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特許7501216照明機構、硬貨鑑別装置、及び現金取扱装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】照明機構、硬貨鑑別装置、及び現金取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 5/02 20060101AFI20240611BHJP
   G07D 1/06 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G07D5/02 104
G07D1/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020136129
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032402
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三村 友則
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-242548(JP,A)
【文献】特開2020-067772(JP,A)
【文献】特開平09-319915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 5/02
G07D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を照明する照明部と、
記対象物を収容する収容部とを備え、
前記収容部は、載置部と壁部と該載置部の載置面に対向する対向面を有する板材とを備え、
前記載置部は、前記壁部の下面に当接する透光領域と非透光領域とが形成されており
前記壁部の壁面間隔は、前記載置面と前記対向面の何れか前記照明部側の面に近い近端部の方が前記照明部側の面から遠い遠端部よりも広い
ことを特徴とする照明機構。
【請求項2】
対象物を照明する照明部と、
前記対象物を収容する収容部とを備え、
前記収容部は、載置部と壁部と該載置部の載置面に対向する対向面を有する板材とを備え、
前記壁部の壁面間隔は、前記載置面と前記対向面の何れか前記照明部側の面に近い近端部の方が前記照明部側の面から遠い遠端部よりも広く
前記壁部の壁面は、前記近端部と前記遠端部との2段の階段状に形成されており、
前記近端部と前記遠端部との上下方向の長さは、前記対象物の最小厚み以下である
ことを特徴とする照明機構。
【請求項3】
対象物を斜め下方から照明する照明部と、
前記対象物を収容する収容部とを備え、
前記収容部は、載置部と壁部と該載置部の載置面に対向する対向面を有する上面ガイドが形成されており、
前記壁部の壁面間隔は、前記載置面に近い近端部の方が前記載置面から遠い遠端部よりも広い
ことを特徴とする照明機構。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載の照明機構であって、
前記壁部の壁面は、斜面を有する
ことを特徴とする照明機構。
【請求項5】
請求項に記載の照明機構であって、
前記壁面は、前記斜面に延在する鉛直面が前記近端部に形成されている
ことを特徴とする照明機構。
【請求項6】
請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の照明機構であって、
前記対象物は、搬送されるものであり、
前記壁部は、搬送方向に長く平行に並設されている
ことを特徴とする照明機構。
【請求項7】
請求項に記載の照明機構であって、
前記対象物は、複数種類の硬貨であり、
2つの前記遠端部の壁面間隔は、最大径の硬貨の径よりも僅かに広い
ことを特徴とする照明機構。
【請求項8】
請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の照明機構であって、
前記照明部側に配設され、前記対象物を撮像する撮像部をさらに備える
ことを特徴とする照明機構。
【請求項9】
硬貨を照明する照明部と、
記硬貨を収容する収容部と、
前記照明部側に配設され、前記硬貨を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された撮像画像を用いて、前記硬貨の金種を判別する制御部とを備え、
前記収容部は、載置部と壁部と該載置部の載置面に対向する対向面を有する板材とを備え、
前記載置部は、前記壁部の下面に当接する透光領域と非透光領域とが形成されており
前記壁部の壁面間隔は、前記載置面と前記対向面の何れか前記照明部側の面に近い近端部の方が前記照明部側の面から遠い遠端部よりも広い
ことを特徴とする硬貨鑑別装置。
【請求項10】
硬貨を照明する照明部と、
記硬貨を収容する収容部と、
前記照明部側に配設され、前記硬貨を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された撮像画像を用いて、前記硬貨の金種を判別する制御部とを備え、
前記収容部は、載置部と壁部と該載置部の載置面に対向する対向面を有する板材とを備え、
前記壁部の壁面間隔は、前記載置面と前記対向面の何れか前記照明部側の面に近い近端部の方が前記照明部側の面から遠い遠端部よりも広く
前記壁部の壁面は、前記近端部と前記遠端部との2段の階段状に形成されており、
前記近端部と前記遠端部との上下方向の長さは、前記硬貨の最小厚み以下である
ことを特徴とする硬貨鑑別装置。
【請求項11】
使用者による操作を受け付ける操作部と、硬貨を鑑別する硬貨鑑別装置と、該硬貨鑑別装置で鑑別された硬貨を収納する収納部とを備え、
前記硬貨鑑別装置は、
硬貨を照明する照明部と、
記硬貨を収容する収容部と、
前記照明部側に配設され、前記硬貨を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された撮像画像を用いて、前記硬貨の金種を判別する制御部とを備え、
前記収容部は、載置部と壁部と該載置部の載置面に対向する対向面を有する板材とを備え、
前記載置部は、前記壁部の下面に当接する透光領域と非透光領域とが形成されており
前記壁部の壁面間隔は、前記載置面と前記対向面の何れか前記照明部側の面に近い近端部の方が前記照明部側の面から遠い遠端部よりも広い
ことを特徴とする現金取扱装置。
【請求項12】
使用者による操作を受け付ける操作部と、硬貨を鑑別する硬貨鑑別装置と、該硬貨鑑別装置で鑑別された硬貨を収納する収納部とを備え、
前記硬貨鑑別装置は、
硬貨を照明する照明部と、
記硬貨を収容する収容部と、
前記照明部側に配設され、前記硬貨を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された撮像画像を用いて、前記硬貨の金種を判別する制御部とを備え、
前記収容部は、載置部と壁部と該載置部の載置面に対向する対向面を有する板材とを備え、
前記壁部の壁面間隔は、前記載置面と前記対向面の何れか前記照明部側の面に近い近端部の方が前記照明部側の面から遠い遠端部よりも広く
前記壁部の壁面は、前記近端部と前記遠端部との2段の階段状に形成されており、
前記近端部と前記遠端部との上下方向の長さは、前記硬貨の最小厚み以下である
ことを特徴とする現金取扱装置。
【請求項13】
硬貨を斜め下方から照明する照明部と、
前記硬貨を収容する収容部と、
前記照明部側に配設され、前記硬貨を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された撮像画像を用いて、前記硬貨の金種を判別する制御部とを備え、
前記収容部は、載置部と壁部と該載置部の載置面に対向する対向面を有する上面ガイドが形成されており、
前記壁部の壁面間隔は、前記載置面に近い近端部の方が前記載置面から遠い遠端部よりも広い
ことを特徴とする硬貨鑑別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明機構、硬貨鑑別装置、及び現金取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨鑑別装置は、硬貨を撮像して金種を判別するものであり、釣銭機等の現金取扱装置に使用される。例えば、特許文献1に記載の硬貨識別装置は、硬貨を搬送ベルトにより搬送する搬送路は、搬送範囲をX方向(左右方向)に規制するガイド部を搬送面の両側に設けている。
また、特許文献2には、撮像部が硬貨の下面を撮像する場合、照明部が透光板の下方から浅い入射角で硬貨を照明する装置が記載されている。これにより、硬貨の刻印のコントラストが強調される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-136779号公報
【文献】特開2006-164178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送路上で硬貨を高速搬送させると、硬貨が搬送面から浮遊することがある。硬貨の浮遊により、照明光がガイド部(壁部、側壁)に遮られ、撮像対象物の一部(硬貨の外縁部つまり周縁部)の照度が低下することがある。そのため、撮像部が撮像した撮像画像も撮像対象物の一部(硬貨の外縁部つまり周縁部)が暗くなる部分が生じる。そのため、釣銭機の硬貨判別装置は、金種の判別に支障が発生してしまう。
【0005】
本発明は、対象物の外縁部の照度を適切にすることができる照明機構、硬貨鑑別装置、及び現金取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、第1発明の照明機構は、対象物(硬貨6)を照明する照明部(11)と、載置部(搬送路1、下面ガイド9b)と壁部(2a,2b)とを有し、前記対象物を収容する収容部(7)とを備え、前記収容部は、載置部と壁部と該載置部の載置面(10a)に対向する対向面(14a)を有する板材とを備え、前記載置部は、前記壁部の下面に当接する透光領域と非透光領域とが形成されており、前記壁部の壁面間隔(D1,D2)は、前記載置面と前記対向面の何れか前記照明部側の面に近い近端部の方が前記照明部側の面から遠い遠端部よりも広いことを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、対象物の外縁部の照度を適切にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態である撮像装置及び硬貨鑑別装置の構成を示す平面図である。
図2】本発明の第1実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態である撮像装置の構造を示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態である硬貨鑑別装置の動作を説明するフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態である撮像装置において、硬貨が載置面から浮き上がったときの状態を示す断面図である。
図6】本発明の第1実施形態である撮像装置の壁部の構造を説明するための断面図である。
図7】本発明の比較例である撮像装置の構成を示す断面図である。
図8】本発明の第2実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
図9】本発明の第2実施形態である撮像装置において、硬貨が載置面から浮き上がったときの状態を示す断面図である。
図10】本発明の第3実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
図11】本発明の第4実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
図12】本発明の第5実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
図13】本発明の第6実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
図14】本発明の第7実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
図15】本発明の第8実施形態である釣銭機の外観図である。
図16】本発明の第8実施形態である釣銭機の内部構成図である。
図17】本発明の第9実施形態である自動取引装置の外観図である。
図18】本発明の変形例である撮像装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
(構成の説明)
図1は、本発明の第1実施形態である撮像装置及び硬貨鑑別装置の構成を示す平面図(上面ガイドを取り除いた状態)であり、図2は、本発明の第1実施形態である撮像装置の構成を示す断面図(搬送方向及び搬送面に直交する断面)であり、図3は、本発明の第1実施形態である撮像装置の構造を示す斜視図である。各図の矢印は、撮像装置150の「前後」「左右」「上下」を示す。
【0011】
図1の平面図において、硬貨検出装置200及び硬貨鑑別装置300は、撮像装置150と制御部20とから構成されている。撮像装置150は、照明機構100と撮像部12(図2図3参照)とから構成される。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)および記憶部(不図示)で構成されており、プログラムを実行することにより、硬貨を鑑別する鑑別機能を実現する。
【0012】
なお、硬貨検出装置200と硬貨鑑別装置300とは、同一構成であるが、制御部20が実現する機能が異なる。つまり、硬貨検出装置200は、撮像部12の撮像画像を用いて、搬送により硬貨6が到来したことを検出するものであり、硬貨鑑別装置300は、検出した硬貨6の種類や真贋を鑑別するものである。なお、硬貨6の到来は、不図示の発光素子及び受光素子の組み合わせでも実現することができる。
【0013】
照明機構100は、硬貨6を搬送するピンベルト3と、硬貨6を収容する収容部7(図2参照)と、照明部11とを備えて構成される。硬貨6は、矢印5で示されるように、前方から後方に搬送される。ピンベルト3は、硬貨6の側面に当接させる搬送用ピン4が取り付けられている。なお、硬貨6を搬送するためには、ピンベルト3の代わりに、押圧ベルトを設けても構わない。
【0014】
収容部7は、下部の搬送路1と、左右の壁部2a,2bと、上部の上面ガイド14とを備えて構成される。搬送路1は、透光領域として機能する透光板10と、非透光領域として機能する下面ガイド9aとを備え、硬貨6(6L(図2))を載置する載置部として機能する。ここで、硬貨6Lは、載置部(搬送路1)の載置面10aに載置された硬貨6を意味する。なお、硬貨6Lに対して、硬貨6H(図5)は、載置部から浮遊した硬貨6を意味する。
【0015】
透光板10は、円形のサファイアガラスであるが、矩形状でも構わない。なお、サファイアガラスは、汎用ガラスよりも傷が付きにくい性質を有する。下面ガイド9aは、搬送方向に長い板状部材(例えば、金属等の板材)であり、透光板10を取り付ける円形の孔9eが形成されている。
【0016】
壁部2a,2bは、前後方向に長く、硬貨6の移動範囲を左右方向で規制する。壁部2aと壁部2bとの間隔D1は、複数種類の硬貨の最大直径よりも僅かに長い程度が好ましい。図に示す硬貨6は、最大直径の硬貨(例えば、500円玉)よりも小さく軽い硬貨(例えば、1円玉)である。
【0017】
壁部2a,2bは、断面視L字状の金属部材であり、壁面が2段の階段状(略Z字状)に形成されている。壁部2a,2bは、下面ガイド9aの両側の上面に平行に並設された側壁である。上面ガイド14(図2)は、搬送中の硬貨6の浮き上がり量を規制するものである。上面ガイド14は、壁部2a,2bの上面に配設されており、搬送路1の載置面10aに対向する板材である。上面ガイド14には、搬送用ピン4が搬送方向に移動するために、左右方向中央部に隙間が設けられている。
【0018】
壁部2a,2bの左右の幅は、上面2mの方が下面2nよりも長い。これにより、壁部2a,2bの壁面間隔は、搬送路1に近い下面2nの幅D2の方が上面2mの幅D1よりも長くなっている。言い換えれば、壁部2a,2bの壁面間隔(D1,D2)は、載置部としての搬送路1の上面(載置面10a)と、上面ガイド14の下面(載置部に対向する対向面14a)の何れか照明部11側の面(搬送路1の上面)に近い近端部(下面2nの部分)の方が照明部11側の面から遠い遠端部(上面2mの部分)よりも広い。
【0019】
照明部11は、搬送路1の下方に配設されており、透光板10を介して硬貨6Lを照明するリング状の光源である。照明部11の光軸は、搬送路1の下面との角度(仰角θ)を鋭角にする。これにより、照明光A(光軸光)は、硬貨6Lの下面(例えば、下面外周)を浅い角度で照明する。また、全照明光は所定の配向特性や広がり角を有しているので、照明部11は、一点鎖線及び破線で示す照明光で照明する。つまり、照明光A(光軸光)に対し所定の配向特性や広がり角で進む光の一部である一点鎖線で示す照明光は、硬貨6Lの下面周縁部(外縁部)を照明する。また、照明光A(光軸光)に対し所定の配向特性や広がり角で進む光の一部である破線で示す照明光は、硬貨6Lの側面を照明する。つまり、照明部11は、硬貨6Lの下面外周、下面周縁部、側面などを照明可能である。なお、図2において、硬貨6Lの側面を照射する照明光(破線)は撮像部12へ入射しない。
【0020】
また、図2においては、硬貨6Lの側面から下面外周を経て下面外周部(外縁部)までを照明する照明光に着目するため一点鎖線で示す照明光と破線で示す照明光とを図示しているが、照明光A(光軸光)に対し所定の配向特性や広がり角で進む光はこの二つに限られない。つまり、一点鎖線で示す照明光と破線で示す照明光の他にも、硬貨6Lの下面周縁部(外縁部)よりも更に硬貨の中央に近い側の領域を照らす照明光(不図示)、およびその先の領域を照らす照明光(不図示)が照明部11から発せられ、硬貨下面で反射し撮像部12へ入射し得る。換言すると、図2は、照明部11が硬貨6Lの側面から下面周縁部(外縁部)にかけての領域のみを照明することを意図するものではない。これは第1の実施形態における他の図(図5図7)、および後述する第2の実施形態から第9の実施形態、変形例(図8図14図18)でも同様である
【0021】
撮像部12は、例えば、レンズ付きの撮像素子(例えば、CMOSイメージセンサ)であり、照明された硬貨6(6L(図2),6H(図5))を撮像する。照明部11の中心軸と、透光板10の中心軸とは、撮像部12の光軸O(図1)と一致する。例えば、照明光A(光軸光)が照明した下面外周で拡散反射した照明光Aが撮像部12に入射する。また、硬貨6Lの下面周縁部を照明した照明光も拡散反射し、一点鎖線で示すように、撮像部12に入射する。つまり、硬貨6(6L)の外周と硬貨6の外周よりも内側とを含む領域へ照射される光が撮像部12に入射する。しかしながら、硬貨6Lの側面を照明した照明光は、撮像部12に入射しない。遮光板13は、照明部11からの直接光が撮像部12に入射しないようにするものである。なお、遮光板13の内面は、黒色で塗装されている。遮光板13の形状は図2,3に示す形状に限定されない。遮光板13は、照明部11からの照明光が撮像部12へ直接に入射しない形状であることがより好ましく、遮光板13の形状を、例えば撮像部12の左右前後方向を覆い上下方向に高さを有する円筒状としてもよい。
【0022】
図4は、本発明の第1実施形態である硬貨鑑別装置の動作を説明するフローチャートである。この硬貨検出フロー(SP10)は、ピンベルト3(図1)を搬送方向に移動させ、硬貨6を搬送するときに起動される。なお、このフローは、適宜、繰り返される。
【0023】
制御部20は(図1)は、照明部11を点灯させる(S11)。S11の処理後、制御部20は、撮像部12に撮像させる(S12)。S12の処理後、硬貨6の撮像画像が所定範囲に納まっているか否か判定する(S13)。硬貨6の撮像画像が所定範囲に納まっていなければ(S13で所定範囲外)、制御部20は、処理をS12に戻し、撮像部12を用いた撮像を繰り返す。一方、硬貨6の撮像画像が所定範囲に納まっていれば(S13で所定範囲)、制御部20は、硬貨到来と判断し、硬貨の鑑別(S20)を行う。
【0024】
硬貨の鑑別(S20)では、制御部20(図1)は、検出された硬貨6の種類を判定する(S14)。例えば、制御部20は、予め不揮発性記憶部(不図示)に格納された複数種類の硬貨の表面辞書画像及び裏面辞書画像と、硬貨6の撮像画像とを対比して、硬貨の種類を判定する。このとき、制御部20は、撮像画像を回転させて、撮像画像を表面辞書画像や裏面辞書画像と一致させる。
【0025】
S14の処理後、制御部20は、硬貨6の真偽判定する(S15)。例えば、制御部20は、硬貨6の表面(下面)における模様や、硬貨6の側面にギザがあるか否か、このギザが所定形状であるか否か等で判定する。なお、ギザの判定は、側面用撮像部(不図示)で、硬貨6の側面画像を撮像しても構わない。
【0026】
図5は、本発明の第1実施形態である撮像装置において、硬貨が載置面から浮き上がったときの状態を示す断面図である。
硬貨6、特に小型軽量な硬貨や厚さの薄い硬貨は、高速で搬送されると、浮遊することがある。硬貨6(図1)が浮遊したときには、硬貨6Hの上面が上面ガイド14の下面に当接する。この状態でも、照明部11の照明光B(光軸光)は、硬貨6Hの下面周縁部に当たる。なお、図2で硬貨6Lの側面を照明した破線の照明光は、例えば、硬貨6Hの下面外周を照明する。また、図2で下面周縁部を照明した一点鎖線の照明光は、貨幣6Hの中心近くに寄った位置を照明する。なお図5においても図2と同様、硬貨6Hの下面外周から中心近くに寄った位置までを照明する照明光に着目するため一点鎖線で示す照明光と破線で示す照明光とを図示している。
【0027】
図6は、本発明の第1実施形態である撮像装置の壁部の機能を説明するための断面図である。
前記したように、壁部2a,2bは、断面視L字状、つまり、2段の階段状に形成されている。そのため、左右の幅は、載置部(透光板10)から遠い遠端部の方が透光板10に近い近端部よりも長い。ここで、遠端部とは、高さH1の部分であり、近端部とは、高さH2の部分である。遠端部と近端部とで幅が異なるので、遠端部と搬送路1との間に凹部15が形成される。凹部15の深さは、遠端部の幅d1と近端部の幅d2との差分d3である。差分d3は、照明部11が硬貨6Hの下面外周を照明する照明光(破線)が壁部2a,2bに遮られない程度の長さが必要である。
【0028】
凹部15は、大量の硬貨6が搬送されたときに発生する金属粉や塵埃を、搬送中に溜め込む領域としても機能する。近端部の高さH2は、複数種類の硬貨6の最小厚みよりも低くなっている。また、高さH1と高さH2との和H3は、複数種類の硬貨6の最大厚みよりも高い。これにより、硬貨6が凹部15に入り込まなくなる。また、大量の硬貨6が搬送されたときに発生する金属粉や塵埃が凹部15に入り込む。このため、壁部2a,2bの遠端部と硬貨6の側面とが当接する。また、搬送路1から遠い縁端部の高さH1は、複数種類の硬貨6の最小厚み以下である。これにより、照明光Bが硬貨6の下面周縁部を照射可能となる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の照明機構100によれば、硬貨6が搬送路1に載置された状態(図2)でも、高速搬送により、硬貨6が搬送路1から浮き上がり、上面ガイド14に当接した状態(図5)でも、照明部11は、斜め下方から透光板10を介して硬貨6(6L,6H)の下面全周縁部や下面全領域を均一に照明することができる。また、撮像部12は、照明された硬貨6の下面を撮像する。
【0030】
(比較例)
図7は、本発明の比較例である撮像装置の構成を示す断面図である。
比較例である照明機構101及び撮像装置151は、両側の壁部2c,2cを備える点で、壁部2a,2bを備える、前記第1実施形態の照明機構100及び撮像装置150(図2)と相違する。
【0031】
壁部2c,2cは、断面視矩形状の棒状体である。壁部2c,2cの高さH3は、複数種類の硬貨6(図1)の最大厚さよりも高い。また、硬貨6が浮き上がった状態(図7)では、照明部11が硬貨6Hを照明する照明光C(破線)は、壁部2cの角部に遮光されてしまう。なお、照明光Cは、図6の照明光Bと同様に硬貨6Hの周縁部を向いた光である。つまり、略光軸方向以外の照明光Dが硬貨6の下面を照明する。このため、硬貨6が浮き上がった状態では、硬貨6Hの周縁部の一部(壁部2c,2cに当接する当接近傍)の照度が低下する。周縁部の一部が暗くなると、撮像部12は、ギザやその周辺部の撮像が困難になり、制御部20(図1)で正しい鑑別ができなくなる。
【0032】
しかしながら、前記第1実施形態の照明機構100及び撮像装置150であれば、凹部15(図6)が形成されているので、硬貨6が浮き上がった状態でも、遮光されることなく、硬貨6の下面全周縁部や下面全領域を照明することができる。そのため、撮像部12は、硬貨6の下面全周縁部や下面全領域を撮像することができる。
【0033】
(第2実施形態)
前記第1実施形態の照明機構100及び撮像装置150は、搬送路1の下方に照明部11及び撮像部12を配設したが、照明部11及び撮像部12を上面ガイドの上方に配設することもできる。
【0034】
図8は、本発明の第2実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
照明機構102及び撮像装置152は、載置部としての下面ガイド9bと、壁部2d,2eと、透光板10と、照明部11と、遮光板13とを備える。つまり、照明機構102及び撮像装置152は、前記第1実施形態の照明機構100及び撮像装置150(図2)と比較して、下面ガイド9a及び透光板10からなる搬送路1(図2)の代わりに下面ガイド9bを設け、上面ガイド14(図2)の代わりに透光板10を設けている点で相違する。さらに、照明機構102及び撮像装置152は、照明部11、撮像部12及び遮光板13を透光板10の上方に配設している。なお、照明部11の光軸は、図9の照明光Fに示すように、硬貨6が浮き上がり、透光板10に当接したときの硬貨6Hの上面外周に向けている。これにより、図8では、照明部11の光軸は、硬貨6Lの上面周縁部に向けられる。
【0035】
下面ガイド9bの上面は、硬貨6Lを搬送する搬送面である。下面ガイド9bは、左右に分割された板金であり、搬送用ピン4が搬送方向(前後方向)に移動する隙間が形成されている。壁部2d,2eは、載置部としての下面ガイド9bに当接している遠端部の幅の方が、載置部の載置面に対向する対向面を有する透光板10に接する近端部の幅よりも長い。これにより、壁部2d,2bの壁面間隔は、載置部に対向する対向面を有する透光板10に接する近端部の間隔D2の方が、載置部としての下面ガイド9bに当接している遠端部の間隔D1よりも広くなっている。
【0036】
載置部(下面ガイド9b)と対向面(透光板10の下面)とで照明部11側の面(対向面)から遠い遠端部の高さH1は、硬貨6Lの厚さよりも低い。また、遠端部の高さH1と近端部の高さH2との和H3は、硬貨6Lの厚さよりも高い。
【0037】
照明部11の光軸方向の照明光Eは、硬貨6Lの上面周縁部を照明する。また、凹部15が形成されているので、照明部11が出射する破線で示す照明光は、硬貨6Lの上面外周を照明する。また、照明部11が出射する一点鎖線で示す照明光は、硬貨6Lの上面周縁部の内側を照明する。つまり、照明部11の照明光は、遮光されることなく、硬貨6の上面全域を照明することができる。撮像部12は、硬貨6Lの周縁部を含めて上面画像を撮像することができる。
【0038】
図9は、本発明の第2実施形態である撮像装置において、硬貨が載置面から浮き上がったときの状態を示す断面図である。
高速搬送により、硬貨6(図1)が下面ガイド9bから浮き上がったとき、浮き上がった硬貨6Hの上面外周は、照明部11から光軸方向の照明光Fを受ける。また、一点鎖線で示す照明光は、硬貨6Hの上面周縁部を照明する。したがって、硬貨6(6L)が載置部としての下面ガイド9bに載置された載置状態(図8)であっても、硬貨6(6H)が下面ガイド9bから浮き上がった状態(図9)であっても、照明部11は、硬貨6L,6Hの周縁部を含めて上面画像を照明することができる。なお、破線で示す照明光は、硬貨6Hの側面を照明するので、硬貨6Hの上面の照明に寄与しない。また、硬貨6Hの上面外周は、光軸方向の照明光Fを受けるので、破線の照明光を受ける硬貨6L(図8)よりも明るい。
【0039】
(第3実施形態)
前記第1,2実施形態の壁部2a,2bの壁面は、階段状に形成されていたが、傾斜面を形成しても構わない。
【0040】
図10は、本発明の第3実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
照明機構103及び撮像装置153は、階段状の壁部2a,2b(図2)の代わりに、傾斜面2jが形成された壁部2fを左右に設けている点で相違する。つまり、傾斜面2jが左右に対向している。なお、図10では、左側のみ示し、右側を省略している。壁部2fは、断面視で、略直角三角形状であるが、底角部分の一つが線状(面状)に形成されているので、正確には断面視四角形状である。壁部2f,2fは、柱状体であり、搬送方向に並設されている。壁部2fの下面(略三角形状の底角部分)が透光板10に当接し、上面が上面ガイド14に当接している。また、撮像装置153は、撮像部12(不図示)を透光板10及び下面ガイド9aの下方に備えている。
【0041】
図10においても、壁部2f,2fが載置部としての搬送路1に接する近端部の間隔の方が搬送路1から遠く、透光板10に接する遠端部の間隔よりも広い。
【0042】
実線で示す硬貨6Lは、下面ガイド9a及び透光板10から構成される搬送路1に当接し、硬貨6Lの角部が傾斜面2jに当接した状態である。この当接状態において、搬送方向に直交し、撮像部12の光軸を通る面内では、照明部11の光軸Lは、搬送方向及び搬送面に対して直交する面内において、傾斜面2jに平行であり、硬貨6Lの下面外周を交差する。なお、照明部11の光軸Lの角度は、傾斜面2jの角度よりも大きくても構わない。また、傾斜面2jと、硬貨6Lの側面と、透光板10とで隙間16が生じる。
【0043】
搬送路1に当接した硬貨6(6L)が浮き上がると、硬貨6の角部が斜面2jに当接しつつ、硬貨6が徐々に中央部に移動する。結果的に、硬貨6の上面が上面ガイド14の下面14aに当接し、二点鎖線で示す硬貨6Hの状態になる。
【0044】
ここで、搬送方向及び搬送面に対して直交する面内において、照明部11の光軸Lと斜面2jとが平行なので、硬貨6が中央部に移動しているときでも、所定の配向特性を有する照明部11は、硬貨6の下面全域を照明することができる。つまり、一点鎖線で示す照明光が硬貨6(6L,6H)の下面外縁部を照明し、破線で示す照明光が硬貨6の側面を照明する。言い換えれば、照明部11が照明する照明光は、傾斜面2jに平行な成分を含んでいる。
【0045】
(第4実施形態)
前記第3実施形態では、照明部11及び撮像部12を収容部(搬送路1)の下方に配設していたが、照明部11及び撮像部12を収容部の上方に配設することもできる。
【0046】
図11は、本発明の第4実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
照明機構104及び照明装置154は、下面ガイド9bと、壁部2f,2fと、上面ガイド9cと、透光板10と、照明部11とを備える。なお、図11では、右側のみ図示し、左側を省略している。また、撮像装置154は、撮像部12(不図示)を照明部11側に備えている。
【0047】
壁部2fの下面が下面ガイド9bに当接し、壁部2fの上面が透光板10に当接する。照明部11及び撮像部12は、透光板10及び上面ガイド9cの上方に配設される。照明部11の光軸Mは、壁部2fの傾斜面2jと平行であり、硬貨6Lの上面外周と交差している。
【0048】
下面ガイド9bに当接している硬貨6(6L)が搬送により浮き上がる。このとき、硬貨6の角部が傾斜面2jに沿って移動するか否かにかかわらず、硬貨6の上面が透光板10に当接する。例えば、硬貨6の角部が傾斜面2jに沿って移動したとき、硬貨6Hの状態になる。つまり、硬貨6Lが下面ガイド9bに当接しているときでも、硬貨6Hが下面ガイド9bから浮き上がっているときでも、所定の配向特性を有する照明部11は、破線及び一点鎖線の照明光で示すように、硬貨6の上面全面を照明することができる。
【0049】
(第5実施形態)
前記第3実施形態の壁部2fは、左右の対向面の全面を傾斜面2jにしたが、必ずしも全面を傾斜面にする必要が無い。
【0050】
図12は、本発明の第5実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
照明機構105及び撮像装置155は、下面ガイド9aと、透光板10と、壁部2h,2hと、上面ガイド14と、照明部11とを備える。つまり、照明機構105及び撮像装置155は、前記第3実施形態の照明機構103及び撮像装置153(図10)に比較して、壁部2f,2fの代わりに壁部2h,2hを有している点で相違する。なお、壁部2h,2hは、左側のみ図示している。また、撮像装置155は、撮像部12(不図示)を下面ガイド9a及び透光板10の下方に備えている。
【0051】
2つの壁部2h,2hは、断面視五角形状の柱状体であり、並設されている。2つの壁部2h,2hは、左右の対向面が傾斜面2lと、傾斜面2lに延在する鉛直面2pとで形成されている。鉛直面2pの高さは、複数種類の硬貨6の最小厚さ程度である。
【0052】
壁部2hの上面には、上面ガイド14が配設されており、壁部2hの下面には、透光板10が配設されている。照明部11の光軸Mは、傾斜面2lと平行であり、硬貨6Lの下面外周と交差している。これにより、硬貨6が高速搬送により、浮き上がったときでも、硬貨6の角部が傾斜面2lに沿って移動するので、照明部11の光軸Mは、硬貨6Hの下面外周と交差する。したがって、所定の配向特性を有する照明部11は、透光板10に当接した硬貨6Lでも、浮き上がって上面ガイド14に当接した硬貨6Hでも、下面の全域を照明することができる。
【0053】
ところで、前記第3実施形態の照明機構103及び撮像装置153では、壁部2f,2fと、硬貨6Lとの間に三角形状の隙間16(図10)が形成されている。この隙間16に、大量の硬貨6が搬送されたときに発生する金属粉や塵埃等が詰まることがある。撮像部12で硬貨6を撮像したときに、隙間16に詰まった金属粉等まで撮像してしまう。しかしながら、本実施形態の照明機構105及び撮像装置155によれば、鉛直面2pと硬貨6Lの側面との間で発生した金属粉等が硬貨6Lの搬送により除去される。そのため、撮像部12は、金属粉等まで撮像することなく、硬貨6Lのみ撮像することができる。
【0054】
(第6実施形態)
前記第5実施形態では、照明部11を搬送路1の下方に配設していたが、照明部11を上面ガイドの上方に配設することができる。
【0055】
図13は、本発明の第6実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
照明機構106及び撮像装置156は、下面ガイド9bと、透光板10と、壁部2g,2gと、上面ガイド9cと、照明部11とを備える。つまり、照明機構105及び撮像装置155は、前記第4実施形態の照明機構104及び撮像装置154(図11)に比較して、壁部2f,2fの代わりに壁部2g,2gを有している点で相違する。なお、壁部2g,2gは、右側のみ図示しており、左側を省略している。また、照明装置156は、撮像部12(不図示)を上面ガイド9cの上方に備えている。
【0056】
壁部2gは、断面視五角形状の柱状体である。2つの壁部2g,2gは、左右の対向面が傾斜面2lと、傾斜面2lに延在する鉛直面2pとで形成されている。照明部11の光軸Mは、壁部2fの傾斜面2lと平行であり、硬貨6Lの上面外周と交差している。下面ガイド9bに当接している硬貨6(6L)が搬送により浮き上がる。このとき、硬貨6の角部が傾斜面2lに沿って移動するか否かにかかわらず、硬貨6の上面が透光板10に当接し、硬貨6Hの状態になる。つまり、硬貨6Lが下面ガイド9bに当接しているときでも、硬貨6Hが下面ガイド9bから浮き上がっているときでも、所定の配向特性を有する照明部11は、破線及び一点鎖線で示す照明光のように、硬貨6の上面全面を照明することができる。
【0057】
(第7実施形態)
前記第1~第6実施形態の照明装置100~106及び撮像装置150~106では、搬送中の硬貨6を照明し、撮像部12が硬貨6を撮像していたが、照明部11が搬送されない硬貨6を照明し、撮像部12が硬貨6を撮像することもできる。
【0058】
図14は、本発明の第7実施形態である撮像装置の構成を示す断面図である。
照明機構107及び撮像装置157は、載置部としての下面ガイド9bと、壁部2d,2eと、照明部11と、遮光板13とを備え、撮像装置157は、さらに撮像部12を備える。つまり、照明機構107及び撮像装置157は、前記第2実施形態の照明機構102及び撮像装置152と比較して、透光板10及び硬貨6を搬送するための搬送用ピン4等を設けていない点で相違する。また、照明機構107及び撮像装置157は、硬貨6の浮き上がり量を規制する上面ガイド14(図2)や透光板10(図8)を有していない。つまり、載置部としての下面ガイド9bの対向面は、壁部2d,2eの上面を含む仮想面19である。
【0059】
照明部11は、下面ガイド9bに載置された硬貨6Lを照明する。このとき、壁部2d,2eには、凹部15が形成されているので、照明光Eが壁部2d,2eで遮光されない。したがって、硬貨6(6L)が搬送されることなく、下面ガイド9bに載置された状態でも、撮像部12は、硬貨6Lの上面を撮像することができる。
【0060】
(第8実施形態)
前記第1~第6実施形態では、搬送中の硬貨6を照明し、照明された硬貨6を撮像する撮像装置150~157と、撮像画像を用いて硬貨6の種別と真偽を判定する硬貨鑑別装置300について説明した。本実施形態では、これらの撮像装置150~157と硬貨鑑別装置300とを使用した釣銭機について説明する。
【0061】
図15は、本発明の第8実施形態である釣銭機の外観図であり、図16は、その内部構成図である。
釣銭機400は、硬貨入出金部410と操作部406とを備える現金取扱装置である。硬貨入出金部410は、現金(硬貨6)を取り扱う機構として、入金口407、出金口402及びリジェクト口403を有している。
【0062】
操作部406は、入力部405及び表示部404を備える。入力部405は、テンキーや十字キー等によって構成されており、各種の指示や情報が入力される。表示部404は、LCD等によって構成されており、各種の情報を表示する。
【0063】
入金口407は、レジ係員によって入金用の硬貨6が投入される部位である。出金口402は、釣銭用の硬貨6が排出される部位である。リジェクト口403は、金種が鑑別不能なリジェクト硬貨や異物等が排出される部位である。
【0064】
硬貨入出金部410では、入金口407に投入された硬貨は、1枚ずつに分離されて、搬送路1に沿って搬送される。搬送された硬貨6は、硬貨鑑別装置300を介して、金種毎に鑑別されて、選別収納ゲート413を介して、複数の硬貨収納部414の何れかに収納される。金種毎に収納される硬貨収納部414は、仕切り板412によって区分けされている。
【0065】
(第9実施形態)
前記第8実施形態では、現金取扱装置としての釣銭機400について説明したが、ATM(Automated Teller Machine)等の自動取引装置も現金(硬貨6)を取り扱う現金取扱装置である。
【0066】
図17は、本発明の第9実施形態である自動取引装置の外観図である。
自動取引装置450は、取引票口452と、カード入出口453と、紙幣入出金口454と、硬貨入出金口455と、操作表示部456とが、本体筐体451に取り付けられたものである。また、硬貨入出金口455には、前記した硬貨鑑別装置300(図1)及び収納部が設けられている。なお、硬貨鑑別装置300を設けた自動取引装置は、ATMに限らず、例えば、券売機であっても構わない。
【0067】
取引票口452には、取引票を印字する印字装置が配設されている。カード入出口453は、磁気カードやICカード等の金融カードを挿入する挿入口である。紙幣入出金口454は、紙幣を投入したり、払い出したりする機構部である。硬貨入出金口455は、硬貨6を投入したり、払い出したりする機構部である。操作表示部456は、タッチパネル式のLCD(Liquid Crystal Display)であり、取引に必要な取引画面を表示する。
【0068】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形が可能である。
(1)前記第1実施形態の側壁部2a,2b(図6)は、遠端部の高さH1を複数種類の硬貨の最小厚さよりも薄くしていたが、図18に示す変形例では、遠端部の高さH1を複数種類の硬貨の最小厚さと同一にしている。この場合でも、遠端部の高さH1と近端部の高さH2との和H3は、複数種類の硬貨の最大厚さよりも高くする必要がある。
【符号の説明】
【0069】
1 搬送路(載置部)
2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h 壁部
2j,2l 傾斜面
6,6L,6H 硬貨(対象物)
7 収容部
8 載置部
9a,9b 下面ガイド(載置部、板材)
9c 上面ガイド
10 透光板
10a 載置面
14 上面ガイド
14a 下面(対向面)
19 仮想面
20 制御部
100,101,102,103,104,105,106,107 照明機構
150,151,152,153,154,155,156,157 撮像装置
200 硬貨検出装置
300 硬貨鑑別装置
400 釣銭機(現金取扱装置)
450 自動取引装置(現金取扱装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18