(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】超音波探触子ホルダー、超音波診断装置、超音波診断装置用カート及び超音波診断システム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2020199965
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】千原 達史
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-111991(JP,A)
【文献】特開2011-244996(JP,A)
【文献】特開2004-201399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0060647(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0367857(US,A1)
【文献】特開2017-192532(JP,A)
【文献】特開2015-104647(JP,A)
【文献】特開2014-23861(JP,A)
【文献】特開2010-253276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探触子本体と、当該超音波探触子本体に接続された超音波探触子ケーブルと、を備える超音波探触子を保持する超音波探触子ホルダーであって、
前記超音波探触子本体を保持する保持部と、
前記超音波探触子ケーブルを案内し保持する溝部と、を備え、
前記溝部は、
前記超音波探触子ケーブルを案内する第1方向における当該溝部の全長にわたって、当該溝部の内側に凸の曲面形状を有する内壁部を有する超音波探触子ホルダー。
【請求項2】
前記内壁部は、前記第1方向に垂直な第2方向の空間部分の長さについて、前記第1方向の端部の長さが当該第1方向の中央部の長さよりも長い請求項1に記載の超音波探触子ホルダー。
【請求項3】
前記内壁部は、互いに対向する2つの凸の曲面部を有する請求項1又は2に記載の超音波探触子ホルダー。
【請求項4】
前記溝部は、前記内壁部の下側に配置された底面部を有し、
前記底面部は、前記超音波探触子ケーブルの引き出し方向の手前側から奥側へ行くにつれて高さが低くなる請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダー。
【請求項5】
前記保持部及び前記溝部は、一体成型されている請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダー。
【請求項6】
前記溝部は、表面が滑りやすい材料で形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダー。
【請求項7】
前記溝部は、内側の表面に滑りやすくする加工が施されている請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダー。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダーと、
前記超音波探触子が接続される超音波診断装置本体と、
前記超音波探触子と、を備える超音波診断装置。
【請求項9】
前記超音波探触子ケーブルは、前記超音波探触子ホルダーに保持される部分よりも、前記超音波診断装置本体への接続側に錘部を有する請求項8に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダーを備え、
前記超音波探触子と、当該超音波探触子が接続される超音波診断装置本体と、を備える超音波診断装置が載置される超音波診断装置用カート。
【請求項11】
請求項10に記載の超音波診断装置用カートと、
前記超音波診断装置と、を備える超音波診断システム。
【請求項12】
前記超音波探触子ケーブルは、前記超音波探触子ホルダーに保持される部分よりも、前記超音波診断装置本体への接続側に錘部を有する請求項11に記載の超音波診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子ホルダー、超音波診断装置、超音波診断装置用カート及び超音波診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波探触子を患者の被検体の体表又は体腔内から当てるという簡単な操作で心臓や胎児の様子が超音波画像として得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。このような超音波診断を行うために用いられる超音波診断装置が知られている。
【0003】
例えば、超音波診断装置本体と、当該超音波診断装置本体に接続される超音波探触子と、キャスターと、を有し、床面上を移動可能な超音波診断装置が知られている。また、超音波探触子は、超音波探触子本体と、超音波探触子ケーブルと、を有し、コネクターを介して超音波診断装置本体に接続される構成を有する。
【0004】
従来、超音波探触子ケーブルが医師などのユーザー(検査者)の邪魔にならないように、超音波診断装置本体にフックが設けられ、当該フックに超音波探触子ケーブルがかけられていた。しかし、フックが超音波診断装置本体のコンソール(操作卓)よりも低い位置に設けられていたため、超音波探触子ケーブルがキャスターに巻き込まれたり、床につくおそれがあった。また、フックにかけると、超音波探触子ケーブルのまとまりがなく、かけづらくなったり、複数の超音波探触子ケーブルを1つのフックにかけると絡まるおそれがあった。
【0005】
このため、プローブ(超音波探触子)ホルダーを備え、当該プローブホルダーに、超音波探触子のプローブケーブル(ケーブル)を保持する溝状のフック部を設けた超音波診断装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のプローブホルダーは、プローブケーブルをフック部の1つの引っ張り方向(引き出し方向)から引き出すためのローラーを有し、構成が複雑であった。当該引っ張り方向は、ローラーの軸方向に垂直な方向である。
【0008】
また、特許文献1のプローブホルダーは、ローラーによってプローブケーブルの上記引っ張り方向が規制されているため、プローブホルダーが超音波診断装置の本体部に対して右側に設置され、当該本体部に対して患者が右側にいる場合、ユーザーはプローブケーブルを引き出すときに、ローラーが回転する引っ張り方向(ローラーの回転方向であり、当該本体部に対して右方向)にプローブケーブルを引っ張る必要がある。
【0009】
しかし、上記本体部に対して患者が左側にいる場合は、上記引っ張り方向とは異なる方向(当該本体部に対して手前方向又は左方向)にプローブケーブルを引っ張ることが想定される。その場合、プローブケーブルがプローブホルダーのフック部のエッジに摩擦などで引っかかり、プローブケーブルは、被覆層が摩耗して傷や破れが発生し、さらには電気的な断線が起きるおそれがある。
【0010】
本発明の課題は、超音波探触子ホルダーの構成を簡単にするとともに、超音波探触子ケーブルの摩耗による傷や破れの発生及び電気的な断線を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
超音波探触子本体と、当該超音波探触子本体に接続された超音波探触子ケーブルと、を備える超音波探触子を保持する超音波探触子ホルダーであって、
前記超音波探触子本体を保持する保持部と、
前記超音波探触子ケーブルを保持する溝部と、を備え、
前記溝部は、
前記超音波探触子ケーブルを案内する第1方向における当該溝部の全長にわたって、当該溝部の内側に凸の曲面形状を有する内壁部を有する超音波探触子ホルダー。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波探触子ホルダーにおいて、
前記内壁部は、前記第1方向に垂直な第2方向の空間部分の長さについて、前記第1方向の端部の長さが当該第1方向の中央部の長さよりも長い。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の超音波探触子ホルダーにおいて、
前記内壁部は、互いに対向する2つの凸の曲面部を有する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダーにおいて、
前記溝部は、前記内壁部の下側に配置された底面部を有し、
前記底面部は、前記超音波探触子ケーブルの引き出し方向の手前側から奥側へ行くにつれて高さが低くなる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダーにおいて、
前記保持部及び前記溝部は、一体成型されている。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダーにおいて、
前記溝部は、表面が滑りやすい材料で形成されている。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダーにおいて、
前記溝部は、内側の表面に滑りやすくする加工が施されている。
【0018】
請求項8に記載の発明の超音波診断装置は、
請求項1から7のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダーと、
前記超音波探触子が接続される超音波診断装置本体と、
前記超音波探触子と、を備える。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の超音波診断装置において、
前記超音波探触子ケーブルは、前記超音波探触子ホルダーに保持される部分よりも、前記超音波診断装置本体への接続側に錘部を有する。
【0020】
請求項10に記載の発明の超音波診断装置用カートは、
請求項1から7のいずれか一項に記載の超音波探触子ホルダーを備え、
前記超音波探触子と、当該超音波探触子が接続される超音波診断装置本体と、を備える超音波診断装置が載置される。
【0021】
請求項11に記載の発明の超音波診断システムは、
請求項10に記載の超音波診断装置用カートと、
前記超音波診断装置と、を備える。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波探触子ケーブルは、前記超音波探触子ホルダーに保持される部分よりも、前記超音波診断装置本体への接続側に錘部を有する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、超音波探触子ホルダーの構成を簡単にできるとともに、超音波探触子ケーブルの摩耗による傷や破れの発生及び電気的な断線を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態の超音波診断装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】超音波診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】(a)は、超音波探触子ホルダーを斜め前方から見た斜視図である。(b)は、超音波探触子ホルダーを斜め後方から見た斜視図である。
【
図5】超音波探触子が引き出された状態の超音波探触子ホルダーの断面図である。
【
図6】超音波探触子を保持する超音波探触子ホルダーの斜視図である。
【
図7】本変形例の超音波診断システムの外観構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照して本発明に係る実施の形態及び変形例を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態)
図1~
図6を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。まず、
図1、
図2を参照して、本実施の形態の超音波診断装置100の全体の装置構成を説明する。
図1は、本実施の形態の超音波診断装置100の外観構成を示す斜視図である。
図2は、超音波診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0027】
超音波診断装置100は、病院などの医療施設の診察室などに設置される移動可能な一体型の超音波診断装置である。
図1、
図2に示すように、超音波診断装置100は、超音波診断装置本体1と、超音波探触子2と、を備える。超音波探触子2は、患者の生体などの被検体内に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体内で反射した超音波の反射波(反射超音波:エコー)を受信する。超音波診断装置本体1は、超音波探触子2と接続され、超音波探触子2に電気信号の駆動信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して送信超音波を送信させるとともに、超音波探触子2にて受信した被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号である受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像データとして画像化する。
【0028】
ここで、
図1に示すように、x軸、y軸、z軸をとるものとする。超音波診断装置本体1は、筐体1a上に、操作入力部11、表示部17、コネクター32(
図2(
図1では図示略))、超音波探触子ホルダー40、キャスター部1bを有する。ここでは、一例として、コネクター32が、筐体1aの側面上に3つ設けられている構成を説明するが、この数に限定されるものではない。これに対応して、超音波探触子ホルダー40が、筐体1aの側面上に3つ設けられている構成を説明する(ただし、
図1では2つが図示略)が、この数に限定されるものではない。筐体1aは、金属、樹脂などで構成され、後述する回路の部品などを格納する。
【0029】
操作入力部11は、筐体1aの天面(+z側)に配置されている。操作入力部11は、例えば、診断開始を指示するコマンド、被検体の個人情報などのデータ、超音波画像データなどを表示部17に表示するための各種画像パラメーターの入力を受け付けるための操作要素を有し、医師、技師などのユーザーからの当該操作要素への操作入力を受け付ける。操作要素は、例えば、押しボタン、エンコーダー(回転つまみ)、レバースイッチ、ジョイスティック、トラックボール、キーボードや、それらを組み合わせたマルチファンクションスイッチであるものとする。
【0030】
表示部17は、筐体1aの天面(+z側)に立設されている。表示部17は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイなどの表示パネルを有し、当該表示パネルの表示画面上に、超音波画像などの各種表示情報を表示する。
【0031】
コネクター32は、超音波探触子2(のコネクター22(
図2))を電気的に接続するレセプタクルのコネクターである。超音波探触子ホルダー40は、超音波探触子2を保持する(プローブ)ホルダーである。キャスター部1bは、筐体1aの底面(-z側)に配置され、超音波診断装置100(超音波診断装置本体1)をxy平面としての床面上で移動可能な車輪などの移動部品である。超音波診断装置100は、キャスター部1bにより、被検体としての患者の右側、左側などの位置に移動自在である。
【0032】
超音波探触子2は、超音波探触子本体21と、コネクター22と、超音波探触子ケーブル23と、を有する。超音波探触子本体21は、振動子2a、送信超音波を焦点に向けて集束させる音響レンズ(図示略)などを備えており、この振動子2aは、例えば、方位方向に一次元アレイ状に複数(例えば、192個)配列されている。なお、振動子2aは、二次元アレイ状に配列されたものであってもよい。また、振動子2aの個数は、任意に設定することができる。また、超音波探触子2は、リニア走査方式の電子スキャンプローブを採用して図示するものとするが、電子走査方式あるいは機械走査方式の何れを採用してもよく、また、リニア走査方式、セクタ走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。また、上記の異なる種類の走査方式の3つの超音波探触子2を超音波診断装置本体1のコネクター32に同時に接続可能である。
【0033】
超音波探触子本体21は、超音波診断装置本体1から入力された駆動信号に応じて振動子2aから超音波を被検体に送信し、当該被検体からの反射超音波を振動子2aにより受信し受信信号を生成して超音波診断装置本体1に出力する。
【0034】
コネクター22は、コネクター32に嵌合され電気的に接続されるプラグのコネクターである。超音波探触子ケーブル23は、超音波探触子本体21とコネクター22との間に電気的に接続され、複数の絶縁電線を(保護)被覆層で覆った信号線である。
【0035】
ついで、
図2を参照して、超音波診断装置100の機能構成を説明する。
図2に示すように、超音波診断装置本体1は、筐体1aの内側又は外側に、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像生成部14と、画像処理部15と、表示制御部16と、表示部17と、制御部18と、セレクター31と、コネクター32と、を備える。
【0036】
操作入力部11は、各種操作要素を介して操作者からの操作入力を受け付け、その操作情報を制御部18に出力する。
【0037】
送信部12は、制御部18の制御に従って、セレクター31、コネクター32を介して、超音波探触子2に電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子2に送信超音波を発生させる回路である。また、送信部12は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備える。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させ、送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周期で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。上述のように構成された送信部12は、例えば、超音波探触子2に配列された複数(例えば、192個)の振動子2aのうちの連続する一部(例えば、64個)を駆動して送信超音波を発生させる。そして、送信部12は、送信超音波を発生させる毎に駆動する振動子2aを方位方向(走査方向)にずらすことで走査(スキャン)を行う。
【0038】
受信部13は、制御部18の制御に従って、超音波探触子2から、コネクター32、セレクター31を介して、電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。増幅器は、受信信号を、振動子2a毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をアナログ-デジタル変換(A/D変換)するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。
【0039】
画像生成部14は、制御部18の制御に従って、受信部13からの音線データに対して包絡線検波処理や対数圧縮などを実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、受信エネルギーとしての輝度値を有する画素からなるB(Brightness)モード画像データを生成することができる。すなわち、Bモード画像データは、受信信号の強さを輝度によって表したものである。画像生成部14は、画像モードがBモードの超音波画像データとしてのBモード画像データの他、A(Amplitude)モード、M(Motion)モード、ドプラ法による画像モード(カラードプラモードなど)など、他の画像モードの超音波画像データが生成できるものであってもよい。
【0040】
画像処理部15は、制御部18の制御に従って、設定中の各種画像パラメーターに応じて、画像生成部14から出力されたBモード画像データに画像処理を施す。また、画像処理部15は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成された画像メモリー部15aを備える。画像処理部15は、制御部18の制御に従って、画像処理を施したBモード画像データをフレーム単位で画像メモリー部15aに記憶する。フレーム単位での画像データを超音波画像データあるいはフレーム画像データということがある。画像処理部15は、制御部18の制御に従って、上述したようにして生成された画像データを順に表示制御部16に出力する。
【0041】
表示制御部16は、制御部18の制御に従って、画像処理部15より受信した画像データを表示用の画像信号に変換し、表示部17に出力する。
【0042】
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROMに記憶されているシステムプログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波診断装置100の各部の動作を制御する。ROMは、半導体などの不揮発メモリーなどにより構成され、超音波診断装置100に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、ガンマテーブルなどの各種データなどを記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0043】
セレクター31は、制御部18の制御に従って、超音波送受信(送信部12の駆動信号出力及び受信部13の受信信号入力)の対象のコネクター32を切り替える回路部である。
【0044】
超音波診断装置100が備える各部について、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能は、集積回路などのハードウェア回路として実現することができる。集積回路とは、例えばLSI(Large Scale Integration)であり、LSIは集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサーで実現してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。また、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能をソフトウェアにより実行するようにしてもよい。この場合、このソフトウェアは一つ又はそれ以上のROMなどの記憶媒体、光ディスク、又はハードディスクなどに記憶されており、このソフトウェアが演算処理器により実行される。
【0045】
ついで、
図3(a)~
図6を参照して、超音波探触子ホルダー40の構成を説明する。
図3(a)は、超音波探触子ホルダー40の斜め前方から見た斜視図である。
図3(b)は、超音波探触子ホルダー40の斜め後方から見た斜視図である。
図4は、超音波探触子ホルダー40の上面図である。
図5は、超音波探触子2が引き出された状態の超音波探触子ホルダー40の断面図である。
図6は、超音波探触子2を保持する超音波探触子ホルダー40の斜視図である。
【0046】
図3(a)、
図3(b)、
図4に示すように、超音波探触子ホルダー40は、保持部41と、溝部42と、取付部43と、を有する。
【0047】
保持部41は、超音波探触子2の超音波探触子本体21を内側の空間部分に収めて保持する超音波探触子ホルダー本体である。保持部41は、側面部411と、底面部412と、を有する。側面部411は、円筒部と、当該円筒部の一部を切り欠いた切欠き部と、を有する。側面部411の切欠き部は、-z方向から幅を広げるように+z方向へ延在している。
【0048】
底面部412は、円環部と、当該円環部の一部を切り欠いた切欠き部と、を有し、C字形状を有する。底面部412の切欠き部は、底面部412の中心から、x軸からy軸へ45°回転した方向へ幅を略同じにして延在している。
【0049】
超音波探触子2を保持部41に保持する場合に、医師、技師などのユーザーは、超音波探触子ケーブル23を、側面部411の切欠き部及び底面部412の切欠き部、底面部412の円環部の中央の穴部に順に通して、超音波探触子本体21を側面部411及び底面部412内に載置する。逆に、保持された超音波探触子2を保持部41から取り出す場合に、超音波探触子ケーブル23を、底面部412の円環部の中央の穴部から、底面部412の切欠き部及び側面部411の切欠き部を通して、超音波探触子本体21を側面部411及び底面部412内から取り出す。
【0050】
溝部42は、コネクター22側からの超音波探触子ケーブル23を案内して保持する溝部であり、超音波探触子ケーブル23を+x方向(奥側(-x側)から手前側(+x側)への方向)に案内し、内壁部421と、底面部422と、を有する。
図4に示すように、内壁部421は、y軸方向に沿って、保持部41の凸の曲線形状としての円形部と、これに対向する円形部と、を有し、上(+z方向)から見て、x方向の全長にわたって、双曲線の形状を有する。ただし、内壁部421の双曲線の形状は、対向する2つの円形部に限定されるものではない。内壁部421は、例えば、1つ又は2つで対向する他の凸の曲面形状としてもよい。
【0051】
また、内壁部421は、x軸方向に延在する空間部分を有し、y軸方向の空間部分の長さについて、x軸方向の端部P2の長さがx軸方向の中央部P1の長さよりも長い。つまり、溝部42は、x軸方向について、内壁部421の中央部よりも内壁部421の端部の方が空間部分が広い。これにより、超音波探触子ケーブル23を左右方向(-y方向、+y方向)に摩擦なく引き出しやすくなっている。
【0052】
また、内壁部421は、引き出し方向の手前側(+x側)から奥側(-x側)へ行くにつれて高さ(+z方向の値)が低くなる斜面形状を有する。このため、底面部422により、超音波探触子ケーブル23が、自重で奥側にスライドされ、手前側の超音波探触子ケーブル23が邪魔にならない。
【0053】
また、超音波探触子ケーブル23は、溝部42に保持される部分よりもコネクター22側に、錘部24が取り付けられている構成としてもよい。この構成では、錘部24及び底面部422により、超音波探触子ケーブル23が、自重で奥側にさらにスライドされ、手前側の超音波探触子ケーブル23がさらに邪魔にならない。
【0054】
取付部43は、超音波探触子ホルダー40(保持部41及び溝部42)を筐体1aに取り付ける部品であり、例えば、螺子用の穴部を有し、当該穴部を通して螺子が筐体1aに螺合されることにより取り付けられる。
【0055】
溝部42は、少なくとも表面が滑りやすい(摩擦係数が低い)構成であるものとし、この構成により、超音波探触子ケーブル23が奥側にスライドしやすくなっている。滑りやすい構成として、溝部42は、表面が滑りやすい材料、例えば、POM(ポリアセタール(polyacetal)、ポリオキシメチレン(PolyOxyMethylene))などの樹脂からなることとしてもよい。あるいは、表面が滑りやすい構成として、溝部42は、溝部42の内面の部材の表面にテフロン(登録商標。ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene))加工などの加工が施された構成としてもよい。
【0056】
また、超音波探触子ホルダー40は、一体成型されているものとする。
【0057】
以上、本実施の形態によれば、超音波探触子ホルダー40は、超音波探触子本体21と、超音波探触子本体21に接続された超音波探触子ケーブル23と、を備える超音波探触子2を保持する。超音波探触子ホルダー40は、超音波探触子本体21を保持する保持部41と、超音波探触子ケーブル23を案内し保持する溝部42と、を備える。溝部42は、超音波探触子ケーブル23(の軸方向)を案内する第1方向(x方向)における溝部42の全長にわたって、溝部42の内側に凸の曲面形状を有する内壁部421を有する。
【0058】
超音波診断装置100は、超音波探触子ホルダー40と、超音波探触子2が接続される超音波診断装置本体1と、超音波探触子2と、を備える。
【0059】
このため、超音波探触子ホルダー40にローラーを設けないため、超音波探触子ホルダー40の構成を簡単にできるとともに、超音波探触子ケーブル23を溝部42から引き出して手前方向(+x方向)、左右方向(+y方向、-y方向)に引っ張っても、超音波探触子ケーブル23と溝部42との摩擦を小さくすることができ、超音波探触子ケーブル23の摩耗による傷や破れの発生及び電気的な断線を防止できる。さらに、超音波診断装置本体1に複数の超音波探触子2が接続されている場合に、複数の超音波探触子ケーブル23が絡むことを防ぐことができる。
【0060】
また、内壁部421は、第1方向(x方向)に垂直な第2方向(y方向)の空間部分の長さについて、第1方向の端部P2の長さが第1方向の中央部P1の長さよりも長い。このため、超音波探触子ケーブル23を溝部42から引き出して左右方向(-y方向、+y方向)に引っ張りやすくすることができ、超音波探触子ケーブル23を引っ張る際の溝部42との摩擦を小さくすることができる。
【0061】
また、内壁部421は、互いに対向する2つの凸の曲面部として、対向する2つの円形部を有する。このため、超音波探触子ケーブル23を溝部42から引き出して左右方向(-y方向、+y方向)により引っ張りやすくすることができ、超音波探触子ケーブル23を引っ張る際の溝部42との摩擦をより小さくすることができる。
【0062】
また、溝部42は、内壁部421の下側(-z側)に配置された底面部422を有する。底面部422は、超音波探触子ケーブル23の引き出し方向の手前側(+x側)から奥側(-x側)へ行くにつれて高さが低くなる。このため、超音波探触子ケーブル23が自重により奥側(-x側)へスライドでき、超音波探触子ケーブル23を邪魔にならないように配置させることができる。
【0063】
また、超音波探触子ホルダー40(保持部41、溝部42、取付部43)は、一体成型されている。このため、超音波探触子ホルダー40を容易に高い強度にして製造できる。
【0064】
また、溝部42は、表面が滑りやすい材料で形成されている。このため、超音波探触子ケーブル23と溝部42との摩擦を低減でき、超音波探触子ケーブル23の摩耗による傷や破れの発生及び電気的な断線をより防止できる。
【0065】
また、溝部42は、内側の表面に滑りやすくする加工が施されている。このため、超音波探触子ケーブル23と溝部42との摩擦を低減でき、超音波探触子ケーブル23の摩耗による傷や破れの発生及び電気的な断線をより防止できる。
【0066】
また、超音波探触子ケーブル23は、超音波探触子ホルダー40に保持される部分よりも、超音波診断装置本体1への接続側(コネクター22側)に錘部24を有する。このため、超音波探触子ケーブル23を自重及び錘部24の重さにより錘部24側へスライドでき、超音波探触子ケーブル23を邪魔にならないように配置させることができる。
【0067】
(変形例)
図7を参照して、上記実施の形態の変形例を説明する。
図7は、本変形例の超音波診断システム1000の外観構成を示す斜視図である。
【0068】
上記実施の形態の超音波診断装置100は、超音波診断装置本体1と、超音波診断装置本体1を移動するキャスター部1bと、が、一体となった超音波診断装置であったが、本変形例は、超音波診断装置と、超音波診断装置を移動するカートと、が別体である構成とする。
【0069】
図7を参照して、本変形例の装置構成を説明する。
図7に示すように、本変形例の超音波診断システム1000は、超音波診断装置100Aと、超音波診断装置用カートとしてのカート200と、を有する。
【0070】
超音波診断装置100Aは、携帯型の超音波診断装置であり、超音波診断装置100Aと、カート200と、を備える。超音波診断装置100Aは、超音波診断装置本体1Aと、超音波探触子2と、を有する。
【0071】
超音波診断装置本体1Aは、上記実施の形態の超音波診断装置本体1と同様の機能構成を有する。例えば、超音波診断装置本体1Aの操作入力部11A、表示部17Aは、上記実施の形態の操作入力部11、表示部17と同様である。また、超音波診断装置本体1Aは、3つの超音波探触子2が同時に接続可能とするが、この接続数に限定されるものではない。
【0072】
カート200は、本体取り付け面部210と、前端ガイド部220と、後端ガイド部230と、超音波探触子ホルダー40と、支柱部240と、キャスター部250と、を有する。
【0073】
本体取り付け面部210は、z軸方向に垂直なxy平面の平面部であり、超音波診断装置本体1Aの底面部分を接触するように、超音波診断装置本体1Aが載置される。本体取り付け面部210上には、超音波診断装置本体1Aを本体取り付け面部210にz軸方向及びy軸方向に固定する固定部(図示省略)が設けられている。
【0074】
前端ガイド部220は、超音波診断装置本体1Aの前端部に対応するガイド部であり、本体取り付け面部210の前端側(+x側)に設けられている。前端ガイド部220により、超音波診断装置本体1Aの前端部の位置決めを行うことができる。後端ガイド部230は、超音波診断装置本体1Aの後端部に対応するガイド部であり、本体取り付け面部210の後端側(-x側)に設けられている。
【0075】
超音波探触子ホルダー40は、超音波診断装置本体1Aに接続された超音波探触子2を保持する。支柱部240は、本体取り付け面部210及びキャスター部250に接続され、z軸方向に延在する支柱部であり、本体取り付け面部210(に載置された超音波診断装置本体1A)を支持する。
【0076】
キャスター部250は、車輪を有し、車輪の回転によりカート200及びこれに取り付けられた超音波診断装置100Aを床面(xy平面)上を自在に移動可能である。
【0077】
以上、本変形例によれば、カート200は、超音波探触子ホルダー40を備える。カート200は、超音波探触子2と、超音波探触子2が接続される超音波診断装置本体1Aと、を備える超音波診断装置100Aが載置される。超音波診断システム1000は、カート200と、超音波診断装置100Aと、を備える。
【0078】
このため、上記実施の形態と同様に、超音波探触子ホルダー40の構成を簡単にできるとともに、超音波探触子ケーブル23の摩耗による傷や破れの発生及び電気的な断線を防止できる。また、上記実施の形態と同様に、超音波探触子ケーブル23が、超音波探触子ホルダー40に保持される部分よりも、超音波診断装置本体1Aへの接続側(コネクター22側)に錘部24を有する構成としてもよい。
【0079】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る好適な超音波探触子ホルダー、超音波診断装置、超音波診断装置用カート及び超音波診断システムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0080】
また、以上の実施の形態及び変形例における超音波診断装置100、超音波診断システム1000を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0081】
1000 超音波診断システム
100,100A 超音波診断装置
1,1A 超音波診断装置本体
11,11A 操作入力部
12 送信部
13 受信部
14 画像生成部
15 画像処理部
15a 画像メモリー部
16 表示制御部
17,17A 表示部
18 制御部
31 セレクター
32 コネクター
1a 筐体
40 超音波探触子ホルダー
41 保持部
411 側面部
412,422 底面部
42 溝部
421 内壁部
43 取付部
1b,250 キャスター部
2 超音波探触子
21 超音波探触子本体
2a 振動子
22 コネクター
23 超音波探触子ケーブル
24 錘部
200 カート
210 本体取り付け面部
220 前端ガイド部
240 支柱部