(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/14 20200101AFI20240611BHJP
H05B 45/38 20200101ALI20240611BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20240611BHJP
H05B 45/355 20200101ALI20240611BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20240611BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20240611BHJP
【FI】
H05B45/14
H05B45/38
H05B45/375
H05B45/355
H05B47/18
H05B45/325
(21)【出願番号】P 2020169162
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩士
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067557(JP,A)
【文献】特開2007-035403(JP,A)
【文献】特開2013-085466(JP,A)
【文献】特表2009-520331(JP,A)
【文献】特開2012-139036(JP,A)
【文献】特開2013-132186(JP,A)
【文献】特開2008-047494(JP,A)
【文献】特開2010-040400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源に出力電流を出力し、前記光源を点灯させる点灯回路と、
前記出力電流を検出値として検出する検出回路と、
前記検出値を増幅させる増幅回路と、
外部から入力される調光度に応じた目標値と、前記増幅された検出値とが一致するように前記点灯回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記調光度が低いほど前記増幅回路の増幅率
と前記目標値を大きく設定
し、
前記増幅された検出値と前記目標値との比較結果に応じて調光指令値を算出し、前記点灯回路に前記調光指令値を出力して前記点灯回路を制御し、前記増幅率を変更するとき前記調光指令値の演算に用いられる係数を変更することを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記調光度が予め定められた閾値よりも低いとき、前記調光度が前記閾値よりも高いときと比較して、前記増幅率を大きく設定することを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記増幅率と前記目標値を同じ割合で変化させることを特徴とする請求項
1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
光源に出力電流を出力し、前記光源を点灯させる点灯回路と、
前記出力電流を検出値として検出する検出回路と、
前記検出値を増幅させる増幅回路と、
外部から入力される調光度に応じた目標値と、前記増幅された検出値とが一致するように前記点灯回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記調光度が低いほど前記増幅回路の増幅率と前記目標値を大きく設定し、
前記増幅された検出値と前記目標値との比較結果に応じて調光指令値を算出し、前記点灯回路に前記調光指令値を出力して前記点灯回路を制御し、前記増幅率と前記目標値の変更を開始してから前記変更が完了するまで前記調光指令値を前回の値に固定することを特徴とす
る点灯装置。
【請求項5】
光源に出力電流を出力し、前記光源を点灯させる点灯回路と、
前記出力電流を検出値として検出する検出回路と、
前記検出値を増幅させる増幅回路と、
外部から入力される調光度に応じた目標値と、前記増幅された検出値とが一致するように前記点灯回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記調光度が低いほど前記増幅回路の増幅率と前記目標値を大きく設定し、
前記増幅された検出値と前記目標値との比較結果に応じて調光指令値を算出し、前記点灯回路に前記調光指令値を出力して前記点灯回路を制御し、前記調光度が低下すると前記出力電流を上昇させる前記調光指令値は切り捨てて前記点灯回路を制御し、前記調光度が上昇すると前記出力電流を低下させる前記調光指令値は切り捨てて前記点灯回路を制御することを特徴とす
る点灯装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記調光度に対して前記増幅率を連続して変化させることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記調光度の変化に対して前記増幅された検出値が一定となるように、前記増幅率を変化させることを特徴とする請求項
6に記載の点灯装置。
【請求項8】
請求項1から
7の何れか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、力率改善回路と、入力端が力率改善回路の出力端に接続した直流コンバータと、直流コンバータの出力端に接続して点灯する発光ダイオードを備える点灯装置が開示されている。この点灯装置は、調光信号出力手段から出力される調光信号に応じて直流コンバータの出力を制御する制御手段を備える。制御手段は、直流コンバータの負荷電流検出回路から入力される負荷電流が一定になるように帰還制御する。また、制御手段は、調光信号が入力されると、調光信号に対応するPWM制御された駆動信号を生成して直流コンバータのスイッチング素子に供給する。その結果、負荷電流の定電流制御の基準値が調光信号に応じて変更されるため、発光ダイオードは、調光信号に対応する光出力の調光点灯を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LED電流の検出方法として、一般にLEDに流れる電流を抵抗で電圧に変換し、制御回路の検出端子で検出することがある。このとき、検出電圧が高いほど、抵抗の損失が大きくなる。このため、制御回路の動作可能な範囲で、検出電圧はできる限り低い方が損失を抑制できる。一方で、マイコンには一般にAD変換の絶対最大誤差がある。また、オペアンプには一般にオフセット電圧がある。検出電圧が小さいと、これらの誤差の影響を受けやすくなる。このとき、制御の精度が低下し、消灯に至るおそれがある。
【0005】
また、抵抗で検出した電圧を増幅器により増幅してから制御回路で検出することが考えられる。これにより、前述の誤差の影響を軽減できる。しかしながら本方法では、制御回路での全光時の検出電圧が増幅されるため、制御回路での損失が上昇するおそれがある。また、使用するマイコンまたはIC検出端子の最大定格により、増幅率が制限される可能性がある。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、損失を抑制しながら制御の精度を向上できる点灯装置および照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る点灯装置は、光源に出力電流を出力し、該光源を点灯させる点灯回路と、該出力電流を検出値として検出する検出回路と、該検出値を増幅させる増幅回路と、外部から入力される調光度に応じた目標値と、該増幅された検出値とが一致するように該点灯回路を制御する制御回路と、を備え、該制御回路は、該調光度が低いほど該増幅回路の増幅率と該目標値を大きく設定し、該増幅された検出値と該目標値との比較結果に応じて調光指令値を算出し、該点灯回路に該調光指令値を出力して該点灯回路を制御し、該増幅率を変更するとき該調光指令値の演算に用いられる係数を変更する。
本開示に係る点灯装置は、光源に出力電流を出力し、該光源を点灯させる点灯回路と、該出力電流を検出値として検出する検出回路と、該検出値を増幅させる増幅回路と、外部から入力される調光度に応じた目標値と、該増幅された検出値とが一致するように該点灯回路を制御する制御回路と、を備え、該制御回路は、該調光度が低いほど該増幅回路の増幅率と該目標値を大きく設定し、該増幅された検出値と該目標値との比較結果に応じて調光指令値を算出し、該点灯回路に該調光指令値を出力して該点灯回路を制御し、該増幅率と該目標値の変更を開始してから該変更が完了するまで該調光指令値を前回の値に固定する。
本開示に係る点灯装置は、光源に出力電流を出力し、該光源を点灯させる点灯回路と、該出力電流を検出値として検出する検出回路と、該検出値を増幅させる増幅回路と、外部から入力される調光度に応じた目標値と、該増幅された検出値とが一致するように該点灯回路を制御する制御回路と、を備え、該制御回路は、該調光度が低いほど該増幅回路の増幅率と該目標値を大きく設定し、該増幅された検出値と該目標値との比較結果に応じて調光指令値を算出し、該点灯回路に該調光指令値を出力して該点灯回路を制御し、該調光度が低下すると該出力電流を上昇させる該調光指令値は切り捨てて該点灯回路を制御し、該調光度が上昇すると該出力電流を低下させる該調光指令値は切り捨てて該点灯回路を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る点灯装置では、調光度が低いほど増幅回路の増幅率を大きく設定する。このため、損失を抑制しながら制御の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図2】増幅率が1倍時の調光度に対するLED電流と検出値の関係を示すグラフである。
【
図4】増幅率が4倍時の調光度に対するLED電流と検出値の関係を示すグラフである。
【
図5】実施の形態1における調光度に対するLED電流と検出値の関係を示すグラフである。
【
図7】実施の形態2に係る照明器具の回路ブロック図である。
【
図8】実施の形態2における調光度に対するLED電流と検出値の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各本実施の形態に係る点灯装置および照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。また、以下で接続という場合には、電気的な接続を含むものとする。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100は、LEDモジュール27と、点灯装置1を備える。LEDモジュール27は光源として複数のLED26を備える。複数のLED26は直列、並列または直並列に接続される。LEDモジュール27が備えるLED26の数は限定されない。また、光源はLED以外の発光素子であっても良い。
【0012】
点灯装置1は、昇圧チョッパ回路2、バックコンバータ回路3、制御電源回路4、制御装置5、調光I/F回路6を備える。制御装置5には外部の調光器51から調光I/F回路6を通して、調光信号が入力される。昇圧チョッパ回路2とバックコンバータ回路3は、光源に出力電流を出力し光源を点灯させる点灯回路を構成する。
【0013】
昇圧チョッパ回路2は、力率改善を行う昇圧コンバータ回路である。昇圧チョッパ回路2は、整流回路8と、コンデンサ9と、抵抗31、32と、インダクタ10と、スイッチング素子Q1と、ダイオード14と、コンデンサ17と、抵抗15、16を備えている。
【0014】
整流回路8は交流電源7と接続している。コンデンサ9は、整流回路8の出力端子に並列に接続する。抵抗31、32が直列接続した分圧回路は、コンデンサ9に並列に接続される。コンデンサ9の両端電圧が抵抗31、32で分圧され、制御装置5に入力される。
【0015】
インダクタ10は、一端が整流回路8の高電位側に接続される。インダクタ10の他端にはスイッチング素子Q1の第1端子が接続される。スイッチング素子Q1は、第1端子、第2端子および第1、2端子間をスイッチングするための制御端子を有する。スイッチング素子Q1は例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子Q1がMOSFETのとき、第1端子はドレイン端子、第2端子はソース端子、制御端子はゲート端子である。スイッチング素子Q1の第2端子は整流回路8の低電位側に接続される。スイッチング素子Q1の制御端子は駆動回路41に接続される。
【0016】
ダイオード14は、アノードがスイッチング素子Q1の第1端子とインダクタ10の他端との接続点に接続される。コンデンサ17は、ダイオード14のカソードに正極が接続され、整流回路8の低電位側に負極が接続される。コンデンサ17は例えば電解コンデンサである。抵抗15、16が直列接続した分圧回路は、コンデンサ17に並列に接続される。コンデンサ17の両端電圧は抵抗15、16を用いて分圧され、制御装置5に入力される。
【0017】
バックコンバータ回路3は、スイッチング素子Q2と、ダイオード21と、インダクタ22と、コンデンサ23と、検出抵抗24を備えている。スイッチング素子Q2とダイオード21からなる直列回路が、昇圧チョッパ回路2のコンデンサ17と並列に接続されている。スイッチング素子Q2は、例えばMOSFETである。スイッチング素子Q2の第1端子は、コンデンサ17の正極と接続され、第2端子はダイオード21のカソードと接続される。スイッチング素子Q2の制御端子は、駆動回路42に接続される。インダクタ22、コンデンサ23および検出抵抗24は、この順に接続して直列回路を形成する。この直列回路はダイオード21と並列に接続される。
【0018】
検出抵抗24は、バックコンバータ回路3に設けられており、LEDモジュール27に流れるLED電流を検出する。検出抵抗24は点灯回路の出力電流を検出値として検出する検出回路である。検出抵抗24からの検出電圧は、制御装置5に入力される。制御装置5は検出抵抗24の検出電圧に基づいて、LEDモジュール27に流れる電流が一定電流になるように、バックコンバータ回路3のスイッチング素子Q2をオンオフする。
【0019】
デジタル電源用の制御装置5として提供されるマイコンは、既に各種のものが公知である。これら公知のマイコンを制御装置5に適宜に使用することができる。一例として
図1に示される制御装置5は、内部バスを介して互いに接続された駆動回路41、42、増幅器43、A/D変換回路44、処理装置45、記憶部46および調光検出回路47を備えている。
【0020】
駆動回路41、42は、スイッチング素子Q1、Q2をスイッチングするPWM(Pulse Width Modulation)信号をそれぞれ出力する。記憶部46は、不揮発性メモリなどからなる。記憶部46は、処理装置45で実行すべき演算プログラムおよび演算に用いられる各種データが書込、読出可能に記憶されている。
【0021】
処理装置45は、LED電流の検出値と目標値の差分を演算し、差分がゼロになるようスイッチング素子Q2のオン時間を決定する。これにより、処理装置45はLED電流が目標値に対応する電流になるよう調整する。増幅器43は、検出抵抗24による検出値を増幅させる増幅回路である。また、調光検出回路47は、外部から入力される調光信号に応じて、点灯回路の出力電流の目標値を変更する。
【0022】
制御装置5には、抵抗15、16で分圧された電圧、抵抗31、32で分圧された電圧および検出抵抗24で検出したLED電流に応じた検出電圧が入力される。これらの電圧値は、A/D変換回路44でデジタル値に変換される。このデジタル値を用いて、処理装置45は演算を行う。
【0023】
制御装置5には、調光I/F回路6を介して調光器51からの調光信号が入力される。制御装置5は、LED電流が調光信号に基づいて決定される目標電流に一致するように、検出抵抗24で検出した検出値に基づいてスイッチング素子Q2のオン幅を調整する。これにより、制御装置5は点灯回路を定電流制御している。
【0024】
本実施の形態では、調光器51から入力される調光信号に応じて、処理装置45の目標値および増幅器43の増幅率が変更される。これにより、全光時の損失を抑制しつつ、下限調光時のLED電流の精度を向上できる。次に、処理装置45および増幅器43の具体的な制御方法について説明する。
【0025】
調光器51から点灯装置1に調光信号が入力されると、調光I/F回路6および調光検出回路47を経て、処理装置45が調光信号を検出する。処理装置45は、調光信号が示す調光度が予め定められた閾値より高いか低いかを判別する。調光度が閾値より高いとき、処理装置45は増幅器43へ増幅率Aの指示を送信する。また、処理装置45は自己の目標値を予め定められた調光度に応じた値に更新する。調光度が閾値より低いとき、処理装置45は増幅器43へ増幅率Bの指示を送信する。また、処理装置45は自己の目標値を予め定められた調光度に応じた値に更新する。
【0026】
図2は、増幅率が1倍時の調光度に対するLED電流と検出値の関係を示すグラフである。
図3は、
図2の拡大図である。以降で説明する計算は、フィードバック動作が理想的に行われていることが仮定されている。すなわちLED電流の検出値と目標値が等しい状態で点灯装置1が動作していることが仮定されている。
【0027】
図2、3には、増幅器43の増幅率を1倍に固定した場合の計算結果が示されている。計算において、調光度が100%から1%のときのLED電流は500mAから5mAであるものとした。また、検出抵抗24は1.5Ωであり、制御装置5の電源である基準電圧は3.3Vであるものとした。また、A/D変換回路44は、分解能が1024bitである10bitADCであり、絶対最大誤差が±7bitであるものとする。
【0028】
図3に示されるように、絶対最大誤差を考慮した場合、調光度3.3%付近で検出値を絶対最大誤差が上回る。このため、低調光時にLEDモジュール27が消灯するおそれがあることが分かる。
【0029】
図4は、増幅率が4倍時の調光度に対するLED電流と検出値の関係を示すグラフである。
図4には、増幅器43の増幅率を4倍に固定し、
図2、3と同様の条件で計算した場合の計算結果が示されている。この場合、絶対最大誤差を考慮しても調光度の全範囲で動作可能となる。しかし、全光時の検出bit数が930bitとなる。このとき、制御装置5において、検出抵抗24の両端電圧が約3.0Vであり、検出抵抗24での損失が6Wである場合と同等の損失が発生する。高効率化が求められるLED電源において、このような損失は現実的ではない。
【0030】
図5は実施の形態1における調光度に対するLED電流と検出値の関係を示すグラフである。
図6は、
図5の拡大図である。
図5、6には、調光度の閾値を25%、増幅率Aを1倍、増幅率Bを4倍とした場合の計算結果が示されている。本実施の形態において、全光時の検出値は230bitである。このとき、制御装置5の損失は、検出抵抗24の損失が0.37W程度である場合と同等である。また、1%調光時の検出値は9bitであり、絶対最大誤差を考慮しても動作可能である。
【0031】
また、絶対最大誤差が±7bitより小さい場合でも、低調光時の増幅率を高くすれば良い。これにより、低調光時の検出値の絶対値が大きくなり、絶対最大誤差の影響を相対的に小さくすることができる。
【0032】
本実施の形態の処理装置45は、外部から入力される調光度に応じて目標値を算出し、算出した目標値と増幅器43により増幅された検出値が一致するように点灯回路を制御する制御回路である。処理装置45は、調光度が低いほど増幅器43の増幅率と目標値を大きく設定する。具体的には、処理装置45は、調光度が予め定められた閾値よりも低いとき、調光度が閾値よりも高いときと比較して、増幅率と目標値を大きく設定する。このとき、処理装置45は、増幅率と目標値を同じ割合で変化させる。
【0033】
以上から、損失を抑制しながら、調光制御の精度を向上できる。また、制御可能なLED電流の下限値を拡張することができる。
【0034】
処理装置45におけるフィードバック制御の具体的な方法として、PI(比例積分)制御が挙げられる。処理装置45は、目標値と検出値の偏差に比例係数であるPゲインを乗じた比例項と、当該偏差に積分係数であるIゲインを乗じて操作量の前回値を加算した積分項とを加算し、今回の操作量を算出する。ここで、本実施の形態において操作量はスイッチング素子Q2のオン時間である。これにより処理装置45は、目標値と検出値との差分が小さくなるよう点灯回路を制御する。
【0035】
このように、処理装置45は、増幅された検出値と目標値との比較結果に応じて調光指令値を算出し、点灯回路に調光指令値を出力して点灯回路を制御する。ここで、調光指令値は例えばスイッチング素子Q2のオン時間である。
【0036】
増幅率を変更するのに伴い、目標値についても増幅率と同じ割合で変更することが好ましい。このとき、PI制御に使用される値も変更されても良い。つまり、処理装置45は、増幅率を変更するとき、調光指令値の演算に用いられる係数を変更しても良い。調光指令値の演算に用いられる係数は、例えばPゲイン、Iゲイン等のゲイン係数である。
【0037】
増幅率を切り替えるタイミングと、目標値およびゲインを切り替えるタイミングがずれると、LED電流が大きく変動する可能性がある。このため、増幅率の切り替えのタイミングでは、例えば増幅率、目標値、ゲインのすべてが切り替わるまで、オン時間の演算を停止するウェイト期間を設けても良い。つまり、処理装置45は、増幅率と目標値とゲインの変更を開始してから変更が完了するまで、調光指令値を前回の値に固定する。
【0038】
また、例えば処理装置45において、高出力状態から低出力に変わったフラグが検出されている場合は、オン時間を高くする演算結果は切り捨てても良い。処理装置45は、調光度の変化後の一定期間において、調光度の変化と逆方向の演算結果を切り捨てても良い。つまり、処理装置45は、調光度が低下すると出力電流を上昇させる調光指令値は切り捨てて点灯回路を制御し、調光度が上昇すると出力電流を低下させる調光指令値は切り捨てて点灯回路を制御する。なお、フラグは例えば制御装置5が外部から検出した信号に応じて立てれば良い。
【0039】
以上の制御によれば、増幅率、目標値およびゲインを切り替えるタイミングがずれて、LED電流が大きく変動することを抑制できる。ここでは、PI制御を例として増幅率、目標値およびゲインを切り替える場合の動作を説明したが、制御方法によっては増幅率のみまたは増幅率と目標値のみが切り替わるものとしても良い。
【0040】
処理装置45におけるフィードバック制御は、PI制御に限らずPID(比例積分微分)制御であっても良い。処理装置45における制御は、検出値と目標値の差分をゼロにするような制御であれば、どのような制御でも良い。
【0041】
また、増幅率は3段階以上で切り替えられても良い。また、増幅器43の増幅率は、下限調光時の処理装置45の検出値が絶対最大誤差よりも大きくなるように設定されても良い。また、本実施の形態では制御装置5をマイコンで構成するものとした。これに限らず、制御装置5の一部が別の制御装置として構成されても良い。
【0042】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置および照明器具については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0043】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る照明器具200の回路ブロック図である。照明器具200は、LEDモジュール27と、点灯装置201を備える。点灯装置201では制御装置5と増幅回路の構成が実施の形態1の構成と異なる。
【0044】
本実施の形態では、増幅回路として、増幅器43に代えて、オペアンプ48、可変抵抗49、抵抗50で非反転増幅回路が形成される。増幅回路は、制御装置5外に設けられる。また、オペアンプ48の出力には、LEDドライバ52が接続される。LEDドライバ52は、オペアンプ53と駆動回路42を備える。オペアンプ53の一方の入力は、オペアンプ48の出力に接続される。オペアンプ53の他方の入力は、処理装置45に接続される。オペアンプ53の出力は、駆動回路42を介してスイッチング素子Q2の制御端子に接続される。オペアンプ53はエラーアンプとして動作する。駆動回路42は内部にPWM発信器を有し、エラーアンプの出力に合わせてオン時間を変更する。
【0045】
このように、本実施の形態では制御装置5からバックコンバータ回路3の制御部分が切り離されている。増幅回路は、アナログ回路として形成される。
【0046】
制御装置5は、LEDドライバ52にLED電流の目標値を入力する。また、制御装置5は可変抵抗49の抵抗値を設定する。可変抵抗49の抵抗値により、オペアンプ48の増幅率は変化する。このように、処理装置45は増幅率と目標値を設定している。
【0047】
図8は、実施の形態2における調光度に対するLED電流と検出値の関係を示すグラフである。本実施の形態では処理装置45は、調光度に対して増幅率を連続して変化させる。処理装置45は、調光度が低いほど増幅率を大きく設定する。
【0048】
本実施の形態において処理装置45は、調光度の変化に対してLEDドライバ52の検出値が一定となるように、増幅回路の増幅率を変化させることができる。つまり、
図8に破線で示されるように、調光度の変化に対して検出値と目標値を一定にしながら、LED電流を変化させることができる。
【0049】
本実施の形態ではオペアンプ53のオフセット電圧の影響を、低調光時の増幅率を上げることで抑制することが可能である。このように、本実施の形態においても、調光度が低いほど増幅率が大きく設定されることで、損失を抑制しながら制御の精度を向上できる。また、本実施の形態では調光度の変化に対して増幅率が大きく変わるような変化点がない。このため、実施の形態1で説明した増幅率および目標値の切り替え時のウェイト等の制御が不要になる。
【0050】
なお、実施の形態1の制御装置5のようなマイコンでも、増幅率を細かく設定することで、増幅率を
図8に示されるように連続して変化させることができる。しかし、マイコンでこのような制御を実現するには大容量のメモリが必要となる可能性がある。また、本実施の形態においても、実施の形態1のように増幅率を調光度に応じて段階的に切り替えても良い。
【0051】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 点灯装置、2 昇圧チョッパ回路、3 バックコンバータ回路、4 制御電源回路、5 制御装置、6 調光I/F回路、7 交流電源、8 整流回路、9 コンデンサ、10 インダクタ、14 ダイオード、15、16 抵抗、17 コンデンサ、21 ダイオード、22 インダクタ、23 コンデンサ、24 検出抵抗、27 LEDモジュール、31、32 抵抗、41、42 駆動回路、43 増幅器、44 A/D変換回路、45 処理装置、46 記憶部、47 調光検出回路、48 オペアンプ、49 可変抵抗、50 抵抗、51 調光器、52 LEDドライバ、53 オペアンプ、100、200 照明器具、201 点灯装置、Q1、Q2 スイッチング素子