(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ロッド用ロック装置
(51)【国際特許分類】
F15B 15/26 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
F15B15/26
(21)【出願番号】P 2020128564
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】根本 慎一郎
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-226522(JP,A)
【文献】特開2009-068567(JP,A)
【文献】特開2002-013506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に直線運動をするロッドを停止位置にロックするロック装置において、
前記ロック装置は、前記ロッドに沿うように配設されて相互に連結された複数のロックユニットを有し、
前記ロックユニットは、前記ロッドが挿通するケーシングと、該ケーシングを覆う蓋体とを有し、
前記ケーシングの内部に、前記ロッドを締め付けてロックするロック部材と、流体圧力の作用を受けて該ロック部材のロックを解除する解除ピストンとが収容され、
前記ケーシングと蓋体との間に、前記解除ピストンに流体圧力を作用させるための解除圧力室が形成され、
前記蓋体に、圧力流体を供給及び排出する解除ポートと、該解除ポートを前記解除圧力室に連通させる連通路とが形成さ
れ、
隣接するロックユニットのケーシング間に、リング状をした連結スペーサが前記ロッドと同軸をなすように介設され、この連結スペーサを介して前記ケーシング同士が相互に連結されており、前記連結スペーサの中心孔の内部を前記ロッドが挿通する、
ことを特徴とするロッド用ロック装置。
【請求項2】
前記ケーシングは、各ロックユニット毎に独立し、
前記蓋体は、全てのロックユニットのケーシングに跨がる長さを有する1つの部材からなっていて、1つの前記解除ポートと、この1つの解除ポートを前記複数のロックユニットの解除圧力室に連通させる複数の前記連通路とを有している、
ことを特徴とする請求項1に記載のロッド用ロック装置。
【請求項3】
前記ケーシングの軸線方向一側の第1端及び反対側の第2端に、互いに同径をなす環状の凹段部が、前記ロッドと同軸をなすように形成され、隣接するケーシングの互いに相対する前記凹段部に、前記連結スペーサの厚さ方向の一半部及び他半部が嵌合していることを特徴とする請求項
1に記載のロッド用ロック装置。
【請求項4】
前記連結スペーサは、側面に前記中心孔を取り囲む環状の凹部を有し、該凹部に、前記ロック部材の側面に形成された突出部が嵌合していることを特徴とする請求項
1又は3に記載のロッド用ロック装置。
【請求項5】
前記解除ピストンに、被検出子が、前記蓋体の外部から検出可能
になるように取り付けられ、該蓋体に、前記被検出子を検出するセンサが取り付けられていることを特徴とする請求項1から
4の何れかに記載のロッド用ロック装置。
【請求項6】
前記被検出子は、前記解除ピストンがロック位置にあるときには前記蓋体の外部に突出し、前記解除ピストンが非ロック位置にあるときには前記蓋体の内部に没入するように構成され、
前記センサは、凹字形の平面視形状を有していて、前記被検出子を3方向から取り囲むように配設され、該センサの高さは、前記被検出子が蓋体の外部に突出している時の高さより高く、それによって該センサは、前記被検出子が誤操作されるのを防止する安全部材を兼ねている、
ことを特徴とする請求項
5に記載のロッド用ロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧シリンダのピストンロッドのように直線運動をするロッドを、停止位置にロックするためのロッド用ロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体圧シリンダのピストンロッドのように直線運動をするロッドを停止位置にロックするロック装置は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように公知である。
このロック装置は、U字形あるいはC字形をなす金属製のロック部材(ブレーキ部材)の内部にロッドを挿通させ、このロック部材でロッドを締め付けることによってロッドを停止位置にロックするように構成されている。ロックを解除するときは、シリンダ装置のロック解除ピストンでロック部材を押し開くことにより、ロッドをロック部材による締め付け状態から解放する。
【0003】
このようなロック装置において、ロック部材の締め付け力(ロック力)を高めるためには、例えば、ロック部材の材質や厚み等を変えることによって弾性力を強めるとか、ロック部材の締め付け面(ロッドに接触する面)の摩擦力を高めるとか、ロック部材を締め付け方向に付勢する機構を設けるなどの方法が考えられる。
【0004】
しかしながら、ロック部材の弾性力を強めたり、締め付け面の摩擦力を高めたりする方法は、比較的簡単にロック力を高めることができる反面、高め得るロック力の大きさに限界があり、推進力が大きいロッドに対応することができないおそれがある。
また、ロック部材を締め付け方向に付勢する機構を設ける方法は、ロック装置の構造を複雑化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-68567号公報
【文献】特開2015-110980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、構造が簡単で、ロッドをロックしたときのロック力が大きい、ロッド用ロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のロック装置は、軸線方向に直線運動をするロッドを停止位置にロックするロック装置において、前記ロック装置は、前記ロッドに沿うように配設されて相互に連結された複数のロックユニットを有し、前記ロックユニットは、前記ロッドが挿通するケーシングと、該ケーシングを覆う蓋体とを有し、前記ケーシングの内部に、前記ロッドを締め付けてロックするロック部材と、流体圧力の作用を受けて該ロック部材のロックを解除する解除ピストンとが収容され、前記ケーシングと蓋体との間に、前記解除ピストンに流体圧力を作用させるための解除圧力室が形成され、前記蓋体に、圧力流体を供給及び排出する解除ポートと、該解除ポートを前記解除圧力室に連通させる連通路とが形成され、隣接するロックユニットのケーシング間に、リング状をした連結スペーサが前記ロッドと同軸をなすように介設され、この連結スペーサを介して前記ケーシング同士が相互に連結されており、前記連結スペーサの中心孔の内部を前記ロッドが挿通することを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記ケーシングは、各ロックユニット毎に独立し、前記蓋体は、全てのロックユニットのケーシングに跨がる長さを有する1つの部材からなっていて、1つの前記解除ポートと、この1つの解除ポートを前記複数のロックユニットの解除圧力室に連通させる複数の前記連通路とを有していても良い。
【0010】
この場合、前記ケーシングの軸線方向一側の第1端及び反対側の第2端に、互いに同径をなす環状の凹段部が、前記ロッドと同軸をなすように形成され、隣接するケーシングの互いに相対する前記凹段部に、前記連結スペーサの厚さ方向の一半部及び他半部が嵌合していることが望ましい。
また、前記連結スペーサは、側面に前記中心孔を取り囲む環状の凹部を有していて、該凹部に、前記ロック部材の側面に形成された突出部が嵌合していることが望ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記解除ピストンに、被検出子が、前記蓋体の外部から検出可能になるように取り付けられ、該蓋体に、前記被検出子を検出するセンサが取り付けられていることが望ましい。
この場合、前記被検出子は、前記解除ピストンがロック位置にあるときには前記蓋体の外部に突出し、前記解除ピストンが非ロック位置にあるときには前記蓋体の内部に没入するように構成され、前記センサは、凹字形の平面視形状を有していて、前記被検出子を3方向から取り囲むように配設され、該センサの高さは、前記被検出子が蓋体の外部に突出している時の高さより高く、それによって該センサは、前記被検出子が誤操作されるのを防止する安全部材を兼ねていることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のロック装置は、ロックユニットの数に比例したロック力を得ることができるので、1つのロックユニットを有する従来のロック装置に比べてロック力が非常に大きく、しかも、ロッドの推進力に応じてロックユニットの数を決めるだけで、必要なロック力を有するロック装置を簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るロック装置の第1実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿った断面図で、ロックユニットがロッドをロックした状態にあるときの図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【
図5】
図2の左側のロックユニットが非ロック状態に切り換わったときの状態を示す断面図である。
【
図7】本発明に係るロック装置の第2実施形態を示す断面図で、ロック装置を流体圧シリンダに直接接続した図である。
【
図8】本発明に係るロック装置の第3実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1-
図6は本発明に係るロック装置の第1実施形態を示すもので、このロック装置1Aは、
図2に示すように、例えば流体圧シリンダのような軸線L方向に直線運動するロッドRを備えた機器の機体50に、ブラケット51を介して取り付けられ、ロッドRを停止位置でロックするものである。
図2及び
図3は、ロック装置1Aがロック状態にあって、ロック部材6がロッドRを締め付けてロックしているときの図であり、
図5及び
図6は、ロック装置1Aが非ロック状態にあって、ロック部材6がロッドRを解放したときの図である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、ロック装置1Aは、複数(図示の例では2つ)のロックユニット2,2を有している。複数のロックユニット2,2は、ロッドRに沿って一列に配置され、列の一端及び他端に位置するロッドガイド用のカラー7A及び7Bと共に、列の一端及び他端に配置された押さえ板8A及び8Bの間に挟持され、複数のボルト9を、一方の押さえ板8Aから、複数のロックユニット2を通して他方の押さえ板8Bにねじ込むことにより、相互に連結されている。
【0016】
図3も参照して、ロックユニット2は、上面が開放する金属製のケーシング4と、このケーシング4の上面を覆うプレート状をした金属製の蓋体5とを有し、ケーシング4の内部をロッドRが貫通している。
ケーシング4は、各ロックユニット2毎に独立しているが、蓋体5は、全てのロックユニット2のケーシング4に跨がる長さを有する1つの部材からなっていて、1つの蓋体5が、複数のケーシング4,4の上面に、複数の蓋螺子5aで取り付けられている。
なお、ケーシング4と蓋体5とは、同種の金属で形成してもよいが、異種の金属で形成することもでき、例えば、ケーシング4をアルミニウム合金で形成し、蓋体5を鋼で形成することができる。
【0017】
ロック部材6は、ケーシング4の内部に収容されている。このロック部材6は、U字形あるいはC字形をした金属製の部材であって、相対する一対のロックアーム6a,6aを有し、この一対のロックアーム6a,6aの基端部同士が連なる部分にロッド挿通孔10が形成され、このロッド挿通孔10をロッドRが挿通している。
ロック部材6には、一対のロックアーム6a,6aの間隔が狭まる方向の閉じ癖が付けられており、この閉じ癖によって一対のロックアーム6a,6aが、
図2及び
図3に示すように、ロッドRを両側から締め付けてロックする。
【0018】
図2の右側のロックユニット2について示すように、ロッド挿通孔10の内面には、螺旋溝10aが形成されている。この螺旋溝10aは、ロッド挿通孔10の内面やロッドRの外面に付着している摩耗粉やグリース等の逃げとなったり、これら摩耗粉やグリース等の排出路として機能するものである。
【0019】
また、ケーシング4の内部には、ロック解除機構13が設けられている。このロック解除機構13は、ロック部材6を、ロッドRを締め付けるロック位置(
図2、
図3参照)から、ロッドRを解放する非ロック位置(
図5、
図6参照)に変位させるもので、ケーシング4と蓋体5との間に形成されたピストン室14と、このピストン室14の内部に上下方向に変位自在なるように収容された解除ピストン15と、この解除ピストン15の一部に設けられた楔状の操作部15aと、相互間の間隔が狭まったり広がったりする方向に変位自在の一対のニードルローラ16,16とを有している。ピストン室14の内部には、解除ピストン15の上面と蓋体5の下面との間に解除圧力室17が形成され、この解除圧力室17が、蓋体5の上面中央に形成された1つの解除ポート18に、蓋体5の内部に形成された連通路19を通じて連通している。
【0020】
解除ポート18が形成されている位置は、隣り合うロックユニット2,2の解除圧力室17,17同士が最も接近した位置である。このため、解除ポート18と2つの解除圧力室17,17とを、最短の連通路19,19で連通させることができる。
また、1つの解除ポート18から複数の解除圧力室17,17に圧力流体を供給するようにしているため、1本の配管をこの解除ポート18に接続すれば良く、従って配管がシンプルになる。
【0021】
解除ピストン15の操作部15aは、
図3から分かるように、下端(先端)側に向けて厚みが次第に小さくなるように形状された部材からなっていて、解除ピストン15の下面中央部に、連結螺子15bにより連結されており、この操作部15aの下端が一対のニードルローラ16,16の間に進入することにより、操作部15aの一方の側面が一方のニードルローラ16に接触し、操作部15aの他方の側面が他方のニードルローラ16に接触している。解除ピストン15及び操作部15aは何れも金属製であり、ニードルローラ16も金属製である。
【0022】
そして、
図2及び
図3に示す状態から、解除ポート18を通じて圧縮空気等の圧力流体を解除圧力室17に供給すると、解除ピストン15が下降し、
図5及び
図6に示すように、楔状の操作部15aが一対のニードルローラ16,16を左右に押し開くため、このニードルローラ16,16によってロック部材6の一対のロックアーム6a,6aが左右に押し開かれ、ロックアーム6a,6aによるロッドRの締め付けが解除される。このためロッドRは、軸線L方向に変位可能な状態になる。従って、解除ピストン15が下降した位置が、この解除ピストン15のロック解除位置(非ロック位置)である。
【0023】
なお、符号20が付された部材は、一対のロックアーム6a,6aの上端部内側面に取り付けられた金属製のローラ受けで、ニードルローラ16,16との接触によるロックアーム6a,6aの損傷や摩耗等を防止するための部材である。
【0024】
また、解除ピストン15の下面とロック部材6の上端面との間には、解除ピストン15を上向きに付勢する復帰ばね21が介設されており、
図6のように解除圧力室17内に圧力流体が供給されて解除ピストン15がロック解除位置に下降している状態から、解除圧力室17内の圧力流体が排出されると、
図3のように解除ピストン15は、復帰ばね21により上昇してロック位置に復帰する。これに伴い、一対のニードルローラ16,16がロックアーム6a,6aを押し開いた状態が解消されるため、ロック部材6は閉じ癖によってロック位置に復帰し、ロックアーム6a,6aがロッドRをロックする。
【0025】
このような動作は、2つのロックユニット2,2において同時に行われる。このため、ロック装置1AがロッドRをロックしたときのロック力は、1つのロックユニット2のみを有するロック装置に比べて2倍の大きさである。
【0026】
一対のニードルローラ16,16は、ローラホルダ22に支持されている。このローラホルダ22は、円筒状をした胴部22aと、この胴部22aの上端部外周に形成されたフランジ部22bとを有していて、ケーシング4の内部の、解除ピストン15より下方位置に、解除ピストン15と同軸をなすように配設され、胴部22aの内部に、一対のロックアーム6a,6aの上端部6b,6bが嵌合し、これら上端部6b,6b間にニードルローラ16,16が介在している。そして、胴部22aの周壁の相対する位置に、横長の支持孔22cが形成され、相対する支持孔22cの内部に、一対のニードルローラ16,16の一端及び他端が、支持孔22cに沿って横方向に変位自在なるように嵌合している。ロックアーム6a,6aの上端部6b,6bの軸線L方向の幅は、ロックアーム6a,6aのその他の部分の幅より狭い。
【0027】
また、ローラホルダ22は、上下方向に変位可能であって、フランジ部22bと、ケーシング4に形成された段部4aとの間に、圧縮ばね23が介設されている。このようにローラホルダ22が上下動可能であることにより、
図6に示すように、解除ピストン15が下降して操作部15aで一対のニードルローラ16,16を押し開く際に、ニードルローラ16,16がローラホルダ22と共に少し下降することにより、このニードルローラ16,16が回転し易くなるため、一対のロックアーム6a,6aを容易に押し開くことができる。
なお、解除ピストン15がロック位置に上昇すると、ローラホルダ22は、圧縮ばね23で
図3に示す初期位置まで押し上げられる。
【0028】
解除ピストン15の上面中央には、ピン状をした被検出子26が取り付けられ、この被検出子26が、蓋体5に形成された検出孔27内に、シール部材28を介して摺動自在に挿入され、解除ピストン15の上下動に伴って被検出子26の先端が蓋体5の上面から出没するようになっている。この被検出子26は、円板形の取付部26aを基端に有し、この取付部26aを、解除ピストン15の上面に形成された凹部29内に嵌合させることにより、解除ピストン15に固定的に取り付けられている。
【0029】
蓋体5の上面には、被検出子26を検出するセンサ30が取り付けられている。このセンサ30は、透過型の光電センサであって、投光部31aと受光部31bとを有するセンサヘッド31と、検出信号を不図示の制御装置に送るリード線32とを有し、投光部31aから検出光を受光部31bに向けて投射し、受光部31bが受光する光量によって被検出子26の有無を検出する。即ち、解除ピストン15が上昇してロック位置にあるときは、被検出子26が蓋体5の上面に突出して検出光を遮断し、受光部31bが受光する光量が減少するため、センサ30は、ロックユニット2がロック状態にあることを検出し、これに対し、解除ピストン15が下降してロック解除位置にあるときは、被検出子26も下降して蓋体5の内部に没入し、受光部31bが受光する光量は増大するため、センサ30は、ロックユニット2が非ロック状態にあることを検出する。
【0030】
しかし、センサ30は、反射型の光電センサであっても良い。この場合、センサヘッド31の内部に投光部と受光部とを並べて配設し、投光部から検出光を被検出子26に向けて投射し、被検出子26で反射された反射光を受光部で受光し、受光した反射光を電気信号に変換してリード線に出力する。そして、解除ピストン15が上昇してロック位置にあるときは、被検出子26が蓋体5の上面に突出して検出光を反射するため、センサ30はロックユニット2がロック状態にあることを検出し、解除ピストン15が下降してロック解除位置にあるときは、被検出子26も下降して蓋体5の内部に没入し、投光部からの検出光を反射しないため、センサ30は、ロックユニット2が非ロック状態にあることを検出する。
【0031】
また、センサ30のセンサヘッド31は、平面視形状が凹字形をしていて、被検出子26を3方向から取り囲んでおり、センサヘッド31の高さは、被検出子26が蓋体5上に突出している時の高さより高い。このため、ロック時に、被検出子26を指や工具等で間違って押し下げることによって非ロック状態にすることが防止される。従って、センサ30は、ロックユニット2の誤操作を防止する安全部材を兼ねるものである。
【0032】
複数のロックユニット2は、リング状をした連結スペーサ34を介して相互に連結されている。この連結スペーサ34は、
図2及び
図4に示すように、ロッドRが挿通する中心孔35と、厚さ方向(軸線L方向)の一側面及び他側面に中心孔35と同軸をなすように形成された環状の凹部36とを有している。中心孔35の内径はロッドRの外径より僅かに大きく、また、一側面の凹部36と他側面の凹部36とは、互いに同径であると共に、互いに同じ深さを有している。
【0033】
一方、各ロックユニット2のケーシング4には、軸線L方向一側の第1端4b及び他側の第2端4cに、互いに同径及び同軸をなす環状の凹段部37が、ロッドRと同軸をなすようにそれぞれ形成されている。第1端4b側の凹段部37の深さと第2端4c側の凹段部37の深さは、互いに同等であると共に、連結スペーサ34の厚さの1/2に等しい。
そして、隣接する2つのロックユニット2,2のケーシング4,4は、一方のケーシング4の第1端4bと他方のケーシング4の第2端4cとが相対するように配設され、相対する凹段部37,37に、連結スペーサ34の厚さ方向の一半部と他半部とが嵌合している。
また、連結スペーサ34の凹部36に、ロック部材6の側面に形成された突出部6cが嵌合することにより、このロック部材6の一端が連結スペーサ34によって支持されている。
【0034】
このような連結スペーサ34の介在により、隣接するケーシング4,4同士の位置決めと、ロッドRに対するケーシング4,4の位置決めとを、正確に行うことが可能となり、その結果、複数のロックユニット2,2を簡単かつ高精度に連結することができる。
【0035】
また、カラー7A,7Bは、円筒状をした本体部7aと、この本体部7aの端部に形成されたリング状の嵌合部7bと、ロッドRが挿通するガイド孔7cと、このガイド孔7cを取り囲む凹部7dとを有している。嵌合部7bの外径は連結スペーサ34の外径と同径であり、ガイド孔7cの内部には、ロッドRの外周面に接触するブッシュ40とロッドパッキン41とが取り付けられている。そして、一方のカラー7Aの嵌合部7bが、ロック装置1Aの一端側(
図2の左側)に配置されたロックユニット2の第1端4bの凹段部37内に嵌合し、他方のカラー7Bの嵌合部7bが、ロック装置1Aの他端側(
図2の右側)に配置されたロックユニット2の第2端4cの凹段部37内に嵌合している。また、カラー7A,7Bの凹部7d内に、ロック部材6の側面に形成された突出部6dが嵌合している。
【0036】
ロック装置1Aの一端及び他端に配置された押さえ板8A,8Bは、矩形のプレート状をしていて、中心に、カラー7A,7Bの本体部7aを外部に導出させるための導出孔8aを有している。
ロック装置1Aの一端側(
図2の左側)に配設された押さえ板8Aには、ボルト9を挿通するための挿通孔と、ボルト9の六角孔付きの頭部を収容するための座刳部とが、それぞれボルト9と同数形成され、ロック装置1Aの他端側(
図2の右側)に配設された押さえ板8Bには、ボルト9の先端の雄螺子部をねじ込むための螺子孔がボルト9と同数形成されている。
【0037】
そして、ボルト9を、一方の押さえ板8A側から、各ロックユニット2のケーシング4に形成された挿通孔4dを通じて、他方の押さえ板8Bに形成された螺子孔にねじ込むことにより、複数のケーシング4が相互に連結されている。
しかし、ボルト9によるこのような連結のための構造は、一般的なものであるため、それらの詳細な図示は省略されている。
【0038】
このようにして連結されたケーシング4,4の上面に、1つの蓋体5を蓋螺子5aで固定することにより、ロック装置1Aが形成されている。
複数のケーシング4,4と蓋体5とは分離可能であるため、ロックユニット2の数は増減することができる。増減するときは、蓋体5及びボルト9を、ロックユニット2の数に応じた長さを有するものと交換する。
なお、ロック装置1Aを機体に固定するブラケット51は、押さえ板8A,8Bに取り付けられている。
【0039】
図7には、ロック装置1Aの第2実施形態として、流体圧シリンダ52に直接接続されたロック装置1Bが示されている。この第2実施形態のロック装置1Bでは、第1実施形態のロック装置1Aの右側端に取り付けられた押さえ板8Bと第2のカラー7Bとが取り外され、その代わりに、流体圧シリンダ52のロッドカバー53に形成された嵌合部53aが、右側のロックユニット2の第2端4cの凹段部37内に嵌合し、ボルト9(
図3参照)の先端の雄螺子部がロッドカバー53の螺子孔にねじ込まれることにより、ロック装置1Bがロッドカバー53に取り付けられている。この場合、第1実施形態のロック装置1Aに用いられたブラケット51は不要である。
【0040】
ロック装置1Bのその他の構成及び作用は、第1実施形態のロック装置1Aと実質的に同等であるので、ロック装置1Bの構成のうち、ロック装置1Aと同一をなす主要な構成部分にロック装置1Aと同じ符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0041】
図8及び
図9には、第3実施形態のロック装置1Cが示されている。このロック装置1Cは、3つのロックユニット2を有する点が、前記第1実施形態のロック装置1Aと相違している。しかし、各ロックユニット2の構成及び連結態様は、ロック装置1Aにおける各ロックユニット2の構成及び連結態様と同じである。そこで、このロック装置1Cの構成については、ロック装置1Aと同一をなす主要な構成部分にロック装置1Aと同じ符号を付してその説明を省略する。
この第3実施形態のロック装置1Cのロック力は、第1実施形態のロック装置1Aのロック力の1.5倍であり、1つのロックユニット2のみを有するロック装置に比べるとその3倍である。
【0042】
なお、各実施形態のロック装置1A,1B,1Cにおいては、複数のロックユニット2に1つの蓋体5が取り付けられているが、該蓋体5は、各ロックユニット2毎に独立していても良い。この場合、各蓋体5にそれぞれ解除ポート18が形成される。
【0043】
このように、本発明のロック装置は、ロックユニット2の数に比例したロック力を得ることができるので、1つのロックユニットのみを有する従来のロック装置に比べてロック力が非常に大きく、しかも、設計段階で、ロッドの推進力に応じてロックユニット2の数を決めるだけで、必要なロック力を有するロック装置を簡単に得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1A,1B,1C ロック装置
2 ロックユニット
4 ケーシング
4b 第1端
4c 第2端
5 蓋体
6 ロック部材
6c 突出部
15 解除ピストン
17 解除圧力室
18 解除ポート
19 連通路
26 被検出子
30 センサ
34 連結スペーサ
35 中心孔
36 凹部
37 凹段部