(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】車両用バンパー
(51)【国際特許分類】
B60R 19/48 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B60R19/48 G
(21)【出願番号】P 2021098717
(22)【出願日】2021-06-14
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 誠
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-078527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ボディに連結されるバンパーリインフォースと、前記バンパーリインフォースを覆う緩衝材であるバンパーアブソーバと、前記バンパーアブソーバ、前記バンパーリインフォースを覆うバンパーカバーと、衝突荷重による前記バンパーアブソーバの変形を検知する衝突センサーとを備える車両用バンパーであって、
前記バンパーリインフォース、及びバンパーアブソーバの車幅方向外側に位置する前記バンパーカバーの端部には、車両前方から衝突した衝突物が前記バンパーカバーの表面に沿って車幅方向外側に移動するのを抑制する
移動抑制機構が
収納されている車両用バンパー。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用バンパーであって、
前記移動抑制機構は、前記バンパーカバーの被衝突部位が凹変形する際の力を利用して、前記バンパーカバーの被衝突部位よりも車幅方向外側位置を凸変形させる機構である車両用バンパー。
【請求項3】
請求項2に記載された車両用バンパーであって、
前記移動抑制機構は、前記バンパーカバーの被衝突部位が凹変形する際に、その凹変形動作を受けて一端部が車両前後方向に移動する移動リンクと、前記移動リンクよりも車幅方向外側位置で一端部が定位置に回動可能な状態で連結されており、他端部側に前記移動リンクの他端部が回動可能な状態で連結されている押出リンクと備えており、
前記移動リンクの一端部が車両前後方向に移動することで、前記移動リンクの他端部が前記押出リンクの他端部を車幅方向外側に回動させ、前記押出リンクの他端部が前記バンパーカバーの被衝突部位よりも車幅方向外側位置を凸変形させる車両用バンパー。
【請求項4】
請求項3に記載された車両用バンパーであって、
前記
移動抑制機構は、前記移動リンクの一端部を車両前後方向にガイドするガイド機構を備えている車両用バンパー。
【請求項5】
車両ボディに連結されるバンパーリインフォースと、前記バンパーリインフォースを覆う緩衝材であるバンパーアブソーバと、前記バンパーアブソーバ、前記バンパーリインフォースを覆うバンパーカバーと、衝突荷重による前記バンパーアブソーバの変形を検知する衝突センサーとを備える車両用バンパーであって、
前記バンパーリインフォース、及びバンパーアブソーバの車幅方向外側に位置する前記バンパーカバーの端部には、車両前方から衝突した衝突物が前記バンパーカバーの表面に沿って車幅方向外側に移動するのを抑制する移動抑制部が設けられており、
前記移動抑制部は、前記バンパーカバーの被衝突部位に設けられた脆弱部であり、
前記被衝突部位の脆弱部が前記衝突物により破断させられることで、前記バンパーカバーの被衝突部位よりも車幅方向外側位置が凸変形する車両用バンパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突センサーを備える車両用バンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用バンパー(フロントバンパー)に関する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1の車両用バンパー100は、
図8、
図9に示すように、車両前面を覆うバンパーカバー102を備えている。そして、バンパーカバー102の裏側中空部に、
図9に示すように、衝突センサーの圧力検知用チューブ104がバンパーカバー102の車幅方向両端部まで延びるように設けられている。圧力検知用チューブ104は、断面略L字形の保持部105に支持された状態で、バンパーカバー102の裏面に沿わされている。これにより、バンパーカバー102に対して衝突荷重が加わると、圧力検知用チューブ104が潰されて内部圧力が上昇し、その圧力上昇により前記衝突センサーが衝突を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用バンパー100は、
図8に示すように、前方が凸になるように緩やかに湾曲した状態で、車幅方向に延びている。そして、車両用バンパー100の左端部と右端部とでは、中央部と比較して湾曲角度が大きく設定されている。このため、車両用バンパー100の左端部、あるいは右端部に対して前方から衝突物が衝突すると、その衝突物はバンパーカバー102の表面に沿って車幅方向に外側に滑って移動する。このため、前記衝突センサーが衝突を検知する時間が極めて短くなり、前記衝突が検知されない場合がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、バンパーカバーの車幅方向における端部に対して衝突物が車両前方から衝突した場合でも衝突センサーが動作できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、各発明によって解決される。第1の発明は、車両ボディに連結されるバンパーリインフォースと、前記バンパーリインフォースを覆う緩衝材であるバンパーアブソーバと、前記バンパーアブソーバ、前記バンパーリインフォースを覆うバンパーカバーと、衝突荷重による前記バンパーアブソーバの変形を検知する衝突センサーとを備える車両用バンパーであって、前記バンパーリインフォース、及びバンパーアブソーバの車幅方向外側に位置する前記バンパーカバーの端部には、車両前方から衝突した衝突物が前記バンパーカバーの表面に沿って車幅方向外側に移動するのを抑制する移動抑制機構が収納されている。
【0007】
本発明によると、バンパーカバーの端部には、車両前方から衝突した衝突物が前記バンパーカバーの表面に沿って車幅方向外側に移動するのを抑制する移動抑制機構が収納されている。このため、バンパーカバーの端部に対して前方から衝突した衝突物が車幅方向外側に滑り難くなり、バンパーカバーの端部で受けられるようになる。これにより、バンパーカバーの端部に衝突物が衝突した場合でも、衝突センサーが比較的長い時間動作するようになり、前記衝突物の衝突が検知され易くなる。
【0008】
第2の発明によると、移動抑制機構は、バンパーカバーの被衝突部位が凹変形する際の力を利用して、前記バンパーカバーの被衝突部位よりも車幅方向外側位置を凸変形させる機構である。即ち、バンパーカバーの被衝突部位が凹変形する際にそのバンパーカバーの被衝突部位よりも車幅方向外側位置が凸変形するため、衝突物が車幅方向外側に移動し難くなる。
【0009】
第3の発明によると、移動抑制機構は、バンパーカバーの被衝突部位が凹変形する際に、その凹変形動作を受けて一端部が車両前後方向に移動する移動リンクと、前記移動リンクよりも車幅方向外側位置で一端部が定位置に回動可能な状態で連結されており、他端部側に前記移動リンクの他端部が回動可能な状態で連結されている押出リンクと備えており、前記移動リンクの一端部が車両前後方向に移動することで、前記移動リンクの他端部が前記押出リンクの他端部を車幅方向外側に回動させ、前記押出リンクの他端部が前記バンパーカバーの被衝突部位よりも車幅方向外側位置を凸変形させる。
【0010】
請求項4の発明によると、移動抑制機構は、移動リンクの一端部を車両前後方向にガイドするガイド機構を備えている。このため、バンパーカバーの被衝突部位が凹変形する際に、移動リンクの一端部が確実に車両前後方向に移動する。
【0011】
第5の発明は、車両ボディに連結されるバンパーリインフォースと、前記バンパーリインフォースを覆う緩衝材であるバンパーアブソーバと、前記バンパーアブソーバ、前記バンパーリインフォースを覆うバンパーカバーと、衝突荷重による前記バンパーアブソーバの変形を検知する衝突センサーとを備える車両用バンパーであって、前記バンパーリインフォース、及びバンパーアブソーバの車幅方向外側に位置する前記バンパーカバーの端部には、車両前方から衝突した衝突物が前記バンパーカバーの表面に沿って車幅方向外側に移動するのを抑制する移動抑制部が設けられており、前記移動抑制部は、前記バンパーカバーの被衝突部位に設けられた脆弱部であり、前記被衝突部位の脆弱部が前記衝突物により破断させられることで、前記バンパーカバーの被衝突部位よりも車幅方向外側位置が凸変形する。このように、移動抑制部に複雑な機構を必要としないため、コスト的に有利である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、バンパーカバーの車幅方向における端部に衝突物が衝突した場合でも衝突センサーが動作するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1に係る車両用バンパーの模式縦断面図である。
【
図2】前記車両用バンパーの模式平断面図(
図1のII- II矢視図)である。
【
図3】前記車両用バンパーの右端部の拡大平断面図(
図2のIII矢視拡大図)である。
【
図4】衝突物が車両用バンパーの右端部に衝突したときの様子を表す平面図である。
【
図5】衝突物が車両用バンパーの右端部に衝突したときの衝突検出装置の圧力変化の様子を表すグラフである。
【
図6】変更例1に係る車両用バンパーの右端部の拡大平断面図である。
【
図7】衝突物が車両用バンパーの右端部に衝突したときの様子を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
以下、
図1~
図7に基づいて本発明の実施形態1に係る車両用バンパーについて説明する。本実施形態に係る車両用バンパーは、
図1、
図2に示すように乗用車10のフロントバンパー20である。ここで、図中に示す前後左右、及び上下は、本実施形態に係るフロントバンパー20を備える乗用車10の前後左右、及び上下に対応している。
【0015】
<乗用車10の前部構造の概要について>
乗用車10の車体前部には、
図2に示すように、エンジンルーム12の左右両側に車両前後方向に延びる一対のフロントサイドメンバ14が設けられている。左右のフロントサイドメンバ14の前端位置には、それぞれクラッシュボックス16がほぼ同軸に取付けられている。さらに、左右のクラッシュボックス16には、フロントバンパー20のバンパーリインフォース40の左右端部が連結されている。
【0016】
<フロントバンパー20の構成について>
フロントバンパー20は、
図1、
図2に示すように、バンパーリインフォース40と、バンパーアブソーバ30と、バンパーカバー21と、衝突検出装置(図示省略)の圧力検知用チューブ50等とを備えている。バンパーリインフォース40は、車幅方向に延びる梁状の骨格部材であり、そのバンパーリインフォース40の左右両端部が、上記したように、左右のクラッシュボックス16に連結されている。バンパーリインフォース40は、例えば、アルミ合金製であり、
図1に示すように、角筒状に形成されている。
【0017】
バンパーリインフォース40の前面41には、
図1に示すように、バンパーアブソーバ30が取付けられている。バンパーアブソーバ30は、例えば、発泡スチロール製の緩衝材である。バンパーアブソーバ30は、車幅方向に延びる角梁状のアブソーバ本体部31と、アブソーバ本体部31の裏面(後面)の上部、中央部、及び下部に形成された突条部33a,33b,33cとを備えている。上部、中央部、及び下部の突条部33a,33b,33cは、車幅方向に延びるように形成されており、それらの突条部33a,33b,33cがバンパーリインフォース40の前面41に当接している。また、アブソーバ本体部31の後面には、
図1に示すように、上部と中央部との突条部33a,33b間に車幅方向に延びる溝部(図番省略)が形成されており、この溝部に衝突検出装置の圧力検知用チューブ50が嵌め込まれている。
【0018】
圧力検知用チューブ50は、弾性変形可能なチューブである。圧力検知用チューブ50の左端部と右端部とは、
図2に示すように、アブソーバ本体部31の左端部と右端部との溝部からそれぞれ突出している。そして、圧力検知用チューブ50の左端部と右端部とがそれぞれ圧力センサー52に接続されている。圧力検知用チューブ50は、左右の圧力センサー52に接続された状態で気密状態に保持されている。このため、圧力検知用チューブ50に対して衝突荷重が加わると、圧力検知用チューブ50が潰れて内部圧力が上昇し、その内部圧力の変化が左右の圧力センサー52により検出される。左右の圧力センサー52は、バンパーリインフォース40の左右端位置の後方で左右のクラッシュボックス16の外側に配置されている。左右の圧力センサー52の出力信号は、衝突検出装置(図示省略)に入力される。衝突検出装置は、圧力センサー52の出力信号の積分値に基づいて衝突を検出する。なお、左右の圧力センサー52の設置位置は、適宜変更可能である。
【0019】
バンパーカバー21は、
図1、
図2に示すように、フロントバンパー20の外形意匠を構成する部材であり、バンパーアブソーバ30、及びバンパーリインフォース40を覆えるように構成されている。また、バンパーカバー21の下端部内側は、
図1に示すように、下部アブソーバ35により支持されている。さらに、バンパーカバー21の中央位置には、空気取入れ口として働くとともに装飾部材であるバンパーグリル(図示省略)が取付けられている。また、バンパーカバー21の内壁面には、
図1に示すように、バンパーアブソーバ30と等しい高さ位置に、バンパーカバー21とバンパーアブソーバ30間の隙間を埋める隙づめ材22が設けられている。なお、
図2では、隙づめ材22は省略されている。また、バンパーカバー21の左端部と右端部との内側には、
図2に示すように、バンパーアブソーバ30、及びバンパーリインフォース40の車幅方向外側位置に移動抑制機構60が設けられている。
【0020】
<移動抑制機構60について>
移動抑制機構60は、フロントバンパー20のバンパーカバー21の端部に対して前方から衝突物F(
図3等参照)が衝突したときに、その衝突物Fがバンパーカバー21の表面に沿って車幅方向外側に移動する(滑る)のを抑制する機構である。移動抑制機構60は、
図3等に示すように、移動リンク62と、押出リンク64と、ガイド機構66とを備えている。移動リンク62は、バンパーカバー21に対して衝突物Fが衝突して、そのバンパーカバー21の被衝突部位Hが凹変形する際(
図3の二点鎖線参照)、バンパーカバー21に押されて移動するリンクである。移動リンク62の一端側には、ガイド機構66にガイドされるガイドローラ62rが設けられている。
【0021】
ガイド機構66は、移動リンク62のガイドローラ62rを車両前後方向にガイドできるように車両ボディ(図示省略)側に設けられている。なお、ガイド機構66は、衝突物Fが衝突しない高さ位置に設けられている。移動リンク62の他端側は、連結ピン63によって押出リンク64の先端部に水平回動可能な状態で連結されている。押出リンク64は、基端部(後端部)が回転中心軸64cによって車両ボディ(図示省略)側に水平回転可能な状態で連結されている。移動抑制機構60は、バンパーカバー21の端部に収納されている状態(初期状態)では、
図3の実線に示すように、押出リンク64がガイド機構66と平行に保持されており、移動リンク62のガイドローラ62rはガイド機構66の前端位置に保持されて、移動リンク62がバンパーカバー21の内壁面に沿うように配置されている。
【0022】
<フロントバンパー20の衝突検出装置の動作について>
例えば、フロントバンパー20においてバンパーアブソーバ30が存在する範囲(左右端部を除く範囲)に衝突物Fが衝突すると、その衝突によるバンパーカバー21の凹変形を受けてバンパーアブソーバ30が潰れる方向に変形する。これにより、
図1に示すように、バンパーアブソーバ30の溝部に嵌め込まれている圧力検知用チューブ50も潰れるようになる。これにより、圧力検知用チューブ50の内部圧力が上昇し、その内部圧力の変化が左右の圧力センサー52により検出される。衝突検出装置は、圧力センサー52の出力信号の積分値に基づいて衝突の有無を判定し、衝突の検出により、例えば、エンジンフード18を持ち上げるフードホップアップ装置(図示省略)を動作させる。
【0023】
<移動抑制機構60の動作について>
次に、例えば、フロントバンパー20においてバンパーアブソーバ30が存在しない左右端部に衝突物Fが衝突すると、
図3、
図4に示すように、バンパーカバー21の被衝突部位Hが凹変形する。これにより、移動抑制機構60の移動リンク62のガイドローラ62rがバンパーカバー21の被衝突部位Hに押され、ガイド機構66にガイドされて後方に移動する。この結果、移動リンク62の他端部が押出リンク64の先端部を右側(車幅方向外側)に押圧する。これにより、押出リンク64が回転中心軸64cを中心に右回動し、押出リンク64の先端がバンパーカバー21の被衝突部位Hよりも右側位置Tを右前方向に押圧して凸変形させる。
【0024】
このように、バンパーカバー21の被衝突部位Hが凹変形する際の力を利用して、
図4に示すように、バンパーカバー21の被衝突部位Hよりも右側位置T(車幅方向外側位置T)を凸変形させるため、衝突物Fがバンパーカバー21の表面に沿って右方向に滑り難くなる。即ち、衝突物Fは、バンパーカバー21の凸変形部位Tに支えられることで被衝突部位Hにとどまり易くなる。これにより、フロントバンパー20の端部に衝突物Fが衝突した場合でも、バンパーカバー21、バンパーアブソーバ30を介して圧力検知用チューブ50に対して衝突荷重が比較的長時間加わるようになる。
【0025】
図5は、フロントバンパー20の端部の被衝突部位Hに対して衝突物Fが衝突したときの圧力センサー52の圧力検出値(KPa)と時間(ms)との関係を表したグラフである。ここで、特性Iは、移動抑制機構60を備えるフロントバンパー20における圧力検出値のグラフであり、特性IIは、移動抑制機構60を備えないフロントバンパー20における圧力検出値のグラフである。移動抑制機構60の働きで衝突物Fがバンパーカバー21の被衝突部位Hに比較的長くとどまることで、移動抑制機構60がない場合と比較して圧力を検出できる時間がt0だけ長くなる。ここで、衝突検出装置は、上記したように、圧力センサー52の圧力検出値の積分値を使用して衝突検出を行なうため、移動抑制機構60を設けることで、フロントバンパー20の端部における衝突検出の精度を向上させることができる。
【0026】
<本実施形態に記載の用語と本発明に係る用語との対応>
本実施形態におけるフロントサイドメンバ14、クラッシュボックス16等が本発明の車両ボディに相当する。また、圧力検知用チューブ50、及び圧力センサー52が本発明の衝突センサーに相当する。さらに、本実施形態の移動抑制機構60が本発明の移動抑制部の機構に相当する。
【0027】
<本実施形態に係るフロントバンパー20の長所について>
本実施形態に係るフロントバンパー20によると、バンパーカバー21の端部には、車両前方から衝突した衝突物Fがバンパーカバー21の表面に沿って車幅方向外側に移動する(滑る)のを抑制する移動抑制機構60が設けられている。このため、バンパーカバー21の端部に対して前方から衝突した衝突物Fが車幅方向外側に滑り難くなり、バンパーカバー21の端部で受けられるようになる。これにより、バンパーカバー21の端部に衝突物Fが衝突した場合でも、圧力検知用チューブ50、及び圧力センサー52(衝突センサー)が比較的長い時間動作するようになり、前記衝突物Fの衝突が検知され易くなる。また、移動抑制機構60は、バンパーカバー21の被衝突部位Hが凹変形する際の力を利用して、バンパーカバー21の被衝突部位Hよりも車幅方向外側位置を凸変形させる。即ち、バンパーカバー21の被衝突部位Hが凹変形する際にそのバンパーカバー21の被衝突部位Hよりも車幅方向外側位置Tが凸変形するため、衝突物Fが車幅方向外側に滑り難くなる。さらに、ガイド機構66の働きで、バンパーカバー21の被衝突部位Hが凹変形する際に、移動リンク62の一端部が確実に後方に移動する。
【0028】
<変更例>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、
図2に示すように、バンパーカバー21の端部内側に移動抑制機構60を設ける例を示したが、移動抑制機構60の代わりにバンパーカバー21の端部の被衝突部位Hに、
図6に示すように、上下方向に延びるV溝状の脆弱部21zを設けることも可能である。ここで、V溝状の脆弱部21zは、衝突物Fが衝突することで破断するように構成されている。このため、衝突物Fが、
図7に示すように、バンパーカバー21の端部の被衝突部位Hに衝突すると、V溝状の脆弱部21zが破断して衝突物Fがバンパーカバー21の端部に食い込み、バンパーカバー21の被衝突部位Hより車幅方向外側が凸変形するようになる。これにより、衝突物Fがバンパーカバー21の表面に沿って車幅方向外側に滑り難くなる。このように、V溝状の脆弱部21zが本発明の移動抑制部に相当する。ここで、本実施形態では、車両のフロントバンパー20について例示したが、リヤバンパーに本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
20・・・・フロントバンパー(車両用バンパー)
21・・・・バンパーカバー
H・・・・・被衝突部位
T・・・・・車幅方向外側位置(凸変形部位)
21z・・・脆弱部(移動抑制部)
30・・・・バンパーアブソーバ
40・・・・バンパーリインフォース
50・・・・圧力検知用チューブ
52・・・・圧力センサー
60・・・・移動抑制機構(移動抑制部の機構)
62r・・・ガイドローラ(移動リンクの一端部)
62・・・・移動リンク
63・・・・連結ピン(移動リンクの他端部、押出リンクの他端部)
64・・・・押出リンク
64c・・・回転中心軸(押出リンクの一端部)
66・・・・ガイド機構
F・・・・・衝突物