(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】包装袋の把手構造
(51)【国際特許分類】
B65D 33/08 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B65D33/08
(21)【出願番号】P 2020112147
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安海 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】石坂 公一
(72)【発明者】
【氏名】山口 円
(72)【発明者】
【氏名】山田 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐司
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-063178(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0019937(US,A1)
【文献】特開2008-201462(JP,A)
【文献】特開2011-189965(JP,A)
【文献】特開2004-359258(JP,A)
【文献】特開2015-113128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/08
B65D 75/56
B65D 77/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の把手構造であって、
少なくともシーラント層を備える2枚のフィルムが、前記シーラント層どうしが対向するように重ね合わされた領域において、把手用の開口部に把手片が形成され
、
前記把手片は
、前記2枚のフィルムが互いにヒートシールされた接着部
と、前記2枚のフィルムがヒートシールされていない部位とを含み、
前記接着部は、前記把手片の縁部に沿って当該縁部と並行に延在する部位の少なくとも一部に選択的に形成されている
ことを特徴とする、包装袋の把手構造。
【請求項2】
前記把手片は、前記2枚のフィルムを貫通する切れ目によって、両側縁と前記両側縁の間の下縁とが画成されている
ことを特徴とする、請求項1記載の包装袋の把手構造。
【請求項3】
前記接着部は、前記把手片の前記両側縁及び前記下縁の少なくとも一部分に沿って
形成されている
ことを特徴とする、請求項2記載の包装袋の把手構造。
【請求項4】
前記把手片の前記両側縁及び前記下縁の少なくとも一方と前記開口部の縁とを連結する点状の連結部を更に有する
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の包装袋の把手構造。
【請求項5】
前記切れ目の一部分又は全部が、前記開口部の周囲へ向かって凸状に湾曲した湾曲形状を有し、
前記接着部は、前記把手片の前記両側縁及び前記下縁のうち、前記湾曲形状の曲率半径が20mm以下の部分に沿って
形成されている
ことを特徴とする、請求項2~4のいずれかに記載の包装袋の把手構造。
【請求項6】
前記接着部が、前記下縁の少なくとも一部分に沿って
形成されているときに、
前記切れ目を挟んだ前記把手片の前記下縁と前記開口部の縁のうち、前記把手片の前記下縁においてのみ、前記2枚のフィルムが互いにヒートシールされている
ことを特徴とする、請求項2~5のいずれかに記載の包装袋の把手構造。
【請求項7】
前記把手片は、前記開口部の上縁部分を構成し、下側に向かって凸状の形状を有する
ことを特徴とする、請求項1記載の包装袋の把手構造。
【請求項8】
前記開口部の周縁のうち、少なくとも下縁がヒートシールされていない
ことを特徴とする、請求項7記載の包装袋の把手構造。
【請求項9】
前記2枚のフィルムの少なくとも一方は、シーラント層と前記シーラント層に積層された基材層とを備え、
前記基材層は、延伸フィルムである
ことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の包装袋の把手構造。
【請求項10】
前記シーラント層は、無延伸フィルムである
ことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の包装袋の把手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋の把手構造に係り、より詳細には、手指を挿入して把持するための切れ目状の把手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店頭販売において、シャンプーボトルとリンスボトルのように互いに関連する複数の容器をセットにして収納した外装袋が使用されている。外装袋のような包装袋の上部には、持ち運びを容易にするために、手指を挿入可能な把手用の開口部が形成されている。かかる開口部に手指を挿入することにより、開口部と包装袋の上縁との間の部分が把持される。
かかる開口部のような把持構造を備えた包装袋の一例が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、開口部に手指を挿入して包装袋を把持すると、開口部の上縁が手指に食い込むことがある。特に、外装袋にシャンプー等の複数の容器を包装した場合のように、包装袋の内容物が重い場合には、開口部の上縁が手指により強く食い込むことがある。
【0005】
そこで、把手用の開口部の形状に沿って切れ目を形成した把手構造を採用した包装袋も使用されている。切れ目に手指を挿入することによって、把手片が折り返されて開口部の上縁となる。開口部の上縁が折り返されているため、上縁が手指に食い込むことが回避される。
【0006】
ところが、開口部の形状に沿って切れ目を形成すると、切れ目の内側の把手片がカールして、店頭の陳列棚に展示されている包装袋の見栄えが悪くなってしまうことがある。
把手片がカールする原因としては、把手片を構成するフィルムが湿気を含むことにより僅かに延びて発生する場合がある。また、フィルムを製造する際に、フィルムの搬送方向に張力がかかった状態で積層された無延伸フィルムが、包装袋製造後に僅かに縮むことにより、カールが発生する場合もある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、把手用の開口部の形状に沿って形成された切れ目の内側の把手片がカールすることが抑制された、包装袋の把手構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、包装袋の把手構造であって、少なくともシーラント層を備える2枚のフィルムが、前記シーラント層どうしが対向するように重ね合わされた領域において、把手用の開口部に把手片が形成され、前記把手片は、前記2枚のフィルムが互いにヒートシールされた接着部と、前記2枚のフィルムがヒートシールされていない部位とを含み、前記接着部は、前記把手片の縁部に沿って当該縁部と並行に延在する部位の少なくとも一部に選択的に形成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明の包装袋では、把手片の両側縁及び下縁の2枚のフィルムが互いにヒートシールされた接着部を備えることにより、把手片がカールすることが抑制される。その結果、店頭の陳列棚に展示されている包装袋の見栄えが把手片のカールにより悪くなってしまうことが回避される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、把手用の開口部に形成された把手片がカールすることが抑制された、包装袋の把手構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態による包装袋の正面図である。
【
図2】(a)は、包装袋を構成するフィルムの断面模式図を示し、(b)は、
図1に示した包装袋のA-A線に沿った断面模式図を示す。
【
図3】(a)は、
図1に示した包装袋の把手構造を示す要部正面図を示し、(b)は、把手構造を構成する把手片を上方へ折り返したときの要部正面図を示す。
【
図4】(a)は、本発明の第2実施形態による包装袋の要部正面図を示し、(b)は、本発明の第3実施形態による包装袋の要部正面図を示す。
【
図5】(a)は、本発明の第4実施形態による包装袋の要部正面図を示し、(b)は、本発明の第5実施形態による包装袋の要部正面図を示す。
【
図6】本発明の第6実施形態による包装袋の正面図である。
【
図7】(a)は、
図6に示した包装袋の把手構造を示す要部正面図を示し、(b)は、
図6に示した包装袋のA-A線に沿った断面模式図を示す。
【
図8】本発明の第7実施形態における包装袋の要部正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態による包装袋の把手構造を説明する。
図1に、本実施形態における包装袋の正面図を示す。また、
図2(a)は、包装袋を構成するフィルムの断面模式図を示し、
図2(b)は、
図1に示した包装袋のA-A線に沿った断面模式図を示す。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の包装袋100は、第1胴部フィルム1と、第1胴部フィルム1に重ね合わせた第2胴部フィルム2と、包装袋100の上縁100aに沿って、第1胴部フィルム1と第2胴部フィルム2との間に、補強フィルム3とを備えている(
図2(b)参照)。第1胴部フィルム1と第2胴部フィルム2との間には収納部Sが形成される。
【0014】
図2(a)に第1胴部フィルム1の断面模式図を示す。同図に示すように、第1胴部フィルム1は、少なくともシーラント層101を備えており、本実施形態では、シーラント層101に積層された基材層102をさらに有している。
また、第2胴部フィルム2及び補強フィルム3も第1胴部フィルム1と同じ一層以上の構造を有している。
【0015】
シーラント層101としては、各種材料が考えられるが、シーラント層としては、例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエステル系の各種素材、(例えば、無延伸の直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene:LLDPE)、無延伸の低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene:LDPE)、無延伸の中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene:MDPE)、無延伸の高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene:HDPE)、無延伸のポリプロピレン(Cast Polypropylene:CPP)を使用することができる。その他、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体のようにヒートシール可能な各種素材を用いることもできる。
【0016】
基材層102としては、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、ポリエステル系の各種素材、例えば、二軸延伸のナイロン(Nylon:NY)、一軸延伸の高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene:HDPE)、二軸延伸のポリエチレン(Oriented Polyethylene)、二軸延伸のポリプロピレン(Oriented Polypropylene:OPP)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate:PET)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutylene Terephthalate:PBT )その他、基材層として使用可能な合成樹脂性素材を用いることができる。
【0017】
基材層102、シーラント層101の組合せとして、NY/LLDPEを用いた場合には、NYによる強度増大が見込まれる。また、HDPE/LLDPEを用いた場合には、同じオレフィン系の素材で包装袋が形成されるため、使用後のリサイクル性が向上する。また、同様に、OPP/CPPを用いた場合にもリサイクル性が向上する。また、材料コストを考慮して、PET/LLDPEを用いてもよい。
また、包装袋が大容量の場合でも、PET/NY/LLDPEの3層構成として、突き刺し性や落下耐性、及び剛性を持たせることができる。
【0018】
また、各フィルムの構成は、最下層にシーラント層があれば、シーラント層の単層であってもよく、リサイクル性、経済性をよくすることができる。一方、シーラント層の他に上記した他の層を積層することにより、突き刺し性や落下耐性や剛性を向上させることができる。
また、本実施形態では、各フィルムを二層構成としているが、各フィルムの構成は、三層以上のフィルムを積層してもよい。また、シーラント層と基材層との間に他の層を介在させてもよい。
【0019】
シーラント層101としてLLDPEを用い、基材層102としてNYを用いた場合、例えば、LLDPE層の厚さが80μm、NY層の厚さが15μmである。一方、基材層102がHDPEの場合、例えば、LLDPE層の厚さが80μm、HDPE層の厚さが25μmである。
【0020】
包装袋100では、2枚のフィルムが、シーラント層101どうしが対向するように重ね合わされている。すなわち、
図2(b)に示すように、第1胴部フィルム1と第2胴部フィルムとが、シーラント層101どうしが対向するように重ね合わされ、第1胴部フィルム1と補強フィルム3も、シーラント層101どうしが対向するように重ね合わされ、第2胴部フィルム2と補強フィルム3も、シーラント層101どうしが対向するように重ね合わされている。
【0021】
そして、重ね合わされたフィルムのシーラント層101どうしが部分的に熱融着されてヒートシール部が形成される。
図1に示すように、第1及び第2胴部フィルム1,2の両側の側縁に沿って、第1胴部フィルム1と第2胴部フィルム2とがヒートシールされた下部サイドシール部4が形成されている。第1及び第2胴部フィルム1,2では、それぞれ、シーラント層101が互いに対向するように重ね合わされているため、シーラント層101どうしが熱融着されることにより下部サイドシール部4が形成される。
また、シーラント層101が互いに対向するように重ね合わされているため、シーラント層101どうしが熱融着されることによりボトムシール部6aが形成される。
【0022】
また、
図1に示すように、第1及び第2胴部フィルム1,2の両側縁に沿って、第1胴部フィルム1及び第2胴部フィルム2と補強フィルム3とがそれぞれヒートシールされた上部サイドシール部5が形成されている。
図2(b)に示すように、補強フィルム3は、第1胴部フィルム1と第2胴部フィルム2との間に挿入される。このため、第1及び第2胴部フィルム1及び2と補強フィルム3とが重なった領域で包装袋100の両側縁をヒートシーラ(図示せず)で圧着して熱融着することにより、第1胴部フィルム1と補強フィルム3とが熱融着した上部サイドシール部5が形成されるとともに、第2胴部フィルム2と補強フィルム3とが熱融着した上部サイドシール部5が形成される。
【0023】
さらに、
図1及び
図2(b)に示すように、包装袋100の上縁100aに沿って、第1胴部フィルム1と補強フィルム3とがヒートシールされるとともに、第2胴部フィルム2と補強フィルム3とがヒートシールされたトップシール部6が形成されている。
上述したように、補強フィルム3は、第1胴部フィルム1と第2胴部フィルム2との間に挿入される。このため、第1及び第2胴部フィルム1及び2と補強フィルム3とが重なった領域で包装袋100の両側縁をヒートシーラ(図示せず)で圧着して熱融着することにより上部サイドシール部5が形成される。
図2(b)では、トップシール部6の熱融着面を黒い太線で模式的に示す。
【0024】
図1に示すように、第1及び第2胴部フィルム1,2と補強フィルム3とが重なった補強領域110に、把手構造として、把手用の開口部70に位置する把手片8の両側縁81と両側縁81の間の下縁82とを定める切れ目7が形成されている。切れ目7は、重ね合わせた2枚のフィルムを貫通している。すなわち、
図2(b)に示すように、切れ目7は、第1胴部フィルム1と補強フィルム3とを貫通するとともに、第2胴部フィルム2と補強フィルム3とを貫通している。
【0025】
図3(a)に、
図1に示した包装袋100の把手構造を示す要部正面図を示し、
図3(b)に、把手構造を構成する把手片8を上方へ折り返したときの要部正面図を示す。
図3(b)に示すように、切れ目7と、把手片8を上方へ折り返したときの折返し部80とによって、開口部70が画成される。
【0026】
開口部70は、任意の寸法形状を選択することができるが、親指を除く四指を挿入可能な横幅を有することが好ましい。また、開口部70と包装袋100の上縁100aとの間の部分の高さは、この部分を開口部70に挿入した指で把持しやすく、かつ、収納部を収納した包装袋100の重量を支えるのに十分な強度を確保できる高さであることが好ましい。
【0027】
切れ目7は、全体が開口部70の周囲へ向かって凸状に湾曲した形状を有し、具体的には、把手片8の左右の両側縁81で両側に凸となるように湾曲するとともに、両側縁81の間の下縁で下側に凸となるように,湾曲している。さらに、本実施形態では、両側縁81に連続して、把手片8の左右の両端に近い部分が、上方に凸となるように湾曲している。このように切れ目7を上方に凸となるように湾曲させることにより、把手片8を上方へ折り返したときに折返し部80の両端で、切れ目7の端部が裂けることが防止される。
【0028】
図3(a)に示すように、把手片8は、切れ目7の少なくとも一部分に沿って、2枚のフィルムが互いにヒートシールされた接着部9を有する。本実施形態では、接着部9は、把手片8の両側縁81それぞれに沿って連続して位置し、両側縁81の間の下縁82に沿って連続して位置し、さらに、両側縁81から延びる上方に凸となるように湾曲した部分の縁83にも連続して位置している。
本実施形態では、
図2(b)に示すように、第1及び第2胴部フィルム1,2の両側縁に沿って、第1胴部フィルム1及び第2胴部フィルム2と補強フィルム3とがそれぞれヒートシールされることにより、接着部9が形成されている。
【0029】
さらに、
図3(a)に示すように、開口部70の縁に沿って、把手片8の接着部9と対向する位置に、開口縁接着部10が形成されている。開口縁接着部10においても、本実施形態では、
図2(b)に示すように、第1及び第2胴部フィルム1,2の両側縁に沿って、第1胴部フィルム1及び第2胴部フィルム2と補強フィルム3とがそれぞれヒートシールされている。
【0030】
このように、把手片8の縁に沿って接着部9が形成されたことにより、開口部の形状に沿って切れ目を形成すると、切れ目7の内側の把手片8がカールすることを防止できる。特に、基材層102が、ナイロンフィルムのように、湿気を含むことにより僅かに延びることがあるフィルムである場合であっても、シーラント層101が、製袋後に僅かに縮むことがある無延伸フィルムである場合であっても、把手片8がカールすることが防止される。
その結果、店頭の陳列棚に展示されている包装袋の見栄えが把手片8のカールにより悪くなることが防止される。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態による包装袋の把手構造を説明する。
なお、以下の各実施形態では、上述した第1実施形態と同じ構成要素の説明を省略する。
図4(a)に、本実施形態による包装袋の要部正面図を示す。同図に示すように、本実施形態の把手構造は、把手片8の両側縁81及び下縁82と開口部の縁とをそれぞれ連結する点状の連結部11を有する。このように、連結部11を設けたことにより、把手片8がカールすることを一層防止することができる。
【0032】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態による包装袋の把手構造を説明する。
図4(b)に、本実施形態による包装袋の要部正面図を示す。同図に示すように、本実施形態では、接着部9aは、把手片8の両側縁81に沿って選択的に位置する。すなわち、本実施形態では、接着部9aは、把手片8の下縁82には設けられていない。
【0033】
シーラント層101と基材層102とは、シートの搬送方向(包装袋の横方向)に張力がかかった状態で互いに積層されてフィルムとなる。このため、シーラント層101が無延伸フィルムである場合には、製袋ラインにおいてシーラント層101の素材シートの搬送方向に僅かに伸びた状態でシーラント層101と基材層102とが互いに積層される。その結果、製袋後に、シーラント層101の無延伸フィルムが包装袋の横方向に僅かに縮むことによって、特に、把手片8の両側縁81付近がカールすることがある。そこで、この両側縁81に沿って接着部9aを設けることにより、接着部9aを少なくしつつ、把手片8がカールすることを効果的に防止することができる。
なお、開口部70の縁のうち、切れ目7を挟んで接着部9aと対向する部分もヒートシールにより開口縁接着部10aが形成されている。
【0034】
また、本実施形態では、接着部9aは、把手片8の両側縁81及び下縁82のうち、湾曲形状の曲率半径が20mm以下の部分に沿って位置している。これにより、カールしやすい曲率半径が小さい部分がカールすることを効果的に防止することができる。
【0035】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態による包装袋の把手構造を説明する。
図5(a)に、本実施形態による包装袋の要部正面図を示す。同図に示すように、本実施形態では、接着部9bが切れ目7に沿って断続的に形成されている。これにより、少ない接着部9bによって、把手片8がカールすることを効果的に防止することができる。
なお、開口部70の縁のうち、切れ目7を挟んで接着部9bと対向する部分もヒートシールにより開口縁接着部10bが形成されている。
【0036】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態による包装袋の把手構造を説明する。
図5(b)に、本実施形態による包装袋の要部正面図を示す。同図に示すように、本実施形態では、接着部9は、把手片8の両側縁81及び下縁82に沿って位置する。実施形態では、接着部は、開口部70の縁には設けられていない。
【0037】
すなわち、接着部9が、把手片8の両側縁81及び下縁82に沿って位置し、切れ目7を挟んだ把手片8の下縁82と開口部70の縁のうち、把手片8の下縁82においてのみ、2枚のフィルムが互いにヒートシールされている。すなわち、開口部70の縁はヒートシールされていない。
ところで、ヒートシールされた部分は、ヒートシールされていない部分よりも固くなるため、開口部70の縁(開口縁)をヒートシールすると、開口縁も固くなる。その結果、開口部70に挿入した手指がヒートシールされて固くなった開口縁に当たると、不快に感じることがある。
これに対し、本実施形態では、開口縁がヒートシールされていないため、開口縁が固くなっていない。このため、開口部70に挿入した手指が開口縁部に当たたときに、当たりが柔らかであり、不快感を低減することができる。
【0038】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態による包装袋の把手構造を説明する。
図6に、本実施形態における包装袋の正面図を示す。なお、同図においては、
図1に示した第1実施形態における包装体100の構成要素と同一のものについては同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0039】
図7(a)は、
図6に示した包装袋の把手構造を示す要部正面図を示し、
図7(b)は、
図6に示した包装袋のA-A線に沿った断面模式図を示す。
図7(a)に示すように、本実施形態の包装袋200の把手構造においては、把手片8aは、開口部70aの上縁部分を構成し、下側に向かって凸状に湾曲した形状を有している。
【0040】
さらに、
図7(a)に示すように、把手片8aの縁部を含む開口部70aの全周に、開口縁接着部10cが形成され、そのうちの把手片8aの縁部が接着部9cとなっている。接着部9cを含む開口縁接着部10cにおいては、
図7(b)に示すように、開口部70aの周縁に沿って、第1胴部フィルム1と補強フィルム3とがヒートシールされるとともに、第2胴部フィルム2と補強フィルム3とがヒートシールされている。
【0041】
このように、把手片8aの縁に沿って接着部9が形成されたことにより、把手片8aがカールすることを防止できる。特に、基材層102が、ナイロンフィルムのように、湿気を含むことにより僅かに延びることがあるフィルムである場合であっても、シーラント層101が、製袋後に僅かに縮むことがある無延伸フィルムである場合であっても、把手片8aがカールすることが防止される。その結果、店頭の陳列棚に展示されている包装袋200の見栄えが把手片8aのカールにより悪くなることが防止される。
【0042】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態による包装袋の把手構造を説明する。
図8に、本実施形態における包装袋の把手構造を示す要部正面図を示す。
図8に示すように、本実施形態における包装体の把手構造においては、開口部70aの周縁のうち、少なくとも下縁がヒートシールされておらず、把手片8aの縁部のみがヒートシールされている。開口部70aのヒートシールされていない下縁は固くなっていない。このため、開口部70に挿入した手指が開口縁70aの下縁に当たたときに、当たりが柔らかであり、不快感を低減することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、開口部を定める切れ目が、開口部の周囲に向かって凸状となるように湾曲した湾曲形状を有する例を説明したが、切れ目7、湾曲した形状に限定されず、直線及び/又は折れ線でもよいし、これらと曲線との組合せであってもよい。
また、上述した実施形態では、
図1に示したように、正面から見た外形が長方形の包装袋の把手構造の例を説明したが、本発明では包装袋の形状は、これに限定されず、例えば、台形の外形であってもよいし、不定形の外形であってもよい。
また、上述した実施形態では、上部シール部を設けた包装袋の把手構造の例を説明したが、本発明は、上部シール部のない包装袋の把手構造にも適用できる。
また、上述した第1~第5実施形態では、切れ目7の全部が、開口部70の周囲へ向かって凸状に湾曲した湾曲形状を有した例を説明したが、本発明は、切れ目7の一部分のみが湾曲形状を有する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 第1胴部フィルム
2 第2胴部フィルム
3 補強フィルム
4 下部サイドシール部
5 上部サイドシール部
6 トップシール部
6a ボトムシール部
7 切れ目
70,70a 開口部
8 把手片
81 両側縁
82 下縁
9,9a,9b,9c 接着部
10,10a,10b,10c 開口縁接着部
11 連結部
100,200 包装袋
100a 上縁
100b 下縁
110 補強領域
S 収納部