(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20240611BHJP
【FI】
G01N23/046
(21)【出願番号】P 2020115581
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 啓雅
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-041957(JP,A)
【文献】特開2005-283180(JP,A)
【文献】特開2011-209054(JP,A)
【文献】特開2018-063183(JP,A)
【文献】特開2015-219035(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077627(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-G01N 23/2276
G01B 15/00-G01B 15/08
A61B 6/00-A61B 6/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を用いて撮像することにより検査対象を検査するX線検査装置であって、
前記検査対象に照射するX線を発生するX線発生器と、
前記検査対象を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記撮像に関する条件である撮像条件の設定を受け付ける設定受付部と、
前記X線検出器の視野に対応する前記検査対象の領域である単位撮像領域を設定する単位撮像領域設定部と、
X線を用いた前記検査対象の撮像を含む所定の処理に要する所要時間であって、設定された前記撮像条件に対する所要時間を推定する所要時間推定部と、
前記所要時間を表示する所要時間表示部と、
を備え
、
前記設定受付部は、前記検査対象に含まれる被検査物に対して、前記撮像条件の設定を受け付け、
前記単位撮像領域設定部は、前記被検査物に対して設定された前記撮像条件に応じて、前記単位撮像領域を設定し、
前記撮像条件は、前記単位撮像領域を、前記X線発生器において発生したX線が照射する時間である露光時間と、前記単位撮像領域を撮像する回数である撮像回数とを含み、
前記所要時間は、前記露光時間に前記撮像回数を乗じた、前記単位撮像領域を撮像する時間を含むことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記所要時間は、前記露光時間に前記撮像回数を乗じた、前記単位撮像領域を撮像する時間の、すべての前記単位撮像領域についての和を含み、
前記単位撮像領域設定部は、前記被検査物に応じて、該単位撮像領域の数が少なくなるように前記単位撮像領域を設定することを特徴とする請求項
1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記所要時間は、前記検査対象を、検査のための所定位置に位置決めするための時間を含むことを特徴とする請求項
1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記所要時間は、前記検査対象を前記X線検査装置内に搬入する時間及び該X線検査装
置内から搬出する時間を含むことを特徴とする請求項
1乃至
3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線の透過又はCT(Computer Tomography)を用いるX線検査装置に関す
る。
【背景技術】
【0002】
従来、X線のCTを用いるX線検査装置(以下では、「X線CT装置」という。)では、複数(例えば、15枚~500枚程度)の投影データを用いて再構成処理を行ってCT画像を取得する(特許文献1参照)。X線CT装置によってCT撮像を行う場合には、15枚と500枚では撮像時間は、単純に計算すれば30倍以上異なることになる。
【0003】
特に検査装置において撮像時間は、タクトタイム(検査対象の検査装置への搬入から搬出までの時間)に関わる。このタクトタイムは、検査装置において重要なファクターである。例えば、X線検査装置による検査工程を経て製品を出荷するように構成されたラインであれば、X線検査装置による1日当たりの検査可能な数によって、1日当たりの出荷数が制限されてしまうからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来、X線による撮像条件を決定する際に、タクトタイムを考慮しつつ適切な撮像条件を決定することは実現されていなかった。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、撮像を含む所定の処理に要する時間を表示することにより、処理に要する時間を考慮しつつ適切な撮像条件を決定できるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、
X線を用いて撮像することにより検査対象を検査するX線検査装置であって、
前記検査対象に照射するX線を発生するX線発生器と、
前記検査対象を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記撮像に関する条件である撮像条件の設定を受け付ける設定受付部と、
X線を用いた前記検査対象の撮像を含む所定の処理に要する所要時間であって、設定された前記撮像条件に対する所要時間を推定する所要時間推定部と、
前記所要時間を表示する所要時間表示部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、検査対象をX線で撮像する際の撮像条件を、設定受付部を用いて設定する際に、X線を用いた検査対象の撮像を含む所定の処理に要する所要時間であって、設定された撮像条件に対する所要時間が所要時間推定部によって推定され、所要時間表示部に表示されるので、処理に要する時間を考慮しつつ適切な撮像条件を決定できる。
【0009】
また、本発明において、
前記X線検出器の視野に対応する前記検査対象の領域である単位撮像領域を設定する単位撮像領域設定部を、備え、
前記設定受付部は、前記検査対象に含まれる被検査物に対して、前記撮像条件の設定を受け付け、
前記単位撮像領域設定部は、前記被検査物に対して設定された前記撮像条件に応じて、前記単位撮像領域を設定し、
前記撮像条件は、前記単位撮像領域を、前記X線発生器において発生したX線が照射する時間である露光時間と、前記単位撮像領域を撮像する回数である撮像回数とを含み、
前記所要時間は、前記露光時間に前記撮像回数を乗じた、前記単位撮像領域を撮像する時間を含むようにしてもよい。
【0010】
このようにすれば、検査対象に含まれる被検査物に応じて設定された撮像条件に応じて、X線検出器の視野に対応する検査対象の領域である単位撮像領域が設定される。そして、露光時間に撮像回数を乗じた、単位撮像領域を撮像する時間を含む所要時間が推定され、表示される。すなわち、検査対象に対する検査に含まれる所定の処理のうち、とりわけX線CTを用いた検査では主要な処理となる単位撮像領域の異なる角度からの複数の撮像に要する時間を含む所要時間が推定され、表示されるので、処理に要する時間をより的確に考慮しつつ適切な撮像条件を決定できる。
【0011】
また、本発明において、
前記所要時間は、前記露光時間に前記撮像回数を乗じた、前記単位撮像領域を撮像する時間の、すべての前記単位撮像領域についての和を含み、
前記単位撮像領域設定部は、前記被検査物に応じて、該単位撮像領域の数が少なくなるように前記単位撮像領域を設定するようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、被検査対象に複数の単位撮像領域が設定される場合でも、検査対象に対する検査に含まれる所定の処理のうち、とりわけX線CTを用いた検査では主要な処理となる単位撮像領域の異なる角度からの複数の撮像に要する時間の、すべての単位撮像領域についての和を含む所要時間が推定され、表示される。さらに、単位撮像領域は、被検査物に応じて、単位撮像領域の数が少なくなるように設定されるので、処理に要する時間を延ばすことなく、より的確に考慮しつつ適切な撮像条件を決定できる。
【0013】
また、本発明において、
前記所要時間は、前記検査対象を、検査のための所定位置に位置決めするための時間を含むようにしてもよい。
【0014】
これによれば、検査対象を検査のための所定位置に位置決めする処理に要する時間をも含めて考慮しつつ適切な撮像条件を決定できる。
【0015】
また、本発明において、
前記所要時間は、前記検査対象を前記X線検査装置内に搬入する時間及び該X線装置内から搬出する時間を含むようにしてもよい。
【0016】
これによれば、検査対象をX線検査装置内に搬入する処理及び該X線検査装置内から搬出する処理に要する時間をも含めて考慮しつつ適切な撮像条件を決定できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮像を含む所定の処理に要する時間を表示することにより、処理に要する時間を考慮しつつ適切な撮像条件を決定できるX線検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1に係るX線検査装置の機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るX
線検査装置の検査時間表示処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例1に係る撮像条件設定UIを例示する図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る撮像条件設定UIの遷移を示す図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る撮像条件設定UIの他の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は、本発明が適用されるX線検査装置1の機能ブロック図であり、
図2は、X線検査装置1における検査時間表示処理の手順を説明するフローチャートである。
【0021】
X線検査装置1では、まず、ユーザは、撮像条件設定UI131によって、撮像条件を設定(変更)すべき、被検査物を選択する(ステップS1)。ここで、被検査物とは、基板等の検査対象に含まれる部品や領域である。
【0022】
次に、ユーザは、撮像条件設定UI131によって、選択された被検査物に対する撮像条件を設定又は変更する(ステップS2)。
【0023】
このように撮像条件が設定(変更)されると、画角割当部122によって、選択された被検査物に対応する画角が割り当てられる(ステップS3)。画角とは、X線発生器111から照射されたX線が透過する検査対象をX線検出器112が撮像する際の視野である。画角割当部122は、選択された被検査物に応じて、割り当てられる画角の数がより少なく、望ましくは最小となるように画角を割り当てる。例えば、
図4に示す撮像条件設定UI131では、検査対象表示領域1311には、選択された被検査物として、B部品1311b及びE部品1311eが四角形の太線枠で表示されている。そして、
図5の部品一覧表示部1314に示すように、B部品及びE部品ともに撮像条件のうち分解能が30から25に、投影枚数が64から256枚に変更されることにより、B部品1311bには画角13113が、E部品には13111が割り当てられる。
【0024】
次に、検査時間推定部が、検査時間を推定、すなわち、推定検査時間を算出する(ステップS4)。検査時間は、少なくともX線を用いた検査対象の撮像を含む所定の処理に要する時間であり、種々の算出方法が可能である。ここでは、2つの画角のそれぞれに対する撮像時間85×256=21.76秒の和である43.52秒に、撮像部11が画角間の移動に要する時間と、位置決め部114が位置決めに要する時間と、検査対象のX線検査装置1内への搬入時間及びX線検査装置1内からの搬出時間とを加えた時間を推定検査時間として算出する。このため、検査時間推定部123は、推定検査時間を54.5秒と算出している。
【0025】
ステップS4において算出された推定検査時間は、検査時間表示UI132に送信され表示され(ステップS5)、検査時間表示処理は終了する。例えば、
図5に示す撮像条件設定UI131では、詳細情報表示部1313の推定検査時間表示部1313eに54.5秒と表示される。
【0026】
このように、本発明によれば、撮像条件に対応した検査時間を推定し、リアルタイムで表示することにより、ユーザは、検査時間を考慮しつつ適切な撮像条件を決定することが
できる。
【0027】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例1に係るX線検査装置1について、図面を用いて、より詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている装置の構成は各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0028】
<装置構成>
図1は、X線検査装置1の概略構成を示す機能ブロック図である。ここでは、X線のCT画像を用いるX線検査装置について説明する。
X線検査装置1は、検査対象を、複数の撮像位置から撮像して3次元データを取得する装置であり、主として、撮像部11、演算部12、UI部13、検査対象搬送部14及びバス15を含んで構成される。バス15は、各部を接続してデータが送受信される伝送路である。検査対象としては、例えば、基板が挙げられるがこれに限られない。
【0029】
撮像部11は、X線発生器111、X線検出器112、ステージ113、位置決め部114及び撮像条件記憶部115を含む。
X線発生器111は、検査対象に対してX線を照射する装置である。
X線検出器112は、X線発生器111から出力され、検査対象を透過したX線を検出して画像化する2次元X線検出器であり、例えば、I.I.(Image Intensifier)管や
FPD(フラットパネルディテクタ)を用いることができる。
ステージ113は、検査対象を複数の撮像位置から撮像するために、X線発生器111、X線検出器112及び検査対象の全部又は一部のX方向、Y方向及びZ方向の相対位置を変更する機構である。
位置決め部114は、検査対象を検査のための所定位置に位置決めする手段であり、検査対象のXY平面内の位置を検出するためのCCDカメラ、このXY平面に直交するZ方向の位置を検出する変位センサ、及び、これらの検出結果を処理し、検査対象を所定の位置に位置決めする機構を含む。
撮像条件記憶部115は、メモリ(例えば、後述する補助記憶部によって構成される)の所定領域であり、撮像条件を、当該撮像条件のもとで検査を行ったときの検査時間と関連付けて記憶している。
【0030】
演算部12は、検査対象情報記憶部121、画角割当部122、検査時間推定部123を含む。演算部12は、X線CTの計算や検査処理などの各種演算を行う装置であり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)のような論理回路により構成されてもよい。また、CPU(中央演算処理装置)と呼ばれる一般的な汎用演算装置、主記憶部及び補助記憶部を用いることができる。主記憶部としてRAMなどのメモリを用いることができる。補助記憶部にはROMやHDDやSSDなどを用いることができる。
【0031】
検査対象情報記憶部121は、メモリ(例えば、補助記憶部によって構成される)の所定領域であり、検査対象のCADデータや、検査対象のサンプルにより、検査対象、これに含まれる被検査物(部品や領域)並びにそれらの形状及び配置(位置関係)に関する情報を記憶している。
【0032】
画角割当部122は、被検査物ごとに設定可能な撮像条件に応じて、検査対象をX線検出器112で撮像する際の視野に対応する領域である画角を割り当てる機能部である。画角割当部122は、被検査物に対して設定された撮像条件に応じて、検査対象に対して複数の画角を割り当てる場合に、画角の数がより少なく、望ましくは最小となるように割り
当てる。ここでは、画角は、本発明の単位撮像領域に対応し、画角割当部は、本発明の単位撮像領域設定部に対応する。
【0033】
検査時間推定部123は、設定された撮像条件及びこれに応じて割り当てられた画角に基づいて、検査対象の検査時間を推定する機能部である。ここで、検査時間は、X線を用いた検査対象の撮像を含む所定の処理に要する所要時間の例であり、本発明の所要時間に対応する。この検査時間は、X線検査装置1の所定の位置に位置決めされた検査対象をX線検出器112によって撮像した画像から再構成された三次元データについて所望の位置(領域)の検査用画像を取得し、被検査物の検査を行う時間とすることができる。検査時間は、さらに、X線検査装置1内に搬入された検査対象を、上述の位置決め部114によって位置決めするために要する時間を含むようにしてもよい。また、検査時間は、さらに、検査対象をX線検査装置1内に搬入し、検査が終了した検査対象をX線検査装置1内から搬出するために要する時間を含むようにしてもよい。このとき、検査時間推定部123は、本発明の所要時間推定部に対応する。
【0034】
UI部13は、撮像条件設定UI131、検査時間表示UI132を含む。UI部13は、ユーザとX線検査装置
1の間で種々の情報の授受を行うインタフェースであり、例えば、入出力部を兼ねたタッチパネルディスプレイに表示されてもよいし、独立に構成されたディスプレイ等の出力部に表示され、マウス、キーボード等の入力部による入力を受け付けるものであってもよい。
撮像条件設定UI131は、検査対象に含まれる被検査物ごとの撮像条件の入力を受け付けるユーザインタフェースであり、例えば、
図3に示すようなユーザインタフェースによって構成される。
検査時間表示UI132は、検査時間推定部123によって推定された検査時間を表示するユーザインタフェースである。検査時間表示UI132は、本発明の所要時間表示部に対応する。
【0035】
検査対象搬送部14は、検査対象をX線検査装置1内に搬入するとともに、検査が終了した検査対象をX線検査装置1外に搬出する機構であり、例えば、コンベア等によって構成される。
【0036】
<検査時間表示処理>
次に、検査時間表示処理の手順について説明する。
【0037】
図3~5は、X線検査装置1のディスプレイに表示された撮像条件設定UI131の例を示す。ここでは、
図3~5は、検査時間表示UI132の例でもある。
【0038】
図2に示すフローチャートを参照した検査時間表示処理の手順の説明に先立って、
図3を参照して、撮像条件設定UI131の構成について説明する。
画面に左上部には、四角形状の検査対象表示領域1311が配置されている。この検査対象表示領域1311には、検査対象の所定領域を示す画像が表示される。検査対象表示領域1311に表示される所定領域は、検査対象の全部でもよいし一部でもよい。ここでは、検査対象である基板の所定領域を高さ方向(Z方向)から見た状態を示す。検査対象表示領域1311に表示されるのは、検査対象のCADデータ又はこれに基づいて生成した画像でもよいし、検査対象のサンプルを撮影した画像であってもよい。
【0039】
また、検査対象表示領域1311には、検査対象である基板に実装された電子部品等の被検査物や、基板上に形成されたフィデューシャルマーク等も表示される。撮像条件設定UI131の説明では、被検査物とフィデューシャルマークを合わせて部品と称する。ここでは、検査対象表示領域1311には、A部品1311a,B部品1311b、C部品
1311c、D部品1311d、E部品1311e、F部品1311f、G部品1311g、H部品1311hが表示されている。ここで、A部品1311a,B部品1311b、E部品1311e、F部品1311f、G部品1311g、H部品1311hは、電子部品等の被検査物であり、C部品1311c、D部品1311dは、位置決め部114のCCDカメラにより撮像されるフィデューシャルマークである。
【0040】
また、検査対象である基板をX線によって撮像する際のX線検出器112の視野である画角13111、画角13112が四角形の枠として表示される。画角13111は、A部品1311a,B部品1311b及びE部品1311eを含み、画角13112は、F部品1311f、G部品1311g及びH部品1311hを含む。
【0041】
撮像条件設定UI131の画面右上部には、撮像条件設定部1312が配置される。撮像条件設定部1312は、撮像枚数を設定するためのプルダウンメニュー1312a、分解能(μm)を設定するためのプルダウンメニュー1312b、照射角度(°)を設定するためのプルダウンメニュー1312c、管電圧(kV)を設定するためのプルダウンメニュー1312d、管電流(μA)を設定するためのプルダウンメニュー1312e、露光時間(msec)を設定するためのプルダウンメニュー1312fが配置されている。ここでは、デフォルトの数値として、撮像枚数64枚、分解能30μm、照射角度45°、管電圧100kV、管電流295μA、露光時間85msecが選択されている。
【0042】
撮像条件設定UI131の画面右中部には、詳細情報表示部1313が配置される。詳細情報表示部1313には、総部品数表示部1313a、総画面数表示部1313b、CCD画面数表示部1313c、X線画面数表示部1313d、推定検査時間表示部1313eが含まれている。総部品数表示部1313aは、検査対象表示領域1311に表示された検査対象に含まれる部品の数を表示する。ここでは、上述のように、検査対象には、A部品1311a~H部品1311hの8個の部品が含まれるので、総部品数として8が表示されている。総画面数は、X線検出器112の画角の数であるX線画面数と、位置決め部114に含まれるCCDカメラの画角の数であるCCD画面数との合計を示す。X線画面数は、検査対象表示領域1311に表示されているように、画角13111と画角13112の2つであり、CCD画面数は、C部品1311c、D部品1311dに対する画角の2つであるから、総画面数として4が表示されている。X線画面数表示部1313dは上述したX線画面数を表示し、CCD画面数表示部1313cは上述したCCD画面数を表示する。
【0043】
推定検査時間表示部1313eは、
図1における検査時間表示UI132である。検査時間推定部123によって推定された検査時間を表示する。ここでは、上述の撮像条件、X線画面数及びCCD画面数に基づいて推定された検査時間として31.2秒が表示されている。
【0044】
撮像条件設定UI131の画面下部には、部品一覧表示部1314が配置されている。ここには、検査対象表示領域1311に表示された部品であるA部品~H部品のそれぞれについて、当該部品が存在する面と、撮像条件である照射角度、分解能、投影枚数、管電圧、管電流及び露光時間とが表示されている。フィデューシャルマークであるC部品及びD部品については、設定可能な撮像条件が分解能のみであるため、照射角度等の他の撮像条件については値が表示されていない。
【0045】
撮像条件設定UI131の画面右上隅には、確定ボタン1315及びキャンセルボタン1316が配置されている。推定検査時間の表示を確認したユーザが、検査時間が適切なものであると判断した場合には、確定ボタン1315にカーソルを合わせてマウスを左クリックする等により、設定又は変更された撮像条件を確定させることができる。ユーザが
、検査時間が適切でないと判断した場合には、キャンセルボタン1316を選択することにより、撮像条件を変更する。このとき、被検査物の選択からやり直してもよい。
【0046】
撮像条件設定UI131の画面中央上端には、基板表面表示1317及び基板裏面表示1318が配置さている。検査対象表示領域1311に、検査対象である基板の表面が表示されている場合には基板表面表示1317がアクティブに表示され、基板の裏面が表示されている場合には基板裏面表示1318がアクティブに表示される。ここでは、検査対象表示領域1311に基板の表面が表示され、基板表面表示1317がアクティブに表示されている。
【0047】
以下に、
図2のフローチャートに戻って、検査時間表示処理の手順について説明する。
【0048】
検査時間表示処理が開始されると、ユーザは、被検査物を選択する(ステップS1)。具体的には、
図3に示された撮像条件
設定UI131において、ユーザが、画面上に表示されたカーソルを、検査対象表示領域1311のB部品1311bの位置まで移動させて、マウスを左クリックする等の操作により、B部品1311bを選択する。さらに、同様にして、E部品1311eを選択する。このように、B部品1311b及びE部品1311eを選択すると、
図4に示すように、選択された部品が太線で表示される。選択された部品の表示態様の変更は、これに限られず、表示色を変更する等の方法を適宜採用することができる。また、部品が選択されると、
図4に示す要因、部品一覧表示部1314において、選択された部品の行の表示色が変更される。ここでは、B部品1311b及びE部品1311eの行が灰色で表示されている。選択された部品の表示態様の変更は、これに限られず、反転表示させる等の方法を適宜採用することができる。
【0049】
次に、ユーザは、X線撮像条件を設定又は変更する(ステップS2)。具体的には、
図4に示す状態の撮像条件設定UI131において、ユーザは、X線撮像条件を変更する。変更された撮像条件は、ステップS1において選択された被検査物と関連付けて、撮像条件記憶部115に記憶される。X線撮像条件の変更は、撮像条件設定部1312に配置されたプルダウンメニュー1312a~1312fのうち、変更すべき撮像条件を設定するためのプルダウンメニューを選択し、数値を変更する。ここでは、検査対象表示領域1311のB部品1311bを選択した状態で、撮像条件設定部1312の投影枚数を64から256に、分解能を30から25に変更する。検査対象表示領域1311のE部品1311eについても、投影枚数を64から256に、分解能を30から25に変更する。
図5は、このように、撮像条件設定部1312により、投影枚数と分解能を変更した状態を示している。この撮像条件の変更に対応して、部品一覧表示部1314のB部品及びE部品の行では、分解能が25に、投影枚数が256に変更されている。
【0050】
上述のように、撮像条件が設定又は変更されると、これに対応して、画角割当部122によって、画角が割り当てられる(ステップS3)。
図5に示すように、撮像条件の変更に対応して、検査対象表示領域1311には、E部品1311eを含む画角13111と、F部品1311f、G部品1311g及びH部品1311hを含む画角13112に加えて、
B部品1311b及びA部品1311aを含む画角13113が新たに割り当てられている。また、詳細情報表示部1313のX線画面数表示部1313dには3が表示される。このとき、画角割当部122は、検査対象に対して複数の画角を割り当てる場合には、画角の数がより少なく、望ましくは最小となるように画角を割り当てる。このようにすれば、検査の際に撮像される画角の数が少なくなるので、撮像時間及び検査時間を短くすることができる。
【0051】
次に、ステップS2において設定又は変更された撮像条件と、ステップS3において割り当てられた画角に基づいて、検査時間推定部123が、検査時間を推定する、すなわち
、推定検査時間を算出する(ステップS4)。
【0052】
検査時間推定部123において推定する検査時間は、少なくともX線を用いた検査対象の撮像を含む所定の処理に要する時間であり、種々の算出方法が可能である。例えば、検査時間は、露光時間に撮像回数を乗じた画角の撮像時間を含む。また、検査時間は、露光時間に撮像回数を乗じた画角の撮像時間の、撮像したすべての画角についての和を含むようにしてもよい。検査時間は、このようにして算出された時間に、一つの画角から次の画角へと撮像部11が移動する時間を加算した時間を含むようにしてもよい。また、検査時間には、位置決め部114による、検査対象の位置決めに要する時間、例えば、CCDカメラによる撮像時間や変位センサによる検出時間を含むようにしてもよい。また、検査対象搬送部14によって、検査対象を、X線検査装置1内に搬入するのに要する搬入時間と、X線検査装置1内から搬出するのに要する搬出時間を含むようにしてもよい。
また、上述の画角間の移動、位置決め部114による位置決め、検査対象搬送部14による検査対象の搬入及び搬出が、本発明の所定の処理の例である。
【0053】
図5に示す例では、B部品1311b及びE部品1311eに対する撮像条件のうち、分解能が30から25へ、投影枚数が64から256に変更されている。このように変更された撮像条件に対して、検査時間推定部123は、推定検査時間を69.4秒と算出する。
詳細には、
図5に示す例では、B部品1311bに対して、投影枚数が256枚であるから、画角13113で示される画角について、異なる角度から256回撮像する。各撮像時のX線の露光時間が85msecであるから、B部品の撮像時間は露光時間に撮像回数を乗じた85(msec)×256/1000=21.8秒となる。同様に、E部品1311eに対して、投影枚数が256枚、であるから、画角13111で示される画角について、異なる角度から256回撮像する。各撮像時のX線の露光時間が85msecであるから、
E部品1311
eの撮像時間は露光時間に撮像回数を乗じた85(msec)×256/1000=21.8秒となる。
図4に示す例では、B部品1311b及びE部品1311eを含む画角13111について、X線の露光時間85msecで異なる角度から64回撮像するので、撮像時間は85(msec)×64/1000=5.4秒である。このため、画角13111について、
図4に示す例から
図5に示す例へと撮像条件を変更したことによる、撮像時間の増分は、21.8-5.4=16.4秒となる。新たに割り当てられた画角13113に対する上述の撮像時間21.8秒を加えると、
図4に示す例から
図5に示す例のように撮像条件が変更されたことによる、撮像時間の増分は、38.2秒となる。従って、撮像条件の変更後の推定検査時間は、撮像条件の変更前の推定検査時間31.2秒から38.2秒増加した69.4秒となる。
【0054】
上述のように算出された推定検査時間は、検査時間表示UI132に送信され、推定検査時間表示部1313eに表示され(ステップS5)、検査時間表示処理は終了する。
【0055】
このように、撮像条件に対応した検査時間を推定し、リアルタイムで表示することにより、ユーザは、検査時間を考慮しつつ適切な撮像条件を決定することができる。
【0056】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
X線を用いて撮像することにより検査対象を検査するX線検査装置(1)であって、
前記検査対象に照射するX線を発生するX線発生器(111)と、
前記検査対象を透過したX線を検出するX線検出器(112)と、
前記撮像に関する条件である撮像条件の設定を受け付ける設定受付部(131)と、
X線を用いた前記検査対象の撮像を含む所定の処理に要する所要時間であって、設定さ
れた前記撮像条件に対する所要時間を推定する所要時間推定部(123)と、
前記所要時間を表示する所要時間表示部(132)と、
を備えたことを特徴とするX線検査装置(1)。
【符号の説明】
【0057】
1 :X線検査装置
111 :X線発生器
112 :X線検出器
123 :検査時間推定部
131 :撮像条件設定UI
132 :検査時間表示UI