(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240611BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/165
B41J2/165 101
(21)【出願番号】P 2020161839
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 幸治
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-240002(JP,A)
【文献】特開2009-149033(JP,A)
【文献】特開2007-152856(JP,A)
【文献】特開2005-186589(JP,A)
【文献】特開2020-100010(JP,A)
【文献】特開2000-334977(JP,A)
【文献】特開2001-121715(JP,A)
【文献】特開2004-237723(JP,A)
【文献】特開2004-122464(JP,A)
【文献】特開2003-118138(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0041871(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
B41J 2/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する収容室及び該収容室に連通する連通路を有する液体収容容器を装着可能
な装着部と、
ノズルから前記液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
を備え、
前記装着部は、
装着された前記液体収容容器から前記液体を導入する導入部と、
接続口が開口する突部と、
前記突部の周囲に設けられるシールと、
前記接続口及び大気に開放される大気開放口を連通させる大気開放路と、
を有し、
前記接続口は、装着された前記液体収容容器の前記連通路内に進入し、
前記シールは、前記装着部に装着された前記液体収容容器に密着
し、
前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス部と、
前記大気開放口を閉塞可能な閉塞部材と、
をさらに備え、
前記メンテナンス部は、前記メンテナンスに伴って前記液体噴射ヘッド及び前記装着部
を移動させ、前記大気開放口を前記閉塞部材に押し付けることを特徴とする液体噴射装置
。
【請求項2】
前記メンテナンス部は、前記ノズルを覆うキャップを備え、前記キャップを前記液体噴
射ヘッドに押し当てることで、前記液体噴射ヘッド及び前記装着部を移動させることを特
徴とする請求項
1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記キャップ、前記液体噴射ヘッド、前記大気開放口、及び前記閉塞部材は、前記キャ
ップが移動する移動方向に並ぶことを特徴とする請求項
2に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンターなどの液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体収容容器の一例であるインクカートリッジから供給される液体の一例であるインクを、液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッドから吐出して印刷する液体噴射装置の一例である記録装置がある。インクカートリッジには、インクカートリッジ内を大気に開放する大気連通口が形成されている。インクカートリッジは、大気連通口を閉塞するフィルム状のシール部材を備える。
【0003】
シール部材は、インクカートリッジからインクが供給されると変形し、大気連通口を開放する。具体的には、シール部材は、インクが供給されていないときは平滑な状態を保ち、インクが供給されると凹んだ状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シール部材は、平滑な状態と凹んだ状態とに繰り返し変形するため、撓みが生じることがある。シール部材に撓みが生じると、大気連通口を適切に大気に開放させることができなくなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する液体噴射装置は、液体を収容する収容室及び該収容室に連通する連通路を有する液体収容容器を装着可能な装着部と、ノズルから前記液体を噴射する液体噴射ヘッドと、を備え、前記装着部は、装着された前記液体収容容器から前記液体を導入する導入部と、接続口が開口する突部と、前記突部の周囲に設けられるシールと、前記接続口及び大気に開放される大気開放口を連通させる大気開放路と、を有し、前記接続口は、装着された前記液体収容容器の前記連通路内に進入し、前記シールは、前記装着部に装着された前記液体収容容器に密着する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】液体収容容器が装着された装着部の模式断面図。
【
図6】大気開放口が閉塞される装着部の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、液体噴射装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。液体噴射装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0009】
図面では、液体噴射装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。
【0010】
図1に示すように、液体噴射装置11は、筐体12と、筐体12の上部に設けられる上蓋13と、を備えてもよい。上蓋13は、筐体12に対して開閉可能に構成される。例えば、ユーザーは、上蓋13を開くことで筐体12内を露出させる。
【0011】
液体噴射装置11は、液体収容容器15を装着可能な装着部16と、ノズル17から液体を噴射する液体噴射ヘッド18と、を備える。液体噴射装置11は、ガイド部19と、移動機構20と、を備えてもよい。
【0012】
ガイド部19は、X軸に沿って延びる。ガイド部19は、例えば、装着部16を支持するフレームである。ガイド部19は、装着部16及び液体噴射ヘッド18の移動を案内する。本実施形態の装着部16は、液体噴射ヘッド18をガイド部19に沿って移動させるキャリッジとしても機能する。
【0013】
移動機構20は、装着部16をX軸に沿って往復移動させる。本実施形態の移動機構20は、一対のプーリー22と、無端状のベルト23と、モーター24と、を有する。一対のプーリー22は、間隔をあけてガイド部19に取り付けられる。本実施形態において、一対のプーリー22は、ガイド部19の端部にそれぞれ設けられる。ベルト23は、一対のプーリー22に巻き掛けられる。ベルト23の一部分は、装着部16に取り付けられる。モーター24は、片方のプーリー22と連結される。移動機構20は、モーター24の駆動によりベルト23が周回し、装着部16を移動させる。液体噴射ヘッド18は、装着部16と共に移動しながら液体を噴射し、媒体26に印刷する。装着部16及び液体噴射ヘッド18は、印刷を行わない非印刷時にはホーム位置HPで待機する。
【0014】
本実施形態の装着部16には、1種類の液体を収容する1つの液体収容容器15を装着可能である。装着部16には、複数の液体収容容器15を装着可能としてもよい。1つの液体収容容器15には1種類の液体を収容してもよいし、複数種類の液体を収容してもよい。
【0015】
液体噴射装置11は、媒体26を支持する媒体支持部27と、液体噴射ヘッド18のメンテナンスを行うメンテナンス部28と、を備えてもよい。メンテナンス部28は、液体噴射ヘッド18からフラッシングにより噴射された液体を受ける液体受容部29と、液体噴射ヘッド18を払拭する払拭部30と、ノズル17を覆うキャップ31と、を備えてもよい。フラッシングは、液体噴射ヘッド18から印刷とは別に液体を噴射させることで、液体噴射ヘッド18内の液体が粘度が上昇することを抑制するメンテナンスである。メンテナンス部28は、上流端がキャップ31に接続される排出路32と、排出路32の途中に設けられる排出ポンプ33と、を備えてもよい。
【0016】
払拭部30は、液体噴射ヘッド18を払拭可能な払拭位置と、液体噴射ヘッド18に接触しない非払拭位置と、の間で移動可能に設けられる。払拭位置に位置する払拭部30は、移動する液体噴射ヘッド18に接触することで、液体噴射ヘッド18を払拭する。払拭部30が液体噴射ヘッド18を払拭するメンテナンスは、ワイピングともいう。
【0017】
キャップ31は、液体噴射ヘッド18に接触するキャッピング位置と、液体噴射ヘッド18から離れる離間位置と、の間で移動可能に設けられる。本実施形態では、キャップ31が
図1に示す離間位置からキャッピング位置まで移動する方向を移動方向Aという。本実施形態の移動方向Aは、Z軸に平行な方向である。
【0018】
キャッピング位置に位置するキャップ31は、液体噴射ヘッド18に接触し、液体噴射ヘッド18との間にノズル17が開口する閉空間を形成するキャッピングを行う。キャップ31は、ホーム位置HPに位置する液体噴射ヘッド18をキャッピングする。ホーム位置HPは、キャップ31の上方の位置である。キャップ31は、キャッピング位置から離間位置に移動することで閉空間を開放する。
【0019】
排出路32は、キャップ31の移動に伴って変形するチューブにより構成してもよい。排出路32の下流端は、液体噴射ヘッド18から排出された液体を廃液として収容する廃液収容部35に接続される。排出ポンプ33は、キャップ31が形成する閉空間内を排出路32を介して減圧し、ノズル17から液体を強制的に排出させる。排出された液体は、廃液収容部35に廃液として収容される。閉空間内を減圧して液体を排出させるメンテナンスは、吸引クリーニングともいう。
【0020】
液体噴射装置11は、液体噴射ヘッド18、移動機構20、及びメンテナンス部28などの動作を制御する制御部37を備える。制御部37は、例えばコンピューター及びメモリーを含む処理回路等から構成され、メモリーに記憶されたプログラムに従って、液体噴射装置11で実行される各種動作を制御する。
【0021】
図2に示すように、液体収容容器15は、液体を収容する収容室39と、液体を外部に導出可能な導出部40と、収容室39に連通する連通路41と、を備えてもよい。連通路41は、連通孔42と収容室39とを繋ぐ流路である。連通路41は、容積を部分的に大きくした空間である空気室43を有してもよい。連通路41は、複数の空気室43を有してもよい。本実施形態の連通孔42は、円形である。液体収容容器15は、導出部40を保護する保護部44と、連通孔42を外部から塞ぐフィルム45と、を備えてもよい。液体収容容器15が装着部16に装着された装着姿勢において、連通路41は、収容室39もしくは収容室39に収容される液体の液面より上方に位置する。
【0022】
図3に示すように、装着部16は、本体47と、本体47に対して移動可能に設けられるカバー48と、を備えてもよい。本体47は、ガイド部19に支持される。本体47は、液体収容容器15を収容可能である。本実施形態のカバー48は、基端に設けられる軸49を有し、軸49を中心に回転する。カバー48は、
図3に実線で示す閉位置と、閉位置に位置する状態から先端が上方に移動した
図3に二点鎖線で示す開位置と、に移動可能である。軸49は、本体47に支持される。したがって、カバー48は、本体47に対して開閉可能に設けられる。
【0023】
装着部16は、装着された液体収容容器15から液体を導入する導入部51を有する。本実施形態の導入部51は、本体47に設けられる。液体収容容器15に収容される液体は、導入部51を介して液体噴射ヘッド18に供給される。
【0024】
装着部16は、接続口53が開口する突部54と、突部54の周囲に設けられるシール55と、大気開放路56と、を有する。大気開放路56は、接続口53及び大気に開放される大気開放口57を連通させる。突部54、シール55、及び大気開放路56は、カバー48に設けられてもよい。カバー48は、装着された液体収容容器15を押さえる押さえ部58を有してもよい。
【0025】
突部54は、カバー48の内面48aから突出する。本実施形態の突部54は、円筒状に形成される。突部54の外径は、連通孔42の内径より小さい。シール55の外径は、連通孔42の内径より大きい。シール55は、例えばゴムなどの弾性部材により形成される。大気開放口57は、カバー48において、内面48aとは反対の外面48bに設けられてもよい。
【0026】
カバー48は、外面48bに形成される溝60と、溝60を塞ぐ溝蓋61と、を備えてもよい。溝蓋61は、可撓性を有するシートにより形成してもよいし、剛性を有する板により形成してもよい。大気開放路56は、突部54を貫通する貫通路62と、溝60と溝蓋61により形成される細路63と、を有してもよい。貫通路62は、一端が接続口53として開口し、他端が細路63に接続される。
【0027】
図4に示すように、溝蓋61は、溝60の上端に密着することで細路63を形成し、溝60の一部を露出させることで大気開放口57を形成する。大気開放口57は、細路63において、貫通路62に接続される一端とは反対の他端に設けられる。細路63は、空気の流動に対して液体の流動が大きく制限されるように、細く蛇行した形状にしてもよい。
【0028】
図5に示すように、液体噴射装置11は、大気開放口57を閉塞可能な閉塞部材65を備えてもよい。本実施形態の閉塞部材65は、上蓋13に設けられる。閉塞部材65は、例えばゴムなどの弾性部材により構成してもよい。装着部16がホーム位置HPに位置するとき、キャップ31、液体噴射ヘッド18、大気開放口57、及び閉塞部材65は、キャップ31が移動する移動方向Aに並んでもよい。
【0029】
本実施形態の作用について説明する。
図2,
図3に示すように、液体収容容器15は、上蓋13及びカバー48が開いた状態で装着部16に装着される。液体収容容器15は、保護部44を取り外した状態で装着部16に装着されてもよい。導出部40は、液体収容容器15が装着部16に装着されることで、導入部51に接続される。
【0030】
図5に示すように、本体47に液体収容容器15を収容した状態でカバー48を閉位置に移動させると、突部54が連通孔42に差し込まれる。すなわち、カバー48が閉位置に移動すると、接続口53は、装着された液体収容容器15の連通路41内に進入する。このとき突部54は、フィルム45を破る。シール55は、装着部16に装着された液体収容容器15に密着する。そのため、連通路41は、大気開放路56に気密状態で接続される。
【0031】
メンテナンス部28は、キャップ31を
図5に示す離間位置から
図6に示すキャッピング位置に移動させることで、キャップ31により液体噴射ヘッド18をキャッピングする。
【0032】
図6に示すように、メンテナンス部28は、キャップ31を液体噴射ヘッド18に押し当てることで、液体噴射ヘッド18及び装着部16を移動させる。メンテナンス部28は、メンテナンスに伴って液体噴射ヘッド18及び装着部16を移動させ、大気開放口57を閉塞部材65に押し付ける。大気開放口57は、閉塞部材65により塞がれる。
【0033】
本実施形態の効果について説明する。
(1)突部54に開口する接続口53は、装着部16に装着された液体収容容器15が有する連通路41内に進入する。すなわち、突部54は、連通路41に差し込まれる。そのため、例えば連通路41がフィルム45で塞がれる場合でも、突部54によりフィルム45を破ることができる。装着部16は、突部54の周囲に設けられるシール55を備える。シール55は、装着部16に装着された液体収容容器15に密着し、大気開放路56と連通路41とを接続する。したがって、液体収容容器15内を適切に大気に開放できる。
【0034】
(2)メンテナンス部28は、液体噴射ヘッド18のメンテナンスに伴って大気開放口57を閉塞部材65に押し付ける。すなわち、大気開放路56は、閉塞部材65により閉塞される。したがって、媒体26に印刷を行わないメンテナンス時に、収容室39に収容される液体が、連通路41及び大気開放路56を介して蒸発することを低減できる。
【0035】
(3)メンテナンス部28は、キャップ31を液体噴射ヘッド18に押し当てることで液体噴射ヘッド18及び装着部16を移動させる。したがって、キャップ31でノズル17を覆うキャッピングに伴って大気開放路56を閉塞できる。
【0036】
(4)キャップ31、液体噴射ヘッド18、大気開放口57、及び閉塞部材65は、キャップ31の移動方向Aに並ぶ。そのため、キャップ31が液体噴射ヘッド18を押すことで大気開放口57を閉塞部材65に容易に押し付けることができる。
【0037】
(5)突部54は、カバー48に設けられる。そのため、液体収容容器15を保持する本体47に対してカバー48を移動させることで、大気開放路56を連通路41に容易に接続できる。シール55は、カバー48に設けられる。したがって、例えばシール55を液体収容容器15に設ける場合に比べ、液体収容容器15の構成を簡略化できる。
【0038】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・キャップ31は、移動方向Aにおいて、
図5に示す離間位置と
図6に示すキャッピング位置の間の図示しないクリーニング位置で吸引クリーニングを行ってもよい。クリーニング位置は、キャップ31が液体噴射ヘッド18との間に閉空間を形成するが、液体噴射ヘッド18を押し上げない位置である。
【0039】
・メンテナンス部28は、排出路32と排出ポンプ33とを備えない構成としてもよい。例えば、液体噴射装置11は、液体噴射ヘッド18内の液体を加圧して排出する加圧クリーニングを行ってもよい。加圧クリーニングにより排出された液体は、液体受容部29が受容してもよい。
【0040】
・液体噴射装置11は、媒体支持部27と液体噴射ヘッド18との隙間の大きさを調整する調整機構を備えてもよい。調整機構は、液体噴射ヘッド18及び装着部16をZ軸に沿って移動させることで調整を行ってもよい。調整機構は、非印刷時、及び電源オフ時などにホーム位置HPに位置する液体噴射ヘッド18及び装着部16を移動させてもよい。例えば、調整機構は、液体噴射ヘッド18及び装着部16を上昇させ、大気開放口57を閉塞部材65に接触させてもよい。キャップ31は、大気開放口57が塞がれた状態で、液体噴射ヘッド18をキャッピングしてもよい。
【0041】
・突部54は、本体47に設けてもよい。シール55は、本体47に設けてもよい。装着部16は、カバー48を備えない構成としてもよい。接続口53は、液体収容容器15が本体47に装着される際に、連通路41内に進入してもよい。
【0042】
・大気開放口57は、キャップ31と液体噴射ヘッド18を通る仮想直線から離れた位置に設けてもよい。閉塞部材65は、キャップ31と液体噴射装置11を通る仮想直線から離れた位置に設けてもよい。例えば、カバー48は、溝60及び溝蓋61を備えない構成とし、連通孔42により大気開放路56を形成してもよい。この場合、連通孔42の下端が接続口53となり、連通孔42の上端が大気開放口57となる。閉塞部材65は、連通孔42の上方に設けてもよい。
【0043】
・閉塞部材65は、移動可能に設けてもよい。例えば、閉塞部材65は、キャップ31と共に移動してもよい。例えば、大気開放口57は、装着部16の下面に形成してもよい。閉塞部材65は、液体噴射ヘッド18の下方に位置するキャップ31がキャッピングのために上昇する場合に、キャップ31と共に上昇して大気開放口57を閉塞してもよい。
【0044】
・大気開放口57は、装着部16の側面に形成してもよい。大気開放口57及び閉塞部材65は、装着部16及び液体噴射ヘッド18が移動する走査方向に並んでもよい。例えば閉塞部材65は、ホーム位置HPに位置する装着部16の大気開放口57を塞いでもよい。閉塞部材65は、装着部16がホーム位置HPから離れることで、大気開放口57を開放してもよい。
【0045】
・液体噴射装置11は、閉塞部材65を備えない構成としてもよい。閉塞部材65は、大気開放路56の途中を閉塞してもよい。
・大気開放口57は、カバー48の内面48aに形成されてもよい。
【0046】
・大気開放路56は、カバー48と本体47の双方に亘って形成してもよい。例えば、大気開放路56は、カバー48が開位置に位置する場合には分断され、カバー48が閉位置に位置する場合に接続口53と大気開放口57とを連通させてもよい。
【0047】
・液体噴射装置11は、液体噴射ヘッド18を移動させるキャリッジを備え、キャリッジとは別に装着部16を備えた、いわゆるオフキャリッジとしてもよい。装着部16は、例えば筐体12に固定されてもよい。液体噴射装置11は、装着部16に装着された液体収容容器15から液体噴射ヘッド18に液体を供給する液体供給流路を備えても負い。
【0048】
・液体噴射装置11は、原稿の画像を読み取る画像読取機構を備えてもよい。画像読取機機構は、例えば上蓋13に設けてもよい。
・液体噴射装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置であってもよい。液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する装置がある。液体噴射装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体噴射装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する装置であってもよい。液体噴射装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する装置であってもよい。
【0049】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)液体噴射装置は、液体を収容する収容室及び該収容室に連通する連通路を有する液体収容容器を装着可能な装着部と、ノズルから前記液体を噴射する液体噴射ヘッドと、を備え、前記装着部は、装着された前記液体収容容器から前記液体を導入する導入部と、接続口が開口する突部と、前記突部の周囲に設けられるシールと、前記接続口及び大気に開放される大気開放口を連通させる大気開放路と、を有し、前記接続口は、装着された前記液体収容容器の前記連通路内に進入し、前記シールは、前記装着部に装着された前記液体収容容器に密着する。
【0050】
この構成によれば、突部に開口する接続口は、装着部に装着された液体収容容器が有する連通路内に進入する。すなわち、突部は、連通路に差し込まれる。そのため、例えば連通路がフィルムで塞がれる場合でも、突部によりフィルムを破ることができる。装着部は、突部の周囲に設けられるシールを備える。シールは、装着部に装着された液体収容容器に密着し、大気開放路と連通路とを接続する。したがって、液体収容容器内を適切に大気に開放できる。
【0051】
(B)液体噴射装置は、前記液体噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス部と、前記大気開放口を閉塞可能な閉塞部材と、をさらに備え、前記メンテナンス部は、前記メンテナンスに伴って前記液体噴射ヘッド及び前記装着部を移動させ、前記大気開放口を前記閉塞部材に押し付けてもよい。
【0052】
この構成によれば、メンテナンス部は、液体噴射ヘッドのメンテナンスに伴って大気開放口を閉塞部材に押し付ける。すなわち、大気開放路は、閉塞部材により閉塞される。したがって、媒体に印刷を行わないメンテナンス時に、収容室に収容される液体が、連通路及び大気開放路を介して蒸発することを低減できる。
【0053】
(C)液体噴射装置において、前記メンテナンス部は、前記ノズルを覆うキャップを備え、前記キャップを前記液体噴射ヘッドに押し当てることで、前記液体噴射ヘッド及び前記装着部を移動させてもよい。
【0054】
この構成によれば、メンテナンス部は、キャップを液体噴射ヘッドに押し当てることで液体噴射ヘッド及び装着部を移動させる。したがって、キャップでノズルを覆うキャッピングに伴って大気開放路を閉塞できる。
【0055】
(D)液体噴射装置において、前記キャップ、前記液体噴射ヘッド、前記大気開放口、及び前記閉塞部材は、前記キャップが移動する移動方向に並んでもよい。
この構成によれば、キャップ、液体噴射ヘッド、大気開放口、及び閉塞部材は、キャップの移動方向に並ぶ。そのため、キャップが液体噴射ヘッドを押すことで大気開放口を閉塞部材に容易に押し付けることができる。
【0056】
(E)液体噴射装置において、前記装着部は、前記導入部が設けられる本体と、前記本体に対して移動可能に設けられるカバーと、を備え、前記突部及び前記シールは、前記カバーに設けられてもよい。
【0057】
この構成によれば、突部は、カバーに設けられる。そのため、液体収容容器を保持する本体に対してカバーを移動させることで、大気開放路を連通路に容易に接続できる。シールは、カバーに設けられる。したがって、例えばシールを液体収容容器に設ける場合に比べ、液体収容容器の構成を簡略化できる。
【符号の説明】
【0058】
11…液体噴射装置、12…筐体、13…上蓋、15…液体収容容器、16…装着部、17…ノズル、18…液体噴射ヘッド、19…ガイド部、20…移動機構、22…プーリー、23…ベルト、24…モーター、26…媒体、27…媒体支持部、28…メンテナンス部、29…液体受容部、30…払拭部、31…キャップ、32…排出路、33…排出ポンプ、35…廃液収容部、37…制御部、39…収容室、40…導出部、41…連通路、42…連通孔、43…空気室、44…保護部、45…フィルム、47…本体、48…カバー、48a…内面、48b…外面、49…軸、51…導入部、53…接続口、54…突部、55…シール、56…大気開放路、57…大気開放口、58…押さえ部、60…溝、61…溝蓋、62…貫通路、63…細路、65…閉塞部材、A…移動方向、HP…ホーム位置。