(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】車両用ランプユニット
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/00 20060101AFI20240611BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240611BHJP
B60Q 1/56 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B60Q1/00 G
B60J5/00 G
B60Q1/56
(21)【出願番号】P 2021093631
(22)【出願日】2021-06-03
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2020113632
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀部 人嗣
(72)【発明者】
【氏名】倉滿 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】北芝 真之
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-066866(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0176688(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
B60J 5/00
B60Q 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両下部に搭載されるセンサと、前記センサの検出範囲に対応する位置にある車両外板を照射する照射装置と、を具備
し、
前記照射装置は、前記車両外板であるリヤバンパの上面と、路面と、を同時に照射する、車両用ランプユニット。
【請求項2】
前記照射装置は、前記リヤバンパの上面を直接光で照射する、請求項1に記載の車両用ランプユニット。
【請求項3】
前記センサの検出範囲を前記リヤバンパの上面と前記路面との間に設ける、請求項1または請求項2に記載の車両用ランプユニット。
【請求項4】
車両下部に搭載されるセンサと、前記センサの検出範囲に対応する位置にある車両外板を照射する照射装置と、を具備
し、
前記照射装置は、前記車両外板であるリヤバンパの上面を直接光で照射する、車両用ランプユニット。
【請求項5】
前記照射装置が出射する光の波長は500~570nmの範囲内である、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の車両用ランプユニット。
【請求項6】
前記センサはキックセンサである、
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の車両用ランプユニット。
【請求項7】
前記照射装置は前記車両におけるバックドアの内部に搭載される、
請求項1~請求項6の何れか一項に記載の車両用ランプユニット。
【請求項8】
さらに、ライセンスプレートを照射するライセンスランプを具備する、
請求項1~請求項7の何れか一項に記載の車両用ランプユニット。
【請求項9】
前記照射装置は、前記車両外板を照射することで前記車両外板に意匠を表示する、
請求項1~請求項8の何れか一項に記載の車両用ランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサと照射装置とを具備する車両用のランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には従来から各種のセンサが配設されている。例えば、特開2019-23428号公報には、スライドドアの近くに立ったユーザーの動作をセンサによって検知し、当該センサで検知した情報を基にしてスライドドアを開閉させる装置が開示されている。当該装置によると、ユーザーが特定の動作を行うだけでスライドドアが開閉するために、例えば、手のふさがっているときにも、ユーザーは容易にスライドドアを開き得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしその一方で、この種の装置においては、乗員の足の動作を検知するために、車両における下側の部分すなわち車両下部にセンサを配設するのが一般的である。このためユーザーは、センサの位置を目視にて把握することが困難であり、適切な位置で適切な動作を行い難い問題がある。これにより、この種の装置においては、ユーザーが動作したにも拘らずドアが開動作しない問題が生じ易い。
【0005】
その他、ユーザーが動作を行うべき位置を路面に表示する投影技術も提案されている(特開2019-173508号公報)。この種の装置によると、路面に表示された投影像付近の位置でユーザーが動作すれば、当該ユーザーの動作をセンサが検出する。これにより、ユーザーが動作したにも拘わらずドアが開動作しない、という問題を低減できると考えらえる。
【0006】
しかしその一方で、日中、路面が明るく光っている時や雨天時等には、表示された投影像をユーザーが視認することが困難であり、これにより、ユーザーが動作したにも拘わらずドアが開動作しないという問題が依然として生じ得る。
【0007】
本発明の発明者は、車両に搭載されたセンサに対してユーザーが動作を行うべき位置、すなわち、センサの検出範囲を、照射装置を用いて、ユーザーに対して表示することを志向した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、センサの検出範囲をユーザーに知覚させ得る車両用ランプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の車両用ランプユニットは、
車両下部に搭載されるセンサと、前記センサの検出範囲に対応する位置にある車両外板を照射する照射装置と、を具備する車両用ランプユニットである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用ランプユニットは、センサの検出範囲をユーザーに容易に知覚させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1の車両用ランプユニットを車両に搭載した様子を模式的に表す説明図である。
【
図2】実施例1の車両用ランプにおける照射装置が車両外板に照射したサインを模式的に表す説明図である。
【
図3】実施例1の車両用ランプユニットを模式的に表す説明図である。
【
図4】実施例1の車両用ランプユニットにおける照射装置をとおる断面を模式的に説明する説明図である。
【
図5】実施例2の車両用ランプユニットにおける照射装置が車両外板に照射したサインを模式的に表す説明図である。
【
図6】実施例2の車両用ランプユニットを模式的に表す説明図である。
【
図7】実施例2の車両用ランプユニットを模式的に表す説明図である。
【
図8】実施例2の車両用ランプユニットにおける照射装置をとおる断面を模式的に説明する説明図である。
【
図9】実施例2の車両用ランプユニットにおける照射装置をとおる断面を模式的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の車両用ランプユニットは、車両下部に搭載されるセンサと、照射装置とを具備する。
【0012】
センサは車両下部に搭載されるため、通常は、ユーザーが当該センサを視認するのは困難である。
【0013】
本発明の車両用のランプユニットにおける照射装置は、当該センサの検出範囲に対応する位置にある車両外板を照射する。換言すると、対応する位置にある車両外板に向けて光を放ち、当該車両外板を照らす。なお、本明細書において「センサの検出範囲に対応する位置にある」とは、照射装置が照射する車両外板に対向して立ったユーザーの足下に相当する位置が、センサの検出範囲に含まれることを意味する。
照射装置の位置、および、照射装置の照射先たる車両外板の位置を適宜適切に選択すれば、晴天下であっても、照射装置の照射により得られる光のサインをユーザーが視認し易くなる。これにより、本発明の車両用ランプユニットによると、センサの検出範囲をユーザーに知覚させることが容易になる。
【0014】
また、照射装置の照射対象は特定の車両外板における特定の領域であるため、本発明の車両用ランプユニットによると、照射装置が照射する光量や光色として、当該車両外板に対して適切な光量や光色を選択できる。このことによっても、ユーザーが視認し易い光のサインを照射装置によって表示できる利点がある。
【0015】
また、照射装置から車両外板までの距離は、照射装置から路面までの距離に比べて近い。このため、本発明の車両用ランプユニットによると、照射装置による光のサインを鮮明に映し出すのに有利となる。
【0016】
さらに、照射装置から車両外板までの距離が比較的近いことにより、例えば降雨時や降雪時等にも、光のサインを鮮明に映し出すことができる。
本発明の車両用ランプユニットは、これらのことによっても、センサの検出範囲をユーザーに容易に知覚させ得る。
【0017】
以下、本発明の車両用ランプユニットをその構成要素毎に説明する。
【0018】
本発明の車両用ランプユニットは、センサおよび照射装置を具備する。
このうちセンサは、車両下部に搭載されるものであれば良く、特に限定しないが、ユーザーの足の動作を検知する所謂キックセンサであるのが好適である。センサは、例えば静電容量式や超音波式等の既知の様式でユーザーの動作を検知すれば良い。
【0019】
照射装置は、車両外板を照射することでセンサの検出範囲をユーザーに示すことができれば良い。例えば、照射装置は、単に車両外板に光を照射するだけであっても良いし、光の照射により車両外板に文字や画像等の意匠を表示しても良い。当該文字や画像は静止したものや平面的なものであっても良いし、動画やホログラム等の動きのあるものや立体感のあるものであっても良い。なお、照射装置はセンサと一体化されていても良いし、別体であっても良い。
【0020】
何れの場合にも、照射装置の照射により、車両外板には光のサインが表示される。そして、当該サインにより、ユーザーにセンサの検出範囲を示すことが可能である。
【0021】
照射装置が表示する意匠は、例えば、各種のロゴやシンボル、ハウスマーク等の記号や画像であっても良いし、あるいは、文字による何らかのメッセージであっても良い。
【0022】
照射装置は、車両外板を照射するだけであっても良いし、車両外板に加えてその他の領域を照射しても良い。ここで、車両外板とは、ボデーやバンパ、ドア、各種のガーニッシュ等の、車両において車室の外部にありかつ板状をなす部分である。
【0023】
本発明の車両用ランプユニットにおけるセンサがキックセンサであれば、車両外板はキックセンサの検出結果に基づいて開閉するドアの近傍にあるのが好ましく、特に、バックドア近傍にあるのが好適である。この場合の車両外板としては、車両下部の構成要素であるリヤバンパ、リヤディフューザー、バックドアの下端部、バックガーニッシュ、および、その他ボデーにおいてバックドアの下方に位置する領域が例示される。
【0024】
照射装置は、車両外板に照射可能な位置に配置すれば良く、照射装置の配置位置は、車両外板の位置に応じて適宜適切に設定すれば良い。例えば、車両外板が上記した車両下部の構成要素の何れかであれば、照射装置はバックドアのうち下端部よりも上側に位置する部分に配置されるのが好ましい。
【0025】
照射装置は、照射によってこれらの車両外板にセンサの検出範囲を教えるサインを表示するだけであっても良いし、さらにその他の機能を有しても良い。
【0026】
例えば、照射装置は、車両外板に加えて路面も照射し、当該路面にも光のサインを表示しても良い。路面に表示する光のサインは、本発明の車両用ランプユニットにおけるセンサに関係しても良いし、当該センサに無関係であっても良い。なお、照射装置は、特に夜間や雨天時等の光量の不足する環境において、ユーザーが足下を視認できるように、単に路面を照明しても良い。
【0027】
照射装置により路面に表示する光のサインがセンサに関係する場合、例えば、当該路面に表示するサインは、当該センサの検出範囲を教えるサインであっても良い。
この場合には、路面と、当該路面よりもやや上方にある車両外板との2カ所に、各々、センサの検出範囲を教えるサインを表示することで、ユーザーに信頼性高くセンサの検出範囲を知覚させ得る。なお、この場合にはセンサの検出範囲を二つのサインの間に設けるのが好ましい。
【0028】
また、照射装置により路面に表示する光のサインがセンサに関係しない場合、当該路面に表示するサインは、例えば、駐車中に生じた異常の有無やサポートセンターからの通知の有無、時刻、駐車時間、今後の天候の変化等を教えるサインであっても良い。
【0029】
本発明の車両用ランプユニットは、照射装置に加えて、ライセンスプレート(ナンバープレートともいう)を照射するライセンスランプを具備しても良い。この場合、ライセンスランプと照射装置とは照射ユニットとして扱えば良い。ライセンスランプは照射装置と別体であっても良いし、照射装置と一体化しても良い。
これらの場合には、本発明の車両用ランプユニットが、さらに、ライセンスランプとしての機能を具備する。
【0030】
本発明の車両用ランプユニットにおける照射装置にライセンスランプが一体化される場合、当該ライセンスランプとして機能する部分の一部、例えば筐体やカバーレンズ等を、照射装置と共用するのが好ましい。この場合には、照射装置およびライセンスランプを小型化したり、これらの部品点数を低減したりすることで、本発明の車両用ランプユニットの小型化、軽量化、コストダウン等に寄与し得る。
【0031】
照射装置は、ユーザーによって視認され得る波長、具体的には、波長360nm~830nm程度の可視光を照射するものであれば良い。
照射装置が照射する光の波長は、好ましくは、車両外板や路面に反射した反射光が青緑色~緑色の範囲すなわち500~570nmの範囲となるような波長であるのが良い。この範囲の光は昼間の視認性に優れるため、車両外板における反射光がこの範囲であれば、照射装置による光のサインが昼間でもユーザーから信頼性高く視認され得る。
また、照射装置が単に路面を照明する場合、照射装置が照射する光は、路面に反射した反射光が白色となるような波長であるのが好ましい。具体的には、当該光は、上記した可視光のうち2以上の波長が混合されたものであるのが良い。
【0032】
照射装置の光源は、上記範囲の可視光を出射できるものであれば特に限定されず、ハロゲンランプ、LEDランプ等を例示できる。
【0033】
照射装置の光源は1つであっても良いし、複数であっても良い。例えば、照射装置が車両外板に加えて路面を照射する場合、照射装置はこれらの場所を各々独立して照射するための複数の光源を有しても良いし、1つの光源でこれらの複数の場所を照射しても良い。
照射装置の光源が複数であり、照射装置が複数の場所を照射する場合、照射装置は、当該複数の場所を照射するために、複数の系統の照射経路を備えても良い。
【0034】
照射装置の光量は、ユーザーが視認できる程度の明るさの光のサインを車両外板に表示できれば良く、特に限定しない。
具体例を挙げると、照射装置の光量は、車両外板における照度が1000ルクス~30000ルクスの範囲内、1200ルクス~1800ルクスの範囲内、1350ルクス~1650ルクスの範囲内、または、10000ルクス~20000ルクスの範囲内となるような光量であるのが好ましい。
【0035】
照射装置が車両外板に加えて路面を照射する場合、路面を照射する照射装置の光量は、路面における照度が200ルクス~800ルクスの範囲内、300ルクス~700ルクスの範囲内、または400ルクス~600ルクスの範囲内となるような光量であるのが好ましい。上記したように夜間や雨天下等に照射装置により路面を照明する場合であれば、照射装置の光量は、路面における照度が5ルクス~300クスの範囲内、10ルクス~100ルクスの範囲内、または10ルクス~50ルクスの範囲内となるような光量であるのが好ましい。
【0036】
また、本発明の車両用ランプユニットがライセンスランプを有する場合、ライセンスランプの光源の光色は白色であるのが好ましい。
また、ライセンスランプの光源の光量は、車両の約20m後方からでもナンバーがしっかりと視認できる程度の光量であるのが好ましい。当該光量は、具体的には、ライセンスプレートにおける照度が8ルクス以上となる光量であるのが好ましく、10ルクス以上となる光量であるのがより好ましい。
【0037】
さらに、車両外板に適宜適切にサインを表示するために、車両外板のうち照射装置が照射する部分に、光のサインの表示に適した表示部を設けることも可能である。
例えば、当該表示部を梨地の凹凸形状にすれば、表示部における外光の反射等を抑制して、照射装置の照射による光のサインを当該表示部に鮮明に表示できる。この場合、本発明の車両用ランプユニットは、センサおよび照射装置に加えて当該表示部を具備しても良い。
【0038】
照射装置が照射を開始するタイミングは、本発明の車両用ランプユニットを搭載する車両の形状や仕様、ユーザーの使用状況等に応じて適宜設定すれば良い。例えば、スマートキーを持ったユーザーが車両のバックドアに80cm~100cm程度の距離にまで近づいた際に、照射装置が照射開始するのが良い。
【0039】
照射装置が照射を停止するタイミングもまた適宜設定すれば良いが、例えば、バックドアが開くと照射を停止するのが良い。さらに、照射開始後に所定時間が経過してもセンサがユーザーの動作を検知しない場合に照射装置の照射を停止するのが良い。当該所定時間は、10秒~1分間の範囲内であるのが好ましく、例えば、30秒間を例示できる。
【0040】
その他、本発明の車両用ランプユニットの運転を制御する制御部は、車両のECU(Electronic Control Unit)を兼用しても良いし、本発明の車両用ランプユニット専用のものであっても良い。制御部は、本発明の車両用ランプユニットとは別に設けても良いし、本発明の車両用ランプユニットの一部を構成しても良い。
【0041】
以下、具体例を挙げて本発明の車両用ランプユニットを説明する。
【0042】
(実施例1)
実施例1の車両用ランプユニットは、センサとしてキックセンサを備え、かつ、照射ユニットがライセンスプレートを照射するライセンスランプとしての機能を併せ持ったものである。
実施例1の車両用ランプユニットを車両に搭載した様子を模式的に表す説明図を
図1に示し、実施例1の車両用ランプにおける照射装置が車両外板に照射したサインを模式的に表す説明図を
図2に示し、実施例1の車両用ランプユニットを模式的に表す説明図を
図3に示し、実施例1の車両用ランプユニットにおける照射装置をとおる断面を模式的に説明する説明図を
図4に示す。
以下、上、下、左、右、前、後とは、各図に示す上、下、左、右、前、後を指すものとする。なお、上下方向は鉛直方向と一致し、前後方向は車両進行方向と一致し、左右方向は車幅方向と一致する。
【0043】
実施例1の車両用ランプユニット1は、キックセンサ4および照射ユニット3を具備する。
図1に示すように、実施例1の車両用ランプユニット1におけるキックセンサ4は、車両90におけるリヤバンパ95の内側に搭載される。
照射ユニット3は、キックセンサ4と別体である。照射ユニット3は、照射装置30およびライセンスランプ2(
図3参照)を有し、車両90におけるバックドア91のハンドル機構92とともに、バックドア91の内部に搭載され、リヤバンパ95、路面96およびライセンスプレート93を照射する。実施例1の車両用ランプユニット1における車両外板はリヤバンパ95であり、照射装置30は当該リヤバンパ95に加えて、路面96の照射も行う。なお、実施例1の車両用ランプユニット1には、その他、バックドア91用のロックスイッチ35(
図3参照)が一体化されている。
【0044】
実施例1の車両用ランプユニット1における照射ユニット3は、車両90におけるバックドア91のハンドル機構92に一体化されている。ハンドル機構92は、
図1に示すバックドア91の下部かつ内部に搭載される。より詳しくは、バックドア91の下部にはライセンスプレート93が配置されており、車両用ランプユニット1はバックドア91のハンドル機構92とともに当該ライセンスプレート93の上方に配置される。
【0045】
図3に示すように、照射ユニット3は、ライセンスランプ2および照射装置30を有する。照射装置30は、ライセンスランプ2の右隣に配置され、ライセンスランプ2と一体化されている。照射装置30はアウタレンズとも称される筐体39の内部に配置されている。照射装置30は、照射筐体32、LEDランプ31、意匠レンズ33、および第1レンズ36を具備する。
【0046】
意匠レンズ33は、筐体39の後端部に一体に設けられ、ハンドル機構92のノブ92kに対して右側に配列している。LEDランプ31は筐体39の前端部に収容されている。
【0047】
照射装置30は、
図1に示される車両外板すなわちリヤバンパ95の上面と、路面96と、をともに照射し、これらの各々に後述するサイン(80、81)を表示する。
図4に示すように、第1レンズ36は照射筐体32の先端、すなわち、後方かつ下方の端部に位置し、LEDランプ31の照射方向先側に配置される。第1レンズ36のさらに照射方向先側には、意匠レンズ33が配置されている。意匠レンズ33よりも光路上流側には図略のフィルタが設けられている。当該フィルタは、リヤバンパ95の上面に表示されるサイン80に対応する形状、および、路面96に表されるサイン81に対応する形状のマスク部(図略)を有する。これにより、LEDランプ31が発光しフィルタを透過した光は、
図2に示されるように、所定意匠のサイン80、81を表示する。
【0048】
図3に示すように、ライセンスランプ2は照射装置30から独立し、当該照射装置30とは独立に制御される。このため、照射ユニット3によるリヤバンパ95および路面96の照射と、ライセンスランプ2によるライセンスプレート93の照射とは、各々個別に行われる。
【0049】
実施例1の車両用ランプユニット1は、車両90のECU(図略)に接続され、当該ECUによって運転制御される。
実施例1の車両用ランプユニット1の動作を以下に説明する。
【0050】
停車または駐車中の車両90に対して、スマートキーを持ったユーザーが近づくと、車両90のキーセンサ(図略)がこれを検知し、ECUが車両用ランプユニット1を起動する。
【0051】
具体的には、LEDランプ31がオンになり、照射装置30が、リヤバンパ95の上面および路面96に光を照射する。また、キックセンサ4がセンシングすなわち超音波の送信および受信を開始する。
実施例1の車両用ランプユニット1におけるLEDランプ31は、このとき青緑色に光る。このため照射装置30が照射する光は、晴天下であっても、ユーザーから視認され易い。
【0052】
ここで、実施例1の車両用ランプユニット1では、照射装置30の焦点は、リヤバンパ95の上面に合わせられている。このため、
図2に示すように、リヤバンパ95の上面には、矢印状の意匠と文字とを含む鮮明な光のサインが表示され、路面96にはリヤバンパ95に表示されるサイン80に比べてやや不鮮明なサイン81が表示される。なお、実施例1の車両用ランプユニット1では、リヤバンパ95の上面に表示されるサイン80と路面96に表示されるサイン81とは各々異なる意匠である。
【0053】
実施例1の車両用ランプユニット1におけるキックセンサ4の検出範囲は、リヤバンパ95の上面に表示されるサイン80と、路面96に表示されるサイン81との間にある。
したがって、バックドア91を開くべく、リヤバンパ95に表示されるサイン80の下方かつ路面96に表示されるサイン81の上方でユーザーが足を動かす動作を行うと、キックセンサ4がこれを検知する。すると、当該キックセンサ4の検知結果に基づいて、ECUがバックドア91を開駆動し、バックドア91が開かれる。また、このときECUは、照射装置30による光の照射、および、キックセンサ4によるセンシングを停止する。
【0054】
ECUが車両用ランプユニット1を起動させた後、30秒が経過してもキックセンサ4がユーザーの動作を検知しない場合にも、ECUは照射装置30による光の照射、および、キックセンサ4によるセンシングを停止する。
【0055】
上記したように、実施例1の車両用ランプユニット1は、ライセンスランプ2を具備する。ライセンスランプ2は、照射装置30およびキックセンサ4とは独立して動作する。
外界の光量の少ない環境下、例えば夜間において、車両90のアクセサリスイッチ(図略)がオンになっているときには、ECUはライセンスランプ2を起動する。このときライセンスランプ2はライセンスプレート93に白色光を照射する。
【0056】
実施例1の車両用ランプユニット1では、照射装置30によって車両外板であるリヤバンパ95の上面を照射して光のサイン80を表示する。これにより、ユーザーはキックセンサ4の検知範囲、すなわち、動作を行うべき位置を、目視により容易に把握することができる。つまり、実施例1の車両用ランプユニット1によると、キックセンサ4の検出範囲をユーザーに容易に知覚させることができ、ひいては、ユーザーによるバックドア91の開動作を適切に支援できる。
【0057】
また、実施例1の車両用ランプユニット1では、照射装置30によりリヤバンパ95の上面および路面96を照射し、これらの各々に、キックセンサ4の検知範囲を示す光のサイン80、81を表示する。これにより、ユーザーはキックセンサ4の検知範囲を容易に把握できる。
【0058】
さらに、実施例1の車両用ランプユニット1は、リヤバンパ95および路面96を照射してサイン80、81を表示するための照射装置30に加えて、ライセンスランプ2を有する。そして、照射装置30とライセンスランプ2とを一体化している。これにより、実施例1の車両用ランプユニット1は小型化および軽量化でき、車載用のランプユニットとして好適である。
【0059】
(実施例2)
実施例2の車両用ランプユニットは、照射ユニットの構造以外は、実施例1の車両用ランプユニットと概略同じものである。したがって、以下、実施例1の車両用ランプユニットとの相違点を中心として、実施例2の車両用ランプユニットを説明する。
実施例2の車両用ランプユニットにおける照射装置が車両外板に照射したサインを模式的に表す説明図を
図5に示し、実施例2の車両用ランプユニットを模式的に表す説明図を
図6および
図7に示し、実施例2の車両用ランプユニットにおける照射装置をとおる断面を模式的に説明する説明図を
図8および
図9に示す。なお、
図8は
図7中のA-A位置における断面であり、
図9は
図7中のB-B位置における断面である。
以下、上、下、左、右、前、後とは、各図に示す上、下、左、右、前、後を指すものとする。上下方向は鉛直方向と一致し、前後方向は車両進行方向と一致し、左右方向は車幅方向と一致する。
【0060】
実施例2の車両用ランプユニット1における照射ユニット3は、特に照射装置30において、実施例1の車両用ランプユニット1における照射ユニット3と大きく相違する。
図6~
図9に示すように、実施例2の車両用ランプユニット1における照射装置30は2つのLEDランプ、すなわち、第1LEDランプ31aおよび第2LEDランプ31bと、二つのレンズ、すなわち、第1レンズ36aおよび第2レンズ36bとを具備する。
【0061】
図7~
図9に示すように、第1LEDランプ31aおよび第2LEDランプ31bは左右に配列している。第1LEDランプ31aおよび第2LEDランプ31bは白色光を出射する。
【0062】
図8および
図9に示すように、第1レンズ36aは第1LEDランプ31aおよび第2LEDランプ31bの照射方向先側に配置されている。
図7および
図8に示すように、第2レンズ36bは第1レンズ36を経た第1LEDランプ31aの照射方向先側にのみ配置されている。つまり、実施例2の車両用ランプユニット1において照射装置30は、第1LEDランプ31a→第1レンズ36a→第2レンズ36bの系統と、第2LEDランプ31b→第1レンズ36aの系統と、の2系統の照射経路を備える。この2系統の照射経路のうち、前者を第1系統と称し、後者を第2系統とする。
【0063】
図8に示すように、第1系統の照射経路は、2つのレンズすなわち第1レンズ36aおよび第2レンズ36bを有する。このため第1系統の照射経路では、LEDランプ31aの光が比較的大きく屈折する。したがって、
図5に示すように、第1系統の照射経路は照射装置30から離れた位置にある路面96を照射しサイン81を表示するのに好適といい得る。
【0064】
実施例2において、第1LEDランプ31aの光量は、夜間における路面の照度が30ルクス程度になり、ユーザーの足元を照明できる程度の光量である。なお、実施例2では第1系統の照射経路によりサイン81を表示したが、第1系統の照射経路は、単に路面96を照明するだけでも良い。
【0065】
図9に示すように、第2系統の照射経路は1つのレンズすなわち第1レンズ36aを有し、当該第2系統の照射経路ではLEDランプ31bの光はあまり大きく屈折しない。このため第2系統の照射経路は、
図5に示すように、照射装置30から近い位置にあるリヤバンパ95の上面を照射しサイン80を表示するのに好適といい得る。
【0066】
以上のように、実施例2の車両用ランプユニットにおける照射装置30は、レンズの数の異なる2系統の照射経路を有する。これにより、実施例2の車両用ランプユニット1は、車両外板すなわちリヤバンパ95の上面に加えて、照射装置に対する位置がリヤバンパ95の上面とは異なる場所、すなわち路面96を照射するのに好適といい得る。
【0067】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0068】
1:車両用ランプユニット2:ライセンスランプ4:キックセンサ(センサ)30:照射装置90:車両91:バックドア95:リヤバンパ(車両外板)96:路面