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  • 特許-端末装置、記録方法、およびプログラム 図1
  • 特許-端末装置、記録方法、およびプログラム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】端末装置、記録方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020155097
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049065
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三品 喬弘
(72)【発明者】
【氏名】坂爪 智
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発行者が認証した認証済みプログラムを取得するプログラム取得部と、
処理対象となるコンテンツデータを取得するコンテンツデータ取得部と、
前記認証済みプログラムを用いて、前記コンテンツデータに対して所定の処理を行って変更済みコンテンツデータを生成する変更処理部と、
自端末装置の固有情報に基づき前記自端末装置を特定可能な端末識別情報を生成する端末識別情報生成部と、
前記認証済みプログラムを特定可能なプログラム識別情報を前記認証済みプログラムに基づき生成し、前記コンテンツデータを特定可能なコンテンツ識別情報を前記コンテンツデータに基づき生成し、前記変更済みコンテンツデータを特定可能な変更済みコンテンツ識別情報を前記変更済みコンテンツデータに基づき生成する固有識別情報生成部と、
前記端末識別情報と、前記プログラム識別情報と、前記コンテンツ識別情報と、前記変更済みコンテンツ識別情報に基づいて、処理履歴情報を生成する処理履歴情報生成部と、
を備える、端末装置。
【請求項2】
前記コンテンツデータは、撮像部が撮影した画像から生成された画像列であり、
前記変更処理部は、前記画像列に対して、所定の検出処理により対象領域を特定して対象領域情報を生成し、前記変更済みコンテンツデータとして、所定の不可逆な加工処理により加工画像を生成し、
前記処理履歴情報生成部は、前記処理履歴情報に前記対象領域情報を含める、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
端末装置の制御部が、
発行者が認証した認証済みプログラムを取得するステップと、
処理対象となるコンテンツデータを取得するステップと、
前記認証済みプログラムを用いて、前記コンテンツデータに対して所定の処理を行って変更済みコンテンツデータを生成するステップと、
前記端末装置の固有情報に基づき前記端末装置を特定可能な端末識別情報を生成するステップと、
前記認証済みプログラムを特定可能なプログラム識別情報を前記認証済みプログラムに基づき生成し、前記コンテンツデータを特定可能なコンテンツ識別情報を前記コンテンツデータに基づき生成し、前記変更済みコンテンツデータを特定可能な変更済みコンテンツ識別情報を前記変更済みコンテンツデータに基づき生成するステップと、
前記端末識別情報と、前記プログラム識別情報と、前記コンテンツ識別情報と、前記変更済みコンテンツ識別情報に基づいて、処理履歴情報を生成するステップと、
実行する、記録方法。
【請求項4】
端末装置の制御部に、
発行者が認証した認証済みプログラムを取得するステップと、
処理対象となるコンテンツデータを取得するステップと、
前記認証済みプログラムを用いて、前記コンテンツデータに対して所定の処理を行って変更済みコンテンツデータを生成するステップと、
前記端末装置の固有情報に基づき前記端末装置を特定可能な端末識別情報を生成するステップと、
前記認証済みプログラムを特定可能なプログラム識別情報を前記認証済みプログラムに基づき生成し、前記コンテンツデータを特定可能なコンテンツ識別情報を前記コンテンツデータに基づき生成し、前記変更済みコンテンツデータを特定可能な変更済みコンテンツ識別情報を前記変更済みコンテンツデータに基づき生成するステップと、
前記端末識別情報と、前記プログラム識別情報と、前記コンテンツ識別情報と、前記変更済みコンテンツ識別情報とに基づいて、処理履歴情報を生成するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、記録方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダなどで撮影された画像に含まれる人物などのプライバシーを保護するために、画像に対して加工処理を施す技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像に写り込んだ対象についてプライバシーを保護しながら運転状況などの状況を把握しやすい画像を生成することのできる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-124825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライブレコーダで撮影された画像や音声などのコンテンツを事故の検証などに用いる場合、コンテンツに加工処理が施されている場合、証拠能力を担保することが難しくなることがある。
【0006】
本発明は、証拠能力が担保された加工済みコンテンツを生成することのできる端末装置、記録方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る端末装置は、発行者が認証した認証済みプログラムを取得するプログラム取得部と、処理対象となるコンテンツデータを取得するコンテンツデータ取得部と、前記認証済みプログラムを用いて、前記コンテンツデータに対して所定の処理を行って変更済みコンテンツデータを生成する変更処理部と、自端末の固有情報に基づき前記自端末を特定可能な端末識別情報を生成する端末識別情報生成部と、前記認証済みプログラムを特定可能なプログラム識別情報を前記認証済みプログラムに基づき生成し、前記コンテンツデータを特定可能なコンテンツ識別情報を前記コンテンツデータに基づき生成し、前記変更済みコンテンツデータを特定可能な変更済みコンテンツ識別情報を前記変更済みコンテンツデータに基づき生成する固有識別情報生成部と、前記端末識別情報と、前記プログラム識別情報と、前記コンテンツ識別情報と、前記変更済みコンテンツ識別情報に基づいて、処理履歴情報を生成する処理履歴情報生成部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る記録方法は、発行者が認証した認証済みプログラムを取得するステップと、処理対象となるコンテンツデータを取得するステップと、前記認証済みプログラムを用いて、前記コンテンツデータに対して所定の処理を行って変更済みコンテンツデータを生成するステップと、自端末の固有情報に基づき前記自端末を特定可能な端末識別情報を生成するステップと、前記認証済みプログラムを特定可能なプログラム識別情報を前記認証済みプログラムに基づき生成し、前記コンテンツデータを特定可能なコンテンツ識別情報を前記コンテンツデータに基づき生成し、前記変更済みコンテンツデータを特定可能な変更済みコンテンツ識別情報を前記変更済みコンテンツデータに基づき生成するステップと、前記端末識別情報と、前記プログラム識別情報と、前記コンテンツ識別情報と、前記変更済みコンテンツ識別情報に基づいて、処理履歴情報を生成するステップと、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、発行者が認証した認証済みプログラムを取得するステップと、処理対象となるコンテンツデータを取得するステップと、前記認証済みプログラムを用いて、前記コンテンツデータに対して所定の処理を行って変更済みコンテンツデータを生成するステップと、自端末の固有情報基づき前記自端末を特定可能な端末識別情報を生成するステップと、前記認証済みプログラムを特定可能なプログラム識別情報を前記認証済みプログラムに基づき生成し、前記コンテンツデータを特定可能なコンテンツ識別情報を前記コンテンツデータに基づき生成し、前記変更済みコンテンツデータを特定可能な変更済みコンテンツ識別情報を前記変更済みコンテンツデータに基づき生成するステップと、前記端末識別情報と、前記プログラム識別情報と、前記コンテンツ識別情報と、前記変更済みコンテンツ識別情報とに基づいて、処理履歴情報を生成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、証拠能力が担保された加工画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る記録システムの構成を説明するための図である。
図2図2は、実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る処理履歴情報を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る端末装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0013】
[記録システム]
図1を用いて、実施形態に係る記録システムの構成について説明する。図1は、実施形態に係る記録システムの構成を説明するための図である。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係る記録システム1は、端末装置100と、サーバ200と、を含む。端末装置100と、サーバ200とは、例えば、無線のネットワークNによって通信可能となるように接続されている。ネットワークNは、例えば、インターネット網であるがこれに限定されない。図1では、端末装置100には、1台のサーバ200が接続されている例を示しているが、端末装置100には、複数のサーバ200が接続されていてもよい。
【0015】
端末装置100は、例えば、車両に搭載されるドライブレコーダである。端末装置100は、例えば、イベントに関する映像および音声に関するコンテンツデータに関する情報を取得する。端末装置100は、例えば、プライバシー保護などのためにコンテンツデータに対して処理対象の特定や加工処理を実行するためのプログラムをサーバ200から取得する。端末装置100がサーバ200から取得するプログラムは、所定の発行者が認証したプログラムである。所定の発行者は、例えば、認証機関、保険会社、公的機関(例えば、警察)などを含み得るが、これらに限定されない。認証したプログラムとは、所定の発行者がコンテンツデータの処理対象の特定や加工を行う際に使用を許可したプログラムである。記録システム1は、所定の発行者が認証したプログラムを用いて、コンテンツデータに対して処理対象の特定や加工処理を施すことにより、証拠能力が担保された加工画像を生成することができる。
【0016】
[端末装置]
図2を用いて、実施形態に係る端末装置の構成について説明する。図2は、実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、端末装置100は、第1記憶部11と、第2記憶部12と、出力部13と、通信部14と、制御部15と、を備える。第1記憶部11と、第2記憶部12と、出力部13と、通信部14と、制御部15とは、それぞれ、バスB1により接続されている。
【0018】
第1記憶部11は、各種の情報を記憶する。第1記憶部11は、例えば、端末装置100の型番号および製造番号などを含む固有情報を記憶する。第1記憶部11は、例えば、サーバ200からコンテンツデータを加工するために取得された認証済みのプログラムを記憶する。第1記憶部11は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、またはハードディスク、ソリッドステートドライブなどの記憶装置で実現することができる。ここで、第1記憶部11は読み出し専用の記憶領域を持つようにしても良い。この読み出し専用の記憶領域に、例えば、端末装置100の型番号および製造番号などを含む固有情報を記憶するようにしても良い。更に、第1記憶部11は、記憶情報の改ざんを抑制するため、外部からの不正な読み書きに対して耐性を持たせるように構成しても良い。例えば、所定の読み書き手順からの逸脱を検出して不正な読み書きを禁止するようにしても良い。また、第1記憶部11に記憶される情報に対して暗号化が施され、所定の読み書き手順以外では暗号化が復号できないように構成しても良い。
【0019】
第2記憶部12は、各種の情報を記憶する。第2記憶部12は、例えば、コンテンツデータを加工処理する際に生成される処理履歴に関する処理履歴情報を記憶する。第2記憶部12は、端末装置100に対して取り外し可能な記憶媒体である。第2記憶部12は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリおよびSDカードなどで実現することができる。ここで、第2記憶部12は説明のため第1記憶部11と異なる構成要素としているが、第2記憶部12に記憶される情報が第1記憶部11に記憶され、通信部14を介して外部の記憶部に記憶されるように構成しても良い。例えば、ネットワークに接続された所定のNAS(Network Attached Storage)やクラウドサーバ上に構築された仮想記憶部に記憶されるようにしても良い。また、通信部14を介して外部の記憶部に記憶される際、記憶される情報に対して所定の暗号化を施して記憶するように構成しても良い。更に、通信部14を介して記憶する際に、通信経路に対してVPN(Virtual Private Network)による暗号化通信環境を構築して通信し、記憶するように構成しても良い。
【0020】
出力部13は、各種の情報を出力する。出力部13は、例えば、各種の情報を表示する表示部としての機能を有している。出力部13は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイで実現することができる。出力部13は、音声を出力する音声出力部としての機能を有していてもよい。この場合、出力部13は、音声を出力するスピーカを含んでもよい。
【0021】
通信部14は、ネットワークNを介して、外部の装置と通信を行う。通信部14は、例えば、ネットワークNを介して、サーバ200と通信を行う。通信部14は、例えば、NIC(Network Interface Card)および通信回路などで実現することができる。また、通信部14は、無線通信を行うための送信部と受信部を備えるように構成しても良い。
【0022】
制御部15は、端末装置100を構成する各部を制御する。制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶部に記憶されたプログラム(例えば、本発明に係るプログラム)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部15は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部15は、ソフトウェアと、ハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0023】
制御部15は、プログラム取得部151と、コンテンツデータ取得部152と、変更処理部153と、端末識別情報生成部154と、固有識別情報生成部155と、処理履歴情報生成部156と、出力制御部157と、記憶制御部158と、通信制御部159とを備える。プログラム取得部151と、コンテンツデータ取得部152と、変更処理部153と、端末識別情報生成部154と、固有識別情報生成部155と、処理履歴情報生成部156と、出力制御部157と、記憶制御部158と、通信制御部159とは、それぞれ、バスB2により接続されている。
【0024】
プログラム取得部151は、各種のプログラムを取得する。プログラム取得部151は、例えば、所定の発行者が認証した、所定の処理対象の特定や変更処理を行う認証済みプログラムを、通信部14を介してサーバ200から取得する。認証済みプログラムは、所定の発行者によって、コンテンツデータに対して使用が許可されたプログラムである。認証済みプログラムは、例えば、画像に含まれる人物の顔や車両のナンバープレートなどのプライバシーを保護するために、画像に対して画像処理を実行するためのプログラムを含み得る。認証済みプログラムは、例えば、人物の音声などのプライバシーを保護するために、音声に対して音声処理を実行するためのプログラムを含み得る。
【0025】
コンテンツデータ取得部152は、各種のコンテンツに関するコンテンツデータを取得する。コンテンツデータ取得部152は、例えば、処理対象となるコンテンツに関するコンテンツデータを取得する。コンテンツデータ取得部152は、例えば、車両に設けられた撮像部20によって撮影された映像に関する映像データを取得する。コンテンツデータ取得部152は、例えば、車両に設けられた図示しないマイクロフォンによって収音された音声に関する音声データを取得する。コンテンツデータ取得部152は、その他のデータをコンテンツデータとして取得するようにしてもよい。
【0026】
変更処理部153は、コンテンツデータ取得部152が取得したコンテンツデータに対して処理対象の特定や、各種の変更処理を実行する。変更処理部153は、例えば、プログラム取得部151が取得した認証済みプログラムを用いて、コンテンツデータ取得部152が取得したコンテンツデータに対して所定の変更処理を行って変更済みコンテンツデータを生成する。変更処理部153は、例えば、プログラム取得部151が複数の認証済みプログラムを取得した場合には、複数の認証済みプログラムを用いて変更処理を行い、変更済みコンテンツデータを生成してもよい。
【0027】
変更処理部153は、コンテンツデータが画像列から構成される映像データである場合、画像列に対して、所定の検出処理により対象領域を特定して対象領域情報を生成する。この所定の検出処理は、認証済みプログラムを用いて行うようにすると良い。変更処理部153は、例えば、画像列に対して人物の顔を認識する周知の顔検出処理を実行して、画像列に含まれる人物の顔の領域を対象領域として特定して対象領域情報を生成する。変更処理部153は、対象領域に対して、所定の不可逆な加工処理を施して加工画像を生成する。例えば、変更処理部153は、検出された人物を判別不能に不可逆な加工処理を施して加工画像を生成する。具体的には、変更処理部153は、人物に対してモザイク処理を実行して顔をぼやかしたり、人物に対してアイコンを重畳させたり、背景の画像などを重畳させて人物を消したりすることで、検出された人物を判別不能な加工画像を生成する。
【0028】
変更処理部153は、コンテンツデータが音声データである場合、音声データに対して所定の音声抽出処理を実行して人物の声が含まれる領域を対象領域として特定して対象領域情報を生成する。この所定の音声抽出処理は、認証済みプログラムを用いて行うようにすると良い。変更処理部153は、対象領域に対して、所定の不可逆な加工処理を施して加工音声を生成する。例えば、変更処理部153は、検出された人物の音声を判別不能に不可逆な加工処理を施して加工音声を生成する。具体的には、変更処理部153は、検出された人物の声質および声域などを調節することで、検出された人物の音声を判別不能な加工音声を生成する。
【0029】
端末識別情報生成部154は、端末装置100(自端末とも呼ばれる)を固有の情報により一意に特定できる端末識別情報を生成する。端末識別情報生成部154は、例えば、端末装置100の固有情報を取得して、端末装置100を一意に特定できる端末識別情報を生成する。端末識別情報生成部154は、例えば、端末識別情報として、端末装置100の型番および製造番号などを所定のハッシュ関数に入力して固有の情報であるハッシュ値を算出する。ここで、端末識別情報は、あらかじめ端末装置100の固有情報に基づいて生成されたものを、第1記憶部11に記憶させておくよう構成しても良い。また、第1記憶部11は読み出し専用の記憶領域を持ち、この読み出し専用の記憶領域に端末識別情報を記憶させておくように構成しても良い。
【0030】
固有識別情報生成部155は、プログラム取得部151が取得した認証済みプログラムを固有の情報により一意に特定できるプログラム識別情報を生成する。固有識別情報生成部155は、例えば、プログラム識別情報として、認証済みプログラムそのものや認証済みプログラムのバージョン情報およびビルド番号などを、所定のハッシュ関数に入力して固有の情報であるハッシュ値を算出する。
【0031】
固有識別情報生成部155は、コンテンツデータ取得部152が取得したコンテンツデータを固有の情報により一意に特定できるコンテンツ識別情報を生成する。固有識別情報生成部155は、例えば、コンテンツ識別情報として、取得したコンテンツデータそのものや、コンテンツデータが取得された日時に関する情報を所定のハッシュ関数に入力して固有の情報であるハッシュ値を算出する。ここで、取得したコンテンツデータからコンテンツ識別情報を生成する際に、所定の区切り単位を、コンテンツ識別情報を生成する処理単位としてコンテンツ識別情報を順次生成するようにしても良い。この所定の区切り単位としては、コンテンツのデータサイズ、コンテンツの時間、コンテンツの画面領域のサイズ、コンテンツを変換した際の周波数、コンテンツが所定のシンタックス構造に従って符号化されている場合には、所定のシンタックス構造の単位、などとして、コンテンツ識別情報を順次生成するようにしても良い。
【0032】
固有識別情報生成部155は、変更処理部153が生成した変更済みコンテンツデータを固有の情報により一意に特定できる変更済みコンテンツ識別情報を生成する。固有識別情報生成部155は、例えば、変更済みコンテンツ識別情報として、変更済みコンテンツデータそのものや、変更済みコンテンツデータが生成された日時に関する情報を所定のハッシュ関数に入力して固有の情報であるハッシュ値を算出する。ここで、変更済みコンテンツデータから変更済みコンテンツ識別情報を生成する際に、所定の区切り単位を、変更済みコンテンツ識別情報を生成する処理単位として変更済みコンテンツ識別情報を順次生成するようにしても良い。この所定の区切り単位としては、コンテンツのデータサイズ、コンテンツの時間、コンテンツの画面領域のサイズ、コンテンツを変換した際の周波数、コンテンツが所定のシンタックス構造に従って符号化されている場合には、所定のシンタックス構造の単位、などとして、変更済みコンテンツ識別情報を順次生成するようにしても良い。また、変更済みコンテンツデータの所定の区切り単位は、取得したコンテンツデータの所定の区切り単位と同じものを利用するように構成しても良い。
【0033】
処理履歴情報生成部156は、コンテンツデータ取得部152が取得したコンテンツデータに対して実行した処理の履歴に関する処理履歴情報を生成する。
【0034】
図3を用いて、実施形態に係る処理履歴情報について説明する。図3は、実施形態に係る処理履歴情報を説明するための図である。
【0035】
図3に示すように、処理履歴情報は、「日時」と、「端末識別情報」と、「プログラム識別情報」と、「コンテンツ識別情報」と、「変更済みコンテンツ識別情報」といった項目を含む。処理履歴情報においては、「日時」と、「端末識別情報」と、「プログラム識別情報」と、「コンテンツ識別情報」と、「変更済みコンテンツ識別情報」とが、それぞれ、関連付けられている。なお、処理履歴情報生成部156は、変更処理部153が対象領域に対して所定の不可逆な加工処理により加工画像を生成している場合には、処理履歴情報に対象領域情報を含めてもよい。更に、処理履歴情報は、所定のシンタックス構造に基づいて構成され、例えば、「日時」と、「端末識別情報」と、「プログラム識別情報」と、「コンテンツ識別情報」と、「変更済みコンテンツ識別情報」といった、処理履歴情報に含まれる要素を関連付けて、ひとまとまりの情報として構成するようにしても良い。
【0036】
「日時」は、変更処理部153がコンテンツデータに対して認証プログラムを実行した日時である。「端末識別情報」は、端末識別情報生成部154が端末装置100を一意に特定するために生成した情報である。「プログラム識別情報」、「コンテンツ識別情報」、および「変更済みコンテンツ識別情報」は、それぞれ、固有識別情報生成部155が認証済みプログラム、コンテンツデータ、および変更済みコンテンツデータを一意に特定するために生成した情報である。ここでは変更処理部153での「日時」について説明しているが、コンテンツを取得した際の「日時」についても生成し、コンテンツと関連付けられるように構成しても良い。
【0037】
図3では、例えば、「2020年5月1日の12時10分10秒」に端末識別情報「D1」の端末装置100によりコンテンツ識別情報「C1」のコンテンツデータに対してプログラム識別情報「P1」の認証プログラムが実行されたことが示されている。その結果、コンテンツ識別情報「C1」のコンテンツデータから変更済みコンテンツ識別情報「C1A」の変更済みコンテンツデータが得られたことも示されている。
【0038】
図3では、例えば、「2020年5月3日の13時15分00秒」に端末識別情報「D1」の端末装置100によりコンテンツ識別情報「C2」のコンテンツデータに対してプログラム識別情報「P1,P2」の認証プログラムが実行されたことが示されている。その結果、変更済みコンテンツ識別情報「C2A」の変更済みコンテンツデータが得られたことも示されている。すなわち、処理履歴情報には、1つのコンテンツデータに対して複数の認証済みプログラムが実行された場合には、実行された認証済みプログラムのそれぞれプログラム識別情報が示される。
【0039】
「端末識別情報」は、「D1」のように概念的に示されているが、実際にはハッシュ値などの数値が示される。「プログラム識別情報」は、「P1」、「P2」のように概念的に示されているが、実際にはハッシュ値などの数値が示される。「コンテンツ識別情報」は、「C1」、「C2」のように概念的に示されているが、実際にはハッシュ値などの数値が示される。「変更済みコンテンツ識別情報」は、「C1A」、「C2A」のように概念的に示されているが、実際にはハッシュ値などの数値が示される。
【0040】
再び図2を参照する。出力制御部157は、出力部13を制御する。出力制御部157は、例えば、出力部13が表示部としての機能を含む場合には、出力部13に各種の映像を表示させる。出力制御部157は、例えば、出力部13が音声出力部としての機能を含む場合には、出力部13に各種の音声を出力させる。
【0041】
記憶制御部158は、各種の情報を第1記憶部11または第2記憶部12に記憶する。記憶制御部158は、例えば、プログラム取得部151が取得した認証済みプログラムを第1記憶部11に記憶する。記憶制御部158は、例えば、コンテンツデータ取得部152が取得したコンテンツデータを第1記憶部11に記憶する。記憶制御部158は、例えば、変更処理部153が生成した変更済みコンテンツデータを第1記憶部11に記憶する。記憶制御部158は、例えば、処理履歴情報生成部156が生成した処理履歴情報を第1記憶部11に記憶する。記憶制御部158は、例えば、処理履歴情報生成部156が生成した処理履歴情報を第2記憶部12に記憶、または通信部14を介して外部の装置に出力する。記憶制御部158は、例えば、処理履歴情報生成部156が生成した処理履歴情報を、通信部14を介してサーバ200に送信する。
【0042】
通信制御部159は、端末装置100と、外部の装置との間の通信を制御する。通信制御部159は、例えば、通信部14を制御して、端末装置100と、サーバ200との間の通信を制御する。
【0043】
[サーバ]
図4を用いて、実施形態に係るサーバの構成について説明する。図4は、実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図である。
【0044】
図4に示すように、サーバ200は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。サーバ200は、認証された認証プログラムを提供する所定の発行者によって用いられる。
【0045】
通信部21は、ネットワークNを介して、外部の装置と通信を行う。通信部21は、例えば、ネットワークNを介して、端末装置と通信を行う。通信部21は、例えば、NICおよび通信回路などで実現することができる。
【0046】
記憶部22は、各種の情報を記憶する。記憶部22は、例えば、端末装置100で用いられる認証済みプログラムを記憶する。記憶部22は、例えば、端末装置100で生成された処理履歴情報を記憶する。記憶部22は、例えば、RAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、またはハードディスク、ソリッドステートドライブなどの記憶装置で実現することができる。また、サーバ側の記憶部22は、ネットワークに接続された所定のNAS(Network Attached Storage)やクラウドサーバ上に構築された仮想記憶部として構成しても良い。
【0047】
制御部23は、サーバ200を構成する各部を制御する。制御部23は、例えば、通信部21を制御して、サーバ200と、端末装置100との間の通信を制御する。制御部23は、例えば、認証済みプログラムおよび端末装置100から受信した処理履歴情報などを記憶部22に記憶する。制御部23は、例えば、CPUやMPU等によって、図示しない記憶部に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部23は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。制御部23は、ソフトウェアと、ハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0048】
制御部23は、プログラム生成部231を備える。プログラム生成部231は、端末装置100がコンテンツデータに対してプライバシー保護などのために処理対象の特定や変更処理を実行する際に使用される認証プログラムを生成する。プログラム生成部231は、1つの認証プログラムを生成してもよいし、それぞれ異なる変更処理を実行させる複数の認証プログラムを生成してもよい。
【0049】
[端末装置の処理]
図5を用いて、実施形態に係る端末装置の処理について説明する。図5は、実施形態に係る端末装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0050】
まず、制御部15は、端末識別情報を生成する(ステップS11)。具体的には、端末識別情報生成部154は、第1記憶部11に記憶された固有情報に基づいて、端末装置100を一意に識別可能な端末識別情報を生成する。そして、ステップS12に進む。
【0051】
制御部15は、認証済みプログラムを取得する(ステップS12)。具体的には、プログラム取得部151は、サーバ200からコンテンツデータの処理対象の特定や加工処理を行うための認証済みプログラムを取得する。プログラム取得部151は、サーバ200から1つの認証済みプログラムを取得してもよいし、複数の認証済みプログラムを取得してもよい。そして、ステップS13に進む。
【0052】
制御部15は、プログラム識別情報を生成する(ステップS13)。具体的には、固有識別情報生成部155は、認証済みプログラムそのものや、認証済みプログラムのバージョン情報などに基づいて、認証済みプログラムを一意に識別可能なプログラム識別情報を生成する。そして、ステップS14に進む。
【0053】
制御部15は、処理対象となるコンテンツデータを取得する(ステップS14)。具体的には、コンテンツデータ取得部152は、撮像部20から映像データおよび音声データなどのコンテンツデータを取得する。そして、ステップS15に進む。
【0054】
制御部15は、コンテンツ識別情報を生成する(ステップS15)。具体的には、固有識別情報生成部155は、コンテンツデータ取得部152がコンテンツデータそのものや、コンテンツデータを取得した日時などに基づいて、コンテンツデータを一意に識別可能なコンテンツ識別情報を生成する。そして、ステップS16に進む。
【0055】
制御部15は、変更済みコンテンツデータを生成する(ステップS16)。具体的には、変更処理部153は、コンテンツデータ取得部152が取得したコンテンツデータに対してプライバシーを保護するための所定の加工処理を実行して、変更済みコンテンツデータを生成する。より具体的には、変更処理部153は、プログラム取得部151が取得した認証済みプログラムを用いてコンテンツデータに対して加工処理を行い、変更済みコンテンツデータを生成する。そして、ステップS17に進む。
【0056】
制御部15は、変更済みコンテンツ識別情報を生成する(ステップS17)。具体的には、固有識別情報生成部155は、変更処理部153が変更済みコンテンツデータそのものや、変更済みコンテンツデータに対して画像処理を実行した日時などに基づいて、変更済みコンテンツデータを一意に識別可能な変更済みコンテンツ識別情報を生成する。そして、ステップS18に進む。
【0057】
制御部15は、処理履歴情報を生成する(ステップS18)。具体的には、処理履歴情報生成部156は、端末識別情報、プログラム識別情報、コンテンツ識別情報、および変更済みコンテンツ識別情報に基づいて、処理履歴情報を生成する。そして、ステップS19に進む。
【0058】
制御部15は、処理履歴情報を出力する(ステップS19)。具体的には、記憶制御部158は、処理履歴情報を第2記憶部12に記憶する、またはサーバ200に出力する。そして、図5の処理を終了する。
【0059】
上述のとおり、本実施形態は、映像データなどのコンテンツデータに対して加工処理を行った際に、端末識別情報、プログラム識別情報、コンテンツ識別情報、および変更済みコンテンツ識別情報が関連付けられた処理履歴情報を生成する。これにより、ユーザは、処理履歴情報を確認することで、変更済みにコンテンツデータに対して加工処理を行った端末装置と、プログラムと、加工処理を行う前のコンテンツデータの対応を容易に把握することができる。すなわち、本実施形態は、証拠能力が担保された変更済みコンテンツデータを生成することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 記録システム
11 第1記憶部
12 第2記憶部
13 出力部
14,21 通信部
15,23 制御部
20 撮像部
22 記憶部
100 端末装置
151 プログラム取得部
152 コンテンツデータ取得部
153 変更処理部
154 端末識別情報生成部
155 固有識別情報生成部
156 処理履歴情報生成部
157 出力制御部
158 記憶制御部
159 通信制御部
200 サーバ
231 プログラム生成部
図1
図2
図3
図4
図5