ECU4の制御部41は、第2個別ECU2に指示信号を出力する(S207)。
【0116】
第2個別ECU2は、統合ECU4の制御部41から出力された指示信号(制御データ生成指示信号)に基づき、実施形態1と同様に制御データを生成し、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する。第2車載装置6であるアクチュエータ61は、第2個別ECU2から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する。
【0117】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力されたそれぞれの信号を取得しなかった場合(S201:NO)、すなわち第1個別ECU1及び第2個別ECU2のいずれかの個別ECUからの信号を取得できなかった場合、統合ECU4の制御部41は、信号を取得できなかった個別ECUに対し生存確認をするための生存確認信号を出力する(S202)。
【0118】
統合ECU4の制御部41は、出力した生存確認信号に対する生存応答信号を取得したか否かを判定する(S203)。生存応答信号を取得した場合(S203:YES)、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2は共に正常であると判定する(S206)。
【0119】
生存応答信号を取得しなかった場合(S203:NO)、統合ECU4の制御部41は、信号を取得できなかった個別ECUが異常であると判定する(S204)。統合ECU4の制御部41は、信号を取得できた個別ECUに対し、代替指示に関する指示信号を出力する(S205)。当該代替指示に関する指示信号を取得した個別ECUは、異常と判定された個別ECUを代替するための処理を行う。
【0120】
第1個別ECU1が異常と判定された場合、第2個別ECU2は、第1個別ECU1が行う処理であるスイッチ51から出力された信号の受信に関する処理を代替し、当該信号に基づき制御データを生成し、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する。第2個別ECU2が異常と判定された場合、第1個別ECU1は、スイッチ51から出力された信号に基づき、第2個別ECU2が行う処理である制御データの生成及びアクチュエータ61への出力に関する処理を代替する。
【0121】
本実施形態によれば、第1個別ECU1及び第2個別ECU2と通信線7を介して接続される統合ECU4が、第1個別ECU1及び第2個別ECU2との間の通信結果に基づき、第1個別ECU1及び第2個別ECU2が正常又は異常の判定を行う。従って、当該判定処理を第1個別ECU1及び第2個別ECU2が担うことを不要とすることができる。これにより、第1個別ECU1、第2個別ECU2及び統合ECU4により、第1車載装置5及び第2車載装置6が連関する一連の処理における負荷分散を行うことができ、車載システムSの可用性を向上させることができる。
【0122】
(実施形態3)
図12は、実施形態3(第3個別ECU3)に係る車載システムSの構成を例示する模式図である。車載システムSは、車両Cに搭載される第1個別ECU1、第2個別ECU2、第3個別ECU3及び統合ECU4を含む。
【0123】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、信号線8により第1車載装置5であるスイッチ51に通信可能に接続されている。第1個別ECU1及び第3個別ECU3は、信号線8により第2車載装置6であるアクチュエータ61に通信可能に接続されている。
【0124】
第1個別ECU1、第2個別ECU2及び第3個別ECU3は、統合ECU4を介して、通信線7により接続されている。従って、統合ECU4は、3本の通信線7により、第1個別ECU1、第2個別ECU2及び第3個別ECU3と直接、接続されており、統合ECU4を中心としたスター形状のトポロジーとなる車載ネットワークが構成される。統合ECU4は、第1個別ECU1、第2個別ECU2及び第3個別ECU3とのみ接続されており、第1車載装置5及び第2車載装置6とは直接、信号線8によって接続されていない。
【0125】
第3個別ECU3は、第1個別ECU1と同様に制御部31、記憶部32、入出力I/F34及び通信部33を含む。第3個別ECU3の制御部31、記憶部32、入出力I/F34及び通信部33は、第1個別ECU1と同様の構成によるものである。第3個別ECU3の記憶部32に記憶されている制御プログラム及びデータと、第1個別ECU1の記憶部12に記憶されている制御プログラム及びデータとは、同じ又は相互に互換性を有するものである。このように第1個別ECU1及び第3個別ECU3においては、ハードウェア構成及びソフトウェア構成は同一又は、相互に互換性を有することにより、第1個別ECU1が異常となった場合であっても、第3個別ECU3が、当該異常となった第1個別ECU1が実行すべき機能を代替することができる。
【0126】
図13は、第1個別ECU1等による各処理(正常時)の一態様を例示する説明図である。本実施形態においては、第1個別ECU1は、第1車載装置5であるスイッチ51から受信した信号の処理、すなわちスイッチ51からの入力信号(SW入力信号)に対応した処理を主に行うSW入力主ECUとして機能する。第1個別ECU1は、更に、第2車載装置6であるアクチュエータ61に対する制御データの生成及び出力、すなわちアクチュエータ61への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を主に行うACT出力主ECUとして機能する。すなわち、第1個別ECU1は、SW入力主ECU及びACT出力主ECUとして機能する。その上で、第2個別ECU2は、第1個別ECU1が異常となった場合、スイッチ51からの入力信号(SW入力)に対応した処理を代替するSW入力副ECUとして機能する。第3個別ECU3は、第1個別ECU1が異常となった場合、アクチュエータ61への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を代替するACT出力副ECUとして機能する。
【0127】
統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2との通信結果に基づき、第1個別ECU1が正常又は異常であるかの判定を行い、当該判定結果に基づき、第3個別ECU3に対し、第1個別ECU1の代替を指示する処理を行う。
【0128】
本実施形態における図示にて、第1個別ECU1及び第2個別ECU2が共に正常である場合の処理の流れについて説明する。スイッチ51は、実施形態1と同様に、操作による入力を受け付け(S41)、生成した信号(SW入力信号)を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する(S42)。
【0129】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、実施形態1と同様に、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する(S43、S44)。第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、スイッチ51から検知した信号(SW入力信号)に基づき、信号(検知信号)を生成し、当該検知信号を統合ECU4に出力する(S45,S46)。
【0130】
統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知を行う(S47)。統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知を行うことにより、第1個別ECU1及び第2個別ECU2を介して、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)に関する情報を取得する。
【0131】
統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知に基づき、第1個別ECU1及び第2個別ECU2は正常であり、第1個別ECU1の代替は不要であると判定する(S48)。統合ECU4は、指示信号を生成し、生成した指示信号を第1個別ECU1及び第3個別ECU3に出力する(S49)。
【0132】
第1個別ECU1は、統合ECU4から取得した指示信号に基づき、制御データを生成し(S50)、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する(S51)。アクチュエータ61は、実施形態1と同様に応答信号を生成し、生成した応答信号を第3個別ECU3に出力する(S52)。アクチュエータ61は、第1個別ECU1から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する(S53)。
【0133】
図14は、第1個別ECU1等による各処理(第1個別ECU1異常時1)の一態様を例示する説明図である。本実施形態における図示にて、第1個別ECU1が異常であり、第2個別ECU2及び第3個別ECU3が正常である場合の処理の流れについて説明する。
【0134】
スイッチ51は、実施形態1と同様に、操作による入力を受け付け(F41)、生成した信号(SW入力信号)を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する(F42)。
【0135】
第2個別ECU2は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する(F43)。第1個別ECU1は異常であるため、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出することはできない。第2個別ECU2は、スイッチ51から検知した信号(SW入力信号)に基づき、信号(検知信号)を生成し、当該検知信号を統合ECU4に出力する(F44)。
【0136】
統合ECU4は、第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知を行う(F45)。統合ECU4は、第1個別ECU1から出力されるべき信号(検知信号)の入力検知を試みるが、第1個別ECU1は異常であるため、第1個別ECU1からの信号(検知信号)を検出することはできない。統合ECU4は、第1個別ECU1からの信号(検知信号)を検出することができなかったことに基づき、第1個別ECU1に対し、生存確認を行うための信号(生存確認信号)を出力する(F46)。第1個別ECU1は異常であるため、統合ECU4は、生存確認信号に対する第1個別ECU1からの応答を取得することはできない。
【0137】
統合ECU4は、第1個別ECU1は異常であり、代替が必要であると判定する(F47)。統合ECU4は、第3個別ECU3に対し、第1個別ECU1の機能を代替させるための指示である信号(代替指示信号)を出力する(F48)。
【0138】
第3個別ECU3は、統合ECU4から取得した代替指示信号に基づき、制御データを生成し(F49)、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する(F50)。アクチュエータ61は、第3個別ECU3から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する(F51)。
【0139】
図15は、第1個別ECU1等による各処理(第1個別ECU1異常時2)の一態様を例示する説明図である。本実施形態における図示にて、第1個別ECU1が異常であり、第2個別ECU2及び第3個別ECU3が正常である場合の処理の流れについて説明する。
【0140】
スイッチ51は、実施形態1と同様に、操作による入力を受け付け(K41)、生成した信号(SW入力信号)を、信号線8を介して第1個別ECU1及び第2個別ECU2に出力する(K42)。
【0141】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、実施形態1と同様に、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する(K43、K44)。第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、スイッチ51から検知した信号(SW入力信号)に基づき、信号(検知信号)を生成し、当該検知信号を統合ECU4に出力する(K45,K46)。すなわち、第1個別ECU1は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する時点においては、正常に機能しており、SW入力主ECUとしては正常に動作している。
【0142】
統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知を行う(K47)。統合ECU4は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力された信号(検知信号)の入力検知に基づき、第1個別ECU1及び第2個別ECU2は正常であり、第1個別ECU1の代替は不要であると判定する(K48)。
すなわち、統合ECU4は、スイッチ51から出力された信号(SW入力信号)を検出する時点においては、第1個別ECU1が正常であると一次判定する。
【0143】
統合ECU4は、指示信号を生成し、生成した指示信号を第1個別ECU1及び第3個別ECU3に出力する(K49)。しかしながら、第1個別ECU1は、統合ECU4から出力された指示信号に基づき、制御データを生成する時点においては、異常となっている。従って、第1個別ECU1は、統合ECU4から出力された指示信号に基づき、制御データを生成し、アクチュエータ61に出力することができない。
【0144】
第3個別ECU3は、アクチュエータ61から出力されるべき応答信号を取得できない旨を示す通知(応答信号無通知)を統合ECU4に出力する(K50)。第3個別ECU3は、統合ECU4から出力された指示信号を取得した時点から、所定期間内に応答信号を取得できなかった場合、統合ECU4に応答信号を取得できない旨を示す通知(応答信号無通知)を出力する。
【0145】
統合ECU4は、第3個別ECU3からの通知(応答信号無通知)に基づき、第1個別ECU1及び第3個別ECU3に対し、第1個別ECU1の生存確認を行うための信号(生存確認信号)を出力する(K51)。第1個別ECU1は異常であるため、統合ECU4は、生存確認信号に対する第1個別ECU1からの応答を取得することはできない。
【0146】
第3個別ECU3は、更に、統合ECU4から出力された生存確認信号を取得した時点から、所定期間内にアクチュエータ61からの応答信号を取得できなかった場合、統合ECU4に応答信号を取得できない旨を示す通知(応答信号無通知)を再度、出力するものであってもよい(K52)。
【0147】
統合ECU4は、第1個別ECU1からの生存確認信号に対する応答が取得できなかったこと、又は第3個別ECU3からの再度の応答信号無通知の取得に基づき、第1個別ECU1は異常であり、代替が必要であると判定する(K53)。すなわち、統合ECU4は、第1個別ECU1又は第3個別ECU3との通信結果に基づき、第1個別ECU1は異常であり、代替が必要であると最終判定する。統合ECU4は、第3個別ECU3に対し、第1個別ECU1の機能を代替させるための指示である信号(代替指示信号)を出力する(K54)。
【0148】
第3個別ECU3は、統合ECU4から取得した代替指示信号に基づき、制御データを生成し(K55)、生成した制御データをアクチュエータ61に出力する(K56)。アクチュエータ61は、第3個別ECU3から出力された制御データに基づき、自装置を駆動する(F57)。
【0149】
図16は、統合ECU4の制御部41の処理を例示するフローチャートである。統合ECU4の制御部41は、例えば車両Cが起動状態(イグニッションスイッチがオン)又は停止状態(イグニッションスイッチがオフ)において、定常的に以下の処理を行う。
【0150】
統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力されたそれぞれの信号を取得したか否かを判定する(S301)。第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力されたそれぞれの信号を取得しなかった場合(S301:NO)、第1個別ECU1に対し生存確認をするための生存確認信号を出力する(S302)。
【0151】
統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1から生存応答信号を取得したか否かを判定する(S303)。第1個別ECU1から生存応答信号を取得した場合(S303:YES)、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1は正常であると判定する(S310)。
【0152】
第1個別ECU1から生存応答信号を取得しなかった場合(S303:NO)、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1は異常であると判定する(S304)。統合ECU4の制御部41は、第3個別ECU3に対し、代替指示に関する指示信号を出力する(S305)。
【0153】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2から出力されたそれぞれの信号を取得した場合(S301:YES)、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1及び第2個別ECU2は共に正常であると一次判定する(S306)。統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1及び第3個別ECU3に指示信号を出力する(S307)。
【0154】
統合ECU4の制御部41は、第3個別ECU3から応答信号無通知を取得したか否かを判定する(S308)。応答信号無通知を取得しなかった場合(S308:NO)、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1は正常であると判定する(S310)。
【0155】
応答信号無通知を取得した場合(S308:YES)、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1及び第3個別ECU3に対し生存確認をするための生存確認信号を出力する(S309)。
【0156】
統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1から生存応答信号を取得したか否かを判定する(S303)。第1個別ECU1から生存応答信号を取得した場合(S303:YES)、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1は正常であると判定する(S310)。
【0157】
第1個別ECU1から生存応答信号を取得しなかった場合(S303:NO)、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1は異常であると判定する(S304)。統合ECU4の制御部41は、第3個別ECU3から再度の応答信号無通知を取得した場合、第1個別ECU1は異常であると最終判定するものであってもよい。第3個別ECU3は、アクチュエータ61から出力される応答信号を待ち受けており、統合ECU4の制御部41から生存確認信号を取得した時点から所定期間内に当該応答信号を取得(受信)しなかった場合、再度の応答信号無通知を統合ECU4に出力するものであってもよい。この場合、統合ECU4の制御部41は、第3個別ECU3から再度の応答信号無通知を取得するものとなり、当該再度の応答信号無通知に基づき、統合ECU4の制御部41は、第1個別ECU1は異常であると判定するものであってもよい。統合ECU4の制御部41は、第3個別ECU3に対し、代替指示に関する指示信号を出力する(S305)。
【0158】
本実施形態によれば、車載システムSは、第1個別ECU1を第1車載装置5及び第2車載装置6に対する処理を担う主たる個別ECUとしつつ、第1車載装置5に対する処理を代替する第2個別ECU2と、第2車載装置6に対する処理する処理を代替する第3個別ECU3とを備えることにより、第1車載装置5及び第2車載装置6に連関する処理の信頼性を更に向上させることができる。
【0159】
(実施形態4)
図17は、実施形態4(ドアロック)に係る車載システムSの構成を例示する模式図である。車載システムSは、車両Cに搭載される第1個別ECU1、第2個別ECU2、第3個別ECU3及び統合ECU4を含む。本実施形態においては、一例として、第1車載装置5はドアSW52であり、第2車載装置6はドアロック装置62である。
【0160】
統合ECU4は、3本の通信線7により、第1個別ECU1、第2個別ECU2及び第3個別ECU3と直接、接続されており、統合ECU4を中心としたスター形状のトポロジーとなる車載ネットワークが構成される。
【0161】
第1個別ECU1及び第3個別ECU3は、ドアSW52と信号線8により直接、接続されている。第2個別ECU2及び第3個別ECU3は、ドアロック装置62と信号線8により直接、接続されている。
【0162】
第1個別ECU1は、第1車載装置5であるドアSW52から受信した信号の処理、すなわちドアSW52からの入力信号(SW入力信号)に対応した処理を主に行うSW入力主ECUとして機能する。
【0163】
第2個別ECU2は、第2車載装置6であるドアロック装置62に対する制御データの生成及び出力、すなわちドアロック装置62への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を主に行うACT出力主ECUとして機能する。
【0164】
第3個別ECU3は、第1個別ECU1が異常となった場合、ドアSW52からの入力信号(SW入力信号)に対応した処理を代替するSW入力副ECUとして機能する。第3個別ECU3は、更に、第2個別ECU2が異常となった場合、ドアロック装置62への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を代替するACT出力副ECUとして機能する。
【0165】
統合ECU4は、実施形態3と同様に第1個別ECU1及び第2個別ECU2との通信結果に基づき、第1個別ECU1が正常又は異常であるかの判定を行い、当該判定結果に基づき、第3個別ECU3に対し、第1個別ECU1又は第2個別ECU2の代替を指示する処理を行う。
【0166】
このように第1個別ECU1、第2個別ECU2及び第3個別ECU3と、ドアSW52で及びドアロック装置62とを接続する信号線8の接続形態を二重化することにより、当該接続形態を冗長構成とすることができる。統合ECU4が、これら個別ECUに対する異常判定及び代替指示に関する処理を行うことにより、ドアSW52及びドアロック装置62にて連関する制御処理の信頼性を向上させることができる。
【0167】
(実施形態5)
図18は、実施形態5(ワイパー)に係る車載システムSの構成を例示する模式図である。車載システムSは、車両Cに搭載される第1個別ECU1、第2個別ECU2、第3個別ECU3及び統合ECU4を含む。本実施形態においては、一例として、第1車載装置5はワイパSW53であり、第2車載装置6はワイパ装置63である。
【0168】
統合ECU4は、3本の通信線7により、第1個別ECU1、第2個別ECU2及び第3個別ECU3と直接、接続されており、統合ECU4を中心としたスター形状のトポロジーとなる車載ネットワークが構成される。第1個別ECU1及び第3個別ECU3は、ワイパSW53及びワイパ装置63のそれぞれに信号線8により直接、接続されている。
【0169】
第1個別ECU1は、第1車載装置5であるワイパSW53から受信した信号の処理、すなわちワイパSW53からの入力信号(SW入力信号)に対応した処理を主に行うSW入力主ECUとして機能する。第1個別ECU1は、更に、第2車載装置6であるワイパ装置63に対する制御データの生成及び出力、すなわちワイパ装置63への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を主に行うACT出力主ECUとして機能する。
【0170】
第3個別ECU3は、第1個別ECU1が異常となった場合、ワイパSW53からの入力信号(SW入力信号)に対応した処理を代替するSW入力副ECUとして機能する。第3個別ECU3は、更に、第1個別ECU1が異常となった場合、ワイパ装置63への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を代替するACT出力副ECUとして機能する。
【0171】
統合ECU4は、実施形態3と同様に第1個別ECU1及び第3個別ECU3との通信結果に基づき、第1個別ECU1又は第3個別ECU3が正常又は異常であるかの判定を行い、当該判定結果に基づき、第1個別ECU1又は第3個別ECU3に対し、他方の個別ECUの代替を指示する処理を行う。
【0172】
このように第1個別ECU1及び第3個別ECU3と、ワイパSW53で及びワイパ装置63とを接続する信号線8の接続形態を二重化することにより、当該接続形態を冗長構成とすることができる。統合ECU4が、これら個別ECUに対する異常判定及び代替指示に関する処理を行うことにより、ワイパSW53で及びワイパ装置63にて連関する制御処理の信頼性を向上させることができる。
【0173】
(実施形態6)
図19は、実施形態6(ランプ)に係る車載システムSの構成を例示する模式図である。車載システムSは、車両Cに搭載される第1個別ECU1、第2個別ECU2、第3個別ECU3及び統合ECU4を含む。本実施形態においては、一例として、第1車載装置5はランプSW54であり、第2車載装置6は車両Cの前部にて位置する左右のランプ装置64である。
【0174】
統合ECU4は、3本の通信線7により、第1個別ECU1、第2個別ECU2及び第3個別ECU3と直接、接続されており、統合ECU4を中心としたスター形状のトポロジーとなる車載ネットワークが構成される。
【0175】
第1個別ECU1及び第2個別ECU2は、ランプSW54と信号線8により直接、接続されている。第1個別ECU1及び第3個別ECU3は、ランプ装置64と信号線8により直接、接続されている。
【0176】
第1個別ECU1は、第1車載装置5であるランプSW54から受信した信号の処理、すなわちランプSW54からの入力信号(SW入力信号)に対応した処理を主に行うSW入力主ECUとして機能する。第1個別ECU1は、更に、第2車載装置6であるランプ装置64に対する制御データの生成及び出力、すなわちランプ装置64への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を主に行うACT出力主ECUとして機能する。
【0177】
第2個別ECU2は、第1個別ECU1が異常となった場合、ランプSW54からの入力信号(SW入力信号)に対応した処理を代替するSW入力副ECUとして機能する。
【0178】
第3個別ECU3は、第1個別ECU1が異常となった場合、ランプ装置64への制御データ出力(ACT出力)に対応した処理を代替するACT出力副ECUとして機能する。
【0179】
統合ECU4は、実施形態3と同様に第1個別ECU1との通信結果に基づき、第1個別ECU1が正常又は異常であるかの判定を行い、当該判定結果に基づき、第2個別ECU2又は第3個別ECU3に対し、第1個別ECU1の代替を指示する処理を行う。
【0180】
このように第1個別ECU1、第2個別ECU2及び第3個別ECU3と、ランプSW54で及びランプ装置64とを接続する信号線8の接続形態を二重化することにより、当該接続形態を冗長構成とすることができる。更に、統合ECU4が、これら個別ECUに対する異常判定及び代替指示に関する処理を行うことにより、ランプSW54で及びランプ装置64にて連関する制御処理の信頼性を向上させることができる。
【0181】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0182】
S 車載システム
C 車両
1 第1個別ECU(第1車載ECU)
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入出力I/F
2 第2個別ECU(第2車載ECU)
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入出力I/F
3 第3個別ECU(第1車載ECU)
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 入出力I/F
4 統合ECU(第3車載ECU)
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
5 第1車載装置
51 スイッチ(SW)
52 ドアSW
53 ワイパSW
54 ランプSW
6 第2車載装置
61 アクチュエータ(ACT)
62 ドアロック装置
63 ワイパ装置
64 ランプ装置
7 通信線
8 信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図18
図19