(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/02 20060101AFI20240611BHJP
H01H 50/38 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01H50/02 B
H01H50/38 A
(21)【出願番号】P 2021035748
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】堀江 彩太
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-027729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0026427(US,A1)
【文献】国際公開第2020/039614(WO,A1)
【文献】特開2015-043302(JP,A)
【文献】特開2020-107548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 59/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材で形成されたケースと、
可動接点を含み、前記ケースの内部に配置される可動接触片と、
前記可動接点に対向して配置される固定接点と、前記固定接点を支持する接点支持部と、前記接点支持部から前記可動接触片の長手方向に延びる延伸部と、前記固定接点から前記可動接点に向かう第1方向に前記延伸部から屈曲するとともに前記可動接触片の長手方向に前記可動接触片と重なる屈曲部とを含み、前記ケースに保持される固定端子と、
前記ケースの内部に配置され、前記第1方向と前記可動接点から前記固定接点に向かう第2方向とに前記可動接触片を移動させる駆動装置と、
前記ケースに一体形成され、前記屈曲部と前記可動接触片との間に配置され、前記固定接点と前記可動接点との間で発生するアークと前記屈曲部とを絶縁する絶縁壁と、
を備え
、
前記固定端子の前記接点支持部は、前記第2方向側が前記ケースから離れている、
電磁継電器。
【請求項2】
前記固定端子は、前記ケースのみで保持される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記屈曲部は、前記ケースの外部に配置されている、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記ケースは、
前記可動接触片の幅方向一方側に開口する開口を含むケース本体部と、
前記開口を塞ぐ蓋部と、
前記ケース本体部に形成され、前記固定端子が前記可動接触片の幅方向一方側から挿入される挿入溝と、を含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記固定端子は、前記ケースの外部に配置される外部接続部をさらに含み、
前記ケースは、前記ケースの内部において前記固定端子の延伸部の前記第1方向を向く面を支持する内側支持部と、前記外部接続部の前記第1方向を向く面を支持する外側支持部と、を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記アークを伸長させるための磁界を発生させる1以上の磁石と、
前記1以上の磁石に接続されるヨークと、
をさらに備え、
前記1以上の磁石及び前記ヨークの少なくとも一方は、前記内側支持部に隣接して配置されている、
請求項5に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記アークを伸長させるための磁界を発生させる1以上の磁石と、
前記1以上の磁石に接続されるヨークと、
をさらに備え、
前記1以上の磁石及び前記ヨークの少なくとも一方は、前記外側支持部に隣接して配置されている、
請求項5又は6に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記アークを伸長させるための磁界を発生させる1以上の磁石と、
前記ケースとは別体であり、前記ケース内において、前記固定端子と前記駆動装置の間に配置され、前記1以上の磁石を支持するインナー部材と、
をさらに備え、
前記固定端子の前記接点支持部は、前記第2方向側が前記インナー部材から離れている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器では、固定接点を含む固定端子と、固定接点に接触可能な可動接点を含む可動接触片とを備えている。可動接点が固定接点に接触した通電状態において、可動接点と固定接点との間を流れる電流によって、可動接点が固定接点から離れる方向に電磁反発力が作用する。このため、大電流の通電時には、この電磁反発力によって可動接点と固定接点との接圧が低下するおそれがある。
【0003】
特許文献1に開示された電磁継電器は、電磁反発力による可動接点と固定接点との接圧の低下を抑えるために、可動接点と固定接点との間を流れる電流と逆方向に電流が流れる部分を固定端子に設けている。固定端子は、C字状に形成されており、一部が可動接触片の長手方向に可動接触片と重なるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、接点間に生じるアークから固定端子を保護するために、絶縁カバーが固定端子に装着されているが、このような絶縁カバーを固定端子に装着した場合は、電磁継電器の組立てコストや部品コストが増大してしまう。
【0006】
本発明の課題は、可動接触片の長手方向に可動接触片と重なる固定端子を備えた電磁継電器の製造コストを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、ケースと、可動接触片と、固定端子と、駆動装置と、絶縁壁とを備える。ケースは、絶縁材で形成されている。可動接触片は、可動接点を含み、ケースの内部に配置される。第1固定端子は、ケースに保持される。第1固定端子は、固定接点と、接点支持部と、延伸部と、屈曲部とを含む。第1固定接点は、可動接点に対向して配置される。接点支持部は、固定接点を支持する。延伸部は、接点支持部から可動接触片の長手方向に延びている。屈曲部は、固定接点から可動接点に向かう第1方向に延伸部から屈曲するとともに可動接触片の長手方向に可動接触片と重なる。駆動装置は、ケースの内部に配置され、第1方向と可動接点から固定接点に向かう第2方向とに可動接触片を移動させる。絶縁壁は、固定接点と可動接点との間で発生するアークと屈曲部とを絶縁する。絶縁壁は、ケースに一体形成され、屈曲部と可動接触片との間に配置されている。
【0008】
この電磁継電器では、通電時において、固定端子の屈曲部に可動接点と固定接点との間を流れる電流と逆方向の電流が流れる。これにより、固定端子の屈曲部によって通電時における可動接点と固定接点との電磁反発力を抑えることができる。また、固定接点と可動接点との間で発生するアークと固定端子の屈曲部とを絶縁する絶縁壁が、絶縁材で形成されたケースに一体形成されており、駆動装置がケースの内部に配置されている。これにより、絶縁壁をケースと別部品で形成する場合に比べて、電磁継電器の組立てコストや部品コストの増大を抑えることができる。その結果、電磁継電器の製造コストを抑えることができる。
【0009】
固定端子は、ケースのみで保持されてもよい。この場合は、電磁継電器の組立てコストや部品コストの増大をさらに抑えることができる。
【0010】
固定端子の接点支持部は、ケースから離れていてもよい。この場合は、アークの移動が接点支持部によって阻害されにくい。
【0011】
ケースは、可動接触片の幅方向一方側に開口する開口を含むケース本体部と、開口を塞ぐ蓋部と、ケース本体部に形成され、固定端子が可動接触片の幅方向一方側から挿入される挿入溝と、を含んでもよい。この場合は、簡単な構成で、固定端子をケースで保持できる。
【0012】
固定端子は、ケースの外部に配置される外部接続部をさらに含んでもよい。ケースは、ケースの内部において固定端子の延伸部の第1方向を向く面を支持する内側支持部と、外部接続部の第1方向を向く面を支持する外側支持部と、を含んでもよい。この場合は、可動接点が固定接点に接触して固定端子が可動接触片に押圧されたときに、接点支持部が第2方向に移動することを抑えることができる。
【0013】
電磁継電器は、アークを伸長させるための磁界を発生させる1以上の磁石と、1以上の磁石に接続されるヨークと、をさらに備えてもよい。1以上の磁石及びヨークの少なくとも一方は、内側支持部に隣接して配置されてもよい。この場合は、1以上の磁石及びヨークの少なくとも一方によって内側支持部を強固にできる。
【0014】
電磁継電器は、アークを伸長させるための磁界を発生させる1以上の磁石と、1以上の磁石に接続されるヨークと、をさらに備えてもよい。1以上の磁石及びヨークの少なくとも一方は、外側支持部に隣接して配置されてもよい。この場合は、1以上の磁石及びヨークの少なくとも一方によって外側支持部を強固にできる。
【0015】
本発明によれば、可動接触片の長手方向に可動接触片と重なる固定端子を備えた電磁継電器の製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】蓋部を取り外したときの電磁継電器の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器100の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照するときにおいて、X1方向を左方向、X2方向を右方向、Y1方向を前方向、Y2方向を後方向、Z1方向を上方向、Z2方向を下方向として説明する。これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器100の配置方向を限定するものではない。なお、本実施形態において、Z2方向は、第1方向の一例であり、Z1方向は、第2方向の一例である。
【0018】
図1から
図3に示すように、電磁継電器100は、ケース2と、接点装置3と、駆動装置4と、を備えている。
【0019】
ケース2は、略四角形の箱型であり、樹脂などの絶縁材で形成されている。ケース2は、ケース本体部21と、蓋部22と、内側支持部23,24と、外側支持部25,26と挿入溝27,28を含む。
【0020】
ケース本体部21は、左壁21aと、右壁21bと、上壁21cと、下壁21dと、図示しない後壁と、開口21eとを含む。左壁21a及び右壁21bは、前後方向及び上下方向に延びている。左壁21aは、右壁21bと左右方向に対向する。上壁21c及び下壁21dは、前後方向及び左右方向に延びている。上壁21cは、下壁21dと上下方向に対向する。後壁は、左右方向及び上下方向に延びている。後壁は、左壁21a、右壁21b、上壁21c及び下壁21dに接続されている。開口21eは、後壁から前方に向かって矩形状に開口している。蓋部22は、開口21eを塞ぐようにケース本体部21に取り付けられる。
【0021】
蓋部22は、開口21eを塞ぐように前方向から開口21eに向けてケース本体部21に取り付けられる。蓋部22は、
図1に示すように、前方に向かって突出する支持突起22a,22bを含む。支持突起22aは、挿入溝27に挿入される。支持突起22bは、挿入溝28に挿入される。
【0022】
内側支持部23は、左壁21aの内面から右方向に突出して形成されている。内側支持部24は、右壁21bの内面から左方向に突出して形成されている。内側支持部23,24の上面は、平坦に形成されている。すなわち、内側支持部23,24の上面は、上下方向と直交する平面を含む。
【0023】
外側支持部25は、左壁21aの外面から左方向に突出して形成されている。外側支持部25は、内側支持部23よりも下方に配置されている。外側支持部26は、右壁21bの外面から右方向に突出して形成されている。外側支持部26は、内側支持部24よりも下方に配置されている。外側支持部25,26の上面は、平坦に形成されている。すなわち、外側支持部25,26の上面は、上下方向と直交する平面を含む。
【0024】
挿入溝27は、左壁21aの上部に形成されている。挿入溝27は、前後方向に延びており、前方が開口している。挿入溝28は、右壁21bの上部に形成されている。挿入溝28は、前後方向に延びており、前方が開口している。
【0025】
接点装置3は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8とを含む。
【0026】
第1固定端子6及び第2固定端子7は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子6及び第2固定端子7は、左右方向に延びるとともに、屈曲した形状を有している。第1固定端子6及び第2固定端子7は、ケース2の内部と外部とに亘って延びている。第1固定端子6及び第2固定端子7は、左右方向に互いに離れて配置されている。第1固定端子6及び第2固定端子7は、ケース2に保持されている。本実施形態では、第1固定端子6及び第2固定端子7は、ケース2のみで保持されている。第1固定端子6及び第2固定端子7は、可動接触片8の幅方向(ここでは前後方向)からケース本体部21に挿入されて、ケース2に保持される。第1固定端子6及び第2固定端子7の一部は、可動接触片8と左右方向に重なる。
【0027】
第1固定端子6は、挿入溝27からケース本体部21に挿入される。第1固定端子6は、挿入溝27と支持突起22aとに挟まれて、前後方向の移動が制限されている。
【0028】
第1固定端子6は、第1固定接点6aと、接点支持部6bと、延伸部6cと、屈曲部6dと、外部接続部6eとを含む。第1固定接点6aは、ケース2の内部に配置されている。第1固定接点6aは、可動接触片8と上下方向に対向して配置されている。第1固定接点6aは、接点支持部6bの下面に配置されている。
【0029】
接点支持部6bは、第1固定接点6aを支持する。接点支持部6bは、第1固定端子6において、右端に位置している。接点支持部6bは、ケース2と左右方向に離れている。接点支持部6bの前後の側方は、後壁と蓋部22とに覆われている。接点支持部6bは、ケース2の上壁21cと上下方向に離れている。すなわち、接点支持部6bは、ケース2から離れており、ケース2に保持されていない。
【0030】
延伸部6cは、接点支持部6bに接続されている。延伸部6cは、接点支持部6bから左右方向に延びている。詳細には、延伸部6cは、接点支持部6bの左端から左方向に延びている。
図2に示すように、延伸部6cの一部は、接点支持部6bよりも前後方向に延びている。延伸部6cの左端は、左壁21aを左右方向に貫通している。延伸部6cは、内側支持部23の上面に支持されている。延伸部6cの前後の側方は、後壁及び蓋部22に覆われている。延伸部6cの上面は、上壁21cから下方に突出する突起及び挿入溝27によって支持されている。延伸部6cは、接点支持部6bよりも前後方向に延びた部分がケース本体部21及び蓋部22によって保持されることで、左右方向の移動が制限されている。延伸部6cの厚さ方向は、上下方向と一致し、延伸部6cの幅方向は、前後方向と一致する。
【0031】
屈曲部6dは、ケース2の外部に配置されている。屈曲部6dは、延伸部6cに接続されている。屈曲部6dは、延伸部6cの左端からZ2方向に屈曲している。屈曲部6dは、上下方向に延びている。屈曲部6dは、ケース本体部21の左壁21aに近接した位置で、左壁21aに対向して配置されている。屈曲部6dは、左右方向において可動接触片8と重なる。屈曲部6dの厚さ方向は、左右方向と一致し、屈曲部6dの幅方向は、前後方向と一致する。
【0032】
外部接続部6eは、ケース2の外部に配置され、屈曲部6dに接続されている。外部接続部6eは、屈曲部6dから左右方向に延びている。詳細には、外部接続部6eは、屈曲部6dの下端から左方向に屈曲している。外部接続部6eは、外側支持部25の上面に支持されている。外部接続部6eは、バスバーなどの図示しない外部端子に接続される。
【0033】
第2固定端子7は、第1固定端子6と左右対称形状であるため簡略に説明する。第2固定端子7は、第2固定接点7aと、接点支持部7bと、延伸部7cと、屈曲部7dと、外部接続部7eとを含む。第2固定接点7aは、第1固定接点6aから左右方向に離れた位置で可動接触片8と上下方向に対向して配置されている。接点支持部7bは、第2固定接点7aを支持する。延伸部7cは、接点支持部7bの右端から右方向に延び、内側支持部24の上面に支持されている。屈曲部7dは、上下方向に延びている。屈曲部7dは、左右方向において可動接触片8と重なる。屈曲部7dは、ケース2の外部でケース本体部21の右壁21bに対向して配置されている。外部接続部7eは、左右方向に延び、外側支持部26の上面に支持されている。
【0034】
可動接触片8は、一方向に長い板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。可動接触片8は、ケース2の内部に配置されている。可動接触片8は、ケース2の内部で左右方向に延びている。可動接触片8の長手方向は、左右方向と一致する。可動接触片8の幅方向は、前後方向と一致する。
【0035】
可動接触片8は、第1可動接点8aと、第2可動接点8bと、を含む。第1可動接点8aは、第1固定接点6aに対向して配置されている。第2可動接点8bは、第2固定接点7aに対向して配置されている。
【0036】
可動接触片8は、上下方向に移動可能である。詳細には、可動接触片8は、Z1方向とZ2方向とに移動可能である。Z1方向は、第1可動接点8aが第1固定接点6aに近づく方向である。言い換えると、Z1方向は、第1可動接点8aから第1固定接点6aに向かう方向である。Z2方向は、第1可動接点8aが第1固定接点6aから離れる方向である。言い換えると、Z2方向は、第1固定接点6aから第1可動接点8aに向かう方向である。
【0037】
駆動装置4は、ケース2の内部に配置されている。駆動装置4は、可動接触片8をZ1方向とZ2方向とに移動させる。駆動装置4は、可動機構11と、コイル12と、可動鉄心13と、固定鉄心14と、ヨーク15と、復帰バネ16とを含む。
【0038】
可動機構11は、可動接触片8に連結されている。
図4に示すように、可動機構11は、ホルダ11aと、駆動軸11bと、接点バネ11cとを含む。ホルダ11aは、可動接触片8を保持している。ホルダ11aは、可動接触片8と一体移動する。駆動軸11bは、上下方向に延びている。駆動軸11bは、可動接触片8の下方に配置されている。駆動軸11bは、ホルダ11aに対して上下方向に相対移動可能にホルダ11aに接続されている。接点バネ11cは、ホルダ11aと駆動軸11bとの間に配置されている。接点バネ11cは、ホルダ11aを介して可動接触片8をZ1方向に付勢する。
【0039】
コイル12は、電圧が印加されて励磁されると、可動鉄心13をZ1方向に移動させる電磁力を発生させる。可動鉄心13は、駆動軸11bに一体移動可能に固定されている。固定鉄心14は、可動鉄心13の上方で可動鉄心13と対向して配置されている。ヨーク15は、コイル12を囲むように配置されている。ヨーク15は、固定鉄心14に接続されている。復帰バネ16は、可動鉄心13をZ2方向に付勢する。
【0040】
電磁継電器100の動作は、概ね従来と同様であるため簡略に説明する。
図3は、コイル12が励磁されていない状態を示している。この状態では、第1可動接点8aが第1固定接点6aから離れており、第2可動接点8bが第2固定接点7aから離れている。コイル12が励磁されると、可動鉄心13が復帰バネ16の付勢力に抗して駆動軸11bとともにZ1方向に移動する。そして、駆動軸11bのZ1方向の移動により、可動接触片8が接点バネ11cを介してZ1方向に押圧されて、可動接触片8がZ1方向に移動する。これにより、
図4に示すように、第1可動接点8aが第1固定接点6aに接触し、第2可動接点8bが第2固定接点7aに接触する。コイル12への電圧の印加が停止されると、復帰バネ16の付勢力によって可動鉄心13とともに駆動軸11bがZ1方向に移動する。これにより、可動接触片8がZ2方向に移動し、第1可動接点8aが第1固定接点6aから離れ、第2可動接点8bが第2固定接点7aから離れる。
【0041】
電磁継電器100は、インナー部材32と、1以上の磁石34と、ヨーク36と、絶縁壁38,39をさらに備えている。インナー部材32は、可動機構11の移動を案内する。インナー部材32は、コイル12の上方に配置されている。インナー部材32は、Z1方向に開口する略四角形の箱型であり、一部或いは全体が樹脂などの絶縁材で形成されている。インナー部材32は、全体が接点支持部6b,7b及び延伸部6c,7cよりも下方に配置されている。
【0042】
1以上の磁石34は、直方体形状の永久磁石であり、第1磁石34aと、第2磁石34bとを含む。第1磁石34a及び第2磁石34bは、インナー部材32に支持されている。第1磁石34aと第2磁石34bは、インナー部材32の周囲に配置され、左右方向に互いに対向するように配置されている。第1磁石34aは、インナー部材32と絶縁壁38との間に配置されている。第1磁石34aは、内側支持部23及び外側支持部25に隣接して配置されている。第1磁石34aは、内側支持部23の下方に配置されている。第1磁石34aは、外側支持部25の右方に配置されている。第2磁石34bは、インナー部材32と絶縁壁39との間に配置されている。第2磁石34bは、内側支持部24及び外側支持部26に隣接して配置されている。第2磁石34bは、内側支持部24の下方に配置されている。第2磁石34bは、外側支持部26の左方に配置されている。
【0043】
ヨーク36は、第1磁石34a及び第2磁石34bの外側で、第1磁石34a及び第2磁石34bを左右方向及び前後方向から囲むように配置されている。ヨーク36の一部は、第1磁石34aと絶縁壁38との間、第2磁石34bと絶縁壁39との間に配置されている。ヨーク36は、ケース2の内面とインナー部材32の外周面とに支持されている。ヨーク36は、内側支持部23,24及び外側支持部25,26に隣接して配置されている。
【0044】
絶縁壁38は、ケース2に一体形成されている。絶縁壁38は、第1固定端子6の屈曲部6dと可動接触片8との間に配置されている。絶縁壁38は、第1固定接点6aと第1可動接点8aとの間で発生するアークと屈曲部6dとを絶縁する。絶縁壁38は、前後方向及び左右方向に延びている。絶縁壁38は、延伸部6cの下方に配置されている。絶縁壁38は、屈曲部6dの右方を覆う。絶縁壁38は、ケース2の左壁21aの一部によって構成されている。絶縁壁38は、屈曲部6d及び可動接触片8と左右方向に重なる。絶縁壁38は、第1磁石34a及びヨーク36と左右方向に重なる。
【0045】
絶縁壁39は、ケース2に一体形成されている。絶縁壁39は、第2固定端子7の屈曲部7dと可動接触片8との間に配置されている。絶縁壁39は、第2固定接点7aと第2可動接点8bとの間で発生するアークと屈曲部7dとを絶縁する。絶縁壁39は、前後方向及び左右方向に延びている。絶縁壁38は、延伸部7cの下方に配置されている。絶縁壁39は、屈曲部7dの左方を覆う。絶縁壁39は、ケース2の右壁21bの一部によって構成されている。絶縁壁39は、屈曲部7d及び可動接触片8と左右方向に重なる。絶縁壁39は、第2磁石34b及びヨーク36と左右方向に重なる。
【0046】
上記構成の電磁継電器100では、通電時において、第1固定端子6の屈曲部6dに第1可動接点8aと第1固定接点6aとの間を流れる電流と逆方向の電流が流れる。これにより、第1固定端子6の屈曲部6dによって通電時における第1可動接点8aと第1固定接点6aとの電磁反発力を抑えることができる。また、第1固定接点6aと第1可動接点8aとの間で発生するアークと第1固定端子6の屈曲部6dとを絶縁する絶縁壁38が、絶縁材で形成されたケース2に一体形成されており、駆動装置4がケース2の内部に配置されている。これにより、絶縁壁38をケース2と別部品で形成する場合に比べて、電磁継電器100の組立てコストや部品コストの増大を抑えることができる。その結果、電磁継電器100の製造コストを抑えることができる。なお、絶縁壁39によっても同様の効果を得ることができる。
【0047】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
前記実施形態では、第1固定端子6の屈曲部6dがケース2の外部に配置されていたが、屈曲部6dは、ケース本体部21の左壁21aを厚くして、左壁21aの内部に嵌め込まれる構成であってもよい。或いは、屈曲部6dは、ケース2の内部に配置されてもよい。屈曲部6dがケース2の内部に配置される場合は、絶縁壁38がケース2の左壁21aの一部ではなく、左壁21aと別でケース本体部21に形成されることになる。
【0049】
前記実施形態では、第1固定端子6がケース2のみで保持されていたが、第1固定端子6がケース2と他の部材とで保持されていてもよい。
【0050】
前記実施形態では、駆動装置4が可動鉄心13を上方向に押し上げる構成であったが、駆動装置4は、可動鉄心13を下方向に押し下げる構成であってもよい。この場合、可動接触片8は、第1固定端子6及び第2固定端子7の上方に配置される。
【符号の説明】
【0051】
2 ケース
4 駆動装置
6 第1固定端子(固定端子の一例)
6a 第1固定接点(固定接点の一例)
6b 接点支持部
6c 延伸部
6d 屈曲部
6e 外部接続部
8 可動接触片
8a 第1可動接点(可動接点の一例)
21 ケース本体部
21e 開口
22 蓋部
34 1以上の磁石
36 ヨーク
38 絶縁壁
100 電磁継電器