(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20240611BHJP
E03D 11/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
E03D9/08 A
E03D11/02 Z
(21)【出願番号】P 2020204924
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】川田 賢志
(72)【発明者】
【氏名】神 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】持田 真之
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-39227(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105937260(CN,A)
【文献】特開2018-31221(JP,A)
【文献】特開2019-31892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル部の後方上面に貫通孔を有する大便器に設置可能な衛生洗浄装置であって、
人体局部に向けて水を吐出するノズルと、
前記ノズルの上流に設けられ、電磁弁を有するバルブユニットと、
前記ノズル及び前記バルブユニットを収納するケーシングと、
前記バルブユニットの上流に設けられ、前記ケーシングの外部から前記ケーシングの内部に水を供給する可撓性を有する給水ホースと、
前記給水ホースと前記バルブユニットとを接続する給水接続部と、
を備え、
前記給水ホースは、
前記衛生洗浄装置が前記大便器に設置された状態において、前記貫通孔内に収納される第1部分と、
前記第1部分の下流に位置し、前記給水接続部に接続される第2部分と、
を有し、
前記給水接続部は、前記第2部分が最小曲げ半径で屈曲した状態で、前記第2部分の全体が前記ケーシングと上下方向において重なる位置に設けられることを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記最小曲げ半径は、25mm以上であることを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、底面から上方に向かって窪む凹部を有し、
前記給水接続部は、前記凹部の側面に設けられ、
前記第2部分は、前記凹部に収納されることを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記第2部分は、前記ケーシングに固定されていないことを特徴とする請求項3記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記凹部の最大深さは、平面視において前記第2部分が延びる方向に直交する方向における前記凹部の最大幅よりも小さいことを特徴とする請求項3または4に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記第2部分の上端は、前記衛生洗浄装置が前記大便器に設置された状態において、上方に付勢された状態で前記凹部の上面に当接することを特徴とする請求項3~5のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記第2部分は、前記給水接続部から後方に向かって延びることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記ケーシングを前記大便器に固定するための固定部材をさらに備え、
前記給水接続部は、前記衛生洗浄装置が前記大便器に設置された状態において、前記固定部材よりも前方に設けられることを特徴とする請求項7記載の衛生洗浄装置。
【請求項9】
前記ケーシングの外部から前記ケーシングの内部に電力を供給する給電線と、
前記給電線が接続される給電接続部と、
をさらに備え、
前記給電接続部は、前記給水接続部と並べて設けられることを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項10】
前記給電接続部は、前記給水接続部の上方に設けられることを特徴とする請求項9に記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生洗浄装置において、給水源からケーシングの内部に水を供給するための給水ホースを設けることが知られている。また、外観向上のために、ケーシングの外側にある給水ホースなどを便器の後部に設けられた貫通孔に挿入して隠蔽することが知られている。このような衛生洗浄装置では、給水ホースをバルブユニットに繋がる給水接続部に接続する際に、回転自在な給水管部材を介して接続している。
【0003】
しかし、給水管部材を介して給水ホースと給水接続部とを接続すると、給水管部材を設けることにより部品数が増え、コストが増大するという問題がある。また、給水管部材の可動範囲が決まっているため、便器の貫通孔の位置によっては、給水ホースを給水管部材に接続させるのが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、部品数を減らすことでコストを削減できるとともに、多様な便器の貫通孔に対応できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、ボウル部の後方上面に貫通孔を有する大便器に設置可能な衛生洗浄装置であって、人体局部に向けて水を吐出するノズルと、前記ノズルの上流に設けられ、電磁弁を有するバルブユニットと、前記ノズル及び前記バルブユニットを収納するケーシングと、前記バルブユニットの上流に設けられ、前記ケーシングの外部から前記ケーシングの内部に水を供給する可撓性を有する給水ホースと、前記給水ホースと前記バルブユニットとを接続する給水接続部と、を備え、前記給水ホースは、前記衛生洗浄装置が前記大便器に設置された状態において、前記貫通孔内に収納される第1部分と、前記第1部分の下流に位置し、前記給水接続部に接続される第2部分と、を有し、前記給水接続部は、前記第2部分が最小曲げ半径で屈曲した状態で、前記第2部分の全体が前記ケーシングと上下方向において重なる位置に設けられることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、部品数を減らすことでコストを削減できるとともに、多様な便器の貫通孔に対応できる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を模式的に表すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を模式的に表す平面図である。
【
図4】実施形態に係る衛生洗浄装置の給水接続部の周辺を模式的に表す平面図である。
【
図5】実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を模式的に表す断面図である。
【
図6】実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を模式的に表す断面図である。
【
図7】実施形態に係る衛生洗浄装置の固定部材を模式的に表す斜視図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の大便器への取り付けを模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置900は、腰掛大便器(大便器)800と、その上に設置された衛生洗浄装置100と、を備える。大便器800は、下方に向けて窪むボウル部801を有する。ボウル部801の後方上面には、貫通孔810が設けられている。貫通孔810は、例えば、上下方向に大便器800を貫通する。衛生洗浄装置100は、貫通孔810の上に設置され、貫通孔810を上方から塞いでいる。
【0010】
衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200及び便蓋300は、それぞれ、ケーシング400に対して開閉自在に軸支されている。ケーシング400は、下部に位置するケースプレート400aと、上部に位置するケースカバー400bと、を有し、内部の空間にノズル473などの機能部を収納する。
【0011】
以下の実施形態の説明では、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右側方」、及び「左側方」を用いるが、これらの方向は、
図1に表すように、便座200に座った使用者から見た方向である。
【0012】
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの局部の洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。局部洗浄機能部は、例えば、ノズル473を含む。また、衛生洗浄装置100には、使用者の便座200への着座を検知する着座検知センサ404(
図2参照)が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部500(
図2参照)を操作すると、ノズル473を大便器800のボウル部801内に進出させたり、ボウル部801内から後退させたりすることができる。なお、
図1に表した衛生洗浄装置100では、ノズル473がボウル部801内に進出した状態を表している。
【0013】
ノズル473は、人体局部に向けて水(洗浄水)を吐出し、人体局部の洗浄を行う。ノズル473の先端部には、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cが設けられている。ノズル473は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口474aまたはやわらか洗浄吐水口474bから水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。あるいは、ノズル473は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口474cから水を噴射して、便座200に座った女性の女性局部を洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0014】
「おしり」を洗浄するモードのなかには、例えば、「おしり洗浄」と、「おしり洗浄」よりもソフトな水流で優しく洗浄する「やわらか洗浄」と、が含まれる。ノズル473は、例えば、「おしり洗浄」と、「やわらか洗浄」と、「ビデ洗浄」と、を実行することができる。
【0015】
なお、
図1に表したノズル473では、ビデ洗浄吐水口474cがやわらか洗浄吐水口474bよりもノズル473の先端側に設けられており、やわらか洗浄吐水口474bがおしり洗浄吐水口474aよりもノズル473の先端側に設けられているが、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cの設置位置は、これだけに限定されるわけではない。また、
図1に表したノズル473では、3つの吐水口が設けられているが、例えば、やわらか洗浄吐水口474bが省略されていてもよいし、4つ以上の吐水口が設けられていてもよい。
【0016】
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を模式的に表すブロック図である。
図2では、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図2に表したように、衛生洗浄装置100は、導水部20を有する。導水部20は、水道や貯水タンクなどの給水源10からノズル473に至る管路20aを有する。導水部20は、管路20aにより、給水源10から供給された水をノズル473に導く。管路20aは、例えば、以下に説明する給水ホース15、給水接続部420、バルブユニット430、熱交換器ユニット440、流路切替部472などの各部と、これらの各部を接続する複数の配管と、によって形成される。
【0017】
給水ホース15は、ケーシング400の外部からケーシング400の内部に水を供給する。給水ホース15は、可撓性を有するホースである。給水接続部420は、給水ホース15とバルブユニット430とを接続する。給水接続部420は、バルブユニット430と一体に構成されていてもよいし、バルブユニット430と別体で構成されていてもよい。
【0018】
バルブユニット430は、管路20a上において、給水ホース15の下流に設けられる。バルブユニット430は、ケーシング400の内部に設けられる。つまり、バルブユニット430は、ケーシング400に収納される。給水接続部420は、例えば、ケーシング400に設けられる。給水ホース15は、ケーシング400の外部にある給水源10から給水接続部420を介してケーシング400の内部にあるバルブユニット430に水を供給する。
【0019】
バルブユニット430は、少なくとも電磁弁432を有する。この例では、バルブユニット430は、電磁弁432と、電磁弁432の上流に設けられたストレーナ431と、電磁弁432の下流に設けられた調整弁433と、調整弁433の下流に設けられた逆止弁434と、を有する。バルブユニット430は、例えば、管路20a上において、給水ホース15の下流から、熱交換器ユニット440の上流までの間に設けられる。バルブユニット430は、給水接続部420を含んでもよい。
【0020】
バルブユニット430の上流側には、ストレーナ431が設けられている。ストレーナ431は、給水源10から供給された水に含まれる異物などをろ過する。この例では、給水接続部420は、ストレーナ431の上流側において、ストレーナ431と一体に構成されている。
【0021】
ストレーナ431の下流には、電磁弁432が設けられている。電磁弁432は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。換言すれば、電磁弁432は、管路20aを開閉する。電磁弁432を開状態にすることにより、給水源10から供給された水が、管路20aに流れる。
【0022】
電磁弁432の下流には、調整弁433が設けられている。調整弁433は、管路20a内の圧力や水の流量を調整する。調整弁433は、例えば、管路20a内の圧力を所定の範囲に調整する調圧弁である。調整弁433は、例えば、管路20a内を流れる水の流量を所定の範囲に調整する定流量弁であってもよい。
【0023】
調整弁433の下流には、逆止弁434が設けられている。逆止弁434は、管路20a内の圧力が低下した場合などに、逆止弁434よりも上流側への水の逆流を抑制する。逆止弁434は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0024】
バルブユニット430の下流には、熱交換器ユニット440(加熱部)が設けられている。熱交換器ユニット440は、ヒータを有し、給水源10から供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温する。すなわち、熱交換器ユニット440は、温水を生成する。
【0025】
熱交換器ユニット440は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。瞬間加熱式の熱交換器は、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器と比較すると、短い時間で水を規定の温度まで昇温させることができる。なお、熱交換器ユニット440は、瞬間加熱式の熱交換器には限定されず、貯湯加熱式の熱交換器であってもよい。また、加熱部は、熱交換器に限ることなく、例えば、マイクロ波加熱を利用するものなど、他の加熱方式を用いたものでもよい。
【0026】
熱交換器ユニット440は、制御部405と接続されている。制御部405は、例えば、使用者による操作部500の操作に応じて熱交換器ユニット440を制御することにより、操作部500で設定された温度に水を昇温する。
【0027】
熱交換器ユニット440の下流には、流量センサ442が設けられている。流量センサ442は、熱交換器ユニット440から吐出された水の流量を検知する。すなわち、流量センサ442は、管路20a内を流れる水の流量を検知する。流量センサ442は、制御部405に接続されている。流量センサ442は、流量の検知結果を制御部405に入力する。なお、流量センサ442は、熱交換器ユニット440の上流に設けられていてもよい。
【0028】
流量センサ442の下流には、電解槽ユニット450が設けられている。電解槽ユニット450は、内部を流れる水道水を電気分解することにより、水道水から次亜塩素酸を含む液(機能水)を生成する。電解槽ユニット450は、制御部405に接続されている。電解槽ユニット450は、制御部405による制御に基づいて、機能水の生成を行う。電解槽ユニット450は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0029】
電解槽ユニット450において生成される機能水は、例えば、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。
【0030】
電解槽ユニット450の下流には、バキュームブレーカ(VB)452が設けられている。バキュームブレーカ452は、例えば、水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば、流路に水が流れている時に吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ452は、導水部20に水の流れが無い時に、管路20a内に空気を取り込む。弁機構には、例えば、フロート弁が用いられる。なお、バキュームブレーカ452は、電解槽ユニット450の上流に設けられていてもよい。
【0031】
バキュームブレーカ452は、上記のように管路20a内に空気を取り込むことにより、例えば、管路20aのバキュームブレーカ452よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ452は、例えば、ノズル473の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ452は、ノズル473内の水を抜いてノズル473内に空気を取り込むことにより、例えば、ノズル473内の洗浄水やボウル部801内に溜まった汚水などが、給水源10(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
【0032】
バキュームブレーカ452の下流には、圧力変調部454が設けられている。圧力変調部454は、導水部20の管路20a内の水の流れに脈動または加速を与え、ノズル473のおしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cやノズル洗浄部478の吐水部から吐水される水に脈動を与える。すなわち、圧力変調部454は、管路20a内を流れる水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、制御部405に接続されている。圧力変調部454は、制御部405による制御に基づいて、水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、管路20a内の水の圧力を変動させる。圧力変調部454は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0033】
圧力変調部454の下流には、流量調整部471が設けられている。流量調整部471は、水勢(流量)の調整を行う。流量調整部471の下流には、流路切替部472が設けられている。流路切替部472は、ノズル473やノズル洗浄部478への給水の開閉や切替を行う。流量調整部471及び流路切替部472は、1つのユニットとして設けられてもよい。流量調整部471及び流路切替部472は、制御部405に接続されている。流量調整部471及び流路切替部472の動作は、制御部405によって制御される。
【0034】
流路切替部472の下流には、ノズル473、ノズル洗浄部478、及び噴霧ノズル479が設けられている。ノズル473は、ノズル駆動部476からの駆動力を受け、大便器800のボウル部801内に進出したり、ボウル部801内から後退したりする。
【0035】
ノズル洗浄部478は、例えば、吐水部から機能水あるいは水を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を洗浄する。噴霧ノズル479は、洗浄水や機能水をミスト状にしてボウル部801に噴霧する。この例では、人体を洗浄するためのノズル473とは別に噴霧ノズル479を設けている。これに限ることなく、ミスト状の液体をボウル部801に噴霧するための吐水口をノズル473に設けてもよい。
【0036】
また、流路切替部472の下流には、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水を、ノズル473に供給するおしり洗浄流路21と、やわらか洗浄流路22と、ビデ洗浄流路23と、が設けられている。おしり洗浄流路21は、流路切替部472とおしり洗浄吐水口474aとを接続する。やわらか洗浄流路22は、流路切替部472とやわらか洗浄吐水口474bとを接続する。ビデ洗浄流路23は、流路切替部472とビデ洗浄吐水口474cとを接続する。
【0037】
また、流路切替部472の下流には、表面洗浄流路24と、噴霧用流路25と、が設けられている。表面洗浄流路24は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をノズル洗浄部478の吐水部へ導く。噴霧用流路25は、導水部20を介して給水源10から供給される水や電解槽ユニット450において生成された機能水を噴霧ノズル479に導く。
【0038】
制御部405は、流路切替部472を制御することにより、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、ビデ洗浄流路23、表面洗浄流路24、及び噴霧用流路25の各流路の開閉を切り替える。このように、流路切替部472は、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、ビデ洗浄吐水口474c、ノズル洗浄部478、及び噴霧ノズル479などの複数の吐水口のそれぞれについて、管路20aに連通させた状態と、管路20aに連通させない状態と、を切り替える。
【0039】
制御部405は、電源回路401から電力を供給され、人体検知センサ403や、着座検知センサ404や、流量センサ442や、操作部500などからの信号に基づいて、電磁弁432や、熱交換器ユニット440や、電解槽ユニット450や、圧力変調部454や、流量調整部471や、流路切替部472や、ノズル駆動部476などの動作を制御する。これにより、制御部405は、ノズル473やバルブユニット430などの動作を制御する。
【0040】
給電線50は、ケーシング400の外部からケーシング400の内部に電力を供給する。給電線50の一端は、外部電源に接続され、給電線50の他端は、給電接続部51に接続される。給電接続部51は、ケーシング400に設けられ、電源回路401に接続される。給電接続部51は、給電線50を介して外部電源から供給された電力を電源回路401に供給する。
【0041】
図3は、実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を模式的に表す平面図である。
図4は、実施形態に係る衛生洗浄装置の給水接続部の周辺を模式的に表す平面図である。
図5は、実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を模式的に表す断面図である。
図3及び
図4は、衛生洗浄装置100を下方から見たときの平面図である。
図5は、
図3に示すA1-A2線による断面図である。
図3及び
図4では、大便器800の貫通孔810の位置を2点鎖線で表している。また、
図3及び
図4では、給電線50及び給電接続部51を省略している。また、
図3~
図5では、便座200及び便蓋300を省略している。
【0042】
図3~
図5に表したように、ケーシング400は、底面400dから上方に向かって窪む凹部412を有する。底面400dは、ケースプレート400aの下端に位置する面である。底面400dは、例えば、衛生洗浄装置100が大便器800に設置された状態で、大便器800の上面と対向する面である。凹部412の少なくとも一部は、衛生洗浄装置100が大便器800に設置された状態において、大便器800の貫通孔810と上下方向に重なる。
【0043】
この例では、凹部412は、上面412aと、第1前側面412bと、第1左側面412cと、第2前側面412dと、第2左側面412eと、を有する。また、この例では、凹部412は、後方及び右側方に向かって開放されている。
【0044】
上面412aは、ケーシング400の底面400dよりも上方に位置し、下方を向く面である。第1前側面412b、第1左側面412c、第2前側面412d、及び第2左側面412eは、それぞれ、ケーシング400の底面400dから上方に向かう立面であり、ケーシング400の底面400dと凹部412の上面412aとを接続している。
【0045】
第1前側面412b及び第2前側面412dは、それぞれ、後方を向く面である。第1左側面412c及び第2左側面412eは、それぞれ、右側方を向く面である。第1左側面412cは、第1前側面412bと第2前側面412dとを接続している。第2前側面412dは、第1左側面412cと第2左側面412eとを接続している。
【0046】
第2前側面412dは、第1前側面412bよりも後方に位置している。第2左側面412eは、第1左側面412cよりも左側方に位置している。つまり、凹部412は、第1左側面412cと第2前側面412dとにより形成される段差を有する。このような段差を設けることで、ケーシング400の内部の空間を広くとることができる。
【0047】
凹部412の後方及び右側方には、凹部412の後方及び右側方を塞ぐように、カバー部材419が取り付けられている。カバー部材419は、例えば、ケーシング400に対して着脱可能に取り付けられる。カバー部材419は、凹部412の後端及び右側端に位置する。カバー部材419は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0048】
凹部412は、ケーシング400の側部に設けられている。より具体的には、凹部412は、ケーシング400の左右方向の中央CL1と重ならない位置に設けられている。凹部412は、例えば、ケーシング400を左右方向に3つの領域に等分した場合に、ケーシング400の左右方向の中央CL1を含まない領域(すなわち、側部の領域)に設けられる。
【0049】
このように、凹部412をケーシング400の左右方向の中央CL1と重ならない位置に設けることで、ケーシング400の内部の左右方向の中央CL1付近に収納されるノズル473などの部品と凹部412とが干渉することを抑制できる。
【0050】
給水接続部420は、凹部412の第1前側面412bに設けられ、後方に向かって水平方向に開口している。給水ホース15は、水平方向に開口する給水接続部420に対して、水平方向に直接接続されている。給水ホース15は、給水接続部420から後方に延び、給水接続部420よりも後方に位置する大便器800の貫通孔810に挿通されている。
【0051】
給水ホース15は、第1部分15aと、第2部分15bと、を有する。第1部分15aは、衛生洗浄装置100が大便器800に設置された状態において、貫通孔810内に収納される部分である。第2部分15bは、第1部分15aの下流に位置し、給水接続部420に接続される部分である。第2部分15bは、衛生洗浄装置100が大便器800に設置された状態において、凹部412に収納される。
【0052】
このように、給水ホース15の第1部分15aが大便器800の貫通孔810内に収納されることで、給水ホース15を隠蔽することができる。これにより、トイレ装置900の外観を向上させることができる。
【0053】
また、給水ホース15の第2部分15bが給水接続部420に(直接)接続されることで、給水ホース15と給水接続部420とを接続する回転エルボなどの給水管部材を用いることなく、給水ホース15の可撓性のみを用いて、貫通孔810の位置が異なる多様な大便器800に対応することができる。つまり、部品数を減らすことでコストを削減できるとともに、多様な大便器800の貫通孔810に対応できる。
【0054】
また、給水接続部420が凹部412の側面(第1前側面412b)に設けられることで、給水ホース15の第2部分15bをケーシング400の内部で給水接続部420に接続する必要がないため、より容易に給水ホース15を給水接続部420に接続することができる。また、第2部分15bが凹部412に収納されることで、第2部分15bがケーシング400と大便器800との間に挟まれることを抑制できる。
【0055】
第2部分15bは、凹部412の内部において、ケーシング400に固定されていない。つまり、第2部分15bは、凹部412の内部において、移動可能に設けられている。
図4に表したように、第2部分15bは、例えば、凹部412の内部において曲率を変えることで、給水ホース15xの位置や給水ホース15yの位置などに移動することができる。
【0056】
これにより、例えば、衛生洗浄装置100を大便器800に取り付ける際に、大便器800の貫通孔810内で第1部分15aが引っかかった場合であっても、第1部分15aの位置に追従して第2部分15bが凹部412内で動き、第2部分15bがキンクすることを抑制できる。
【0057】
図4及び
図5に表したように、凹部412の最大深さD1は、例えば、凹部412の最大幅W1よりも小さい。凹部412の最大深さD1は、凹部412の上面412aとケーシング400の底面400dとの間の上下方向の最大距離である。この例では、上面412aは、ケーシング400の底面400dと略平行である。つまり、この例では、凹部412の深さは、略一定である。
【0058】
凹部412の最大幅W1は、平面視において給水ホース15の第2部分15bが延びる方向に直交する方向における凹部412の最大幅である。凹部412の最大幅W1は、例えば、平面視において給水ホース15の第2部分15bが延びる方向に直交する方向における、第1左側面412cとカバー部材419との間の最大距離、または、第2前側面412dとカバー部材419との間の最大距離である。
【0059】
このように、凹部412の最大深さD1を凹部412の最大幅W1よりも小さくすることで、凹部412内における第2部分15bの鉛直方向の移動可能量を水平方向の移動可能量よりも小さくすることができる。これにより、凹部412内において給水ホース15を動かすための空間を確保しつつ、衛生洗浄装置100の製品高さを低くすることができる。
【0060】
図5に表したように、給水ホース15の第2部分15bの上端15uは、衛生洗浄装置100が大便器800に設置された状態において、上方に付勢された状態で凹部412の上面412aに当接する。
【0061】
このように、第2部分15bの上端15uが上方に付勢された状態で凹部412の上面412aに当接することで、第1部分15aから上方に力がかかった場合でも、第2部分15bによって緩衝することができる。これにより、衛生洗浄装置100を大便器800に取り付ける際に、大便器800の貫通孔810内で第1部分15aが引っかかった場合であっても、給水接続部420に過度の負荷がかかることを抑制できる。
【0062】
図5に表したように、給電接続部51は、凹部412の第1前側面412bに設けられている。つまり、給電接続部51は、給水接続部420と並べて設けられている。給電接続部51は、給水接続部420の上方に設けられている。
【0063】
このように、給電接続部51が給水接続部420と並べて設けられることで、大便器800の貫通孔810内に給水ホース15とともに給電線50を収納する場合において、貫通孔810よりも下流側に位置する給電線50を給水ホース15の第2部分15bと並走させて給電接続部51に接続することができる。貫通孔810よりも下流側に位置する給電線50を給水ホース15の第2部分15bと並走させることで、衛生洗浄装置100を大便器800に対して着脱する際に、給電線50と給水ホース15の第2部分15bとを容易に一纏めにできるため、衛生洗浄装置100の着脱作業性を向上させることができる。
【0064】
また、給電接続部51が給水接続部420の上方に設けられることで、万が一、給水接続部420から水が漏れた場合であっても、給電接続部51が被水することを抑制できる。
【0065】
図6は、実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を模式的に表す断面図である。
図6に表したように、給水接続部420は、給水ホース15の第2部分15bが最小曲げ半径R1で屈曲した状態で、第2部分15bの全体がケーシング400と上下方向において重なる位置に設けられる。つまり、給水ホース15の第2部分15bが最小曲げ半径R1で屈曲した状態で、第2部分15bの後端は、ケーシング400の後端400eよりも前方に位置する。
【0066】
この例では、給水ホース15の第2部分15bが最小曲げ半径R1で屈曲した状態で、第2部分15bの後端は、凹部412の後端に位置するカバー部材419よりも前方に位置する。また、この例では、給水ホース15の第2部分15bが最小曲げ半径R1で屈曲した状態で、第2部分15bの後端は、大便器800の貫通孔810の中心よりも前方に位置する。
【0067】
最小曲げ半径R1は、給水ホース15を曲げた際に、キンク(折れ曲がり)が発生しない最小の曲率半径である。最小曲げ半径R1は、例えば、給水ホース15の材質や厚みなどによって決まる。例えば、最小曲げ半径R1が大きいほど、給水ホース15の強度は高い。
【0068】
給水ホース15の第2部分15bが最小曲げ半径R1で屈曲した状態で、第2部分15bの全体がケーシング400と上下方向において重なる位置に給水接続部420が設けられることで、例えば、第2部分15bが給水接続部420に対して水平方向に接続される場合にも、第2部分15bがケーシング400からはみ出ることを抑制しつつ、第2部分15bをキンクさせずに、第1部分15aを貫通孔810内に収納することができる。言い換えれば、第2部分15bのキンクや第2部分15bがケーシング400からはみ出すことを抑制しつつ、第2部分15bを鉛直方向から水平方向に屈曲させて、給水接続部420に対して水平方向に接続することができる。これにより、第2部分15bを給水接続部420に対して鉛直方向に接続する場合に比べて、衛生洗浄装置100の製品高さを低くすることができる。
【0069】
給水ホース15の最小曲げ半径R1は、例えば、25mm以上であることが好ましい。つまり、最小曲げ半径R1が25mm以上の給水ホース15を用いた場合に、給水ホース15の第2部分15bを最小曲げ半径R1で屈曲させた状態で、第2部分15bの全体がケーシング400と上下方向において重なる位置に給水接続部420を設けることが好ましい。
【0070】
このような位置に給水接続部420を設けることで、市販されている多様な給水ホース15(一次圧に耐えられる給水ホース)の最小曲げ半径R1に対応することができる。なお、給水ホース15の最小曲げ半径R1は、例えば、給電線50の最小曲げ半径よりも大きい。
【0071】
また、給水接続部420の中心から大便器800の貫通孔810の中心までの水平方向の距離L1は、例えば、給水ホース15の最小曲げ半径R1よりも長い。これにより、例えば、第2部分15bが給水接続部420に対して水平方向に接続される場合にも、第2部分15bがケーシング400からはみ出ることを抑制しつつ、第2部分15bをキンクさせずに、第1部分15aを貫通孔810内に収納することができる。
【0072】
図7は、実施形態に係る衛生洗浄装置の固定部材を模式的に表す斜視図である。
図7に表したように、衛生洗浄装置100は、ケーシング400を大便器800に固定するための固定部材150をさらに備える。ケーシング400は、固定部材150を介して大便器800に固定される。
【0073】
固定部材150は、ベースプレート151と、2つのボルト152と、を有する。ベースプレート151には、ケーシング400のケースプレート400aと係合する係合部151aと、ボルト152を取り付けるための2つのボルト取付部151bと、が設けられている。また、大便器800のボウル部801の後方上面には、ボルト152に対応する2つの取付用孔820が設けられている。
【0074】
固定部材150は、ボルト取付部151bが取付用孔820に重なるようにベースプレート151を大便器800の上に設置した状態で、ボルト152をボルト取付部151b及び取付用孔820に差し込んで締めることで、大便器800に固定される。この状態で、ケーシング400のケースプレート400aをベースプレート151の係合部151aに係合させることで、ケーシング400を大便器800に対して固定することができる。
【0075】
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の大便器への取り付けを模式的に表す平面図である。
図8(a)及び
図8(b)では、便座200及び便蓋300を省略している。
図8(a)及び
図8(b)に表したように、衛生洗浄装置100は、例えば、大便器800に取り付けられた固定部材150に対して、ケーシング400(ケースプレート400a)を係合させることで、大便器800に取り付けられる。
【0076】
衛生洗浄装置100を大便器800に取り付ける際には、まず、
図8(a)に表したように、ケーシング400を固定部材150の前方側に配置する。このとき、給水ホース15は、給水接続部420に接続され、給水接続部420から後方に向かって延び、貫通孔810に挿通された状態で、前方に引き出されている。つまり、
図8(a)の状態では、給水ホース15の第1部分15a及び第2部分15bの両方が貫通孔810の外側に位置する。次に、
図8(b)に表したように、ケーシング400を固定部材150の上方に移動させて、ケーシング400と固定部材150とを係合させる。このとき、前方に引き出されていた給水ホース15の第1部分15aは、貫通孔810内に収納される。
【0077】
給水ホース15の第2部分15bが給水接続部420から後方に向かって延びることで、例えば、衛生洗浄装置100を大便器800に対して前方から取り付ける場合に、取り付けの途中で第2部分15bの延びる方向が変わることを抑制できる。これにより、衛生洗浄装置100を大便器800に取り付ける際に、第2部分15bがキンクすることを抑制できる。
【0078】
また、給水接続部420は、衛生洗浄装置100が大便器800に設置された状態において、固定部材150よりも前方に設けられる。固定部材150は、例えば、衛生洗浄装置100が大便器800に設置された状態において、衛生洗浄装置100の後部(前後方向の中心線よりも後方)に設けられる。また、固定部材150の少なくとも一部は、例えば、大便器800の貫通孔810よりも前方に位置する。
【0079】
このように、衛生洗浄装置100が大便器800に設置された状態において、給水接続部420が固定部材150よりも前方に設けられることで、給水ホース15の第2部分15bの前後方向の長さを十分に長くすることができる。これにより、給水接続部420の中心から大便器800の貫通孔810の中心までの水平方向の距離L1が短くなりすぎて給水ホース15の第2部分15bがキンクしたり、給水接続部420に過度の負荷が加わることを抑制できる。
【0080】
なお、上述の例では、大便器800の貫通孔810は、大便器800の右側部に設けられているが、大便器800の貫通孔810は、大便器800の左側部に設けられていてもよい。この場合、ケーシング400の凹部412は、少なくとも一部が貫通孔810と上下方向に重なるように、ケーシング400の左側部に設けられる。この場合、凹部412は、例えば、
図3に示した凹部412の位置と左右反転した位置に設けられる。
【0081】
また、上述の例では、給水接続部420は、大便器800の貫通孔810よりも前方に設けられ、給水ホース15の第2部分15bは、給水接続部420から貫通孔810に向かって後方に延びているが、給水接続部420と貫通孔810との位置関係は、これに限定されない。給水接続部420は、例えば、貫通孔810の側方に設けられていてもよい。この場合、給水ホース15の第2部分15bは、例えば、給水接続部420から貫通孔810に向かって側方に延びるように設けられる。
【0082】
以上説明した実施形態に基づく衛生洗浄装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0083】
第1の態様は、ボウル部の後方上面に貫通孔を有する大便器に設置可能な衛生洗浄装置であって、人体局部に向けて水を吐出するノズルと、前記ノズルの上流に設けられ、電磁弁を有するバルブユニットと、前記ノズル及び前記バルブユニットを収納するケーシングと、前記バルブユニットの上流に設けられ、前記ケーシングの外部から前記ケーシングの内部に水を供給する可撓性を有する給水ホースと、前記給水ホースと前記バルブユニットとを接続する給水接続部と、を備え、前記給水ホースは、前記衛生洗浄装置が前記大便器に設置された状態において、前記貫通孔内に収納される第1部分と、前記第1部分の下流に位置し、前記給水接続部に接続される第2部分と、を有し、前記給水接続部は、前記第2部分が最小曲げ半径で屈曲した状態で、前記第2部分の全体が前記ケーシングと上下方向において重なる位置に設けられることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0084】
第1の態様によれば、給水ホースの第1部分が大便器の貫通孔内に収納されるため、給水ホースを隠蔽することができる。また、給水ホースの第2部分が給水接続部に(直接)接続されるため、給水ホースと給水接続部とを接続する回転エルボなどの給水管部材を用いることなく、給水ホースの可撓性のみを用いて、貫通孔の位置が異なる多様な大便器に対応することができる。つまり、部品数を減らすことでコストを削減できるとともに、多様な便器の貫通孔に対応できる。また、第2部分が最小曲げ半径で屈曲した状態で、第2部分の全体がケーシングと上下方向において重なる位置に給水接続部が設けられているため、例えば、第2部分が給水接続部に対して水平方向に接続される場合にも、第2部分がケーシングからはみ出ることを抑制しつつ、第2部分をキンクさせずに、第1部分を貫通孔内に収納することができる。言い換えれば、第2部分のキンクや第2部分がケーシングからはみ出すことを抑制しつつ、第2部分を鉛直方向から水平方向に屈曲させて、給水接続部に対して水平方向に接続することができる。これにより、第2部分を給水接続部に対して鉛直方向に接続する場合に比べて、衛生洗浄装置の製品高さを低くすることができる。
【0085】
第2の態様は、第1の態様において、前記最小曲げ半径は、25mm以上であることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0086】
第2の態様によれば、市販されている多様な給水ホース(一次圧に耐えられる給水ホース)の最小曲げ半径に対応することができる。
【0087】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記ケーシングは、底面から上方に向かって窪む凹部を有し、前記給水接続部は、前記凹部の側面に設けられ、前記第2部分は、前記凹部に収納されることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0088】
第3の態様によれば、給水接続部が凹部の側面に設けられることで、第2部分をケーシングの内部で給水接続部に接続する必要がないため、より容易に給水ホースを給水接続部に接続することができる。また、第2部分が凹部に収納されることで、第2部分がケーシングと大便器との間に挟まれることを抑制できる。
【0089】
第4の態様は、第3の態様において、前記第2部分は、前記ケーシングに固定されていないことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0090】
第4の態様によれば、第2部分がケーシングに固定されていないため、第2部分を凹部の内部で動かすことができる。これにより、衛生洗浄装置を大便器に取り付ける際に、大便器の貫通孔内で第1部分が引っかかった場合であっても、第1部分の位置に追従して第2部分が凹部内で動き、第2部分がキンクすることを抑制できる。
【0091】
第5の態様は、第3または第4の態様において、前記凹部の最大深さは、平面視において前記第2部分が延びる方向に直交する方向における前記凹部の最大幅よりも小さいことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0092】
第5の態様によれば、凹部の最大深さを平面視において第2部分が延びる方向に直交する方向における凹部の最大幅よりも小さくすることで、凹部内における第2部分の鉛直方向の移動可能量を水平方向の移動可能量よりも小さくすることができる。これにより、凹部内において給水ホースを動かすための空間を確保しつつ、衛生洗浄装置の製品高さを低くすることができる。
【0093】
第6の態様は、第3~第5のいずれか1つの態様において、前記第2部分の上端は、前記衛生洗浄装置が前記大便器に設置された状態において、上方に付勢された状態で前記凹部の上面に当接することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0094】
第6の態様によれば、第2部分の上端が上方に付勢された状態で凹部の上面に当接することで、第1部分から上方に力がかかった場合でも、第2部分によって緩衝することができる。これにより、衛生洗浄装置を大便器に取り付ける際に、大便器の貫通孔内で第1部分が引っかかった場合であっても、給水接続部に過度の負荷がかかることを抑制できる。
【0095】
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記第2部分は、前記給水接続部から後方に向かって延びることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0096】
第7の態様によれば、第2部分が給水接続部から後方に向かって延びることで、例えば、衛生洗浄装置を大便器に対して前方から取り付ける場合に、取り付けの途中で第2部分の延びる方向が変わることを抑制できる。これにより、衛生洗浄装置を大便器に取り付ける際に、第2部分がキンクすることを抑制できる。
【0097】
第8の態様は、第7の態様において、前記ケーシングを前記大便器に固定するための固定部材をさらに備え、前記給水接続部は、前記衛生洗浄装置が前記大便器に設置された状態において、前記固定部材よりも前方に設けられることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0098】
第8の態様によれば、衛生洗浄装置が大便器に設置された状態において、給水接続部が固定部材よりも前方に設けられることで、給水ホースの第2部分の前後方向の長さを十分に長くすることができる。これにより、給水接続部から大便器の貫通孔までの水平方向の長さが短くなりすぎて給水ホースの第2部分がキンクしたり、給水接続部に過度の負荷が加わることを抑制できる。
【0099】
第9の態様は、第1~第8のいずれか1つの態様において、前記ケーシングの外部から前記ケーシングの内部に電力を供給する給電線と、前記給電線が接続される給電接続部と、をさらに備え、前記給電接続部は、前記給水接続部と並べて設けられることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0100】
第9の態様によれば、給電接続部が給水接続部と並べて設けられることで、大便器の貫通孔内に給水ホースとともに給電線を収納する場合において、貫通孔よりも下流側に位置する給電線を給水ホースの第2部分と並走させて給電接続部に接続することができる。貫通孔よりも下流側に位置する給電線を給水ホースの第2部分と並走させることで、衛生洗浄装置を大便器に対して着脱する際に、給電線と給水ホースの第2部分とを容易に一纏めにできるため、衛生洗浄装置の着脱作業性を向上させることができる。
【0101】
第10の態様は、第9の態様において、前記給電接続部は、前記給水接続部の上方に設けられることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0102】
第10の態様によれば、給電接続部が給水接続部の上方に設けられることで、万が一、給水接続部から水が漏れた場合であっても、給電接続部が被水することを抑制できる。
【0103】
以上のように、実施形態によれば、部品数を減らすことでコストを削減できるとともに、多様な大便器の貫通孔に対応できる衛生洗浄装置を提供できる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0105】
10 給水源
15、15x、15y 給水ホース
15a 第1部分
15b 第2部分
15u 上端
20 導水部
20a 管路
21 おしり洗浄流路
22 やわらか洗浄流路
23 ビデ洗浄流路
24 表面洗浄流路
25 噴霧用流路
50 給電線
51 給電接続部
100 衛生洗浄装置
150 固定部材
151 ベースプレート
151a 係合部
151b ボルト取付部
152 ボルト
200 便座
300 便蓋
400 ケーシング
400a ケースプレート
400b ケースカバー
400d 底面
400e 後端
401 電源回路
403 人体検知センサ
404 着座検知センサ
405 制御部
412 凹部
412a 上面
412b 第1前側面
412c 第1左側面
412d 第2前側面
412e 第2左側面
419 カバー部材
420 給水接続部
430 バルブユニット
431 ストレーナ
432 電磁弁
433 調整弁
434 逆止弁
440 熱交換器ユニット
442 流量センサ
450 電解槽ユニット
452 バキュームブレーカ
454 圧力変調部
471 流量調整部
472 流路切替部
473 ノズル
474a おしり洗浄吐水口
474b やわらか洗浄吐水口
474c ビデ洗浄吐水口
476 ノズル駆動部
478 ノズル洗浄部
479 噴霧ノズル
500 操作部
800 大便器
801 ボウル部
810 貫通孔
820 取付用孔
900 トイレ装置