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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】滞留抑制機構および媒体取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/10 20190101AFI20240611BHJP
【FI】
G07D11/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020162715
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022055232
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】外處 侑
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-186480(JP,A)
【文献】特開2017-151518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路上を搬送される媒体が落下する排出口と、
前記排出口を塞ぐ閉塞位置と、前記媒体が落下するように前記排出口を開放する開放位置とに移動する選別ゲートと、
前記排出口から落下した媒体が通過するシュートと、を備え、
前記選別ゲートは、搬送方向に対して下流側に回動軸が設けられた回動部材であり、前記開放位置において落下する直前または落下中の媒体に接触することで、前記媒体を前記シュートに導くガイド部を有し、
前記シュートは、筒状を呈し、軸心方向が鉛直方向と交差するように配置されており、
前記ガイド部は、前記選別ゲートの裏面に形成され、前記媒体の進行方向を搬送方向から前記軸心方向に変更し、前記搬送路の幅方向に対して両側に形成された第一ガイド面および第二ガイド面を有し、
前記第一ガイド面および前記第二ガイド面は、搬送方向の下流側に向かって幅が狭くなるように傾斜しており、
前記第一ガイド面が形成される第一ガイド部の上下方向の寸法は、前記第二ガイド面が形成される第二ガイド部の上下方向の寸法よりも大きい、
ことを特徴とする滞留抑制機構。
【請求項2】
前記第一ガイド面の前端は、前記第二ガイド面の前端よりも搬送方向に対して上流側に位置する、
ことを特徴とする請求項に記載の滞留抑制機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の滞留抑制機構を備えることを特徴とする媒体取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滞留抑制機構および媒体取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、店舗等に設置されたレジスターの硬貨を管理する硬貨処理装置が利用されている。硬貨処理装置は、硬貨を受け入れた後、硬貨認識を行って金種を判別する。そして、硬貨処理装置は、判別結果に応じて硬貨を選別し、所望の排出口から排出する。
【0003】
この硬貨処理装置は、例えば、回転することにより搬送路上の硬貨を搬送する回転部材と、前記搬送路に設けられており前記回転部材により搬送される前記硬貨が落下する排出口と、前記排出口を塞ぐ閉位置および前記硬貨が落下するように前記排出口を開放する開位置との間で、前記排出口の搬送方向下流側の回転軸を中心に回動する開閉部材と、を備える(特許文献1参照)。なお、排出口から落下した硬貨は、例えば筒状のシュート部を通ってスタッカ部に導かれて集積される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-145488号公報(例えば、段落0007、図3など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の硬貨処理装置では、硬貨が排出口から落下された後での硬貨の滞留まで十分に検討されていなかった。その為、例えば、以下の問題があった。
第一に、搬送路による硬貨搬送方向とシュート部の案内方向とが異なる場合を想定する。この場合、硬貨が自由落下中にシュート部の側面に衝突することで硬貨の落下速度が減速し、後続の硬貨が追いつくことによって硬貨の滞留が発生するという問題があった。
第二に、開閉部材の下であって搬送路による硬貨搬送方向に硬貨検知センサが配置されている場合を想定する。この場合、硬貨が自由落下中に硬貨検知センサの側面壁に衝突することで硬貨の落下速度が減速し、後続の硬貨が追いつくことによって硬貨の滞留が発生するという問題があった。
なお、この問題は、硬貨に限らずコインなどの硬貨に類する媒体についても同様に発生する。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、媒体の滞留を抑制することができる滞留抑制機構および媒体取扱装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る滞留抑制機構は、搬送路上を搬送される媒体が落下する排出口と、前記排出口を塞ぐ閉塞位置と、前記媒体が落下するように前記排出口を開放する開放位置とに移動する選別ゲートと、前記排出口から落下した媒体が通過するシュートと、を備え、前記選別ゲートは、搬送方向に対して下流側に回動軸が設けられた回動部材であり、前記開放位置において落下する直前または落下中の媒体に接触することで、前記媒体を前記シュートに導くガイド部を有し、前記シュートは、筒状を呈し、軸心方向が鉛直方向と交差するように配置されており、前記ガイド部は、前記選別ゲートの裏面に形成され、前記媒体の進行方向を搬送方向から前記軸心方向に変更し、前記搬送路の幅方向に対して両側に形成された第一ガイド面および第二ガイド面を有し、前記第一ガイド面および前記第二ガイド面は、搬送方向の下流側に向かって幅が狭くなるように傾斜しており、前記第一ガイド面が形成される第一ガイド部の上下方向の寸法は、前記第二ガイド面が形成される第二ガイド部の上下方向の寸法よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る媒体取扱装置は、上述した滞留抑制機構を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体の滞留を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る媒体取扱装置を正面から見た場合の内部構造を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る媒体取扱装置を側面から見た場合の内部構図を示す図である。
図3】硬貨繰り出し部、硬貨認識部および硬貨選別部を示す概略平面図である。
図4】硬貨繰り出し部、硬貨認識部および硬貨選別部を示す概略断面図である。
図5】硬貨選別部が備える回転ディスクを上側から見た斜視図である。
図6】硬貨選別部が備える搬送路を説明するための模式図である。
図7】硬貨排出口の周辺部の構成を示す概略斜視図であり、(a)は硬貨排出口が硬貨を受け入れ無い(排出させない)状態を示しており、(b)は硬貨排出口が硬貨を受け入れる(排出させる)状態を示している。
図8】シュート部の外観斜視図である。
図9】シュート部の底面図である。なお、選別ゲートを破線で示している。
図10】本発明の実施形態に係る滞留抑制機構を説明するための図であり、選別ゲート部分の断面図である。
図11】本発明の実施形態に係る滞留抑制機構を説明するための図であり、選別ゲート部分の断面図である。
図12】選別ゲートの正面図である。
図13】選別ゲートの底面図である。
図14】比較例としての滞留抑制機構を有しない選別ゲートの例示である。
図15】比較例としての滞留抑制機構を有しない選別ゲートの例示である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張または矮小化して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
<実施形態に係る媒体取扱装置の構成について>
図1および図2を参照して、実施形態に係る媒体取扱装置1の構成について説明する。本実施形態では、媒体取扱装置1として、店舗等に設置されたレジスターで取り扱われる硬貨を管理する硬貨処理装置を想定して説明する。図1は、媒体取扱装置1を正面から見た場合の内部構造を示す図である。図2は、媒体取扱装置1を側面から見た場合の内部構図を示す図である。媒体取扱装置1の説明における「上下」、「左右」、「前後」は、図1および図2の矢印に従う。当該方向は、説明の便宜上定めるものであり、本発明を限定するものではない。
【0013】
図1に示す媒体取扱装置1は、硬貨を一括して受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別する。その後、媒体取扱装置1は、判別結果に応じて金種毎に硬貨を選別し、選別した硬貨を収納した後で出金する。
【0014】
図1および図2に示すように、媒体取扱装置1は、硬貨繰り出し部2と、硬貨認識部3と、硬貨選別部4と、リジェクト硬貨収容部5と、金種別ホッパ6と、シュート部7と、搬送ゲート8と、硬貨出金箱9と、硬貨回収庫10と、制御ユニット11とを有する。なお、金種別ホッパ6は、「スタッカ部」などと呼ばれることもある。
【0015】
硬貨繰り出し部2は、一括投入された硬貨Cを受けて一旦収容する。そして、硬貨繰り出し部2は、収容する硬貨Cを一枚ずつ硬貨認識部3へ繰り出す。硬貨繰り出し部2内には、例えば回転円盤(不図示)が設けられている。硬貨繰り出し部2内の硬貨は、回転円盤が回転する際の遠心力により移動して、硬貨認識部3へ一枚ずつ繰り出される。
【0016】
硬貨認識部3は、硬貨繰り出し部2から繰り出された硬貨Cの認識を行う。例えば、硬貨認識部3は、硬貨の真偽、金種等の判別を行う。硬貨認識部3は、硬貨を認識するセンサ(不図示)を有し、センサで検出した硬貨の特徴に基づいて、硬貨の真偽、金種等を判別する。硬貨認識部3は、認識した硬貨Cを硬貨選別部4に搬送する。
【0017】
硬貨選別部4は、硬貨認識部3による認識結果に基づいて、硬貨Cを搬送しながら選別して排出する。図2に示すように、硬貨選別部4は、硬貨排出口45a~45fと、リジェクト口46a,46b(リジェクト口46bは図示せず)とを有する。硬貨排出口45a~45fは、真貨と認識された正常硬貨を金種別に排出する排出口である。リジェクト口46a,46bは、偽貨と認識されたリジェクト硬貨や、ゴミ等の異物を排出する排出口である。ここで、金種は、例えば日本国の1円、5円、10円、50円、100円、500円硬貨の6種類を意味する。硬貨選別部4の具体的な構成は後述する。
【0018】
リジェクト硬貨収容部5は、リジェクト口46a,46bを通過したリジェクト硬貨や、ゴミ等の異物を収容する。リジェクト硬貨収容部5は、媒体取扱装置1の前面に開閉可能な扉51を有する。操作者は、扉51を開いて、リジェクト硬貨収容部5の内部に収容されたリジェクト硬貨等を回収する。
【0019】
金種別ホッパ6は、硬貨排出口45a~45fを通過した正常硬貨を金種別に収容する。本実施形態では、図2に示すように、六個の金種別ホッパ6(金種別ホッパ61a~61f)が設けられている。金種別ホッパ61a~61fの各々は、対応する金種別の硬貨排出口45a~45fの下方に一例に配置している。金種別ホッパ61a~61fは、硬貨Cを一枚ずつ搬送ゲート8へ繰り出す手段を有する。
【0020】
シュート部7は、硬貨選別部4と金種別ホッパ6との間に設けられ、硬貨選別部4と金種別ホッパ6とを繋ぐものである。シュート部7は、硬貨排出口45a~45fを通過した正常硬貨を自由落下によって金種別ホッパ6に導く。シュート部7の具体的な構成は後述する。
【0021】
搬送ゲート8は、金種別ホッパ61a~61fの各々に対して設けられ、金種別ホッパ61a~61fから繰り出された硬貨Cの搬送先を分岐する。搬送ゲート8は、搬送先として、図1の矢印Tで示すルートと矢印Uで示すルートとに分岐する。
【0022】
硬貨出金箱9は、出金される硬貨Cを収容する。硬貨出金箱9には、搬送ゲート8により矢印Tのルートで搬送された硬貨Cが収容される。硬貨出金箱9は、金種別に硬貨Cを収納する複数の小箱を有しても良い。
【0023】
硬貨回収庫10は、回収される硬貨Cを収容する。硬貨回収庫10には、搬送ゲート8により矢印Uのルートで搬送された硬貨Cが収容される。
【0024】
制御ユニット11は、媒体取扱装置1の全体動作を制御する。制御ユニット11は、上述した各構成要素の動作を制御する制御部(不図示)と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部(不図示)と、を有する。
【0025】
(硬貨選別部の構成について)
図3ないし図7を参照して(適宜、図1および図2を参照)、硬貨選別部4の構成を説明する。硬貨選別部4は、硬貨認識部3による認識結果に基づいて、硬貨Cを搬送しながら選別して排出する。図3および図4に示すように、硬貨選別部4は、選別ハウジング41と、回転ディスク42と、ディスク駆動部43と、を主に備える。
【0026】
図4に示すように、選別ハウジング41は、一端が閉塞された円筒状の部材であり、底面41aと、側壁41bとを有する。選別ハウジング41の底面41aには、硬貨Cが搬送される(移動する)環状の搬送路44が形成されている(図6参照)。
【0027】
図4に示すように、回転ディスク42は、樹脂製の円板形状の部材であり、選別ハウジング41内に設置される。回転ディスク42は、選別ハウジング41の底面41aに対して平行に配置されており、ディスク駆動部43の回転駆動力を受けて回転軸42sを回転中心として所定の方向に回転する。回転ディスク42は、回転することによって搬送路44(図6参照)上の硬貨Cを搬送する。
【0028】
図5に示すように、回転ディスク42は、本体部42aと、環状リブ42bと、連結部42cと、搬送切欠き部42dと、を有する。なお、回転ディスク42の形状は、図5に示すものに限定されない。本体部42aは、回転ディスク42の中央に位置する円板状の部材である。環状リブ42bは、回転ディスク42の外周部に設けられた環状の部材である。環状リブ42bは、本体部42aから所定間隔だけ離れて設けられている。連結部42cは、本体部42aと環状リブ42bとを連結する部材である。連結部42cは、回転ディスク42の円周方向に所定間隔で設けられている。搬送切欠き部42dは、環状リブ42bの底部に形成された凹部である。搬送切欠き部42dは、回転ディスク42の円周方向に所定間隔で設けられている。搬送切欠き部42dは、回転ディスク42の回転に伴い、硬貨Cを一枚ずつ保持しながら搬送する。
【0029】
図6に示すように、硬貨選別部4内の搬送路44には、硬貨排出口45a~45fと、リジェクト口46a,46bとが形成されている。なお、硬貨排出口45a~45fを特に限定することなく説明する場合に、「硬貨排出口45」と表記する場合がある。また、リジェクト口46a,46bを特に限定することなく説明する場合に、「リジェクト口46」と表記する場合がある。硬貨排出口45およびリジェクト口46の位置や数は、図6に示すものに限定されない。なお、図6の符号78は、硬貨Cの搬送方向を示している。
【0030】
硬貨排出口45およびリジェクト口46の周辺部の構成を図7に示す。硬貨排出口45およびリジェクト口46の周辺部の構成は同様であるので、ここでは硬貨排出口45を例に挙げて説明する。なお、図7(a)は、硬貨排出口45が硬貨Cを受け入れない(排出させない)状態を示しており、図7(b)は、硬貨排出口45が硬貨Cを受け入れる(排出させる)状態を示している。また、図7では、後述する滞留抑制機構100(図10および図11参照)を図示せずに省略している。
【0031】
図7に示すように、硬貨排出口45の周辺には、選別ゲート47が設けられている。選別ゲート47は、例えばソレノイド等によって軸47aを中心に回動することで、硬貨排出口45を閉塞し、または硬貨排出口45を開放する。図7(a)に示すように選別ゲート47が硬貨排出口45を閉塞した状態(通常時)にある時は、硬貨Cは選別ゲート47上を通過する。一方で、図7(b)に示すように選別ゲート47が硬貨排出口45を開放する状態へ動作した時は、硬貨Cが硬貨排出口45に導かれて落下する(排出される)。なお、図3に示すように、選別ゲート47は、硬貨排出口45a~45fおよびリジェクト口46a,46bに設けられている(図3の符号47a~47h参照)。
【0032】
(シュート部の構成について)
図8および図9を参照して(適宜、図1ないし図7を参照)、シュート部7の構成について説明する。図8は、シュート部7の外観斜視図である。図9は、シュート部の底面図である。なお、図9では、選別ゲート47a~47fを破線で示している。
【0033】
図8に示すように、シュート部7は、シュート71a~71fと、入口連結部75と、出口連結部76a,76bとを有する。シュート部7は、例えば樹脂製である。なお、シュート71a~71fを特に限定することなく説明する場合に、「シュート71」と表記する場合がある。
【0034】
シュート71a~71fは、環状(逆J字状)に配置されたシュート入口72a~72f(図8参照)と、列状に配置されたシュート出口73a~73f(図9参照)を有する。シュート入口72a~72fの位置は、硬貨排出口45a~45fに対応しており、シュート71a~71fは、硬貨排出口45a~45fから排出された硬貨を対応する金種別ホッパ61a~61fに導く。シュート71a~71fは、それぞれ筒状に形成され、内部を硬貨が落下可能な構成となっている。シュート71a~71fは、例えば円筒状に形成されるのがよい。
【0035】
図8に示すように、シュート71a~71fは、軸心方向が鉛直方向(上下方向)と交差するように配置されている(つまり、軸心方向が鉛直方向と平行でない)。また、図9に示すように、シュート71a~71fの軸心方向79は、上方(下方でも同じ)から見た場合に、硬貨Cの搬送方向78と交差しており、所定の角度θを有する(平行になっていない)。例えば、選別ゲート47dを例に挙げて説明すると、選別ゲート47dに対応するシュート71dの軸心方向79dは、選別ゲート47dを通過する際の硬貨Cの搬送方向78dに対して角度θdだけ傾いている。その為、硬貨Cを硬貨排出口45からそのままの状態で排出すると、硬貨Cが自由落下中にシュート71a~71fの側面に衝突することで硬貨Cの落下速度が減速し、後続の硬貨Cが追いつくことによって硬貨の滞留が発生する可能性がある。その対応として、本実施形態に係る媒体取扱装置1は、硬貨Cの滞留を抑制する滞留抑制機構100(図10および図11参照)を備える。
【0036】
<実施形態に係る滞留抑制機構の構成について>
図10ないし図13を参照して、実施形態に係る滞留抑制機構100について説明する。滞留抑制機構100は、シュート71a~71fにおける硬貨Cの滞留を抑制するためのものである。図10および図11に示すように、滞留抑制機構100は、主に、選別ゲート47と、シュート71とで構成される。
【0037】
図12および図13に示すように、選別ゲート47は、軸47aが軸通する軸通部471と、ソレノイドなどの駆動力を発生させる装置に連結される連結部472と、軸通部471から軸47a(図11参照)に対して直交する方向に延在する第一板部473および第二板部474と、を有する。図10に示すように、第一板部473は、回転ディスク42の環状リブ42bよりも外側に位置し、第二板部474は、回転ディスク42の環状リブ42bよりも内側に位置する。つまり、第一板部473は、第二板部474よりも外側(搬送路44の外周側)に配置される。
【0038】
図13に示すように、第一板部473および第二板部474は、概ね長方形状を呈しており、環状を呈する搬送路44(図6参照)に対応して緩やかに曲がっている。第一板部473および第二板部474の下面(裏面)には、ガイド部475が形成されている。ガイド部475は、選別ゲート47が開放位置にある状態で落下する直前または落下中の硬貨Cに接触し、シュート71に導くものである。ガイド部475は、硬貨Cをシュート71に適切に導くものであればよく、形状は例えばシュート71との位置関係や硬貨Cの搬送速度などによって決定される。
【0039】
本実施形態におけるガイド部475は、第一板部473の裏面に形成される第一ガイド部476と、第二板部474の裏面に形成される第二ガイド部477とで構成される。第一ガイド部476は、搬送される硬貨Cの主に外側に接触する第一ガイド面476aを有する。また、第二ガイド部477は、搬送される硬貨Cの主に内側に接触する第二ガイド面477aを有する。つまり、第一ガイド面476aおよび第二ガイド面477aは、搬送路44の幅方向に対して両側に形成される。
【0040】
図12および図13に示すように、第一ガイド面476aおよび第二ガイド面477aは、搬送方向78の下流側に向かって幅が狭くなるように形成されている。つまり、第一ガイド面476aおよび第二ガイド面477aは、搬送方向78に対して傾斜している。また、図13に示すように、第一ガイド面476aの先端476bは、第二ガイド面477aの先端477bよりも搬送方向に対して上流側に位置する。これにより、硬貨Cが第一ガイド面476aに先に接触し、その後で第二ガイド面477aに接触するようになっており、硬貨Cの挙動を安定させることができる。第一ガイド面476aおよび第二ガイド面477aに接触することで、硬貨Cの移動方向は、搬送方向78からシュート71の軸心方向79に変更される(図10参照)。
【0041】
また、図11に示すように、第一ガイド部476および第二ガイド部477は、選別ゲート47の周辺に配置される構成要素を隠す形状になっている。これにより、例えば選別ゲート47の下側かつ選別ゲート47の下流側に配置される硬貨検知センサ48に硬貨Cが接触しない。そのため、シュート71に入る前の段階で他の構成要素(例えば硬貨検知センサ48)に接触することがないので、シュート71に入る前の段階での減速を抑制できる。なお、本実施形態では、第一ガイド部476の上下方向の寸法は、第二ガイド部477の上下方向の寸法よりも大きくなっている。
【0042】
以上のように、実施形態に係る滞留抑制機構100は、硬貨排出口45に落下する直前または落下中の硬貨Cに接触してシュート71に導くガイド部475を選別ゲート47に有する。その為、硬貨Cが自由落下中にシュート71の内面に過度に接触(衝突)することがなく、これにより硬貨Cの落下速度が減速することを抑制できる。その結果、後続の硬貨Cが追いつくことによって硬貨Cの滞留が発生することを防ぐことができる。ここで、ガイド部475は、硬貨Cとシュート71の内面との過度の接触(衝突)を回避できればよく、硬貨Cがシュート71の内面に全く接触しないことを意図しているものではない。
【0043】
比較例として滞留抑制機構100(図10参照)を有しない選別ゲート97を図14および図15に示す。図14に示すように、比較例での選別ゲート97では、硬貨Cの移動方向をシュート71の軸心方向79に変更することはできず、シュート71の内面に衝突する。また、図15に示すように、比較例での選別ゲート97では、選別ゲート47の周辺に配置される構成要素(例えば硬貨検知センサ48)を隠す形状になっておらずに露出している。その為、シュート71に入る前の段階で他の構成要素(例えば硬貨検知センサ48)に硬貨Cが接触してしまい、硬貨Cの落下速度が減速する。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例は、例えば以下に示すものである。
【0045】
実施形態では媒体として硬貨を想定し、媒体取扱装置1は硬貨を管理する硬貨処理装置として説明した。しかしながら、媒体取扱装置1の種類は実施形態で説明したものに限定されず、例えば硬貨以外の媒体(例えば、硬貨に類するもの)を取扱う装置に適用することができる。硬貨に類するものは、例えばコインなどである。
【符号の説明】
【0046】
1 媒体取扱装置
2 硬貨繰り出し部
3 硬貨認識部
4 硬貨選別部
5 リジェクト硬貨収容部
6 金種別ホッパ
7 シュート部
8 搬送ゲート
9 硬貨出金箱
10 硬貨回収庫
11 制御ユニット
41 選別ハウジング
42 回転ディスク
43 ディスク駆動部
44 搬送路
45 硬貨排出口(排出口)
46 リジェクト口(排出口)
47 選別ゲート
48 硬貨検知センサ
71 シュート
78 搬送方向
79 軸心方向
473 第一板部
474 第二板部
475 ガイド部
100 滞留抑制機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図15