(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
F16B 5/02 20060101AFI20240611BHJP
F16B 12/46 20060101ALI20240611BHJP
F16B 12/50 20060101ALI20240611BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20240611BHJP
A47B 31/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F16B5/02 J
F16B12/46 A
F16B12/46 B
F16B12/50 A
F16B12/50 B
A47B55/00
A47B31/00 Z
(21)【出願番号】P 2020179549
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】古田 司
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0237423(US,A1)
【文献】特開平06-269323(JP,A)
【文献】実開昭51-138298(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0166934(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/02
F16B 12/46
F16B 12/50
A47B 55/00
A47B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の部材に第二の部材を隣接させてこれを第一の部材から離反する方向に変位させないように保定する構造であって、
前記第一の部材に対して相対的に不動であり、第一の部材から離反する方向に前記第二の部材よりも張り出している取付部と、
前記取付部に対して取り付けられる第三の部材と、
その軸部を前記取付部に挿通して
前記第一の部材を前記第三の部材に
固着し、その状態で当該軸部よりも拡径した頭部を前記第二の部材に近接ないし当接させ、その頭部と前記第一の部材とで第二の部材を挟むように配置される止着具と
を備える部材の取付構造。
【請求項2】
前記止着具が複数個存在し、そのそれぞれの頭部を前記第二の部材に近接ないし当接させる請求項1記載の部材の取付構造。
【請求項3】
前記第二の部材が下方から支持され、かつ前記第一の部材により一方側から支持されており、前記止着具により前記第二の部材が他方側に倒れないように保定される請求項1または2記載の部材の取付構造。
【請求項4】
前記止着具として、その頭部が前記第二の部材の他方側の側面と上面との交わる隅角の近傍に位置するものが存在する請求項3記載の部材の取付構造。
【請求項5】
対向する一対の前記第一の部材の内側面に隣接して、一対の前記第二の部材が設けられ、それら各
第二の部材の内側面に外側方に凹む凹溝が形成されており、それら各
第二の部材の凹溝を利用して他のオプション品を支持することができる請求項1、2、3または4記載の部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の部材に第二の部材を隣接させ、第二の部材を第一の部材から離反する方向に変位させないように保定する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記非特許文献1に、前方、後方または側方から物品を出し入れして収納することを可能としたフレキシブルな棚(シェルフ)が開示されている。この棚は、設立した複数本の支柱同士を幅方向または前後方向に伸びる複数本の横架フレームにより連結して構築した骨組構造体のフレームに、棚受となるフックを掛け止め、フックに棚板を支持させてなる。また、支柱及びフレームにより囲まれた方形状の窓領域にインセットパネル即ち側板、背面板または正面板を嵌め込み、収納空間を任意に区画できるようになっている。
【0003】
ところで、例えば、側板の内側に所望の他の部材を隣接させて据え付けようとする場合、その対象となる部材に挿通孔を穿ち、かつ側板の内側面にもナット穴を形成した上で、ビスやボルト等の止着具を挿通孔に挿通し、ナット穴に螺合させて緊締することが普遍的な手法である。
【0004】
だが、側板は無論のこと、据え付ける対象の部材にも加工を施す必要があり、それが工数及びコストの増加に繋がるきらいがある。当然、使用する止着具の個数も増える。あるいは、何らかの事情により、側板や対象の部材に加工を施す余地が小さいこともあり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】“JUKE(登録商標)”,コクヨ総合カタログ2020年版ファニチャー編,コクヨ株式会社,令和1年12月,p.512-519
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、第一の部材に第二の部材を隣接させて据え付けるにあたり、それらに特段の加工を施さずとも第二の部材を第一の部材に対して保定できるようにすることを所期の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、第一の部材に第二の部材を隣接させてこれを第一の部材から離反する方向に変位させないように保定する構造であって、前記第一の部材に対して相対的に不動であり、第一の部材から離反する方向に前記第二の部材よりも張り出している取付部と、前記取付部に対して取り付けられる第三の部材と、その軸部を前記取付部に挿通して前記第一の部材を前記第三の部材に固着し、その状態で当該軸部よりも拡径した頭部を前記第二の部材に近接ないし当接させ、その頭部と前記第一の部材とで第二の部材を挟むように配置される止着具とを備える部材の取付構造を構成した。
【0008】
前記止着具が複数個存在する場合には、そのそれぞれの頭部を前記第二の部材に近接ないし当接させることが好ましい。
【0009】
より具体的には、前記第二の部材が下方から支持され、かつ前記第一の部材により一方側から支持されており、前記止着具により前記第二の部材が他方側に倒れないように保定される構造とする。
【0010】
なお、前記止着具として、その頭部が前記第二の部材の他方側の側面と上面との交わる隅角の近傍に位置するものが存在することがある。
【0011】
本発明の用途の一例として、対向する一対の前記第一の部材の内側面に隣接して、一対の前記第二の部材が設けられ、それら各第二の部材の内側面に外側方に凹む凹溝が形成されており、それら各第二の部材の凹溝を利用して他のオプション品を支持することが挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第一の部材に第二の部材を隣接させて据え付けるにあたり、それらに特段の加工を施さずとも第二の部材を第一の部材に対して保定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の什器及び抽斗の斜視図。
【
図7】同実施形態の抽斗の要部を拡大した正断面図。
【
図8】同実施形態の抽斗の要部を拡大した平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし
図4、
図7ないし
図9に示す本実施形態の什器は、物品を収納可能な棚(シェルフ)1と、やはり物品を収納可能であり棚1の内側に収容できかつ棚1から引き出すこともできる抽斗2との組である。
【0015】
棚1は、設立した複数本の支柱11同士を幅方向または前後方向に伸びる横架フレーム12により連結して構築した骨組構造体に、棚板16やインセットパネル即ち側板13、背面板14または正面板15を取り付けて構成されている。幅方向に伸びるフレーム12と前後方向に伸びるフレーム12とは、平面視方形状の枠体をなし、当該フレーム12に棚受となるフック(図示せず)を掛け止め、そのフックに棚板16を支持させる。棚板16は、ちょうどフレーム12により囲まれる窓領域の内を埋めるように収まり、その上面がフレーム12の上面と略面一となる。
【0016】
また、支柱11とフレーム12とは、正面視若しくは背面視または側面視方形状の枠体をなし、それら支柱11及びフレーム12により囲まれる窓領域の内に側板13、背面板14または正面板15を嵌め込むことで、棚1の収納空間を任意に区画できるようになっている。側板13は、棚板16上の空間を側方より遮蔽する。側板13の側面は、支柱11及び前後方向に伸びるフレーム12の側面と略面一となる。背面板14は、棚板16上の空間を後方より遮蔽する。背面板14の前後面は、支柱11及び幅方向に伸びるフレーム12の前後面と略面一となる。並びに、正面板15は、棚板16上の空間を前方より遮蔽する。正面板15の前後面もまた、支柱11及び幅方向に伸びるフレーム12の前後面と略面一となる。
【0017】
図3ないし
図8に示すように、抽斗2は、上方に開放し前後左右が囲繞された筐体状をなし、底にキャスタ26を装着したもので、そのキャスタ26が床面に接地し、自立して床面上を自由に移動することができる。
図6に示しているように、抽斗2の本体は、下面にキャスタ26を備える底板21と、底板21の左右両側縁部から起立する一対の側板22と、底板21の前後両縁部から起立する一対の鏡板23、24とを要素とする。抽斗2の形状は、前後対称である。側板22の幅方向に沿った厚みは、鏡板23、24の前後方向に沿った厚みよりも薄く、抽斗2内の収納空間の幅方向に沿った内寸をできるだけ大きく確保している。
【0018】
抽斗2は、棚1の骨組構造体における幅方向に並立する支柱11間の、前後方向に貫通しかつ床面から所要の高さ位置まで横架フレーム12により遮られていない棚板16下の空間に収容できる。
図2に示すように、抽斗2を棚1の内側に収容した状態で、正面視若しくは背面視において、棚1の骨組構造体における幅方向に伸びる横架フレーム12と略等しい高さ位置に、抽斗2にも幅方向に延びる横架フレーム211が設けられており、什器としての外観の統一感、一体感を醸成している。後述するが、抽斗2の横架フレーム211は、底板21の前後縁部に固定されている。これら横架フレーム12、221は、上下寸法が略等しく、また色、材質、質感等も互いに同一または極近似している。例えば、棚1の横架フレーム12が黒色の金属製の角パイプ材であるならば、抽斗2の横架フレーム211もまた黒色の同じ金属製の部材とする。
【0019】
図1及び
図8に示すように、棚1の内側の空間に収容した抽斗2は、その前縁が棚1の前縁よりも前方に突出せず、その後縁が棚1の後縁よりも後方に突出しない。特に、抽斗2の正面側の鏡板23及び横架フレーム211の前面が、棚1の前方の支柱11、横架フレーム12及び正面板15の前面と略面一となり、並びに、抽斗2の背面側の鏡板24及び横架フレーム211の後面が、棚1の後方の支柱11、横架フレーム12及び背面板14の後面と略面一となる。
【0020】
図3に示すように、抽斗2は、棚1から前方に引き出すことができる。しかも、
図4に示すように、抽斗2は、棚1から後方にも引き出すことができる。鏡板23、24の上縁部は、抽斗2を引き出そうとする使用者が手指を掛けることができる。抽斗2に装着しているキャスタ26は、いわゆる首振りが可能なものでなく、車輪及びその回転軸の向きが不変であり(回転軸は左右を向くように固定されている)、車輪は常に前転または後転するようになっている。従って、抽斗2は、前後方向に沿って自在に直進移動できる反面、幅方向には容易に変位しない。
【0021】
因みに、
図2ないし
図4及び
図8に示しているように、棚1の骨組構造体における、抽斗2の側板22と接触し得る位置にある、前後方向に伸びる横架フレーム12及び支柱11の側面には、抽斗2の側板22との摩擦による騒音や摩耗の発生を抑制するべく、緩衝材(または、滑動部材)17としてクッション性のあるフェルト等を貼付してある。緩衝材17の上下寸法は、これを取り付ける対象のフレーム12の上下寸法以内に収まっており、緩衝材17の上縁は同フレーム12よりも上方にはみ出さず、緩衝材17の下縁は同フレーム12よりも下方にはみ出さない。
【0022】
以降、本実施形態の抽斗2の構造について詳記する。
図4ないし
図8に示すように、第一の部材たる側板22の内側面には、内側方に突出した取付部たるブラケット221、212、213を、溶接等により固着している。側板22の前縁に沿って上下に拡張しているブラケット221は、正面側の鏡板23の側縁部の後面に接合する部位であり、鏡板23の前後方向に沿った厚み分だけ、側板22の前縁よりも後方に退避している。ブラケット221には、これを前後に貫通する挿通孔224を、上下方向に沿って間欠的に複数穿ってある。また、このブラケット221の下縁は、底板21の上下方向に沿った厚み分だけ、側板22の下縁よりも上方に退避している。
【0023】
側板22の後縁に沿って上下に拡張しているブラケット222は、背面側の鏡板24の側縁部の前面に接合する部位であり、鏡板24の前後方向に沿った厚み分だけ、側板22の後縁よりも前方に退避している。ブラケット222には、これを前後に貫通する挿通孔224を、上下方向に沿って間欠的に複数穿ってある。また、このブラケット222の下縁は、底板21の上下方向に沿った厚み分だけ、側板22の下縁よりも上方に退避している。
【0024】
側板22の下縁に沿って前後に拡張しているブラケット223は、底板21の側縁部の上面に接合する部位であり、底板21の上下方向に沿った厚み分だけ、側板22の下縁よりも上方に退避している。ブラケット223には、これを上下に貫通する挿通孔224を、前後方向に沿って間欠的に複数穿ってある。また、このブラケット223の前後縁は、鏡板23、24の前後方向に沿った厚み分だけ、側板22の前後縁よりも後方または前方に退避している。
【0025】
加えて、本実施形態では、側板22の内側面に隣接させて、第二の部材たるオプション支持体25を配設している。オプション支持体25は、その内側面に、外側方に凹み上下に延伸する凹溝251を複数本、前後方向に沿って間欠的に形成した板状体である。
【0026】
オプション支持体25の前後寸法は、側板22における前後に対向しているブラケット221、22の前後方向に沿った内法に略等しい。オプション支持体25は、側板22における側面視凵字形をなすブラケット221、222、223の内に略隙間なくぴったりと収まる。即ち、オプション支持体25の前端面がブラケット221の後面に近接ないし当接し、後端面がブラケット222の前面に近接ないし当接する。なおかつ、オプション支持体25の下端面が、ブラケット223の上面に載置される。この状態で、ブラケット221、222、223は、オプション支持体25の内側面よりも内側方に幾分張り出しており、各ブラケットに穿ってある挿通孔224もまた、オプション支持体25の内側面よりは内側方にあって、オプション支持体25の内側面に近接している。
【0027】
第三の部材たる正面側の鏡板23の後面の左右両側縁部には、ブラケット221の挿通孔224に対応する箇所にナット穴231を形成する。鏡板23、24を木製の板材から作製するような場合、その板材に鬼目ナットを埋設することで、ナット穴231、241を設けることができる。
【0028】
同様に、第三の部材たる背面側の鏡板24の前面の左右両側縁部にも、ブラケット222の挿通孔224に対応する箇所にナット穴を形成する。
【0029】
第三の部材たる底板21の上面の左右両側縁部には、ブラケット223の挿通孔224に対応する箇所にナット穴212を形成する。底板21を木製の板材から作製するような場合、その板材に鬼目ナットを埋設することで、ナット穴212を設けることができる。
【0030】
既に述べた通り、底板21の前後縁部には、幅方向に伸びる横架フレーム211を固定している。横架フレーム211は、下向きに開口したチャネル状をなす鏡板載置部2111と、その鏡板載置部2111から後方または前方に延出する被固定部2112とを有し、その被固定部2112を底板21の上面の前後縁部にビス止め等して固定することで、底板21と一体化している。鏡板載置部2111は、その上に鏡板23、24が載置されて鏡板23、24を下方から支持する部位であると同時に、正面視若しくは背面視において横架フレーム211として表出する部位でもある。この鏡板載置部2111の高さ位置や上下寸法、色、材質、質感等が、棚1の横架フレーム12のそれと略等しい。
【0031】
抽斗2を組み立てるにあたっては、まず、側板22のブラケット223を底板21の上面の左右両側縁部に載置するようにして、側板22を底板21に対して位置付ける。そして、止着具4、例えばビスまたはボルトのねじが切られている軸部をブラケット223の挿通孔224に上方から挿通し、かつ底板21に設けたナット穴212に螺合させて緊締する。これにより、側板22を底板21に固着する。
図7及び
図8に示しているように、止着具4の軸部よりも拡径した頭部41は、ブラケット223の直上に所在する。
【0032】
次いで、オプション支持体25を、側板22における側面視凵字形をなすブラケット221、222、223の内に配置する。オプション支持体25の下端部は、側板22の内側面と、側板22を底板21に固定している止着具4の頭部41との間に差し入る。その止着具4の頭部41は、オプション支持体25の下端部に近接ないし当接する。
【0033】
引き続き、正面側の鏡板23の後面の側縁部を、側板22のブラケット221に前方から当接させるようにし、かつ同鏡板23を底板21の前縁側の横架フレーム211の鏡板載置部2111に載置するようにして、鏡板23を側板22及び底板21に対して位置付ける。そして、ビスまたはボルト等の止着具4のねじが切られている軸部をブラケット221の挿通孔224に後方から挿通し、かつ鏡板23に設けたナット穴231に螺合させて緊締する。これにより、鏡板23を側板22に固着する。
【0034】
図4、
図7及び
図8に示すように、鏡板23を側板22に固定する止着具4の頭部41は、ブラケット221の後背に所在し、オプション支持体25の前端部の内側面に近接ないし当接する。換言すれば、オプション支持体25の前端部が、側板22の内側面と止着具4の頭部41との間に挟まる。これにより、オプション支持体25が側板22から離反する内側方に倒れることを抑制できる。しかも、
図7に示しているように、最上位の止着具4は、オプション支持体25の前端面と上端面とが交わる隅角に近接または当接し、オプション支持体25が上方に抜け出ることを抑制する働きもする。
【0035】
さらに、背面側の鏡板24の前面の側縁部を、側板22のブラケット222に後方から当接させるようにし、かつ同鏡板24を底板21の後縁側の横架フレーム211の鏡板載置部2111に載置するようにして、鏡板24を側板22及び底板21に対して位置付ける。そして、ビスまたはボルト等の止着具4のねじが切られている軸部をブラケット222の挿通孔224に前方から挿通し、かつ鏡板24に設けたナット穴241に螺合させて緊締する。これにより、鏡板24を側板22に固着する。
【0036】
図4、
図7及び
図8に示すように、鏡板24を側板22に固定する止着具4の頭部41は、ブラケット222の直前に所在し、オプション支持体25の後端部の内側面に近接ないし当接する。換言すれば、オプション支持体25の後端部が、側板22の内側面と止着具4の頭部41との間に挟まる。これにより、オプション支持体25が側板22から離反する内側方に倒れることを抑制できる。しかも、
図7に示しているように、最上位の止着具4は、オプション支持体25の後端面と上端面とが交わる隅角に近接または当接し、オプション支持体25が上方に抜け出ることを抑制する働きもする。
【0037】
図3ないし
図5、
図8に示すように、オプション支持体25の凹溝251は、大きな板状のオプション品3を挟持し立てた姿勢で運搬するために用いることができる。オプション品3は、抽斗2内の収納空間を区画する仕切りとして利用でき、かつマーカ等の筆記具によりその表面に筆記を行うことが可能なホワイトボードしても利用できる。オプション品3の上下寸法は、抽斗2の上下寸法よりも大きい。
【0038】
オプション品3の上縁部には、把手31を設けてある。オプション品3は、その両側縁部を左右両側のオプション支持体25の凹溝251に上方から差し込むようにして抽斗2に収納することができる。オプション品3を持ち出す際には、把手31を把持してこれを上方に引き上げ、凹溝251から脱出させればよい。
【0039】
図4ないし
図6に示しているように、オプション支持体25の凹溝251は、その幅が下方に向かうほど狭まって(逆に言えば、上方に向かうほど拡がって)いる。このような形状により、オプション品3を凹溝251に上方から差し入れやすくなる。また、オプション品3を凹溝251の下端近傍まで差し込んだときに、凹溝251の前後に対向する内壁がオプション品3を表裏から挟み付ける状態となり、オプション品3を自立させることが可能となる。
【0040】
オプション支持体25に形成した複数本の凹溝251は、前後方向に沿って一定の間隔で並んでいる。それら凹溝251を利用して、一または複数のオプション品3を、抽斗2の鏡板23、24や他のオプション品3から一定の間隔を保ったまま自立させて抽斗2に収納することができる。これにより、オプション品3の表面に筆記された内容や、その表面に磁石等を用いて掲示した書類、貼付した付箋等をそのまま残しておくことができ、凹溝251の幅が上方で拡開していることとも相まって、次回オプション品3を再使用するときにその目的のオプション品3を探し出しやすくなる。
【0041】
オプション品3を抽斗2に収納する必要がないならば、オプション支持体25を取り除いて、抽斗2内の収納空間をより大きく拡張することができる。その場合には、鏡板23、24に螺着している止着具4のうちの最上位のものを一旦鏡板23、24から取り外し、かつその他の止着具4を鏡板23、24が側板22から脱離しない程度に緩めて、オプション支持体25を上方に引き抜き、しかる後止着具4を再度鏡板23、24に螺合緊締せしめればよい。オプション支持体25以外は、そのまま引き続き抽斗2として使用することができる。
【0042】
また、上下寸法が抽斗2の内寸を上回るような物品を抽斗に収納しないのであれば、
図9に示すように、棚1における、抽斗2の上縁に近い高さ位置に横架フレーム12及び棚板16が配置されているその直下の空間に、抽斗2を収容することもできる。但し、鏡板23、24の上縁部に手指を掛けて抽斗2を引き出す操作を行う都合上、棚1の内に収容した抽斗2の鏡板23、24の上縁と、その直上の横架フレーム12との間に、手指を容易に挿入可能な程度の間隙5を設けておくことが望ましい。
【0043】
本実施形態では、第一の部材(側板)22に第二の部材(オプション支持体)25を隣接させてこれを第一の部材22から離反する方向に変位させないように保定する構造であって、前記第一の部材22に対して相対的に不動であり、第一の部材22から離反する方向に前記第二の部材25よりも張り出している取付部(ブラケット)221、222、223と、前記取付部221、222、223に対して取り付けられる第三の部材(底板、鏡板)21、23、24と、その軸部を前記取付部221、222、223に挿通して前記第三の部材21、23、24に止着し、その状態で当該軸部よりも拡径した頭部41を前記第二の部材25に近接ないし当接させ、その頭部41と前記第一の部材22とで第二の部材25を挟むように配置される止着具4とを備える部材の取付構造を構成した。
【0044】
本実施形態の取付構造によれば、第三の部材21、23、24を第一の部材22に対して取り付けるための止着具4を、第二の部材25の保定にも援用できる。このため、第一の部材22に第二の部材25を隣接させて据え付けるにあたり、それらに特段の加工を施さずとも第二の部材25を第一の部材22に対して保定することが可能となり、加工工数、組立工数及び部品点数の削減に寄与し得る。
【0045】
前記止着具4が複数個存在し、そのそれぞれの頭部41を前記第二の部材25に近接ないし当接させるようにすれば、第二の部材25の保定がより安定し頑健となる。
【0046】
前記第二の部材25が下方から支持され、かつ前記第一の部材22により一方側から支持されており、前記止着具4により前記第二の部材25が他方側に倒れないように保定される。その上で、前記止着具4として、その頭部41が前記第二の部材24の他方側の側面と上面との交わる隅角の近傍に位置するものが存在しており、当該止着具4が第二の部材25の倒れ止めだけでなく上方への抜け止めとしても機能するものとなる。
【0047】
対向する一対の前記第一の部材22の内側面に隣接して、一対の前記第二の部材25が設けられ、それら各部材25の内側面に外側方に凹む凹溝251が形成されており、それら各部材25の凹溝251を利用して、他のオプション品3を支持することができる。
【0048】
並びに、本実施形態では、物品を載置して収納可能な棚1と、この棚1とともに使用可能な抽斗2との組であって、前記棚1の前縁よりも前記抽斗2の前縁が前方に突出せず、かつ棚1の後縁よりも抽斗2の後縁が後方に突出しないよう棚1の内側に抽斗2を収容でき、さらに、前記抽斗2を前記棚1から前方に引き出すことができ、抽斗2を棚1から後方に引き出すこともできる什器を構成した。
【0049】
抽斗2の構成要素である底板21は、その前後縁の横架フレーム211を含めて前後対称な形状をなす。左右の側板22は、それぞれが前後対称であるとともに、互いに同一形状であり、左方の側板22を右方に、右方の側板22を左方に配置することが可能である。側板22の内側面に添接するオプション支持体25も、同様である。前後の鏡板23、24もまた、それぞれが左右対称であるとともに、互いに同一形状であり、正面側の鏡板23を背面側に、背面側の鏡板24を正面側に配置することが可能である。総じて、抽斗2は前後対称な形状をなし、正面側から見ても背面側から見ても同一に表れる。
【0050】
本実施形態によれば、棚1だけでなく抽斗2もまた前後両方から使用可能であり、より利便性の高い什器となる。
【0051】
正面視若しくは背面視において、前記棚1における幅方向に伸びる横架フレーム12と略等しい高さ位置に、前記抽斗2にも幅方向に延びる横架フレーム211が設けられているので、棚1の内側に収納した抽斗2が露骨に目立って違和感を与えたり目障りとなったりせず、棚1と外観上一体感を醸成して什器としての美観、格調を高めることができる。
【0052】
前記棚1の内側に前記抽斗2を収容した状態で、抽斗2の正面側の鏡板23の前面が棚1の前面と略面一となり、かつ抽斗2の背面側24の鏡板の後面が棚1の後面と略面一となることも、什器としての美観、格調を高めることに貢献する。
【0053】
前記抽斗2にはキャスタ26が取り付けられており、そのキャスタ26を介して抽斗2が床面に支持されているので、棚1の側に抽斗2を支持する複雑なサスペンションレール機構等を実装する必要がない。
【0054】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、止着具4は、軸部にねじの切られていないリベット等であってもよい。
【0055】
その他、各部の具体的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…棚
12…横架フレーム
2…抽斗
21…底板(第三の部材)
211…横架フレーム
212…ナット穴
22…側板(第一の部材)
221、222、223…ブラケット(取付部)
23、24…鏡板(第三の部材)
231、241…ナット穴
25…オプション支持体(第二の部材)
251…凹溝
26…キャスタ
3…オプション品
4…止着具
41…頭部