(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】光学モジュール実装基板、光学モジュール、光学モジュール実装基板の製造方法、および光学モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20240611BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20240611BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20240611BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20240611BHJP
【FI】
H01S5/022
G02B6/42
H01L31/02 B
H01L31/02 D
(21)【出願番号】P 2020115306
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】難波 兼二
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-321651(JP,A)
【文献】国際公開第2015/174239(WO,A1)
【文献】特開2020-071386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/022ー5/02257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の透光性基板と、
前記透光性基板の第1主面上に設けられ、内側に第1開口部が形成され、上面に第1光学要素が実装される第1配線層と、
前記透光性基板の第2主面上に設けられ、前記第1開口部に対応する位置に第2開口部が形成された第2配線層と、
前記第2配線層の上面側に設けられ、前記第2開口部に対応する位置に、前記第2開口部よりも大きい第3開口部が形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上面側に設けられ、前記第3開口部に対応する位置に前記第3開口部よりも大きい第4開口部が形成された第3配線層と、
前記第2配線層の表面を第1底面とし、前記第2開口部から露出した前記透光性基板の第2主面を第2底面とし、
前記第3開口部及び前記第4開口部を側壁とするキャビティ構造を形成するように設けられ、所定高さを有し、上面に第2光学要素が実装されるキャビティ壁と、
を有することを特徴とする光学モジュール実装基板。
【請求項2】
前記第2配線層が金属箔である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール実装基板。
【請求項3】
前記第1配線層と前記第2配線層の少なくとも一方が上層に配線層を有する多層構造である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光学モジュール実装基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学モジュール実装基板と、
前記キャビティ構造に収容された光学部品と、
を有することを特徴とする光学モジュール。
【請求項5】
前記光学部品がレンズプレートである
ことを特徴とする請求項4に記載の光学モジュール。
【請求項6】
光軸を前記レンズプレートに向けるミラー部を有する光導波路が、前記レンズプレートに接続固定されている
ことを特徴とする請求項5に記載の光学モジュール。
【請求項7】
前記第1配線層に光学素子が実装されている
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の光学モジュール。
【請求項8】
透光性基板の第1主面上に、内側に第1開口部が形成され、上面に第1光学要素が実装される第1配線層を形成し、
前記透光性基板の第2主面上の、前記第1開口部に対応する位置に第2開口部が形成された第2配線層を形成し、
前記第2配線層の上面側において、前記第2開口部に対応する位置に、前記第2開口部よりも大きい第3開口部が形成された絶縁層を形成し、
前記絶縁層の上面側において、前記第3開口部に対応する位置に前記第3開口部よりも大きい第4開口部が形成された第3配線層を形成し、
前記第2配線層の表面を第1底面とし、前記第2開口部から露出した前記透光性基板の第2主面を第2底面とし、
前記第3開口部及び前記第4開口部を側壁とするキャビティ構造を形成するよう、所定高さの、上面に第2光学要素が実装されるキャビティ壁を形成する、
ことを特徴とする光学モジュール実装基板の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の光学モジュール実装基板の製造方法で光学モジュール実装基板を製造し、
前記キャビティ構造に収容される光学部品を実装する
ことを特徴とする光学モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記第1配線層に光学素子を実装する
ことを特徴とする請求項9に記載の光学モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュール実装基板、光学モジュール、光学モジュール実装基板の製造方法、および光学モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基地局やデータセンター等で使用される基幹系機器のみならず、4K、8Kテレビやデジタルサイネージ等の民生機器においても高速大容量データ伝送の要求が高まっている。これを実現する一つの技術として光通信技術がある。光通信技術では、小型化、且つ低コストでの製造が可能な光モジュールが求められている。このような光モジュールとして、発光素子や受光素子を基板上にフェイスダウン実装したものが知られている。さらに、レンズ等の光学要素を含めた光モジュール全体の小型化が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1に、基板に光ファイバを挿入する貫通孔を設け、貫通孔に光ファイバを支持する支持部と、支持部より径の小さい小径部とを設け、支持部と小径部との境目にボールレンズを保持する光モジュールの発明が開示されている。この発明では、基板内にボールレンズを収容することにより、光モジュールの小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている構造では、光ファイバを挿入する細い貫通孔の中に、さらに細い小径部を形成して段差を設ける必要があった。このため、精度の良い加工が困難であり、再現性が得られにくいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、キャビティ構造を、容易に、かつ精度よく形成することができる光学モジュール実装基板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の光学モジュール実装基板は、絶縁性の透光性基板と、透光性基板の第1主面上に設けられた第1配線層と、透光性基板の第2主面上に設けられた第2配線層と、第2配線層の周囲に設けられたキャビティ壁とを有している。第1配線層の内側には、第1開口部が形成されている。第1配線層の上面には、第1光学要素が実装される。第2配線層の、第1開口部に対応する位置には第2開口部が形成されている。キャビティ壁は、第2配線層の表面を第1底面とし、第2開口部から露出した透光性基板の第2主面を第2底面とし、自身を所定高さの側壁とするキャビティ構造を形成するように設けられている。キャビティ壁の上面には、第2光学要素が実装される。
【0008】
また、本発明の光学モジュール実装基板の製造方法は、上記の光学モジュール実装基板を有し、光学モジュール実装基板のキャビティ構造に収容された光学部品を有する。
【0009】
また、本発明の光学モジュール実装基板の製造方法は、透光性基板の第1主面上に、内側に第1開口部が形成され、上面に第1光学要素が実装される第1配線層を形成する。そして、透光性基板の第2主面上の、第1開口部に対応する位置に第2開口部が形成された第2配線層を形成する。さらに、第2配線層の表面を第1底面とし、第2開口部から露出した透光性基板の第2主面を第2底面とし、自身を側壁とするキャビティ構造を形成するよう、所定高さの、上面に第2光学要素が実装されるキャビティ壁を形成する。
【0010】
また、本発明の光学モジュールの製造方法は、上記の光学モジュール実装基板の製造方法で光学モジュール実装基板を製造し、キャビティ構造に収容される光学部品を実装する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果は、キャビティ構造を、容易に、かつ精度よく形成することができる光学モジュール実装基板を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態の光学モジュール実装基板を示す断面図である。
【
図2】第1の実施形態の光学モジュール実装基板の第1主面を示す平面図である。
【
図3】第1の実施形態の光学モジュール実装基板の第2主面を示す平面図である。
【
図4】第2の実施形態の光学モジュール実装基板を示す断面図である。
【
図5】第2の実施形態の光学モジュール実装基板の第1主面を示す平面図である。
【
図6】第2の実施形態の光学モジュール実装基板の第2主面を示す平面図である。
【
図7】第2の実施形態の光学モジュール実装基板の製造方法の第1の部分を示す断面図である。
【
図8】第2の実施形態の光学モジュール実装基板の製造方法の第1の部分を示す断面図である。
【
図9】第2の実施形態の光学モジュール実装基板の製造方法の第1の部分を示す断面図である。
【
図10】第2の実施形態の光学モジュール実装基板の製造方法の第1の部分を示す断面図である。
【
図11】第2の実施形態の光学モジュール実装基板の製造方法の第1の部分を示す断面図である。
【
図12】第3の実施形態の光学モジュールを示す断面図である。
【
図13】第4の実施形態の光学モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の光学モジュール実装基板10を示す断面図である。光学モジュール実装基板10は、絶縁性の透光性基板1と、透光性基板1の第1主面上に設けられた第1配線層2と、透光性基板1の第2主面上に設けられた第2配線層3と、第2配線層3の周囲に設けられたキャビティ壁4とを有している。なお、透光性基板1の透光性とは、所定波長の光について透光性を有することを意味し、必ずしも可視光に対して透明でなくても良い。
【0015】
第1配線層2の内側には、第1開口部2aが形成され、第1開口部2aでは、透光性基板1の第1主面が露出している。第1配線層2の上面には、第1光学要素dが実装される。
【0016】
第2配線層3の、第1開口部2aに対応する位置には第2開口部3aが形成され、第2開口部3aでは、透光性基板1の第2主面が露出している。
【0017】
キャビティ壁4は、第2配線層3の表面を第1底面とし、第2開口部3aから露出した透光性基板1の第2主面を第2の底面とし、自身を所定高さの側壁とするキャビティ構造5を形成するように設けられている。キャビティ壁4の上面には、第2光学要素eが実装される。
【0018】
図2は、光学モジュール実装基板10を、透光性基板1の第1主面側から見た時の平面図である。透光性基板1の第1主面上に、第1配線層2が設けられ、第1配線層2の内側には第1開口部2aが形成されている。第1開口部2aでは、透光性基板1の第1主面が露出している。
【0019】
図3は、光学モジュール実装基板10を、透光性基板1の第2主面側から見た時の平面図である。透光性基板1の第2主面上に、第2配線層3が設けられ、第2配線層3の内側の、第1開口部2aに対応する位置には第2開口部3aが形成されている。第2開口部3aでは、透光性基板1の第2主面が露出している。
【0020】
上記構成では、キャビティ構造5のキャビティ壁4と接する第1底面が第2配線層3で形成されている。このような構成とすると、例えば、キャビティ壁4を樹脂で形成し、第2配線層3を金属膜で形成することで、エッチングの選択比を大きくすることができる。このため、キャビティ壁4のパターニングを容易かつ精度良く行うことができる。その結果、キャビティ構造5を、容易に、かつ精度よく形成することができる。なお、上記の説明では、第1開口部、第2開口部、キャビティ壁の上面が、矩形パターンの例を用いたが、パターンは、所望の光学性能を満たす任意の形状とすることができる。
【0021】
また、図示していないが、第1配線層2には電極や配線を配置し、所望の電気特性、光学特性を満たす形状とすることができる。
【0022】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態の光学モジュール実装基板の具体的な構成例について説明する。
図4は、本実施形態の光学モジュール実装基板1000の構成例を示す断面図である。
【0023】
光学モジュール実装基板1000は、絶縁性の透光性基板100の両面に配線層および絶縁層を設けた多層基板になっている。透光性基板100の第1主面上には、第1配線層200と、第1配線層200の一部を覆う第1絶縁層210が設けられている。第1配線層200の内側には、第1開口部201が形成され、第1開口部201では、透光性基板100の第1主面が露出している。第1配線層200の上面には、例えば、光学素子400が実装される。なお、透光性基板1の透光性とは、所定波長の光について透光性を有することを意味し、必ずしも可視光に対して透明でなくても良い。
【0024】
透光性基板100の第2主面には、透光性基板100に近い側から順に、第2配線層300と、基板接着層310と、第2絶縁層320と、第3配線層330と、第3絶縁層340が設けられている。第2配線層300の、第1開口部201に対応する位置には第2開口部301が形成され、第2開口部301では、透光性基板1の第2主面が露出している。
【0025】
基板接着層310、第2絶縁層320、第3配線層330、第3絶縁層340には、第2開口部301よりも径の大きな開口部が形成されている。これにより、キャビティ構造350を形成している。
図4の例では、キャビティ構造350の底面は、第2配線層300からなる第1底面と、第2開口部301から露出した透光性基板100の第2主面からなる第2底面により形成されている。また、キャビティ構造350の側壁351は、基板接着層310、第2絶縁層320、第3絶縁層340の開口部側面により形成されている。キャビティ構造350を設けることにより、例えば、凸部を持つ光学部品500などの光学要素をコンパクトに実装することができる。なお、
図4の例では、配線層の数を3層としたが、3層に限定するものではなく、更に多数の層を積層した構造を適用してもよい。
【0026】
図5は、光学モジュール実装基板1000を、透光性基板100の第1主面側から見た時の平面図である。透光性基板100の第1主面上に、第1配線層200が設けられ、第1配線層200の内側には第1開口部201が形成され、第1配線層の周辺部は第1絶縁層210で覆われている。第1開口部201では、透光性基板100の第1主面が露出している。
【0027】
図6は、光学モジュール実装基板1000を、透光性基板100の第2主面側から見た時の平面図である。透光性基板100の第2主面上に、第2配線層300が設けられ、第2配線層300の内側の、第1開口部201に対応する位置には第2開口部301が形成されている。第2開口部301では、透光性基板100の第2主面が露出している。第2配線層300の外側は第2絶縁層320に囲まれ、第2絶縁層320の外側は、第3絶縁層340に囲まれている。
【0028】
次に、光学モジュール実装基板1000の製造方法について説明する。まず、
図7の断面図に示すように両面に金属箔が形成された透光性基板100を準備し、各金属箔をパターニングする。これにより、第1配線層200と第2配線層300を形成する。透光性基板100としては、例えば、ポリイミドを用いることができる。第1配線層200と第2配線層300のパターニングは、例えば、金属箔表面にフォトレジストを供給した後に所定パターンの露光、現像を行い、金属箔が露出した箇所をエッチングし、その後、フォトレジストを除去することで行うことができる。金属箔には、例えば、銅、ニッケル、金、スズ、クロムや、これらのいずれかを含む合金などを用いることができる。
【0029】
次に、第2配線層300が形成された面に、開口部301を囲い、開口部301より広い、所定の開口部が形成されるように基板接着層310を供給する。そして、第3配線層330となる金属箔が形成された第2絶縁層320を貼り合わせる(
図8)。基板接着層310の供給は、例えば、半硬化したシート状のフィルムをラミネートする方法や、印刷、ディスペンスなどによって行うことができる。
【0030】
次に、
図9に示すように、金属箔をパターニングし第3配線層330を形成する。ここで、少なくとも後にキャビティ構造を形成する領域には、第3配線層330が配置されないようパターニングする。
【0031】
次に、第1配線層200の、開口部201を含まない一部の領域を覆うように、第1絶縁層210を形成する。また、第3配線層330の一部の領域を覆うように、第3絶縁層340を形成する(
図10)。第1絶縁層210と第3絶縁層340の形成は、例えば、スクリーン印刷法を用いて行うことができる。その他、所定の位置に開口部を有するカバーレイフィルムを貼り合わせる方法を採ってもよい。
【0032】
なお、金属箔として銅箔を用いた場合には、第1絶縁層210より露出した第1配線層200の表面と、第3絶縁層340より露出した第3配線層340の表面に、ニッケル、金の順で薄膜を形成しても良い。薄膜の形成は、例えば無電解めっき法で行うことができる。ニッケルは拡散防止膜として機能し、金は表面の酸化防止に寄与するものである。また、ニッケルの薄膜を形成した後に、パラジウム、金の順に薄膜を形成してもよい。また、図示はしていないがスルーホールを形成し、各配線層を接続してもよい。スルーホールを用いた接続は、例えば、所定の位置にレーザー加工等で各層を貫通するスルーホールを形成し、スルーホールの側面にめっき法にて銅の膜を形成することで行うことができる。また、銅の膜を形成した後、孔の中央を有機材料で埋めてもよい。
【0033】
次に、
図11に示すように、キャビティ構造350を形成する領域の、第2絶縁層320を切り出す。この加工は、例えばレーザー加工で行うことができる。この時、切り出す領域の端部が、第2配線層300上に位置するようにする。このようにすると、第2配線層300が、レーザー加工のストッパ層として機能するため、特別な工夫をしなくても、キャビティ構造350の底面の位置を精度よく制御することができる。以上により、光学モジュール実装基板1000が完成する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、光学モジュール実装基板に、簡単かつ加工精度よくキャビティ構造を形成することができる。また、配線層の数を3層以上の多層とすることで、単位面積当たりの配線密度を高くして、VCSEL等の発光素子やPD等の受光素子を制御するドライバICや、その他調整部品を多層配線上に高密度に配置できる。従って、光学モジュールの更なる小型化可能である。ここで、VCSELはVertical Cavity Surface Emitting Laserの略、PDはPhotodiodeの略、ICはIntegrated Circuitの略である。また、キャビティ構造の底部において、キャビティ構造の側壁と接続する底部に金属箔の第2配線層が配置されているため、配線のない位置に側壁を配置した場合より、キャビティ構造の強度を向上することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第2の実施形態の光学モジュール実装基板を用いた光学モジュールの具体例について説明する。
図12は、光学モジュール2000を示す断面図である。光学モジュール2000では、光学モジュール実装基板1000の第1主面側に光学素子400を実装し、第2主面側にレンズプレート510を実装している。
【0035】
図12に示すように、光学モジュール実装基板1000の第1配線層200に、光学素子400がフェイスダウンで実装されている。光学素子400の光機能部410は、第1配線層200の開口部201に位置決めされている。第1配線層200と光学素子400とは、AuやCu、及びSnを主成分とするはんだ材料などから形成されたバンプ420を介して接続されている。また、光学素子400と透光性基板100の間は封止樹脂層430によって保護されている。
【0036】
光学素子400には、例えば、面発光素子であるVCSELや受光素子であるPDなどを用いることができる。光学素子400が発光素子の場合は、光機能部410は発光部であり、光学素子400が受光素子の場合は、光機能部410は受光部である。
【0037】
封止樹脂層430は、バンプ420による接続部の保護や異物の介在防止として寄与する。ここで封止樹脂層430は、所定の波長を透過する材料であればよく、可視光や紫外線等の波長の光で硬化反応する光硬化型樹脂や、その他に熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂などを適用することができる。光学素子400が受光素子の場合、キャビティ構造350側より入射した光信号が、透光性基板100と封止樹脂層430を透過し光機能部410へ入射することができる。また、光学素子400が発光素子の場合、光機能部410より出射した光信号が、封止樹脂層430と透光性基板100を透過し、キャビティ構造350側へ出射される。
【0038】
透光性基板100の第2主面側にはレンズプレート510が実装されている。レンズプレート510には、ガラスやポリマー系の透明部材などの材料を用いることができ、成型法などにより形成されたものであってもよい。また、レンズプレート510上に形成されたレンズ部511は、伝送時における光の集光に寄与するものである。レンズプレート510のレンズ部511は、キャビティ構造350の中に収容されており、透光性基板100とレンズプレート17の間には、第1接着層520が、充填されている。また、レンズプレート510は、レンズ部511の光軸が、第2配線層300の開口部301を通り、光機能部410の光軸に一致するように位置決めされている。第1接着層520は、所定の波長を透過する材料であればよく、例えば、屈折率整合剤などを適用することができる。具体的には、第1接着層520として、例えば、光硬化樹脂を適用することができる。この場合、レンズプレート510の裏面から、所定波長の光を当て硬化することができる。
【0039】
なお、上記の説明では、第1配線層上に、1個の光学素子400が実装された構造を示したが、これに限定するものではなく複数個の光学素子400を実装しても良い。この場合、レンズプレート510を、各々の光学素子400と相対する位置にレンズ部511を有した構造としてもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、レンズプレートなどの立体形状を有する光学要素をキャビティ構造に収容できるため、光学モジュールを小型化することができる。そして、キャビティ構造内にレンズ部を配置することによって、伝送された光信号の損失を低減し、高い伝送特性を確保することができる。
(第4の実施形態)
本実施形態では、第3の実施形態の光学モジュールの変形例について説明する。
図13は、本実施形態の光学モジュール2100を示す断面図である。光学モジュール2100は、第2の実施形態の光学モジュール2000のレンズプレート510の裏面に、光導波路600を配置した構造を有している。光導波路600は、レンズプレート510のレンズ部511が配置された面と反対の面に、第2接着層530によって接着固定されている。光導波路600はコア層610とその周囲を囲うクラッド層620から構成されている。また、光導波路600には、レンズ部511と相対する位置に、光導波路の光軸を曲げるミラー部630が配置されている。このミラー部630は、光導波路600の光軸に対して45°の角度を持つように形成されている。そして、ミラー部630は、コア層610より伝送された光信号を90°曲げて、光学素子400の受光部(光機能部410)へ伝送する。また、発光部(光機能部410)より伝送された光信号を90°曲げて、光導波路600のコア層610へ伝送する。
【0041】
第2接着層530は、所定の波長を透過する材料であればよく、第1接着層520と同様に屈折率整合剤などを適用することができる。
【0042】
以上の構成とすることにより、光導波路を、透光性基板の第2主面に垂直に接続する構成よりも、光学モジュールを小型化することができる。
【0043】
以上、上述した第1から第4の実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0044】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
絶縁性の透光性基板と、
前記透光性基板の第1主面上に設けられ、内側に第1開口部が形成され、上面に第1光学要素が実装される第1配線層と、
前記透光性基板の第2主面上に設けられ、前記第1開口部に対応する位置に第2開口部が形成された第2配線層と、
前記第2配線層の表面を第1底面とし、前記第2開口部から露出した前記透光性基板の第2主面を第2底面とし、自身を側壁とするキャビティ構造を形成するように設けられ、所定高さを有し、上面に第2光学要素が実装されるキャビティ壁と、
を有することを特徴とする光学モジュール実装基板。
(付記2)
前記第2配線層が金属箔である
ことを特徴とする付記1に記載の光学モジュール実装基板。
(付記3)
前記第1配線層と前記第2配線層の少なくとも一方が上層に配線層を有する多層構造である
ことを特徴とする付記1または2に記載の光学モジュール実装基板。
(付記4)
付記1乃至3のいずれか一つに記載の光学モジュール実装基板と、
前記キャビティ構造に収容された光学部品と、
を有することを特徴とする光学モジュール。
(付記5)
前記光学部品がレンズプレートである
ことを特徴とする付記4に記載の光学モジュール。
(付記6)
光軸を前記レンズプレートに向けるミラー部を有する光導波路が、前記レンズプレートに接続固定されている
ことを特徴とする付記5に記載の光学モジュール。
(付記7)
前記第1配線層に前記光学素子が実装されている
ことを特徴とする付記4乃至6のいずれか一つに記載の光学モジュール。
(付記8)
透光性基板の第1主面上に、内側に第1開口部が形成され、上面に第1光学要素が実装される第1配線層を形成し、
前記透光性基板の第2主面上の、前記第1開口部に対応する位置に第2開口部が形成された第2配線層を形成し、
前記第2配線層の表面を第1底面とし、前記第2開口部から露出した前記透光性基板の第2主面を第2底面とし、自身を側壁とするキャビティ構造を形成するよう、所定高さの、上面に第2光学要素が実装されるキャビティ壁を形成する、
ことを特徴とする光学モジュール実装基板の製造方法。
(付記9)
付記8に記載の光学モジュール実装基板の製造方法で光学モジュール実装基板を製造し、
前記キャビティ構造に収容される光学部品を実装する
ことを特徴とする光学モジュールの製造方法。
(付記10)
前記第1配線層に前記光学素子を実装する
ことを特徴とする付記8または9に記載の光学モジュールの製造方法。
【符号の説明】
【0045】
1、100 透光性基板
2、200 第1配線層
2a、201 第1開口部
3、300 第2配線層
3a、301 第2開口部
4 キャビティ壁
5、350 キャビティ構造
10、1000 光学モジュール実装基板
210 第1絶縁層
310 基板接着層
320 第2絶縁層
330 第3配線層
340 第3絶縁層
400 光学素子
500 光学部品
510 レンズプレート
600 光導波路