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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】黒色コアカード
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/00 20060101AFI20240611BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240611BHJP
   B42D 25/46 20140101ALI20240611BHJP
【FI】
B42D15/00 341B
B32B7/023
B42D25/46
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020147600
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2022042257
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】竹下 元気
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智仁
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-184171(JP,A)
【文献】特開2010-89276(JP,A)
【文献】特開2013-103495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00-25/485
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1層の透明基材からなる透明コアシートの表面に、表オーバーシート積層体を備え、該表オーバーシート積層体の光透過濃度が2.0以上であり、
また前記透明コアシートの裏面に、裏オーバーシート積層体を備え、該裏オーバーシート積層体の光透過濃度が1.0以上であり、
前記表オーバーシート積層体は、前記透明コアシートの表面側から、黒色印刷層と、表透明オーバーシートと、光反射印刷層と、絵柄印刷層をこの順に積層して形成され、
前記裏オーバーシート積層体は少なくとも黒色印刷層を含まず、前記透明コアシートの裏面側から、光遮蔽印刷層と、裏透明オーバーシートをこの順に積層して形成されている、
黒色コアカード。
【請求項2】
少なくとも1層の透明基材からなる透明コアシートの表面に、表オーバーシート積層体を備え、該表オーバーシート積層体の光透過濃度が2.0以上であり、
また前記透明コアシートの裏面に、裏オーバーシート積層体を備え、該裏オーバーシート積層体の光透過濃度が1.0以上であり、
前記表オーバーシート積層体は、前記透明コアシートの表面側から、黒色印刷層と、表透明オーバーシートと、光反射印刷層と、絵柄印刷層をこの順に積層して形成され、
前記裏オーバーシート積層体は少なくとも黒色印刷層を含まず、前記透明コアシートの裏面側から、光反射印刷層と、絵柄印刷層と、裏透明オーバーシートをこの順に積層して形成されている、
黒色コアカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
キャッシュカード、クレジットカード、各種IDカード、会員カードなどの各種カードに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラックカード等のハイランクのクレジットカードには、一般ランクのカードと差別化し高級感を持たせ得るために、カード側面まで黒く見える黒色コアカードが好んで用いられている。
【0003】
黒色コアカードは一般的に黒色基材を使用することでカード側面を黒く見せているが、その他の方法として透明基材から構成されるコアシートの表裏に光遮蔽用印刷層を印刷し、コアシート内への光の侵入を防ぐことで、カード側面を擬似的に黒く見せるカードが知られている(下記特許文献1、2)。
【0004】
例えば前記のブラックカードの場合、表裏の絵柄のベースカラーは一般的に黒色であるため、透明基材で構成されるコアシートの表裏に絵柄のベースカラーとなる黒色を印刷すれば、黒色印刷はほとんど光を透過させないため、コアシート内部への光の侵入を防ぎカード側面を黒色に見せることが可能となる。
【0005】
一方で近年、カードのデザイン性の高まりを受けて、ブラックカード以外にも黒色コアカードを採用する事例が増えてきている。このようなカードの場合、表裏の絵柄のベースカラーは黒色に限定されず、赤色・緑色・青色等の有彩色がベースカラーとして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-184171号公報
【文献】特許第5169700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、透明基材を使用した黒色コアカードで前記のような絵柄を再現しようとした場合、従来のように光遮蔽用印刷層として黒色印刷層を透明コアシート両面に設け、その上にベースカラーとなる有彩色を印刷すると、発色が悪くなってしまい希望する色味にすることが難しい。
【0008】
また黒色印刷の上に白色印刷等を重ね、その上に有彩色印刷することで発色をよくすることは可能だが、その場合印刷層が厚くなってしまうため、印刷シートのブロッキングが起こりやすくなる、印刷層を挟んで密着しているシート同士の相関剥離強度が低下する等の問題が発生する。
【0009】
一方で黒色以外の銀色印刷等を光遮蔽用印刷層としてカードの表裏面に設けた場合、絵柄印刷層の発色は改善するが、黒色印刷より光の遮蔽性に劣るため、光が透過してコアシートが灰色がかって見えてしまい、カード側面が黒く見えないという課題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような課題に対処するためになされたものであって、透明基材を使用した黒色コアカードであって、表裏面に発色が良好な有彩色の絵柄印刷を有し、
かつカード側面が十分に黒色に見えるカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、少なくとも1層の透明基材からなる透明コアシートの表面に、表オーバーシート積層体を備え、該表オーバーシート積層体の光透過濃度が2.0以上であり、
また前記透明コアシートの裏面に、裏オーバーシート積層体を備え、該裏オーバーシート積層体の光透過濃度が1.0以上であり、
前記表オーバーシート積層体は、前記透明コアシートの表面側から、黒色印刷層と、表透明オーバーシートと、光反射印刷層と、絵柄印刷層をこの順に積層して形成され、
前記裏オーバーシート積層体は少なくとも黒色印刷層を含まず、前記透明コアシートの裏面側から、光遮蔽印刷層と、裏透明オーバーシートをこの順に積層して形成されている黒色コアカードである。
【0014】
また請求項2に記載の発明は、少なくとも1層の透明基材からなる透明コアシートの表面に、表オーバーシート積層体を備え、該表オーバーシート積層体の光透過濃度が2.0以上であり、
前記透明コアシートの裏面に、裏オーバーシート積層体を備え、該裏オーバーシート積層体の光透過濃度が1.0以上であり、
前記表オーバーシート積層体は、前記透明コアシートの表面側から、黒色印刷層と、表透明オーバーシートと、光反射印刷層と、絵柄印刷層をこの順に積層して形成され、
前記裏オーバーシート積層体は少なくとも黒色印刷層を含まず、前記透明コアシートの裏面側から、光反射印刷層と、絵柄印刷層と、裏透明オーバーシートをこの順に積層して形成されている黒色コアカードである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透明コアシートを覆う表面側に構成された層の光透過濃度が2.0以上であり、蛍光灯下ではほぼ光が透過しないことから、透明コアシートを覆う裏面側に構成された層の光透過濃度を1.0以上にすることと組み合わせることで、外部入射光の透明コアシートへの到達を十分に抑制することができるため、カード側面を黒色にすることが可能となる。
【0016】
また、透明コアシートを覆う裏面側に構成された層の光透過濃度が1.0以上であれば、黒色以外の白色や銀色印刷の光反射印刷層でも十分に達成可能であり、黒色印刷層を設けずに済むため、光反射印刷層+絵柄印刷層とすることで、有彩色の絵柄印刷層の発色を損なうことなくカード側面の黒色を保つことが可能となる。
【0017】
また表面については、透明コアシートと表面透明オーバーシートの間に黒色印刷層を設け、それ以外の印刷層を表透明オーバーシートの外表面に設けることで、各印刷層を厚くすること無く光透過濃度2.0以上を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1における黒色コアカードの断面模式図。
図2】実施形態2における黒色コアカードの断面模式図。
図3】実施形態3における黒色コアカードの断面模式図。
図4】比較例1のカードの断面模式図。
図5】比較例2のカードの断面模式図。
図6】実施例と比較例の比較結果一覧表。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図1図2図3を用いて、各実施形態について説明する。
【0020】
<実施形態1>
図1は請求項2に記載の黒色コアカード1の断面模式図である。
【0021】
黒色コアカード1は、1層以上の透明基材からなる透明コアシート10と、前記透明コアシート10の表面側に、黒色印刷層11、表透明オーバーシート21、光反射印刷層31、有彩色の絵柄を有する絵柄印刷層41をこの順に積層して成る表オーバーシート積層体100と、前記透明コアシート10の裏面側に、光遮蔽印刷層52、裏透明オーバーシート22をこの順に積層して成る裏オーバーシート積層体200から成る。
【0022】
前記有彩色の絵柄印刷層41、光反射印刷層31、表透明オーバーシート21、黒色印刷層11を合わせた表オーバーシート積層体100に対する光透過濃度は2.0以上に調整されている。
【0023】
また前記光遮蔽印刷層52、裏透明オーバーシート22を合わせた裏オーバーシート積層体200に対する光透過濃度は1.0以上に調整されている。
【0024】
本実施形態によって、表面の有彩色絵柄印刷層による良好な表現性を確保しつつ、透明コアシートへの光の侵入が抑えられ、カード側面を黒色に保った黒色コアカードが実現できる。
【0025】
<実施形態2>
図2は請求項3に記載の黒色コアカード2の断面模式図である。
【0026】
黒色コアカード2は、1層以上の透明基材からなる透明コアシート10と、前記透明コアシート10の表面側に黒色印刷層11、表透明オーバーシート21、光反射印刷層31、有彩色の絵柄を有する絵柄印刷層41をこの順に積層して成る表オーバーシート積層体100と、前記透明コアシート10の裏面側に、光反射印刷層32、有彩色の絵柄を有する絵柄印刷層42、裏透明オーバーシート22をこの順に積層して成る裏オーバーシート積層体200から成る。
【0027】
前記有彩色の絵柄印刷層41、光反射印刷層31、表透明オーバーシート21、黒色印刷層11を合わせた表オーバーシート積層体100に対する光透過濃度は2.0以上に調整されている。
【0028】
また前記光反射印刷層32、有彩色の絵柄を有する絵柄印刷層42、裏透明オーバーシート22を合わせた裏オーバーシート積層体200に対する光透過濃度は1.0以上に調整されている。
【0029】
本実施形態によって、表裏面それぞれの有彩色絵柄印刷層によってカード両面への良好な表現性を確保しつつ、透明コアシートへの光の侵入が抑えられ、カード側面を黒色に保った黒色コアカードが実現できる。
【0030】
<実施形態3>
図3は請求項4に記載の黒色コアカード3の断面模式図である。
【0031】
黒色コアカード3は、1層以上の透明基材からなる透明コアシート10と、前記透明コアシートの表面側に黒色印刷層11、表透明オーバーシート21をこの順に積層して成る表オーバーシート積層体100と、前記透明コアシート10の裏面側に、光反射印刷層32、有彩色の絵柄を有する絵柄印刷層42、裏透明オーバーシート22をこの順に積層して成る裏オーバーシート積層体200から成る。
【0032】
前記表透明オーバーシート21、黒色印刷層11を合わせた表オーバーシート積層体100に対する光透過濃度は2.0以上に調整されている。
【0033】
また前記光反射印刷層32、有彩色の絵柄を有する絵柄印刷層42、裏透明オーバーシート22を合わせた裏オーバーシート積層体200に対する光透過濃度は1.0以上に調整されている。
【0034】
本実施形態によって、裏面側の有彩色絵柄印刷層による良好な表現性を確保しつつ、透明コアシートへの光の侵入が抑えられ、カード側面を黒色に保った黒色コアカードが実現できる。
【0035】
以下、上述の各部材の詳細な構成について説明する。
【0036】
<黒色印刷層>
黒色印刷層11は、外側から入射する光を吸収させ、透明コアシート内部に光が入射することを防ぐ機能を有する。黒色は特に光を通さないため、黒色印刷層を設けることで光透過濃度2.0以上とすることが可能となり、カード側面をより黒く見せることができる。
【0037】
黒色印刷層の形成にはオフセット印刷、スクリーン印刷共に可能だが、光遮蔽性を高めるためにはスクリーン印刷が望ましい。
【0038】
印刷の顔料には種々の顔料を用いることができるが、カーボンブラックを使用するのが一般的である。
【0039】
厚みは1~3μmとするのが望ましい。1μm以下の場合では光遮蔽性が不十分となる可能性があり、また3μm以上の場合では印刷シートのブロッキングが起こりやすくなる、印刷層を挟んで密着しているシート同士の層間剥離強度が低下する等の問題が発生する可能性がある。
【0040】
光遮蔽性の観点から、カード全面に印刷されることが望ましい。
【0041】
<光反射印刷層>
光反射印刷層31または32は、外側から入射する光を反射することで、上に印刷される有彩色の絵柄印刷層の発色を改善する効果がある。
【0042】
光反射印刷層の形成にはオフセット印刷、スクリーン印刷共に可能だが、効果を高めるために厚く印刷することが可能なスクリーン印刷が望ましい。
【0043】
白色や銀色等、光の反射率が高いインキを使用することができる。インキ顔料には種々
のインキを使用することができるが、一般的に白色インキにはTiOが、銀色インキにはアルミニウム等の金属粉が顔料として用いられる。
【0044】
厚みは1~3μmとするのが望ましい。1μm以下の場合では光の反射が不十分である可能性があり、また3μm以上の場合では印刷シートのブロッキングが起こりやすくなる、印刷層を挟んで密着しているシート同士の層間剥雛強度が低下する等の問題が発生する可能性がある。
【0045】
カード全面に印刷しても良いが、絵柄印刷層に合わせて部分的に印刷しても良い。ただし部分的に印刷する場合、絵柄印刷層等のその他の印刷層と合わせて透過濃度が規定値を満たす必要がある。
【0046】
<光遮蔽印刷層>
光遮蔽印刷層52は、外側から入射する光を吸収もしくは反射することで、透明コアシート内部に光が入射することを防ぐ機能を有する。
【0047】
光を吸収するインキとしては、黒色ではない黒色に近い灰色・茶色・緑色等を使用することができる。また光を反射するインキとしては、銀色・金色・白色等が使用できる。
【0048】
光遮蔽印刷層の形成にはオフセット印刷、スクリーン印刷共に可能だが、光遮蔽性を高めるために厚く印刷することが可能なスクリーン印刷が望ましい。
【0049】
厚みは1~3μmとするのが望ましい。1μm以下の場合では光遮蔽性が不十分である可能性があり、また3μm以上の場合では印刷シートのブロッキングが起こりやすくなる、印刷層を挟んで密着しているシート同士の層間剥雛強度が低下する等の問題が発生する可能性がある。
【0050】
光遮蔽性の観点から、カード全面に印刷されることが望ましい。
【0051】
<絵柄印刷層>
絵柄印刷層41または42は、赤色・青色・緑色等の有彩色の絵柄印刷層であり、オフセット印刷、スクリーン印刷共に可能である。
【0052】
インキは種々のインキを使用することができるが、発色性の観点から顔料には一般的に有機顔料が使用される。
【0053】
カード全面に印刷してもよく、また部分的に印刷してもよい。
【0054】
<透明コアシート、透明オーバーシート>
本発明のカード基材としては、1層以上の光透過性の透明基材からなる透明コアシートと、光透過性の透明オーバーシートを積層したカード基材を用いることができる。
【0055】
透明コアシート10、表透明オーバーシート21、裏透明オーバーシート22に用いる材料としては、塩化ビニル材料、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体材料、テレフタル酸とシクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールとの共重合体材料、または前述の共重合体とポリカーボネートおよび/またはポリアリレートとのポリマーアロイからなる非晶質ポリエステル材料、ポリエチレンテレフタレート材料、ポリブチレンテレフタレート材料、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン共重合合成樹脂(ABS)材料、紙材料、含浸紙材料等を用いることができる。
【0056】
表透明オーバーシート21および裏透明オーバーシート22の厚みはそれぞれ150μm以下であることが望ましい。150μmより厚いと、カード側面に占める透明オーバーシートの割合が大きくなるため、カード側面が十分に黒く見えなくなる可能性がある。
【実施例
【0057】
<実施例1>
実施形態1について、以下の条件で本発明の黒色コアカード1を作製した。
【0058】
(カードの作成)
厚み100μmの透明PET基材からなる表透明オーバーシート21の透明コアシート10側に、黒色印刷層11を形成し、前記表透明オーバーシート21の外表面側に、白色インキからなる光反射印刷層31、緑色の絵柄印刷層41をこの順に形成し、表オーバーシート積層体100とした。
【0059】
なお黒色印刷層11と光反射印刷層31は、スクリーン印刷で厚みがそれぞれ1.5μmとなるように印刷し、絵柄印刷層41はオフセット印刷で印刷した。
【0060】
また厚み100μmの透明PET基材からなる裏透明オーバーシート22の透明コアシート10側に、銀色インキからなる光遮蔽印刷層52を形成し、裏オーバーシート積層体200とした。光遮蔽印刷層52は、スクリーン印刷で厚み1.5μmとなるように形成した。
【0061】
続いて厚み600μmの透明PETG基材からなる透明コアシート10の両面に、前記表オーバーシート積層体100および裏透明オーバーシート積層体200を積層し、ラミネートプレスによりカード厚みとした後、抜き加工でカード化した。
【0062】
(透過濃度の測定)
株式会社島津製作所製のUV-3600を使用して波長400~1000nmの入射光に対する透過濃度を積分球方式で測定したところ、表オーバーシート積層体100(絵柄印刷層41・光反射印刷層31・表透明オーバーシート21・黒色印刷層11)の光透過濃度は2.3、裏オーバーシート積層体200(裏透明オーバーシート22・光遮蔽印刷層52)の光透過濃度は1.1であった。
【0063】
<実施例2>
実施形態2について、以下の条件で本発明の黒色コアカード2を作製した。
【0064】
(カードの作成)
厚み100μmの透明PET基材からなる表透明オーバーシート21の透明コアシート10側に、黒色印刷層11を形成し、表オーバーコート積層体100とした。
【0065】
なお黒色印刷層は、スクリーン印刷で厚み2.0μmとなるように印刷した。
【0066】
また厚み100μmの透明PET基材からなる裏透明オーバーシート22の透明コアシート側に、緑色の絵柄印刷層42、白色インキからなる光反射印刷層32をこの順に形成し、裏オーバーシート積層体200とした。
【0067】
なお絵柄印刷層42と光反射印刷層32は、スクリーン印刷でそれぞれ厚み1.5μmとなるように形成した。
【0068】
続いて厚み600μmの透明PETG基材からなる透明コアシート10の両面に、前記
表オーバーシート積層体100および裏透明オーバーシート積層体200を積層し、ラミネートプレスによりカード厚みとした後、抜き加工でカード化した。
【0069】
(透過濃度の測定)
株式会社島津製作所製のUV-3600を使用して波長400~1000nmの入射光に対する透過濃度を積分球方式で測定したところ、表オーバーシート積層体100(表透明オーバーシート21・黒色印刷層11)の光透過濃度は2.2、裏オーバーシート積層体200(裏透明オーバーシート22・絵柄印刷層42・光反射印刷層32)の光透過濃度は1.2であった。
【0070】
<実施例3>
実施形態3について、以下の条件で本発明の黒色コアカード3を作製した。
【0071】
(カードの作成)
厚み100μmの透明PET基材からなる表透明オーバーシート21の透明コアシート10側に、黒色印刷層11を形成し、前記表透明オーバーシート21の外表面側に、白色インキからなる光反射印刷層31、緑色の絵柄印刷層41をこの順に形成し、表オーバーシート積層体100とした。
【0072】
なお黒色印刷層11と光反射印刷層31は、スクリーン印刷でそれぞれ厚み1.5μmとなるように印刷し、絵柄印刷層41はオフセット印刷で印刷した。
【0073】
また厚み100μmの透明PET基材からなる裏透明オーバーシート22の透明コアシート側に、緑色の絵柄印刷層42、白色インキからなる光反射印刷層32をこの順に形成し、裏オーバーコート積層体200とした。
【0074】
なお絵柄印刷層42と光反射印刷層32は、スクリーン印刷でそれぞれ厚み1.5μmとなるように形成した。
【0075】
続いて厚み600μmの透明PETG基材からなる透明コアシート10の両面に、前記表オーバーシート積層体100および裏透明オーバーシート積層体200を積層し、ラミネートプレスによりカード厚みとした後、抜き加工でカード化した。
【0076】
(透過濃度の測定)
株式会社島津製作所製のUV-3600を使用して波長400~1000nmの入射光に対する透過濃度を積分球方式で測定したところ、表オーバーシート積層体100(絵柄印刷層41・光反射印刷層31・表透明オーバーシート21・黒色印刷層11)の光透過濃度は2.3、裏オーバーシート積層体200(裏透明オーバーシート22・絵柄印刷層42・光反射印刷層32)の光透過濃度は1.2であった。
【比較例】
【0077】
<比較例1>
裏オーバーシート積層体の遮光性を低くした場合の比較例として、以下の条件で黒色コアカードを作製した。図4にその断面模式図を示す。
【0078】
(カードの作成)
実施例1と同様に、厚み100μmの透明PET基材からなる表透明オーバーシート21の透明コアシート10側に、黒色印刷層11を形成し、前記表透明オーバーシート21の外表面側に、白色インキからなる光反射印刷層31、緑色の絵柄印刷層41をこの順に形成し、表オーバーシート積層体100とした。
【0079】
なお黒色印刷層11と光反射印刷層31は、スクリーン印刷でそれぞれ厚み1.5μmとなるように印刷し、絵柄印刷層41はオフセット印刷で印刷した。
【0080】
また厚み100μmの透明PET基材からなる裏透明オーバーシート22の透明コアシート10側に、実施例1における光遮蔽印刷層52に代わるものとして白色印刷層62を形成し、裏オーバーコート積層体200とした。
【0081】
なお白色印刷層62は、スクリーン印刷で厚み1.0μmとなるように形成した。
【0082】
続いて厚み600μmの透明PETG基材からなる透明コアシート10の両面に、前記表オーバーシート積層体100および裏透明オーバーシート積層体200を積層し、ラミネートプレスによりカード厚みとした後、抜き加工でカード化した。
【0083】
(透過濃度の測定)
株式会社島津製作所製のUV-3600を使用して波長400~1000nmの入射光に対する透過濃度を積分球方式で測定したところ、表オーバーシート積層体100(絵柄印刷層41・光反射印刷層31・表透明オーバーシート21・黒色印刷層11)の光透過濃度は2.3、裏オーバーシート積層体200(裏透明オーバーシート22・白色印刷層62)の光透過濃度は0.7であった。
【0084】
<比較例2>
裏オーバーシート積層体の遮光性を高くした場合の比較例として、以下の条件で黒色コアカードを作製した。図5にその断面模式図を示す。
【0085】
(カードの作成)
実施例3と同様に、厚み100μmの透明PET基材からなる表透明オーバーシート21の透明コアシート10側に、黒色印刷層11を形成し、前記表透明オーバーシート21の外表面側に、白色インキからなる光反射印刷層31、緑色の絵柄印刷層41をこの順に形成し、表オーバーシート積層体100とした。
【0086】
なお黒色印刷層11と光反射印刷層31は、スクリーン印刷でそれぞれ厚み1.5μmとなるように印刷し、絵柄印刷層41はオフセット印刷で印刷した。
【0087】
また厚み100μmの透明PET基材からなる裏透明オーバーシート22の透明コアシート側に、緑色の絵柄印刷層42、実施例3における光反射印刷層32に代わるものとして黒色印刷層12をこの順に形成し、裏オーバーシート積層体200とした。
【0088】
なお絵柄印刷層42と黒色印刷層12は、スクリーン印刷でそれぞれ厚み1.5μmとなるように形成した。
【0089】
続いて厚み600μmの透明PETG基材からなる透明コアシート10の両面に、前記表オーバーシート積層体100および裏透明オーバーシート積層体200を積層し、ラミネートプレスによりカード厚みとした後、抜き加工でカード化した。
【0090】
(透過濃度の測定)
株式会社島津製作所製のUV-3600を使用して波長400~1000nmの入射光に対する透過濃度を積分球方式で測定したところ、表オーバーシート積層体100(絵柄印刷層41・光反射印刷層31・表透明オーバーシート21・黒色印刷層11)の光透過濃度は2.3、裏オーバーシート積層体200(裏透明オーバーシート22・絵柄印刷層
42・黒色印刷層12)の光透過濃度は2.1であった。
【0091】
<比較結果>
上記実施例1、2、3および比較例1,2のそれぞれの絵柄印刷層の発色状況とカード側面の蛍光灯下での色味について観察した結果の比較表を図4に表として示す。
【0092】
本発明を適用した実施例1、2、3のいずれにおいても、絵柄印刷層の発色は良好であり、またカード側面の色味は黒色を発現しており、課題を解決していることが示されている。
【0093】
しかし、比較例1のように裏面の透過濃度が1.0に満たず、光遮蔽性が不十分である場合には、絵柄印刷層の発色は良好であるものの、透過した光の影響でカード側面の色味が若干灰色がかったものとなっている。
【0094】
また比較例2のように裏面の透過濃度を黒色インキを用いて高くした場合には、光遮蔽性は十分であるためカード側面の色味は黒色を示したものの、黒色印刷層12からの光の反射が不十分であるために、絵柄印刷層の発色が悪いものとなっている。
【0095】
以上の比較から、本発明によれば、透明コアシート材料を使用しながらも、表カバーシート積層体と裏カバー積層体の光透過濃度を適切に調整することによって、絵柄印刷層の良好な発色とカード側面の色味を黒く保つことの両立が達成できることが実証された。
【符号の説明】
【0096】
1 実施形態1の黒色コアカード
2 実施形態2の黒色コアカード
3 実施形態3の黒色コアカード
10 透明コアシート
11、12 黒色印刷層
21 表透明オーバーシート
22 裏透明オーバーシート
31、32 光反射印刷層
41、42 絵柄印刷層
52 光遮蔽印刷層
62 白色印刷層
100 表オーバーシート積層体
200 裏オーバーシート積層体
図1
図2
図3
図4
図5
図6