(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】表示制御装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2021038775
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀崎 康之
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 周平
(72)【発明者】
【氏名】長谷 高明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】高木 賢也
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-044585(JP,A)
【文献】特開2018-180983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された複数の運転評価項目に関する情報を取得するデータ取得部と、
運転中に前記運転評価項目に該当した回数を計測回数としてカウントする計測部と、
複数の前記運転評価項目のそれぞれに対して許容回数を設定する回数設定部と、
複数の前記運転評価項目を車室内の表示領域に表示する表示制御部と、
を有し、
前記表示制御部は、
複数の前記運転評価項目のそれぞれに対して、前記回数設定部で設定された前記許容回数と前記計測回数との差となる残り回数分だけ前記表示領域に記号を表示する、表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記残り回数が所定値以下となった前記運転評価項目の表示部分を強調して表示する請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記計測回数が前記許容回数以上となった前記運転評価項目の表示部分を強調して表示する請求項1又は2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
複数の前記運転評価項目における前記残り回数に基づいて運転スコアを算出するスコア算出部を備え、
前記表示制御部は、前記運転スコアを前記表示領域に表示する請求項1~3の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
予め設定された複数の運転評価項目に対して、許容回数を設定し、
運転中にそれぞれの前記運転評価項目に該当した回数を計測回数としてカウントし、
複数の前記運転評価項目を車室内の表示領域に表示すると共に、
複数の前記運転評価項目のそれぞれに対して、前記許容回数と前記計測回数との差となる残り回数分だけ記号を表示する、
表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加速度センサによって計測された加速度に基づいて運転技量を評価する加速度検知装置が開示されている。特許文献1に記載された装置では、車両の走行中の加速度を表示部に円グラフで表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、運転者が表示部を一見しただけでは評価結果が分からない。このため、運転者に対して運転評価結果を効果的に伝えるには改善の余地がある。
【0005】
本発明は、運転者に対して運転評価結果を効果的に伝えることができる表示制御装置及び表示制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る表示制御装置は、予め設定された複数の運転評価項目に関する情報を取得するデータ取得部と、運転中に前記運転評価項目に該当した回数を計測回数としてカウントする計測部と、複数の前記運転評価項目のそれぞれに対して許容回数を設定する回数設定部と、複数の前記運転評価項目を車室内の表示領域に表示する表示制御部と、を有し、前記表示制御部は、複数の前記運転評価項目のそれぞれに対して、前記回数設定部で設定された前記許容回数と前記計測回数との差となる残り回数分だけ前記表示領域に記号を表示する。
【0007】
請求項1に係る表示制御装置では、予め複数の運転評価項目が設定されており、それぞれの運転評価項目に対して許容回数が設定されている。そして、データ取得部は、運転評価項目に関する情報を取得する。また、計測部は、運転中にそれぞれの運転評価項目に該当した回数を計測回数としてカウントする。さらに、表示制御部は、複数の運転評価項目を車室内の表示領域に表示する。これにより、運転者は、表示領域を見るだけで、運転評価項目を把握することができる。
【0008】
また、表示制御部は、複数の運転評価項目のそれぞれに対して、許容回数と計測回数との差となる残り回数分だけ表示領域に記号を表示する。これにより、運転者は、表示領域を一見するだけで許容回数に達するまでの残り回数を把握することができる。また、残り回数が記号の数で表示されるため、運転者が残り回数を見誤ることを抑制することができる。なお、ここでいう「運転評価項目」とは、加速度及び舵角などの車両情報に基づいて評価する項目に限定されず、運転者の視線情報及び周辺情報に基づいて、脇見運転、信号無視及び一時停止違反を評価する項目を広く含む概念である。また、「車室内の表示領域」とは、車室内に据え置かれたディスプレイに限定されず、運転中に車室内に設置される携帯端末などを広く含む概念である。
【0011】
請求項2に係る表示制御装置は、請求項1において、前記表示制御部は、前記残り回数が所定値以下となった前記運転評価項目の表示部分を強調して表示する。
【0012】
請求項2に係る表示制御装置では、残り回数が所定値以下となった運転評価項目の表示部分が強調表示される。これにより、運転者は、残り回数を見ることなく、許容回数に近づいている項目を把握することができる。
【0013】
請求項3に係る表示制御装置は、請求項1又は2において、前記表示制御部は、前記計測回数が前記許容回数以上となった前記運転評価項目の表示部分を強調して表示する。
【0014】
請求項3に係る表示制御装置では、計測回数が許容回数以上となった運転評価項目の表示部分が強調表示される。これにより、運転者は、残り回数を見ることなく、許容回数に達したことを把握することができる。
【0015】
請求項4に係る表示制御装置は、請求項1~3の何れか1項において、複数の前記運転評価項目における前記残り回数に基づいて運転スコアを算出するスコア算出部を備え、前記表示制御部は、前記運転スコアを前記表示領域に表示する。
【0016】
請求項4に係る表示制御装置では、表示制御部によって表示領域に運転スコアが表示される。これにより、運転者は、個別の運転評価項目を確認することなく、運転スコアを見るだけで運転評価結果を知ることができる。また、運転スコアが低い場合には、運転評価項目の残り回数を見ることで、運転スコアが低い原因を把握することができる。
【0017】
請求項5に係る表示制御方法は、予め設定された複数の運転評価項目に対して、許容回数を設定し、運転中にそれぞれの前記運転評価項目に該当した回数を計測回数としてカウントし、複数の前記運転評価項目を車室内の表示領域に表示すると共に、複数の前記運転評価項目のそれぞれに対して、前記許容回数と前記計測回数との差となる残り回数分だけ記号を表示する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る表示制御装置及び表示制御方法では、運転者に対して運転評価結果を効果的に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る表示制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る表示制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態における表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】表示領域の一例を示す図であり、走行前の状態を示す図である。
【
図5】表示領域の一例を示す図であり、走行中の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態に係る表示制御装置10について、図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態の表示制御装置10は、車両に搭載されている。また、表示制御装置10は、管理会社が保有する図示しないサーバと通信可能に構成されており、車両とサーバとの間で運転診断データの送受信が行われる。
【0022】
本実施形態では一例として、タクシー会社及びバス会社などが保有する複数の車両に表示制御装置10が搭載されている。そして、表示制御装置10は、車両の運転評価結果に応じて所定の表示を行うことで、運転者に対して運転の改善を促すための装置である。
【0023】
(表示制御装置10のハードウェア構成)
図1は、表示制御装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。この
図1に示されるように、表示制御装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)20、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)24、ストレージ26、通信I/F(通信インタフェース)28及び入出力I/F(入出力インタフェース)30を含んで構成されている。各構成は、バス32を介して相互に通信可能に接続されている。
【0024】
CPU20は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20は、ROM22又はストレージ26からプログラムを読み出し、RAM24を作業領域としてプログラムを実行する。CPU20は、ROM22又はストレージ26に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0025】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM24は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ26は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。本実施形態では、ROM22又はストレージ26には、表示制御処理を行うためのプログラム及び各種データなどが格納されている。
【0026】
通信I/F28は、表示制御装置10が図示しないサーバなどの機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、CAN(Controller Area Network)、イーサネット(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。また、通信I/F28は、運転者が所持する携帯端末Pと通信可能に構成されており、携帯端末Pの表示画面は、本発明の表示領域の一例である。
【0027】
入出力I/F30には、前方カメラ40、室内カメラ42、加速度センサ44、速度センサ46及び表示領域の一例としてのセンタディスプレイ48が電気的に接続されている。
【0028】
前方カメラ40は、車両の前部に設けられており、車両前方を撮像する。前方カメラ40で撮像された画像は、例えば、前方を走行する先行車両との車間距離、車線、及び信号機などを認識するために用いられる。
【0029】
室内カメラ42は、車両の車室内に設けられており、運転者へ向けられている。そして、この室内カメラ42で撮像された画像は、例えば、運転者の視線方向を検知するために用いられる。
【0030】
加速度センサ44は、車両の加速度を検出する。速度センサ46は、車両の速度を検出する。加速度センサ44で検知された加速度のデータは、例えば、車両の急加減速の有無を判定するために用いられる。また、速度センサ46で検知された車速のデータは、例えば、速度超過を判定するために用いられる。
【0031】
センタディスプレイ48は、車室の前部において運転者から見える位置に設けられており、種々の情報が表示される。例えば、センタディスプレイ48には、後述する運転評価項目が表示される。
【0032】
(表示制御装置10の機能構成)
表示制御装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。表示制御装置10が実現する機能構成について
図2を参照して説明する。
【0033】
図2に示されるように、表示制御装置10は、機能構成として、回数設定部52、データ取得部54、計測部56、スコア算出部58及び表示制御部60を含んで構成されている。なお、各機能構成は、CPU20がROM22又はストレージ26に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0034】
回数設定部52は、予め設定された複数の運転評価項目のそれぞれに対して許容回数を設定する。
図4には、センタディスプレイ48の表示例が図示されている。この
図4に示されるように、本実施形態では一例として、急加速、急ブレーキ及び速度超過の3つの項目が運転評価項目として設定されている。運転評価項目は、センタディスプレイ48の下部に設定された表示エリアA1に表示されている。
【0035】
急加速及び急ブレーキは、加速度センサ44からの信号に基づいて判定される。例えば、加速度センサ44によって所定値以上の加速度が検知された場合に、急加速の運転評価項目としてカウントする。
【0036】
速度超過は、速度センサ46からの信号に基づいて判定される。例えば、速度センサ46によって所定値以上の速度が検知された場合に、速度超過の運転評価項目としてカウントする。また、走行中の道路の制限速度を取得し、この制限速度に応じて速度超過を判定する際の閾値を変更してもよい。
【0037】
ここで、
図4の表示エリアA1に示されるように、各運転評価項目の許容回数は、目標回数として表示されている。例えば、急加速の許容回数は5回に設定されており、急ブレーキの許容回数は3回に設定されている。また、速度超過の許容回数は1回に設定されている。これらの許容回数は、回数設定部52によって設定される。また、回数設定部52は、許容回数を変更する機能を備えている。
【0038】
なお、運転評価項目として、急操舵、車線はみ出し運転、脇見運転及び車間距離などを設定してもよい。例えば、急操舵は、図示しない舵角センサからの信号に基づいて判定される。また、車線はみ出し運転は、前方カメラ40で撮像された車両前方の画像に対する車両の位置に基づいて判定される。
【0039】
脇見運転は、室内カメラ42によって検知された運転者の視線方向に基づいて判定される。さらに、車間距離は、図示しないレーダなどのセンサからの信号に基づいて、先行車両との車間距離を検知することで判定する。そして、これらの運転評価項目について、センタディスプレイ48に表示せずに回数をカウントするようにしてもよい。
【0040】
図2に示されるデータ取得部54は、運転評価項目に関する情報を取得する。具体的には、データ取得部54は、車両状態に関する車両情報、及び運転者の運転状態に関する運転情報を取得する。例えば、データ取得部54は、車両情報として、加速度センサ44及び速度センサ46によって検知された車両の加速度及び車速を取得する。また、データ取得部54は、運転情報として、前方カメラ40で撮像された画像に基づく先行車両との車間距離、車線に対する走行位置などを取得する。さらに、データ取得部54は、運転情報として、室内カメラ42で撮像された運転者の画像から運転者の視線方向を取得する。
【0041】
計測部56は、取得された車両情報及び運転情報に基づいて、運転評価項目に該当した回数を計測回数としてカウントする。
図4に示される表示例では、表示エリアA1における運転評価項目と隣接する部分に検知数の欄が設定されており、検知数の欄に計測部56で計測された各運転評価項目の計測回数が表示される。
【0042】
図2に示されるスコア算出部58は、複数の運転評価項目における残り回
数に基づいて運転スコアを算出する。スコア算出部58による運転スコアの算出については後述する。
【0043】
表示制御部60は、運転評価項目などの情報を表示領域であるセンタディスプレイ48及び携帯端末Pの少なくとも一方に表示する。
図4を参照して、表示制御部60によってセンタディスプレイ48に表示される表示項目の一例を説明する。
【0044】
図4に示されるように、センタディスプレイ48の下部には、表示エリアA1が設定されている。表示エリアA1の左側には、運転評価項目の一覧と、各運転評価項目の許容回数が表示されている。本実施形態では上述したように、急加速、急ブレーキ及び速度超過の3つの運転評価項目が表示されている。
【0045】
表示エリアA1における運転評価項目の右隣には、検知数として計測回数が表示されている。
図4は走行前の表示例であるため、計測回数は0回と表示されている。
【0046】
検知数の右隣には、残ライフが記号Mで表示されている。ここでいう残ライフとは、運転評価項目の各々に設定された許容回数と計測回数との差となる残り回数のことである。本実施形態では一例として、表示制御部60は、残り回数の数だけ記号Mを表示する。急加速の項目では、許容回数が5回であり、計測回数が0回であるため、残ライフの欄には、5つの記号Mが表示されている。そして、この5つの記号Mが残り回数と一致している。
【0047】
急ブレーキの項目では、許容回数が3回であり、計測回数が0回であるため、残ライフの欄には、3つの記号Mが表示されている。そして、この3つの記号Mが残り回数と一致している。また、速度超過の項目では、許容回数が0回であり、計測回数が0回であるため、残ライフの欄には、1つの記号Mが表示されている。そして、この1つの記号Mが残り回数と一致している。
【0048】
一方、
図5に示されるように、走行中に急加速が3回計測された場合、残ライフの欄には、2つの記号Mが表示されており、この2つの記号Mが残り回数と一致している。また、走行中に急ブレーキが4回計測された場合、計測回数が許容回数以上となったため、残ライフの欄には記号Mが表示されていない。急ブレーキの項目における残ライフの欄には、指導が必要である旨を示す「要指導!」の文字が強調して表示されている。すなわち、表示制御部60は、計測回数が許容回数以上となった運転評価項目の表示部分を強調して表示する。
【0049】
また、本実施形態の表示制御部60は、
許容回数に対する残り回数の割合が所定値以下となった運転評価項目の表示部分を強調して表示する。例えば、表示制御部60は、急加速の項目は、残り回数が許容回数の半分以下になった場合に強調して表示する。具体的には、
図5に示されるように、急加速の項目における計測回数の表示部分を太字で表示する。また、表示制御部60は、検知数の色を変更することで強調表示してもよい。
【0050】
センタディスプレイ48の上部には、表示エリアA2、A3、A4が設定されている。表示エリアA2には、項目A、項目B及び項目Cの運転スコアが表示されている。項目A、項目B及び項目Cにはそれぞれ、運転を評価する際に指標となる項目が表示されている。例えば、項目A、項目B及び項目Cには、安全運転の度合いを示す項目、低燃費運転の度合いを示す項目、乗員の快適度を示す項目などを採用してもよい。
【0051】
項目A、項目B及び項目Cの運転スコアは、スコア算出部58によって算出されたスコアが表示される。具体的には、スコア算出部58は、各運転評価項目の計測回数に基づいて、項目A、項目B及び項目Cの運転スコアを算出する。そして、表示制御部60は、スコア算出部58によって算出された項目A、項目B及び項目Cの運転スコアを表示エリアA2に表示させる。
【0052】
一例として、項目Aが安全運転の度合いを示す項目である場合、スコア算出部58は、運転評価項目のうち、安全運転に関係する評価項目の残り回数を取得する。そして、スコア算出部58は、各計測回数に所定の係数を乗じて各運転評価項目の減点スコアを算出し、これらの減点スコアを100から引いた数値を項目Aのスコアとする。この場合、項目Aのスコアは100が最高スコアとなる。また、スコア算出部58は、計測回数が許容回数以上となった運転評価項目がある場合、運転スコアを大幅に下げてもよい。なお、本実施形態では、
図4に示されるように、走行前の状態では運転スコアが表示されていない。
【0053】
表示エリアA3は、表示エリアA2の左側に設定されており、この表示エリアA2には総合運転スコアが表示される。総合運転スコアは、スコア算出部58によって算出される。例えば、スコア算出部58は、項目A、項目B及び項目Cのそれぞれの運転スコアに基づいて総合運転スコアを算出してもよい。また、スコア算出部58は、全ての運転評価項目の計測回数に基づいて総合運転スコアを算出してもよい。本実施形態では一例として、総合スコアは最高スコアが100に設定されており、各運転評価項目の計測回数が多くなるほど総合スコアが低くなる。そして、表示制御部60は、スコア算出部58によって算出された総合スコアを表示エリアA3に表示させる。
【0054】
一方、表示エリアA4は、表示エリアA2の右側に設定されており、この表示エリアA4には運転者の順位が表示される。例えば、タクシー会社及びバス会社などの会社に所属している運転者の総合スコアがサーバに記憶されており、総合スコアを高い順に並べ替えて、最も総合スコアが高い運転者から順に順位が設定される。そして、表示制御部60は、データ取得部54によってサーバから取得された運転者の順位を表示エリアA4に表示させる。表示エリアA4に表示されている順位は、所定時間おきに更新される。
【0055】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0056】
(表示制御処理の一例)
図3は、表示制御装置10による運転診断処理の流れの一例を示すフローチャートである。この運転診断処理は、CPU20がROM22又はストレージ26からプログラムを読み出して、RAM24に展開することによって実行される。
【0057】
図3に示されるように、CPU20は、ステップS102で車両情報及び運転情報を取得する。具体的には、CPU20は、データ取得部54の機能によって各センサ類から車両情報及び運転情報を取得する。
【0058】
CPU20は、ステップS104で運転評価項目が計測されたか否かについて判断する。具体的には、CPU20は、データ取得部54によって取得された車両情報及び運転情報が運転評価項目に該当する場合、運転評価項目が計測されたと判定してステップS106の処理へ移行する。一方、CPU20は、運転評価項目が計測されなかったと判定した場合、ステップS110の処理へ移行する。
【0059】
CPU20は、ステップS106で残り回数を算出する。具体的には、CPU20は、計測部56の機能によって運転評価項目に該当した計測回数をカウントし、許容回数と計測回数との差となる残り回数を算出する。
【0060】
続いて、CPU20は、ステップS108で運転スコアを算出する。具体的には、CPU20は、ステップS106で算出された各運転評価項目の残り回数に基づき、スコア算出部58の機能によって運転スコアを算出する。本実施形態では一例として、スコア算出部58は、項目A、項目B、項目C及び総合運転スコアを算出する。そして、CPU20は、ステップS110の処理へ移行する。
【0061】
CPU20は、ステップS110で順位を取得する。具体的には、上述したように、サーバには各運転者の総合スコアが記憶されており、総合スコアの順に順位が設定されている。そして、CPU20は、サーバに記憶されている運転者の順位を取得する。なお、自車両の運転者の総合スコアが変わらない場合であっても、他の運転者の総合スコアが変化することで、順位が変動する。
【0062】
CPU20は、ステップS112でセンタディスプレイ48に情報を表示する。具体的には、CPU20は、表示制御部60の機能によって、センタディスプレイ48の表示エリアA1に運転評価項目、許容回数及び計測回数を表示する。また、CPU20は、表示制御部60の機能によって、表示エリアA1に残り回数を視覚的に表示する。このとき、表示制御部60は、計測回数が許容回数以上となった運転評価項目の表示部分、及び、残り回数が所定値以下となった運転評価項目の表示部分を強調して表示する。
【0063】
さらに、CPU20は、ステップS112で表示制御部60の機能によって、表示エリアA2及び表示エリアA3に運転スコアを表示すると共に、表示エリアA4に順位を表示する。そして、CPU20は、表示制御処理を終了する。
【0064】
以上のように、本実施形態の表示制御装置10では、表示制御部60によって複数の運転評価項目が車室内の表示領域であるセンタディスプレイ48に表示される。これにより、運転者は、センタディスプレイ48を見るだけで、運転評価項目を把握することができる。
【0065】
また、
図5に示されるように、表示制御部60は、許容回数と計測回数との差となる残り回
数をセンタディスプレイ48に視覚的に表示する。これにより、運転者は、センタディスプレイ48を一見するだけで許容回数に達するまでの残り回数を把握することができる。このように、本実施形態に係る表示制御装置10では、運転者に対して運転評価結果を効果的に伝えることができる。
【0066】
特に、本実施形態では、残り回数が表示エリアA1に記号Mの数で表示される。これにより、運転者が残り回数を瞬時に把握することができ、残り回数を見誤ることを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、残り回数が所定値以下となった運転評価項目の表示部分が強調表示される。これにより、運転者は、残り回数を見ることなく、許容回数に近づいている項目を把握することができる。
【0068】
さらに、本実施形態では、計測回数が許容回数以上となった運転評価項目の表示部分が強調表示される。具体的には、表示制御部60によって「要指導!」の文字が表示される。これにより、運転者は、残り回数を見ることなく、許容回数に達したことを把握することができる。
【0069】
さらにまた、本実施形態では、表示制御部60によって表示エリアA2及び表示エリアA3に運転スコアが表示される。これにより、運転者は、個別の運転評価項目を確認することなく、運転スコアを見るだけで運転評価結果を知ることができる。そして、運転スコアが低い場合には、運転評価項目の残り回数を見ることで、運転スコアが低い原因を把握することができる。
【0070】
なお、本実施形態では、
図4及び
図5の表示例について説明したが、他の表示例として、
図6に示される表示例を採用してもよい。
【0071】
(他の表示例)
図6に示されるように、他の表示例では、表示エリアA1における残り回数の表示態様が変わっている。具体的には、検知数の右隣には、残ライフが棒状の記号Qで表示されている
。
【0072】
本実施形態では一例として、表示制御部60は、許容回数に対する残り回数の割合を記号Qで表示する。また、表示制御部60は、残り回数の割合が減少するのにつれて、記号Qの長さが短くなるように表示する。
【0073】
例えば、
図6では、速度超過の項目の計測回数が0回であるため、許容回数に対する残り回数の割合が100%となる。このため、速度超過の項目の記号Qは、表示部分の左端から右端まで延在されており、この記号Qの長さが100%の割合に対応する。一方、急加速の項目は、計測回数が3回であるため、許容回数に対する残り回数の割合が40%となる。このため、急加速の項目の記号Qは、速度超過の記号Qと比べて、半分以下の長さで表示されている。
【0074】
以上のように、他の表示例では、許容回数に対する残り回数の割合が記号Qの長さで表示されるため、許容回数及び計測回数が多い項目などを表示する場合に有効である。
【0075】
以上、実施形態に係る運転診断システム10及び表示制御装置10について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、
図5に示されるように、残り回数の数だけ記号Mで表示したが、これに限定されない。他の例として、表示制御部60によって残り回数の数だけ記号Mの色を変更して表示してもよい。具体的には、
図5における急加速の項目では、2つの記号Mの右隣に別の色で記号Mと同形状の記号を表示してもよい。この場合であっても、運転者が残り回数を一見して把握することができる。
【0076】
また、表示制御部60は、
図5の記号M及び
図6の記号Qとは別の記号で残り回数の割合を表示してもよい。例えば、記号Mに代えて、所定のキャラクタの形状の記号を用いてもよい。残り回数の割合に応じて色が変化する記号を用いてもよい。この場合、残り回数が多い状態では緑色の記号を表示し、残り回数が少なくなるにつれて徐々に記号を赤色に変化させてもよい。
【0077】
さらに、上記実施形態では、計測回数が検知数として表示されているが、これに限定されない。例えば、計測回数を非表示にしてもよい。この場合であっても、運転者が記号M及び記号Qを見ることで、残り回数を直感的に把握することができる。
【0078】
さらにまた、上記実施形態では、表示エリアA1に3つの運転評価項目を表示したが、さらに多くの運転評価項目を表示してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、表示エリアA2及び表示エリアA3に運転スコアを表示したが、これに限定されず、運転スコアを非表示にしてもよい。また、運転者が画面を切替えることで運転スコアが表示されるようにしてもよい。さらに、表示エリアA4に順位を表示したが、これに限定されず、順位を非表示にしてもよく、運転者が画面を切替えることで順位が表示されるようにしてもよい。
【0080】
さらに、上記実施形態では、残り回数の割合が所定値以下となった運転評価項目の計測回数を太字で表示したが、これに限定されず、他の方法で強調して表示してもよい。例えば、該当する運転評価項目の欄の色を変化させてもよい。また、残り回数の割合が所定値以下となった運転評価項目に対して、記号Mを点滅表示してもよい。
【0081】
さらにまた、上記実施形態では、センタディスプレイ48に表示した例について図示して説明したが、これに限定されず、運転者の携帯端末Pに運転評価項目などを表示してもよい。
【0082】
また、上記実施形態でCPU20がプログラムを読み込んで実行した表示処理を、CPU20以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、表示制御処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで実行してもよく、例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0083】
さらに、上記実施形態では、ストレージ26に種々のデータを記憶させる構成としたが、これに限定されない。例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体を記憶部としてもよい。この場合、これらの記録媒体に各種プログラム及びデータなどが格納されることとなる。
【符号の説明】
【0084】
10 表示制御装置
48 センタディスプレイ(表示領域)
54 データ取得部
56 計測部
58 スコア算出部
60 表示制御部
M 記号
P 携帯端末(表示領域)
Q 記号