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特許7501217光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法
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  • 特許-光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/68 20060101AFI20240611BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240611BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240611BHJP
   C03B 37/018 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B01D53/68 120
B01D53/78 ZAB
B01D53/14 210
C03B37/018 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020136384
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032524
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】幅崎 利已
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智哉
(72)【発明者】
【氏名】志村 昌則
(72)【発明者】
【氏名】木村 喜一
(72)【発明者】
【氏名】小貫 雅人
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-84095(JP,A)
【文献】特開2011-36832(JP,A)
【文献】特開2018-193264(JP,A)
【文献】特開2004-305799(JP,A)
【文献】特開2003-146910(JP,A)
【文献】特開昭59-78942(JP,A)
【文献】特開平2-211217(JP,A)
【文献】特開昭60-150817(JP,A)
【文献】特開昭59-145019(JP,A)
【文献】特表2002-512560(JP,A)
【文献】特開昭50-43098(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107243237(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/170168(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/68
B01D 53/78
B01D 53/14
C03B 37/018
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ用母材の製造時に排出される、塩素ガスを含有する排ガスと、アルカリ性水溶液と、を反応させて塩素ガス吸収アルカリ性水溶液を得る第一工程と、
前記第一工程で得られた前記塩素ガス吸収アルカリ性水溶液を酸性水溶液と混合して、酸性混合水溶液を得る第二工程と、を含み、
前記第二工程において発生した塩素ガスを回収して前記第一工程における排ガスに合流させて、前記第二工程において発生した塩素ガスを前記第一工程におけるアルカリ性水溶液と反応させる塩素ガス処理を含む、
光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法。
【請求項2】
前記第二工程で得られた前記酸性混合水溶液に水酸化カルシウムを加える第三工程をさらに含み、
前記排ガスと前記アルカリ性水溶液との反応により生じた次亜塩素酸塩を還元する還元剤を投入しない、
請求項1に記載の排ガスの処理方法。
【請求項3】
前記第一工程において前記塩素ガス吸収アルカリ性水溶液のpHが10以上となるように前記アルカリ性水溶液が導入される、請求項1又は請求項2に記載の排ガスの処理方法。
【請求項4】
前記第二工程において前記酸性混合水溶液のpHが3以下となるように前記酸性水溶液が導入される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の排ガスの処理方法。
【請求項5】
前記第二工程で得られた前記酸性混合水溶液に水酸化カルシウムを加える第三工程をさらに含み、
前記第三工程において発生したガスを回収して前記第一工程における排ガスに合流させて、前記第三工程において発生したガスを前記第一工程におけるアルカリ性水溶液と接触させるガス処理を含む、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の排ガスの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光ファイバ母材を製造する際に発生する排ガスをアルカリ性水溶液で洗浄し、それにより得られるアルカリ洗浄廃液にチオ硫酸ソーダ(チオ硫酸ナトリウム)を導入する方法を開示している。特許文献2は、塩素ガスを含有する排ガスをアルカリ水溶液と反応させて得られた液にチオ硫酸ナトリウムを添加する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭59-078942号公報
【文献】特開平07-096133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバ母材を製造する際に排出される排ガスに含まれる塩素ガスは、アルカリ性水溶液と反応することで、水溶液中に吸収される。この際に発生する次亜塩素酸塩はpHが低下すると再び塩素ガスとなる。従来の方法では塩素ガスが溶解した水溶液のpHを低下させる前にチオ硫酸ナトリウム等の還元剤を添加することで、次亜塩素酸塩を還元して塩素ガスの発生を防いでいた。一方でこの方法では還元剤を添加する必要があり、また還元剤に由来する汚泥が生成する場合があった。
【0005】
本開示は、光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスから塩素ガスを効率良く除害できる、当該排ガスの処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法は、
光ファイバ用母材の製造時に排出される、塩素ガスを含有する排ガスと、アルカリ性水溶液と、を反応させて塩素ガス吸収アルカリ性水溶液を得る第一工程と、
前記第一工程で得られた前記塩素ガス吸収アルカリ性水溶液を酸性水溶液と混合して、酸性混合水溶液を得る第二工程と、を含み、
前記第二工程において発生した塩素ガスを回収して前記第一工程における排ガスに合流させて、前記第二工程において発生した塩素ガスを前記第一工程におけるアルカリ性水溶液と反応させる塩素ガス処理を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスから塩素ガスを効率良く除害できる、当該排ガスの処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係る光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
実施形態に係る光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法は、
(1) 光ファイバ用母材の製造時に排出される、塩素ガスを含有する排ガスと、アルカリ性水溶液と、を反応させて塩素ガス吸収アルカリ性水溶液を得る第一工程と、
前記第一工程で得られた前記塩素ガス吸収アルカリ性水溶液を酸性水溶液と混合して、酸性混合水溶液を得る第二工程と、を含み、
前記第二工程において発生した塩素ガスを回収して前記第一工程における排ガスに合流させて、前記第二工程において発生した塩素ガスを前記第一工程におけるアルカリ性水溶液と反応させる塩素ガス処理を含む。
【0010】
当該処理方法によれば、光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスから塩素ガスを効率良く除害できる。
【0011】
(2)上記(1)の排ガスの処理方法は、
前記第二工程で得られた前記酸性混合水溶液に水酸化カルシウムを加える第三工程をさらに含み、
前記排ガスと前記アルカリ性水溶液との反応により生じた次亜塩素酸塩を還元する還元剤を投入しなくてもよい。
【0012】
還元剤を投入しないことで、後段で水酸化カルシウムを添加する処理において当該還元剤に由来する汚泥の生成を防ぐことができる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)の排ガスの処理方法は、
前記第一工程において前記塩素ガス吸収アルカリ性水溶液のpHが10以上となるように前記アルカリ性水溶液が導入されてもよい。
【0014】
塩素ガス吸収アルカリ性水溶液のpHが10以上となるようにアルカリ性水溶液を導入することで、第一工程において塩素ガスの吸収を好適に達成できる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの排ガスの処理方法は、
前記第二工程において前記酸性混合水溶液のpHが3以下となるように前記酸性水溶液が導入されてもよい。
【0016】
酸性混合水溶液のpHが3以下となるように酸性水溶液を導入することで、第二工程において塩素ガスの再発生を好適に達成できる。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれかの排ガスの処理方法は、
前記第二工程で得られた前記酸性混合水溶液に水酸化カルシウムを加える第三工程をさらに含み、
前記第三工程において発生したガスを回収して前記第一工程における排ガスに合流させて、前記第三工程において発生したガスを前記第一工程におけるアルカリ性水溶液と接触させるガス処理を含んでもよい。
【0018】
第二工程より後段の第三工程においてもガスを回収して第一工程に戻すガス処理を採用することで、第二工程で回収しきれなかった塩素ガスが存在していても第三工程で回収することができ、好適に塩素ガスを除害できる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法の実施形態の詳細を、図面を参照しつつ説明する。図1は、実施形態に係る光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法を説明する図である。図1において、複数のガラス母材製造部10、集塵機20、塩素ガス処理機30、酸性水溶液槽24、アルカリ性水溶液槽34、混合槽40、及び水酸化カルシウム導入槽50が示されている。
【0020】
ガラス母材製造部10は、気相軸付け法(VAD法)に従って、その内部で回転するターゲットにガラス微粒子を吹き付けて堆積させて光ファイバ用のガラス母材を製造する。ガラス微粒子は四塩化ケイ素(SiCl)等の塩化物原料を加水分解することで形成されるため、塩酸ガスおよび塩素ガスが発生する。発生した塩酸ガスおよび塩素ガスは、未堆積のガラス微粒子と共に排ガスとしてガラス母材製造部10から排気されて、ガラス母材の製造中、連続して後段の集塵機20へ運ばれる。なお、ガラス母材製造部10と集塵機20との間には、排ガスの温度を下げるために排ガスに水シャワーをかけるための冷却塔が設けられていてもよい。冷却塔を設ける場合には塩酸ガスの大半が水に吸収される。冷却塔からの廃液は酸性であり、酸性水溶液槽24に送られてもよい。
【0021】
集塵機20は、湿式電気集塵機である。集塵機20において、SiOなどのガラス微粒子を含むダストが排ガスから分離される。集塵機20において生じる酸性水溶液22は塩酸ガスが溶け込んだものであり、酸性水溶液槽24に送られる。なお、ガラス母材製造部10と集塵機20との間に冷却塔を設ける場合には冷却塔にて約90%の塩酸ガスが除去されるが、冷却塔がない場合には集塵機20において塩酸ガスが排ガスから除去される。集塵機20から排気される排ガスは塩素ガス処理機30に送られる。
【0022】
塩素ガス処理機30は、集塵機20から排気された塩素ガスを含む排ガスにアルカリ性水溶液シャワーをかけて、塩素ガスをアルカリ性水溶液に吸収させるように構成されている。塩素ガスが分離されたガスは塩素ガス処理機30から排気して、更なる排ガス処理にかけてもよく、無毒化されている場合には大気中へ放出してもよい。アルカリ性水溶液は、例えば苛性ソーダを溶解させた水溶液である。塩素ガス処理機30においては排ガスとアルカリ性水溶液との反応により生じた次亜塩素酸塩を還元する還元剤を投入しなくてもよい。塩素ガス処理機30において生じる塩素ガス吸収アルカリ性水溶液32は、アルカリ性水溶液槽34に送られる。塩素ガス吸収アルカリ性水溶液32のpHは10以上としてもよい。当該pHが10以上となるようにアルカリ性水溶液を導入することで、塩素ガスの吸収を好適に達成できる。
【0023】
酸性水溶液槽24にストックされた酸性水溶液22およびアルカリ性水溶液槽34にストックされた塩素ガス吸収アルカリ性水溶液32は、混合槽40に送られて混合される。混合槽40では必要に応じて塩酸などの酸性剤を添加する。混合槽40で調製された酸性混合水溶液42のpHは3以下としてもよい。当該pHが3以下となるように酸性水溶液を導入することで、塩素ガスの再発生を好適に達成できる。混合槽40は局所排気部を有しており、酸性混合水溶液42が調製されることで発生する塩素ガスを吸引回収して、塩素ガス処理機30へ当該ガスを送るように構成されている。混合槽40から排出されて塩素ガス処理機30へ送られた塩素ガスは、集塵機20から排出された排ガスと合流して、アルカリ性水溶液に接触させられる。なお、この時の排ガスは、合流する塩素ガスがもともと塩素ガス処理機30でアルカリ水溶液に吸収された時の排ガスより後に集塵機20から排出された排ガスである。塩素ガスと排ガスとの合流は、塩素ガスが流れる配管と排ガスが流れる配管を接続して合流させてもよく、塩素ガスが流れる配管と排ガスが流れる配管を別々に塩素ガス処理機30に接続して塩素ガス処理機30の内部で合流させてもよい。
【0024】
酸性混合水溶液42は、混合槽40から水酸化カルシウム導入槽50に送られる。水酸化カルシウムは、ガラス母材製造部10でフッ素ガスを導入した場合に排ガスに含まれるフッ酸(HF)を無毒化処理するために導入される。水酸化カルシウムを導入することで混合液のpHは若干上昇するが、水酸化カルシウム導入槽50にも局所排気部を設け、水酸化カルシウム導入槽50で発生するガスを吸引回収して、塩素ガス処理機30へ当該ガスを送るようにしてもよい。水酸化カルシウムが導入された混合液は、更なる廃液処理にかけられる。
【0025】
本実施形態の光ファイバ用母材の製造時に排出される排ガスの処理方法は、塩素ガス処理機30において、塩素ガスを含有する排ガスと、アルカリ性水溶液と、を反応させて塩素ガス吸収アルカリ性水溶液32を得る第一工程と、混合槽40において、塩素ガス吸収アルカリ性水溶液32を酸性水溶液22および/または塩酸などの酸性剤(酸性水溶液の一例)と混合して、酸性混合水溶液42を得る第二工程と、を含む。そして、混合槽40において発生した塩素ガスを回収して塩素ガス処理機30内の排ガスに合流させて、第二工程において発生した塩素ガスを第一工程におけるアルカリ性水溶液と反応させる塩素ガス処理を含む。図1に示す系では、第一の工程で使用した塩素ガス処理機30に、混合槽40において発生した塩素ガスを合流させて、同一の塩素ガス処理機30を用いて繰り返し処理する循環処理がなされる。
【0026】
ところで、塩素ガスとアルカリ性水溶液とが反応すると、塩化物と次亜塩素酸塩と水が生成する。例えば、塩素ガスと水酸化ナトリウム水溶液とを混合すると以下の式(1)に示す反応が起こり、塩化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムおよび水が生成する。
Cl + 2NaOH → NaCl + NaClO + HO ・・・ (1)
【0027】
従来の方法では、次亜塩素酸ナトリウムを還元するためにチオ硫酸ナトリウムや亜硫酸水素ナトリウムを添加していた。次亜塩素酸ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムとを水酸化ナトリウム水溶液内で混合すると以下の式(2)に示す反応が起こり、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムおよび水が生成する。
NaClO + NaHSO + NaOH → NaCl + NaSO + HO ・・・ (2)
【0028】
この方法では、塩素を還元できる一方で還元剤の添加が必要となる。また次亜塩素酸塩と還元剤との反応により生成する塩が、廃液処理の工程において汚泥を生成する原因となる場合があった。
【0029】
それに対し、本実施形態の排ガスの処理方法では、第一工程において塩素ガス吸収アルカリ性水溶液32を得た後に、第二工程において当該水溶液を酸性にして再び塩素ガスを発生させて、発生した塩素ガスを第一工程に戻すことで、塩素ガスが処理される。ここで、次亜塩素酸イオンは以下の式(3)に示す可逆反応によりpHによって液中での存在割合が変化する。
Cl + HO ⇔ HClO + H + Cl
HClO ⇔ H + ClO
・・・ (3)
【0030】
次亜塩素酸イオンを含む水溶液のpHを酸性とすると反応は上記式の左側へ進行するため、塩素ガスが再発生する。また、第一工程では塩素原子1当量に対して、1/2当量の次亜塩素酸塩が生成し、1/2当量が塩化物となる。よって、第一工程で得られた塩素ガス吸収アルカリ性水溶液32からは、排ガスに含まれる塩素ガスの1/2当量の塩素ガスが次亜塩素酸塩から再発生し得る。この1/2当量の塩素ガスを第二工程で再発生させて第一工程に戻して処理をすることで、さらに1/4当量は塩化物となり、残りの1/4当量の次亜塩素酸塩となる。この塩素ガスの処理を繰り返すことで、還元剤を添加せずに塩素ガスを除害することができる。また、次亜塩素酸塩に由来する汚泥の生成も防ぐことができる。
【0031】
また、次亜塩素酸塩を還元する還元剤を添加することで生成する塩は、後段の廃液処理において添加される水酸化カルシウム(消石灰)と反応して汚泥を生成し得る。例えば、次亜塩素酸ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムとを水酸化ナトリウム水溶液内で混合することで生じる硫酸ナトリウムは、以下の式(4)に示す反応により、水酸化カルシウムと反応して石膏(CaSO)を生成する。
Ca(OH) + NaSO → CaSO + 2NaOH ・・・ (4)
【0032】
本実施形態の排ガスの処理方法では、次亜塩素酸塩を還元する還元剤を投入しないことで、後段で水酸化カルシウムを添加する処理において当該還元剤に由来する汚泥の生成を防ぐことができる。
【0033】
また、本実施形態の排ガスの処理方法は、水酸化カルシウム導入槽50において、酸性混合水溶液42に水酸化カルシウムを導入する第三工程をさらに含んでもよい。そして、水酸化カルシウム導入槽50において発生したガスを回収して塩素ガス処理機30内の排ガスに合流させて、第三工程において発生したガスを第一工程におけるアルカリ性水溶液と接触させるガス処理を含んでもよい。第二工程より後段の第三工程においてもガスを回収して第一工程に戻すガス処理を採用することで、第二工程で回収しきれなかった塩素ガスが存在していても第三工程で回収することができ、好適に塩素ガスを除害できる。
【0034】
また、集塵機20、酸性水溶液槽24、塩素ガス処理機30、アルカリ性水溶液槽34、混合槽40を備える排ガス処理装置を複数用いて排ガスの処理を行う場合において、第二工程において発生した塩素ガスを他の排ガス処理装置の第一工程における排ガスに合流させてもよい。すなわち、第一の排ガス処理装置の第二工程において発生した塩素ガスを回収して第二の排ガス処理装置の第一工程における排ガスに合流させて、第一の排ガス処理装置の第二工程において発生した塩素ガスを第二の排ガス処理装置の第一工程におけるアルカリ性水溶液と反応させる塩素ガス処理を含んでもよい。別の言い方では、第一の排ガス処理装置の混合槽40において発生した塩素ガスを第二の排ガス処理装置の塩素ガス処理機30における排ガスに合流させてもよい。第二工程において発生した塩素ガスを他の排ガス処理装置の第一工程における排ガスに合流させることで、第二工程において発生した塩素ガスの処理を特定の排ガス処理装置に集中することができるため、効率的な塩素ガス処理が可能となる。
【0035】
以上、特定の実施形態に基づいて本開示を説明したが、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0036】
10:ガラス母材製造部、20:集塵機、22:酸性水溶液、24:酸性水溶液槽、30:塩素ガス処理機、32:塩素ガス吸収アルカリ性水溶液、34:アルカリ性水溶液槽、40:混合槽、42:酸性混合水溶液、50:水酸化カルシウム導入槽
図1