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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/025 20060101AFI20240611BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240611BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20240611BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20240611BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20240611BHJP
   F02D 43/00 20060101ALI20240611BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F01N3/025 101
F01N3/24 R ZAB
F01N3/24 E
F02D9/02 315B
F01N3/36 B
F02D45/00 360Z
F02D43/00 301K
F02D43/00 301T
B01D53/94 245
B01D53/94 280
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021065739
(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公開番号】P2022161148
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永森 敬士
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-030946(JP,A)
【文献】特開2005-330870(JP,A)
【文献】特開2008-025445(JP,A)
【文献】特開2014-047658(JP,A)
【文献】特開2017-155707(JP,A)
【文献】特開2004-060537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/025
F01N 3/24
F02D 9/02
F01N 3/36
F02D 45/00
F02D 43/00
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガス通路に配置されて、排気ガス中の未燃燃料を酸化する酸化触媒と、
前記酸化触媒の下流側に配置されて、排気ガス中の粒子状物質を捕集する粒子状物質除去フィルタと、
前記酸化触媒に流入する排気ガス中に燃料を添加する燃料添加装置と、
前記粒子状物質除去フィルタに捕集された前記粒子状物質の堆積量を取得する堆積量取得装置と、
前記粒子状物質除去フィルタの床温を取得するフィルタ床温取得装置と、
前記堆積量取得装置を介して取得した前記粒子状物質の堆積量が所定堆積量閾値以上になった場合には、前記内燃機関が無負荷減速運転中に、前記燃料添加装置を介して前記排気ガス中に燃料を添加するように制御して前記粒子状物質除去フィルタに捕集されている前記粒子状物質を酸化焼却する減速時DPF再生処理を開始し、前記無負荷減速運転中に前記堆積量が再生終了閾値以下となるまで前記減速時DPF再生処理を実行する燃料添加制御装置と、
前記燃料添加装置を介して前記排気ガス中に燃料が添加された後、前記フィルタ床温取得装置を介して取得した前記粒子状物質除去フィルタの床温が、前記粒子状物質を酸化するフィルタ活性温度に達したか否かを判定するフィルタ床温判定装置と、
を備え、
前記燃料添加制御装置は、前記減速時DPF再生処理の実行中において、
前記フィルタ床温判定装置を介して、前記粒子状物質除去フィルタの床温が前記粒子状物質を酸化するフィルタ活性温度に達していないと判定された場合には、前記燃料添加装置による前記排気ガス中への燃料の添加を実行するように制御し、
前記フィルタ床温判定装置を介して、前記粒子状物質除去フィルタの床温が前記粒子状物質を酸化するフィルタ活性温度に達したと判定された場合には、前記燃料添加装置による前記排気ガス中への燃料の添加を停止するように制御し、
前記内燃機関の吸気通路に配置されて、吸気の流量を調整する吸気スロットル弁を備え、
前記燃料添加制御装置は、前記減速時DPF再生処理の実行中において、
前記燃料添加装置による前記排気ガス中への燃料の添加を停止した場合には、前記吸気スロットル弁の開度を減少させて排気ガスの流量を減少させることで、前記粒子状物質除去フィルタの床温を前記フィルタ活性温度に維持するように制御し、
前記内燃機関はディーゼルエンジンであり、
前記内燃機関が前記無負荷減速運転からアイドル運転に移行したか否かを判定するアイドル運転判定装置を備え、
前記燃料添加制御装置は、前記無負荷減速運転中に前記減速時DPF再生処理を開始した後、
前記アイドル運転判定装置を介して、前記内燃機関が前記無負荷減速運転から前記アイドル運転に移行したと判定された場合には、前記無負荷減速運転中に開始した前記減速時DPF再生処理を中止することなく継続するとともに前記吸気スロットル弁の開度を減少させて排気ガスの流量を減少させることで、前記粒子状物質除去フィルタの床温を前記フィルタ活性温度に維持するように制御する、
排気ガス浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気ガス浄化装置において、
前記フィルタ床温取得装置を介して取得した前記粒子状物質除去フィルタの床温が、前記フィルタ活性温度の上限温度に達したか否かを判定する上限温度判定装置を備え、
前記燃料添加制御装置は、前記減速時DPF再生処理の実行中において、
前記上限温度判定装置を介して、前記前記粒子状物質除去フィルタの床温が、前記フィルタ活性温度の上限温度に達したと判定された場合には、前記吸気スロットル弁の開度を増加させて、前記粒子状物質除去フィルタの床温を前記上限温度よりも低い前記フィルタ活性温度に維持するように制御する、
排気ガス浄化装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の排気ガス浄化装置において、
前記酸化触媒の床温を取得する酸化触媒床温取得装置と、
前記酸化触媒床温取得装置を介して取得した前記酸化触媒の床温が、前記排気ガス中の未燃燃料を酸化する触媒活性温度よりも低い温度であるか否かを判定する触媒床温判定装置と、
を備え、
前記燃料添加制御装置は、前記減速時DPF再生処理の実行中において、
前記触媒床温判定装置を介して、前記酸化触媒の床温が、前記排気ガス中の未燃燃料を酸化する触媒活性温度よりも低い温度であると判定された場合には、前記燃料添加装置による前記排気ガス中への燃料の添加をしないように制御する、
排気ガス浄化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ(通常、Diesel Particulate Filterと呼ばれ、以下、「DPF」ともいう。)等の浄化処理部材を備えている。ここで、排気ガスを浄化処理するDPFは、排気ガス中の粒子状物質を捕集するものであることから、粒子状物質が堆積して目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちにDPF内の粒子状物質を燃焼焼却させて、DPFの捕集機能を再生させる技術に関して種々提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載されたディーゼル内燃機関の排ガス浄化装置では、内燃機関の無負荷減速運転中に、ピストンが圧縮上死点付近の位置にあるときに、燃料の主噴射をせず、代わりに、エンジンブレーキ操作部により排気弁駆動部を駆動して、排気弁を開放し、同時にポスト噴射を行うように構成されている。これにより、圧縮された高温の空気を排気路に放出して酸化触媒を250℃以上の温度に昇温することができる。また、空気に混じった燃料(HC)を酸化触媒で酸化し、DPFに捕集された粒子状物質(以下、「PM」ともいう。)を酸化して、除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-112280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたディーゼル内燃機関の排ガス浄化装置では、バルブタイミングを変更する排気弁駆動部を設ける必要があり、コスト高となる。また、圧縮上死点付近で排気弁を開放する毎に、同時にポスト噴射を行う必要があるため燃費が悪化するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、無負荷減速運転中に、DPFの捕集機能を再生できると共に、燃費を改善できる排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、内燃機関の排気ガス通路に配置されて、排気ガス中の未燃燃料を酸化する酸化触媒と、前記酸化触媒の下流側に配置されて、排気ガス中の粒子状物質を捕集する粒子状物質除去フィルタと、前記酸化触媒に流入する排気ガス中に燃料を添加する燃料添加装置と、前記粒子状物質除去フィルタに捕集された前記粒子状物質の堆積量を取得する堆積量取得装置と、前記粒子状物質除去フィルタの床温を取得するフィルタ床温取得装置と、前記堆積量取得装置を介して取得した前記粒子状物質の堆積量が所定堆積量閾値以上になった場合には、前記内燃機関が無負荷減速運転中に、前記燃料添加装置を介して前記排気ガス中に燃料を添加するように制御する燃料添加制御装置と、前記燃料添加装置を介して前記排気ガス中に燃料が添加された後、前記フィルタ床温取得装置を介して取得した前記粒子状物質除去フィルタの床温が、前記粒子状物質を酸化するフィルタ活性温度に達したか否かを判定するフィルタ床温判定装置と、を備え、前記燃料添加制御装置は、前記フィルタ床温判定装置を介して、前記粒子状物質除去フィルタの床温が前記粒子状物質を酸化するフィルタ活性温度に達したと判定された場合には、前記燃料添加装置による前記排気ガス中への燃料の添加を停止するように制御する、排気ガス浄化装置である。
【0008】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記内燃機関の吸気通路に配置されて、吸気の流量を調整する吸気スロットル弁を備え、前記燃料添加制御装置は、前記燃料添加装置による前記排気ガス中への燃料の添加を停止した場合には、前記吸気スロットル弁の開度を減少させて、前記粒子状物質除去フィルタの床温を前記フィルタ活性温度に維持するように制御する、排気ガス浄化装置である。
【0009】
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記フィルタ床温取得装置を介して取得した前記粒子状物質除去フィルタの床温が、前記フィルタ活性温度の上限温度に達したか否かを判定する上限温度判定装置を備え、前記燃料添加制御装置は、前記上限温度判定装置を介して、前記前記粒子状物質除去フィルタの床温が、前記フィルタ活性温度の上限温度に達したと判定された場合には、前記吸気スロットル弁の開度を増加させて、前記粒子状物質除去フィルタの床温を前記上限温度よりも低い前記フィルタ活性温度に維持するように制御する、排気ガス浄化装置である。
【0010】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明乃至第3の発明のいずれか1つに係る排気ガス浄化装置において、前記酸化触媒の床温を取得する酸化触媒床温取得装置と、前記酸化触媒床温取得装置を介して取得した前記酸化触媒の床温が、前記排気ガス中の未燃燃料を酸化する触媒活性温度よりも低い温度であるか否かを判定する触媒床温判定装置と、を備え、前記燃料添加制御装置は、前記触媒床温判定装置を介して、前記酸化触媒の床温が、前記排気ガス中の未燃燃料を酸化する触媒活性温度よりも低い温度であると判定された場合には、前記燃料添加装置による前記排気ガス中への燃料の添加をしないように制御する、排気ガス浄化装置である。
【0011】
次に、本発明の第5の発明は、上記第2の発明乃至第4の発明のいずれか1つに係る排気ガス浄化装置において、前記内燃機関が前記無負荷減速運転からアイドル運転に移行したか否かを判定するアイドル運転判定装置を備え、前記燃料添加制御装置は、前記アイドル運転判定装置を介して、前記内燃機関が前記無負荷減速運転から前記アイドル運転に移行したと判定された場合には、前記吸気スロットル弁の開度を減少させて、前記粒子状物質除去フィルタの床温を前記フィルタ活性温度に維持するように制御する、排気ガス浄化装置である。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、DPFに堆積した粒子状物質の堆積量が所定堆積量閾値以上になった場合には、内燃機関が無負荷減速運転中に、燃料添加装置を介して酸化触媒に流入する排気ガス中に燃料を添加して、DPFの床温を昇温させる。そして、DPFの床温が、粒子状物質を酸化するフィルタ活性温度(例えば、500℃以上である。)に達した場合には、燃料添加装置による排気ガス中への燃料の添加が停止される。
【0013】
これにより、内燃機関が無負荷減速運転中の運転条件下で、DPFの床温がフィルタ活性温度に達した場合には、DPFに堆積した粒子状物質の酸化が開始される。そのため、燃料添加装置による排気ガス中への燃料の添加を停止しても、粒子状物質の酸化反応熱量による自己発熱によって、堆積した粒子状物質の酸化焼却が継続され、DPFの捕集機能を再生することができる。また、DPFの床温がフィルタ活性温度に達した場合は、燃料添加装置による排気ガス中への燃料の添加が停止されるため、燃費を従来よりも改善することができる。
【0014】
第2の発明によれば、燃料添加装置による排気ガス中への燃料の添加を停止した場合には、吸気スロットル弁の開度が減少されるため、吸気の流量が減少して、DPFに流入する排気ガスの流量を減少させることができる。その結果、DPFの温度低下を抑制して、DPFの床温をフィルタ活性温度に維持することができ、DPFに堆積した粒子状物質の酸化焼却を継続させることができる。
【0015】
第3の発明によれば、DPFの床温がフィルタ活性温度の上限温度(例えば、700℃)に達した場合には、吸気スロットル弁の開度を増加させて、DPFの床温を上限温度よりも低いフィルタ活性温度に維持するように制御される。これにより、DPFの床温を上限温度よりも低いフィルタ活性温度に維持することができ、DPFの劣化を抑制し、長寿命化を図ることができる。
【0016】
第4の発明によれば、酸化触媒の床温が、排気ガス中の未燃燃料を酸化する触媒活性温度よりも低い温度であると判定された場合には、燃料添加装置による排気ガス中への燃料の添加が行われない。これにより、酸化触媒で酸化されない未燃燃料(特にHC成分)を含む排気ガスを大気中に排出することを防止することができる。
【0017】
第5の発明によれば、内燃機関が無負荷減速運転からアイドル運転に移行した場合には、吸気スロットル弁の開度を減少させて、DPFの床温が、フィルタ活性温度に維持される。これにより、内燃機関の無負荷減速運転の運転下で開始された、DPFに堆積された粒子状物質の酸化焼却を、アイドル運転に移行しても継続させることができ、DPFの捕集機能を再生することができる。また、DPFの床温がフィルタ活性温度に達した場合は、アイドル運転中も、燃料添加装置による排気ガス中への燃料の添加が停止されるため、燃費を従来よりも改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る排気ガス浄化装置を適用した内燃機関の構成の一例を説明する図である。
図2】本実施形態に係る制御装置が実行する、DPFを再生するフィルタ再生処理の一例を示すメインフローチャートである。
図3図2に示す「PM堆積状態取得処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
図4図2に示す「減速時DPF再生処理」のサブ処理を示す第1サブフローチャートである。
図5図2に示す「減速時DPF再生処理」のサブ処理を示す第2サブフローチャートである。
図6図4に示す「燃料添加量取得処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
図7図4に示す「吸気スロットル弁調整処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
図8】酸化触媒の浄化率と床温との関係の一例を示す図である。
図9】酸化触媒(DOC)の燃料添加量を求めるマップの一例を示す図である。
図10】DPFの床温とPM燃焼速度との関係を示すマップの一例を示す図である。
図11】内燃機関の運転状態とDPFの再生状態の一例を示すタイミングチャートである。
図12】他の第1実施形態に係る「減速時DPF再生処理」のサブ処理の一部を示す第3サブフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る排気ガス浄化装置を具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、排気ガス浄化装置1の概略構成について図1に基づいて説明する。図1に示すように、排気ガス浄化装置1は、内燃機関10と、制御装置(ECU:Electronic Control Unit)50と、吸気流量検出装置31と、吸気スロットル弁32と、回転検出装置34と、車速検出装置37と、燃料添加弁28と、排気ガス浄化ユニット41等から構成されている。
【0020】
内燃機関10は、例えば、ディーゼルエンジンである。尚、以下の説明において、DPF43は、粒子状物質除去フィルタ(Diesel Particulate Filter)に相当している。また、DPF43よりも下流側の排気通路に配置されて窒素酸化物(NOx)を無害化する選択還元触媒等については、記載を省略している。
【0021】
図1に示すように、内燃機関10の排気通路(排気ガス通路)12には、排気ガス浄化ユニット41が設けられている。排気ガス浄化ユニット41の内部には、上流側から、酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)42と、DPF43が設けられている。排気ガス浄化ユニット41は、排気ガス通路を構成し、上流側から下流側に排気ガスが通過する間に、排気ガスに含まれる有害物質を除去するものである。ここで、内燃機関10は、高効率で耐久性にも優れているが、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等の有害物質を、排気ガスと一緒に排出してしまうものである。
【0022】
酸化触媒(DOC)42は、セラミック製の円柱状等に形成されたセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に白金(Pt)等の貴金属が担持されている。そして、酸化触媒(DOC)42は、触媒活性温度(例えば、約200℃~250℃以上の温度)下で多数の貫通孔に排気ガスを通すことにより、排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去すると共に、排気ガス中の未燃燃料を酸化して、排気ガス温度を昇温する。
【0023】
DPF43は、セラミックス材料等からなる多孔質な部材によって円柱状等に形成され、軸方向に多数の小孔が設けられたハニカム構造のセル状筒体をなし、各小孔は、隣同士で交互に異なる端部が目封じ部材によって閉塞されている。そして、DPF43は、上流側から各小孔に流入する排気ガスを多孔質材料に通すことで粒子状物質(PM)を捕集し、排気ガスのみを隣の小孔を通じて下流側へと流出させる。
【0024】
尚、DPF43は、各小孔の内面に白金(Pt)等の貴金属が担持されていてもよい。そして、後述のDPF再生処理(フィルタ再生処理)の際には、この貴金属が排気ガス中の未燃燃料を酸化して排気ガス温度を昇温するようにしてもよい。また、DPF43に担持された貴金属の量は、酸化触媒(DOC)42に担持された貴金属の量よりも少なくなるように設定してもよい。
【0025】
酸化触媒(DOC)42の上流側(排気ガス浄化ユニット41の上流側)には、燃料添加弁28と、排気温度検出装置36A(例えば、排気温度センサ)(上流側排気温度検出装置)と、が設けられている。燃料添加弁28は、微粒子が堆積したDPF43を再生するフィルタ再生処理(図2参照)を実行する際(粒子状物質(PM)を燃焼焼却する際)に、酸化触媒(DOC)42内で排気ガスと反応させて排気ガスの温度を上昇させるための燃料を噴射する。燃料添加弁28は、制御装置50からの制御信号にて駆動される。
【0026】
また、酸化触媒(DOC)42の下流側、且つ、DPF43の上流側には、排気温度検出装置36B(例えば、排気温度センサ)(中間排気温度検出装置)が設けられている。DPF43の下流側には、排気温度検出装置36C(例えば、排気温度センサ)(下流側排気温度検出装置)が設けられている。また、排気ガス浄化ユニット41内における、酸化触媒(DOC)42の下流側、且つ、DPF43の上流側の排気管内圧力と、DPF43の下流側の排気管内圧力と、の差圧(圧力差)を検出する差圧センサ35が設けられている。
【0027】
制御装置(ECU:Electronic Control Unit)50は、CPU、RAM、ROM、タイマ、EEPROM、不図示のバックアップRAM等を備えた公知のものである。CPUは、ROMやEEPROMに記憶された各種プログラムやマップに基づいて、種々の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各検出装置から入力されたデータ等を一時的に記憶し、EEPROMは、例えば、内燃機関10の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
【0028】
また、EEPROMには、燃料添加量マップ記憶部501と、PM燃焼速度マップ記憶部502と、が設けられている。燃料添加量マップ記憶部501には、後述のように、酸化触媒(DOC)42の燃料添加量を決定する際に使用する燃料添加量マップM2(図9参照)が格納されている。また、PM燃焼速度マップ記憶部502には、後述のように、DPF43の床温とPM燃焼速度とを対応づけて記憶するPM燃焼速度マップM3(図10参照)が格納されている。
【0029】
また、排気温度検出装置36A(上流側排気温度検出装置)は、酸化触媒(DOC)42の上流側の排気管内の排気ガスの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。また、排気温度検出装置36B(中間排気温度検出装置)は、酸化触媒(DOC)42の下流側、且つ、DPF43の上流側を流れる排気ガスの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。また、排気温度検出装置36C(下流側排気温度検出装置)は、DPF43の下流側の排気ガスの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。差圧センサ35は、酸化触媒(DOC)42の下流側、且つ、DPF43の上流側の排気圧力(排気管内圧力に相当)と、DPF43の下流側の排気管内圧力と、の差圧に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0030】
内燃機関10の吸気通路11の流入側には、エアクリーナ30で濾過された吸気流量を検出する吸気流量検出装置31(例えば、エアフローメータ)が設けられている。吸気流量検出装置31は、内燃機関10が吸入した空気の流量に応じた検出信号を制御装置50に出力する。エアクリーナ30よりも下流側の吸気通路11には、吸気スロットル弁32が配置されている。吸気スロットル弁32は、制御装置50からの制御信号に基づいて、吸気通路11の開度を調整して、吸気流量を調整可能である。
【0031】
また、アクセル開度検出装置33(例えば、アクセル開度センサ)は、運転者が操作するアクセルの開度(すなわち、運転者の要求負荷)に応じた検出信号を制御装置50に出力する。内燃機関10に設けられた回転検出装置34(例えば、回転センサ)は、例えば、内燃機関10のクランクシャフトの回転数(すなわち、エンジン回転数)に応じた検出信号を制御装置50に出力する。また、車速検出装置37(例えば、車速センサ)は、車両の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車両の車速に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0032】
制御装置50には、吸気通路11に設けられた吸気流量検出装置31(例えば、エアフローメータ)の検出信号、アクセル開度検出装置33の検出信号、回転検出装置34の検出信号、車速検出装置37の検出信号のそれぞれが入力されている。また、制御装置50には、上述した各排気温度検出装置36A、36B、36Cの検出信号、差圧センサ35の検出信号が入力されている。
【0033】
そして、制御装置50は、これらの入力された検出信号に基づいて内燃機関10の運転状態を検出することができる。また、制御装置50は、検出した内燃機関10の運転状態や、アクセル開度検出装置33からの検出信号に基づいた運転者からの要求に応じて、各インジェクタ14A~14Dから内燃機関10のシリンダ内に噴射する燃料量や、燃料添加弁28から噴射する燃料量を制御する制御信号を出力する。
【0034】
また、制御装置50は、各インジェクタ14A~14Dから噴射した毎秒当たりの燃料消費量(g/s)を所定時間(例えば、約10msec~100msec)毎に算出して、RAMに時系列的に記憶する。また、制御装置50は、吸気流量検出装置31から入力された検出信号から吸入空気流量GAを所定時間(例えば、約10msec~100msec)毎に算出して、RAMに時系列的に記憶する。また、制御装置50は、差圧センサ35から入力された検出信号から実際の差圧ΔPを所定時間(例えば、約10msec~100msec)毎に算出して、RAMに時系列的に記憶する。
【0035】
燃料添加弁28から排気ガス中に噴射された燃料は、酸化触媒(DOC)42の床温が触媒活性温度(例えば、約200℃~250℃)になると、酸化触媒(DOC)42に担持された貴金属によって排気ガス中に残った酸素との酸化反応が生じて燃焼し、その発熱により排気ガス温度が上昇する。そして、この高温になった排気ガスによりDPF43の床温が上昇して、フィルタ活性温度(例えば、500℃以上)になると、DPF43内に堆積された粒子状物質(PM)の酸化(燃焼)が開始される。
【0036】
そして、後述のように、制御装置50は、燃料添加弁28からの燃料添加を停止した後、吸気スロットル弁32の開度を減少させて(例えば、吸気スロットル弁32を閉じて)、DPF43の床温をフィルタ活性温度に維持する。これにより、制御装置50は、DPF43内に堆積した粒子状物質(PM)を酸化(燃焼)させて除去し、排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集するというDPF43の捕集機能を回復(再生)させることができる(いわゆる、フィルタ再生処理である。)。
【0037】
[フィルタ再生処理]
次に、上記のように構成された排気ガス浄化装置1において、制御装置50によるDPF43に捕集された粒子状物質(PM)を酸化(燃焼)させて除去するフィルタ再生処理の一例について図2乃至図11に基づいて説明する。尚、制御装置50は、内燃機関10の運転中に、所定時間間隔(例えば、数10msec~数100msec間隔)にて、図2のフローチャートに示される処理手順を繰り返し実行する。
【0038】
図2に示すように、先ず、ステップS11において、制御装置50は、「PM堆積状態取得処理」のサブ処理を実行した後、ステップS12の処理に進む。「PM堆積状態取得処理」は、所定時間間隔(例えば、数10msec~数100msec間隔)の間にDPF43に捕集される、即ち、DPF43に堆積する粒子状物質(PM)の堆積量(PM堆積量)を算出して、粒子状物質(PM)の堆積状態を取得する処理である。
【0039】
ステップS12において、制御装置50は、「減速時DPF再生処理」のサブ処理を実行した後、当該処理を終了する。「減速時DPF再生処理」は、内燃機関10の無負荷減速運転中において、所定時間間隔(例えば、数10msec~数100msec間隔)の間に、DPF43に捕集された粒子状物質(PM)を酸化(燃焼)させて除去する処理である。
【0040】
[PM堆積状態取得処理]
ここで、「PM堆積状態取得処理」のサブ処理の詳細について図3に基づいて説明する。図3に示すように、先ず、ステップS111において、制御装置50は、減速時DPF再生フラグをEEPROMから読み出し、「OFF」に設定されているか否かを判定する。減速時DPF再生フラグは、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)が再生開始閾値C1(堆積量閾値)(例えば、約50g)に達し、内燃機関10の無負荷減速運転中において、DPF43を再生して捕集機能を回復させる必要がある旨を表している。尚、減速時DPF再生フラグは、車両の工場出荷時に、「OFF」に設定されてEEPROMに記憶されている。
【0041】
そして、減速時DPF再生フラグが「ON」に設定されていると判定された場合には(S111:NO)、制御装置50は、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、ステップS12のサブ処理に進む。一方、減速時DPF再生フラグが「OFF」に設定されていると判定された場合には(S111:YES)、制御装置50は、ステップS112の処理に進む。
【0042】
ステップS112において、制御装置50は、アクセル開度検出装置33、回転検出装置34等からの検出信号から、内燃機関10のエンジン回転数やエンジン負荷(燃料噴射量)等の運転状態を取得してRAMに記憶した後、ステップS113の処理に進む。ステップS113において、制御装置50は、内燃機関10の運転状態と粒子状物質(PM)の単位時間当たり堆積量との関係を示した不図示のマップに基づいて、所定時間間隔(例えば、数10msec~数100msec間隔)における、DPF43への粒子状物質(PM)の堆積量を算出して、ステップS114の処理に進む。
【0043】
ステップS114において、制御装置50は、累積PM堆積量PMSをEEPROMから読み出し、この累積PM堆積量PMSに上記ステップS113で算出した粒子状物質(PM)の堆積量(以下、「PM堆積量」ともいう。)を加算して、再度EEPROMに記憶した後、ステップS115の処理に進む。
【0044】
ステップS115において、制御装置50は、差圧センサ35から入力された検出信号に基づいてDPF43の上流側排気圧力と下流側排気圧力との差圧ΔPを算出した後、ステップS116の処理に進む。ステップS116において、制御装置50は、差圧ΔPとDPF43に堆積しているPM堆積量(PM堆積量PMD)との関係を示した不図示のマップに基づいて、DPF43に捕集されたPM堆積量PMDを算出してRAMに記憶した後、ステップS117の処理に進む。
【0045】
ステップS117において、制御装置50は、累積PM堆積量PMSをEEPROMから読み出すと共に、PM堆積量PMDをRAMから読み出す。また、制御装置50は、DPF43に堆積したPM堆積量の上限値である再生開始閾値C1(堆積量閾値)をEEPROMから読み出す。続いて、制御装置50は、累積PM堆積量PMS又はPM堆積量PMDのうちの一方が再生開始閾値C1以上になったか否か、つまり、DPF43のPM堆積量が上限値に達したか否かを判定する。
【0046】
そして、累積PM堆積量PMS及びPM堆積量PMDが再生開始閾値C1未満であると判定した場合、つまり、DPF43のPM堆積量が上限値に達していないと判定した場合には(S117:NO)、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、ステップS12のサブ処理に進む。
【0047】
一方、累積PM堆積量PMS又はPM堆積量PMDのうちの一方が再生開始閾値C1以上であると判定した場合、つまり、DPF43のPM堆積量が上限値に達したと判定した場合には(S117:YES)、制御装置50は、ステップS118の処理に進む。ステップS118において、制御装置50は、累積PM堆積量PMSとPM堆積量PMDのうち、大きい方をDPF43に堆積したPM堆積量P1としてEEPROMに記憶した後、ステップS119の処理に進む。尚、制御装置50は、累積PM堆積量PMSとPM堆積量PMDとの平均値をDPF43に堆積したPM堆積量P1としてEEPROMに記憶してもよい。
【0048】
ステップS119において、制御装置50は、減速時DPF再生フラグをEEPROMから読み出し、「ON」に設定して再度EEPROMに記憶した後、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、ステップS12のサブ処理に進む。
【0049】
尚、制御装置50は、上記ステップS112~ステップS114と、上記ステップS115~ステップS116とのうち、一方の処理だけを実行するようにしてもよい。つまり、累積PM堆積量PMS又はPM堆積量PMDのうちの一方のみを取得して、ステップS117において、再生開始閾値C1以上になったか否か、つまり、DPF43のPM堆積量が上限値に達したか否かを判定するようにしてもよい。この場合には、上記ステップS118において、取得した累積PM堆積量PMS又はPM堆積量PMDをPM堆積量P1としてEEPROMに記憶するようにしてもよい。これにより、制御装置50の処理速度を向上させることができる。
【0050】
[減速時DPF再生処理]
次に、「減速時DPF再生処理」のサブ処理の詳細について図4乃至図10に基づいて説明する。図4及び図5に示すように、先ず、ステップS211において、制御装置50は、減速時DPF再生フラグをEEPROMから読み出し、「ON」に設定されているか否かを判定する。そして、減速時DPF再生フラグが「OFF」に設定されていると判定された場合には(S211:NO)、制御装置50は、DPF43のPM堆積量が上限値に達していないと判定して、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、フィルタ再生処理を終了する。
【0051】
一方、減速時DPF再生フラグが「ON」に設定されていると判定された場合には(S211:YES)、制御装置50は、ステップS212の処理に進む。ステップS212において、制御装置50は、内燃機関10が無負荷減速運転中であるか否かを判定する。
【0052】
具体的には、制御装置50は、アクセル開度検出装置33から入力された検出信号に基づいてアクセル開度を検出して、RAMに記憶する。また、制御装置50は、車速検出装置37から入力された検出信号に基づいて車速を検出して、RAMに記憶する。続いて、制御装置50は、アクセル開度と車速をRAMから読み出し、アクセル開度が「0」であり、つまり、運転者がアクセルペダルを踏んでおらず、且つ、車速が車速閾値V1(例えば、2km/h)以上であるか否かを判定する。尚、車速閾値V1(例えば、2km/h)は、予めEEPROMに記憶されている。
【0053】
そして、内燃機関10が無負荷減速運転中でないと判定された場合には(S212:NO)、制御装置50は、減速フラグをRAMから読み出し、「OFF」に設定して再度RAMに記憶した後、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、フィルタ再生処理を終了する。具体的には、アクセル開度が「0」でない、つまり、運転者がアクセルペダルを踏んでいる場合は、制御装置50は、内燃機関10は通常運転中であると判定する(S212:NO)。また、アクセル開度が「0」で、且つ、車速が車速閾値V1(例えば、2km/h)より遅い場合は、制御装置50は、既に停車寸前であり、内燃機関10の無負荷減速運転は終了したと判定する(S212:NO)。
【0054】
一方、内燃機関10が無負荷減速運転中であると判定された場合には(S212:YES)、制御装置50は、減速フラグをRAMから読み出し、「ON」に設定して再度RAMに記憶した後、ステップS213の処理に進む。具体的には、アクセル開度が「0」であり、且つ、車速が車速閾値V1(例えば、2km/h)以上である場合には、制御装置50は、内燃機関10が無負荷減速運転中であると判定する(S212:YES)。尚、減速フラグは、制御装置50の起動時に、「OFF」に設定されてRAMに記憶される。
【0055】
ステップS213において、制御装置50は、各排気温度検出装置36B、36Cからの検出信号に基づいて、DPF43の上流側の排気ガス温度T2と下流側の排気ガス温度T3とを検出して、RAMに記憶する。そして、制御装置50は、各排気ガス温度T2、T3とDPF43の床温とを対応づけた不図示の温度マップMP1に基づいてDPF43の床温を算出して、RAMに記憶する。続いて、制御装置50は、DPF43の床温が、粒子状物質(PM)を酸化(燃焼)するフィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)であるか否か、つまり、フィルタ活性温度に昇温されているか否かを判定する。
【0056】
そして、DPF43の床温が、粒子状物質(PM)を酸化(燃焼)するフィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)でない、つまり、フィルタ活性温度よりも低い温度であると判定した場合には(S213:NO)、制御装置50は、ステップS214の処理に進む。尚、不図示の温度マップMP1は、CAE(Computer Aided Engineering)解析、又は、実験により取得されて、予めEEPROMに記憶されている。また、フィルタ活性温度は、実験により取得されて、予めEEPROMに記憶されている。
【0057】
ステップS214において、制御装置50は、各排気温度検出装置36A、36Bからの検出信号に基づいて、酸化触媒42の上流側の排気ガス温度T1と下流側の排気ガス温度T2とを検出して、RAMに記憶する。そして、制御装置50は、各排気ガス温度T1、T2と酸化触媒42の床温とを対応づけた不図示の温度マップMP2に基づいて酸化触媒42の床温を算出して、RAMに記憶する。
【0058】
続いて、制御装置50は、酸化触媒42の床温が、排気ガス中の未燃燃料を酸化(燃焼)する触媒活性温度(例えば、150℃~180℃以上の温度)であるか否かを判定する。尚、不図示の温度マップMP2は、CAE(Computer Aided Engineering)解析、又は、実験により取得されて、予めEEPROMに記憶されている。また、触媒活性温度は、実験により取得されて、予めEEPROMに記憶されている。
【0059】
そして、酸化触媒42の床温が、排気ガス中の未燃燃料を酸化(燃焼)する触媒活性温度(例えば、150℃~180℃以上の温度)でない、つまり、触媒活性温度よりも低い温度であると判定した場合には(S214:NO)、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、フィルタ再生処理を終了する。これにより、酸化触媒42の床温が、触媒活性温度よりも低い温度である場合には、燃料添加弁28による排気ガス中への燃料の添加が行われない。これにより、酸化触媒42で酸化されない未燃燃料(特にHC成分)を含む排気ガスを大気中に排出することを防止することができる。
【0060】
一方、酸化触媒42の床温が、排気ガス中の未燃燃料を酸化(燃焼)する触媒活性温度(例えば、150℃~180℃以上の温度)であると判定された場合には(S214:YES)、制御装置50は、ステップS215の処理に進む。ステップS215において、制御装置50は、「燃料添加量取得処理」のサブ処理(図6参照)を実行した後、ステップS216の処理に進む。「燃料添加量取得処理」のサブ処理は、燃料添加弁28から排気ガス中に添加(供給)する燃料の添加量を取得する処理である。
【0061】
[燃料添加量取得処理]
ここで、「燃料添加量取得処理」のサブ処理について図6図8及び図9に基づいて説明する。図6に示すように、先ず、ステップS311において、制御装置50は、上記ステップS214で算出した酸化触媒42の床温をRAMから読み出す。そして、制御装置50は、図8に示す酸化触媒(DOC)42の床温と浄化率(炭化水素(HC)又は一酸化炭素(CO)の酸化される割合)との関係を対応づけた実線61で示す2次元マップM1を用いて、酸化触媒42の床温に対応する浄化率[%]を取得して、RAMに記憶した後、ステップS312の処理に進む。
【0062】
例えば、図8に示すように、酸化触媒42の床温TC1(例えば、150℃~180℃)に対応する浄化率は、約10[%]である。また、酸化触媒42の床温TC2(例えば、200℃~250℃)に対応する浄化率は、約90[%]である。
【0063】
ステップS312において、制御装置50は、吸気流量検出装置31から入力された検出信号から吸入空気流量GA[g/sec]を算出し、排気ガス流量[g/sec]としてRAMに記憶した後、ステップS313の処理に進む。尚、制御装置50は、現在から所定時間(例えば、1秒)前までに各インジェクタ14A~14Dに指示した燃料噴射量を取得して、吸入空気流量GAとの合計値を排気ガス流量[g/sec]としてRAMに記憶してもよい。
【0064】
ステップS313において、制御装置50は、上記ステップS311で取得した酸化触媒42の今回の浄化率[%]と、上記ステップS312で取得した今回の排気ガス量[g/sec]と、をRAMから読み出す。そして、制御装置50は、図9に示す酸化触媒42の燃料添加量マップM2を用いて、酸化触媒42の今回の浄化率[%]と、今回の排気ガス流量[g/sec]と、に対応する燃料添加量[mm3/sec]を算出して、RAMに記憶した後、当該サブ処理を終了して、「減速時DPF再生処理」のサブ処理に戻り、ステップS216の処理に進む。
【0065】
図4に示すように、ステップS216において、制御装置50は、上記ステップS313で算出した燃料添加量[mm3/sec]をRAMから読み出す。そして、制御装置50は、この燃料添加量[mm3/sec]に図2に示す処理を起動する間隔の時間(例えば10[msec]間隔で起動する場合は10[msec]である)を乗算して算出した燃料添加量[mm3]の燃料を燃料添加弁28を介して排気ガス中に添加(噴射)した後、ステップS217の処理に進む。
【0066】
ステップS217において、制御装置50は、燃料添加弁28を介した排気ガス中への燃料の添加(噴射)を実施中である旨を表す排気燃料添加フラグをEEPROMから読み出し、排気燃料添加フラグを「ON」に設定して、再度EEPROMに記憶した後、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、フィルタ再生処理を終了する。尚、排気燃料添加フラグは、車両の工場出荷時に、「OFF」に設定されてEEPROMに記憶されている。
【0067】
一方、上記ステップS213でDPF43の床温が、粒子状物質(PM)を酸化(燃焼)するフィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)である、つまり、フィルタ活性温度に昇温されていると判定された場合には(S213:YES)、制御装置50は、ステップS218の処理に進む。ステップS218において、制御装置50は、排気燃料添加フラグをEEPROMから読み出し、この排気燃料添加フラグが「ON」に設定されているか否か、つまり、燃料添加弁28を介して排気ガス中に燃料の添加(噴射)を実施中であるか否かを判定する。
【0068】
そして、排気燃料添加フラグが「OFF」に設定されていると判定された場合には(S218:NO)、制御装置50は、燃料添加弁28を介した排気ガス中への燃料の添加(噴射)を停止していると判定して、後述のステップS221の処理に進む。一方、排気燃料添加フラグが「ON」に設定されていると判定された場合には(S218:YES)、制御装置50は、燃料添加弁28を介した排気ガス中への燃料の添加(噴射)を実施中であると判定して、ステップS219の処理に進む。
【0069】
ステップS219において、制御装置50は、燃料添加弁28を介した排気ガス中への燃料の添加(噴射)を停止した後、ステップS220の処理に進む。ステップS220において、制御装置50は、排気燃料添加フラグをEEPROMから読み出し、「OFF」に設定して、再度EEPROMに記憶した後、ステップS221の処理に進む。ステップS221において、制御装置50は、「吸気スロットル弁調整処理」のサブ処理(図7参照)を実行した後、ステップS222の処理に進む。「吸気スロットル弁調整処理」のサブ処理は、PDF43の床温をフィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)に維持するように、吸気スロットル弁32の開度を設定する処理である。
【0070】
[吸気スロットル弁調整処理]
ここで、「吸気スロットル弁調整処理」のサブ処理について図7に基づいて説明する。図7に示すように、先ず、ステップS411において、制御装置50は、上記ステップS213で取得したDPF43の床温をRAMから読み出し、DPF43の床温が、フィル活性温度の上限温度(例えば、695℃~700℃)に達したか否かを判定する。尚、フィル活性温度の上限温度(例えば、695℃~700℃)は、実験により取得されて、予めEEPROMに記憶されている。
【0071】
そして、DPF43の床温が、フィルタ活性温度の上限温度(例えば、695℃~700℃)に達していないと判定された場合には(S411:NO)、制御装置50は、ステップS412の処理に進む。ステップS412において、制御装置50は、吸気スロットル弁32の開度を減少させて、例えば、吸気スロットル弁32を閉じて、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)の酸化(燃焼)を維持するために必要な吸気空気量のみ流れるように設定した後、当該サブ処理を終了して、「減速時DPF再生処理」のサブ処理に戻り、ステップS222の処理に進む。
【0072】
これにより、制御装置50は、DPF43の床温の低下を抑制しつつ、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)の酸化(燃焼)による自己発熱により、DPF43の床温をフィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)に維持するように制御することができる。その結果、DPF43の温度低下を抑制して、DPF43の床温をフィルタ活性温度に維持することができ、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)の酸化焼却を継続させることができる。
【0073】
一方、DPF43の床温が、フィルタ活性温度の上限温度(例えば、695℃~700℃)に達したと判定された場合には(S411:YES)、制御装置50は、ステップS413の処理に進む。ステップS413において、制御装置50は、吸気スロットル弁32の開度を増加させて、吸気流量を増加させた後、当該サブ処理を終了して、「減速時DPF再生処理」のサブ処理に戻り、ステップS222の処理に進む。
【0074】
これにより、制御装置50は、DPF43を流れる排気ガス流量を増加させて、DPF43の床温をフィルタ活性温度の上限温度(例えば、695℃~700℃)よりも低いフィルタ活性温度に維持することができる。その結果、制御装置50は、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)の酸化焼却を継続させることができると共に、DPF43の劣化を抑制し、長寿命化を図ることができる。
【0075】
図4に示すように、ステップS222において、制御装置50は、各排気温度検出装置36B、36Cからの検出信号に基づいて、DPF43の上流側の排気ガス温度T2と下流側の排気ガス温度T3とを検出して、RAMに記憶する。そして、制御装置50は、各排気ガス温度T2、T3とDPF43の床温とを対応づけた不図示の温度マップMP1に基づいてDPF43の床温TP1を算出して、RAMに記憶した後、ステップS223の処理に進む。
【0076】
ステップS223において、制御装置50は、図10に示すDPF43の床温と粒子状物質(PM)の燃焼速度(以下、「PM燃焼速度」という。)との関係を対応づけたPM燃焼速度マップM3を用いて、上記ステップS222で算出したDPF43の床温TP1に対応するPM燃焼速度を算出して、RAMに記憶した後、ステップS224の処理に進む。尚、PM燃焼速度マップM3は、CAE(Computer Aided Engineering)解析、又は、実験により予め取得され、マップや数式によりEEPROMに予め記憶されている。
【0077】
ステップS224において、PM燃焼速度は、DPF43内において、単位体積当たりの、且つ、単位時間当たりの粒子状物質(PM)の燃焼量であることから、制御装置50は、DPF43の床温TP1に対応するPM燃焼速度をRAMから読み出すと共に、EEPROMからDPF43の体積を読み出す。そして、制御装置50は、PM燃焼速度にDPF43の体積を乗算した値に、図2に示す処理を起動する間隔の時間(例えば10[msec]間隔で起動する場合は10[msec]である)を乗算して、DPF43内で燃焼される粒子状物質(PM)の燃焼量を算出して、RAMに記憶する。
【0078】
続いて、制御装置50は、DPF43に堆積したPM堆積量P1をEEPROMから読み出す。そして、制御装置50は、このPM堆積量P1からDPF43内で燃焼される粒子状物質(PM)の燃焼量を減算して、再度EEPROMに記憶した後、ステップS225の処理に進む。
【0079】
図5に示すように、ステップS225において、制御装置50は、DPF43に堆積したPM堆積量P1をEEPROMから読み出し、このPM堆積量P1が「再生終了閾値C2」以下になったか否かを判定する。つまり、制御装置50は、DPF43内の粒子状物質(PM)のほぼ全量が酸化焼却(燃焼焼却)されたか否かを判定する。尚、再生終了閾値C2は、CAE(Computer Aided Engineering)解析、又は、実験により取得されて、予めEEPROMに記憶されている。
【0080】
そして、PM堆積量P1が再生終了閾値C2よりも大きいと判定された場合には(S225:NO)、制御装置50は、DPF43内の粒子状物質(PM)のほぼ全量が酸化焼却(燃焼焼却)されていないと判定して、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、フィルタ再生処理を終了する。
【0081】
一方、PM堆積量P1が再生終了閾値C2以下であると判定された場合には(S225:YES)、制御装置50は、DPF43内の粒子状物質(PM)のほぼ全量が酸化焼却(燃焼焼却)されたと判定して、ステップS226の処理に進む。ステップS226において、制御装置50は、吸気スロットル弁32を開いて吸気流量を増加させ、DPF43の床温をフィルタ活性温度よりも低くなるように設定した後、ステップS227の処理に進む。
【0082】
つまり、制御装置50は、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)の酸化(燃焼)が停止するように設定した後、ステップS227の処理に進む。ステップS227において、制御装置50は、減速時DPF再生フラグをEEPROMから読み出し、この減速時DPF再生フラグを「OFF」に設定して、再度EEPROMに記憶した後、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、フィルタ再生処理を終了する。
【0083】
ここで、DPF43に捕集された粒子状物質(PM)を酸化(燃焼)させて除去するフィルタ再生処理(図2参照)が制御装置50によって実行された際の、内燃機関10の運転状態とDPF43の再生状態の一例を図11に基づいて説明する。図11に示すように、時間TM1において、DPF43に堆積したPM堆積量が再生開始閾値C1以上になった場合には、減速時DPF再生フラグが「ON」に設定される(S117~S119)。
【0084】
そして、時間TM2において、アクセル開度が「0」になって、燃料噴射量が「0」になり、且つ、車速が車速閾値V1(例えば、2km/h)以上であるため、無負荷減速運転中となり、減速フラグが「ON」に設定される(S212:YES)。また、DPF43の床温がフィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)よりも低い温度で、酸化触媒の床温が触媒活性温度(例えば、150℃~180℃以上の温度)であるため、制御装置50は、燃料を燃料添加弁28を介して排気ガス中に添加(噴射)し、排気燃料添加フラグを「ON」に設定して、EEPROMに記憶する(S213:NO~S217)。
【0085】
その後、時間TM3において、制御装置50は、DPF43の床温がフィルタ活性温度(例えば、500℃)に達したため、燃料添加弁28を介した排気ガス中への燃料の添加(噴射)を停止した後、排気燃料添加フラグを「OFF」に設定して、EEPROMに記憶する(S213:YES~S220)。また、制御装置50は、吸気スロットル弁32の開度を閉じるため、DPF43に流入する排気ガス流量がほぼ「0」になり、粒子状物質(PM)の酸化(燃焼)が継続されて、DPF43の床温が、自己発熱によりフィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)に維持される(S221)。
【0086】
そして、時間TM4において、DPF43に堆積したPM堆積量P1が「再生終了閾値C2」以下になり、つまり、DPF43内の粒子状物質(PM)のほぼ全量が酸化焼却(燃焼焼却)される。その結果、制御装置50は、吸気スロットル弁32を開いて吸気流量を増加させて、DPF43の床温をフィルタ活性温度よりも低くなるように設定した後、減速時DPF再生フラグを「OFF」に設定してEEPROMに記憶する(S225:YES~S227)。その後、車速がほぼ「0」になると、制御装置50は、減速フラグを「OFF」に設定して、RAMに記憶する。
【0087】
ここで、燃料添加弁28は、燃料添加装置の一例として機能する。制御装置50は、堆積量取得装置、燃料添加制御装置、フィルタ床温判定装置、上限温度判定装置、触媒床温判定装置、アイドル運転判定装置の一例として機能する。制御装置50と、各排気温度検出装置36B、36Cとは、フィルタ床温取得装置の一例を構成する。制御装置50と、各排気温度検出装置36A、36Bとは、酸化触媒床温取得装置の一例を構成する。
【0088】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る排気ガス浄化装置1では、制御装置50は、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)の堆積量が再生開始閾値C1(堆積量閾値)以上になった場合には、内燃機関10が無負荷減速運転中に、燃料添加弁28を介して酸化触媒42に流入する排気ガス中に燃料を添加して、DPF43の床温を昇温させる。そして、DPF43の床温が、粒子状物質(PM)を酸化(燃焼)するフィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)に達した場合には、燃料添加弁28による排気ガス中への燃料の添加が停止される。
【0089】
これにより、内燃機関10が無負荷減速運転中の運転条件下で、DPF43の床温がフィルタ活性温度に達した場合には、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)の酸化が開始される。そのため、燃料添加弁28による排気ガス中への燃料の添加を停止しても、粒子状物質(PM)の酸化反応熱量による自己発熱によって、堆積した粒子状物質(PM)の酸化焼却(燃焼焼却)が継続され、DPF43の捕集機能を再生することができる。また、DPF43の床温がフィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)に達した場合は、燃料添加弁28による排気ガス中への燃料の添加が停止されるため、燃費を従来よりも改善することができる。
【0090】
また、燃料添加弁28による排気ガス中への燃料の添加を停止した場合には、吸気スロットル弁32の開度が減少される(例えば、吸気スロットル弁32が閉じられる)ため、吸気の流量が減少して、DPF43に流入する排気ガスの流量を減少させることができる。その結果、制御装置50は、DPF43の温度低下を抑制して、DPF43の床温をフィルタ活性温度に維持することができ、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)の酸化焼却(燃焼焼却)を継続させることができる。
【0091】
また、DPF43の床温がフィルタ活性温度の上限温度(例えば、700℃)に達した場合には、吸気スロットル弁32の開度を増加させて、DPF43の床温を上限温度よりも低いフィルタ活性温度(例えば、500℃~695℃)に維持するように制御される。これにより、制御装置50は、DPF43に堆積した粒子状物質(PM)の酸化焼却を継続させることができると共に、DPF43の床温を上限温度よりも低いフィルタ活性温度に維持することができ、DPF43の劣化を抑制し、長寿命化を図ることができる。
【0092】
また、制御装置50は、酸化触媒42の床温が、排気ガス中の未燃燃料を酸化する触媒活性温度(例えば、150℃~180℃)よりも低い温度であると判定された場合には、燃料添加弁28による排気ガス中への燃料の添加を行わない。これにより、酸化触媒42で酸化(燃焼)されない未燃燃料(特にHC成分)を含む排気ガスを大気中に排出することを防止することができる。
【0093】
尚、前記実施形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
【0094】
本発明の排気ガス浄化装置は、前記実施形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、改良、追加、削除が可能である。尚、以下の説明において上記図1図11の前記実施形態に係る内燃機関10等と同一符号は、前記実施形態に係る内燃機関10等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0095】
[他の第1実施形態]
(A)例えば、図12に示すように、他の第1実施形態に係る制御装置50は、「減速時DPF再生処理」のサブ処理のステップS212において、内燃機関10が無負荷減速運転中であると判定された場合には(S212:YES)、制御装置50は、ステップS213の処理に進む。一方、内燃機関10が無負荷減速運転中でないと判定された場合には(S212:NO)、制御装置50は、ステップS311の処理に進むようにしてもよい。
【0096】
ステップS311において、制御装置50は、内燃機関10がアイドル運転中であるか否かを判定するようにしてもよい。具体的には、制御装置50は、アクセル開度検出装置33から入力された検出信号に基づいてアクセル開度を検出して、RAMに記憶する。また、制御装置50は、車速検出装置37から入力された検出信号に基づいて車速を検出して、RAMに記憶する。また、制御装置50は、回転検出装置34から入力された検出信号に基づいてエンジン回転数を検出してRAMに記憶する。
【0097】
続いて、制御装置50は、アクセル開度と車速とエンジン回転数とをRAMから読み出し、アクセル開度が「0」であり、つまり、運転者がアクセルペダルを踏んでおらず、且つ、車速が車速閾値V1(例えば、2km/h)よりも遅く、且つ、エンジン回転数が回転数閾値N1(例えば、800rpm)以下であるか否かを判定する。尚、車速閾値V1(例えば、2km/h)と回転数閾値N1(例えば、800rpm)は、予めEEPROMに記憶されている。
【0098】
そして、内燃機関10がアイドル運転中でないと判定された場合には(S311:NO)、制御装置50は、減速フラグをRAMから読み出し、「OFF」に設定して再度RAMに記憶した後、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、フィルタ再生処理を終了するようにしてもよい。具体的には、アクセル開度が「0」でなく、エンジン回転数が回転数閾値N1よりも高い回転数である、つまり、運転者がアクセルペダルを踏んで発進寸前の場合には、制御装置50は、内燃機関10のアイドル運転は終了したと判定する(S311:NO)。また、アクセル開度が「0」でない、つまり、運転者がアクセルペダルを踏んでいる場合は、制御装置50は、内燃機関10は通常運転中であると判定する(S311:NO)。
【0099】
一方、内燃機関10がアイドル運転中であると判定された場合には(S311:YES)、制御装置50は、減速フラグをRAMから読み出し、「ON」に設定して再度RAMに記憶した後、ステップS213の処理に進むようにしてもよい。具体的には、アクセル開度が「0」であり、且つ、車速が車速閾値V1(例えば、2km/h)よりも遅く、且つ、エンジン回転数が回転数閾値N1(例えば、800rpm)以下である場合には、制御装置50は、内燃機関10がアイドル運転中であると判定する(S311:YES)。尚、減速フラグは、制御装置50の起動時に、「OFF」に設定されてRAMに記憶される。
【0100】
以上説明した通り、他の第1実施形態に係る制御装置50は、内燃機関10が無負荷減速運転からアイドル運転に移行した場合には、吸気スロットル弁32の開度を減少させて(例えば、吸気スロットル弁32を閉じて)、DPF43の床温が、フィルタ活性温度(例えば、500℃~700℃)に維持される。これにより、内燃機関10の無負荷減速運転の運転下で開始された、DPF43に堆積された粒子状物質(PM)の酸化焼却(燃焼焼却)を、アイドル運転に移行しても継続させることができ、DPF43の捕集機能を再生することができる。また、DPF43の床温がフィルタ活性温度に達した場合は、アイドル運転中も、燃料添加弁28による排気ガス中への燃料の添加が停止されるため、燃費を従来よりも改善することができる。
【0101】
(B)例えば、前記実施形態では、上記ステップS216の処理において、制御装置50は、燃料添加弁28を介して、排気ガス中に未燃燃料を添加(供給)したが、各インジェクタ14A~14Dを介して、いわゆるポスト噴射によって排気ガス中に未燃燃料を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 排気ガス浄化装置
10 内燃機関
11 吸気通路
12 排気通路(排気ガス通路)
28 燃料添加弁
31 吸気流量検出装置
32 吸気スロットル弁
33 アクセル開度検出装置
34 回転検出装置
35 差圧センサ
36A~36C 排気温度検出装置
37 車速検出装置
41 排気ガス浄化ユニット
42 酸化触媒(DOC)
43 粒子状物質除去フィルタ(DPF)
50 制御装置
図1
図2
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図12