(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】バイオイナート配管及び液体クロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
G01N 30/26 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
G01N30/26 N
(21)【出願番号】P 2021079560
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003993
【氏名又は名称】弁理士法人野口新生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】柳林 潤
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸治
(72)【発明者】
【氏名】細野 凌
(72)【発明者】
【氏名】保永 研壱
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-098694(JP,A)
【文献】特表2013-536417(JP,A)
【文献】実開昭62-115175(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0024411(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0131997(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置に使用され、内部に流路が設けられ、前記流路の内壁が樹脂チューブによって構成され、前記樹脂チューブの外周面が金属チューブによって被覆されているバイオイナート配管であって、
前記樹脂チューブよりも硬質の材料で構成され、前記金属チューブの端面と対向接触する第1面及び前記第1面とは反対側を向く第2面を有し、前記金属チューブの内径と実質的に同一の内径をもつ貫通孔が前記第1面から前記第2面へ通じるように設けられており、前記金属チューブの端部に取り付けられている端部延長部材を備え、
前記端部延長部材の前記第2面における前記貫通孔の縁は面取りされた形状を有し、
前記樹脂チューブは前記端部延長部材の前記貫通孔に挿通され、前記樹脂チューブの端部が前記端部延長部材の前記第2面の前記貫通孔の前記縁の前記面取りされた形状に沿って前記流路の半径方向外側へ折り曲げられてフランジ部を形成して
おり、
前記端部延長部材は第1部材及び第2部材を有し、
前記第1部材は、互いに反対側を向く2つの端面を有し、前記2つの端面が前記第1面及び前記第2面であり、前記貫通孔の中心軸が前記金属チューブの中心軸と一致した状態で前記金属チューブに対して固着されている部材であり、
前記第2部材は、前記第1部材の一部が圧入されることによって前記第1部材と連結され、前記金属チューブの前記端部の外周面を覆っている中空筒状の部材である、バイオイナート配管。
【請求項2】
前記端部延長部材は、前記金属チューブの前記端部が挿し込まれる窪みを有し、前記窪みの奥に前記金属チューブの前記端面と対向接触する前記第1面が設けられたスリーブである、請求項1に記載のバイオイナート配管。
【請求項3】
前記端部延長部材は、金属又は硬質セラミックにより構成されている、請求項1
又は2に記載のバイオイナート配管。
【請求項4】
移動相の流れる経路に沿って複数の構成要素が配管により流体接続されることで構成される液体クロマトグラフであって、
前記配管が請求項1から
3のいずれか一項に記載のバイオイナート配管である、液体クロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ等の分析装置の配管として使用されるバイオイナート配管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ(以下、LC)は、送液ポンプ、インジェクタ、カラム、検出器などの構成要素が配管によって接続されて構成されるが、特に高圧状態で移動相が流れる経路を構成する部分には機械的な強度が必要なため、金属材料が用いられることが一般的である。
【0003】
一方で、サンプル中には、金属と相互作用する成分が含まれていることがある。例えば、タンパク質、ペプチド、核酸といった成分のほか、特定種類の農薬成分は、金属と錯体を形成して強く相互作用する。そのため、そのような成分を含むサンプルが金属に接するとその成分が金属と相互作用して吸着が発生し、クロマトグラムにおける成分ピークがテーリングしたり、検出感度が低下したり、あるいはその成分がまったく検出されなかったりするなど望ましくない効果を引き起こし得る。
【0004】
そのため、インジェクタ、カラム、検出器及び配管の接液部に金属を用いず、樹脂、セラミックなどの低吸着性材料のみで構成することが提案されている。提案の方法によれば、サンプル中の成分は、インジェクタ、カラム、検出器、配管の内部を流れる間に金属と接触しないので、上記のような吸着とそれによる望ましくない効果が発生するリスクを低減できる。
【0005】
上記のようにサンプルとの接液部に金属を存在させないLCシステムは、バイオイナートLCと称される。バイオイナートLCに使用する配管として、樹脂チューブの外側を金属チューブで被覆することによって配管内部でのサンプルの吸着を抑制しつつ機械的強度を向上させたバイオイナート配管が提案されている(特許文献1-5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭62-115175号公報
【文献】US9056264B2
【文献】US2016/116088A1
【文献】US10018604B2
【文献】US9494563B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バイオイナート配管は、分析装置に使用され、一般的には、金属チューブと、その金属チューブの内側に樹脂チューブを挿通し、バイオイナート配管の両端部において樹脂チューブの端部を金属チューブの側面に対して固定することで形成されている。バイオイナート配管の端部には樹脂からなるフランジ部が設けられていることが多い。このフランジ部は、バイオイナート配管が固定される接続先ポートの底面と接触することで配管接続部における液密を保持するための封止部材として機能するものである。フランジ部は、金属チューブの内側に樹脂チューブを挿通した後、金属チューブの端面から突出した樹脂チューブの端部に外部から熱を加えて軟化させ、金属チューブの開口の縁に沿って周囲方向へ折り曲げて形成することができる。
【0008】
LCの配管としてバイオイナート配管を使用する場合、バイオイナート配管の端部は、少なくとも数十回の着脱後も必要な封止性能を維持している必要がある。しかし、これまでのバイオイナート配管では、着脱を繰り返しているうちに樹脂チューブ端部のフランジ部の口元部分に負荷がかかって破損し、必要な封止性能を発揮できなくなる場合があった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、バイオイナート配管の端部における配管接続の際の封止性能の耐久性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るバイオイナート配管は、内部に流路が設けられ、前記流路の内壁が樹脂チューブによって構成され、前記樹脂チューブの外周面が金属チューブによって被覆されているバイオイナート配管であって、前記樹脂チューブよりも硬質の材料で構成され、前記金属チューブの端面と対向接触する第1面及び前記第1面とは反対側を向く第2面を有し、前記金属チューブの内径と実質的に同一の内径をもつ貫通孔が前記第1面から前記第2面へ通じるように設けられており、前記金属チューブの前記端面が向く方向へ前記金属チューブを延長するように前記金属チューブの端部に取り付けられている端部延長部材を備え、前記端部延長部材の前記第2面における前記貫通孔の縁は面取りされた形状を有し、前記樹脂チューブは前記端部延長部材の前記貫通孔に挿通され、前記樹脂チューブの端部が前記端部延長部材の前記第2面の前記貫通孔の前記縁の前記面取りされた形状に沿って前記流路の半径方向外側へ折り曲げられてフランジ部を形成している。
【0011】
すなわち、本発明では、樹脂チューブよりも硬質の材料で構成された端部延長部材によって金属チューブの端部が延長され、樹脂チューブは金属チューブの内側及び前記端部延長部材に設けられた貫通孔の内側に挿通され、前記端部延長部材の前記金属チューブとは反対側を向く第2面における前記貫通孔の縁は面取り加工が施され、前記端部延長部材の前記第2面から突出した前記樹脂チューブの端部が前記貫通孔の縁の面取りされた形状に沿って折り曲げられることで、前記バイオイナート配管の端部にフランジ部が形成されている。このように、前記フランジ部を形成する前記樹脂チューブの端部は、前記端部延長部材の前記貫通孔の縁の面取りされた形状に沿って折り曲げられているので、接続先ポートの底面に前記フランジ部が押し付けられたときの負荷が特定の部分に集中しにくく、前記フランジ部の破断が抑制される。さらに、前記フランジ部が樹脂チューブよりも硬質の材料からなる前記端部延長部材によって支持されるため、前記フランジ部に必要な耐圧性能を保持させることができ、結果として、封止性能の低下を抑制することができる。
【0012】
ところで、上記のような端部延長部材を用いなくても、金属チューブの端面の開口の縁を面取りされた形状とすれば、本発明と同等の構成になるようにも考えられる。そのような構成は、引用文献4(US10018604B2)のFig.2、5-7に開示されている。しかし、高速LCで使用される配管は内径が非常に小さいため、金属チューブにそのような加工を精度よく施すことは容易ではなく、コストの増大に繋がる懸念がある。
【0013】
また、同じ引用文献4のFig.3、4には、金属チューブの端部に設けられた密閉部材の開口の縁を面取りされた形状とし、樹脂チューブの端部をその形状に沿わせることによってフランジ部を形成している構造も開示されている。しかし、密閉部材はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの樹脂製の部材であり、フランジ部が樹脂製の密閉部材によって支持されていることになる。このような構造では、接続先ポートへの接続部において十分な耐圧性能を保持できるとは言いにくい。そして、この引用文献4では、フランジ部へ作用する負荷の集中とフランジ部を支持する部材の材質に起因して封止性能の耐久性が低下することについての議論は何らなされていない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るバイオイナート配管によれば、前記フランジ部を形成する前記樹脂チューブの端部は、前記端部延長部材の前記貫通孔の縁のR形状又はテーパ形状に沿って折り曲げられているので、接続先ポートの底面に前記フランジ部が押し付けられたときの負荷が特定の部分に集中しにくく、前記フランジ部の破断が抑制される。さらに、前記フランジ部が樹脂チューブよりも硬質の材料からなる前記端部延長部材によって支持されるため、前記フランジ部に必要な耐圧性能を保持させることができ。これにより、バイオイナート配管の端部における配管接続の際の封止性能の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】バイオイナート配管の第1の実施例を示す断面図である。
【
図2】バイオイナート配管の第2の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る分析装置の一例としての液体クロマトグラフは、送液ポンプ、インジェクタ、カラム、および、検出器などの構成要素が、本発明に係るバイオイナーと配管によって接続されて構成されている。以下、図面を参照しながら、本発明に係るバイオイナート配管について説明する。
【0017】
図1にバイオイナート配管の第1の実施例の端部断面図を示す。
【0018】
この実施例のバイオイナート配管は、移動相を流すための流路2の内壁面が樹脂チューブ4によって形成され、その樹脂チューブ4の外周面が金属チューブ6によって被覆された構造を備える。樹脂チューブ4及び金属チューブ6のサイズは、例えば、樹脂チューブ4の内径が0.1mm、外径が0.36mm、金属チューブ6の内径が0.4mm、外径が0.76mmである。別の形態では、例えば、樹脂チューブ4の内径が0.3mm、外径が0.46mm、金属チューブ6の内径が0.5mm、外径が0.76mmである。
【0019】
金属チューブ6の端部に端部延長部材8が取り付けられている。端部延長部材8は、金属チューブ6の端面の向く方向(図において左方向)へ金属チューブ6の端部を延長するように設けられている。端部延長部材8は、樹脂チューブ4の材質(例えば、PEEK)よりも硬質の材料(例えば、ステンレス、硬質セラミック)により構成されている。
【0020】
端部延長部材8は、第1部材9と第2部材10とを備える。第1部材9は、金属チューブ6の端面と対向接触する第1面12、第1面12とは反対側を向く第2面14、及び、第1面12から第2面へ通じる貫通孔16を備えている。貫通孔16の内径は金属チューブ6の内径と実質的に同一である。「実質的に同一」には、完全に同一である場合のほか、製造公差を考慮して同一視可能な場合も含む。
【0021】
第1部材9は、貫通孔16の中心軸が金属チューブ6の中心軸と一致するように金属チューブ6の端面の前方において位置決めされた状態で金属チューブ6に対して溶接されている。第1部材9の金属チューブ6側に、第1面12を有する円筒部分18が設けられている。円筒部分18の外径は、例えば0.8mm程度であり、金属チューブ6の外径よりも大きい。第1部材9は、機械加工(例えば、金属棒からの削り出し)により形成することができる。
【0022】
第2部材10は、第1部材9の円筒部分18の外径と実質的に同一の大きさの内径を有する円筒状の部材である。第2部材10は、前方部分(図において左側部分)の内側に第1部材9の円筒部分18が圧入されることによって第1部材9と連結されている。第2部材10のうち円筒部分18が圧入されていない部分は金属チューブ6の端部の外周面を覆っている。第2部材10は金属チューブ6とろう付けされている。金属チューブ6の外周面と第2部材10の内周面との間の隙間には、流し込まれたろう材の層20が形成されている。第2部材10を設けることにより、
図2で後述するように第1部材と第2部材が一体となっているときと比べ、金属チューブの内径と第1部材の貫通孔の内径を同軸にしやすい効果がある。この効果は金属チューブの内径と第1部材の貫通孔をピンゲージなどで同軸保持した状態で溶接することで実現できる。このピンゲージはろう付け時には抜いておき,誤ってピンゲージがろう付けされないようにする。
【0023】
樹脂チューブ4は金属チューブ6の内側及び第1部材9の貫通孔16に挿通され、第1部材9の第2面14から突出した樹脂チューブ4の端部が流路2の半径方向外側へフランジ状に折り曲げられてフランジ部22を形成している。第1部材9の第2面14における貫通孔16の縁24は面取りされたテーパ形状になっており、樹脂チューブ4の端部は縁24の面取りされた形状に沿って折り曲げられている。なお、図では、第1部材9の第2面14における貫通孔16の縁24はテーパ形状になっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、R形状などであってもよい。
【0024】
フランジ部22は、バイオイナート配管を他の要素に接続する際に、接続先ポートの底面に押し付けられて接続部分の液密を保つ封止構造として機能するものである。バイオイナート配管の接続先ポートに対する着脱の際に、フランジ部22の口元部分に負荷が掛かる。フランジ部22の口元部分が略直角に折り曲げられている場合、バイオイナート配管の接続先ポートに対する着脱の際の負荷が略直角に折り曲げられている部分に集中するため、その部分が接続先ポートに対する着脱の繰返しによって破断しやすい。これに対し、この実施例では、第1部材9の第2面14における貫通孔16の縁24は面取り加工が施されており、フランジ部22の根元部分はその面取りされた形状に沿った形状になっているため、バイオイナート配管の接続先ポートに対する着脱の際の負荷が特定の部分に集中しにくくなり、フランジ部22の口元が接続先ポートに対する着脱の繰返しによって破断し難い。
【0025】
図2にバイオイナート配管の第2の実施例の端部断面図を示す。
【0026】
この第2の実施例は、金属チューブ6の端部に取り付けられている端部延長部材26が一体的なスリーブによって実現されている点において上記第1の実施例と異なっている。端部延長部材26は、金属チューブ6を挿し込むための窪み28を備えており、窪み28の奥には、金属チューブ6の端面と対向接触する第1面30が設けられている。端部延長部材26の外面のうち窪み28が設けられている面とは反対側に位置する面は、封止構造をなすフランジ部22を支持するための第2面32となっており、第1面30から第2面32に通じるように貫通孔34が設けられている。端部延長部材26は金属チューブ6とろう付けされている。金属チューブ6の外周面と窪み28の内周面との間の隙間には、流し込まれたろう材の層36が形成されている。
【0027】
樹脂チューブ4は金属チューブ6の内側及び端部延長部材26の貫通孔34に挿通され、端部延長部材26の第2面32から突出した樹脂チューブ4の端部が流路2の半径方向外側へフランジ状に折り曲げられてフランジ部22を形成している。端部延長部材26の第2面32における貫通孔34の縁38は、上記第1の実施例における貫通孔16の縁24と同様に面取りされた形状になっており、樹脂チューブ4の端部は縁38の面取りされた形状に沿って折り曲げられている。なお、図では、端部延長部材26の第2面32における貫通孔34の縁38はテーパ形状になっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、R形状などであってもよい。
【0028】
上記のように、端部延長部材を複数の部材によって構成するか一体物とするかに拘わらず、配管の着脱時のフランジ部22の口元部分における負荷の集中を緩和する構造が実現可能である。要は、金属チューブ6の端部に端部延長部材を取り付け、その端部延長部材の端面(第2面)における開口の縁を面取りされた形状とすることが重要であり、その他の構造については任意に変更可能である。
【0029】
以上において説明されたバイオイナート配管は、液体クロマトグラフを構成する各要素間を流体接続するための配管として使用することができる。
【0030】
以上の実施例は、本発明に係るバイオイナート配管の実施形態を例示したにすぎず、本発明に係るバイオイナート配管の実施形態は以下のとおりである。
【0031】
本発明に係るバイオイナート配管の一実施形態では、分析装置に使用され、内部に流路が設けられ、前記流路の内壁が樹脂チューブによって構成され、前記樹脂チューブの外周面が金属チューブによって被覆されているバイオイナート配管であって、前記樹脂チューブよりも硬質の材料で構成され、前記金属チューブの端面と対向接触する第1面及び前記第1面とは反対側を向く第2面を有し、前記金属チューブの内径と実質的に同一の内径をもつ貫通孔が前記第1面から前記第2面(14;32)へ通じるように設けられており、前記金属チューブの端部に取り付けられている端部延長部材を備え、前記端部延長部材の前記第2面における前記貫通孔の縁は面取りされた形状を有し、前記樹脂チューブは前記端部延長部材の前記貫通孔に挿通され、前記樹脂チューブの端部が前記端部延長部材の前記第2面の前記貫通孔の前記縁の前記面取りされた形状に沿って前記流路の半径方向外側へ折り曲げられてフランジ部を形成している。
【0032】
上記一実施形態の第1態様では、前記端部延長部材は第1部材及び第2部材を有し、前記第1部材は、互いに反対側を向く2つの端面を有し、前記2つの端面が前記第1面及び前記第2面であり、前記貫通孔の中心軸が前記金属チューブの中心軸と一致した状態で前記金属チューブに対して固着されている部材であり、前記第2部材は、前記第1部材の一部が圧入されることによって前記第1部材と連結され、前記金属チューブの前記端部の外周面を覆っている中空筒状の部材である。このような態様により、端部延長部材の貫通孔の中心軸と金属チューブの中心軸とを確実に一致させた構造とすることができる。
【0033】
上記一実施形態の第2態様では、前記端部延長部材は、前記金属チューブの前記端部が挿し込まれる窪みを有し、前記窪みの奥に前記金属チューブの前記端面と対向接触する前記第1面が設けられたスリーブである。このような態様により、端部延長部材を安価に形成可能である。
【0034】
上記一実施形態の第3態様では、前記端部延長部材は、金属又は硬質セラミックにより構成されている。この第3態様は、上記第1態様又は第2態様と組み合わせることができる。
【0035】
上述した態様のバイオイナート配管は、移動相の流れる経路に沿って複数の構成要素が配管により流体接続されることで構成される液体クロマトグラフの前記配管として使用することができる。
【符号の説明】
【0036】
2 流路
4 樹脂チューブ
6 金属チューブ
8,26 端部延長部材
9 第1部材
10 第2部材
12,30 第1面
14,32 第2面
16,34 貫通孔
18 第1部材の円筒部分
20,36 ろう材の層
22 フランジ部
24,38 貫通孔の縁