(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】監視装置及び監視プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 50/08 20200101AFI20240611BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240611BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20240611BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240611BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W50/14
B60W40/08
B60W60/00
G08G1/16 F
(21)【出願番号】P 2020115631
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2022-11-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福井 俊太朗
(72)【発明者】
【氏名】白土 敏治
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-030696(JP,A)
【文献】特開平06-034590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の搭乗者の飲酒状態を監視するために前記車両に搭載される監視装置(20)であって、
前記搭乗者から検出されるアルコール濃度を取得する取得部(S11、S21、S44、S54)と、
前記取得部により取得された前記アルコール濃度の時間変化を前記車両が備える表示装置(30)に表示させる表示部(S15、S23、S36、S48、S57)と、
前記取得部により取得された前記アルコール濃度と、前記アルコール濃度の時間に対する低下量を示すパラメータと、に基づき、時間経過に伴い低下する前記アルコール濃度の予測値を予測する予測部(S22)と、
自動運転から手動運転への切替えが必要となる切替地点へ前記車両が到達するまでの時間である切替時間を算出する切替時間算出部(S33、S46、S52)と、
前記切替時間と、前記パラメータと、前記取得部により取得された前記アルコール濃度と、に基づき、前記切替地点までに前記アルコール濃度が所定の閾値よりも小さくなる、前記搭乗者が摂取可能な許容アルコール量を算出する許容量算出部(S56)と、
を備え、
前記表示部は、前記予測値の時間変化
及び前記許容アルコール量を前記表示装置に表示させる、監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置であって、
前記車両が自動運転で制御されている状態において、前記車両を駐車することが可能な駐車場所を抽出する抽出部(S31)と
、
前記切替時間の経過時における前記予測値が所定の閾値以上である場合、前記車両が備える前記車両の運転を制御する走行制御装置(40)に、前記駐車場所に前記車両を停車させる制御を実行させる制御部(S35)と、
を更に備える、監視装置。
【請求項3】
車両(1)の搭乗者の飲酒状態を監視するために前記車両に搭載される監視装置(20)であって、
前記搭乗者から検出されるアルコール濃度を取得する取得部(S11、S21、S44、S54)と、
前記取得部により取得された前記アルコール濃度の時間変化を前記車両が備える表示装置(30)に表示させる表示部(S15、S23、S36、S48、S57)と、
前記取得部により取得された前記アルコール濃度と、前記アルコール濃度の時間に対する低下量を示すパラメータと、に基づき、時間経過に伴い低下する前記アルコール濃度の予測値を予測する予測部(S22)と、
前記車両が自動運転で制御されている状態において、前記車両を駐車することが可能な駐車場所を抽出する抽出部(S31)と、
自動運転から手動運転への切替えが必要となる切替地点へ前記車両が到達するまでの時間である切替時間を算出する切替時間算出部(S33、S46、S52)と、
前記切替時間の経過時における前記予測値が所定の閾値以上である場合、前記車両が備える前記車両の運転を制御する走行制御装置(40)に、前記駐車場所に前記車両を停車させる制御を実行させる制御部(S35)と、
を備え、
前記表示部は、前記予測値の時間変化を前記表示装置に表示させる、監視装置。
【請求項4】
請求項2
又は請求項3に記載の監視装置であって、
前記予測値が前記所定の閾値よりも小さくなると予測される時間まで前記駐車場所で前記車両を停車させる時間である待機時間を算出する待機時間算出部(S47)を更に備え、
前記表示部は、前記待機時間と、前記待機時間が考慮された前記搭乗者により入力された目的地への到着時刻と、を前記表示装置に表示させる、監視装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の監視装置であって、
前記搭乗者からの情報が入力される入力部(S42)を更に備え、
前記待機時間算出部は、前記取得部により取得された前記アルコール濃度と、前記入力部により入力された前記搭乗者の希望する摂取アルコール量と、前記パラメータと、に基づき予測された前記予測値に基づき、前記待機時間を算出する、監視装置。
【請求項6】
車両(1)の搭乗者の飲酒状態を監視するための監視プログラムであって、
前記搭乗者のアルコール濃度を検出するアルコールセンサ(10)と、
表示装置(30)と、
を備えるコンピュータ装置を、
前記アルコールセンサにより検出された前記アルコール濃度を取得する取得処理部(S11、S21、S44、S54)、
前記取得処理部により取得された前記アルコール濃度の時間変化を前記表示装置に表示させる表示処理部(S15、S23、S36、S48、S57
)、
前記取得処理部により取得された前記アルコール濃度と、前記アルコール濃度の時間に対する低下量を示すパラメータと、に基づき、時間経過に伴い低下する前記アルコール濃度の予測値を予測する予測処理部(S22)、
自動運転から手動運転への切替えが必要となる切替地点へ前記車両が到達するまでの時間である切替時間を算出する切替時間算出処理部(S33、S46、S52)、及び、
前記切替時間と、前記パラメータと、前記取得処理部により取得された前記アルコール濃度と、に基づき、前記切替地点までに前記アルコール濃度が所定の閾値よりも小さくなる、前記搭乗者が摂取可能な許容アルコール量を算出する許容量算出処理部(S56)、
として機能させ、
前記表示処理部は、前記予測値の時間変化
及び前記許容アルコール量を前記表示装置に表示させる、監視プログラム。
【請求項7】
車両(1)の搭乗者の飲酒状態を監視するための監視プログラムであって、
前記搭乗者のアルコール濃度を検出するアルコールセンサ(10)と、
表示装置(30)と、
を備えるコンピュータ装置を、
前記アルコールセンサにより検出された前記アルコール濃度を取得する取得処理部(S11、S21、S44、S54)、
前記取得処理部により取得された前記アルコール濃度の時間変化を前記表示装置に表示させる表示処理部(S15、S23、S36、S48、S57
)、
前記取得処理部により取得された前記アルコール濃度と、前記アルコール濃度の時間に対する低下量を示すパラメータと、に基づき、時間経過に伴い低下する前記アルコール濃度の予測値を予測する予測処理部(S22)、
前記車両が自動運転で制御されている状態において、前記車両を駐車することが可能な駐車場所を抽出する抽出処理部(S31)、
自動運転から手動運転への切替えが必要となる切替地点へ前記車両が到達するまでの時間である切替時間を算出する切替時間算出処理部(S33、S46、S52)、及び、
前記切替時間の経過時における前記予測値が所定の閾値以上である場合、前記車両が備える前記車両の運転を制御する走行制御装置(40)に、前記駐車場所に前記車両を停車させる制御を実行させる制御処理部(S35)、
として機能させ、
前記表示処理部は、前記予測値の時間変化を前記表示装置に表示させる、監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視装置及び監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転が導入されることによって、自動運転に頼って飲酒状態で乗車する人が出てくることにより発生する可能性がある飲酒運転を防止するために、アルコールチェックを行い、その結果に基づき車両の運転制御をする技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アルコールチェックをエンジン始動の条件として、飲酒運転を防止する技術が提案されている。また、例えば、特許文献2には、アルコールチェックを自動運転モードから手動運転モードへの切替の条件として、切替条件が不成立の場合には自動運転が継続されることで飲酒運転を防止する技術が提案されている。また、例えば、特許文献3には、乗車した時点で飲酒状態にある場合、目的地の設定時に自動運転が可能な道路のみが選択されることで飲酒運転を防止する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-105774号公報
【文献】特開2017-30397号公報
【文献】特開2019-28922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両が自動運転で走行する場合に限り、飲酒状態での乗車に加え、例えば搭乗中の飲酒が許可されたりすることも考えられる。このように、車両の自動運転による走行中に搭乗者が飲酒状態にあったとしても、それ以上の飲酒が行われない場合、時間経過に伴いアルコール濃度は下がる傾向にある。そして、手動運転が許可されるレベルまでにアルコール濃度が下がりきっている状態にある搭乗者による手動運転は、飲酒運転とはなり得ない。
【0006】
しかし、アルコールが抜ける時間、すなわちアルコール濃度の時間変化には個人差があり、目的地まで自動運転のみで到達できずに手動運転への切替が必要な場合において、手動運転切替前に手動運転が許可されるレベルまでにアルコール濃度が下がりきらないことも考えられる。ここで、発明者の詳細な検討の結果、車両の自動運転による走行中において飲酒状態にある搭乗者のアルコール濃度の時間変化に基づき、適切に飲酒運転を抑制する必要があるという課題が見出された。
【0007】
本開示の一局面は、車両の自動運転による走行中において飲酒状態にある車両の搭乗者による飲酒運転を抑制する新たな技術を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、車両(1)の搭乗者の飲酒状態を監視するために車両に搭載される監視装置(20)であって、取得部(S11、S21、S44、S54)と、表示部(S15、S23、S36、S48、S57)と、を備える。取得部は、搭乗者から検出されるアルコール濃度を取得する。表示部は、取得部により取得されたアルコール濃度の時間変化を車両が備える表示装置(30)に表示させる。
【0009】
このような構成では、車両の搭乗者から検出されるアルコール濃度の時間変化が表示されるため、車両の搭乗者の飲酒状態の変化を可視化することができる。その結果、車両の搭乗者が自身の飲酒状態を認識することによる飲酒運転への抑止力が働き、飲酒運転の抑制に繋がる。したがって、車両の搭乗者の飲酒状態の時間変化を監視することにより、車両の自動運転による走行中において飲酒状態にある車両の搭乗者による飲酒運転を抑制することができる。
【0010】
本開示の一態様は、車両(1)の搭乗者の飲酒状態を監視するための監視プログラムであって、搭乗者のアルコール濃度を検出するアルコールセンサ(10)と、表示装置(30)と、を備えるコンピュータ装置を、取得処理部(S11、S21、S44、S54)、及び、表示処理部(S15、S23、S36、S48、S57)、として機能させる。取得処理部は、アルコールセンサにより検出されたアルコール濃度を取得する。表示処理部は、取得処理部により取得されたアルコール濃度の時間変化を表示装置に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】アルコール濃度検出処理のフローチャートである。
【
図4】アルコール濃度予測処理のフローチャートである。
【
図5】アルコール濃度の検出結果及びアルコール濃度の予測値を示す図である。
【
図6】第1飲酒運転抑制処理のフローチャートである。
【
図7】駐車場所の一覧及び停車情報等を示す図である。
【
図8】第2飲酒運転抑制処理のフローチャートである。
【
図9】総アルコール濃度から予測したアルコール濃度の予測値に基づく、駐車場所での待機時間及び目的地への最終到着時刻を示す図である。
【
図10】第3飲酒運転抑制処理のフローチャートである。
【
図11】切替地点までにアルコール濃度が所定の閾値よりも小さくなる、搭乗者が摂取可能な許容アルコール量を示す図である。
【
図12】アルコール濃度の検出結果及びアルコール濃度の予測値を複数の搭乗者別に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1に示す車両1は、アルコールセンサ10と、監視装置20と、HMI(すなわち、Human Machine Interface)30と、走行制御装置40と、を備える。車両1は、自動運転及び手動運転の両方が可能な自動運転車両である。
【0013】
アルコールセンサ10は、車両1の搭乗者の呼気に含まれているアルコール濃度を検出するセンサである。アルコールセンサ10は、例えば、車両1の運転席の近傍に設けられており、当該運転席に座っている搭乗者がアルコールセンサ10に呼気を吹きかけることにより、アルコール濃度が検出される。アルコールセンサ10は、アルコール濃度に応じた信号を監視装置20へ出力する。
【0014】
監視装置20は、CPU21と、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ22とする)と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPU21は、非遷移的実体的記録媒体であるメモリ22に格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。具体的には、監視装置20は、当該プログラムに従い、後述するアルコール濃度検出処理、アルコール濃度予測処理、第1飲酒運転抑制処理、第2飲酒運転抑制処理及び第3飲酒運転抑制処理を実行する。なお、監視装置20は、1つのマイクロコンピュータを備えていてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えていてもよい。
【0015】
メモリ22には、アルコール濃度が検出された対象者を識別可能な情報、例えば氏名等に紐付けて、検出されたアルコール濃度が検出時刻と共に記憶される。そして、このように記憶されたアルコール濃度等の情報が、当該対象者ごとの履歴情報としてメモリ22に蓄積されている。
【0016】
監視装置20は、アルコール濃度の時間変化、及び、CPU21がプログラムを実行することにより得られる処理結果情報を表示する画像を表す信号をHMI30へ出力する。ここで、処理結果情報には、アルコール濃度の予測値、駐車場所、駐車場所での待機時間、目的地への最終到着時刻及び許容アルコール量などが含まれる。なお、これらの処理結果情報については、後述するそれぞれの処理で詳細を説明する。また、監視装置20は、CPU21がプログラムを実行することにより得られる、車両1を制御するための制御信号を、走行制御装置40へ出力する。
【0017】
HMI30は、本実施形態では、タッチパネル型ディスプレイである。HMI30は、アルコール濃度の時間変化及び処理結果情報等を表示する車載ディスプレイであって、車両1の搭乗者が視認できる位置に設けられる。また、車両1の搭乗者は、HMI30を介して、補足情報、及び、後述する搭乗者の希望する摂取アルコール量を入力することが可能である。補足情報には、飲酒内容、飲酒時間及び氏名等の車両1の搭乗者の飲酒状態を把握するために用いることが可能な情報であって、アルコール濃度の検出結果以外の情報が含まれる。また、HMI30を用いて、ナビゲーションシステムへの目的地も入力される。なお、HMI30は、補足情報等の搭乗者からの情報を入力可能な入力機器及びディスプレイを有する構成であってもよい。
【0018】
走行制御装置40は、図示しないCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。走行制御装置40は、監視装置20から出力された制御信号に基づき、車両1の運転を制御する。
【0019】
[2.処理]
[2-1.アルコール濃度検出処理]
次に、監視装置20が実行するアルコール濃度検出処理について、
図2のフローチャートを用いて説明する。このアルコール濃度検出処理は、イグニッションスイッチがオンされたとき、及び、車両1の搭乗者が手動運転を選択することにより自動運転から手動運転への切替えが検出されたときに実行される。
【0020】
まず、S11で、監視装置20は、車両1の搭乗者から検出されるアルコール濃度を取得する。本実施形態では、アルコールセンサ10により車両1の搭乗者の呼気中のアルコール濃度が検出される。
【0021】
続いて、S12で、監視装置20は、取得したアルコール濃度が
図3に示す所定の閾値C以上であるか否かを判定する。所定の閾値Cは、車両1の手動運転による制御の可否を判定する基準値となるアルコール濃度値である。所定の閾値Cは、0.00mg/Lに設定されることが好ましい。
【0022】
監視装置20は、S12でアルコール濃度が所定の閾値C以上であると判定した場合には、処理をS13へ移行する。
S13で、監視装置20は、車両1の手動運転による制御を不可と設定した後、処理をS15に移行する。
【0023】
一方、監視装置20は、S12でアルコール濃度が所定の閾値C以上でないと判定した場合には、処理をS14へ移行する。
S14で、監視装置20は、車両1の手動運転及び自動運転による制御を可と設定する。
【0024】
続いて、S15で、監視装置20は、アルコール濃度の検出結果をHMI30に表示させる。本実施形態では、
図3に示すように、縦軸をアルコール濃度とし、横軸を時間として、アルコール濃度の検出結果を時系列的にプロットすることによって、アルコール濃度の時間変化が表示される。その後、
図2のアルコール濃度検出処理を終了する。
【0025】
[2-2.アルコール濃度予測処理]
次に、監視装置20が実行するアルコール濃度予測処理について、
図4のフローチャートを用いて説明する。このアルコール濃度予測処理は、車両1が自動運転で制御されている状態において実行される処理である。アルコール濃度予測処理は、車両1の自動走行中に、例えば、車両1の車室内を撮像可能に車両1に搭載されたカメラにより、車両1の搭乗者が飲酒状態にあることを表す所定の条件が検出された場合に実行され、その後周期的に実行される。また、アルコール濃度予測処理は、車両1の自動走行中に、例えば、車両1において所定のボタンが押されたことが検出された場合に実行され、その後周期的に実行されてもよい。
【0026】
まず、S21で、監視装置20は、車両1の搭乗者から検出されるアルコール濃度を取得する。本実施形態では、上述したアルコール濃度検出処理のS11と同様に、アルコールセンサ10により車両1の搭乗者の呼気中のアルコール濃度が検出される。なお、S21で、監視装置20は、アルコール濃度に加え、車両1の搭乗者により入力される補足情報を取得してもよい。
【0027】
続いて、S22で、監視装置20は、時間経過に伴い低下するアルコール濃度の予測値を予測する。具体的には、監視装置20は、S21で取得されたアルコール濃度と、アルコール濃度の時間に対する低下量を示すパラメータである濃度低下パラメータと、に基づき、所定の経過時間ごとのアルコール濃度の予測値をそれぞれ算出する。濃度低下パラメータとは、車両1の搭乗者のアルコールの抜けやすさ、換言すると、酔いの醒めやすさを示すパラメータである。濃度低下パラメータとして、例えば、メモリ22に記憶された車両1の搭乗者に紐付く履歴情報に基づき算出される1時間当たりのアルコール濃度の低下量の平均値が用いられる。また、濃度低下パラメータとして、例えば、履歴情報に基づき算出される1時間当たりのアルコール濃度の低下量の最小値、最頻値などが用いられてもよい。また、濃度低下パラメータとして、履歴情報に基づかない値が用いられてもよい。なお、S22で、監視装置20は、アルコール濃度及び濃度低下パラメータに加え、補足情報を用いて予測値を予測してもよい。
【0028】
続いて、S23で、監視装置20は、アルコール濃度の検出結果及びアルコール濃度の予測値をHMI30に表示させる。本実施形態では、
図5に示すように、縦軸をアルコール濃度とし、横軸を時間として、アルコール濃度の検出結果Cm1,Cm2及びアルコール濃度の予測値Cp1~Cp3を時系列的にプロットすることによって、アルコール濃度及び予測値の時間変化が表示される。
図5に示すアルコール濃度の予測値Cp1~Cp3は、予測されるアルコール濃度及び予測時刻における予測誤差が含まれるように、アルコール濃度の検出結果Cm1,Cm2とは異なり、面積を有する円表示が用いられる。アルコール濃度の検出時刻に対して、アルコール濃度の予測値の予測時刻が離れているほど予測誤差は大きくなり得るため、円の面積が大きくなるように表示される。なお、
図4のアルコール濃度予測処理は、周期的に実行されるため、周期ごとに算出される最新のアルコール濃度の予測値が表示される。その後、
図4のアルコール濃度予測処理を終了する。
【0029】
[2-3.第1飲酒運転抑制処理]
次に、監視装置20が実行する第1飲酒運転抑制処理について、
図6のフローチャートを用いて説明する。この第1飲酒運転抑制処理は、車両1の搭乗者により入力された目的地へ向かって、車両1が自動運転で制御されている状態において実行される処理である。以下では、例えば、高速道路におけるサービスエリア間等の自動運転による走行が可能な区間において、車両1が自動運転で制御されていることを前提とする構成を例に、第1飲酒運転抑制処理について説明をする。
【0030】
まず、S31で、監視装置20は、車両1が自動運転で制御されている状態において、車両1を駐車することが可能な駐車場所を抽出する。本実施形態では、駐車場所として、目的地までの経路において高速道路を降りるインターチェンジまでに存在するサービスエリアが抽出される。なお、車両1が自動運転で制御されている状態において、車両1を駐車することができる場所であれば、他の場所が抽出されてもよい。
【0031】
そして、抽出された駐車場所(すなわち、サービスエリア)は、
図7に示すように、アルコール濃度の検出結果等とは別に、車両1の現在位置から距離が近い順等に駐車場所の一覧として表示される。
【0032】
続いて、S32で、監視装置20は、目的地までの間に自動運転から手動運転への制御の切替えが必要となる切替地点が存在するか否かを判定する。本実施形態では、目的地までの経路において高速道路を降りるインターチェンジが存在する場合、切替地点が存在すると判定される。なお、手動運転への制御の切替えが必要となる他の場所が存在する場合、当該他の場所の存在により切替地点が存在すると判定されてもよい。
【0033】
監視装置20は、S32で目的地までの間に手動運転への切替地点が存在すると判定した場合には、処理をS33へ移行する。
S33で、監視装置20は、切替地点へ車両1が到達するまでの時間である切替時間を算出する。
【0034】
続いて、S34で、監視装置20は、切替時間の経過時における、上述したアルコール濃度予測処理において予測されたアルコール濃度の予測値が、所定の閾値C以上であるか否かを判定する。本実施形態では、
図7に示すように、車両1が切替地点である「〇〇IC」に到達する時刻である切替時刻Aにおけるアルコール濃度の予測値が所定の閾値C以上である場合、切替時間の経過時におけるアルコール濃度の予測値が所定の閾値C以上であると判定される。なお、切替時刻が、所定の閾値Cよりも小さくなるアルコール濃度の予測値の予測時刻よりも早い場合も、切替時間の経過時におけるアルコール濃度の予測値が所定の閾値C以上であると判定することが可能である。
【0035】
監視装置20は、S34で切替時間の経過時におけるアルコール濃度の予測値が所定の閾値C以上であると判定した場合には、処理をS35へ移行する。
続いて、S35で、監視装置20は、選択された駐車場所に車両1を停車させる制御を走行制御装置40に実行させる制御信号を出力する。S31で駐車場所が複数抽出されている場合、駐車場所の一覧から車両1を停車させる駐車場所を車両1の搭乗者が選択可能に構成されている。また、S31で抽出された駐車場所が1つである場合、当該駐車場所が自動的に選択されるように構成されている。
【0036】
続いて、S36で、監視装置20は、駐車場所に車両1を停車させることに関する情報である停車情報をHMI30に表示させる。停車情報とは、
図7に示す、選択された駐車場所である「××SA」への到着時刻B及び駐車場所に停車する旨を通知する通知事項D等である。本実施形態では、
図7に示すように、縦軸をアルコール濃度とし、横軸を時間として、時系列的にプロットされるアルコール濃度の検出結果Cm1,Cm2及びアルコール濃度の予測値Cp1~Cp3に加え、駐車場所の一覧及び停車情報等が表示される。その後、
図6の第1飲酒運転抑制処理を終了する。
【0037】
一方、監視装置20は、S32で目的地までの間に手動運転への切替地点が存在しないと判定した場合には、S33~S36の処理をスキップして、
図6の第1飲酒運転抑制処理を終了する。
【0038】
また、監視装置20は、S34で切替時間の経過時におけるアルコール濃度の予測値が所定の閾値C以上でない、すなわち、切替時間内にアルコール濃度の予測値が所定の閾値Cよりも小さくなると判定した場合にも、S355,S36の処理をスキップして、
図6の第1飲酒運転抑制処理を終了する。
【0039】
[2-4.第2飲酒運転抑制処理]
次に、監視装置20が実行する第2飲酒運転抑制処理について、
図8のフローチャートを用いて説明する。この第2飲酒運転抑制処理も、車両1の搭乗者により入力された目的地へ向かって、車両1が自動運転で制御されている状態において実行される処理である。以下でも、例えば、高速道路におけるサービスエリア間等の自動運転による走行が可能な区間において、車両1が自動運転で制御されていることを前提とする構成を例に、第2飲酒運転抑制処理について説明をする。
【0040】
まず、S41で、監視装置20は、目的地までの間に自動運転から手動運転への制御の切替が必要となる切替地点が存在するか否かを判定する。なお、上述した第1飲酒運転抑制処理のS32と同様に、インターチェンジ等が存在する場合、切替地点が存在すると判定される。
【0041】
監視装置20は、S41で目的地までの間に手動運転への切替地点が存在すると判定した場合には、処理をS42へ移行する。
S42で、監視装置20は、車両1の搭乗者により入力された当該搭乗者の希望する摂取アルコール量を取得する。
【0042】
続いて、S43で、監視装置20は、取得した摂取アルコール量から摂取アルコール濃度を算出する。
続いて、S44で、監視装置20は、現在時刻において検出されている現アルコール濃度を取得する。
【0043】
続いて、S45で、監視装置20は、手動運転への制御の切替えが可となるまでの切替可予測時間を算出する。具体的には、S42で取得した摂取アルコール量に基づきS43で算出された摂取アルコール濃度と、S44で取得された現アルコール濃度と、濃度低下パラメータと、に基づき、所定の経過時間ごとのアルコール濃度の予測値がそれぞれ算出される。すなわち、
図9に示す、現アルコール濃度と摂取アルコール濃度とを足し合わせた総アルコール濃度Chが算出され、総アルコール濃度Chと濃度低下パラメータとに基づき、所定の経過時間ごとの総アルコール濃度Chから予測したアルコール濃度の予測値Cp4~Cp7が算出される。そして、切替可予測時間として、総アルコール濃度Chと濃度低下パラメータとに基づき算出されたアルコール濃度の予測値が所定の閾値Cよりも小さくなるまでの時間が算出される。
図9に示す例では、切替可予測時間として、所定の閾値Cよりも小さくなる総アルコール濃度Chから予測したアルコール濃度の予測値Cp7の予測時刻までの時間が算出される。
【0044】
続いて、S46で、監視装置20は、切替地点へ車両1が到達するまでの切替時間を算出する。
続いて、S47で、監視装置20は、切替時間が切替可予測時間よりも短い場合、上述した第1飲酒運転抑制処理において抽出された駐車場所で切替可予測時間まで車両1を停車させる時間である待機時間、及び、待機時間が考慮された目的地への最終到着時刻を算出する。待機時間は、切替可予測時間から駐車場所へ車両1が到着するまでの到着時間を差し引いて算出される。また、最終到着時刻は、目的地までの距離及び車両1の走行速度に応じて予測される到着時刻に待機時間を足し合わせて算出される。
【0045】
続いて、S48で、監視装置20は、総アルコール濃度Chから予測したアルコール濃度の予測値の時間変化と共に、待機時間及び最終到着時刻をHMI30に表示させる。本実施形態では、
図9に示すように、縦軸をアルコール濃度とし、横軸を時間として、時系列的にプロットした総アルコール濃度Ch、及び、総アルコール濃度Chから予測したアルコール濃度の予測値Cp4~Cp7に加え、待機時間及び最終到着時刻を示す時間情報F等が表示される。その後、
図8の第2飲酒運転抑制処理を終了する。
【0046】
一方、監視装置20は、S41で目的地までの間に手動運転への切替地点が存在しないと判定した場合にも、S42~S48の処理をスキップして、
図8の第2飲酒運転抑制処理を終了する。
【0047】
なお、切替時間が切替可予測時間よりも長い場合も、車両1が駐車場所で停車しなくても、切替地点において手動運転への制御が可となることが予測されるため、S47及びS48の処理は実行されない。
【0048】
なお、この第2飲酒運転抑制処理において、摂取アルコール濃度がゼロの場合は、検出されたアルコール濃度から予測したアルコール濃度の予測値に基づき算出された待機時間及び最終到着時刻が表示される。
【0049】
[2-5.第3飲酒運転抑制処理]
次に、監視装置20が実行する第3飲酒運転抑制処理について、
図10のフローチャートを用いて説明する。この第3飲酒運転抑制処理も、車両1の搭乗者により入力された目的地へ向かって、車両1が自動運転で制御されている状態において実行される処理である。
【0050】
まず、S51で、監視装置20は、目的地までの間に自動運転から手動運転への制御の切替が必要となる切替地点が存在するか否かを判定する。なお、第1飲酒運転抑制処理のS32及び第2飲酒運転抑制処理のS41と同様に、インターチェンジ等が存在する場合、切替地点が存在すると判定される。
【0051】
監視装置20は、S51で目的地までの間に手動運転への切替地点が存在すると判定した場合には、処理をS52へ移行する。
S52で、監視装置20は、切替地点へ車両1が到達するまでの切替時間を算出する。
図11に示す例では、切替時間として、切替地点である「〇〇IC」へ車両1が到着すると予測される到着時刻までの時間が算出される。
【0052】
続いて、S53で、監視装置20は、切替地点までに手動運転の制御か可となるアルコール濃度である許容アルコール濃度を算出する。具体的には、許容アルコール濃度として、切替時間と濃度低下パラメータとに基づき、切替時間の経過時におけるアルコール濃度の予測値が所定の閾値よりも小さくなる、現在時刻において許容され得るアルコール濃度を算出する。
【0053】
続いて、S54で、監視装置20は、現在時刻において検出されている現アルコール濃度を取得する。
続いて、S55で、監視装置20は、許容アルコール濃度及び現アルコール濃度に基づき差分アルコール濃度を算出する。差分アルコール濃度は、許容アルコール濃度から現アルコール濃度を差し引いて算出される。
【0054】
続いて、S56で、監視装置20は、切替地点までにアルコール濃度が所定の閾値よりも小さくなる、搭乗者が摂取可能な許容アルコール量を算出する。具体的には、許容アルコール量として、差分アルコール濃度に基づき、特定の種類のアルコールにおいて、摂取が可能な量を算出する。許容アルコール量は、例えば、350mlの缶ビールであれば3本分などとして算出される。
【0055】
このように、S52~S56の処理を実行することで、切替時間と濃度低下パラメータと現アルコール濃度とに基づく許容アルコール量が算出される。
続いて、S57で、監視装置20は、許容アルコール濃度から予測したアルコール濃度の予測値の時間変化と共に、許容アルコール量をHMI30に表示させる。本実施形態では、
図11に示すように、縦軸をアルコール濃度とし、横軸を時間として、時系列的にプロットした許容アルコール濃度Cpt及び許容アルコール濃度Cptから予測したアルコール濃度の予測値Cp8~Cp11に加え、許容アルコール量を示す許容量情報E等が表示される。なお、現在時刻の現アルコール濃度が許容アルコール濃度を超えている場合、つまり差分アルコール量がマイナスの値であり、既に許容アルコール量を上回る飲酒が行われていることが予測される場合は、停車情報等が表示される。その後、
図10の第3飲酒運転抑制処理を終了する。
【0056】
一方、監視装置20は、S51で目的地までの間に手動運転への切替地点が存在しないと判定した場合にも、S52~S57の処理をスキップして、
図10の第3飲酒運転抑制処理を終了する。
【0057】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)本実施形態では、車両1の搭乗者から検出されるアルコール濃度の時間変化が表示される。このため、車両1の搭乗者の飲酒状態の変化を可視化することができる。その結果、車両1の搭乗者が自身の飲酒状態を認識することによる飲酒運転への抑止力が働き、飲酒運転の抑制に繋がる。したがって、車両1の搭乗者の飲酒状態の時間変化を監視することにより、車両1の自動運転による走行中において飲酒状態にある車両1の搭乗者による飲酒運転を抑制することができる。
【0058】
(3b)本実施形態では、車両1の搭乗者から検出されるアルコール濃度と濃度低下パラメータとに基づきアルコール濃度の予測値を予測し、当該予測値の時間変化が表示される。このため、手動運転への切替地点が存在する場合、所定の閾値Cに対する切替地点におけるアルコール濃度の予測値に基づき、適切に飲酒運転を抑制するための制御及び抑止力を働かせる表示等を事前に行うことができる。
【0059】
(3c)本実施形態では、アルコール濃度の予測値を予測する際に、取得したアルコール濃度に加え、補足情報が用いられる。これにより、アルコール濃度の予測値の予測精度を向上させることができる。
【0060】
(3d)本実施形態では、切替時間の経過時におけるアルコール濃度の予測値が所定の閾値C以上である場合、駐車場所に車両1を停車させる制御が実行される。これにより、切替地点が存在する場合であって、切替地点までにアルコール濃度が所定の閾値Cまで下がりきらない場合であっても、車両1の搭乗者による飲酒運転を抑制することができる。
【0061】
(3e)本実施形態では、抽出された駐車場所が複数ある場合、車両1の搭乗者が駐車場所を選択することが可能である。これにより、例えば、大きいサービスエリアを駐車場所として選択するなど、車両1の搭乗者の好みの駐車場所を選択できるため、駐車場所での停車時の時間を有効に過ごすことが可能である。
【0062】
(3f)本実施形態では、車両1の搭乗者が希望する摂取アルコール量が考慮された総アルコール濃度に基づく、駐車場所での待機時間及び最終到着時刻が表示される。これにより、目的地への到着時刻を優先するために車両1の搭乗者が飲酒を控えるなど、搭乗中の飲酒自体を抑制する抑止力を与えたり、許容できる最終到着時刻に合わせたアルコールの摂取量を搭乗者に把握させ、それ以上の飲酒に対する抑止力を与えたりすることができる。
【0063】
(3g)本実施形態では、切替地点までにアルコール濃度が所定の閾値よりも小さくなる、許容アルコール量が表示される。これにより、許容アルコール量以上のアルコールを飲酒した場合に、切替地点において飲酒運転となり得ることを車両1の搭乗者に認識させることができる。その結果、車両1の自動運転による走行中において飲酒状態にある車両1の搭乗者による飲酒運転を抑制することができる。
【0064】
また、許容アルコール量を算出する際に、差分アルコール濃度が用いられる。これにより、車両1の乗車時に搭乗者が飲酒状態にある場合でも、乗車時に検出されるアルコール濃度を差し引いた状態で、後どれだけの飲酒が許容されるかを示す許容アルコール量を算出することができる。また、車両1の乗車時に搭乗者が既に許容量以上の飲酒をしている場合、それ以上の飲酒が出来ないことを搭乗者に明示することができる。つまり、車両1の搭乗時の飲酒状態に関わらず、適切に許容量を算出することができる。
【0065】
なお、HMI30が表示装置に相当し、S11、S21、S44、S54が取得部としての処理に相当し、S15、S23、S36、S48、S57が表示部としての処理に相当し、S22が予測部としての処理に相当し、S31が抽出部としての処理に相当する。また、S33、S46、S52が切替時間算出部としての処理に相当し、S35が制御部としての処理に相当し、S42が入力部としての処理に相当し、S47が待機時間算出部としての処理に相当し、S56が許容量算出部としての処理に相当する。
【0066】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0067】
(4a)上記実施形態では、車両1の搭乗者の呼気に含まれているアルコール濃度を検出する構成を例示したが、例えば、血中に含まれるアルコール濃度、車両1の搭乗者近辺の空気中に含まれるアルコール濃度等が検出されてもよい。
【0068】
(4b)上記実施形態では、アルコール濃度の検出結果及びアルコール濃度の予測値を時系列的にプロットすることによって、アルコール濃度及び予測値の時間変化を表示したが、表示方法はこれに限定されるものではない。アルコール濃度及び予測値の時間変化の表示方法は、車両1の搭乗者のアルコール濃度の変化が可視化できる方法であればよい。例えば、アルコール濃度別に高、中、低等に分類分けし、アルコール濃度及び予測値の時間変化を当該分類を用いて表すことにより表示されてもよい。
【0069】
(4c)上記実施形態では、アルコール濃度の予測値の表示方法として、面積を有する円表示が用いられたが、アルコール濃度の予測値の表示方法はこれに限定されるものではない。例えば、アルコール濃度の予測値における、上限及び下限の数値が表示されてもよい。
【0070】
(4d)アルコールセンサ10は、例えば助手席などの運転席以外の席に座っている別の搭乗者の呼気に含まれているアルコール濃度を検出可能に、取り外し可能に設けられていてもよい。また、アルコールセンサ10は、例えば、運転席及び助手席などの運転席以外の席の近傍にそれぞれ個別設けられていてもよい。
【0071】
このように設けられたアルコールセンサ10によって、車両1に乗車している複数の搭乗者の呼気中のアルコール濃度が検出されてもよい。そして、
図12に示すように、搭乗者a及び搭乗者bのそれぞれのアルコール濃度の検出結果及びアルコール濃度の予測値等を表示させてもよい。そして、搭乗者a及び搭乗者bの手動運転への制御の切替が可となるまでの切替可予測時間がそれぞれ算出され、搭乗者a及び搭乗者bのそれぞれの切替可予測時間に応じた手動運転の開始が可能となり得る予測時刻情報Gが表示されてもよい。これにより、搭乗者a及び搭乗者bのうち、どちらがより早くアルコール濃度が低下するか等を把握することができる。そして、切替地点において、搭乗者aであれば手動運転への制御の切替が可となる場合、搭乗者aを運転者とすることで、手動運転における飲酒運転を抑制するなどの対策を立てることも可能である。
【0072】
(4e)上記実施形態で予測される、駐車場所への到着時刻及び所定の閾値Cよりも小さくなるアルコール濃度の予測値の予測時刻等が、渋滞状況等によって再算出され、最新の情報に基づくものに更新されてもよい。
【0073】
(4f)本開示に記載の監視装置20及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の監視装置20及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の監視装置20及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。
【0074】
(4g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0075】
(4h)本開示は、上述した監視装置20の他、当該監視装置20を構成要素とするシステム、当該監視装置20としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、飲酒運転を抑制する方法など、種々の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0076】
1…車両、10…アルコールセンサ、20…監視装置、40…走行制御装置。