(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240611BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/16 503
(21)【出願番号】P 2020148317
(22)【出願日】2020-09-03
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 文哉
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-159549(JP,A)
【文献】特開2019-001147(JP,A)
【文献】特開2003-080703(JP,A)
【文献】特開2017-154494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0061741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向へ液体を噴射する複数のヘッドチップと、
前記複数のヘッドチップが固定されたホルダーと、
前記ホルダーに対して前記第1方向とは反対方向に配置された回路基板と、
前記回路基板に対して前記第1方向とは反対方向に配置された
基部を有するカバー部材と、
を備え、
前記複数のヘッドチップのそれぞれは、フレキシブル配線基板を有し、
前記フレキシブル配線基板は、前記回路基板に接続される接続端子部を有し、
前記回路基板は、前記ホルダーに載置された第1面と、前記第1面とは反対側の面であり、前記接続端子部が接続される第2面と、を有し、
前記カバー部材は、
前記基部から前記回路基板の前記第2面に向けて突出する複数の第1リブを有し、
前記複数の第1リブは、前記第1方向に見て、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部のそれぞれに重なる位置に配置され、
前記複数の第1リブと前記複数のヘッドチップの前記接続端子部との間には、第1接着剤が配置される、
液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記第1方向に見て、前記回路基板を囲む環状の第1外周壁を有し、
前記ホルダーは、前記第1方向に見て、前記回路基板を囲む環状の第2外周壁を有し、
前記カバー部材および前記ホルダーは、前記第1外周壁と前記第2外周壁とが第2接着剤によって接着されることで固定され、
前記複数の第1リブのそれぞれは、前記第1外周壁と前記第2外周壁とが固定された状態において、前記接続端子部に対して間隔を空けて配置される、請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記接続端子部および前記第1リブのそれぞれは、前記第1方向に直交する第2方向に延在し、
前記第1リブは、前記第2方向において前記接続端子部よりも長尺である、請求項1または2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記接続端子部および前記第1リブのそれぞれは、前記第1方向に直交する第2方向に延在し、
前記複数のヘッドチップは、前記第1方向に直交するとともに前記第2方向に交差する第3方向に並んで配置され、
前記複数のヘッドチップの前記接続端子部は、前記第3方向に並んで配置され、
前記複数の第1リブは、前記第3方向に並んで配置される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記回路基板の前記第2面には、信号ケーブルが接続されるコネクターが配置され、
前記カバー部材は、前記信号ケーブルが挿通される開口部と、前記回路基板の前記第2面に向けて突出する第2リブと、を有し、
前記第2リブは、前記第1方向に見て、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部と前記コネクターとの間に配置され、
前記第2リブと前記回路基板の前記第2面との間には、第3接着剤が配置される、請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
第1方向へ液体を噴射する複数のヘッドチップと、
前記複数のヘッドチップが固定されたホルダーと、
前記ホルダーに対して前記第1方向とは反対方向に配置された回路基板と、
前記回路基板に対して前記第1方向とは反対方向に配置されたカバー部材と、
を備え、
前記複数のヘッドチップのそれぞれは、フレキシブル配線基板を有し、
前記フレキシブル配線基板は、前記回路基板に接続される接続端子部を有し、
前記回路基板は、前記ホルダーに載置された第1面と、前記第1面とは反対側の面であり、前記接続端子部が接続される第2面と、を有し、
前記カバー部材は、前記回路基板の前記第2面に向けて突出する複数の第1リブを有し、
前記複数の第1リブは、前記第1方向に見て、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部のそれぞれに重なる位置に配置され、
前記複数の第1リブと前記複数のヘッドチップの前記接続端子部との間には、第1接着剤が配置され、
前記接続端子部および前記第1リブのそれぞれは、前記第1方向に直交する第2方向に延在し、
前記複数のヘッドチップは、前記第1方向に直交するとともに前記第2方向に交差する第3方向に並んで配置され、
前記複数のヘッドチップの前記接続端子部は、前記第3方向に並んで配置され、
前記複数の第1リブは、前記第3方向に並んで配置され、
前記回路基板の前記第2面には、信号ケーブルが接続されるコネクターが配置され、
前記カバー部材は、前記信号ケーブルが挿通される開口部と、前記回路基板の前記第2面に向けて突出する第2リブと、を有し、
前記第2リブは、前記第1方向に見て、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部と前記コネクターとの間に配置され、
前記第2リブと前記回路基板の前記第2面との間には、第3接着剤が配置される、
液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記コネクターは、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部に対して、前記第1方向および前記第3方向の双方に直交する第4方向に配置され、
前記第2リブは、前記第3方向に長尺である、請求項5
又は6に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記第1方向に見て、前記回路基板を囲む環状の第1外周壁を有し、
前記ホルダーは、前記第1方向に見て、前記回路基板を囲む環状の第2外周壁を有し、
前記カバー部材および前記ホルダーは、前記第1外周壁と前記第2外周壁とが第2接着剤によって接着されることで固定され、
前記第2リブは、前記カバー部材が前記ホルダーに固定された状態において、前記回路基板の前記第2面に対して間隔を空けて設けられる、請求項5
から請求項
7のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項9】
前記コネクターは、前記信号ケーブルの端子が差し込まれる筐体部と、前記回路基板に電気的に接続される基板接続部と、を有し、
前記基板接続部は、前記第1方向に見て、前記筐体部と前記第2リブとの間に配置され、
前記第3接着剤は、前記基板接続部の少なくとも一部を覆う、請求項5から請求項
8のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項10】
前記カバー部材は、
前記基部および前記複数の第1リブを有する本体部を備え、
前記本体部は、エラストマーを除く熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂によって構成される、
請求項6を引用しない請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項11】
前記液体噴射ヘッドは、さらに、前記カバー部材に対して前記第1方向とは反対方向に配置された流路部材を備え、
前記流路部材は、第1流路部と、前記第1流路部の一部を構成するとともに前記ホルダーへ向かって突出する第1流路管と、を有し、
前記ホルダーは、前記第1流路部に連通し、前記複数のヘッドチップへ前記液体を供給する第2流路部と、前記第2流路部の一部を構成するとともに前記流路部材へ向かって突出する第2流路管と、を有し、
前記カバー部材は、前記第1流路管と前記第2流路管とが挿入される弾性を有する弾性シール部を備え、
前記本体部および前記弾性シール部は、一体として設けられる、請求項
10に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項12】
前記液体噴射ヘッドは、さらに、前記カバー部材に対して前記第1方向とは反対方向に配置された流路部材を備え、
前記流路部材および前記カバー部材は、ネジによって締結される、請求項1から請求項
11のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項13】
前記流路部材および前記カバー部材は、前記第1方向に見て、前記回路基板に重なる位置で前記ネジによって締結される、請求項
12に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項14】
前記流路部材は、前記液体が通過するフィルターを有する、請求項
11から請求項
13のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項15】
前記回路基板の前記第2面には、複数の回路素子が設けられ、
前記複数の第1リブは、前記第1方向に見て、前記複数の回路素子には重ならない、請求項1から請求項
14のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項16】
前記第1リブは、前記カバー部材が前記ホルダーに固定された状態において、前記接続端子部に対して第1間隔を空けて配置され、
前記第1間隔は、前記複数の回路素子のうち、前記回路基板の前記第2面から最も突出している最大突出回路素子の先端から前記第2面までの距離よりも小さい、請求項
15に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項17】
前記最大突出回路素子の前記先端から前記カバー部材の前記最大突出回路素子に対向する面までの第2間隔は、前記第1間隔よりも大きい、請求項
16に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項18】
前記第1接着剤は、絶縁性を有する接着剤である、請求項1から請求項
17のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項19】
前記第1接着剤は、エポキシ系接着剤である、請求項1から請求項
18のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項20】
前記第1接着剤のデュロメータ硬さは、前記デュロメータ硬さのタイプDで70度以上である、請求項1から請求項
19のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項21】
前記第1接着剤は、前記第1リブの前記第1方向の先端と前記複数のヘッドチップの前記接続端子部との間に配置される、
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項22】
前記基部および前記複数の第1リブは、剛体である、
請求項6を引用しない請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項23】
請求項1から請求項
22のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドと、
キャップと、
を備え、
前記液体噴射ヘッドは、前記液体を噴射する噴射面を有し、
前記キャップは、前記噴射面に対して前記第1方向とは反対方向に相対移動して前記噴射面に当接することによって前記噴射面を密封する、液体噴射装置。
【請求項24】
請求項1から請求項
22のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドと、
複数のキャップと、
を備え、
前記液体噴射ヘッドは、前記液体を噴射する噴射面を有し、
前記複数のキャップは、前記噴射面に対して前記第1方向とは反対方向に相対移動して前記噴射面に当接することによって前記噴射面を密封し、
前記噴射面には、前記複数のキャップが当接する複数の当接領域が設けられ、
前記複数の当接領域のそれぞれは、前記複数の第1リブのそれぞれを前記噴射面に垂直に投影した複数の投影像のうちの少なくとも1つの投影像を囲むように設けられている、
液体噴射装置。
【請求項25】
請求項5から請求項
9のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドと、
前記コネクターに接続される前記信号ケーブルと、
を備える、液体噴射装置。
【請求項26】
請求項1から請求項
22のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドと、
媒体を搬送する搬送機構と、
を備える、液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のヘッドチップを収容する下側ケース部材と、下側ケース部材に積層された回路基板と、回路基板を覆うように下側ケース部材に積層された上側ケース部材とを備える液体噴射ヘッドが開示されている。この液体噴射ヘッドでは、各ヘッドチップに設けられた圧電アクチュエーターパーツと回路基板とがフレキシブル基板を介して接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載された液体噴射ヘッドでは、回路基板に接続されたフレキシブル基板の接続端子部が液体噴射ヘッド内で露出しているので、液体噴射ヘッド内に侵入した大気中の水分が接続端子部に付着して電気的な不具合が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、液体噴射ヘッドが提供される。この液体噴射ヘッドは、第1方向へ液体を噴射する複数のヘッドチップと、前記複数のヘッドチップが固定されたホルダーと、前記ホルダーに対して前記第1方向とは反対方向に配置された回路基板と、前記回路基板に対して前記第1方向とは反対方向に配置されたカバー部材と、を備える。前記複数のヘッドチップのそれぞれは、フレキシブル配線基板を有し、前記フレキシブル配線基板は、前記回路基板に接続される接続端子部を有し、前記回路基板は、前記ホルダーに載置された第1面と、前記第1面とは反対側の面であり、前記接続端子部が接続される第2面と、を有し、前記カバー部材は、前記回路基板の前記第2面に向けて突出する複数の第1リブを有し、前記複数の第1リブは、前記第1方向に見て、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部のそれぞれに重なる位置に配置され、前記複数の第1リブと前記複数のヘッドチップの前記接続端子部との間には、第1接着剤が配置される。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、液体噴射装置が提供される。この液体噴射装置は、上述した第1の形態の液体噴射ヘッドと、キャップと、を備える。前記液体噴射ヘッドは、前記液体を噴射する噴射面を有し、前記キャップは、前記噴射面に対して前記第1方向とは反対方向に相対移動して前記噴射面に当接することによって前記噴射面を密封する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の液体噴射装置の概略構成を示す説明図。
【
図2】第1実施形態のヘッドユニットの概略構成を示す第1の分解斜視図。
【
図3】第1実施形態のヘッドユニットの概略構成を示す第2の分解斜視図。
【
図4】第1実施形態のヘッドユニットの概略構成を示す底面図。
【
図5】第1実施形態の第1液体流出口の構成を示す断面図。
【
図6】第1実施形態の液体噴射ヘッドの構成を示す分解斜視図。
【
図7】第1実施形態の液体噴射ヘッドの構成を示す側面図。
【
図8】第1実施形態の液体噴射ヘッドの構成を示す平面図。
【
図11】第1実施形態のヘッドチップの概略構成を示す断面図。
【
図12】第1実施形態のホルダーの構成を示す平面図。
【
図13】第1実施形態の回路基板の構成を示す平面図。
【
図14】第1実施形態のカバー部材の構成を示す平面図。
【
図18】第1実施形態のフィルターユニットの構成を示す上面図。
【
図19】第1実施形態の固定板に設けられた当接領域を示す底面図。
【
図20】他の実施形態の固定板に設けられた当接領域を示す底面図。
【
図21】他の実施形態の第1液体流出口の構成を示す第1の断面図。
【
図22】他の実施形態の第1液体流出口の構成を示す第2の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における液体噴射装置10の概略構成を示す説明図である。
図1には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。X方向およびY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は、重力方向である。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の図においても、矢印の向きが
図1と対応するように適宜、図示してある。以下の説明において、向きを特定する場合には、矢印の指し示す方向である正の方向を「+」、矢印の指し示す方向とは反対の方向である負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用する。なお、+Z方向のことを「第1方向D1」と呼ぶことがあり、+X方向のことを「第3方向D3」と呼ぶことがあり、+Y方向のことを「第4方向D4」と呼ぶことがある。
【0009】
本実施形態では、液体噴射装置10は、液体としてインクを噴射することによって、媒体Mに画像を印刷するインクジェットプリンターとして構成されている。液体噴射装置10は、制御部15と、液体容器20と、ヘッドユニット30と、搬送機構40と、キャッピング機構50と、吸引機構60と、払拭機構70とを備えている。
【0010】
制御部15は、1つまたは複数のプロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。主記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、制御部15は、種々の機能を発揮する。例えば、制御部15は、有線通信または無線通信によって接続されたコンピューターから画像データを受信し、受信した画像データを媒体M上に形成されるドットのオン・オフを示す印刷データに変換する。制御部15は、印刷データに従って、搬送機構40によって媒体Mを+Y方向に送りつつヘッドユニット30からインクを噴射させて、媒体M上の所定の位置にインクによるドットを形成することによって、媒体Mに画像を印刷する。
【0011】
液体容器20は、媒体Mに噴射されるインクを貯蔵している。本実施形態では、液体容器20は、4個の容器によって構成されており、各容器には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクが個別に貯蔵されている。液体容器20の各容器は、供給路21を介してヘッドユニット30に接続されている。供給路21は、例えば、フレキシブルチューブによって構成される。液体容器20に貯蔵されたインクは、例えば、水頭差によってヘッドユニット30に供給される。なお、液体容器20とヘッドユニット30との間に、ヘッドユニット30に向かってインクを圧送する加圧ポンプが設けられてもよい。
【0012】
ヘッドユニット30は、X方向に沿って並んで配置された6個の液体噴射ヘッド100を備えている。ヘッドユニット30は、供給路21を介して液体容器20から供給された各色のインクを各液体噴射ヘッド100に分配し、制御部15の制御下で、各液体噴射ヘッド100から媒体Mに向かってインクを噴射する。なお、ヘッドユニット30に設けられる液体噴射ヘッド100の数は、6個に限られず、1個でもよいし、2個から5個でもよいし、7個以上でもよい。
【0013】
搬送機構40は、制御部15の制御下で、媒体Mを搬送する。本実施形態では、搬送機構40は、+Y方向に向かって媒体Mを搬送する。搬送機構40は、例えば、媒体Mを両面からローラーで挟み、モーターによってローラーを回転させることによって媒体Mを搬送するローラー搬送方式である。搬送機構40は、ローラー搬送方式ではなく、静電気や空気圧を用いてベルトに媒体Mを吸着させて、ベルトによって媒体Mを搬送するベルト搬送方式でもよいし、媒体Mを巻き付けたドラムを回転させて媒体Mを送り出すドラム搬送方式でもよい。
【0014】
キャッピング機構50は、キャップユニット51と、キャップ移動部52とを備えている。本実施形態では、キャップユニット51は、X方向に沿って並んで配置された6個のキャップ53と、6個のキャップ53を支持する支持部材54とによって構成されている。各キャップ53は、基部55と、基部55から-Z方向に向かって突き出したリブ56とを有している。リブ56は、+Z方向に見て環状に構成されている。基部55には、リブ56の内側に貫通孔57が設けられている。キャップ移動部52は、制御部15の制御下で、キャップユニット51をヘッドユニット30に対して相対移動させる。キャップ移動部52は、例えば、ガイドレールやモーター等によって構成される。キャップ移動部52は、各液体噴射ヘッド100から媒体Mにインクを噴射しない期間に、キャップユニット51をヘッドユニット30に対して-Z方向に相対移動させることによって、各液体噴射ヘッド100の噴射面に各リブ56の先端部を当接させて、各液体噴射ヘッド100の噴射面の少なくとも一部をキャップ53で覆う。噴射面とは、液体噴射ヘッド100の有する面のうち、インクを噴射する面のことを意味する。本実施形態では、噴射面は、液体噴射ヘッド100の有する面のうちの+Z方向側の面であり、後述するノズルプレート210と固定板150とによって構成されている。各液体噴射ヘッド100の噴射面の少なくとも一部をキャップ53で覆うことをキャッピングと呼ぶ。なお、キャップ移動部52は、キャップユニット51を移動させずに、ヘッドユニット30を移動させて、各液体噴射ヘッド100の噴射面の少なくとも一部をキャップ53で覆ってもよい。
【0015】
吸引機構60は、排出路61と、吸引ポンプ62と、廃液タンク63とを備えている。排出路61は、キャップ53に設けられた各貫通孔57に連通している。排出路61は、例えば、フレキシブルチューブによって構成される。吸引ポンプ62は、制御部15の制御下で駆動され、キャッピングの際に、各液体噴射ヘッド100とキャップ53とによって囲まれた空間内に負圧を発生させて、各液体噴射ヘッド100からインクとともに気泡や異物を吸引する。吸引ポンプ62は、例えば、チューブポンプによって構成される。廃液タンク63は、吸引ポンプ62によって各液体噴射ヘッド100から排出されたインクを貯蔵する。キャッピングの際に、各液体噴射ヘッド100とキャップ53とによって囲まれた空間内に負圧を発生させて、各液体噴射ヘッド100からインクとともに気泡や異物を吸引することを吸引クリーニングと呼ぶ。
【0016】
払拭機構70は、払拭部材71と、払拭部材移動部72とを備えている。払拭部材71は、例えば、ゴム製のブレードによって構成される。払拭部材71は、布等によって構成されてもよい。払拭部材移動部72は、例えば、ガイドレールやモーター等によって構成される。払拭部材移動部72は、制御部15の制御下で、ヘッドユニット30に対して払拭部材71を+X方向に向かって相対移動させることによって、ヘッドユニット30に付着したインクや異物等を払拭部材71によって払拭する。ヘッドユニット30に付着したインクや異物等を払拭部材71によって払拭することをワイピングと呼ぶ。なお、払拭部材移動部72は、ヘッドユニット30に対して払拭部材71を-X方向に向かって相対移動させることによって、ヘッドユニット30に付着したインクや異物等を払拭部材71によって払拭してもよい。
【0017】
図2は、ヘッドユニット30の概略構成を示す第1の分解斜視図である。
図3は、ヘッドユニット30の概略構成を示す第2の分解斜視図である。
図4は、ヘッドユニット30の概略構成を示す底面図である。
図5は、ヘッドユニット30の第1液体流出口Di1の構成を示す断面図である。
図2および
図3に示すように、ヘッドユニット30は、分配流路部材31と、支持部材32と、6個の液体噴射ヘッド100とを備えている。
【0018】
分配流路部材31には、インク色の数に応じた数の第1液体流入口Si1と、インク色の数および液体噴射ヘッド100の数に応じた数の第1液体流出口Di1とが設けられている。本実施形態では、
図2に示すように、分配流路部材31の-Z方向側の面に4個の第1液体流入口Si1が設けられている。各第1液体流入口Si1には、供給路21が接続されている。
図3に示すように、分配流路部材31の+Z方向側の面には、24個の第1液体流出口Di1が設けられている。
【0019】
分配流路部材31内には、4系統のインクの流路が設けられている。1系統のインクの流路は、1個の第1液体流入口Si1に連通する共通流路と、共通流路から分岐した6個の個別流路とによって構成されている。共通流路と1個の第1液体流出口Di1との間は、1個の個別流路によって連通している。1個の第1液体流入口Si1から分配流路部材31内に導入されたインクは、共通流路と個別流路とを介して、6個の第1液体流出口Di1に分配される。各個別流路と第1液体流出口Di1との間には、
図5に示す圧力調整弁500が設けられており、各第1液体流出口Di1に分配されるインクの圧力は、圧力調整弁500によって調整される。圧力調整弁500の構成については後述する。
【0020】
図2に示すように、支持部材32は、分配流路部材31の+Z方向側に配置されており、ネジや接着剤等によって分配流路部材31に固定される。支持部材32の+Z方向側には、各液体噴射ヘッド100が配置されている。各液体噴射ヘッド100は、ネジや接着剤等によって支持部材32に固定されている。各液体噴射ヘッド100は、それぞれ、4個の第2液体流入口Si2を有している。支持部材32の-Z方向側の面には、第2液体流入口Si2を露出させる開口部が設けられている。各第2液体流入口Si2は、各第1液体流出口Di1に接続されている。なお、分配流路部材31と支持部材32とが一体化されて同一の部材で構成されてもよい。
【0021】
図4に示すように、各液体噴射ヘッド100は、X方向に沿って並んで配置された複数のノズル列を有している。各ノズル列は、Z方向に直交し、かつ、X方向およびY方向の双方に交差する第2方向D2に沿って並んで配置された複数のノズルNによって構成されている。各液体噴射ヘッド100は、各ノズルNからインクを噴射する。複数のノズルNは、シアン色のインクを噴射するグループと、マゼンタ色のインクを噴射するグループと、イエロー色のインクを噴射するグループと、ブラック色のインクを噴射するグループとに区分されている。
【0022】
図5に示すように、圧力調整弁500は、ハウジング510と、弁体520と、弁座530と、蓋部材540と、フィルム部材550と、バネ560とを備えている。ハウジング510内には、一次室511と二次室512とが設けられている。一次室511と二次室512との間は、隔壁513によって隔てられている。隔壁513には、一次室511と二次室512とを連通させる連通路514が設けられている。
【0023】
一次室511は、ハウジング510に設けられた凹部の開口部を蓋部材540で封止することによって形成されている。二次室512は、ハウジング510に設けられた凹部の開口部を、可撓性を有するフィルム部材550で封止することによって形成されている。フィルム部材550の材料として、例えば、高密度ポリエチレンやポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。フィルム部材550の二次室512側の面には、受圧板555が接着されている。受圧板555の剛性は、フィルム部材550の剛性よりも高い。フィルム部材550を挟んで二次室512とは反対側の空間は、大気に連通している。
【0024】
一次室511は、蓋部材540に設けられた流入路541を介して、個別流路FPに連通している。個別流路FPは、第1液体流入口Si1に連通している。二次室512は、ハウジング510に設けられた流出路518を介して、第1液体流出口Di1に連通している。第1液体流出口Di1には、シール部材519が設けられている。液体噴射ヘッド100の第2液体流入口Si2の先端部には、液体噴射ヘッド100にインクを導入するための供給針105が設けられている。供給針105内には、インクの流路と、インクに含まれる気泡や異物を捕集するためのフィルターFとが設けられている。供給針105がシール部材519を貫通することによって、供給針105内のインクの流路と、流出路518とが連通する。
【0025】
弁体520は、ハウジング510内に移動可能に配置されている。弁体520は、弁体本体521と当接部材522とを備えている。弁体本体521は、円柱状の軸部525と、軸部525の一端に接続された円盤状のフランジ部526とを有している。軸部525は、連通路514に挿通されている。軸部525と連通路514との間には、インクが流れる隙間が形成されている。フランジ部526とは反対側の軸部525の先端部は、受圧板555に当接している。フランジ部526は、一次室511内に配置されている。当接部材522は、フランジ部526の隔壁513側の面に固定されている。当接部材522は、軸部525を囲むように円環状に設けられている。当接部材522は、ゴムやエラストマーで形成されている。弁座530は、当接部材522に対向するように隔壁513に固定されている。弁座530は、連通路514を囲むように円環状に設けられている。
【0026】
バネ560は、弁体520のフランジ部526と蓋部材540との間に配置されている。バネ560の一端は、フランジ部526に当接しており、バネ560の他端は、蓋部材540に当接している。バネ560は、弁体520を二次室512側に向かって付勢する。弁体520の当接部材522がバネ560の付勢力によって弁座530に当接して、連通路514が閉塞、換言すれば、圧力調整弁500が閉弁される。
【0027】
二次室512内に貯留されたインクが流出路518から流出して、二次室512内の圧力が低下すると、二次室512内の圧力と大気圧との差圧によってフィルム部材550が撓んで、フィルム部材550に接着された受圧板555が一次室511側に移動する。受圧板555がバネ560の付勢力に抗して軸部525を押圧することによって弁体520が移動して、当接部材522と弁座530との間に隙間が形成されて、連通路514が開放、換言すれば、圧力調整弁500が開弁する。
【0028】
圧力調整弁500の開弁によって一次室511から二次室512内にインクが流入すると、二次室512内の圧力と大気圧との差圧が小さくなり、弁体520と受圧板555とがバネ560の付勢力によって元の位置に戻り、当接部材522と弁座530との間の隙間がなくなり、連通路514が閉塞、換言すれば、圧力調整弁500が閉弁する。このようにして、圧力調整弁500は、分配流路部材31から液体噴射ヘッド100に供給されるインクの圧力を調整することができるので、分配流路部材31から各液体噴射ヘッド100へのインクの供給を安定化させることができる。
【0029】
図6は、液体噴射ヘッド100の構成を示す分解斜視図である。
図7は、液体噴射ヘッド100の構成を示す側面図である。
図8は、液体噴射ヘッド100の構成を示す平面図である。
図9は、
図8におけるIX-IX線断面図である。
図10は、
図8におけるX-X線断面図である。
図6に示すように、液体噴射ヘッド100は、6個のヘッドチップ200と、フィルターユニット110と、カバー部材120と、回路基板130と、ホルダー140と、固定板150とを備えている。
【0030】
図6に示すように、+Z方向側から順に、固定板150、ホルダー140、回路基板130、カバー部材120、および、フィルターユニット110が積み重なるように配置されている。
図9に示すように、6個のヘッドチップ200は、固定板150とホルダー140とによって囲まれた空間に収容されている。なお、1つの液体噴射ヘッド100に設けられるヘッドチップ200の数は、2個以上であればよく、6個に限られない。
【0031】
図6に示すように、フィルターユニット110は、流路部材111と、フィルター112とを備えている。流路部材111は、板状に構成されている。流路部材111は、4個の上部流路管115と、4個の下部流路管116とを有している。各上部流路管115は、流路部材111の上面から-Z方向に向かって突き出している。各上部流路管115の先端部には、上述した第2液体流入口Si2が設けられている。
図6には図示されていないが、第2液体流入口Si2には
図5に示した供給針105が固定されている。各下部流路管116は、流路部材111の底面から+Z方向に向かって突き出している。
【0032】
各上部流路管115および各下部流路管116は、管状に構成されており、内部にインクの流路を有している。流路部材111内には、1個の上部流路管115と1個の下部流路管116とに連通するインクの流路が4個設けられている。フィルター112は、流路部材111内の各流路に配置されている。フィルター112は、インクに含まれる異物を捕集する。なお、上部流路管115の内部に設けられた流路、下部流路管116の内部に設けられた流路、および、流路部材111内に設けられた流路のことを「第1流路部」と呼ぶことがある。下部流路管116のことを「第1流路管」と呼ぶことがある。
【0033】
本実施形態では、流路部材111は、ザイロン(登録商標)や液晶ポリマー等の樹脂材料で形成されている。フィルターユニット110は、ネジ101によってカバー部材120に固定されている。ネジ101は、Z方向に沿ってフィルターユニット110およびカバー部材120に挿通される。なお、フィルターユニット110は、ネジ101によってカバー部材120に固定されずに、接着剤によってカバー部材120に固定されてもよい。
【0034】
カバー部材120は、本体部121と、4個の弾性シール部122とを有している。各弾性シール部122は、Z方向に沿った中心軸を中心とした円筒状に構成されている。各弾性シール部122には、-Z方向側からフィルターユニット110の下部流路管116の先端部が挿入され、+Z方向側から後述するホルダー140の上部流路管147の先端部が挿入される。各弾性シール部122は、下部流路管116と上部流路管147との間からのインクの漏洩を抑制する。
【0035】
本実施形態では、カバー部材120は、ザイロン(登録商標)や液晶ポリマー等の比較的変形しにくい樹脂材料で形成された本体部121と、ニトリルゴムやシリコンゴムやフッ素ゴム等のエラストマーで形成された弾性を有する弾性シール部122とが、二色成形によって一体化されて構成されている。本体部121は、接着剤によってホルダー140に固定されている。なお、本体部121は、ステンレス鋼等の金属材料で形成されてもよい。この場合、本体部121を形成する金属材料と弾性シール部122を形成するエラストマーとがインサート成形やアウトサート成形によって一体化されてもよい。本体部121と弾性シール部122とが一体化されていなくてもよい。カバー部材120のより具体的な構成については後述する。
【0036】
回路基板130は、各ヘッドチップ200に対して駆動信号や電源電圧を供給する。回路基板130は、板状に構成されている。回路基板130は、+Z方向側の面である第1面131と、第1面131とは反対側の面である第2面132とを有している。回路基板130の角部には、ホルダー140の上部流路管147に干渉しないように切欠部が設けられている。本実施形態では、回路基板130は、接着剤によってカバー部材120およびホルダー140に固定されている。なお、回路基板130のより具体的な構成については後述する。
【0037】
ホルダー140は、第1ホルダー部材141と、第2ホルダー部材142と、第3ホルダー部材143とによって構成されている。+Z方向側から順に、第3ホルダー部材143、第2ホルダー部材142、および、第1ホルダー部材141が積み重なるように配置されている。
【0038】
第1ホルダー部材141は、4個の上部流路管147を有している。各上部流路管147は、第1ホルダー部材141の上面部145から-Z方向に向かって突き出している。各上部流路管147は、管状に構成されており、内部にインクの流路を有している。各上部流路管147の先端部は、カバー部材120の弾性シール部122に挿入されている。
【0039】
各ホルダー部材141~143内には、各上部流路管147から導入されたインクを6個のヘッドチップ200に分配するためのインクの流路が設けられている。本実施形態では、各ホルダー部材141~143は、ザイロン(登録商標)や液晶ポリマー等の樹脂材料で形成されている。各ホルダー部材141~143は、接着剤によって相互に固定されている。第1ホルダー部材141は、接着剤によってカバー部材120の本体部121および回路基板130に固定されている。第3ホルダー部材143は、接着剤によって固定板150に固定されている。
【0040】
固定板150は、ヘッドチップ200の数に応じた数の開口部155を有している。本実施形態では、固定板150は、X方向に沿って並んで配置された6個の開口部155を有している。各開口部155は、固定板150を貫通するように設けられており、各ヘッドチップ200のノズルプレート210に設けられたノズル列を露出させている。固定板150は、ステンレス鋼等の金属材料で形成されている。
【0041】
各ヘッドチップ200は、固定板150の各開口部155上に、X方向に沿って並んで配置されている。各ヘッドチップ200は、接着剤によって固定板150の-Z方向側の面に固定されている。各ヘッドチップ200には、インクを導入する4個の液体導入口251が設けられている。各液体導入口251には、各ホルダー部材141~143内に設けられた流路によって分配されたインクが供給される。各ヘッドチップ200は、フレキシブル配線基板246を有している。フレキシブル配線基板246の一端には、回路基板130に接続された接続端子部247が設けられている。
【0042】
図11は、ヘッドチップ200の概略構成を示す断面図である。
図11には、1個のヘッドチップ200と固定板150との断面が表されている。ヘッドチップ200は、インクを噴射するための複数のノズルNが設けられたノズルプレート210と、流路形成基板221と、圧力室基板222と、保護基板223と、コンプライアンス部230と、振動板240と、圧電素子245と、フレキシブル配線基板246と、ケース224とを備えている。
【0043】
ヘッドチップ200は、ノズルNに連通するインクの流路250として、インクを導入するための液体導入口251、リザーバー室R、個別流路253、圧力室C、および、連通流路255を有している。インクの流路250は、流路形成基板221、圧力室基板222、および、ケース224が積層されることによって構成されている。連通流路255と個別流路253とリザーバー室Rの下側部分とは、流路形成基板221に設けられている。圧力室Cは、圧力室基板222に設けられている。液体導入口251とリザーバー室Rの上側部分とは、ケース224に設けられている。
【0044】
液体導入口251からケース224内に導入されたインクは、リザーバー室Rに貯留される。リザーバー室Rは、ノズル列を構成する複数のノズルNのそれぞれに対応する複数の個別流路253に連通する共通流路である。リザーバー室Rに貯留されたインクは、個別流路253を介して圧力室Cに供給される。圧力室Cにて加圧されたインクは、連通流路255を介してノズルNから+Z方向へ噴射される。ヘッドチップ200には、ノズルNごとに、個別流路253、圧力室C、および、連通流路255が設けられている。
【0045】
ノズルプレート210、流路形成基板221、および、圧力室基板222は、単結晶のシリコンで形成されている。ケース224は、例えば、ザイロン(登録商標)や液晶ポリマー等の樹脂材料で形成されている。ノズルプレート210、流路形成基板221、圧力室基板222、および、ケース224の間は、接着剤によって相互に固定されている。
【0046】
流路形成基板221の底面には、ノズルプレート210と、コンプライアンス部230とが固定されている。ノズルプレート210は、連通流路255の下側に固定されている。コンプライアンス部230は、リザーバー室Rおよび個別流路253の下側に固定されている。コンプライアンス部230は、封止膜231と、支持体232とによって構成されている。封止膜231は、可撓性を有する膜状部材である。リザーバー室Rおよび個別流路253の下側は、封止膜231によって封止されている。封止膜231の外周縁は、枠状の支持体232によって支持されている。支持体232の底面は、固定板150に固定されている。コンプライアンス部230は、リザーバー室R内や個別流路253内におけるインクの圧力変動を抑制する。
【0047】
圧力室Cの上側は、振動板240によって封止されている。本実施形態では、振動板240は、酸化シリコン等の弾性を有する膜状部材と、酸化ジルコニウム等の絶縁性を有する膜状部材とが積層されて構成されている。上述した振動板240の酸化シリコン等の弾性を有する膜状部材と圧力室基板222とが一体化されて同じ部材で形成されてもよい。
【0048】
振動板240の上面には、駆動装置としての圧電素子245が設けられている。圧電素子245は、圧電体と、圧電体の両面に形成された電極とによって構成されている。圧電素子245の各電極は、ケース224内に設けられたフレキシブル配線基板246に電気的に接続されている。フレキシブル配線基板246は、回路基板130に電気的に接続されている。圧電素子245は、フレキシブル配線基板246を介して制御部15から駆動信号の供給を受けて振動板240とともに振動して、圧力室Cの容積を変化させる。圧力室Cの容積が縮小されることによって、圧力室C内のインクが加圧されて、ノズルNからインクが噴射される。なお、圧電素子245に代えて、駆動装置として発熱体が用いられてもよい。
【0049】
また、
図11に示す通り、固定板150の開口部155の縁およびコンプライアンス部230の縁と、ノズルプレート210の縁との間の隙間には、当該隙間を塞ぐための接着剤180が設けられている。接着剤180として、エポキシ系接着剤やシリコーン系接着剤等を用いることができる。接着剤180を設けることによって、当該隙間にインクが入り込むことを防止するとともに、ノズルプレート210の+Z方向側の面と固定板150の第1面151との段差を滑らかに接続することでワイピング動作による払拭性を向上できる。
【0050】
図12は、ホルダー140の構成を示す平面図である。
図12に示すように、第1ホルダー部材141は、上面部145と、外周壁146と、上述した上部流路管147とを有している。上面部145は、X方向およびY方向に平行な平面に沿って設けられている。外周壁146は、上面部145の外周縁から-Z方向に突き出している。外周壁146は、上面部145の外周縁に環状に設けられている。上部流路管147は、外周壁146の内側に配置されている。上部流路管147は、上面部145から-Z方向に向かって突き出している。上部流路管147は、管状に構成されており、内部にインクの流路を有している。上面部145には、各ヘッドチップ200のフレキシブル配線基板246が挿通されるスリット孔148が設けられている。なお、ホルダー140の外周壁146のことを「第2外周壁」と呼ぶことがある。ホルダー140の内部に設けられた流路、および、上部流路管147の内部に設けられた流路のことを「第2流路部」と呼ぶことがある。上部流路管147のことを「第2流路管」と呼ぶことがある。
【0051】
図13は、回路基板130の構成を示す平面図である。
図13には、ホルダー140に固定された状態の回路基板130が表されており、回路基板130とともにホルダー140の一部が表されている。上述したとおり、回路基板130は、+Z方向側の面である第1面131と、第1面131とは反対側である第2面132とを有している。
図13には、第2面132が表されている。第1面131は、
図12に示した第1ホルダー部材141の上面部145に接触している。つまり、第1面131は、ホルダー140に載置された、回路基板130の面である。
【0052】
回路基板130には、第2方向D2に沿って設けられた6個の開口部133が設けられている。各開口部133は、X方向に沿って並んで配置されている。6個の開口部133のうち、X方向における両端に配置された2個は、回路基板130の端部に切欠きとして設けられており、6個の開口部133のうち、X方向における両端に配置された2個を除いた4個は、スリット孔として設けられている。各開口部133には、ヘッドチップ200のフレキシブル配線基板246が挿通されている。
【0053】
回路基板130の第2面132には、複数の回路素子134と、各フレキシブル配線基板246の接続端子部247が電気的に接続された6個の第1接続部135と、信号ケーブルKBが差し込まれる2個のコネクター137と、各コネクター137が電気的に接続された2個の第2接続部136とが設けられている。第1接続部135は、フレキシブル配線基板246が挿通される開口部133に沿って並設された複数の接続端子の集合として構成されている。第2接続部136は、コネクター137に沿って並設された複数の接続端子の集合として構成されている。信号ケーブルKBは、制御部15と回路基板130との間を電気的に接続する。本実施形態では、信号ケーブルKBは、フレキシブルフラットケーブルである。なお、信号ケーブルKBは、フレキシブルフラットケーブルに限られず、フラットケーブル等の他の任意の種類の信号ケーブルであってもよい。また、本実施形態における複数の回路素子134は、例えば、抵抗、コンデンサー、トランジスタ、コイル等のディスクリート部品であり、回路基板130の第2面132から0.4ミリメートル以上突出している電子部品である。
【0054】
各第1接続部135は、各開口部133に隣り合うように配置されており、第2方向D2に延在している。各第1接続部135は、X方向に並んで配置されている。各接続端子部247は、第1接続部135に接続された状態で、第2方向D2に延在している。
【0055】
2個のコネクター137のうちの一方は、各第1接続部135に対して+Y方向側に配置されており、2個のコネクター137のうちの他方は、各第1接続部135に対して-Y方向側に配置されている。各第2接続部136は、各コネクター137に沿って設けられている。なお、各コネクター137の配置は、上述した配置に限られない。例えば、2個のコネクター137のうちの一方は、各第1接続部135に対して+X方向側に配置されてもよいし、2個のコネクター137のうちの他方は、各第1接続部135に対して-X方向側に配置されてもよい。
【0056】
図14は、カバー部材120の構成を示す平面図である。
図15は、
図7におけるXV-XV線断面図である。
図16は、
図9におけるA部の部分拡大図である。
図17は、
図10におけるB部の部分拡大図である。
図14には、ホルダー140に固定された状態のカバー部材120が表されており、カバー部材120とともにホルダー140の一部が表されている。
図15には、カバー部材120の断面とともに回路基板130の第2面132が表されている。
【0057】
図14および
図15に示すように、カバー部材120の本体部121は、基部125と、外周壁126と、6個の第1リブ128と、2個の第2リブ129とを有している。本体部121の+Y方向側の端部と、-Y方向側の端部には、信号ケーブルKBが挿通される開口部123が設けられている。なお、カバー部材120の外周壁126のことを「第1外周壁」と呼ぶことがある。
【0058】
図14に示すように、基部125は、X方向およびY方向に平行な平面に沿って設けられている。
図15に示すように、外周壁126は、+Z方向に見て、回路基板130の外周を囲むように環状に構成されている。
図9に示すように、外周壁126は、基部125の外周縁から+Z方向、および、-Z方向に向かって突き出している。本実施形態では、カバー部材120の外周壁126の下端部と第1ホルダー部材141の外周壁146の上端部とは、エポキシ系接着剤によって固定されている。なお、カバー部材120の外周壁126の下端部と第1ホルダー部材141の外周壁146の上端部とを接着する接着剤のことを「第2接着剤」と呼ぶことがある。カバー部材120の外周壁126と第1ホルダー部材141の外周壁146とが接着剤で固定されるのではなく、例えば、ネジによって固定されてもよい。
【0059】
図9に示すように、各第1リブ128は、基部125から回路基板130の第2面132に向かって、換言すれば、基部125から+Z方向に向かって突き出している。
図10に示すように、各第2リブ129は、基部125から回路基板130の第2面132に向かって、換言すれば、基部125から+Z方向に向かって突き出している。
【0060】
図15に示すように、各第1リブ128は、外周壁126の内側に配置されている。各第1リブ128は、第2方向D2に沿って設けられている。各第1リブ128は、X方向に沿って並んで配置されている。各第1リブ128は、第2方向D2に長尺に構成されている。各第1リブ128は、+Z方向に見て、各接続端子部247に重なる位置に配置されている。各第1リブ128は、第2方向D2において、各接続端子部247よりも長尺であり、各接続端子部247の一端から他端まで重なっている。各第1リブ128は、+Z方向に見て、複数の回路素子134には重ならない位置に配置されている。なお、各第1リブ128は、第2方向D2において、各接続端子部247よりも長尺であることが好ましいが、各接続端子部247よりも短尺でもよい。各第1リブ128は、+Z方向に見て、回路素子134には重ならない位置に配置されることが好ましいが、回路素子134に重なる位置に配置されてもよい。
【0061】
図16に示すように、カバー部材120の外周壁126が第1ホルダー部材141の外周壁146に固定された状態で、各第1リブ128は、各接続端子部247に対して第1間隔W1を空けて配置されている。第1間隔W1は、複数の回路素子134のうちの最も第2面132から-Z方向に突出している回路素子134である最大突出回路素子の先端から第2面132までの距離Hmaxよりも小さい。最大回路素子の先端からカバー部材120の最大回路素子に対向する面までの第2間隔W2は、第1間隔W1よりも大きい。本実施形態では、第1間隔W1は、0.49ミリメートル以下である。最大突出回路素子の先端から第2面132までの距離Hmaxは、0.90ミリメートル以上である。第2間隔W2は、0.16~0.64ミリメートルである。なお、カバー部材120の外周壁126が第1ホルダー部材141の外周壁146に固定された状態で、各第1リブ128の一部が各接続端子部247に接触してもよい。第1間隔W1は、最大突出回路素子の先端から第2面132までの距離Hmax未満でもよい。第2間隔W2は、第1間隔W1以下でもよい。
【0062】
各第1リブ128と各接続端子部247との間には、接着剤161が配置されており、第1リブ128と接続端子部247とが接着剤161によって接続されている。接着剤161は、絶縁性を有する接着剤であることが好ましい。接着剤161のデュロメータ硬さは、デュロメータ硬さ(JIS K 6253)のタイプDで70度以上であることが好ましい。接着剤161のデュロメータ硬さは、摂氏25度の環境下で80度以上であることがさらに好ましい。本実施形態では、接着剤161は、エポキシ系接着剤である。接着剤161は、主剤としてエポキシ樹脂を含有しており、硬化剤として脂肪族アミン、ポリアミド、あるいは、ポリチオール等を含有している。なお、接着剤161のことを「第1接着剤」と呼ぶことがある。接着剤161は、絶縁性を有することが好ましいが、絶縁性を有しなくてもよい。接着剤161のデュロメータ硬さは、デュロメータ硬さのタイプDで70度以上であることが好ましいが、デュロメータ硬さのタイプDで70度未満であってもよい。接着剤161は、エポキシ系接着剤以外の接着剤であってもよい。
【0063】
図15に示すように、各第2リブ129は、外周壁126の内側に配置されている。2個の第2リブ129のうちの1個は、各第1リブ128に対して+Y方向側に配置されており、2個の第2リブ129のうちの1個は、各第1リブ128に対して-Y方向側に配置されている。各第2リブ129は、X方向に沿って設けられている。各第2リブ129は、X方向に長尺に構成されている。
【0064】
図17に示すように、カバー部材120の外周壁126が第1ホルダー部材141の外周壁146に固定された状態で、第2リブ129は、回路基板130の第2面132に対して間隔を空けて配置されている。なお、カバー部材120の外周壁126が第1ホルダー部材141の外周壁146に固定された状態で、各第2リブ129の一部が第2面132に接触してもよい。
【0065】
コネクター137は、信号ケーブルKBの端子が差し込まれる筐体部138と、第2接続部136に電気的に接続される基板接続部139とを有している。基板接続部139は、Y方向において、筐体部138と第2リブ129との間に配置されている。なお、基板接続部139は、+Z方向に見て、第2リブ129と重なってもよい。
【0066】
第2リブ129と第2面132との間には、接着剤162が配置されている。接着剤162は、基板接続部139の少なくとも一部を覆っている。本実施形態では、接着剤162は、基板接続部139の全体を覆っている。本実施形態では、接着剤162は、第1リブ128と接続端子部247との間に配置された接着剤161と同じエポキシ系接着剤である。なお、接着剤162のことを「第3接着剤」と呼ぶことがある。接着剤162は、第1リブ128と接続端子部247との間に配置された接着剤161とは異なる接着剤でもよい。
【0067】
図18は、フィルターユニット110の構成を示す上面図である。
図18には、フィルターユニット110とともにネジ101とカバー部材120とが表されている。本実施形態では、フィルターユニット110とカバー部材120とは、+Z方向に見て、回路基板130に重なる位置でネジ101によって締結されている。なお、フィルターユニット110とカバー部材120とは、+Z方向に見て、回路基板130に重ならない位置でネジ101によって締結されてもよい。
【0068】
図19は、固定板150に設けられた当接領域Rcを示す底面図である。固定板150の+Z方向側の面には、キャッピングの際にキャップ53のリブ56が当接する当接領域Rcが設けられている。本実施形態では、当接領域Rcは、6個の開口部155を囲むように設けられている。各第1リブ128は、当接領域Rcの内側に配置されている。
【0069】
以上で説明した本実施形態における液体噴射装置10によれば、各第1リブ128と各フレキシブル配線基板246の接続端子部247との間に接着剤161が配置されているので、カバー部材120と第1ホルダー部材141との間に設けられた回路基板130を収容する空間に侵入した大気中の水分が、各接続端子部247に付着することを抑制できる。そのため、各接続端子部247に電気的な不具合が生じることを抑制できる。さらに、カバー部材120に設けられた6個の第1リブ128によって、液体噴射ヘッド100の剛性を高めることができる。さらに、各第1リブ128と各接続端子部247とが接着剤161によって接着されているので、例えば、キャッピングの際に、液体噴射ヘッド100に対してZ方向に沿った外力が加わった場合に、カバー部材120の外周壁126と第1ホルダー部材141の外周壁146とに作用する応力を、各第1リブ128と各接続端子部247とが接着されていない形態に比べて小さくすることができるので、液体噴射ヘッド100の変形を効果的に抑制できる。さらに、第1リブ128が設けられずに基部125と各接続端子部247との間を接着剤161で埋められる形態に比べて、接着剤161の量を少なくすることができる。さらに、第1リブ128を、接着剤161を塗布する位置の目印にすることができるので、接着剤161を塗布する作業を容易化できる。
【0070】
また、本実施形態では、カバー部材120の外周壁126と第1ホルダー部材141の外周壁146とが接着剤で接着されるので、カバー部材120と第1ホルダー部材141との間に設けられた空間への水分の侵入を抑制できる。さらに、カバー部材120の外周壁126と第1ホルダー部材141の外周壁146とが固定された状態で、各第1リブ128は各接続端子部247に対して間隔を空けて配置されている。そのため、カバー部材120の外周壁126と第1ホルダー部材141の外周壁146とを固定する際に各第1リブ128が各接続端子部247に接触することによってカバー部材120の外周壁126と第1ホルダー部材141の外周壁146との間に隙間が生じることを抑制できる。
【0071】
また、本実施形態では、第2方向D2において、各第1リブ128は、各接続端子部247よりも長尺である。そのため、第2方向D2に沿って第1リブ128の先端に塗布される接着剤161によって各接続端子部247を覆うことができる。さらに、各第1リブ128が各接続端子部247よりも長尺であるため、カバー部材120の剛性を確保しやすくできる。
【0072】
また、本実施形態では、カバー部材120に設けられた各第2リブ129によって液体噴射ヘッド100の剛性を高めることができる。さらに、各第1リブ128が延在する第2方向D2に交差するX方向に沿って各第2リブ129が延在するので、X方向および第2方向D2に液体噴射ヘッド100の剛性を高めることができる。特に、本実施形態では、第2リブ129は、+Z方向に見て、各接続端子部247とコネクター137との間に配置されており、第2リブ129と回路基板130の第2面132との間には、接着剤162が配置されている。そのため、信号ケーブルKBが挿通される開口部123から侵入する水分が、各接続端子部247まで移動することを抑制できる。
【0073】
また、本実施形態では、カバー部材120の外周壁126とホルダー140の外周壁146とが固定された状態で、各第2リブ129は回路基板130の第2面132に対して間隔を空けて配置されている。そのため、カバー部材120の外周壁126と第1ホルダー部材141の外周壁146とを固定する際に第2リブ129が第2面132に接触してカバー部材120の外周壁126と第1ホルダー部材141の外周壁146との間に隙間が生じることを抑制できる。
【0074】
また、本実施形態では、各第2リブ129と第2面132との間に配置された接着剤162によって、基板接続部139の少なくとも一部が覆われている。そのため、基板接続部139に水分が付着することに起因して基板接続部139に電気的な不具合が生じることを抑制できる。
【0075】
また、本実施形態では、カバー部材120は、複数の第1リブ128を有する本体部121を備え、本体部121は、エラストマーを除く熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂によって構成されている。そのため、第1リブ128が可撓性の部材で構成されている場合に比べ、液体噴射ヘッド100に+Z方向または-Z方向へ力が加えられた場合に発生する液体噴射ヘッド100の変形を、剛性を有する第1リブ128によって抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態では、カバー部材120は、エラストマーを除く熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂で形成された本体部121と、エラストマーで形成された弾性シール部122とを有している。そのため、本体部121によってカバー部材120の剛性を確保しつつ、弾性シール部122によってフィルターユニット110の下部流路管116とホルダー140の上部流路管147との間のシール性を確保することができる。特に、本実施形態では、カバー部材120は、本体部121と弾性シール部122とが一体化されて構成されているので、液体噴射ヘッド100の部品点数を少なくすることができる。
【0077】
また、本実施形態では、各液体噴射ヘッド100は、フィルターユニット110を備えている。そのため、インクに混入した異物等をフィルター112によって捕集できるので、各ヘッドチップ200に供給されるインクに異物等が混入することを抑制できる。
【0078】
また、本実施形態では、フィルターユニット110およびカバー部材120は、ネジ101によって締結されている。そのため、カバー部材120に各第1リブ128が設けられることによって、カバー部材120に対してフィルターユニット110がネジ101によって締結される際の締結力によってカバー部材120が変形することを抑制できる。特に、本実施形態では、フィルターユニット110およびカバー部材120は、+Z方向に見て、回路基板130に重なる位置でネジ101によって締結されている。そのため、各第1リブ128に近い位置でカバー部材120に対してフィルターユニット110が締結されるので、締結力を各第1リブ128に分散しやすくできる。
【0079】
また、本実施形態では、各第1リブ128は、+Z方向に見て、各回路素子134には重ならない。そのため、回路素子134に第1リブ128が接触して、回路素子134が損傷することを抑制できる。
【0080】
また、本実施形態では、第1リブ128と接続端子部247との間の第1間隔W1は、最大突出回路素子の先端から第2面132までの距離Hmaxよりも小さい。そのため、第1間隔W1を小さくすることができるので、第1リブ128と接続端子部247との間に配置される接着剤161の量を少なくすることができる。
【0081】
また、本実施形態では、最大突出回路素子の先端から最大突出回路素子に対向するカバー部材120の面までの第2間隔W2は、第1間隔W1よりも大きい。そのため、液体噴射ヘッド100が変形することによって、接着剤161が潰れて第1リブ128と接続端子部247とが近接したとしても、最大突出回路素子がカバー部材120に接触することを抑制できる。そのため、カバー部材120との接触による最大突出回路素子の損傷を抑制できる。
【0082】
また、本実施形態では、接着剤161は、絶縁性を有する接着剤である。そのため、接続端子部247の絶縁性を確保できるので、接続端子部247の電気的な不具合を抑制できる。
【0083】
また、本実施形態では、接着剤161は、エポキシ系接着剤である。そのため、接着剤を潰れにくくできる。特に、本実施形態では、接着剤161のデュロメータ硬さは、デュロメータ硬さのタイプDで70度以上であるため、接着剤161を確実に潰れにくくできる。
【0084】
また、本実施形態では、キャップ53が噴射面に対してZ方向に相対移動して噴射面に当接することによって噴射面を密封するキャッピングを行うが、カバー部材120に第1リブ128が設けられることによって液体噴射ヘッド100の剛性を高めることができるので、キャップ53が噴射面に当接した際に液体噴射ヘッド100が変形することを抑制できる。
【0085】
B.他の実施形態:
(B1)
図20は、他の実施形態における当接領域を示す説明図である。上述した実施形態の液体噴射装置10では、1個の液体噴射ヘッド100に対して1個のキャップ53が設けられており、1個の固定板150には1個の当接領域Rcが設けられている。これに対して、1個の液体噴射ヘッド100に対して複数のキャップ53が設けられ、1個の固定板150に複数の当接領域が設けられてもよい。例えば、固定板150は、
図20に示すように、6個の開口部155のうちの-X方向側に配置された3個の開口部155を囲むように設けられた当接領域Rc1と、6個の開口部155のうちの+X方向側に配置された3個の開口部155を囲むように設けられた当接領域Rc2とを有してもよい。各当接領域Rc1,Rc2は、各第1リブ128を、各当接領域Rc1,Rc2が設けられた面に垂直に投影した複数の投影像のうちの少なくとも1つの投影像を囲むように設けられてもよい。つまり、各第1リブ128の投影像の+Y方向側の端部を結ぶ第1仮想線LN1と、各第1リブの投影像の-Y方向側の端部を結ぶ第2仮想線LN2と、6個の第1リブのうちの最も-X方向側に配置された第1リブの投影像の-X方向側の長辺と、6個の第1リブのうちの最も+X方向側に配置された第1リブの投影像の+X方向側の長辺とによって囲まれる領域Riは、当接領域Rc1および当接領域Rc2に重なる部分を有してもよい。この場合、複数の当接領域Rc1,Rc2が設けられることによって、キャッピングの際に液体噴射ヘッド100に対して-Z方向への力が働きやすくなるが、各第1リブ128によって、キャッピングの際に働く力を分散させることができるので、液体噴射ヘッド100の変形を抑制できる。
【0086】
(B2)上述した実施形態の液体噴射装置10では、液体噴射ヘッド100のカバー部材120には、2個の第2リブ129が設けられている。これに対して、カバー部材120に設けられる第2リブ129の数は1個でもよい。カバー部材120に第2リブ129が設けられていなくてもよい。
【0087】
(B3)上述した実施形態の液体噴射装置10では、液体噴射ヘッド100のコネクター137の基板接続部139の少なくとも一部は、接着剤162で覆われている。これに対して、基板接続部139は、接着剤162で覆われていなくてもよい。
【0088】
(B4)上述した実施形態の液体噴射装置10では、液体噴射ヘッド100のヘッドチップ200や、フレキシブル配線基板246の接続端子部247や、回路基板130の第1接続部135や、カバー部材120の第1リブ128は、第2方向D2に延在している。
これに対して、液体噴射ヘッド100のヘッドチップ200や、フレキシブル配線基板246の接続端子部247や、回路基板130の第1接続部135や、カバー部材120の第1リブ128は、Y方向に延在してもよい。
【0089】
(B5)上述した実施形態の液体噴射装置10において、液体噴射ヘッド100に、フィルターユニット110が設けられなくてもよい。
【0090】
(B6)上述した実施形態の液体噴射装置10は、キャッピング機構50を備えている。これに対して、液体噴射装置10は、キャッピング機構50を備えなくてもよい。
【0091】
(B7)上述した実施形態の液体噴射装置10は、吸引機構60を備えている。これに対して、液体噴射装置10は、吸引機構60を備えなくてもよい。
【0092】
(B8)上述した実施形態の液体噴射装置10は、払拭機構70を備えている。これに対して、液体噴射装置10は、払拭機構70を備えなくてもよい。
【0093】
(B9)上述した実施形態の液体噴射装置10は、媒体Mを搬送する搬送機構40を備えている。これに対して、液体噴射装置10は、搬送機構40は、媒体Mを搬送せずに、ヘッドユニット30をY方向に沿って移動させることによって、媒体Mとヘッドユニット30とを相対移動させてもよい。
【0094】
(B10)上述した実施形態の液体噴射装置10は、ラインプリンターとして構成されている。これに対して、液体噴射装置10は、シリアルプリンターとして構成されてもよい。この場合、液体噴射装置10は、液体噴射ヘッド100を保持し、媒体Mの搬送方向である+Y方向に直交するX方向に沿って往復移動するキャリッジを備えてもよい。
【0095】
(B11)
図21は、他の実施形態におけるヘッドユニット30の第1液体流出口Di1の構成を示す第1の断面図である。上述した各実施形態の液体噴射装置10において、
図5に示した圧力調整弁500に代えて、
図21に示す圧力調整部600がヘッドユニット30の分配流路部材31内に設けられてもよい。圧力調整部600は、ハウジング610と、可撓性を有するフィルム部材620とを備えている。ハウジング610内には、ダンパー室611と、流入路612と、流出路613とが設けられている。ダンパー室611は、ハウジング610に設けられた凹部の開口部をフィルム部材620で封止することで形成されている。ダンパー室611は、流入路612を介して個別流路FPに連通しており、流出路613を介して第1液体流出口Di1に連通している。第1液体流出口Di1には、液体噴射ヘッド100に設けられた供給針105が挿通されている。第1液体流出口Di1の内径と供給針105の外径とは略同一である。流入路612からダンパー室611内に流入したインクは、流出路613を介して液体噴射ヘッド100に供給される。ダンパー室611の内壁面の一部は、可撓性を有するフィルム部材620で構成されているので、フィルム部材620が撓むことによって、液体噴射ヘッド100に供給されるインクの圧力変動を抑制できる。
【0096】
(B12)
図22は、他の実施形態におけるヘッドユニット30の第1液体流出口Di1の構成を示す第2の断面図である。上述した各実施形態の液体噴射装置10において、
図5に示した圧力調整弁500が設けられなくてもよい。この場合、
図22に示すように、個別流路FPの端部に設けられた第1液体流出口Di1に、液体噴射ヘッド100に設けられた供給針105が挿通される。第1液体流出口Di1の内径と供給針105の外径とは略同一である。
【0097】
(B13)上述した各実施形態では、X方向およびY方向は、水平面に平行な方向であり、+Z方向は、重力方向であるが、これには限られない。例えば、ノズルNから液体が噴射される方向である+Z方向は、重力方向と異なる方向でもよく、そして、X方向およびY方向は、水平面に平行ではない方向であってもよい。
【0098】
C.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0099】
(1)本開示の第1の形態によれば、液体噴射ヘッドが提供される。この液体噴射ヘッドは、第1方向へ液体を噴射する複数のヘッドチップと、前記複数のヘッドチップが固定されたホルダーと、前記ホルダーに対して前記第1方向とは反対方向に配置された回路基板と、前記回路基板に対して前記第1方向とは反対方向に配置されたカバー部材と、を備える。前記複数のヘッドチップのそれぞれは、フレキシブル配線基板を有し、前記フレキシブル配線基板は、前記回路基板に接続される接続端子部を有し、前記回路基板は、前記ホルダーに載置された第1面と、前記第1面とは反対側の面であり、前記接続端子部が接続される第2面と、を有し、前記カバー部材は、前記回路基板の前記第2面に向けて突出する複数の第1リブを有し、前記複数の第1リブは、前記第1方向に見て、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部のそれぞれに重なる位置に配置され、前記複数の第1リブと前記複数のヘッドチップの前記接続端子部との間には、第1接着剤が配置される。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、ホルダーとカバー部材との間に配置された回路基板に接続されるフレキシブル基板の接続端子部とカバー部材の第1リブとの間に第1接着剤が配置されるので、ホルダーとカバー部材との間に侵入した大気中の水分が接続端子部に付着することを抑制できる。そのため、接続端子部に電気的な不具合が生じることを抑制できる。さらに、カバー部材に第1リブが設けられることによって液体噴射ヘッドの剛性を高めることができる。
【0100】
(2)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記カバー部材は、前記第1方向に見て、前記回路基板を囲む環状の第1外周壁を有し、前記ホルダーは、前記第1方向に見て、前記回路基板を囲む環状の第2外周壁を有し、前記カバー部材および前記ホルダーは、前記第1外周壁と前記第2外周壁とが第2接着剤によって接着されることで固定され、前記複数の第1リブのそれぞれは、前記第1外周壁と前記第2外周壁とが固定された状態において、前記接続端子部に対して間隔を空けて配置されてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、第1外周壁と第2外周壁とが第2接着剤で接着されるので、ホルダーとカバー部材との間への水分の侵入を抑制できる。さらに、第1外周壁と第2外周壁とが固定された状態において第1リブは接続端子部に対して間隔を空けて配置されるので、第1外周壁と第2外周壁とを固定する際に第1リブが接続端子部に接触することに起因して第1外周壁と第2外周壁との間に隙間が生じることを抑制できる。
【0101】
(3)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記接続端子部および前記第1リブのそれぞれは、前記第1方向に直交する第2方向に延在し、前記第1リブは、前記第2方向において前記接続端子部よりも長尺であってもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、第1リブが接続端子部よりも長尺であるため、第1リブと接続端子部との間に配置された第1接着剤によって接続端子部の全体を覆うことができる。さらに、第1リブが接続端子部よりも長尺であるため、第1リブの強度を確保しやすくできる。
【0102】
(4)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記接続端子部および前記第1リブのそれぞれは、前記第1方向に直交する第2方向に延在し、前記複数のヘッドチップは、前記第1方向に直交するとともに前記第2方向に交差する第3方向に並んで配置され、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部は、前記第3方向に並んで配置され、前記複数の第1リブは、前記第3方向に並んで配置されてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、第2方向および第3方向の双方に液体噴射ヘッドの剛性を高めることができる。
【0103】
(5)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記回路基板の前記第2面には、信号ケーブルが接続されるコネクターが配置され、前記カバー部材は、前記信号ケーブルが挿通される開口部と、前記回路基板の前記第2面に向けて突出する第2リブと、を有し、前記第2リブは、前記第1方向に見て、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部と前記コネクターとの間に配置され、前記第2リブと前記回路基板の前記第2面との間には、第3接着剤が配置されてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、カバー部材に第2リブが設けられることによって液体噴射ヘッドの剛性をより高めることができる。さらに、信号ケーブルが接続されるコネクターと接続端子部との間に第2リブが設けられており、第2リブと回路基板との間に第3接着剤が配置されるので、信号ケーブルが挿通される開口部から侵入した水分が、接続端子部が配置された空間に移動することを抑制できる。
【0104】
(6)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記コネクターは、前記複数のヘッドチップの前記接続端子部に対して、前記第1方向および前記第3方向の双方に直交する第4方向に配置され、前記第2リブは、前記第3方向に長尺であってもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、複数の第1リブの配列方向に沿って第2リブが延在するので、液体噴射ヘッドの剛性を効果的に高めることができる。
【0105】
(7)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記カバー部材は、前記第1方向に見て、前記回路基板を囲む環状の第1外周壁を有し、前記ホルダーは、前記第1方向に見て、前記回路基板を囲む環状の第2外周壁を有し、前記カバー部材および前記ホルダーは、前記第1外周壁と前記第2外周壁とが第2接着剤によって接着されることで固定され、前記第2リブは、前記カバー部材が前記ホルダーに固定された状態において、前記回路基板の前記第2面に対して間隔を空けて設けられてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、第1外周壁と第2外周壁とが第2接着剤で接着されるので、ホルダーとカバー部材との間への水分の侵入を抑制できる。さらに、第1外周壁と第2外周壁とが固定された状態において第2リブは回路基板の第2面に対して間隔を空けて配置されるので、第1外周壁と第2外周壁とを固定する際に第2リブが第2面に接触することに起因して第1外周壁と第2外周壁との間に隙間が生じることを抑制できる。
【0106】
(8)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記コネクターは、前記信号ケーブルの端子が差し込まれる筐体部と、前記回路基板に電気的に接続される基板接続部と、を有し、前記基板接続部は、前記第1方向に見て、前記筐体部と前記第2リブとの間に配置され、前記第3接着剤は、前記基板接続部の少なくとも一部を覆ってもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、コネクターの基板接続部の少なくとも一部が第3接着剤によって覆われるので、基板接続部に水分が付着することに起因してコネクターに電気的な不具合が生じることを抑制できる。
【0107】
(9)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記カバー部材は、前記複数の第1リブを有する本体部を備え、前記本体部は、エラストマーを除く熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂によって構成されてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、第1リブが可撓性の部材で構成されている場合に比べ、液体噴射ヘッドに第1方向または第1方向とは反対方向へ力が加えられた場合に発生する液体噴射ヘッドの変形を、剛性を有する第1リブによって抑制することができる。
【0108】
(10)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記液体噴射ヘッドは、さらに、前記カバー部材に対して前記第1方向とは反対方向に配置された流路部材を備え、前記流路部材は、第1流路部と、前記第1流路部の一部を構成するとともに前記ホルダーへ向かって突出する第1流路管と、を有し、前記ホルダーは、前記第1流路部に連通し、前記複数のヘッドチップへ前記液体を供給する第2流路部と、前記第2流路部の一部を構成するとともに前記流路部材へ向かって突出する第2流路管と、を有し、前記カバー部材は、前記第1流路管と前記第2流路管とが挿入される弾性を有する弾性シール部を備え、前記本体部および前記弾性シール部は、一体として設けられてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、本体部によってカバー部材の剛性を確保しつつ、弾性シール部材によって第1流路管と第2流路管との間のシール性を確保することができる。さらに、本体部と弾性シール部材とが一体として設けられるので、液体噴射ヘッドの部品点数を少なくできる。
【0109】
(11)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記液体噴射ヘッドは、さらに、前記カバー部材に対して前記第1方向とは反対方向に配置された流路部材を備え、前記流路部材および前記カバー部材は、ネジによって締結されてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、カバー部材に第1リブが設けられているので、カバー部材に対して流路部材がネジによって締結される際の締結力によってカバー部材が変形することを抑制できる。
【0110】
(12)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記流路部材および前記カバー部材は、前記第1方向に見て、前記回路基板に重なる位置で前記ネジによって締結されてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、第1リブに比較的近い位置である回路基板に重なる位置で、流路部材とカバー部材とがネジによって締結されるので、カバー部材に対して流路部材がネジによって締結される際の締結力によってカバー部材が変形することを効果的に抑制できる。
【0111】
(13)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記流路部材は、前記液体が通過するフィルターを有してもよい。
【0112】
(14)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記回路基板の前記第2面には、複数の回路素子が設けられ、前記複数の第1リブは、前記第1方向に見て、前記複数の回路素子には重ならなくてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、回路素子に第1リブが接触することに起因して回路素子が損傷することを抑制できる。
【0113】
(15)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記第1リブは、前記カバー部材が前記ホルダーに固定された状態において、前記接続端子部に対して第1間隔を空けて配置され、前記第1間隔は、前記複数の回路素子のうち、前記回路基板の前記第2面から最も突出している最大突出回路素子の先端から前記第2面までの距離よりも小さくてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、第1リブと接続端子部との第1間隔を小さくすることができるので、第1リブと接続端子部との間に配置される第1接着剤の量を少なくできる。
【0114】
(16)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記最大突出回路素子の前記先端から前記カバー部材の前記最大突出回路素子に対向する面までの第2間隔は、前記第1間隔よりも大きくてもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、液体噴射ヘッドが変形することによって第1接着剤が潰れて第1リブと接続端子部との間隔が小さくなった場合に、最大突出回路素子がカバー部材に接触することを抑制できる。そのため、カバー部材との接触による最大回路素子の損傷を抑制できる。
【0115】
(17)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記第1接着剤は、絶縁性を有する接着剤であってもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、接続端子部の絶縁性を確保できるので、接続端子部の電気的な不具合を抑制できる。
【0116】
(18)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記第1接着剤は、エポキシ系接着剤であってもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、第1接着剤を潰れにくくできる。
【0117】
(19)上記形態の液体噴射ヘッドにおいて、前記第1接着剤のデュロメータ硬さは、前記デュロメータ硬さのタイプDで70度以上であってもよい。
この形態の液体噴射ヘッドによれば、第1接着剤を潰れにくくできる。
【0118】
(20)本開示の第2の形態によれば、液体噴射装置が提供される。この液体噴射装置は、上述した第1の形態の液体噴射ヘッドと、キャップと、を備える。前記液体噴射ヘッドは、前記液体を噴射する噴射面を有し、前記キャップは、前記噴射面に対して前記第1方向とは反対方向に相対移動して前記噴射面に当接することによって前記噴射面を密封する。
この形態の液体噴射装置によれば、ホルダーとカバー部材との間に配置された回路基板に接続されるフレキシブル基板の接続端子部とカバー部材の第1リブとの間に第1接着剤が配置されるので、ホルダーとカバー部材との間に侵入した大気中の水分が接続端子部に付着することを抑制できる。そのため、接続端子部に電気的な不具合が生じることを抑制できる。さらに、カバー部材に第1リブが設けられることによって液体噴射ヘッドの剛性を高めることができるので、キャップが噴射面に当接した際に液体噴射ヘッドが変形することを抑制できる。
【0119】
(21)上記形態の液体噴射装置において、上述した第1の形態の液体噴射ヘッドと、複数のキャップと、を備え、前記液体噴射ヘッドは、前記液体を噴射する噴射面を有し、前記複数のキャップは、前記噴射面に対して前記第1方向とは反対方向に相対移動して前記噴射面に当接することによって前記噴射面を密封し、前記噴射面には、前記複数のキャップが当接する複数の当接領域が設けられ、前記複数の当接領域のそれぞれは、前記複数の第1リブのそれぞれを前記噴射面に垂直に投影した複数の投影像のうちの少なくとも1つの投影像を囲むように設けられてもよい。
この形態の液体噴射装置によれば、ホルダーとカバー部材との間に侵入した大気中の水分が接続端子部に付着することを抑制できる。さらに、各キャップが噴射面に当接した際に液体噴射ヘッドが変形することを効果的に抑制できる。
【0120】
(22)上記形態の液体噴射装置において、上述した第1の形態の液体噴射ヘッドと、前記コネクターに接続される前記信号ケーブルと、を備えてもよい。
この形態の液体噴射装置によれば、信号ケーブルを備える形態において、ホルダーとカバー部材との間に侵入した大気中の水分が接続端子部に付着することを抑制するとともに、液体噴射ヘッドの剛性を高めることができる。
【0121】
(23)上記形態の液体噴射装置において、上述した第1の形態の液体噴射ヘッドと、媒体を搬送する搬送機構と、を備えてもよい。
この形態の液体噴射装置によれば、搬送機構を備える形態において、ホルダーとカバー部材との間に侵入した大気中の水分が接続端子部に付着することを抑制するとともに、液体噴射ヘッドの剛性を高めることができる。
【0122】
本開示は、液体噴射ヘッド以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、液体噴射装置、ヘッドユニット等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0123】
10…液体噴射装置、15…制御部、20…液体容器、30…ヘッドユニット、40…搬送機構、50…キャッピング機構、60…吸引機構、70…払拭機構、100…液体噴射ヘッド、101…ネジ、110…フィルターユニット、111…流路部材、112…フィルター、120…カバー部材、121…本体部、122…弾性シール部、123…開口部、128…第1リブ、129…第2リブ、130…回路基板、134…回路素子、135…第1接続部、136…第2接続部、137…コネクター、138…筐体部、139…基板接続部、140…ホルダー、141…第1ホルダー部材、142…第2ホルダー部材、143…第3ホルダー部材、150…固定板、161~162…接着剤、200…ヘッドチップ、246…フレキシブル配線基板、247…接続端子部