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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B65D5/54 301D
B65D5/54 301G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021005138
(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公開番号】P2022109685
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-134139(JP,U)
【文献】特表2007-533561(JP,A)
【文献】特開平08-026342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された胴部と、
前記胴部の上下の開口部に設けられた頂板および底板と、を備え、
前記胴部は、前壁、後壁および左右の側壁を有し、前記前壁に取出口が開口しており、
前記前壁の左右方向の中央部には、上縁部から下縁部に亘って第一切断誘導部が形成され、
前記頂板の左右方向の中央部には、前縁部から後縁部に亘って第二切断誘導部が形成され、
前記後壁の左右方向の中央部には、上縁部から下縁部に亘って第三切断誘導部が形成され、
前記底板の左右方向の中央部には、前縁部から後縁部に亘って第一の折れ線が形成されており、
前記取出口は、前記第一切断誘導部の蓋部によって閉塞されており、
前記第二切断誘導部の左右方向の最大幅は、前記取出口の左右方向の最大幅よりも小さく形成されており、
前記蓋部の内面には、前記蓋部の下縁部から上縁部に亘って左右の第二の折れ線が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
筒状に形成された胴部と、
前記胴部の上下の開口部に設けられた頂板および底板と、を備え、
前記胴部は、前壁、後壁および左右の側壁を有し、前記前壁に取出口が開口しており、
前記前壁の左右方向の中央部には、上縁部から下縁部に亘って第一切断誘導部が形成され、
前記頂板の左右方向の中央部には、前縁部から後縁部に亘って第二切断誘導部が形成され、
前記後壁の左右方向の中央部には、上縁部から下縁部に亘って第三切断誘導部が形成され、
前記底板の左右方向の中央部には、前縁部から後縁部に亘って第一の折れ線が形成されており、
前記取出口は、前記第一切断誘導部の蓋部によって閉塞されており、
前記第二切断誘導部は、前後方向に延びている帯状に形成され、
前記第二切断誘導部の前縁部は、前記蓋部の上縁部に連続しており、
前記第二切断誘導部の左右方向のは、前端部から後方に向かうに連れて、前記取出口の左右方向の最大幅よりも小さく形成されており、
前記蓋部の内面には、前記蓋部の下縁部から上縁部に亘って左右の第二の折れ線が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の包装箱であって、
前記取出口の左右の側縁部は、前記前壁の左右の側縁部に対して間隔を空けて配置されていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記取出口の下縁部は、前記前壁の下縁部に対して間隔を空けて配置されていることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項4に記載の包装箱であって、
前記取出口の下縁部と前記前壁の下縁部との間には、第四切断誘導部が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記第三切断誘導部は、上下方向に延びている帯状に形成されていることを特徴とする包装箱
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製の包装箱としては、前壁および後壁の上縁部から下縁部に亘って切断誘導部が形成されるとともに、頂板の前縁部から後縁部に亘って切断誘導部が形成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。このような包装箱では、前壁、後壁および頂板の各切断誘導部を切り開いて、底板を折り畳むことで、左右に並んだ二つのトレイに変形できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3197488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の包装箱を複数積み重ねて店頭に陳列する場合には、最上段の包装箱のみをトレイに変形させるため、最上段以外の包装箱では、内容物を視認し難いとともに、内容物を取り出すことができない。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、横から内容物を容易に視認および取り出すことができるとともに、箱体からトレイに変形できる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、包装箱であって、筒状に形成された胴部と、前記胴部の上下の開口部に設けられた頂板および底板と、を備えている。前記胴部は、前壁、後壁および左右の側壁を有し、前記前壁に取出口が開口している。前記前壁の左右方向の中央部には、上縁部から下縁部に亘って第一切断誘導部が形成されている。前記頂板の左右方向の中央部には、前縁部から後縁部に亘って第二切断誘導部が形成されている。前記後壁の左右方向の中央部には、上縁部から下縁部に亘って第三切断誘導部が形成されている。前記底板の左右方向の中央部には、前縁部から後縁部に亘って第一の折れ線が形成されている。前記取出口は、前記第一切断誘導部の蓋部によって閉塞されている。前記蓋部の内面には、前記蓋部の下縁部から上縁部に亘って左右の第二の折れ線が形成されている。
第一の発明では、前記第二切断誘導部の左右方向の幅は、前記取出口の左右方向の最大幅よりも小さく形成されている。
第二の発明では、前記第二切断誘導部は、前後方向に延びている帯状に形成され、前記第二切断誘導部の前縁部は、前記蓋部の上縁部に連続しており、前記第二切断誘導部の左右方向の幅は、前端部から後方に向かうに連れて、前記取出口の左右方向の最大幅よりも小さく形成されている。
【0007】
なお、切断誘導部とは、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線や、二本のミシン目状の線の間に形成された帯状の部位である。
【0008】
本発明の包装箱では、前壁の第一切断誘導部、頂板の第二切断誘導部および後壁の第三切断誘導部を切り開いて容易に開封できる。本発明の包装箱を開封すると、前壁の取出口を閉塞している蓋部が切り取られ、前壁に取出口が開口するため、包装箱の取出口を通じて横から内容物を視認および取り出すことができる。
【0009】
したがって、複数の本発明の包装箱を積み上げるときに、包装箱を開封しておくと、最上段以外の包装箱の内容物を取出口を通じて横から容易に視認および取り出すことができる。なお、取出口の大きさは限定されるものではないが、前壁の左右方向の幅の半分以上であることが好ましい。
【0010】
本発明の包装箱では、開封後に底板を折れ線において折り畳むことで、箱体から左右に並んだ二つのトレイに変形できる。複数の本発明の包装箱を積み上げたときには、最上段の包装箱をトレイに変形させることで、内容物を取り出し易くなるとともに、内容物を有効にアピールすることができる。
【0011】
本発明の包装箱では、第二切断誘導部の左右方向の最大幅が、取出口の左右方向の最大幅よりも小さく形成されている。この構成では、包装箱を開封したときに頂板が大きく残るため、開封後の包装箱の頂板に他の包装箱を安定して積み重ねることができる。
【0012】
第二の発明では、前記第二切断誘導部を前後方向に延びている帯状に形成し、前記第二切断誘導部の前縁部を、前記蓋部の上縁部に連続させ、前記第二切断誘導部の左右方向の幅を、前端部から後方に向かうに連れて小さく形成している。
【0013】
この構成では、第一切断誘導部に連続して第二切断誘導部を切り取るときに、第二切断誘導部は幅が小さくなる方向に切り取られていくため、第二切断誘導線をスムーズに切り取ることができる。
【0014】
前記した包装箱において、前記取出口の左右の側縁部は、前記前壁の左右の側縁部に対して間隔を空けて配置することが好ましい。
この構成では、包装箱を開封したときに、取出口の側縁部と前壁の側縁部との間の壁部によって、取出口から内容物が前方に落ち難くなる。さらに、包装箱をトレイに変形させたときに、取出口の側縁部と前壁の側縁部との間の壁部によって、トレイの前面の下端部に壁部が形成されるため、トレイから内容物が前方に落ち難くなる。
【0015】
前記した包装箱において、前記取出口の下縁部を、前記前壁の下縁部に対して間隔を空けて配置した場合には、包装箱を開封したときに、取出口の下縁部と前壁の下縁部との間の壁部によって、取出口から内容物が前方に落ち難くなる。
【0016】
前記した包装箱において、前記取出口の下縁部と前記前壁の下縁部との間に第四切断誘導部を形成した場合には、包装箱をトレイに変形させたときに、第四切断誘導部を切り取ることで、トレイから内容物を取り出し易くなる。
【0017】
前記した包装箱において、前記第三切断誘導部を上下方向に延びている帯状に形成すると、包装箱をトレイに変形するときに、後壁を二つに分割し易くなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の包装箱では、複数の包装箱を積み上げたときに、最上段以外の包装箱の内容物を取出口を通じて横から容易に視認および取り出すことができる。また、最上段の包装箱はトレイに変形させることで、内容物を取り出し易くするとともに、内容物を有効にアピールすることができる。また、本発明の包装箱を開封したときに頂板が大きく残るため、開封後の包装箱の頂板に他の包装箱を安定して積み重ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る包装箱を後方右上から見た斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る包装箱を開封した状態を示した斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る包装箱を開封した状態を示した斜視図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る包装箱を二つのトレイに変形させた状態を示した斜視図である。
図7】本発明の第一実施形態に係る包装箱を二つのトレイに変形させた状態を示した斜視図である。
図8】本発明の第二施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図9】本発明の第二実施形態に係る包装箱を二つのトレイに変形させた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、本発明の包装箱の構成を限定するものではない。
【0021】
[第一実施形態]
第一実施形態の包装箱1Aは、図1に示すように、筒状の胴部10と、胴部10の上側の開口部に設けられた頂板20と、胴部10の下側の開口部に設けられた底板30と、を備えている。第一実施形態の包装箱1Aは、A式の段ボール箱である。
【0022】
第一実施形態の包装箱1Aは、図3に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図3に示すブランクシートS1は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS1の折れ線は、ブランクシートS1の表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートS1を折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0023】
ブランクシートS1に形成された各切断誘導線は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの形状や長さは限定されるものではない。また、ブランクシートS1から組み立てた包装箱1Aを示した各図では、包装箱1Aの構造を分かり易く図示するために、各切断誘導線の切れ込みの形状は簡略化して示している。
【0024】
胴部10は、図1および図2に示すように、前壁11、後壁12および左右の側壁13,14を有している。両端壁11,12および両側壁13,14は、それぞれ四角形の壁部である。
前壁11の左縁部には、折れ線を介して左側の側壁13が連設されている。前壁11の右縁部には、折れ線を介して右側の側壁14が連設されている。右側の側壁14の後縁部には、折れ線を介して後壁12が連設されている。後壁12の左縁部には、折れ線を介して帯状の接合片15が連設されている。
【0025】
ブランクシートS1(図3参照)を各折れ線で折り曲げつつ、接合片15を左側の側壁13の内面にホットメルト等の接着手段によって接合すると、前壁11、後壁12、左右の側壁13,14によって、四角形の角筒状の胴部10が形成される。
【0026】
頂板20は、胴部10の上側の開口部を閉塞している。頂板20は、前壁11の上縁部に連設された前側の外フラップ21と、後壁12の上縁部に連設された後側の外フラップ22と、左右の側壁13,14の上縁部にそれぞれ連設された左右の内フラップ23,24と、を備えている。
【0027】
前側の外フラップ21は、前壁11の上縁部に沿って形成された長方形の平板であり、胴部10の上側の開口部の前半分を塞いでいる。
後側の外フラップ22は、後壁12の上縁部に沿って形成された長方形の平板であり、胴部10の上側の開口部の後半分を塞いでいる。
【0028】
左側の内フラップ23は、左側の側壁13の上縁部に沿って形成された平板である。右側の内フラップ24は、右側の側壁14の上縁部に沿って形成された平板である。左右の内フラップ23,24は、左右方向に間隔を空けて配置されている。
左側の内フラップ23の前部と、右側の内フラップ24の前部との左右方向に間隔が、前端部から後方に向かうに連れて小さくなるように、左右の内フラップ23,24の先端縁部の前部がそれぞれ傾斜している。
【0029】
左右の内フラップ23,24の上面に前後の外フラップ21,22が重ねられており、前後の外フラップ21,22の先端縁部が突き合わされている。
このようにして、両外フラップ21,22および両内フラップ23,24を重ねることで、頂板20が形成されている。
前側の外フラップ21の先端縁部(後縁部)と、後側の外フラップ22の先端縁部(前縁部)とは、粘着テープ(図示せず)によって接合されている。
【0030】
底板30は、胴部10の下側の開口部を閉塞している。底板30は、頂板20と上下対称な構成であり、左右の内フラップ33,34の下面に前後の外フラップ31,32を重ねることで形成されている。
【0031】
図5に示すように、前壁11には、取出口50が開口している。取出口50は、左右方向に幅が広い長方形に形成されている。取出口50は、前壁11の上縁部から下方に向けて延びている。
【0032】
取出口50の左縁部は、前壁11の左縁部に対して左右方向に間隔を空けて配置されている。取出口50の左縁部と前壁11の左縁部との間には、上下方向に帯状に延びている壁部である左側の第一枠壁16が形成されている。
取出口50の右縁部は、前壁11の右縁部に対して左右方向に間隔を空けて配置されている。取出口50の右縁部と前壁11の右縁部との間には、上下方向に帯状に延びている壁部である右側の第一枠壁16が形成されている。
左右の第一枠壁16,16の左右方向の幅は同じ大きさに形成されている。
【0033】
取出口50の下縁部は、前壁11の下縁部に対して上下方向に間隔を空けて配置されている。取出口50の下縁部と前壁11の下縁部との間には、左右方向に帯状に延びている壁部である第二枠壁17が形成されている。
【0034】
取出口50の下縁部の中央部には、下方に向けて窪んだ凹部51が形成されている。凹部51は、開封開始部90の下半分となる部位である。
【0035】
前壁11の左右方向の中央部には、図1に示すように、前壁11の上縁部から下縁部に亘って第一切断誘導部60が形成されている。第一切断誘導部60には、前側切断誘導線61と、第一蓋部62と、第二蓋部63と、が形成されている。
【0036】
第一蓋部62は、取出口50を閉塞している平板である。第一蓋部62の左右の側縁部および下縁部は、取出口50の内縁部に切断誘導線L1を介して連設されている。
第一蓋部62の下縁部の中央部には、上向きに窪んだ凹部64が形成されている。第一蓋部62の凹部64と、取出口50の凹部51とが連結することで、長円形の開封開始部90が形成されている。
【0037】
第一蓋部62の内面には、開封開始部90の上縁部の両端部から、第一蓋部62の上縁部に亘って左右の折れ線L10,L10が形成されている。
左右の折れ線L10,L10の左右方向の間隔は、下端部から上方に向かうに連れて大きくなっている。両折れ線L10,L10は、それぞれ左右方向の外側に向けて凸形状となるように湾曲している(図3参照)。
【0038】
開封開始部90は、第二蓋部63によって閉塞されている。第二蓋部63は、長円形の平板である。第二蓋部63の上縁部は、第一蓋部62の凹部64の上縁部(開封開始部90の上縁部)に折れ線を介して連設されている。
【0039】
前側切断誘導線61は、前壁11の下縁部の中央部から開封開始部90の下縁部の中央部に亘って形成されたミシン目状の直線である。
【0040】
頂板20の左右方向の中央部には、頂板20の前縁部から後縁部に亘って第二切断誘導部70が形成されている。第二切断誘導部70は、前後方向に延びている左右の切断誘導線L2,L2の間に形成された帯状の部位である。
第二切断誘導部70には、前側の外フラップ21に形成された前部71と、後側の外フラップ22に形成された後部72と、が形成されている。
【0041】
第二切断誘導部70の前部71は、前側の外フラップ21の前縁部から後縁部に亘って形成されている。前部71の前縁部は、折れ線を介して第一蓋部62の上縁部に連設されている。前部71は、前端部から後端部に向かうに連れて左右方向の幅が小さくなるように形成されている。
前部71の内面には、前側の外フラップ21の前縁部から後縁部に亘って左右の折れ線L20,L20が形成されている。両折れ線L20,L20は、それぞれ左右方向の外側に向けて凸形状となるように湾曲している(図3参照)。
【0042】
第二切断誘導部70の後部72は、後側の外フラップ22の前縁部から後縁部に亘って形成されている。後部72の前縁部は、前部71の後縁部に連続している。後部72は、前端部から後端部に向かうに連れて左右方向の幅が小さくなるように形成されている。
【0043】
第二切断誘導部70は、平面視において左右の内フラップ23,24の間に略収まるように形成されている。第二切断誘導部70の左右方向の最大幅(前端部の幅)は、取出口50の左右方向の最大幅よりも小さく形成されている。
【0044】
後壁12の左右方向の中央部には、図2に示すように、後壁12の上縁部から下縁部に亘って第三切断誘導部80が形成されている。第二切断誘導部70には、後側切断誘導線81と、帯部82と、が形成されている。
帯部82は、U字形状に形成された切断誘導線L3の内側に形成された帯状の部位である。帯部82の上縁部は、折れ線を介して第二切断誘導部70の後縁部に連設されている。帯部82の左右方向の幅は、上端部から下端部に向かうに連れて小さくなっている。また、帯部82の下端部の内面には、左右方向に延びている折れ線L4が形成されている。
【0045】
後側切断誘導線81は、後壁12の下縁部の中央部から帯部82の下縁部の中央部に亘って形成されたミシン目状の直線である。
【0046】
底板30の内面の左右方向の中央部には、図1および図2に示すように、前縁部から後縁部に亘って直線状の折れ線L30が形成されている(図3参照)。
【0047】
次に、第一実施形態の包装箱1Aを開封する手順について説明する。
図1に示す包装箱1Aを開封する場合には、まず、前壁11の第二蓋部63を押し込んで開封開始部90を開口させる。
続いて、開封開始部90に手を差し込んで第一蓋部62を前方に引き出すと、取出口50の内縁部と第一蓋部62の外縁部との間の切断誘導線L1が切り開かれる。
さらに、第一蓋部62を引き上げると、頂板20の左右の切断誘導線L2,L2が切り開かれる。
このようにして、図4に示すように、前壁11から第一蓋部62および第二蓋部63を切り取るとともに、頂板20から第二切断誘導部70を切り取る。
【0048】
第一蓋部62を前方に引き出したときに、第一蓋部62は左右の折れ線L10,L10において外側に膨らむように折れ曲がるとともに、第二切断誘導部70の前部71は左右の折れ線L20,L20において外側に膨らむように折れ曲がる。これにより、包装箱1Aの切断誘導線L1,L2を容易かつ綺麗に切り開くことができる。
第二切断誘導部70を切り取るときには、第二切断誘導部70は幅が小さくなる方向に切り取られていくため、第二切断誘導部70をスムーズに切り取ることができる。
【0049】
また、図2に示す後壁12の第三切断誘導部80の帯部82の下端部を押し込み、帯部82の下端部を掴んで引き上げる。このようにして、図4に示すように、帯部82の外縁部と後壁12との間の切断誘導線L3を切り開いて、後壁12から帯部82を切り取る。
【0050】
そして、包装箱1Aから第一切断誘導部60、第二切断誘導部70および第三切断誘導部80を切り取ると、包装箱1Aの前面に取出口50が開口するとともに、包装箱1Aの上面および後面が左右に分割されて、包装箱1Aが開封した状態となる。
【0051】
第一実施形態の包装箱1Aには、図5に示すように、複数の内容物Pを左右二列に並べられた状態で収容されている。内容物Pは、頂部を左右方向の内側に配置し、底部を左右方向の外側に配置した状態で並べられている。
【0052】
包装箱1Aを開封したときには、取出口50の左右の側縁部と前壁11の左右の側縁部との間に左右の第一枠壁16,16が形成されるとともに、取出口50の下縁部と前壁11の下縁部との間に第二枠壁17が形成される。
左右の第一枠壁16,16および第二枠壁17に内容物Pが内側から当たることで、取出口50から内容物Pが前方に落ち難くなっている。
【0053】
次に、第一実施形態の包装箱1Aを二つのトレイ2,2に変形させる手順について説明する。
図5に示す開封後の包装箱1Aの左右の部位をそれぞれ下方に押し下げると、図6に示すように、前壁11の前側切断誘導線61および後壁12の後側切断誘導線81が切り開かれ、底板30は折れ線L30において上から見て山折りに折れ曲がる。
そして、底板30を二つ折りに折り畳むと、左側の側壁13を底部とする左側のトレイ2と、右側の側壁14を底部とする右側のトレイ2と、左右に並べられた状態となる。左右のトレイ2,2は、底板30の折れ線L30を介して連設されている。
【0054】
このとき、トレイ2内の各内容物Pは、図7に示すように、頂部が上側に配置され、底部が下側に配置された状態で、前後方向に一列に並べられた状態となる。これにより、内容物Pの外面に記載されたイラストや文字が正しく配置される。
【0055】
二つのトレイ2,2を形成したときには、トレイ2の前面の内縁部に第二枠壁17の半分が配置されるとともに、トレイ2の前面の下縁部に第一枠壁16が配置される。
第一枠壁16および第二枠壁17に内容物Pが内側から当たることで、トレイ2から内容物Pが前方に落ち難くなっている。
【0056】
以上のような包装箱1Aでは、図4に示すように、前壁11の第一切断誘導部60、頂板20の第二切断誘導部70および後壁12の第三切断誘導部80を切り開いて容易に開封できる。
そして、包装箱1Aを複数積み上げるときには、図5に示すように、包装箱1Aを開封しておくと、最上段以外の包装箱1Aの内容物Pを取出口50を通じて横から容易に視認および取り出すことができる。
【0057】
第一実施形態の包装箱1Aでは、図4に示すように、第二切断誘導部70の左右方向の最大幅が、取出口50の左右方向の最大幅よりも小さいため、取出口50の左右方向の幅を大きくしても、包装箱1Aを開封したときに頂板20の左右の部位が大きく残る。したがって、開封後の包装箱1Aの頂板20に他の包装箱1Aを安定して積み重ねることができる。
【0058】
第一実施形態の包装箱1Aでは、図6に示すように、開封後に底板30を折れ線L30において折り畳むことで、箱体から左右に並んだ二つのトレイ2,2に変形できる。
図4に示すように、開封後の包装箱1Aでは、前壁11の第一蓋部62、頂板20の第二切断誘導部70および後壁12の帯部82が切り取られている。そして、包装箱1Aでは、前側切断誘導線61および後側切断誘導線81が短いため、前側切断誘導線61および後側切断誘導線81を小さな力で切り開いて、箱体から図6に示す二つのトレイ2,2に変形できる。
【0059】
複数の包装箱1Aを積み上げたときには、図7に示すように、最上段の包装箱1Aをトレイ2に変形させることで、内容物Pを取り出し易くなるとともに、内容物Pを有効にアピールすることができる。
【0060】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第一実施形態の包装箱1Aでは、図5に示すように、取出口50が四角形に形成されているが、取出口50の形状や大きさは限定されるものではなく、内容物Pの形状や大きさに応じて適宜に形成される。なお、取出口50の左右方向の幅が、前壁11の左右方向の幅の半分以上である場合には、内容物Pを取り出し易くなる。
【0061】
第一実施形態の包装箱1Aでは、取出口50の下縁部が前壁11の下縁部に対して間隔を空けて配置されているが、取出口50の下縁部を前壁11の下縁部に配置してもよい。また、取出口50の側縁部が前壁11の側縁部に対して間隔を空けて配置されているが、取出口50の側縁部を前壁11の側縁部に配置してもよい。例えば、前壁11全体を切り取って取出口50を形成してもよい。
【0062】
第一実施形態の包装箱1Aでは、図2に示すように、第二切断誘導部70および第三切断誘導部80の帯部82が帯状に形成されているが、その形状は限定されるものではない。例えば、第二切断誘導部70全体および第三切断誘導部80全体を、一定の幅の帯状に形成したり、ミシン目状の線によって形成したりしてもよい。
【0063】
第一実施形態の包装箱1Aでは、図1に示すように、開封開始部90が長円形に形成されているが、開封開始部90の形状は限定されるものではない。また、第一実施形態の包装箱1Aでは、開封開始部90が第二蓋部63によって閉塞されているが、開封開始部90を閉塞しなくてもよい。さらには、開封開始部90を設けなくてもよい。
【0064】
第一実施形態の包装箱1Aでは、頂板20および底板30が複数のフラップによって構成されているが、頂板20および底板30の構成は限定されるものではない。例えば、一枚の頂板または底板によって胴部10の上下の開口部を閉塞してもよい。
【0065】
第一実施形態の包装箱1Aは段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【0066】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態の包装箱1Bについて説明する。第二実施形態の包装箱1Bは、図9に示すように、第一実施形態の包装箱1A(図6参照)と略同様な構成であり、第二枠壁17を切り取ることができる点が異なっている。
【0067】
第二実施形態の包装箱1Bは、図8に示すブランクシートS2を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
第二実施形態では、取出口50の下縁部と前壁11の下縁部との間に、第四切断誘導部100が形成されている。第四切断誘導部100は、第二枠壁17と同じ部位である。
【0068】
第四切断誘導部100の左右の側縁部には、左右の切断誘導線L5,L5が形成されている。切断誘導線L5は、取出口50の下縁部の端部から前壁11の下縁部に亘って形成されている。また、前壁11の下縁部には、一方の切断誘導線L5の下端部から他方の切断誘導線L5の下端部に亘って切断誘導線L6が形成されている。
【0069】
図9に示すように、第二実施形態の包装箱1Bを二つのトレイ2,2に変形させたときには、各切断誘導線L5,L6を切り開いて、前壁11から第四切断誘導部100を切り取る。これにより、トレイ2の前面から第二枠壁17が取り除かれるため、トレイ2から内容物を取り出し易くなる。
【0070】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は前記第二実施形態に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1A 包装箱(第一実施形態)
1B 包装箱(第二実施形態)
2 トレイ
10 胴部
11 前壁
12 後壁
13 左側の側壁
14 右側の側壁
15 接合片
16 第一枠壁
17 第二枠壁
20 頂板
21 前側の外フラップ
22 後側の外フラップ
23 左側の内フラップ
24 右側の内フラップ
30 底板
31 前側の外フラップ
32 後側の外フラップ
33 左側の内フラップ
34 右側の内フラップ
50 取出口
51 凹部
60 第一切断誘導部
61 前側切断誘導線
62 第一蓋部
63 第二蓋部
64 凹部
70 第二切断誘導部
71 前部
72 後部
80 第三切断誘導部
81 後側切断誘導線
82 帯部
90 開封開始部
100 第四切断誘導部
P 内容物
S1 ブランクシート(第一実施形態)
S2 ブランクシート(第二実施形態)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9