(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置およびトイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 11/14 20060101AFI20240611BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
E03D11/14
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2020146241
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神渡 幹也
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 知祥
(72)【発明者】
【氏名】松崎 貴
(72)【発明者】
【氏名】谷本 秀樹
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123667(JP,A)
【文献】特開2019-011598(JP,A)
【文献】実開昭62-143776(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-13/00
A47K 17/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室の壁裏空間に配置されたフレームに固定された便器に設置される衛生洗浄装置であって、
前記便器の上面に設置されるケーシングを含む第1ユニットと、
前記壁裏空間に配置され、給電ケーブルおよび給水チューブを介して前記第1ユニットと接続される第2ユニットと
を備え、
前記第2ユニットは、前記トイレ室の室内からアクセス可能な整備口を備え
、
前記ケーシングを正面から見た場合に、前記整備口は、前記ケーシングによって隠れる位置に設けられ、かつ、前記ケーシングを前記トイレ室の壁に投影した投影領域よりも小さい、衛生洗浄装置。
【請求項2】
トイレ室の壁裏空間に配置されたフレームに固定された便器に設置される衛生洗浄装置であって、
前記便器の上面に設置されるケーシングを含む第1ユニットと、
前記壁裏空間に配置され、給電ケーブルおよび給水チューブを介して前記第1ユニットと接続される第2ユニットと
を備え、
前記第2ユニットは、
前記トイレ室の室内からアクセス可能な整備口
と、
機能部が設けられる本体と、
前記トイレ室の壁に設けられ、前記本体を収納する収納ケースと
を備え、
前記整備口は、前記収納ケースに設けられ、
前記本体は、前記整備口を介して前記収納ケースに挿入される、衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記収納ケースは、前記整備口とは反対側の面に、前記整備口に向かって窪んだ凹部を有しており、前記フレームの上部に設けられたタンクから下方に延びて前記便器に接続される給水管の一部が前記凹部に入り込んだ状態で前記壁裏空間に配置される、請求項
2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記第2ユニットは、タンクユニット、ストレーナおよびポンプユニットの少なくとも1つの機能部を有する、請求項1~
3のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一つに記載の衛生洗浄装置を備えるトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、衛生洗浄装置およびトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ室の壁裏空間にタンクを備えたトイレ装置が知られている。タンクに貯留された水は、水洗大便器に供給される。また、タンクに貯留された水は、水洗大便器の上面に設置された衛生洗浄装置にも供給される。
【0003】
一方、近年、デザイン性向上等の観点から、衛生洗浄装置の小型化が検討されている。特許文献1には、衛生洗浄装置の一部を水洗大便器に沈胴させる(高さ方向にオーバーラップさせる)ことで、衛生洗浄装置を外見上ローシルエット化させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、衛生洗浄装置の一部がボウル部内に位置することになるため、尿等の汚物が衛生洗浄装置に付着しやすく不衛生である。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、衛生洗浄装置を外見上小型化させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る衛生洗浄装置は、トイレ室の壁裏空間に配置されたフレームに固定された便器に設置される衛生洗浄装置であって、前記便器の上面に設置されるケーシングを含む第1ユニットと、前記壁裏空間に配置され、給電ケーブルおよび給水チューブを介して前記第1ユニットと接続される第2ユニットとを備え、前記第2ユニットは、前記トイレ室の室内からアクセス可能な整備口を備える。
【0008】
かかる構成によれば、機能部の一部を第2ユニットに分けて壁裏空間に隠蔽することで、使用者から見える部分(第1ユニット)の外観を小さくすることができる。したがって、特許文献1に記載の技術のように、衛生面を損なうことなく、衛生洗浄装置の外見を小型化させることができる。さらに、トイレ室の室内からアクセス可能な整備口を第2ユニットに設けることで、壁裏空間に配置される第2ユニットのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0009】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記ケーシングを正面から見た場合に、前記整備口は、前記ケーシングによって隠れる位置に設けられ、かつ、前記ケーシングを前記トイレ室の壁に投影した投影領域よりも小さい。
【0010】
整備口の位置および大きさをケーシングによって隠れる位置および大きさとすることで、使用者から整備口が視認されにくくなる。これにより、デザイン性の低下を抑制しつつ、メンテナンス性を向上させることができる。また、給電ケーブルおよび給水チューブも視認されにくくすることができる。
【0011】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記第2ユニットは、機能部が設けられる本体と、前記トイレ室の壁に設けられ、前記本体を収納する収納ケースとを備え、前記整備口は、前記収納ケースに設けられ、前記本体は、前記整備口を介して前記収納ケースに挿入される。
【0012】
機能部を有する本体を収納ケースに収納することで、たとえば漏水や害虫、害獣等から機能部を保護することができる。また、機能部を有する本体を壁裏空間から取り出してメンテナンスを行うことができるため、メンテナンス性が高い。
【0013】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記収納ケースは、前記整備口とは反対側の面に、前記整備口に向かって窪んだ凹部を有しており、前記フレームの上部に設けられたタンクから下方に延びて前記便器に接続される給水管の一部が前記凹部に入り込んだ状態で前記壁裏空間に配置される。
【0014】
収納ケースに凹部を設けることで、給水管を跨ぐように収納ケースを配置させることができる。これにより、たとえばフレームを正面から見た場合における給水管の左側の空きスペースおよび右側の空きスペースの両方を第2ユニットの収納空間として有効利用することができる。
【0015】
また、上記した衛生洗浄装置では、前記第2ユニットは、タンクユニット、ストレーナおよびポンプユニットの少なくとも1つの機能部を有する。
【0016】
衛生洗浄装置に必要とされる機能部は、国によって異なる場合がある。たとえば欧州では、水質の問題を解決するため、また、水に関する各種法令を遵守するために、ストレーナ、縁切りのためのタンクユニット、タンクユニットから水を送り出すためのポンプユニットを追加で設ける必要がある。これらの機能部を第2ユニットに設けることで、衛生洗浄装置の設計の自由度を高めることができる。また、部品の共通化によるコスト低下を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
実施形態の一態様によれば、衛生洗浄装置を外見上小型化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態に係るトイレ装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る第1ユニットの斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る第1ユニットが備える機能部の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る第2ユニットの斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る第2ユニットが備える機能部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るトイレ装置の正面図である。
【
図7】
図7は、第1変形例に係る第2ユニットにおける機能部の配置を示す図である。
【
図8】
図8は、第2変形例に係る第2ユニットにおける機能部の配置を示す図である。
【
図9】
図9は、第3変形例に係る第2ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第3変形例に係るトイレ装置を側方から見た模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する衛生洗浄装置およびトイレ装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
<トイレ装置の全体構成>
まず、
図1を参照して実施形態に係るトイレ装置の全体構成について説明する。
図1は、実施形態に係るトイレ装置の斜視図である。
【0021】
なお、
図1には、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系が図示されている。かかる直交座標系は、他の図においても図示される場合がある。また、かかる直交座標系は、Y軸の正方向視を正面と規定し、X軸の正方向視を左側面、Xの負方向視を右側面、Z軸の負方向視を平面(「上面」ともいう)と規定している。このため、以下の説明では、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向(あるいは高さ方向)という場合がある。
【0022】
図1に示すように、実施形態に係るトイレ装置Tは、タンクフレーム装置1と、水洗大便器2と、衛生洗浄装置3とを備える。
【0023】
(タンクフレーム装置について)
タンクフレーム装置1は、トイレ室の壁裏空間に配置される。壁裏空間とは、水洗大便器2が配置されるトイレ室の室内に対してトイレ室の壁Wを挟んで反対側に位置する空間である。壁裏空間は、壁Wによって隠蔽される。
【0024】
タンクフレーム装置1は、フレーム11と、タンク12と、給水管14とを備える。フレーム11、タンク12および給水管14は、壁裏空間に配置される。
【0025】
フレーム11は、壁裏空間において壁Wと接するように立設され、上部においてタンク12を支持する。具体的には、フレーム11は、壁裏空間の床面から垂直上向きに延在する複数(ここでは2本)の支柱部111と、壁裏空間の床面に対して平行に延在し、支柱部111同士を接続する複数(ここでは3本)の梁部112とを備える。フレーム11が備える支柱部111および梁部112の数は、上記の例に限定されない。
【0026】
タンク12は、外部の給水源(図示せず)に接続され、給水源から供給される水を貯留する。タンク12の下部には、後述する給水管14が接続されており、タンク12に貯留された水は、給水管14を介して水洗大便器2に供給される。タンク12の内部には、給水源からの水をタンク12に供給する給水装置、および、給水管14に連通するタンク12の排水口を開閉する排水弁装置などが設けられている。これら給水装置および排水弁装置による洗浄動作(給排水動作)は、後述する操作パネル122に対するボタン操作によって開始される。なお、タンク12は、たとえば、重力を利用して水洗大便器2に水を供給する重力給水式である。
【0027】
タンク12の上部前面には、取付後のメンテナンス等を行うことができる開口部121が形成されている。通常使用時において、開口部121は操作パネル122によって塞がれた状態となっている。操作パネル122は、壁Wに設けられた開口を介してトイレ室に露出しており、使用者によって操作される。たとえば、操作パネル122には、給水装置および排水弁装置による大洗浄動作を開始させるための大洗浄ボタンと、小洗浄動作を開始させるための小洗浄ボタンとが設けられている。
【0028】
給水管14は、タンク12と水洗大便器2とを接続し、タンク12に貯留された水を水洗大便器2に供給する。給水管14は、上下方向に延在してタンク12の中央下部に接続される延在部141と、延在部141から水平方向に屈曲して水洗大便器2の導水管(図示せず)と接続する屈曲部142とを備える。
【0029】
給水管14の延在部141は、フレーム11の2本の支柱部111の中間に配置されており、一方の支柱部111と延在部141との間、他方の支柱部111と延在部141との間には、それぞれ空間(空きスペース)が存在する。
【0030】
(水洗大便器について)
水洗大便器2は、壁Wを介してフレーム11に固定される所謂壁掛式の洋式大便器である。水洗大便器2は、たとえば陶器製である。なお、水洗大便器2は、樹脂製であってもよいし、陶器および樹脂の組み合わせにより形成されてもよい。水洗大便器2は、給水管14を介してタンク12と接続されており、タンク12から供給される水を用いて洗浄動作を行う。洗浄動作とは、水洗大便器2のボウル部で受けた汚物を床下の排水管に流す動作のことである。
【0031】
(衛生洗浄装置について)
衛生洗浄装置3は、第1ユニット31と、第1ユニット31とは別体の第2ユニット32とを備える。第1ユニット31は、水洗大便器2の上面に設置され、第2ユニット32は、壁裏空間に配置される。
【0032】
第1ユニット31および第2ユニット32には、それぞれ機能部が設けられており、第1ユニット31と第2ユニット32とは、給電ケーブルおよび給水ホース(ここでは、図示を省略する)によって接続されている。
【0033】
このように、衛生洗浄装置3が備える複数の機能部の一部を第2ユニット32に設けることで、第1ユニット31を小型化することができる。壁裏空間に隠蔽された第2ユニット32は、トイレ装置Tの使用者からは視認されず、使用者からは、トイレ室の室内に配置された第1ユニット31しか見えない。したがって、使用者から見える衛生洗浄装置3の外見を小型化することができる。
【0034】
(第1ユニットの構成)
次に、第1ユニット31の構成について
図2および
図3を参照して説明する。
図2は、実施形態に係る第1ユニット31の斜視図である。また、
図3は、実施形態に係る第1ユニット31が備える機能部の一例を示す図である。
【0035】
図2に示すように、第1ユニット31は、ケーシング311と、便座312と、便蓋313とを備える。ケーシング311は、水洗大便器2の上面後部に設置される。便座312および便蓋313は、ケーシング311に対して回動可能に軸支される。
【0036】
ケーシング311の内部には、複数の機能部が収納されている。たとえば、
図3に示すように、ケーシング311の内部には、熱交換器ユニット314、多機能ユニット315、ノズルユニット316、脱臭ユニット317および制御部318が収納される。
【0037】
熱交換器ユニット314は、チューブ5を介して第2ユニット32と接続される。熱交換器ユニット314は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器、または、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器を備える。熱交換器ユニット314は、第2ユニット32からチューブ5を介して供給された水を熱交換器により加熱する。熱交換器ユニット314によって加熱された水は、多機能ユニット315に供給される。なお、本明細書において「水」は、給水源から供給される水(冷水)および熱交換器によって温められた温水の両方を含むものとする。
【0038】
多機能ユニット315は、たとえば、電解槽、バキュームブレーカ、流調・流路切替弁等を備える。
【0039】
電解槽は、チューブ51を介して熱交換器ユニット314に接続される。電解槽は、一対の電極を有し、電極間に流れる水を電気分解することにより、機能水を生成する。バキュームブレーカは、電解槽の下流に設けられ、汚物の逆流を防止する。流調・流路切替弁は、バキュームブレーカの下流に設けられ、ノズルユニット316が備える複数の流路(たとえば、おしり洗浄流路、ビデ洗浄流路など)のうち熱交換器ユニット314から供給される水の流出先を切り替える。
【0040】
ノズルユニット316は、たとえば、洗浄ノズル、洗浄ノズルを可動させるノズルモータ等を備える。洗浄ノズルは、複数のチューブ52を介して多機能ユニット315に接続されており、多機能ユニット315からチューブ52を介して供給される水を人体局部などに吐出する。
【0041】
脱臭ユニット317は、集塵フィルタ、ファン、脱臭フィルタ等を備える。脱臭ユニット317は、ファンを用いてトイレ室の空気を吸い込み、吸い込んだ空気に含まれる悪臭成分などを捕集または分解する。そして、脱臭ユニット317は、悪臭成分などを捕集又は分解した空気を、ケーシング311の外部に吐き出す。
【0042】
制御部318は、たとえば、電源回路および制御回路等を備える。電源回路は、第1給電ケーブル6および第2給電ケーブル7を介して第2ユニット32に接続される。第1給電ケーブル6は、交流(AC)用の給電ケーブルであり、第2ユニット32を介して外部電源に接続される。第2給電ケーブル7は、直流(DC)用の給電ケーブルである。電源回路は、第1給電ケーブル6を介して外部電源から供給された交流電力を直流電力に変換する。また、電源回路は、変換後の直流電力または外部電源から供給される交流電力のいずれかを制御回路および他の機能部に供給する。また、電源回路は、変換後の直流電力を第2給電ケーブル7を介して第2ユニット32に収納された機能部に供給する。制御回路は、電源回路から供給される直流電力によって動作し、第1ユニット31および第2ユニット32の各機能部の動作を制御する。なお、第1給電ケーブル6を第2ユニット32と接続し、第2ユニット32で第1給電ケーブル6を介して外部電源から供給された交流電力を直流電力に変換し、第2ユニット32から第2給電ケーブル7を介して第1ユニット31へ給電してもよい。
【0043】
(第2ユニットの構成)
次に、第2ユニット32の構成について
図4~
図6を参照して説明する。
図4は、実施形態に係る第2ユニット32の斜視図である。また、
図5は、実施形態に係る第2ユニット32が備える機能部の一例を示す図である。また、
図6は、実施形態に係るトイレ装置Tの正面図である。
【0044】
図4に示すように、第2ユニット32は、機能部が設けられる本体33と、本体33を収納する収納ケース34とを備える。
【0045】
本体33は、機能部が載置される載置板331と、収納ケース34に設けられた後述する整備口341を閉塞する蓋体332とを備える。蓋体332は、載置板331の後端(Y軸負方向側の端部)に設けられる。
【0046】
図5に示すように、本体33には、バルブユニット333、タンクユニット334、ストレーナ335およびポンプユニット336が設けられる。
【0047】
バルブユニット333は、給水ホース8に接続される。給水ホース8は、タンク12の内部空間に設けられた止水栓に分岐管を介して接続されており、給水源からタンク12に供給される水の一部をバルブユニット333へ供給する。バルブユニット333は、タンク12から第2ユニット32への給水および止水を切り替える。
【0048】
なお、給水ホース8は、後述する収納ケース34の上面に設けられた開口342(
図4参照)を介して収納ケース34の内部に挿通されて、収納ケース34に収納されたバルブユニット333に接続される。
【0049】
タンクユニット334は、チューブ53を介してバルブユニット333に接続され、バルブユニット333からチューブ53を介して供給される水を貯留する。
【0050】
ストレーナ335は、チューブ54を介してタンクユニット334に接続され、タンクユニット334からチューブ54を介して供給される水からごみ等の固形物を除去する。
【0051】
ポンプユニット336は、チューブ55を介してストレーナ335に接続されるとともに、チューブ5を介して第1ユニット31の熱交換器ユニット314に接続される。ポンプユニット336は、ストレーナ335からチューブ55を介して供給される水をチューブ5を介して熱交換器ユニット314へ送り出す。なお、チューブ5は、蓋体332に設けられた開口332aに挿通され、開口332aを介して第1ユニット31の熱交換器ユニット314に接続される。
【0052】
衛生洗浄装置に必要とされる機能部は、国によって異なる場合がある。たとえば欧州では、水質の問題を解決するため、また、水に関する各種法令を遵守するために、ストレーナ335、縁切りのためのタンクユニット334、タンクユニット334から水を送り出すためのポンプユニット336を追加で設ける必要がある。これらの機能部を第1ユニット31とは別体の第2ユニット32に設けることで、衛生洗浄装置3の設計の自由度を高めることができる。また、第1ユニット31を共通化することができるため、コスト低下を図ることができる。
【0053】
本体33には、第1給電ケーブル6が挿通される。第1給電ケーブル6は、収納ケース34の側面に設けられた開口344に挿通され、開口344を介して収納ケース34の内部に引き込まれる。また、第1給電ケーブル6は、蓋体332に設けられた開口332bに挿通され、開口332bを介して収納ケース34の外部に引き出されて第1ユニット31の制御部318に接続される。
【0054】
また、本体33には、第2給電ケーブル7が挿通される。第2給電ケーブル7は、蓋体332に設けられた開口332cを介して収納ケース34の内部に挿通され、収納ケース34の内部に配置された各機能部に接続される。また、第2給電ケーブル7は、収納ケース34の上面に設けられた開口343を介して収納ケース34から引き出されて、タンク12に設けられたモータ(図示せず)に接続される。モータは、たとえば、タンク12の内部空間に設けられた排水弁(図示せず)を電動により駆動させる。
【0055】
このように、第2ユニット32は、給電ケーブル(第1給電ケーブル6および第2給電ケーブル7)および給水チューブ(チューブ5)を介して第1ユニット31と接続される。
【0056】
また、本体33の載置板331には、載置板331の前端縁(Y軸正方向側の縁部)を後方に向かって、すなわち、蓋体332側に向かって窪ませた凹部338が設けられている。凹部338の左右幅は、給水管14の延在部141(
図1参照)の径よりも大きい。
【0057】
収納ケース34は、本体33を収容する箱状の部材である。収納ケース34は、トイレ室の室内に向かって開口する整備口341を有しており、本体33は、かかる整備口341を介して収納ケース34の内部に挿入される。これにより、本体33の載置板331および載置板331に載置された各機能部が収納ケース34に収納されるとともに、整備口341は、蓋体332によって塞がれる。
【0058】
このように、機能部を有する本体33を収納ケース34に収納することで、たとえば漏水や害虫、害獣等から機能部を保護することができる。また、機能部を有する本体33を壁裏空間から取り出してメンテナンスを行うことができるため、メンテナンス性が高い。
【0059】
トイレ室の壁Wには、整備口341と対向する位置に開口(図示せず)が設けられており、整備口341および蓋体332は、かかる開口を介してトイレ室に露出した状態となっている。これにより、使用者は、トイレ室の室内から整備口341にアクセスすることができる。
【0060】
このように、実施形態に係る衛生洗浄装置3によれば、トイレ室の室内からアクセス可能な整備口341を第2ユニット32に設けることで、壁裏空間に配置される第2ユニット32のメンテナンス性を高めることができる。
【0061】
また、
図7に示すように、ケーシング311を正面から見た場合、言い換えれば、トイレ室の壁Wを正面から見た場合、整備口341は、ケーシング311によって全てが隠れる位置および大きさに形成される。具体的には、整備口341は、ケーシング311によって隠れる位置に設けられ、かつ、ケーシング311をトイレ室の壁Wに投影した投影領域よりも小さい。
【0062】
このように、ケーシング311によって隠れる位置に整備口341を設けることで、整備口341が視認されにくくなることから、デザイン性の低下を抑制しつつ、メンテナンス性を向上させることができる。また、蓋体332から引き出されたチューブ5、第1給電ケーブル6および第2給電ケーブル7も視認されにくくすることができる。
【0063】
また、収納ケース34は、収納ケース34の前端面(Y軸正方向側の縁部)を後方に向かって、すなわち、整備口341側に向かって窪ませた凹部345が設けられている。凹部345の左右幅は、給水管14の延在部141(
図1参照)の径よりも大きい。
【0064】
収納ケース34は、給水管14の延在部141が凹部345に入り込んだ状態で壁裏空間に配置される。
【0065】
このように、収納ケース34に凹部345を設けることで、給水管14を跨ぐように収納ケース34を配置させることができる。これにより、給水管14の左側の空きスペースおよび右側の空きスペースの両方を第2ユニット32の収納空間として有効利用することができる。
【0066】
(変形例)
上述した実施形態では、本体33の左側にバルブユニット333およびタンクユニット334が配置され、本体33の右側にストレーナ335およびポンプユニット336が配置される場合の例について説明したが、機能部の配置は上記の例に限定されない。
図7は、第1変形例に係る第2ユニットにおける機能部の配置を示す図である。また、
図8は、第2変形例に係る第2ユニットにおける機能部の配置を示す図である。
【0067】
図7および
図8に示すように、第2ユニット32A,32Bは、本体33の左側にバルブユニット333、ストレーナ335およびポンプユニット336が配置され、本体33の右側にタンクユニット334が配置されてもよい。
【0068】
また、
図5に示した例では、第1給電ケーブル6が収納ケース34の側面から収納ケース34の内部に引き入れられることとしたが、第1給電ケーブル6は、収納ケース34の上面から収納ケース34の内部に引き入れられてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、第2ユニット32に、バルブユニット333、タンクユニット334、ストレーナ335およびポンプユニット336が配置される場合の例について説明したが、これらの機能部のうちの一部は、第1ユニット31に設けられてもよい。また、第1ユニット31に設けられた機能部の一部は、第2ユニット32に設けられてもよい。
【0070】
図9は、第3変形例に係る第2ユニットの構成を示す斜視図である。また、
図10は、第3変形例に係るトイレ装置を側方から見た模式的な断面図である。
【0071】
図9および
図10に示すように、第3変形例に係る衛生洗浄装置3Cは、第1ユニット31Cと第2ユニット32Cとを備える。また、第2ユニット32Cは、本体33Cと収納ケース34Cとを備える。
【0072】
本体33Cは、載置板331Cの上面(機能部の載置面)を下方に窪ませた溝部339を備える。溝部339のトイレ室側の端部(Y軸負方向側の端部)は、蓋体332によって塞がれておらず、トイレ室に向かって開放された開口部339aとなっている。
【0073】
同様に、収納ケース34Cは、底面を下方に窪ませた溝部349を備える。溝部349のトイレ室側の端部(Y軸負方向側の端部)は、整備口341と連続した開口部349aとなっている。溝部349には、開口部349aを介して本体33Cの溝部339が挿通される。
【0074】
第3変形例において、チューブ5、第1給電ケーブル6および第2給電ケーブル7は、開口部339aを介して第2ユニット32Cから引き出される。そして、第2ユニット32Cから引き出されたチューブ5、第1給電ケーブル6および第2給電ケーブル7は、水洗大便器2Cの背面と上面とを連通する挿通部21を介して水洗大便器2Cの上面から引き出され、第1ユニット31Cのケーシング311Cの下面に設けられた開口部(図示せず)を介してケーシング311Cの内部に引き込まれる。
【0075】
かかる構成とすることにより、第2ユニット32Cから引き出されたチューブ5、第1給電ケーブル6および第2給電ケーブル7を視認されにくくすることができる。
【0076】
上述してきたように、実施形態に係る衛生洗浄装置(一例として、衛生洗浄装置3,3C)は、トイレ室の壁裏空間に配置されたフレーム(一例として、フレーム11)に固定された便器(一例として、水洗大便器2,2C)に設置される衛生洗浄装置であって、便器の上面に設置されるケーシング(一例として、ケーシング311,311C)を含む第1ユニット(一例として、第1ユニット31,31C)と、壁裏空間に配置され、給電ケーブル(一例として、第1給電ケーブル6および第2給電ケーブル7)および給水チューブ(一例として、チューブ5)を介して第1ユニットと接続される第2ユニット(一例として、第2ユニット32,32A,32B,32C)とを備える。また、第2ユニットは、トイレ室の室内からアクセス可能な整備口(一例として、整備口341)を備える。
【0077】
したがって、実施形態に係る衛生洗浄装置によれば、外見上小型化させることができる。
【0078】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 :タンクフレーム装置
2 :水洗大便器
3 :衛生洗浄装置
5 :チューブ
6 :第1給電ケーブル
7 :第2給電ケーブル
8 :給水ホース
11 :フレーム
12 :タンク
14 :給水管
31 :第1ユニット
32 :第2ユニット
33 :本体
34 :収納ケース
111 :支柱部
112 :梁部
121 :開口部
122 :操作パネル
141 :延在部
142 :屈曲部
311 :ケーシング
312 :便座
313 :便蓋
314 :熱交換器ユニット
315 :多機能ユニット
316 :ノズルユニット
317 :脱臭ユニット
318 :制御部
331 :載置板
332 :蓋体
333 :バルブユニット
334 :タンクユニット
335 :ストレーナ
336 :ポンプユニット
341 :整備口
345 :凹部
T :トイレ装置
W :壁