(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】光走査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/47 20060101AFI20240611BHJP
G02B 26/12 20060101ALI20240611BHJP
G03G 15/043 20060101ALI20240611BHJP
H04N 1/113 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B41J2/47 101M
G02B26/12
G03G15/043
H04N1/113
(21)【出願番号】P 2020124294
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】眞下 隆行
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-171693(JP,A)
【文献】特開2014-024268(JP,A)
【文献】特開2018-126914(JP,A)
【文献】米国特許第08836746(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G02B 26/12
G03G 15/043
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光によって光ビームを出射する複数の発光部が副走査方向に一定間隔を有するようにして所定方向に配列された光源と、
軸回りに回転する多角柱状に形成され、前記光ビームを反射して、軸回りに回転する像担持体の周面を主走査方向に走査させる偏向面を各側面に有する偏向器と、
所定のビット長の初期乱数列をシードとして、前記初期乱数列と同一のビット長の複数の疑似乱数列を順次生成する乱数生成器と、
前記複数の発光部のうち、前記所定方向に沿って隣接し、且つ、前記周面に形成する静電潜像の一の画素を二本の光ビームで形成すべく、一つの前記偏向面に同時に光ビームを出射可能な二個の発光部を、一組の対象発光部として選択すると共に、前記一組の対象発光部を構成する発光部の組み合わせを、前記画素の前記副走査方向の位置毎に変更する選択部と、
前記一組の対象発光部の光ビームの出射時の発光時間を所定の基準値とは異なる補正値とするタイミングを特定する指標として、
前記乱数生成器によって用いられる前記初期乱数列
、及び
前記乱数生成器によって生成される前記複数の疑似乱数列から選択される乱数列を、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別に割り当てて、当該乱数列の割り当てを前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の乱数更新周期で更新する乱数割当部と、
前記一組の対象発光部を構成する各発光部に光ビームを出射させるタイミングの指標となるパルスであって、前記発光時間を規定するパルス幅が前記基準値に対応した幅と前記補正値に対応した幅とで異なるパルスを含む発光制御信号を、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対して個別に出力することにより、前記一組の対象発光部を構成する各発光部によって前記二本の光ビームを出射させる露光制御部と、を備え、
前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各前記乱数更新周期は、前記一組の対象発光部を構成する各発光部から出射される各光ビームによる前記周面の前記主走査方向の走査の周期を示す、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各走査周期とそれぞれ一致して
おり、
前記乱数割当部は、前記一組の対象発光部を構成する各発光部において、各前記走査周期が経過すると同時に各前記乱数更新周期が経過したタイミングで、前記乱数列の割り当てを更新する、光走査装置。
【請求項2】
前記偏向器は、前記偏向面として、第一の偏向面と、当該第一の偏向面の回転方向下流側に隣接する第二の偏向面とを有し、
前記選択部は、前記第一の偏向面に対して出射される光ビームの数が前記発光部の数と同じであり、且つ、前記第二の偏向面に対して出射される光ビームの数が前記発光部の数よりも少なくなるように、前記画素の前記副走査方向の位置毎に組み合わせを変更しながら前記一組の対象発光部を選択する第一選択処理を行うように構成され、
前記乱数割当部は、前記選択部によって前記第一選択処理が行われる場合、前記第一の偏向面に対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、乱数列の割り当てを異なる前記乱数更新周期で更新し、前記第二の偏向面に対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、乱数列の割り当てを同一の前記乱数更新周期で更新する、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記偏向器は、前記偏向面として、第一の偏向面と、当該第一の偏向面の回転方向下流側に隣接する第二の偏向面とを有し、
前記選択部は、前記第一の偏向面に対して出射される光ビームの数が前記発光部の数よりも少なく、且つ、前記第二の偏向面に対して出射される光ビームの数が前記発光部の数と同じになるように、前記画素の前記副走査方向の位置毎に組み合わせを変更しながら前記一組の対象発光部を選択する第二選択処理を行うように構成され、
前記乱数割当部は、前記選択部によって前記第二選択処理が行われる場合、前記第一の偏向面に対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、乱数列の割り当てを同一の前記乱数更新周期で更新し、前記第二の偏向面に対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、乱数列の割り当てを異なる前記乱数更新周期で更新する、請求項
1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記光源は、前記複数の発光部として、前記副走査方向に一定間隔を有するようにして前記所定方向に配列された四個の発光部を備え、
前記偏向器は、前記偏向面として、第一の偏向面と、当該第一の偏向面の回転方向下流側に隣接する第二の偏向面とを有し、
前記選択部は、前記第一の偏向面と前記第二の偏向面とのそれぞれに対して出射される光ビームの数がいずれも前記発光部の数と同じ
の四本となるように、前記画素の前記副走査方向の位置毎に組み合わせを変更しながら前記一組の対象発光部を選択する第三選択処理を行うように構成され、
前記第一の偏向面及び前記第二の偏向面をそれぞれ用いた各走査において、前記副走査方向の一の位置の前記画素の形成には前記四個の発光部のうちで前記副走査方向の上流側に配置された二個の発光部を前記一組の対象発光部として選択し、前記一の位置に対して前記副走査方向の下流側に隣接した位置の前記画素の形成には前記四個の発光部のうちで前記副走査方向の下流側に配置された二個の発光部を前記一組の対象発光部として選択し、
前記乱数割当部は、前記選択部によって前記第三選択処理が行われる場合、前記第一の偏向面と前記第二の偏向面とのそれぞれに対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当てを、同一の前記乱数更新周期で更新する、請求項
1に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記乱数割当部は、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当てを更新する場合、前記初期乱数列及び前記複数の疑似乱数列について、前記乱数生成器による生成順に連続した番号を認識し、各前記乱数更新周期に応じて公差が設定された、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の等差数列に従った番号の乱数列を、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対して割り当てる、請求項1~4のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光走査装置と、
前記像担持体と、
前記静電潜像に対応する画像をシートに形成する画像形成部と、を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の周面を光ビームで走査する光走査装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンターや複写機等の画像形成装置には、光走査装置が備えられている。光走査装置は、光源から出射された光ビームをポリゴンミラー等の偏向器で偏向して、感光体ドラム等の像担持体の周面を走査することで、前記周面に静電潜像を形成する。例えば、特許文献1には、光ビームを出射する発光部が複数配設されてなる光源を備えたマルチビーム方式の光走査装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の光走査装置では、複数の発光部のうち、偏向器の同一の偏向面に対して光ビームを出射可能な二以上の発光部が、静電潜像の各画素の形成に用いる光ビームを出射させる二以上の対象発光部として選択される。これにより、偏向器の各偏向面による光ビームの反射の精度にばらつきがある場合であっても、静電潜像の各画素を、同一の偏向面に対して出射された二以上の光ビームを用いて、歪みなく形成することができる。このため、像担持体の周面に形成される静電潜像の画質の低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各発光部の発光時間を静電潜像の各画素で均一にして露光走査を行うと、理想的には主走査方向の画素幅は均一になるはずである。しかし、発光部から出射される光ビームのビーム径のばらつきや、光走査装置の光路歪み等に起因して、静電潜像において主走査方向の画素幅が不均一になる現象が生じ得る。この場合、像担持体の周面に形成された静電潜像に対応してシートに形成される画像に、濃度むらが発生する。このような静電潜像における画素幅の不均一を補正するために、静電潜像における所定位置の画素を対象に、発光部の発光時間を所定の基準値とは異なる補正値とする補正処理(等倍度補正処理)が、一般的に行われる。この際、副走査方向に一定間隔を有した主走査方向の走査毎の補正対象の画素の位置が、例えば主走査方向に同じ位置となるように規則性を有している場合、静電潜像に対応してシートに形成される画像の品質が低下する虞がある。このため、副走査方向に一定間隔を有した主走査方向の走査毎の補正対象の画素の位置を、不規則なものとする必要がある。
【0006】
補正対象の画素の位置を不規則なものとするために、発光部の発光時間を前記補正値とするタイミングを特定する指標として乱数生成器により順次生成された疑似乱数列を、発光部に割り当てる構成を採用することが考えられる。このような構成を、特許文献1に開示されるマルチビーム方式の光源を備えた光走査装置に、単純に適用した場合を想定する。この場合、静電潜像の各画素の形成に用いる光ビームを出射させる二以上の対象発光部の各々に対して疑似乱数列が割り当てられ、この疑似乱数列の割り当てを光ビームの出射対象の偏向面が切り替わる毎に更新することとなる。
【0007】
マルチビーム方式の光源では、複数の発光部の中には、一の偏向面を用いた主走査方向の走査において、対象発光部として選択されずに発光停止状態とされる発光部が存在し得る。偏向面の切り替え毎に疑似乱数列の割り当てを更新する構成では、発光停止状態の発光部に対しても、対象発光部と同様に、疑似乱数列の割り当ての更新が行われる。発光停止状態の発光部は、主走査方向の走査に寄与するものではない。このため、発光停止状態の発光部に対する疑似乱数列の割り当ての更新は、無駄な更新であると言える。
【0008】
疑似乱数列の割り当ての無駄な更新がある状態では、乱数生成器に予め設定された乱数周期を超えたタイミングで生成された、既に割り当て済みの疑似乱数列と同一の乱数列が、対象発光部に対して割り当てられる可能性が高まる。この場合、静電潜像における、疑似乱数列に応じた補正対象の画素の位置の不規則性が阻害される。このため、静電潜像に対応してシートに形成される画像において、補正対象の画素に応じた濃度むらに関する空間周波数が、人が視認可能な空間周波数の最小よりも高くなる虞がある。この結果、シート上の画像の品質が低下する。したがって、光走査装置に光路歪み等が生じていた場合などに、静電潜像において主走査方向の画素幅が不均一になる現象を、適切に抑制することができない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の光ビームを出射可能なマルチビーム方式の光源を備えた光走査装置において、静電潜像の主走査方向の画素幅が不均一になる現象を適切に抑制することが可能な光走査装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の局面に係る光走査装置は、発光によって光ビームを出射する複数の発光部が副走査方向に一定間隔を有するようにして所定方向に配列された光源と、軸回りに回転する多角柱状に形成され、前記光ビームを反射して、軸回りに回転する像担持体の周面を主走査方向に走査させる偏向面を各側面に有する偏向器と、所定のビット長の初期乱数列をシードとして、前記初期乱数列と同一のビット長の複数の疑似乱数列を順次生成する乱数生成器と、前記複数の発光部のうち、前記所定方向に沿って隣接し、且つ、前記周面に形成する静電潜像の一の画素を二本の光ビームで形成すべく、一つの前記偏向面に同時に光ビームを出射可能な二個の発光部を、一組の対象発光部として選択すると共に、前記一組の対象発光部を構成する発光部の組み合わせを、前記画素の前記副走査方向の位置毎に変更する選択部と、前記一組の対象発光部の光ビームの出射時の発光時間を所定の基準値とは異なる補正値とするタイミングを特定する指標として、前記乱数生成器によって用いられる前記初期乱数列、及び前記乱数生成器によって生成される前記複数の疑似乱数列から選択される乱数列を、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別に割り当てて、当該乱数列の割り当てを前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の乱数更新周期で更新する乱数割当部と、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に光ビームを出射させるタイミングの指標となるパルスであって、前記発光時間を規定するパルス幅が前記基準値に対応した幅と前記補正値に対応した幅とで異なるパルスを含む発光制御信号を、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対して個別に出力することにより、前記一組の対象発光部を構成する各発光部によって前記二本の光ビームを出射させる露光制御部と、を備える。そして、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各前記乱数更新周期は、前記一組の対象発光部を構成する各発光部から出射される各光ビームによる前記周面の前記主走査方向の走査の周期を示す、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各走査周期とそれぞれ一致している。前記乱数割当部は、前記一組の対象発光部を構成する各発光部において、各前記走査周期が経過すると同時に各前記乱数更新周期が経過したタイミングで、前記乱数列の割り当てを更新する。
【0011】
この光走査装置によれば、静電潜像の各画素の形成に用いる光ビームを出射させる一組の対象発光部を選択部が選択し、当該一組の対象発光部を構成する各発光部に対して乱数割当部が乱数列を個別に割り当てる。乱数列は、乱数生成器でシードとして用いられる初期乱数列、及び乱数生成器で順次生成される複数の疑似乱数列から選択されるものであって、各発光部の発光時間を所定の基準値とは異なる補正値とするタイミングを特定する指標となる。選択部は、一組の対象発光部を構成する発光部の組み合わせを、静電潜像の各画素の副走査方向の位置毎に変更する。乱数割当部は、乱数列の割り当てを一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の乱数更新周期で更新する。
【0012】
一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各乱数更新周期は、一組の対象発光部を構成する各発光部から出射される各光ビームによる主走査方向の走査の周期を示す、各発光部に個別の各走査周期とそれぞれ一致している。この場合、一組の対象発光部を構成する各発光部において、光ビームの出射によって主走査方向の一の走査が行われた後、走査周期が経過して次の走査が行われるタイミングで、乱数更新周期も同時に経過して、乱数列の割り当てが更新される。このような乱数列の更新の態様においては、主走査方向の走査のために光ビームを出射することなく発光が停止される期間に、乱数列の割り当てが無駄に更新されることを回避することができる。このため、乱数生成器に予め設定された乱数周期の範囲内で生成される疑似乱数列を有効に、主走査方向の走査のために光ビームを出射する発光部に対して割り当てることができる。これにより、乱数生成器において乱数周期を超えたタイミングで生成された、既に割り当て済みの疑似乱数列と同一の乱数列が、発光部に対して割り当てられることを、可及的に回避することができる。この結果、露光制御部から出力される発光制御信号に基づいて発光部の発光時間を補正値とする補正処理が行われるときに、静電潜像における、疑似乱数列に応じた補正対象の画素の位置の不規則性を維持することが可能となる。
【0013】
静電潜像における補正対象の画素の位置の不規則性が維持されると、静電潜像に対応してシートに形成される画像において、補正対象の画素に応じた濃度むらに関する空間周波数が、人が視認可能な空間周波数の最小よりも高くなることを回避することができる。この結果、シート上の画像の品質の低下を抑止することができる。したがって、光走査装置に光路歪み等が生じていた場合などに、静電潜像において主走査方向の画素幅が不均一になる現象を、適切に抑制することが可能となる。
【0014】
上記の光走査装置において、前記偏向器は、前記偏向面として、第一の偏向面と、当該第一の偏向面の回転方向下流側に隣接する第二の偏向面とを有している。この場合、前記選択部は、前記第一の偏向面に対して出射される光ビームの数が前記発光部の数と同じであり、且つ、前記第二の偏向面に対して出射される光ビームの数が前記発光部の数よりも少なくなるように、前記画素の前記副走査方向の位置毎に組み合わせを変更しながら前記一組の対象発光部を選択する第一選択処理を行うように構成され、前記乱数割当部は、前記選択部によって前記第一選択処理が行われる場合、前記第一の偏向面に対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、乱数列の割り当てを異なる前記乱数更新周期で更新し、前記第二の偏向面に対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、乱数列の割り当てを同一の前記乱数更新周期で更新するように構成されていてもよい。
【0015】
この態様では、選択部によって第一選択処理が行われた場合、第一の偏向面を用いた主走査方向の走査においては、全ての発光部から光ビームが出射される。一方、第二の偏向面を用いた主走査方向の走査においては、一組の対象発光部として選択されずに発光停止状態とされる発光部が存在する。この場合、第一の偏向面に対応して一組の対象発光部として選択された全ての発光部のうち、第二の偏向面に対応して対象発光部として選択された発光部の走査周期は、光ビームの出射対象の偏向面が第一の偏向面から第二の偏向面に切り替えられる周期を示す偏向切替周期と一致することとなる。一方、第一の偏向面に対応して対象発光部として選択された全ての発光部のうち、第二の偏向面に対応して対象発光部として選択されなかった発光部の走査周期は、前記偏向切替周期よりも長いものとなる。
【0016】
すなわち、選択部によって第一選択処理が行われた場合、第一の偏向面に対して光ビームを出射する一組の対象発光部を構成する各発光部の各走査周期は、前記偏向切替周期と一致するものと、前記偏向切替周期よりも長いものとが存在し、異なる走査周期となる。一方、第二の偏向面に対して光ビームを出射する一組の対象発光部を構成する各発光部の各走査周期は、前記偏向切替周期と一致し、同一の走査周期となる。
【0017】
乱数割当部は、一組の対象発光部を構成する各発光部において、乱数更新周期が走査周期と一致するように、前記偏向切替周期に基づいて乱数更新周期を設定することができる。具体的に、乱数割当部は、選択部によって第一選択処理が行われる場合、第一の偏向面に対して光ビームを出射する一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、異なる走査周期となることに応じて、乱数列の割り当てを異なる乱数更新周期で更新する。一方、乱数割当部は、第二の偏向面に対して光ビームを出射する一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、同一の走査周期となることに応じて、乱数列の割り当てを同一の乱数更新周期で更新する。
【0018】
上記の光走査装置において、前記偏向器は、前記偏向面として、第一の偏向面と、当該第一の偏向面の回転方向下流側に隣接する第二の偏向面とを有している。この場合、前記選択部は、前記第一の偏向面に対して出射される光ビームの数が前記発光部の数よりも少なく、且つ、前記第二の偏向面に対して出射される光ビームの数が前記発光部の数と同じになるように、前記画素の前記副走査方向の位置毎に組み合わせを変更しながら前記一組の対象発光部を選択する第二選択処理を行うように構成され、前記乱数割当部は、前記選択部によって前記第二選択処理が行われる場合、前記第一の偏向面に対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、乱数列の割り当てを同一の前記乱数更新周期で更新し、前記第二の偏向面に対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、乱数列の割り当てを異なる前記乱数更新周期で更新するように構成されていてもよい。
【0019】
この態様では、選択部によって第二選択処理が行われた場合、第一の偏向面を用いた主走査方向の走査においては、対象発光部として選択されずに発光停止状態とされる発光部が存在する。一方、第二の偏向面を用いた主走査方向の走査においては、全ての発光部から光ビームが出射される。この場合、第一の偏向面に対応して対象発光部として選択された発光部は、第二の偏向面に対応しても対象発光部として選択されることになる。このため、第一の偏向面に対応して対象発光部として選択された発光部の走査周期は、前記偏向切替周期と一致することとなる。一方、第二の偏向面に対応して対象発光部として選択された全ての発光部のうち、第一の偏向面に対応して対象発光部として選択されなかった発光部の走査周期は、前記偏向切替周期よりも長いものとなる。
【0020】
すなわち、選択部によって第二選択処理が行われた場合、第一の偏向面に対して光ビームを出射する一組の対象発光部を構成する各発光部の各走査周期は、前記偏向切替周期と一致し、同一の走査周期となる。一方、第二の偏向面に対して光ビームを出射する一組の対象発光部を構成する各発光部の各走査周期は、前記偏向切替周期と一致するものと、前記偏向切替周期よりも長いものとが存在し、異なる走査周期となる。
【0021】
乱数割当部は、一組の対象発光部を構成する各発光部において、乱数更新周期が走査周期と一致するように、前記偏向切替周期に基づいて乱数更新周期を設定することができる。具体的に、乱数割当部は、選択部によって第二選択処理が行われる場合、第一の偏向面に対して光ビームを出射する一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、同一の走査周期となることに応じて、乱数列の割り当てを同一の乱数更新周期で更新する。一方、乱数割当部は、第二の偏向面に対して光ビームを出射する一組の対象発光部を構成する各発光部に対しては、異なる走査周期となることに応じて、乱数列の割り当てを異なる乱数更新周期で更新する。
【0022】
上記の光走査装置において、前記光源は、前記複数の発光部として、前記副走査方向に一定間隔を有するようにして前記所定方向に配列された四個の発光部を備え、前記偏向器は、前記偏向面として、第一の偏向面と、当該第一の偏向面の回転方向下流側に隣接する第二の偏向面とを有している。この場合、前記選択部は、前記第一の偏向面と前記第二の偏向面とのそれぞれに対して出射される光ビームの数がいずれも前記発光部の数と同じの四本となるように、前記画素の前記副走査方向の位置毎に組み合わせを変更しながら前記一組の対象発光部を選択する第三選択処理を行うように構成され、前記第一の偏向面及び前記第二の偏向面をそれぞれ用いた各走査において、前記副走査方向の一の位置の前記画素の形成には前記四個の発光部のうちで前記副走査方向の上流側に配置された二個の発光部を前記一組の対象発光部として選択し、前記一の位置に対して前記副走査方向の下流側に隣接した位置の前記画素の形成には前記四個の発光部のうちで前記副走査方向の下流側に配置された二個の発光部を前記一組の対象発光部として選択する。前記乱数割当部は、前記選択部によって前記第三選択処理が行われる場合、前記第一の偏向面と前記第二の偏向面とのそれぞれに対して光ビームを出射する前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当てを、同一の前記乱数更新周期で更新するように構成されていてもよい。
【0023】
この態様では、選択部によって第三選択処理が行われた場合、第一の偏向面を用いた主走査方向の走査、及び、第二の偏向面を用いた主走査方向の走査のいずれにおいても、全ての発光部から光ビームが出射される。このため、全ての発光部の各走査周期は、前記偏向切替周期と一致することとなる。すなわち、選択部によって第三選択処理が行われた場合、全ての発光部の各走査周期は、前記偏向切替周期と一致し、同一の走査周期となる。
【0024】
乱数割当部は、一組の対象発光部を構成する各発光部において、乱数更新周期が走査周期と一致するように、前記偏向切替周期に基づいて乱数更新周期を設定することができる。具体的に、乱数割当部は、選択部によって第三選択処理が行われる場合、第一の偏向面と第二の偏向面とのそれぞれに対して光ビームを出射する一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当てを、同一の乱数更新周期で更新する。
【0025】
上記の光走査装置において、前記乱数割当部は、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当てを更新する場合、前記初期乱数列及び前記複数の疑似乱数列について、前記乱数生成器による生成順に連続した番号を認識し、各前記乱数更新周期に応じて公差が設定された、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の等差数列に従った番号の乱数列を、前記一組の対象発光部を構成する各発光部に対して割り当てる構成であってもよい。
【0026】
この態様では、乱数割当部は、選択部によって選択された一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当ての際に、乱数更新周期に応じた公差の等差数列に従った番号の乱数列を割り当てる。乱数割当部は、等差数列を用いることによって、発光部に対する乱数列の割り当てを、簡単に更新することができる。
【0027】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記の光走査装置と、前記像担持体と、前記静電潜像に対応する画像をシートに形成する画像形成部と、を備える。
【0028】
この画像形成装置によれば、光走査装置の光走査によって像担持体の周面に形成された静電潜像は、主走査方向の画素幅が不均一になる現象が適切に抑制される。このため、静電潜像に対応してシートに形成された画像に濃度むらが生じる現象を抑制し、画像の品質低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、複数の光ビームを出射可能なマルチビーム方式の光源を備えた光走査装置において、静電潜像の主走査方向の画素幅が不均一になる現象を適切に抑制することが可能な光走査装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光走査装置を備えた画像形成装置を概略的に示す図である。
【
図2】光走査装置の副走査断面の構成を示す光路図である。
【
図3】光走査装置の内部構造を模式的に示す斜視図である。
【
図4】光走査装置による感光体ドラムの露光態様を説明するための模式的な斜視図である。
【
図5】光走査装置に備えられる光源を示す斜視図である。
【
図6】画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図7】光走査装置に備えられる乱数生成器を概略的に示す図である。
【
図8】選択部によって第一選択処理が行われた場合における、対象発光部から出射される光ビームによる周面の主走査方向の走査の様子を示す図である。
【
図9】選択部によって第一選択処理が行われた場合における、乱数割当部による乱数割当処理と露光制御部による露光処理とを説明するための図である。
【
図10】選択部によって第二選択処理が行われた場合における、対象発光部から出射される光ビームによる周面の主走査方向の走査の様子を示す図である。
【
図11】選択部によって第二選択処理が行われた場合における、乱数割当部による乱数割当処理と露光制御部による露光処理とを説明するための図である。
【
図12】選択部によって第三選択処理が行われた場合における、対象発光部から出射される光ビームによる周面の主走査方向の走査の様子を示す図である。
【
図13】選択部によって第三選択処理が行われた場合における、乱数割当部による乱数割当処理と露光制御部による露光処理とを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係る光走査装置及び画像形成装置について、図面に基づいて説明する。なお、以下では、光走査装置及び画像形成装置における各方向については、XYZ直交座標軸を用いて説明する。つまり、X方向が左右方向(+Xが右、-Xが左)、Y方向が前後方向(+Yが前、-Yが後)、Z方向が上下方向(+Zが上、-Zが下)に相当するものとする。
【0032】
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る光走査装置23を備えた画像形成装置1を概略的に示す図である。画像形成装置1は、タンデム型のカラープリンターであって、略直方体のハウジングからなる本体ハウジング10を含む。なお、画像形成装置1は、フルカラーの複写機や複合機であってもよい。
【0033】
本体ハウジング10は、シートに対して画像形成処理を行う複数の処理部を内部に収容する。本実施形態では、処理部として、画像形成部2Y,2C,2M,2Bk、光走査装置23、中間転写部28及び定着部30を含む。本体ハウジング10の上面には排紙トレイ11が備えられている。排紙トレイ11に対向して、シート排出口12が開口されている。本体ハウジング10の側壁には、手差し給紙トレイ13が開閉自在に取り付けられている。本体ハウジング10の下部には、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット14が、着脱自在に装着されている。なお、給紙カセット14に収容可能なシートには、普通紙(コピー用紙)、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパーや、画像形成処理を受ける他のシート材料、或いは画像形成処理以外の任意の処理を受けるシート材料が含まれる。
【0034】
画像形成部2Y,2C,2M,2Bkは、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のトナー像を、コンピューター等の外部機器から伝送された画像データに基づき形成する。画像形成部2Y,2C,2M,2Bkは、Y方向(前後方向)に所定の間隔でタンデムに配置されている。各画像形成部2Y,2C,2M,2Bkは、感光体ドラム21(像担持体)、帯電器22及び現像部24を含む。感光体ドラム21は、X方向(左右方向)に延びる円筒体からなり、その周面に静電潜像及びトナー像を担持する。帯電器22は、感光体ドラム21の周面を帯電させる。現像部24は、感光体ドラム21の周面に担持された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。また、各画像形成部2Y,2C,2M,2Bkは、現像部24に各色のトナーを供給するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各トナーコンテナ25Y,25C,25M,25Bkを含む。
【0035】
また、各画像形成部2Y,2C,2M,2Bkは、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を一次転写させる一次転写ローラー26及び感光体ドラム21の周面の残留トナーを除去するクリーニング装置27を含む。
【0036】
なお、以下の説明において、画像形成部2Y,2C,2M,2Bkは、同一の構成を有するため、画像形成部2と総称することがある。また、画像形成部2Yに備えられる感光体ドラムを「第一感光体ドラム21Y」と称し、画像形成部2Cに備えられる感光体ドラムを「第二感光体ドラム21C」と称し、画像形成部2Mに備えられる感光体ドラムを「第三感光体ドラム21M」と称し、画像形成部2Bkに備えられる感光体ドラムを「第四感光体ドラム21Bk」と称することがある。
【0037】
光走査装置23は、画像形成装置1に付設され、各色の感光体ドラム21のドラム周面上に静電潜像を形成する。光走査装置23は、各色用に準備された複数の光源を有する入射光学系と、これら光源から出射された光ビームを偏向する光偏向部と、光偏向部により偏向された光ビームを各色の感光体ドラム21の周面に結像及び走査させる結像光学系とを含む。光走査装置23の詳細については後述する。
【0038】
中間転写部28は、感光体ドラム21の周面上に形成されたトナー像を中間転写ベルト281に一次転写させる。具体的には、中間転写部28は、各感光体ドラム21の周面に接触しつつ周回する中間転写ベルト281と、中間転写ベルト281が架け渡される駆動ローラー282及び従動ローラー283と、を含む。中間転写ベルト281は、X方向(左右方向)に幅を有してY方向(前後方向)に延びる無端状のベルトであり、一次転写ローラー26によって各感光体ドラム21の周面に押し付けられている。各色の感光体ドラム21の周面上のトナー像は、中間転写ベルト281上に重ね合わせて一次転写される。これにより、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト281上に形成される。
【0039】
駆動ローラー282に対向して、中間転写ベルト281を挟んで二次転写ニップ部Tを形成する二次転写ローラー29が配置されている。中間転写ベルト281上のフルカラートナー像は、前記二次転写ニップ部Tにおいてシート上に二次転写される。シート上に転写されずに中間転写ベルト281の周面に残留したトナーは、従動ローラー283に対向して配置されたベルトクリーニング装置284によって回収される。
【0040】
定着部30は、熱源が内蔵された定着ローラー31と、定着ローラー31と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラー32とを含む。定着部30は、二次転写ニップ部Tにおいてトナー像が転写されたシートを、定着ニップ部Nにおいて加熱及び加圧することにより、トナー像をシートに定着させる。トナー像が定着されたシートは、シート排出口12から排紙トレイ11に向けて排出される。
【0041】
本体ハウジング10の内部には、シートを搬送するためのシート搬送路が設けられている。シート搬送路は、本体ハウジング10の下部付近から上部付近まで、二次転写ニップ部T及び定着部30を経由して、Z方向(上下方向)に延びるメイン搬送路P1を含む。メイン搬送路P1の下流端は、シート排出口12に接続されている。両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路P2が、メイン搬送路P1の最下流端から上流端付近まで延設されている。また、手差しトレイ13からメイン搬送路P1に至る手差しシート用搬送路P3が、給紙カセット14の上方に配置されている。
【0042】
給紙カセット14は、シートの束を収容するシート収容部を備える。給紙カセット14には、シート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すピックアップローラー151と、そのシートをメイン搬送路P1の上流端に送り出す給紙ローラー対152とが備えられている。手差しトレイ13に載置されたシートも、手差しシート用搬送路P3を通して、メイン搬送路P1の上流端に送り出される。メイン搬送路P1の二次転写ニップ部Tよりも上流側には、所定のタイミングでシートを二次転写ニップ部Tに送り出すレジストローラー対153が配置されている。
【0043】
シートの片面に画像を形成する画像形成処理が行われる場合、給紙カセット14又は手差しトレイ13からシートがメイン搬送路P1に送り出される。そして、二次転写ニップ部Tにおいて当該シートにトナー像が転写され、定着部30において、トナー像がシートに定着される。その後、当該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。一方、シートの両面に画像を形成する画像形成処理が行われる場合、シートの片面にトナー像が転写及び定着された後、当該シートの一部がシート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。その後、当該シートはスイッチバック搬送され、反転搬送路P2を経て、メイン搬送路P1の上流端付近に戻される。その後、シートの裏面にトナー像が転写及び定着され、当該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。
【0044】
[光走査装置の構成]
次に、光走査装置23の構成について詳述する。
図2は、光走査装置23の副走査断面の構成を示す光路図である。
図3は、光走査装置23の内部構造を模式的に示す斜視図である。
図4は、光走査装置23による感光体ドラム21の露光態様を説明するための模式的な斜視図である。
図5は、光走査装置23が備える光源51を示す斜視図である。
【0045】
図2に示すように、光走査装置23は、イエロー画像描画用のレーザー光ビームであるイエロー光ビームLYにてイエロー用の第一感光体ドラム21Yの周面211を主走査方向D1に走査し、当該周面211に静電潜像を形成する。同様に、光走査装置23は、シアン画像描画用のレーザー光ビームであるシアン光ビームLC、マゼンタ画像描画用のレーザー光ビームであるマゼンタ光ビームLM、及び、ブラック画像描画用のレーザー光ビームであるブラック光ビームLBkにてそれぞれ、シアン用の第二感光体ドラム21C、マゼンタ用の第三感光体ドラム21M及びブラック用の第四感光体ドラム21Bkの周面211を主走査方向D1に走査し、当該周面211に静電潜像を形成する。なお、光走査装置23による感光体ドラム21に対する走査の主走査方向D1は、感光体ドラム21が延びる軸方向となるX方向(左右方向)と一致する方向である。
【0046】
図3に示すように、光走査装置23は、各色の光ビームの光路にそれぞれ配置される入射光学系50、4色で共用される1つの光偏向部60、及び結像光学系70と、これらを収容する光学ハウジング40と、を備えている。
【0047】
入射光学系50は、光学ハウジング40内に収容され、各色の光ビームを後述の光偏向部60を構成するポリゴンミラー62(偏向器)の偏向面621に入射させるための光学系である。入射光学系50は、光源51と、コリメータレンズ52と、シリンドリカルレンズ53と、を備えている。
【0048】
図4に示すように、光源51は、ポリゴンミラー62の偏向面621に照射する複数の光ビームLB-0~LB-3を出射するマルチビーム方式の光源である。具体的には、
図5に示すように、光源51は、円柱状のプラグ部材511の先端面511Aに、光ビームを出射するレーザーダイオード(LD)からなる四個の発光部LD0~LD3を備えたモノリシックマルチレーザーダイオードである。四個の発光部LD0~LD3は、主走査方向D1に一定の主走査ピッチPD1を有し、主走査方向D1に直交する副走査方向D2に一定の副走査ピッチPD2(一定間隔)を有するようにして、所定の配列方向D3(所定方向)に配列されている。光源51においては、副走査方向D2の上流から下流に向かって順番に、発光部LD0、発光部LD1、発光部LD2及び発光部LD3が配置されている。なお、光源51は、これに限らず、同一チップ上に発光部が二個以上配置されているモノリシックマルチレーザーダイオードであってもよい。
【0049】
図3に示すように、コリメータレンズ52は、光源51の各発光部LD0~LD3から出射されて拡散する光ビームを平行光に変換するレンズである。シリンドリカルレンズ53は、コリメータレンズ52による平行光を主走査方向D1に長い線状光に変換してポリゴンミラー62の偏向面621に結像させるレンズである。
【0050】
図2~
図4に示すように、光偏向部60は、光学ハウジング40内に収容され、コリメータレンズ52により結像された光ビームを反射して、感光体ドラム21の周面211を主走査方向D1に偏向走査させる。光偏向部60は、ポリゴンモーター61とポリゴンミラー62とを備える。
【0051】
ポリゴンモーター61は、モーター本体611と回転軸612とを含む。ポリゴンモーター61において回転軸612は、モーター本体611から突出してZ方向(上下方向)に延びる軸部である。ポリゴンモーター61は、モーター本体611に駆動電流が入力されると、回転軸612が軸心回りに回転するように構成されている。
【0052】
ポリゴンミラー62は、軸回りに回転する六角柱状に形成された多面鏡であり、光ビームを反射させる偏向面621を六個の側面のそれぞれに備えている。つまり、ポリゴンミラー62は、回転方向の上流側から下流側に向かって順番に、第一~第六の偏向面621を有している。ポリゴンミラー62においては、回転方向の最上流に第一の偏向面621が配置され、その第一の偏向面621の回転方向下流側に隣接して第二の偏向面621が配置される。同様に、第二の偏向面621の回転方向下流側に、第三~第六の偏向面621が順次配置される。各偏向面621には、光源51の各発光部LD0~LD3から出射され、コリメータレンズ52及びシリンドリカルレンズ53を通過した各光ビームLB-0~LB-3が照射される。ポリゴンミラー62は、回転軸612に回転一体に設けられ、回転軸612の回転に連動して当該回転軸612回りに矢印R2方向に回転しつつ、各偏向面621に照射された各光ビームLB-0~LB-3を反射して偏向走査させる。つまり、ポリゴンミラー62により偏向走査された各光ビームLB-0~LB-3によって、感光体ドラム21の周面211を主走査方向D1に走査することができる。
【0053】
図3に示すように、結像光学系70は、光学ハウジング40内に収容され、ポリゴンミラー62により偏向走査された各光ビームLB-0~LB-3を、感光体ドラム21の周面211に結像及び走査させる。
図2に示すように、結像光学系70は、第一走査レンズ71と、第二走査レンズ72Y,72C,72M,72Bkと、を備えている。また、結像光学系70は、イエロー光ビームLYを反射させるイエロー用反射ミラー73Y1,73Y2と、シアン光ビームLCを反射させるシアン用反射ミラー73C1,73C2と、マゼンタ光ビームLMを反射させるマゼンタ用反射ミラー73M1,73M2,73M3と、ブラック光ビームLBkを反射させるブラック用反射ミラー73Bkと、を備えている。
【0054】
第一走査レンズ71は、入射光ビームの角度と像高とが比例関係となる歪曲収差(fθ特性)を有するレンズであって、主走査方向D1に沿って延びる長尺のレンズである。第一走査レンズ71は、光学ハウジング40内において、ポリゴンミラー62の偏向面621に対向するように配置されている。第一走査レンズ71は、ポリゴンミラー62の偏向面621によって反射された各光ビームLB-0~LB-3を集光する。
【0055】
第二走査レンズ72Y,72C,72M,72Bkはそれぞれ、第一走査レンズ71と同様に、歪曲収差(fθ特性)を有するレンズであって、主走査方向D1に沿って延びる長尺のレンズである。第二走査レンズ72Yは、第一走査レンズ71を通過したイエロー光ビームLYを集光し、第一感光体ドラム21Yの周面211上に結像させる。これと同様に、第二走査レンズ72C,72M,72Bkは、それぞれ、第一走査レンズ71を通過したシアン光ビームLC、マゼンタ光ビームLM、ブラック光ビームLBkを集光し、第二感光体ドラム21C、第三感光体ドラム21M、第四感光体ドラム21Bkの周面211上に結像させる。なお、第二走査レンズ72Y、72C、72M、72Bkは、同一の構成を有するため、以下の説明では第二走査レンズ72と総称することがある。
図3には、その総称の第二走査レンズ72を示している。
【0056】
イエロー用反射ミラー73Y1,73Y2は、第一走査レンズ71を通過したイエロー光ビームLYの結像光路上において、イエロー光ビームLYを反射させる。シアン用反射ミラー73C1,73C2は、第一走査レンズ71を通過したシアン光ビームLCの結像光路上において、シアン光ビームLCを反射させる。マゼンタ用反射ミラー73M1,73M2,73M3は、第一走査レンズ71を通過したマゼンタ光ビームLMの結像光路上において、マゼンタ光ビームLMを反射させる。ブラック用反射ミラー73Bkは、第一走査レンズ71を通過したブラック光ビームLBkの結像光路上において、ブラック光ビームLBkを反射させる。なお、イエロー用反射ミラー73Y1,73Y2と、シアン用反射ミラー73C1,73C2と、マゼンタ用反射ミラー73M1,73M2,73M3と、ブラック用反射ミラー73Bkとは、同一の構成を有するため、以下の説明では反射ミラー73と総称することがある。
図3には、その総称の反射ミラー73を示している。
【0057】
図2に示すように、ポリゴンミラー62の偏向面621によって反射されたイエロー光ビームLYは、第一走査レンズ71にて集光された後、イエロー用反射ミラー73Y1にて反射されて第二走査レンズ72Yを通過し、その後イエロー用反射ミラー73Y2にて反射されて第一感光体ドラム21Yの周面211上に結像される。ポリゴンミラー62の偏向面621によって反射されたシアン光ビームLCは、第一走査レンズ71にて集光された後、シアン用反射ミラー73C1にて反射されて第二走査レンズ72Cを通過し、その後シアン用反射ミラー73C2にて反射されて第二感光体ドラム21Cの周面211上に結像される。ポリゴンミラー62の偏向面621によって反射されたマゼンタ光ビームLMは、第一走査レンズ71にて集光された後、マゼンタ用反射ミラー73M1,73M2にて反射されて第二走査レンズ72Mを通過し、その後マゼンタ用反射ミラー73M3にて反射されて第三感光体ドラム21Mの周面211上に結像される。ポリゴンミラー62の偏向面621によって反射されたブラック光ビームLBkは、第一走査レンズ71及び第二走査レンズ72Bkにて集光された後、ブラック用反射ミラー73Bkにて反射されて第四感光体ドラム21Bkの周面211上に結像される。
【0058】
また、
図3に示すように、光走査装置23は、第一集光レンズ74A及び第二集光レンズ74Bと、第一BD(Beam Detect)センサ75A及び第二BDセンサ75Bと、を備える。第一集光レンズ74A及び第二集光レンズ74Bは、ポリゴンミラー62による感光体ドラム21の周面211に対する有効走査領域の範囲外の光路上に設置されている。第一集光レンズ74A及び第二集光レンズ74Bは、ポリゴンミラー62の偏向面621によって反射された各光ビームLB-0~LB-3を、第一BDセンサ75A及び第二BDセンサ75Bに結像させるレンズである。
【0059】
第一BDセンサ75A及び第二BDセンサ75Bは、各光ビームLB-0~LB-3によって静電潜像の各画素に対応する周面211の主走査方向D1の位置を走査するタイミングを決定するため、周面211における静電潜像の形成領域外の所定位置で、各光ビームLB-0~LB-3の照射を検出する。具体的には、第一BDセンサ75Aは、各発光部LD0~LD3から出射される各光ビームLB-0~LB-3による、周面211の主走査方向D1の走査によって形成される主走査ラインSL(
図4)よりも、走査開始側に配置されている。第二BDセンサ75Bは、主走査ラインSLよりも走査終了側に配置されている。例えば、第一BDセンサ75A及び第二BDセンサ75Bは、フォトダイオード等で構成され、光ビームの照射を検知していないときはハイレベルの信号を出力し、光ビームがその受光面を通過している間はローレベルの信号を出力する。
【0060】
なお、上記四本の主走査ラインSLの副走査方向D2の間隔は、光源51を回転させることにより調整することができる。具体的には、
図5に示すように、プラグ部材511の先端面511Aに対する法線のうち中央を通る法線Sを回転軸として、矢印R3の方向に光源51を回転させることにより、四個の各発光部LD0~LD3の副走査ピッチPD2を見かけ上変更することができる。例えば、法線Sの軸回りに時計方向に光源51を回転させることで、四本の主走査ラインSLの副走査方向D2の間隔を狭くすることができる。逆に、反時計方向に光源51を回転させると、四本の主走査ラインSLの副走査方向D2の間隔を広くすることができる。換言すれば、光源51を回転させることによって、周面211に形成する静電潜像の副走査方向D2の画素の密度(解像度)に応じた光ビームのピッチを得ることができる。
【0061】
[画像形成装置の電気的構成について]
次に、
図6のブロック図を参照して、画像形成装置1の電気的構成について説明する。画像形成装置1は、制御部90と、操作部93と、I/F(インターフェイス)94と、記憶部95と、を更に備えている。
【0062】
制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部90は、ROMに記憶された制御プログラムに基づいた処理を実行することにより、画像形成装置1の各部を統括的に制御する。
【0063】
操作部93は、タッチパネル、テンキー、スタートキー及び設定キー等を備え、ユーザーによる各種の操作を受け付ける。例えば、操作部93は、ユーザーが入力操作した画像形成処理の条件や、当該条件に従って画像形成処理を実行する指示の入力操作等を受け付ける。
【0064】
I/F94は、外部機器とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路である。I/F94は、例えば、画像形成装置1と外部機器とを接続するネットワークの通信プロトコルに従った通信信号を作成するとともに、ネットワーク側からの通信信号を画像形成装置1が処理可能な形式のデータに変換する。例えば、I/F94は、外部機器から、シートに形成する対象の画像を表す画像データ及び当該画像をシートに形成するときの条件を含む印刷指示信号を受信すると、当該受信した印刷指示信号を制御部90に出力する。この場合、制御部90は、受信した画像データが表す画像を、受信した条件に従ってシートに形成する画像形成処理を行う。
【0065】
記憶部95は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置によって構成され、制御部90による制御の下、各種データを記憶する。例えば、記憶部95には、I/F94から制御部90に入力された画像データ等が記憶される。また、記憶部95は、制御部90が制御に用いる各種パラメータが予め記憶されている。例えば、記憶部95には、感光体ドラム21や中間転写ベルト281等の回転速度及びシートの搬送速度等が記憶されている。
【0066】
なお、光走査装置23は、LD駆動部51Aと、ポリゴンミラー駆動部62Aと、乱数生成器23Rと、を更に備える。LD駆動部51Aは、光源51の各発光部LD0~LD3を駆動するドライバーである。ポリゴンミラー駆動部62Aは、ポリゴンミラー62のポリゴンモーター61による回転動作を制御する。
【0067】
乱数生成器23Rは、所定のビット長の初期乱数列をシードとして、当該初期乱数列と同一のビット長の複数の疑似乱数列を順次生成する。
図7は、乱数生成器23Rを概略的に示す図である。乱数生成器23Rは、例えば、線形帰還シフトレジスタ(LFSR;Linear Feedback Shift Register)23R1と、排他的論理和(XOR;eXclusive OR)演算部23R2と、を備える。LFSR23R1は、M系列の疑似乱数生成回路である。
図7には、10ビット長の構成のLFSR23R1を示しているが、この構成に限定されない。
【0068】
LFSR23R1には、全てのビットが「0」である以外の初期乱数列がシードとして与えられる。
図7に示す例では、10ビット長の初期乱数列がシードとしてLFSR23R1に与えられる。LFSR23R1は、ビット長に応じた帰還多項式に対応したビット列のタップ位置の値がXOR演算部23R2に入力されるように構成されている。XOR演算部23R2の出力は、ビット列の1ビット目に入力される。LFSR23R1においては、全てのビットが「0」という状態以外の全てのとりうる状態が周期に現れる。この周期を示す乱数周期は、ビット数nを用いて「2
n-1」で示される。
図7に示す例のように、ビット数が「10」である10ビット長のビット列を用いた場合、乱数周期は、「2
10-1=1023」となる。
【0069】
図7に示すように、10ビット長のビット列を用いた場合、帰還多項式M(X)は、下記式(1)で示される。
M(X)=X
10+X
7+1 ・・・(1)
【0070】
この場合、初期乱数列の10ビットのうち、7ビット目及び10ビット目がタップ位置となる。そして、7ビット目及び10ビット目の値がXOR演算部23R2に入力される。XOR演算部23R2は、7ビット目及び10ビット目の値の排他的論理和を演算し、その演算結果を1ビット目にフィードバックして入力する。LFSR23R1においては、1ビット目に排他的論理和が入力されると、2ビット目以降は1つ前のビット位置の値がシフトされて入力される。乱数生成器23Rは、1ビット目への排他的論理和の入力に基づく2ビット目以降の10ビット目までのシフトされた値の入力を1サイクルとし、これを繰り返すことにより、10ビット長の初期乱数列をシードとして、10ビット長の複数の疑似乱数列を順次生成する。
【0071】
乱数生成器23Rは、LFSR23R1を備えた構成によって、疑似乱数列を小規模な回路で容易に得ることができる。乱数生成器23Rでシードとして用いられる初期乱数列、及び乱数生成器23Rで順次生成された複数の疑似乱数列は、制御部90における後記の光走査制御部91に入力される。
【0072】
制御部90は、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、画像形成装置1の各部を制御して、画像形成処理を実行する。本実施形態では、制御部90は、画像形成制御部92及び光走査制御部91(光走査装置23の一部)として動作する。
【0073】
画像形成制御部92は、主に、画像形成部2、中間転写部28及び定着部30の動作を制御して、画像形成処理を実行する。具体的に、画像形成制御部92は、後述の設定部911により設定された回転速度で、感光体ドラム21を軸回りに回転させる。画像形成制御部92は、感光体ドラム21の回転速度に応じたタイミングで、帯電器22をオンオフさせる。画像形成制御部92は、後述の光走査制御部91に光走査装置23による光ビームの走査動作を制御させ、感光体ドラム21の回転速度に応じたタイミングで現像部24に現像バイアスを印加させる。画像形成制御部92は、感光体ドラム21の回転速度に応じたタイミングで、一次転写ローラー26及び二次転写ローラー29に転写バイアスを印加させる。画像形成制御部92は、感光体ドラム21の回転速度に応じた回転速度で、中間転写部28における中間転写ベルト281を回転させ、定着部30における加圧ローラー32を回転させる。
【0074】
光走査制御部91は、光走査装置23の一部を構成し、光走査装置23における光ビームの走査動作を制御する。光走査制御部91は、機能構成として、設定部911と、選択部912と、乱数割当部913と、露光制御部914と、ポリゴンミラー駆動制御部915と、モード切替制御部916と、を含む。
【0075】
設定部911は、画像形成処理においてシートに形成する画像の画素の密度や、シートの種類等、印刷指示信号に含まれる画像形成処理の条件に応じて、感光体ドラム21及びポリゴンミラー62の回転速度を設定する。例えば、画像形成処理の条件として、前記画像における副走査方向D2の画素の密度(解像度)が、光源51における副走査方向D2の発光部LD0~LD3の密度(例えば、1200dpi)よりも低く(例えば600dpi)定められているため、前記画像に対応する静電潜像の各画素を、複数の光ビームの走査によって形成するとする。この場合、設定部911は、ポリゴンミラー62において隣り合う二個の偏向面621の各々に対して、光源51から出射可能な複数の光ビームを出射したときに、周面211における副走査方向D2の一以上の位置が、互いに異なる二本の光ビームによって走査されるように、感光体ドラム21及びポリゴンミラー62の回転速度を設定する。
【0076】
選択部912は、光源51が備える四個の発光部LD0~LD3の中から、静電潜像の各画素の形成に用いる一以上の光ビームを出射させる一以上の発光部(以下、「対象発光部」という)を選択する。選択部912は、静電潜像の各画素を複数の光ビームの走査によって形成する場合、四個の発光部LD0~LD3の中から、配列方向D3に沿って隣接し、且つ、周面211に形成する静電潜像の一の画素を二本の光ビームで形成すべく、第一~第六の偏向面621の何れかの一つの偏向面621に対して同時に光ビームを出射可能な二個の発光部を、一組の対象発光部として選択する選択処理を行う。更に、選択部912は、前記選択処理において、前記一組の対象発光部を構成する発光部の組み合わせを、前記静電潜像の各画素の副走査方向D2の位置毎に変更する。選択部912の選択処理の詳細については、後述する。
【0077】
乱数割当部913は、乱数生成器23Rによって用いられる初期乱数列、及び乱数生成器23Rによって生成される複数の疑似乱数列から選択される乱数列を、静電潜像の各画素の副走査方向D2の位置毎の一組の対象発光部を構成する各発光部に個別に割り当てる乱数割当処理を行う。一組の対象発光部を構成する各発光部に割り当てられる乱数列は、一組の対象発光部を構成する各発光部の光ビームの出射時の発光時間を所定の基準値とは異なる補正値とするタイミングを特定する指標となる。つまり、一組の対象発光部を構成する各発光部は、それぞれに割り当てられた乱数列に応じたタイミングで、補正値で示される発光時間の発光によって光ビームを出射し、それ以外のタイミングでは、基準値で示される発光時間の発光によって光ビームを出射する。乱数割当部913は、乱数割当処理において、静電潜像の各画素の副走査方向D2の位置毎の一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当てを、乱数更新信号の出力によって、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の乱数更新周期で更新する。乱数割当部913の乱数割当処理の詳細については、後述する。
【0078】
露光制御部914は、静電潜像の各画素の副走査方向D2の位置毎の一組の対象発光部を構成する各発光部に対して個別に発光制御信号を出力することにより、一組の対象発光部を構成する各発光部によって二本の光ビームを出射させる露光処理を行う。具体的に、露光制御部914は、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の発光制御信号をLD駆動部51Aに出力する。LD駆動部51Aは、発光制御信号を受信すると、当該受信した発光制御信号に従って、一組の対象発光部を構成する各発光部に光ビームを出射させる。発光制御信号は、画像データに基づくパルス信号である。発光制御信号は、一組の対象発光部を構成する各発光部に光ビームを出射させるタイミングの指標となるパルスであって、発光部の発光時間を規定するパルス幅が前記基準値に対応した幅と前記補正値に対応した幅とで異なるパルスを含む。以下の説明では、発光制御信号に含まれるパルスについて、前記基準値に対応したパルス幅のパルスを「基準パルス」と称し、前記補正値に対応したパルス幅のパルスを「補正パルス」と称する。一組の対象発光部を構成する各発光部は、発光制御信号に含まれる基準パルスに従って前記基準値で示される発光時間の発光によって光ビームを出射し、発光制御信号に含まれる補正パルスに従って前記補正値で示される発光時間の発光によって光ビームを出射する。一組の対象発光部を構成する各発光部は、発光制御信号に基づいて、当該一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の走査周期で光ビームを出射する。前記走査周期は、発光制御信号に基づき各発光部から出射される各光ビームによる、感光体ドラム21の周面211の主走査方向D1の走査の周期を示す。露光制御部914の露光処理の詳細については、後述する。
【0079】
ポリゴンミラー駆動制御部915は、設定部911によって設定された回転速度でポリゴンミラー62を回転動作させるための回転制御信号を、ポリゴンミラー駆動部62Aに出力する。ポリゴンミラー駆動部62Aは、ポリゴンミラー駆動制御部913が出力した回転制御信号を受信すると、当該受信した回転制御信号に従って、設定部911によって設定された回転速度でポリゴンミラー62を回転させるように、ポリゴンモーター61を制御する。
【0080】
モード切替制御部916は、感光体ドラム21の回転速度を所定の第一速度V1に設定して画像形成処理を行う第一モード、又は、感光体ドラム21の回転速度を第一速度V1よりも遅い第二速度V2に設定して画像形成処理を行う第二モードを選択して、画像形成装置1の状態を当該選択したモードに切り替える制御を行う。
【0081】
例えば、モード切替制御部916は、画像形成処理の条件として、画像を形成する対象のシートを普通紙にすることが設定されている場合、第一モードを選択し、画像形成装置1の状態を第一モードに切り替える。画像形成装置1の状態が第一モードに切り替えられると、画像形成制御部92は、感光体ドラム21の回転速度を第一速度V1に設定して画像形成処理を行う。一方、モード切替制御部916は、画像形成処理の条件として、画像を形成する対象のシートを厚紙とすることが設定されている場合、第二モードを選択し、画像形成装置1の状態を第二モードに切り替える。画像形成装置1の状態が第二モードに切り替えられると、画像形成制御部92は、感光体ドラム21の回転速度を第二速度V2に設定して画像形成処理を行う。このため、画像を形成する対象のシートが厚紙である場合、画像形成装置1の状態が第二モードに切り替えられ、感光体ドラム21が、シートが普通紙である場合の第一速度V1よりも遅い第二速度V2で回転している状態で画像形成処理が行われる。これにより、感光体ドラム21の回転速度が、第一速度V1よりも遅い第二速度V2に変更されたことに応じて、シートが普通紙であるときよりも遅い回転速度で、中間転写ベルト281及び加圧ローラー32が回転される。この結果、厚紙にトナー像をより確実に転写及び定着させることができる。
【0082】
<選択部、乱数割当部及び露光制御部の各処理の第一具体例>
選択部912、乱数割当部913及び露光制御部914の各処理の第一具体例について、
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は、選択部912によって第一選択処理が行われた場合における、対象発光部から出射される光ビームによる感光体ドラム21の周面211の主走査方向D1の走査の様子を示す図である。
図9は、選択部912によって第一選択処理が行われた場合における、乱数割当部913による乱数割当処理と露光制御部914による発光制御信号に基づく露光処理とを説明するための図である。なお、
図8において、紙面の左右方向は、感光体ドラム21の周面211における主走査方向D1に相当し、紙面の上下方向は、周面211における副走査方向D2に相当する。
図8の左側には、各偏向面621を用いた走査において使用され得る四個の発光部LD0~LD3の位置関係を図示している。
図8の右側には、周面211に形成される静電潜像の各画素を図示している。
【0083】
第一具体例では、画像形成処理の条件として、シートに形成する画像における副走査方向D2の画素の密度が、光源51における副走査方向D2の発光部LD0~LD3の密度(例えば、1200dpi)の1/2(例えば、600dpi)に設定されているため、前記画像に対応する静電潜像の各画素を二本の光ビームの走査によって形成するものとする。また、第一具体例では、ポリゴンミラー62における第一~第五の偏向面621を用いて、主走査方向D1の第一~第五の走査SC1~SC5を順次行うことで、副走査方向D2の位置が異なる静電潜像の各画素を形成するものとする。なお、第一具体例では、画像形成処理の条件として、画像を形成する対象のシートを厚紙とすることが設定されているものとする。これにより、モード切替制御部916は、第二モードを選択し、画像形成装置1の状態を第二モードに切り替える。
【0084】
設定部911は、隣り合う二個の偏向面621の各々に対して光源51から出射可能な四本の光ビームLB-0~LB-3を出射したときに、周面211における副走査方向D2の一の位置(
図8における4、7、10、13番目の矢印の位置)が、互いに異なる二本の光ビームLB-3、LB-0によって走査されるように、感光体ドラム21及びポリゴンミラー62の回転速度を設定する。
【0085】
具体的には、設定部911は、先ず、記憶部95に予め記憶されている感光体ドラム21の回転速度の初期値(例えば、上記第一速度V1)を、感光体ドラム21の回転速度として設定する。そして、設定部911は、四個の発光部LD0~LD3のうち、光源51において副走査方向D2の最下流に配置された発光部LD3によって光ビームLB-3を第一の偏向面621に出射させたときと、光源51において副走査方向D2の最上流に配置された発光部LD0によって光ビームLB-0を第一の偏向面621に隣接する第二の偏向面621に出射させたときとで、周面211において、当該二本の光ビームLB-3、LB-0による副走査方向D2の走査位置が一致するように、ポリゴンミラー62の回転速度を設定する。
【0086】
選択部912は、光源51が備える四個の発光部LD0~LD3の中から、静電潜像の各画素PXの形成に用いる二本の光ビームを出射させる二個の発光部を一組の対象発光部として選択し、一組の対象発光部を構成する発光部の組み合わせを、前記各画素PXの副走査方向D2の位置毎に変更する第一選択処理を行う。選択部912は、第一選択処理においては、第一の偏向面621に対して出射される光ビームの数が光源51に備えられる発光部の数と同じの四本であり、且つ、第二の偏向面621に対して出射される光ビームの数が光源51に備えられる発光部の数よりも少ない二本となるように、静電潜像の各画素PXの副走査方向D2の位置毎に組み合わせを変更しながら一組の対象発光部を選択する。選択部912は、ポリゴンミラー62において第二の偏向面621よりも回転方向下流側に配置される第三~第六の偏向面621に対しては、第一及び第二の偏向面621に対する選択態様を繰り返す。
【0087】
図8に示す例では、選択部912は、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、副走査方向D2の最上流の位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX111,PX112,PX113の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、各画素PX111,PX112,PX113に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX121,PX122,PX123の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0088】
選択部912は、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、各画素PX121,PX122,PX123に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX211,PX212,PX213の形成に用いる二本の光ビームLB-1,LB-2を出射させる二個の発光部LD1,LD2を、一組の対象発光部として選択する。
【0089】
選択部912は、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3において、各画素PX211,PX212,PX213に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX311,PX312,PX313の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3において、各画素PX311,PX312,PX313に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX321,PX322,PX323の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0090】
選択部912は、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4において、各画素PX321,PX322,PX323に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX411,PX412,PX413の形成に用いる二本の光ビームLB-1,LB-2を出射させる二個の発光部LD1,LD2を、一組の対象発光部として選択する。
【0091】
選択部912は、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5において、各画素PX411,PX412,PX413に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX511,PX512,PX513の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5において、各画素PX511,PX512,PX513に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX521,PX522,PX523の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0092】
上記のように、選択部912によって第一選択処理が行われた場合、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3、及び第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、光源51に備えられる全ての四個の発光部LD0~LD3から光ビームが出射されることとなる。一方、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2、及び第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、対象発光部として選択されずに発光停止状態とされる二個の発光部LD0,LD3が存在することとなる。この場合、第一、第三及び第五の偏向面621に対応して対象発光部として選択された全ての四個の発光部LD0~LD3のうち、第二及び第四の偏向面621に対応しても対象発光部として選択された発光部LD1の走査周期SCC1及び発光部LD2の走査周期SCC2は、光ビームの出射対象の偏向面621が切り替えられる周期を示す偏向切替周期PCと一致することとなる(
図9参照)。一方、第一、第三及び第五の偏向面621に対応して対象発光部として選択された全ての四個の発光部LD0~LD3のうち、第二及び第四の偏向面621に対応して対象発光部として選択されなかった発光部LD0の走査周期SCC0及び発光部LD3の走査周期SCC3は、偏向切替周期PCよりも長く、当該偏向切替周期PCの2倍となる(
図9参照)。なお、偏向切替周期PCは、第一BDセンサ75A及び第二BDセンサ75Bからローレベル信号が出力される周期と同一である。
【0093】
すなわち、選択部912によって第一選択処理が行われた場合、第一、第三及び第五の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD0,LD1の各走査周期SCC0,SCC1は、偏向切替周期PCと一致するものと、偏向切替周期PCよりも長いものとが存在し、異なる走査周期となる。同様に、第一、第三及び第五の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD2,LD3の各走査周期SCC2,SCC3は、偏向切替周期PCと一致するものと、偏向切替周期PCよりも長いものとが存在し、異なる走査周期となる。一方、第二及び第四の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD1,LD2の各走査周期SCC1,SCC2は、偏向切替周期PCと一致し、同一の走査周期となる。
【0094】
乱数割当部913は、乱数更新信号RNS0~RNS3の出力によって、選択部912によって選択された一組の対象発光部を構成する各発光部に対して個別に乱数列を割り当てて、当該乱数列の割り当てを一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の乱数更新周期RC0~RC3で更新する乱数割当処理を行う。既述の通り、乱数列は、乱数生成器23Rでシードとして用いられる初期乱数列、及び乱数生成器23Rで順次生成される複数の疑似乱数列から選択されるものであって、各発光部の発光時間を所定の基準値とは異なる補正値とするタイミングを特定する指標となる。ここで、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各乱数更新周期RC0~RC3は、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各走査周期SCC0~SCC3とそれぞれ一致している。
【0095】
乱数割当部913は、一組の対象発光部を構成する各発光部において、乱数更新周期RC0~RC3が走査周期SCC0~SCC3と一致するように、偏向切替周期PCに基づいて乱数更新周期を設定することができる。
【0096】
具体的に、乱数割当部913は、選択部912によって第一選択処理が行われた場合、第一、第三及び第五の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD0,LD1の各々に対しては、走査周期SCC0と走査周期SCC1とが異なることに応じて、乱数列の割り当てを異なる乱数更新周期RC0,RC1で更新する。同様に、乱数割当部913は、第一、第三及び第五の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD2,LD3の各々に対しては、走査周期SCC2と走査周期SCC3とが異なることに応じて、乱数列の割り当てを異なる乱数更新周期RC2,RC3で更新する。一方、乱数割当部913は、第二及び第四の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD1,LD2の各々に対しては、走査周期SCC1と走査周期SCC2とが同一となることに応じて、乱数列の割り当てを同一の乱数更新周期RC1,RC2で更新する。
【0097】
より詳しくは、乱数割当部913による乱数更新信号RNS0の出力に応じた、発光部LD0に対する乱数列の割り当ての乱数更新周期RC0は、発光部LD0の走査周期SCC0と一致したものであり、偏向切替周期PCよりも長く、当該偏向切替周期PCの2倍となる。乱数割当部913による乱数更新信号RNS1の出力に応じた、発光部LD1に対する乱数列の割り当ての乱数更新周期RC1は、発光部LD1の走査周期SCC1と一致したものであり、偏向切替周期PCと一致することとなる。乱数割当部913による乱数更新信号RNS2の出力に応じた、発光部LD2に対する乱数列の割り当ての乱数更新周期RC2は、発光部LD2の走査周期SCC2と一致したものであり、偏向切替周期PCと一致することとなる。乱数割当部913による乱数更新信号RNS03の出力に応じた、発光部LD3に対する乱数列の割り当ての乱数更新周期RC3は、発光部LD3の走査周期SCC3と一致したものであり、偏向切替周期PCよりも長く、当該偏向切替周期PCの2倍となる。
【0098】
乱数割当部913は、選択部912によって選択された一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当てを更新する場合、初期乱数列及び複数の疑似乱数列について、乱数生成器23Rによる生成順に連続した番号を認識する。具体的に、乱数割当部913は、乱数生成器23Rでシードとして用いられる初期乱数列の番号を「0」と認識し、乱数生成器23Rで順次生成される複数の疑似乱数列の番号を生成順に「1,2,3,4,5,・・・」と認識する。そして、乱数割当部913は、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各乱数更新周期RC0~RC3に応じて公差が設定された、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の等差数列に従った番号の乱数列を、一組の対象発光部を構成する各発光部に対して順次割り当てる。
【0099】
具体的には、
図9に示すように、乱数割当部913は、発光部LD0が第一、第三及び第五の偏向面621に対して光ビームLB-0を出射するときのために、初項が「0」で公差が乱数更新周期RC0に応じた「6」の等差数列An0=(0,6,12)に従った番号の乱数列を、発光部LD0に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD0に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「0」番の初期乱数列が割り当てられる。同様に、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「6」番の疑似乱数列が発光部LD0に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「12」番の疑似乱数列が発光部LD0に割り当てられる。
【0100】
乱数割当部913は、発光部LD1が第一~第五の偏向面621に対して光ビームLB-1を出射するときのために、初項が「1」で公差が乱数更新周期RC1に応じた「3」の等差数列An1=(1,4,7,10,13)に従った番号の乱数列を、発光部LD1に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD1に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「1」番の疑似乱数列が割り当てられる。同様に、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2においては、「4」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられ、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「7」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられる。第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「10」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「13」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられる。
【0101】
乱数割当部913は、発光部LD2が第一~第五の偏向面621に対して光ビームLB-2を出射するときのために、初項が「2」で公差が乱数更新周期RC2に応じた「3」の等差数列An2=(2,5,8,11,14)に従った番号の乱数列を、発光部LD2に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD2に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「2」番の疑似乱数列が割り当てられる。同様に、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2においては、「5」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられ、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「8」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられる。第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「11」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「14」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられる。
【0102】
乱数割当部913は、発光部LD3が第一、第三及び第五の偏向面621に対して光ビームLB-3を出射するときのために、初項が「3」で公差が乱数更新周期RC3に応じた「6」の等差数列An3=(3,9,15)に従った番号の乱数列を、発光部LD3に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD3に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「3」番の疑似乱数列が割り当てられる。同様に、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「9」番の疑似乱数列が発光部LD3に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「15」番の疑似乱数列が発光部LD3に割り当てられる。
【0103】
上記のような、対象発光部として選択された四個の発光部LD0~LD3に対して割り当てられる乱数列の番号を、第一~第五の走査SC1~SC5の順に並べると、(0,1,2,・・・,13,14,15)となる。すなわち、乱数割当部913は、各発光部LD0~LD3から出射される光ビームによる、副走査方向D2の位置毎の主走査方向D1の走査の順と、乱数生成器23Rによる乱数列の生成順とが一致するように、各発光部LD0~LD3に対する乱数列の割り当てを更新する。換言すると、各発光部LD0~LD3から出射される光ビームによる主走査方向D1の走査において、副走査方向D2に隣接する走査に対応して、乱数生成器23Rによる生成順で前後の疑似乱数列が割り当てられる。LFSR23R1を備えた乱数生成器23Rにおいては、疑似乱数列の無相関性は、生成順で前後の疑似乱数列同士で特に保障されている。このため、詳細については後述するが、静電潜像における、乱数列に応じた補正対象の画素の位置の不規則性をより確実に維持することができる。
【0104】
露光制御部914は、静電潜像の各画素PXの副走査方向D2の位置毎に対象発光部として選択された各発光部LD0~LD3に対して、個別に発光制御信号LCS0~LCS3を出力する。これにより、露光制御部914は、各発光部LD0~LD3から光ビームLB-0~LB-3を出射させる露光処理を行う。既述の通り、発光制御信号LCS0~LCS3は、基準パルスと、各発光部LD0~LD3に割り当てられた乱数列に対応した補正パルスとを含む、静電潜像の形成用の画像データに基づくパルス信号である。
【0105】
第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、一組の対象発光部として選択された発光部LD0,LD1は、発光制御信号LCS0,LCS1に含まれる基準パルスに従って基準値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-0,LB-1を出射する。また、発光部LD0,LD1は、発光制御信号LCS0,LCS1に含まれる補正パルスに従って補正値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-0,LB-1を出射する。これにより、副走査方向D2の最上流の位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX111,PX112,PX113が形成される。この際、発光制御信号LCS0,LCS1に含まれる補正パルスに基づいて、発光部LD0,LD1の発光時間を補正値とする補正処理(等倍度補正処理)が行われ、乱数列に応じた補正対象の画素における主走査方向D1の画素幅が調整される。
【0106】
更に、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、一組の対象発光部として選択された発光部LD2,LD3は、発光制御信号LCS2,LCS3に含まれる基準パルスに従って基準値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-2,LB-3を出射する。また、発光部LD2,LD3は、発光制御信号LCS2,LCS3に含まれる補正パルスに従って補正値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-2,LB-3を出射する。これにより、各画素PX111,PX112,PX113に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX121,PX122,PX123が形成される。この際、発光制御信号LCS2,LCS3に含まれる補正パルスに基づいて、発光部LD2,LD3の発光時間を補正値とする補正処理が行われ、乱数列に応じた補正対象の画素における主走査方向D1の画素幅が調整される。
【0107】
第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、一組の対象発光部として選択された発光部LD1,LD2は、発光制御信号LCS1,LCS2に含まれる基準パルスに従って基準値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-1,LB-2を出射する。また、発光部LD1,LD2は、発光制御信号LCS1,LCS2に含まれる補正パルスに従って補正値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-1,LB-2を出射する。これにより、各画素PX121,PX122,PX123に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX211,PX212,PX213が形成される。この際、発光制御信号LCS1,LCS2に含まれる補正パルスに基づいて、発光部LD1,LD2の発光時間を補正値とする補正処理が行われ、乱数列に応じた補正対象の画素における主走査方向D1の画素幅が調整される。
【0108】
第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、第一の走査SC1と同様に、発光部LD0,LD1による光ビームLB-0,LB-1の出射によって各画素PX311,PX312,PX313が形成され、発光部LD2,LD3による光ビームLB-2,LB-3の出射によって各画素PX321,PX322,PX323が形成される。
【0109】
第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、第二の走査SC2と同様に、発光部LD1,LD2による光ビームLB-1,LB-2の出射によって各画素PX411,PX412,PX413が形成される。
【0110】
第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、第一の走査SC1と同様に、発光部LD0,LD1による光ビームLB-0,LB-1の出射によって各画素PX511,PX512,PX513が形成され、発光部LD2,LD3による光ビームLB-2,LB-3の出射によって各画素PX521,PX522,PX523が形成される。
【0111】
既述の通り、第一~第五の走査SC1~SC5の各々において、一組の対象発光部として選択された各発光部LD0~LD3に個別の各乱数更新周期RC0~RC3は、各走査周期SCC0~SCC3とそれぞれ一致している。この場合、各発光部LD0~LD3において、光ビームLB-0~LB-3の出射によって主走査方向D1の一の走査が行われた後、各走査周期SCC0~SCC3が経過して次の走査が行われるタイミングで、各乱数更新周期RC0~RC3も同時に経過して、乱数列の割り当てが更新される(
図9参照)。
【0112】
このような乱数列の更新の態様においては、主走査方向D1の走査のために光ビームを出射することなく発光が停止される期間に、乱数列の割り当てが無駄に更新されることを回避することができる。このため、乱数割当部913は、乱数生成器23Rに予め設定された乱数周期の範囲内で生成される疑似乱数列を有効に、主走査方向D1の走査のために光ビームを出射する各発光部LD0~LD3に対して割り当てることができる。これにより、乱数生成器23Rにおいて乱数周期を超えたタイミングで生成された、既に割り当て済みの疑似乱数列と同一の乱数列が、各発光部LD0~LD3に対して割り当てられることを、可及的に回避することができる。この結果、露光制御部914から出力される各発光制御信号LCS0~LCS3に基づいて各発光部LD0~LD3の発光時間を補正値とする補正処理が行われるときに、静電潜像における、乱数列に応じた補正対象の画素の位置の不規則性を維持することが可能となる。
【0113】
静電潜像における補正対象の画素の位置の不規則性が維持されると、静電潜像に対応してシートに形成される画像において、補正対象の画素に応じた濃度むらに関する空間周波数が、人が視認可能な空間周波数の最小よりも高くなることを回避することができる。この結果、シート上の画像の品質の低下を抑止することができる。したがって、光走査装置23に光路歪み等が生じていた場合などに、静電潜像において主走査方向D1の画素幅が不均一になる現象を、適切に抑制することが可能となる。
【0114】
<選択部、乱数割当部及び露光制御部の各処理の第二具体例>
選択部912、乱数割当部913及び露光制御部914の各処理の第二具体例について、
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は、選択部912によって第二選択処理が行われた場合における、対象発光部から出射される光ビームによる感光体ドラム21の周面211の主走査方向D1の走査の様子を示す図である。
図11は、選択部912によって第二選択処理が行われた場合における、乱数割当部913による乱数割当処理と露光制御部914による発光制御信号に基づく露光処理とを説明するための図である。
【0115】
第二具体例では、上記の第一具体例と同様に、画像形成処理の条件として、シートに形成する画像に対応する静電潜像の各画素を二本の光ビームの走査によって形成するものとする。また、第二具体例では、ポリゴンミラー62における第一~第五の偏向面621を用いて、主走査方向D1の第一~第五の走査SC1~SC5を順次行うことで、副走査方向D2の位置が異なる静電潜像の各画素を形成するものとする。なお、第二具体例では、上記の第一具体例と同様に、モード切替制御部916は、第二モードを選択し、画像形成装置1の状態を第二モードに切り替える。
【0116】
設定部911は、記憶部95に予め記憶されている感光体ドラム21の回転速度の初期値(例えば、上記第一速度V1)を、感光体ドラム21の回転速度として設定する。そして、設定部911は、発光部LD3によって光ビームLB-3を第一の偏向面621に出射させたときと、発光部LD0によって光ビームLB-0を第一の偏向面621に隣接する第二の偏向面621に出射させたときとで、周面211において、当該二本の光ビームLB-3、LB-0による副走査方向D2の走査位置が一致するように、ポリゴンミラー62の回転速度を設定する。
【0117】
選択部912は、第一の偏向面621に対して出射される光ビームの数が光源51に備えられる発光部の数よりも少ない二本であり、且つ、第二の偏向面621に対して出射される光ビームの数が光源51に備えられる発光部の数と同じの四本となるように、静電潜像の各画素PXの副走査方向D2の位置毎に組み合わせを変更しながら一組の対象発光部を選択する第二選択処理を行う。選択部912は、ポリゴンミラー62において第二の偏向面621よりも回転方向下流側に配置される第三~第六の偏向面621に対しては、第一及び第二の偏向面621に対する選択態様を繰り返す。
【0118】
図10に示す例では、選択部912は、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、副走査方向D2の最上流の位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX111,PX112,PX113の形成に用いる二本の光ビームLB-1,LB-2を出射させる二個の発光部LD1,LD2を、一組の対象発光部として選択する。
【0119】
選択部912は、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、各画素PX111,PX112,PX113に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX211,PX212,PX213の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、各画素PX211,PX212,PX213に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX221,PX222,PX223の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0120】
選択部912は、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3において、各画素PX221,PX222,PX223に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX311,PX312,PX313の形成に用いる二本の光ビームLB-1,LB-2を出射させる二個の発光部LD1,LD2を、一組の対象発光部として選択する。
【0121】
選択部912は、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4において、各画素PX311,PX312,PX313に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX411,PX412,PX413の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4において、各画素PX411,PX412,PX413に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX421,PX422,PX423の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0122】
選択部912は、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5において、各画素PX421,PX422,PX423に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX511,PX512,PX513の形成に用いる二本の光ビームLB-1,LB-2を出射させる二個の発光部LD1,LD2を、一組の対象発光部として選択する。
【0123】
上記のように、選択部912によって第二選択処理が行われた場合、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3、及び第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、対象発光部として選択されずに発光停止状態とされる二個の発光部LD0,LD3が存在することとなる。一方、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2、及び第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、光源51に備えられる全ての四個の発光部LD0~LD3から光ビームが出射されることとなる。この場合、第一、第三及び第五の偏向面621に対応して対象発光部として選択された発光部LD1,LD2は、第二及び第四の偏向面621に対応しても対象発光部として選択されることになる。このため、第一、第三及び第五の偏向面621に対応して対象発光部として選択された発光部LD1の走査周期SCC1及び発光部LD2の走査周期SCC2は、偏向切替周期PCと一致することとなる(
図11参照)。一方、第二及び第四の偏向面621に対応して対象発光部として選択された全ての四個の発光部LD0~LD3のうち、第一、第三及び第五の偏向面621に対応して対象発光部として選択されなかった発光部LD0の走査周期SCC0及び発光部LD3の走査周期SCC3は、偏向切替周期PCよりも長く、当該偏向切替周期PCの2倍となる(
図11参照)。
【0124】
すなわち、選択部912によって第二選択処理が行われた場合、第一、第三及び第五の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD1,LD2の各走査周期SCC1,SCC2は、偏向切替周期PCと一致し、同一の走査周期となる。一方、第二及び第四の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD0,LD1の各走査周期SCC0,SCC1は、偏向切替周期PCと一致するものと、偏向切替周期PCよりも長いものとが存在し、異なる走査周期となる。同様に、第二及び第四の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD2,LD3の各走査周期SCC2,SCC3は、偏向切替周期PCと一致するものと、偏向切替周期PCよりも長いものとが存在し、異なる走査周期となる。
【0125】
乱数割当部913は、乱数更新信号RNS0~RNS3の出力によって、選択部912によって選択された一組の対象発光部を構成する各発光部に対して個別に乱数列を割り当てて、当該乱数列の割り当てを一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の乱数更新周期RC0~RC3で更新する乱数割当処理を行う。ここで、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各乱数更新周期RC0~RC3は、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各走査周期SCC0~SCC3とそれぞれ一致している。
【0126】
乱数割当部913は、一組の対象発光部を構成する各発光部において、乱数更新周期RC0~RC3が走査周期SCC0~SCC3と一致するように、偏向切替周期PCに基づいて乱数更新周期を設定することができる。
【0127】
具体的に、乱数割当部913は、選択部912によって第二選択処理が行われた場合、第一、第三及び第五の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD1,LD2の各々に対しては、走査周期SCC1と走査周期SCC2とが同一となることに応じて、乱数列の割り当てを同一の乱数更新周期RC1,RC2で更新する。一方、乱数割当部913は、第二及び第四の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD0,LD1の各々に対しては、走査周期SCC0と走査周期SCC1とが異なることに応じて、乱数列の割り当てを異なる乱数更新周期RC0,RC1で更新する。同様に、乱数割当部913は、第二及び第四の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD2,LD3の各々に対しては、走査周期SCC2と走査周期SCC3とが異なることに応じて、乱数列の割り当てを異なる乱数更新周期RC2,RC3で更新する。
【0128】
より詳しくは、乱数割当部913による乱数更新信号RNS0の出力に応じた、発光部LD0に対する乱数列の割り当ての乱数更新周期RC0は、発光部LD0の走査周期SCC0と一致したものであり、偏向切替周期PCよりも長く、当該偏向切替周期PCの2倍となる。乱数割当部913による乱数更新信号RNS1の出力に応じた、発光部LD1に対する乱数列の割り当ての乱数更新周期RC1は、発光部LD1の走査周期SCC1と一致したものであり、偏向切替周期PCと一致することとなる。乱数割当部913による乱数更新信号RNS2の出力に応じた、発光部LD2に対する乱数列の割り当ての乱数更新周期RC2は、発光部LD2の走査周期SCC2と一致したものであり、偏向切替周期PCと一致することとなる。乱数割当部913による乱数更新信号RNS03の出力に応じた、発光部LD3に対する乱数列の割り当ての乱数更新周期RC3は、発光部LD3の走査周期SCC3と一致したものであり、偏向切替周期PCよりも長く、当該偏向切替周期PCの2倍となる。
【0129】
乱数割当部913は、選択部912によって選択された一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当てを更新する場合、上記の第一具体例の場合と同様に、乱数生成器23Rでシードとして用いられる初期乱数列の番号を「0」と認識し、乱数生成器23Rで順次生成される複数の疑似乱数列の番号を生成順に「1,2,3,4,5,・・・」と認識する。そして、乱数割当部913は、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各乱数更新周期RC0~RC3に応じて公差が設定された、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の等差数列に従った番号の乱数列を、一組の対象発光部を構成する各発光部に対して順次割り当てる。
【0130】
具体的には、
図11に示すように、乱数割当部913は、発光部LD0が第二及び第四の偏向面621に対して光ビームLB-0を出射するときのために、初項が「2」で公差が乱数更新周期RC0に応じた「6」の等差数列An0=(2,8)に従った番号の乱数列を、発光部LD0に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD0に対しては、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、「2」番の疑似乱数列が割り当てられる。同様に、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「8」番の疑似乱数列が発光部LD0に割り当てられる。
【0131】
乱数割当部913は、発光部LD1が第一~第五の偏向面621に対して光ビームLB-1を出射するときのために、初項が「0」で公差が乱数更新周期RC1に応じた「3」の等差数列An1=(0,3,6,9,12)に従った番号の乱数列を、発光部LD1に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD1に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「0」番の初期乱数列が割り当てられる。同様に、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2においては、「3」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられ、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「6」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられる。第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「9」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「12」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられる。
【0132】
乱数割当部913は、発光部LD2が第一~第五の偏向面621に対して光ビームLB-2を出射するときのために、初項が「1」で公差が乱数更新周期RC2に応じた「3」の等差数列An2=(1,4,7,10,13)に従った番号の乱数列を、発光部LD2に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD2に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「1」番の疑似乱数列が割り当てられる。同様に、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2においては、「4」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられ、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「7」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられる。第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「10」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「13」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられる。
【0133】
乱数割当部913は、発光部LD3が第二及び第四の偏向面621に対して光ビームLB-3を出射するときのために、初項が「5」で公差が乱数更新周期RC3に応じた「6」の等差数列An3=(5,11)に従った番号の乱数列を、発光部LD3に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD3に対しては、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、「5」番の疑似乱数列が割り当てられる。同様に、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「11」番の疑似乱数列が発光部LD3に割り当てられる。
【0134】
上記のような、対象発光部として選択された四個の発光部LD0~LD3に対して割り当てられる乱数列の番号を、第一~第五の走査SC1~SC5の順に並べると、(0,1,2,・・・,11,12,13)となる。すなわち、乱数割当部913は、各発光部LD0~LD3から出射される光ビームによる、副走査方向D2の位置毎の主走査方向D1の走査の順と、乱数生成器23Rによる乱数列の生成順とが一致するように、各発光部LD0~LD3に対する乱数列の割り当てを更新する。
【0135】
露光制御部914は、静電潜像の各画素PXの副走査方向D2の位置毎に対象発光部として選択された各発光部LD0~LD3に対して、個別に発光制御信号LCS0~LCS3を出力する。これにより、露光制御部914は、各発光部LD0~LD3から光ビームLB-0~LB-3を出射させる露光処理を行う。発光制御信号LCS0~LCS3は、基準パルスと、各発光部LD0~LD3に割り当てられた乱数列に対応した補正パルスとを含むパルス信号である。
【0136】
第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、一組の対象発光部として選択された発光部LD1,LD2は、発光制御信号LCS1,LCS2に含まれる基準パルスに従って基準値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-1,LB-2を出射する。また、発光部LD1,LD2は、発光制御信号LCS1,LCS2に含まれる補正パルスに従って補正値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-1,LB-2を出射する。これにより、副走査方向D2の最上流の位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX111,PX112,PX113が形成される。この際、発光制御信号LCS1,LCS2に含まれる補正パルスに基づいて、発光部LD1,LD2の発光時間を補正値とする補正処理が行われ、乱数列に応じた補正対象の画素における主走査方向D1の画素幅が調整される。
【0137】
第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、一組の対象発光部として選択された発光部LD0,LD1は、発光制御信号LCS0,LCS1に含まれる基準パルスに従って基準値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-0,LB-1を出射する。また、発光部LD0,LD1は、発光制御信号LCS0,LCS1に含まれる補正パルスに従って補正値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-0,LB-1を出射する。これにより、各画素PX111,PX112,PX113に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX211,PX212,PX213が形成される。この際、発光制御信号LCS0,LCS1に含まれる補正パルスに基づいて、発光部LD0,LD1の発光時間を補正値とする補正処理が行われ、乱数列に応じた補正対象の画素における主走査方向D1の画素幅が調整される。
【0138】
更に、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、一組の対象発光部として選択された発光部LD2,LD3は、発光制御信号LCS2,LCS3に含まれる基準パルスに従って基準値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-2,LB-3を出射する。また、発光部LD2,LD3は、発光制御信号LCS2,LCS3に含まれる補正パルスに従って補正値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-2,LB-3を出射する。これにより、各画素PX211,PX212,PX213に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX221,PX222,PX223が形成される。この際、発光制御信号LCS2,LCS3に含まれる補正パルスに基づいて、発光部LD2,LD3の発光時間を補正値とする補正処理が行われ、乱数列に応じた補正対象の画素における主走査方向D1の画素幅が調整される。
【0139】
第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、第一の走査SC1と同様に、発光部LD1,LD2による光ビームLB-1,LB-2の出射によって各画素PX311,PX312,PX313が形成される。
【0140】
第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、第二の走査SC2と同様に、発光部LD0,LD1による光ビームLB-0,LB-1の出射によって各画素PX411,PX412,PX413が形成され、発光部LD2,LD3による光ビームLB-2,LB-3の出射によって各画素PX421,PX422,PX423が形成される。
【0141】
第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、第一の走査SC1と同様に、発光部LD1,LD2による光ビームLB-1,LB-2の出射によって各画素PX511,PX512,PX513が形成される。
【0142】
既述の通り、第一~第五の走査SC1~SC5の各々において、一組の対象発光部として選択された各発光部LD0~LD3に個別の各乱数更新周期RC0~RC3は、各走査周期SCC0~SCC3とそれぞれ一致している。この場合、各発光部LD0~LD3において、光ビームLB-0~LB-3の出射によって主走査方向D1の一の走査が行われた後、各走査周期SCC0~SCC3が経過して次の走査が行われるタイミングで、各乱数更新周期RC0~RC3も同時に経過して、乱数列の割り当てが更新される(
図11参照)。これにより、主走査方向D1の走査のために光ビームを出射することなく発光が停止される期間に、乱数列の割り当てが無駄に更新されることを回避することができる。このため、露光制御部914から出力される各発光制御信号LCS0~LCS3に基づいて各発光部LD0~LD3の発光時間を補正値とする補正処理が行われるときに、静電潜像における、乱数列に応じた補正対象の画素の位置の不規則性を維持することが可能となる。したがって、光走査装置23に光路歪み等が生じていた場合などに、静電潜像において主走査方向D1の画素幅が不均一になる現象を、適切に抑制することが可能となる。
【0143】
<選択部、乱数割当部及び露光制御部の各処理の第三具体例>
選択部912、乱数割当部913及び露光制御部914の各処理の第三具体例について、
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は、選択部912によって第三選択処理が行われた場合における、対象発光部から出射される光ビームによる感光体ドラム21の周面211の主走査方向D1の走査の様子を示す図である。
図13は、選択部912によって第三選択処理が行われた場合における、乱数割当部913による乱数割当処理と露光制御部914による発光制御信号に基づく露光処理とを説明するための図である。
【0144】
第三具体例では、画像形成処理の条件として、シートに形成する画像に対応する静電潜像の各画素を二本の光ビームの走査によって形成するものとする。また、第三具体例では、ポリゴンミラー62における第一~第五の偏向面621を用いて、主走査方向D1の第一~第五の走査SC1~SC5を順次行うことで、副走査方向D2の位置が異なる静電潜像の各画素を形成するものとする。なお、第三具体例では、画像形成処理の条件として、画像を形成する対象のシートを普通紙とすることが設定されているものとする。これにより、モード切替制御部916は、第一モードを選択し、画像形成装置1の状態を第一モードに切り替える。
【0145】
設定部911は、記憶部95に予め記憶されている感光体ドラム21の回転速度の初期値(例えば、上記第一速度V1)を、感光体ドラム21の回転速度として設定する。そして、設定部911は、隣り合う二個の偏向面621の各々に対して、光源51から出射可能な四本の光ビームLB-0~LB-3を出射したときに、各光ビームLB-0~LB-が周面211において副走査方向D2に互いに副走査ピッチPD2だけ離間した位置を走査するように、ポリゴンミラー62の回転速度を設定する。
【0146】
選択部912は、第一~第五の偏向面621の各々に対して出射される光ビームの数がいずれも光源51に備えられる発光部の数と同じの四本となるように、静電潜像の各画素PXの副走査方向D2の位置毎に組み合わせを変更しながら一組の対象発光部を選択する第三選択処理を行う。
【0147】
図12に示す例では、選択部912は、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、副走査方向D2の最上流の位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX111,PX112,PX113の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、各画素PX111,PX112,PX113に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX121,PX122,PX123の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0148】
選択部912は、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、各画素PX121,PX122,PX123に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX211,PX212,PX213の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2において、各画素PX211,PX212,PX213に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX221,PX222,PX223の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0149】
選択部912は、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3において、各画素PX221,PX222,PX223に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX311,PX312,PX313の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3において、各画素PX311,PX312,PX313に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX321,PX322,PX323の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0150】
選択部912は、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4において、各画素PX321,PX322,PX323に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX411,PX412,PX413の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4において、各画素PX411,PX412,PX413に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX421,PX422,PX423の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0151】
選択部912は、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5において、各画素PX421,PX422,PX423に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX511,PX512,PX513の形成に用いる二本の光ビームLB-0,LB-1を出射させる二個の発光部LD0,LD1を、一組の対象発光部として選択する。更に、選択部912は、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5において、各画素PX511,PX512,PX513に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX521,PX522,PX523の形成に用いる二本の光ビームLB-2,LB-3を出射させる二個の発光部LD2,LD3を、一組の対象発光部として選択する。
【0152】
上記のように、選択部912によって第三選択処理が行われた場合、第一~第五の偏向面621を用いた第一~第五の走査SC1~SC5のいずれにおいても、光源51に備えられる全ての四個の発光部LD0~LD3から光ビームが出射されることとなる。このため、第一~第五の偏向面621に対応して対象発光部として選択された全ての四個の発光部LD0~LD3の各走査周期SCC0~SCC3は、偏向切替周期PCと一致することとなる(
図13参照)。すなわち、選択部912によって第三選択処理が行われた場合、全ての四個の発光部LD0~LD3の各走査周期SCC0~SCC3は、偏向切替周期PCと一致し、同一の走査周期となる。
【0153】
乱数割当部913は、対象発光部として選択された各発光部LD0~LD3の各々において、乱数更新周期RC0~RC3が走査周期SCC0~SCC3と一致するように、偏向切替周期PCに基づいて乱数更新周期を設定することができる。
【0154】
具体的に、乱数割当部913は、選択部912によって第三選択処理が行われた場合、第一~第五の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD0,LD1の各々に対しては、走査周期SCC0と走査周期SCC1とが同一となることに応じて、乱数列の割り当てを同一の乱数更新周期RC0,RC1で更新する。同様に、第一~第五の偏向面621に対して光ビームを出射する二個の発光部LD2,LD3の各々に対しては、走査周期SCC2と走査周期SCC3とが同一となることに応じて、乱数列の割り当てを同一の乱数更新周期RC2,RC3で更新する。
【0155】
乱数割当部913は、選択部912によって選択された一組の対象発光部を構成する各発光部に対する乱数列の割り当てを更新する場合、上記の第一具体例の場合と同様に、乱数生成器23Rでシードとして用いられる初期乱数列の番号を「0」と認識し、乱数生成器23Rで順次生成される複数の疑似乱数列の番号を生成順に「1,2,3,4,5,・・・」と認識する。そして、乱数割当部913は、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の各乱数更新周期RC0~RC3に応じて公差が設定された、一組の対象発光部を構成する各発光部に個別の等差数列に従った番号の乱数列を、一組の対象発光部を構成する各発光部に対して順次割り当てる。
【0156】
具体的には、
図13に示すように、乱数割当部913は、発光部LD0が第一~第五の偏向面621に対して光ビームLB-0を出射するときのために、初項が「0」で公差が乱数更新周期RC0に応じた「4」の等差数列An0=(0,4,8,12,16)に従った番号の乱数列を、発光部LD0に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD0に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「0」番の初期乱数列が割り当てられる。同様に、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2においては、「4」番の疑似乱数列が発光部LD0に割り当てられ、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「8」番の疑似乱数列が発光部LD0に割り当てられる。また、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「12」番の疑似乱数列が発光部LD0に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「16」番の疑似乱数列が発光部LD0に割り当てられる。
【0157】
乱数割当部913は、発光部LD1が第一~第五の偏向面621に対して光ビームLB-1を出射するときのために、初項が「1」で公差が乱数更新周期RC1に応じた「4」の等差数列An1=(1,5,9,13,17)に従った番号の乱数列を、発光部LD1に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD1に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「1」番の疑似乱数列が割り当てられる。同様に、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2においては、「5」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられ、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「9」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられる。また、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「13」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「17」番の疑似乱数列が発光部LD1に割り当てられる。
【0158】
乱数割当部913は、発光部LD2が第一~第五の偏向面621に対して光ビームLB-2を出射するときのために、初項が「2」で公差が乱数更新周期RC2に応じた「4」の等差数列An2=(2,6,10,14,18)に従った番号の乱数列を、発光部LD2に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD2に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「2」番の疑似乱数列が割り当てられる。同様に、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2においては、「6」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられ、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「10」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられる。また、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「14」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「18」番の疑似乱数列が発光部LD2に割り当てられる。
【0159】
乱数割当部913は、発光部LD3が第一~第五の偏向面621に対して光ビームLB-3を出射するときのために、初項が「3」で公差が乱数更新周期RC3に応じた「4」の等差数列An3=(3,7,11,15,19)に従った番号の乱数列を、発光部LD3に対して順次割り当てる。この場合、発光部LD3に対しては、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、「3」番の疑似乱数列が割り当てられる。同様に、第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2においては、「7」番の疑似乱数列が発光部LD3に割り当てられ、第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、「11」番の疑似乱数列が発光部LD3に割り当てられる。また、第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、「15」番の疑似乱数列が発光部LD3に割り当てられ、第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、「19」番の疑似乱数列が発光部LD3に割り当てられる。
【0160】
上記のような、対象発光部として選択された四個の発光部LD0~LD3に対して割り当てられる乱数列の番号を、第一~第五の走査SC1~SC5の順に並べると、(0,1,2,・・・,17,18,19)となる。すなわち、乱数割当部913は、各発光部LD0~LD3から出射される光ビームによる、副走査方向D2の位置毎の主走査方向D1の走査の順と、乱数生成器23Rによる乱数列の生成順とが一致するように、各発光部LD0~LD3に対する乱数列の割り当てを更新する。
【0161】
露光制御部914は、静電潜像の各画素PXの副走査方向D2の位置毎に対象発光部として選択された各発光部LD0~LD3に対して、個別に発光制御信号LCS0~LCS3を出力する。これにより、露光制御部914は、各発光部LD0~LD3から光ビームLB-0~LB-3を出射させる露光処理を行う。発光制御信号LCS0~LCS3は、基準パルスと、各発光部LD0~LD3に割り当てられた乱数列に対応した補正パルスとを含むパルス信号である。
【0162】
第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、一組の対象発光部として選択された発光部LD0,LD1は、発光制御信号LCS0,LCS1に含まれる基準パルスに従って基準値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-0,LB-1を出射する。また、発光部LD0,LD1は、発光制御信号LCS0,LCS1に含まれる補正パルスに従って補正値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-0,LB-1を出射する。これにより、副走査方向D2の最上流の位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX111,PX112,PX113が形成される。この際、発光制御信号LCS0,LCS1に含まれる補正パルスに基づいて、発光部LD0,LD1の発光時間を補正値とする補正処理が行われ、乱数列に応じた補正対象の画素における主走査方向D1の画素幅が調整される。
【0163】
更に、第一の偏向面621を用いた第一の走査SC1において、一組の対象発光部として選択された発光部LD2,LD3は、発光制御信号LCS2,LCS3に含まれる基準パルスに従って基準値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-2,LB-3を出射する。また、発光部LD2,LD3は、発光制御信号LCS2,LCS3に含まれる補正パルスに従って補正値で示される発光時間の発光によって光ビームLB-2,LB-3を出射する。これにより、各画素PX111,PX112,PX113に対して副走査方向D2の下流側に隣接した位置で主走査方向D1に並ぶ各画素PX121,PX122,PX123が形成される。この際、発光制御信号LCS2,LCS3に含まれる補正パルスに基づいて、発光部LD2,LD3の発光時間を補正値とする補正処理が行われ、乱数列に応じた補正対象の画素における主走査方向D1の画素幅が調整される。
【0164】
第二の偏向面621を用いた第二の走査SC2においては、第一の走査SC1と同様に、発光部LD0,LD1による光ビームLB-0,LB-1の出射によって各画素PX211,PX212,PX213が形成され、発光部LD2,LD3による光ビームLB-2,LB-3の出射によって各画素PX221,PX222,PX223が形成される。
【0165】
第三の偏向面621を用いた第三の走査SC3においては、第一の走査SC1と同様に、発光部LD0,LD1による光ビームLB-0,LB-1の出射によって各画素PX311,PX312,PX313が形成され、発光部LD2,LD3による光ビームLB-2,LB-3の出射によって各画素PX321,PX322,PX323が形成される。
【0166】
第四の偏向面621を用いた第四の走査SC4においては、第一の走査SC1と同様に、発光部LD0,LD1による光ビームLB-0,LB-1の出射によって各画素PX411,PX412,PX413が形成され、発光部LD2,LD3による光ビームLB-2,LB-3の出射によって各画素PX421,PX422,PX423が形成される。
【0167】
第五の偏向面621を用いた第五の走査SC5においては、第一の走査SC1と同様に、発光部LD0,LD1による光ビームLB-0,LB-1の出射によって各画素PX511,PX512,PX513が形成され、発光部LD2,LD3による光ビームLB-2,LB-3の出射によって各画素PX521,PX522,PX523が形成される。
【0168】
既述の通り、第一~第五の走査SC1~SC5の各々において、一組の対象発光部として選択された各発光部LD0~LD3に個別の各乱数更新周期RC0~RC3は、各走査周期SCC0~SCC3とそれぞれ一致している。この場合、各発光部LD0~LD3において、光ビームLB-0~LB-3の出射によって主走査方向D1の一の走査が行われた後、各走査周期SCC0~SCC3が経過して次の走査が行われるタイミングで、各乱数更新周期RC0~RC3も同時に経過して、乱数列の割り当てが更新される(
図13参照)。これにより、露光制御部914から出力される各発光制御信号LCS0~LCS3に基づいて各発光部LD0~LD3の発光時間を補正値とする補正処理が行われるときに、静電潜像における、乱数列に応じた補正対象の画素の位置の不規則性を維持することが可能となる。したがって、光走査装置23に光路歪み等が生じていた場合などに、静電潜像において主走査方向D1の画素幅が不均一になる現象を、適切に抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0169】
1 画像形成装置
2 画像形成部
21 感光体ドラム(像担持体)
23 光走査装置
23R 乱数生成器
51 光源
62 ポリゴンミラー(偏向器)
621 偏向面
90 制御部
91 光走査制御部
911 設定部
912 選択部
913 乱数割当部
914 露光制御部
D1 主走査方向
D2 副走査方向
D3 配列方向(所定方向)
LB-0~LB-3 光ビーム
LCS0~LCS3 発光制御信号
LD0~LD3 発光部
RC0~RC3 乱数更新周期
SCC0~SCC3 走査周期