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特許7501456放射線撮影システム、プログラム及び制御端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】放射線撮影システム、プログラム及び制御端末
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240611BHJP
【FI】
A61B6/00 530A
A61B6/00 520Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021100560
(22)【出願日】2021-06-17
(65)【公開番号】P2023000005
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 健太郎
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-199139(JP,A)
【文献】特開2019-191660(JP,A)
【文献】特開2021-040874(JP,A)
【文献】特開2014-195587(JP,A)
【文献】特開2014-171540(JP,A)
【文献】特開2019-166073(JP,A)
【文献】特開2011-072775(JP,A)
【文献】特開2020-005881(JP,A)
【文献】特開2014-239842(JP,A)
【文献】特開2017-012693(JP,A)
【文献】特開2002-191586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレーム画像を有する動態画像データを生成する放射線撮影装置と、被写体に対して放射線を複数回連続して照射するための制御を行う放射線照射装置との間で、放射線照射のタイミングに対応した信号を同期させる同期処理を実行する同期部と、
複数の放射線撮影装置のうち、前記放射線照射装置との間で前記信号が同期されている放射線撮影装置を特定する特定部と、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組に関する情報を記憶する第1記憶部と、
前記組の上限に関する情報を記憶する第2記憶部と、
前記同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組が前記上限に達しているか否かを判定する判定部と、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための指示を受け付ける受付部と、
前記判定部により前記上限に達していると判定された場合であって、前記受付部が前記指示を受け付けた場合に、前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための処理を行う制御部と、
を備え、
前記放射線撮影装置は、複数のパルス信号を含む同期信号を受信し、
前記同期信号に基づいて前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置との間で前記信号が同期される放射線撮影システム。
【請求項2】
前記同期部は、前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置が有線接続された場合、前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置が有線接続中に前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置間の通信において切断と再接続が発生した場合、ユーザーからの同期指示を受け付けた場合、前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置間の通信においてリセット処理が実行された場合のうち、いずれかの場合に該当したタイミングで前記同期処理を実行する請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項3】
前記特定部により特定された前記放射線撮影装置にのみ、前記動態画像データの撮影を指示する撮影指示部を備える請求項1または2に記載の放射線撮影システム。
【請求項4】
前記撮影指示部は、前記特定部により特定されない放射線撮影装置に静止画データの撮影のみを指示する請求項3に記載の放射線撮影システム。
【請求項5】
前記同期部は、同期済みである放射線照射装置と放射線撮影装置との組の数が上限に達していない場合において、一の放射線撮影装置が同期対応している装置であって、且つ未同期である場合、当該一の放射線撮影装置と前記放射線照射装置との間で、前記同期処理を実行する請求項1から4のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項6】
前記放射線撮影装置の同期状態を報知する報知部を備える請求項1から5のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項7】
前記報知部は、前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置の前記信号の同期が解除された旨を報知する請求項6に記載の放射線撮影システム。
【請求項8】
前記放射線照射装置と、前記放射線撮影装置とは、有線接続されていない状態で前記動態画像データを生成するための撮影が可能である請求項1から7のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項9】
前記放射線照射装置は、移動型である請求項1から8のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項10】
前記特定部が、前記放射線撮影装置を特定しなかった場合は、前記動態画像データの撮影を指示しない請求項1から9のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項11】
前記放射線撮影装置は、前記報知部を有する請求項6または7に記載の放射線撮影システム。
【請求項12】
放射線撮影システムのコンピューターを、
複数のフレーム画像を有する動態画像データを生成する放射線撮影装置と、被写体に対して放射線を複数回連続して照射するための制御を行う放射線照射装置との間で、放射線照射のタイミングに対応した信号を同期させる同期処理を実行する同期部、
複数の放射線撮影装置のうち、前記放射線照射装置との間で前記信号が同期されている放射線撮影装置を特定する特定部、
して機能させるプログラムであって
前記放射線撮影システムは、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組に関する情報を記憶する第1記憶部と、
前記組の上限に関する情報を記憶する第2記憶部と、を備え、
前記プログラムは、前記コンピューターを、
前記同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組が前記上限に達しているか否かを判定する判定部、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための指示を受け付ける受付部、
前記判定部により前記上限に達していると判定された場合であって、前記受付部が前記指示を受け付けた場合に、前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための処理を行う制御部、として機能させ、
前記放射線撮影装置は、複数のパルス信号を含む同期信号を受信し、
前記同期信号に基づいて前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置との間で前記信号が同期されるプログラム。
【請求項13】
複数のフレーム画像を有する動態画像データを生成する放射線撮影装置と、被写体に対して放射線を複数回連続して照射するための制御を行う放射線照射装置との間で、放射線照射のタイミングに対応した信号を同期させる同期処理を実行する同期部と、
複数の放射線撮影装置のうち、前記放射線照射装置との間で前記信号が同期されている放射線撮影装置を特定する特定部と、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組に関する情報を記憶する第1記憶部と、
前記組の上限に関する情報を記憶する第2記憶部と、
前記同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組が前記上限に達しているか否かを判定する判定部と、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための指示を受け付ける受付部と、
前記判定部により前記上限に達していると判定された場合であって、前記受付部が前記指示を受け付けた場合に、前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための処理を行う制御部と、
を備え、
前記放射線撮影装置は、複数のパルス信号を含む同期信号を受信し、
前記同期信号に基づいて前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置との間で前記信号が同期される制御端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影システム、プログラム及び制御端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体に放射線を照射し、被検体を透過した放射線を検出して放射線画像を得る方法として、無線通信を行う可搬型の放射線撮影装置を用いる放射線撮影システムがある。
【0003】
これに関して、特許文献1には、無線通信部を設けた可搬型の放射線撮影装置を用いる放射線撮影システムであって、撮影室間を移動する際に放射線撮影装置とコンソールとの対応付けを変更可能な放射線撮影システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2009/031411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、放射線を発生させる放射線照射装置と、受けた放射線に基づく放射線画像の画像データを生成する放射線撮影装置がケーブルで接続されていない状態である放射線撮影システムが知られている。このような放射線撮影システムを用いて、被検体を一定間隔で連続して撮影を行って複数のフレーム画像を得る動態撮影を実施する場合、撮影前に放射線照射装置と放射線撮影装置間で、パルス同期がされていないと、異常画像が生成されてしまう可能性があった。このことを防止するために、パルス同期されていない放射線照射装置と放射線撮影装置を対応付けしないこと、及びパルス同期されていない放射線照射装置と放射線撮影装置での撮影を防ぐ必要がある。
しかし、特許文献1に記載の発明では、放射線撮影装置とコンソール間の対応付けをしているのみであり、パルス同期を伴う放射線撮影装置と放射線照射装置間の対応付け、及びパルス同期されていない放射線照射装置と放射線撮影装置での撮影を防ぐことはできなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、放射線を発生させる放射線照射装置と、放射線画像を生成する放射線撮影装置と、がケーブルで接続されていない状態であっても、複数のフレーム画像を生成する動態撮影をより好適に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の問題を解決するため、請求項1に記載の発明の放射線撮影システムは、
複数のフレーム画像を有する動態画像データを生成する放射線撮影装置と、被写体に対して放射線を複数回連続して照射するための制御を行う放射線照射装置との間で、放射線照射のタイミングに対応した信号を同期させる同期処理を実行する同期部と、
複数の放射線撮影装置のうち、前記放射線照射装置との間で前記信号が同期されている放射線撮影装置を特定する特定部と、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組に関する情報を記憶する第1記憶部と、
前記組の上限に関する情報を記憶する第2記憶部と、
前記同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組が前記上限に達しているか否かを判定する判定部と、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための指示を受け付ける受付部と、
前記判定部により前記上限に達していると判定された場合であって、前記受付部が前記指示を受け付けた場合に、前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための処理を行う制御部と、
を備え、
前記放射線撮影装置は、複数のパルス信号を含む同期信号を受信し、
前記同期信号に基づいて前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置との間で前記信号が同期される。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記同期部は、前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置が有線接続された場合、前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置が有線接続中に前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置間の通信において切断と再接続が発生した場合、ユーザーからの同期指示を受け付けた場合、前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置間の通信においてリセット処理が実行された場合のうち、いずれかの場合に該当したタイミングで前記同期処理を実行する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記特定部により特定された前記放射線撮影装置にのみ、前記動態画像データの撮影を指示する撮影指示部を備える。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記撮影指示部は、前記特定部により特定されない放射線撮影装置に静止画データの撮影のみを指示する。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記同期部は、同期済みである放射線照射装置と放射線撮影装置との組の数が上限に達していない場合において、一の放射線撮影装置が同期対応している装置であって、且つ未同期である場合、当該一の放射線撮影装置と前記放射線照射装置との間で、前記同期処理を実行する。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記放射線撮影装置の同期状態を報知する報知部を備える。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記報知部は、前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置の前記信号の同期が解除された旨を報知する。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記放射線照射装置と、前記放射線撮影装置とは、有線接続されていない状態で前記動態画像データを生成するための撮影が可能である。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記放射線照射装置は、移動型である。
また、請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記特定部が、前記放射線撮影装置を特定しなかった場合は、前記動態画像データの撮影を指示しない。
また、請求項11に記載の発明は、請求項6または7に記載の放射線撮影システムにおいて、
前記放射線撮影装置は、前記報知部を有する。
【0014】
また、請求項12に記載の発明のプログラムは、
放射線撮影システムのコンピューターを、
複数のフレーム画像を有する動態画像データを生成する放射線撮影装置と、被写体に対して放射線を複数回連続して照射するための制御を行う放射線照射装置との間で、放射線照射のタイミングに対応した信号を同期させる同期処理を実行する同期部、
複数の放射線撮影装置のうち、前記放射線照射装置との間で前記信号が同期されている放射線撮影装置を特定する特定部、
して機能させるプログラムであって
前記放射線撮影システムは、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組に関する情報を記憶する第1記憶部と、
前記組の上限に関する情報を記憶する第2記憶部と、を備え、
前記プログラムは、前記コンピューターを、
前記同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組が前記上限に達しているか否かを判定する判定部、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための指示を受け付ける受付部、
前記判定部により前記上限に達していると判定された場合であって、前記受付部が前記指示を受け付けた場合に、前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための処理を行う制御部、として機能させ、
前記放射線撮影装置は、複数のパルス信号を含む同期信号を受信し、
前記同期信号に基づいて前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置との間で前記信号が同期される。
【0015】
また、請求項13に記載の発明の制御端末は、
複数のフレーム画像を有する動態画像データを生成する放射線撮影装置と、被写体に対して放射線を複数回連続して照射するための制御を行う放射線照射装置との間で、放射線照射のタイミングに対応した信号を同期させる同期処理を実行する同期部と、
複数の放射線撮影装置のうち、前記放射線照射装置との間で前記信号が同期されている放射線撮影装置を特定する特定部と、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組に関する情報を記憶する第1記憶部と、
前記組の上限に関する情報を記憶する第2記憶部と、
前記同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との組が前記上限に達しているか否かを判定する判定部と、
前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための指示を受け付ける受付部と、
前記判定部により前記上限に達していると判定された場合であって、前記受付部が前記指示を受け付けた場合に、前記同期部により同期された前記放射線照射装置と放射線撮影装置との同期状態を解除するための処理を行う制御部と、
を備え、
前記放射線撮影装置は、複数のパルス信号を含む同期信号を受信し、
前記同期信号に基づいて前記放射線撮影装置と前記放射線照射装置との間で前記信号が同期される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、放射線を発生させる放射線照射装置と、放射線画像を生成する放射線撮影装置と、がケーブルで接続されていない状態であっても、複数のフレーム画像を生成する動態撮影をより好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る放射線撮影システムの一例を示すブロック図である。
図2図1の放射線撮影システムが備える放射線照射装置の具体的構成を示すブロック図である。
図3図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影装置の具体的構成を示すブロック図である。
図4図1の放射線撮影システムが備える制御端末の具体的構成を示すブロック図である。
図5】放射線撮影システムにおける同期判定処理を示すフローチャートである。
図6】放射線撮影システムにおける同期処理を示すフローチャートである。
図7】放射線撮影システムにおける同期解除処理を示すフローチャートである。
図8A】放射線撮影装置が同期非対応である場合の同期状態を示す表示画面の一例を示す図である。
図8B】放射線照射装置と放射線撮影装置が未同期である場合の同期状態を示す表示画面の一例を示す図である。
図8C】放射線照射装置と放射線撮影装置が同期済みである場合の同期状態を示す表示画面の一例を示す図である。
図8D】放射線撮影装置が複数ある場合の同期状態を示す表示画面の一例を示す図である。
図9】放射線撮影システムにおける動態撮影指示処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図面に例示したものに限定されるものではない。
【0019】
<1.放射線撮影システムの構成>
初めに、本実施形態の放射線撮影システム(以下、撮影システム100)の概略について説明する。図1は、撮影システム100の概略構成を表すブロック図である。
【0020】
撮影システム100は、図1に示すように、回診車1Aと、一又は複数の放射線撮影装置(以下、撮影装置2)と、で構成されている。
【0021】
回診車1Aは、一又は複数の放射線照射装置(以下、照射装置1)と、通信ケーブル3と、制御端末としてのコンソール4と、操作盤5と、収納部6と、充電部7と、アクセスポイント8と、図示しない車輪を備え、移動可能に構成されている。
【0022】
(1-1.放射線照射装置)
照射装置1は、放射線(例えば、X線)を発生させ、その放射線を被検体及びその背後に配置される撮影装置2へ照射するものであり、放射線制御装置(以下、制御装置1a)と、管球1bと、を備えて構成されている。
【0023】
次に、照射装置1が備える制御装置1aの詳細について説明する。図2は、制御装置1aの具体的構成を表すブロック図である。
【0024】
制御装置1aは、図2に示すように、照射側制御部11、高電圧発生部12、記憶部13、照射側インターフェース部(以下、照射側IF部14)等で構成されている。
また、制御装置1aの各部11~14は、図示しない電源ケーブル又は内蔵電源によって電力の供給を受けることが可能となっている。
【0025】
照射側制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備え、照射装置1の各部12~14の動作を統括的に制御するように構成されている。
また、照射側制御部11は、発振器(以下、照射側発振器11a)を備えている。照射側発振器11aは、電源がオンにされると所定周期のクロックを生成する水晶発振子やセラミック発振子等で構成することができる。
照射側制御部11は、照射側発振器11aが生成するクロックを用いて、定期的に計時情報を生成する機能を有している。ここで生成される計時情報には、例えば、タイミング信号や時刻情報が含まれる。タイミング信号は、一又は複数のクロックが生成される度に出力されるパルス状の信号等を指す。時刻情報は、タイミング信号をカウントアップするカウント値等を指す。
また、照射装置1の各部11~14は、照射側発振器11aが生成するクロックを基に動作する。
また、照射側発振器11aは、必要とされる精度等の目的に応じて複数の発振器を使い分けてもよい。
【0026】
高電圧発生部12は、照射側制御部11からタイミング信号を受信したことに基づいて、予め設定された撮影条件(例えば撮影モード(静止画撮影、動態撮影)、撮影対象部位、体格等の被検体に関する条件や、管電圧や管電流、照射時間、電流時間積等の放射線の照射に関する条件)に応じた電圧を管球1bに印加するようになっている。
撮影条件に含まれる撮影モードとは、例えば静止画撮影や動態撮影といった撮影方法に関する情報である。撮影システム100は、予め撮影モードを設定できるようになっており、高電圧発生部12は、撮影モードの設定に応じて撮影モードに適した動作を行う。
ここで、動態撮影には動画撮影が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影するものは含まれない。また、動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。動態画像には、動画が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影して得られた画像は含まれない。
撮影条件に動態撮影が含まれている場合には、タイミング信号を受信する度にパルス状の電圧を所定間隔で繰り返し印可するようになっている。
管球1bは、高電圧発生部12から電圧が印加されると、印加された電圧に応じた線量の放射線を発生させる。具体的には、高電圧発生部12からパルス状の電圧が印加されればパルス状の放射線を照射する。
【0027】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、及び当該処理プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
また、記憶部13は、照射側制御部11が行う処理の過程で生成された各種データ(例えば計時情報等)を記憶することが可能となっている。
また、記憶部13は、計時情報を同期した撮影装置2を識別するIDを記憶する。
また、記憶部13は、同期期限情報を記憶する。照射装置1と撮影装置2間の計時情報の同期は、時間経過と共に、照射側発振器11a及び後述する撮影側発振器21aの個体差や、温度特性差により、同期精度が低下する。そこで、同期期限情報とは、照射装置1と撮影装置2間の通信ケーブル3での接続が解除された状態で、計時情報の同期がとれた状態を保つことのできる期間である同期期限の情報である。
【0028】
照射側IF部14は、外部インターフェース(IF)と接続可能で、各種情報(信号やデータ)の送信と受信を行うことが可能に構成されている。
具体的には、通信ケーブル3を差し込むためのコネクター等で構成することができる。
【0029】
このように構成された照射装置1の照射側制御部11は、記憶部13に記憶されたプログラムに従って以下のような動作をする。
例えば、照射側制御部11は、各種撮影条件(撮影モード(静止画撮影、動態撮影)、撮影対象部位、体格等の被検体に関する条件や、管電圧や管電流、照射時間、電流時間積、フレームレート等の放射線の照射に関する条件)を設定する。
また、照射側制御部11は、撮影装置2より曝射許可通知を受信したことに基づいて、高電圧発生部12を制御し、曝射(放射線の照射)を開始する。
撮影条件に動態撮影が含まれている場合には、フレームレートに応じた周期で曝射を実施する。
【0030】
(1-2.放射線撮影装置)
次に、撮影システム100が備える撮影装置2の具体的構成について説明する。図3は、撮影装置2の具体的構成を表すブロック図である。
【0031】
本実施形態に係る撮影装置2は、図示しない筐体の他、図3に示すように、撮影側制御部21、放射線検出部22、読み出し部23、記憶部24、撮影側インターフェース部(以下、撮影側IF部25)等を備えている。
また、撮影装置2の各部21~25は、図示しない電源ケーブル又は内蔵電源によって電力の供給を受けることが可能となっている。
【0032】
撮影側制御部21は、CPU、RAM等で撮影装置2の各部22~25の動作を統括的に制御するように構成されている。
また、撮影側制御部21は、発振器(以下、撮影側発振器21a)を備えている。撮影側発振器21aは、電源がオンにされると所定周期のクロックを生成する水晶発振子やセラミック発振子等で構成することができる。
撮影側制御部21は、撮影側発振器21aが生成するクロックを用いて、定期的に計時情報を生成する機能を有している。ここで生成される計時情報の形式は、照射装置1が生成する計時情報と合わせるのが好ましい。
また、撮影装置2の各部21~25は、撮影側発振器21aが生成するクロックを基に動作する。
また、撮影側発振器21aは、必要とされる精度等の目的に応じて複数の発振器を使い分けてもよい。
【0033】
放射線検出部22は、外部から受けた放射線の線量に応じた電荷を直接的又は間接的に発生させる放射線検出素子、及び各放射線検出素子と配線との間に設けられ放射線検出素子と配線との間の通電が可能なオン状態又は通電が不能なオフ状態に切り替え可能なスイッチ素子を有する画素が二次元状に複数配列された基板を有するものであればよく、従来公知のものを用いることができる。
すなわち、撮影装置2は、シンチレーターを備え、シンチレーターが放射線を受けることで発した光を検出するいわゆる間接型のものであってもよいし、シンチレーター等を介さずに放射線を直接検出するいわゆる直接型のものであってもよい。
【0034】
読み出し部23は、複数の放射線検出素子にそれぞれ蓄積された(放射線検出素子が発生させた)電荷の量に応じた信号値を読み出し、各信号値を基に放射線画像の画像データを生成することが可能に構成されていればよく、従来公知のものを用いることができる。
【0035】
記憶部24は、HDDや半導体メモリー等により構成され、各種画像処理プログラムを含む各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
また、記憶部24は、撮影側制御部21が行う処理の過程で生成された各種データ(例えば計時情報等)を記憶することが可能となっている。
また、記憶部24は、照射装置1との計時情報の同期に対応している装置であることを示す同期対応情報、照射装置1との計時情報の同期状態を示す同期状態情報、計時情報を同期した照射装置1を識別するID、及び同期期限情報等を記憶する。
【0036】
撮影側IF部25は、外部IFと接続可能で、各種情報(信号やデータ)の送信と受信を行うことが可能に構成されている。
具体的には、通信ケーブル3を差し込むためのコネクター等で構成することができる。
【0037】
なお、撮影装置2を、内蔵電源から電力の供給を受けるように構成する場合、内蔵電源は、リチウムイオンキャパシタ(LiC)としてもよいし、リチウムイオンバッテリー(LiB)としてもよいし、その他の電源としてもよい。
リチウムイオンキャパシタは、急速充電が可能で、発火しないため、撮影(例えば、回診撮影)を終えた後、短い時間で次の撮影を行うことができる。
一方、リチウムイオンバッテリーは、安価で容量が大きいため、撮影装置2の製造コストを下げることができるとともに充電の回数を減らすことができる。
いずれの構成としても、複数回の撮影をこなす上で好ましい。
【0038】
このように構成された撮影装置2の撮影側制御部21は、記憶部24に記憶されたプログラムに従って以下のような動作をする。
例えば、撮影側制御部21は、撮影装置2の状態を、「初期化状態」、「蓄積状態」、「読み出し・転送状態」のうちのいずれかの状態に切り替える機能を有している。
【0039】
「初期化状態」は、各スイッチ素子にオン電圧が印加され、放射線検出素子が発生させた電荷が各画素に蓄積されない(電荷が信号線に放出される)状態である。
「蓄積状態」は、各スイッチ素子にオフ電圧が印加され、放射線検出素子が発生させた電荷が画素内に蓄積可能となる(電荷が信号線に放出されない)状態である。
「読み出し・転送状態」は、各スイッチ素子にオン電圧が印加されるとともに、読み出し部23が駆動して、流れ込んできた電荷に基づく信号値を読出すことが可能な状態である。
【0040】
なお、動態撮影を行う前に上記初期化状態とする動作の繰り返しは、多くの電力を消費する。
そこで、撮影装置2は、ユーザーにより所定操作がなされたことを契機として動態撮影前の初期化状態とする動作の繰り返しを開始するようになっていてもよいし、ワークフロー相当の時間をwaitとして設定しておき、wait経過後に自動的に開始するようになっていてもよい。
このようにすれば、一連のワークフローの中で、電力の消費を抑えることができる。
【0041】
(1-3.コンソール)
コンソール4は、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等の他のシステムから取得した撮影オーダー、又はユーザー(例えば放射線技師)によって操作盤5になされた操作に基づいて、制御装置1a及び撮影装置2のうちの少なくとも一方の装置に、撮影条件(撮影モード(静止画撮影、動態撮影)、管電圧、管電流と照射時間又は電流時間積(mAs値)、撮影部位、撮影方向等)を設定することが可能となっている。
また、コンソール4は、撮影装置2が生成した放射線画像の画像データを取得し、それを自身に保存したり、他の装置(PACS、動態解析装置等)へ送信したりすることが可能となっている。
【0042】
次に、コンソール4について詳細に説明する。
図4は、コンソール4の機能的構成を示すブロック図である。
【0043】
コンソール4は、図4示すように、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、表示部44と、操作部45と、を備えて構成されており、各部41~45は、バス等で電気的に接続されている。
【0044】
制御部41は、CPU、RAM等により構成され、コンソール4各部の動作を集中制御するようになっている。
また、制御部41は、動態画像データを生成する放射線撮影装置(撮影装置2)と、被写体に対して放射線を順次照射するための制御を行う放射線照射装置(照射装置1)との間で、放射線照射のタイミングを示す信号を同期させる同期処理を実行する。このとき、制御部41は同期部として機能する。
また、制御部41は、複数の放射線撮影装置のうち、放射線照射装置との間で信号が同期された放射線撮影装置を特定する。このとき、制御部41は特定部として機能する。
また、制御部41は、特定部により特定された放射線撮影装置にのみ、動態画像データの撮影を指示する。このとき、制御部41は撮影指示部として機能する。
また、制御部41は、放射線撮影装置の同期状態を表示部44に表示する。このとき、制御部41は表示制御部として機能する。
【0045】
記憶部42は、不揮発性のメモリーやハードディスク等により構成され、CPUが実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
また、記憶部42は、他の装置(撮影装置2等)から取得した放射線画像の画像データを記憶することが可能となっている。
また、記憶部42は、RIS等から送信された検査オーダー情報を記憶する。
また、記憶部42は、計時情報が同期され、対応付けられた照射装置1と撮影装置2の組を、それぞれを識別するIDを用いて記憶する。また、記憶部42は、当該照射装置1と撮影装置2の組の数、及びその上限数を記憶する。
【0046】
通信部43は、通信モジュール等で構成されている。
通信部43は、通信ネットワークを介して有線又は無線で接続された他の装置(照射装置1、撮影装置2等)との間で各種信号や各種データを送受信する。
【0047】
表示部44は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等で構成されている。表示部44は、制御部41から受信した画像信号に応じた放射線画像等を表示する。
【0048】
操作部45は、キーボード(カーソルキー、数字入力キー、各種機能キー等)、ポインティングデバイス(マウス等)、表示部44の表面に積層されたタッチパネル等を含む。操作部45は、ユーザーによってなされた操作に応じた制御信号を制御部41へ出力する。
【0049】
(1-4.その他)
通信ケーブル3は、照射装置1と撮影装置2を接続し、通信可能とする。
【0050】
操作盤5は、操作盤5の本体と有線で接続された曝射スイッチ5aを備える。
そして、曝射スイッチ5aが押下されたことに基づいて、コンソール4の制御部41は、撮影開始信号を制御装置1aに送信するようになっている。また、曝射スイッチ5aが解放されたことに基づいて、コンソール4の制御部41は、撮影停止信号を制御装置1aに送信するようになっている。
【0051】
収納部6は、撮影装置2を収納可能に構成されている。
また、収納部6は、撮影装置2が収納されたときに撮影側IF部25と接続される外部IFを有する。具体的には、収納部6の内部における撮影側IF部25と対向する箇所に、通信ケーブル3の先端部が取り付けられている。
【0052】
充電部7は、撮影装置2の内蔵電源を充電するためのものである。
充電部7は、外部電源(例えば病院のコンセント)から電力の供給を受けて充電するものであってもよいし、回診車1Aが備える電源から電力の供給を受けて充電するものであってもよいし、自らが有する電源を用いて充電するものであってもよい。
【0053】
アクセスポイント8は、無線LAN(Local Area Network)等を用いて、撮影装置2との無線通信を行う。
【0054】
このように構成された本実施形態の撮影システム100は、照射装置1から、当該照射装置1と撮影装置2との間に配置された被検体へ放射線を照射することにより、被検体の撮影を行うことが可能となっている。
また、本実施形態に係る撮影システム100は、動画の撮影(以下、動態撮影)を行うことが可能となっている。すなわち、一回の撮影操作(曝射スイッチ5aの押下)に基づいて、照射装置1が予め設定された時間幅のパルス状の放射線を一定間隔で複数回連続して発生させるとともに、撮影装置2が動画を構成する複数のフレーム画像を生成することが可能となっている。
【0055】
また、この撮影システム100は、RIS、PACS等の他のシステムや、解析装置と通信可能に構成することもできる。
【0056】
<2.放射線撮影システムの動作>
次に、放射線撮影システム100が行う動作について説明する。
放射線撮影システム100において、計時情報が同期されていない照射装置1と撮影装置2を用いて撮影すると、異常画像が生成される可能性がある。そこで、計時情報が同期されていない照射装置1と撮影装置2での撮影を防止するために、コンソール4の制御部41は、計時情報の同期を伴う照射装置1と撮影装置2の対応付けを管理する。
【0057】
ここで、撮影装置2を収納部6に収納し、制御装置1aの照射側IF部14と撮影装置2の撮影側IF部25とを接続すると、コンソール4において、図5に示す同期判定処理が開始される。
また、制御装置1aの照射側IF部14と撮影装置2の撮影側IF部25を接続中に、照射側IF部14と撮影側IF部25間の通信の切断及び再接続が行われた場合、操作部45を介したユーザーからの同期指示があった場合、または照射装置1及び撮影装置2間の通信においてリセット処理がなされた場合に同期判定処理が開始されてもよい。
【0058】
同期判定処理において、まず、コンソール4の制御部41は、収納部6に収納された撮影装置2から同期対応情報を取得する(ステップA1)。
次に、制御部41は、ステップA1で取得した同期対応情報に基づいて、収納部6に収納された撮影装置2は同期対応している装置か否かを判断する(ステップA2)。
収納部6に収納された撮影装置2が同期対応していない装置である場合(ステップA2;NO)、制御部41は、収納部6に収納された撮影装置2は、同期対応していない装置である旨を表示部44に表示し、本処理を終了する。
【0059】
また、収納部6に収納された撮影装置2が同期対応している装置である場合(ステップA2;YES)、制御部41は、収納部6に収納された撮影装置2から同期状態情報を取得する(ステップA4)。
次に、制御部41は、ステップA4で取得した同期状態情報に基づいて、収納部6に収納された撮影装置2は、計時情報が未同期であるか否かを判断する(ステップA5)。
収納部6に収納された撮影装置2が未同期でない場合、つまり計時情報が同期済みである場合(ステップA5;NO)、制御部41は、収納部6に収納された撮影装置2は、計時情報が同期済みである旨を表示部44に表示し(ステップA6)、本処理を終了する。
【0060】
また、収納部6に収納された撮影装置2が未同期である場合(ステップA5;YES)、制御部41は、収納部6に収納された撮影装置2は、計時情報が未同期である旨を表示部44に表示する(ステップA7)。
次に、制御部41は、表示部44に収納部6に収納された撮影装置2の計時情報の同期を実施するか否かの指示を受け付ける旨を表示し、操作部45を介して、ユーザーによる計時情報の同期の指示操作を受け付けたか否かを判断する(ステップA8)。
ユーザーによって計時情報の同期の指示操作がされなかった場合(ステップA8;NO)、制御部41は、本処理を終了する。
【0061】
また、ユーザーによって計時情報の同期の指示操作がされた場合(ステップA8;YES)、制御部41は、計時情報が同期済みであり、対応付けされて記憶部42に記憶された照射装置1と撮影装置2の組の数を参照し、当該照射装置1と撮影装置2の組の数は上限に達しているか否かを判断する(ステップA9)。
照射装置1と撮影装置2の組の数は上限に達していない場合(ステップA9;NO)、制御部41は、収納部6に収納された撮影装置2に計時情報同期指示を送信し(ステップA10)、照射装置1と撮影装置2において、計時情報の同期を実施する。
【0062】
図6に、照射装置1と撮影装置2における計時情報の同期処理を示す。
計時情報同期指示を受信した撮影側制御部21は、計時情報同期開始要求を照射装置1に送信する(ステップA101)。
次に、計時情報同期開始要求を受信した照射側制御部11は、時刻情報であるカウント値を初期化し、生成した計時情報を撮影装置2に送信する(ステップA102)。
次に、計時情報を受信した撮影側制御部21は、当該計時情報の受信時における自身の計時情報を、受信した計時情報に基づいて同期する(ステップA103)。具体的には、撮影側制御部21は、制御装置1aが送信してくるタイミング信号に基づいて、立ち上がりのタイミングがタイミング信号と等しいコピー信号を生成し、また、カウント値を同期する。つまり、照射側制御部11と撮影側制御部21は、同じタイミングで同じカウント値の計時情報を生成するようになる。
次に、撮影側制御部21は、計時情報同期完了通知をコンソール4に送信する(ステップA104)。
【0063】
同期判定処理に戻り、制御部41は、撮影装置2が送信する計時情報同期完了通知を受信したか否かを判断することで、同期が完了したか否かを判断する(ステップA11)。
同期が完了していない場合(ステップA11;NO)、制御部41は、本処理をステップA11に移行する。つまり、制御部41は、計時情報同期完了通知を受信するまで待機する。
同期が完了した場合(ステップA11;YES)、制御部41は、ステップA10、A11において計時情報を同期した照射装置1と撮影装置2の組を対応付けて記憶部42に記憶し、同期済みで対応付けられた照射装置1と撮影装置2の組の数を+1して(ステップA12)、本処理を終了する。
【0064】
また、照射装置1と撮影装置2の組の数が上限に達している場合(ステップA9;YES)、制御部41は、表示部44に、同期済みで対応付けされて記憶部42に記憶された照射装置1と撮影装置2の組の同期解除を実施するか否かの指示を受け付ける旨を表示し、操作部45を介して、ユーザーによる同期解除の指示操作を受け付けたか否かを判断する(ステップA13)。
ユーザーによって同期解除の指示操作がされなかった場合(ステップA13;NO)、制御部41は、本処理を終了する。
【0065】
また、ユーザーによって同期解除の指示操作がされた場合(ステップA13;YES)、制御部41は、同期解除を指示された撮影装置2に同期解除指示を送信する(ステップA14)。
次に、制御部41は、同期解除が完了した場合に撮影装置2が送信する計時情報同期解除完了通知を受信したか否かを判断することで、同期解除が完了したか否かを判断する(ステップA15)。
同期解除が完了していない場合(ステップA15;NO)、制御部41は、本処理をステップA15に移行する。つまり、制御部41は、計時情報同期解除完了通知を受信するまで待機する。
同期解除が完了した場合(ステップA15;YES)、制御部41は、ステップA14、A15において同期解除した照射装置1と撮影装置2の組を未同期として記憶部42に記憶し、同期済みで対応付けられた照射装置1と撮影装置2の組の数を-1して(ステップA16)、本処理をステップA10に移行する。
【0066】
次に、上記同期判定処理のステップA14において、同期済みで対応付けられた撮影装置2に、コンソール4から同期解除指示を送信する場合以外で、同期解除がされる場合を説明する。
図7に、コンソール4、照射装置1及び撮影装置2において実行される同期解除処理のフローチャートを示す。
【0067】
同期解除処理において、撮影装置2の撮影側制御部21は、同期条件が終了したか否かを判断する(ステップB1)。ここで、同期条件の終了とは、同期期限の満了、対応付けされた照射装置1とは別の照射装置1との通信ケーブル3を介した接続、撮影装置2の設置場所の移動、あるいは省電力移行、電源OFF、バッテリー残減少等の電源状態の遷移が発生した場合である。
同期条件が終了していない場合(ステップB1;NO)、撮影側制御部21は、本処理をステップB1に移行する。
同様に、照射装置1の照射側制御部11は、同期条件が終了したか否かを判断する(ステップB2)。ここでの同期条件終了とは、同期期限の満了、対応付けされた撮影装置2とは別の撮影装置2との通信ケーブル3を介した接続、対応付けされた撮影装置2の設置場所の移動、あるいは省電力移行、電源OFF、バッテリー残減少等の電源状態の遷移が発生した場合である。
同期条件が終了していない場合(ステップB2;NO)、照射側制御部11は、本処理をステップB2に移行する。
撮影装置2において、同期条件が終了した場合(ステップB1;YES)、撮影側制御部21は、計時情報の同期が解除されたことを示す同期解除通知をコンソール4に送信する(ステップB3)。
同様に、照射装置1において、同期条件が終了した場合(ステップB2;YES)、照射側制御部11は、計時情報の同期が解除されたことを示す同期解除通知をコンソール4に送信する(ステップB4)。
【0068】
次に、撮影装置2あるいは照射装置1から同期解除通知を受信したコンソール4の制御部41は、同期解除された照射装置1と撮影装置2の組を未同期として記憶部42に記憶し、同期済みで対応付けられた照射装置1と撮影装置2の組の数を-1する(ステップB5)。
次に、コンソール4の制御部41は、表示部44に、ステップB5において未同期とした照射装置1と撮影装置2の組において同期解除が実行され、それらは未同期であることを表示し(ステップB6)、本処理を終了する。
【0069】
上記同期判定処理のステップA11において、照射装置1と撮影装置2間の計時情報の同期が完了した場合に、コンソール4、照射装置1及び撮影装置2において、同期が完了したことを報知する構成を備えることが好ましい。
また、同様に上記同期判定処理のステップA15及び同期解除処理のステップB3~B5において、照射装置1及び撮影装置2間の計時情報の同期解除が完了した場合に、コンソール4、照射装置1及び撮影装置2において、同期解除が完了したことを報知する構成を備えることが好ましい。
また、照射装置1及び撮影装置2は、音を発する構成を備え、同期が完了したこと、あるいは同期解除が完了したことを報知する場合、音を発することによって報知してもよい。
【0070】
ここで、図8A図8Dは、コンソール4の表示部44に表示される、照射装置1及び撮影装置2の計時情報の同期状態を示す表示画面441の一例を示す図である。
図8A図8Dにおいて、表示442は、計時情報の同期情報やバッテリー残量等のその他情報を表示する撮影装置2の名称である。また、表示443は、計時情報の同期状態を示す。
図8Aは、名称がD1である撮影装置2が同期非対応である場合の同期状態を示す表示画面441の一例を示す図である。図8Aにおいて、表示443は表示されない。
また、図8Bは、照射装置1と名称がD1である撮影装置2が未同期である場合の同期状態を示す表示画面441の一例を示す図である。未同期である場合、表示443は点灯されない。
また、図8Cは、照射装置1と名称がD1である撮影装置2が同期済みである場合の同期状態を示す表示画面441の一例を示す図である。同期済みである場合、表示443が点灯される。
また、図8Dは、撮影装置2が複数ある場合の同期状態を示す表示画面441の一例を示す図である。図8Dに示す例において、名称がP1である撮影装置2と名称がP3である撮影装置2は同期済みであり、名称がP2である撮影装置2は未同期である。
【0071】
次に、操作盤5の曝射スイッチ5aが押下されたことに基づいて、コンソール4の制御部41が実行する動態撮影指示処理について説明する。
図9に動態撮影指示処理のフローチャートを示す。
【0072】
まず、コンソール4の制御部41は、記憶部42を参照し、計時情報の同期がされた照射装置1と撮影装置2の組はあるか否かを判断する(ステップC1)。つまり、制御部41は、複数の撮影装置2のうち、照射装置1との間で信号が同期された撮影装置2を特定する。
計時情報の同期がされた照射装置1と撮影装置2の組がある場合(ステップC1;YES)、制御部41は、記憶部42に記憶された同期済みの照射装置1に撮影開始信号を送信し(ステップC2)、処理を終了する。撮影開始信号を受信した照射装置1は、動態撮影を開始するために、対応付けられた撮影装置2に曝射許可要求を送信する。つまり、制御部41は、特定部により特定された撮影装置2にのみ、動態撮影を指示する。
【0073】
また、計時情報の同期がされた照射装置1と撮影装置2の組がない場合(ステップC1;NO)、制御部41は、計時情報の同期がされた照射装置1と撮影装置2の組がなく、動態撮影を実施することができない旨を表示部44に表示し(ステップC3)、本処理を終了する。
【0074】
これにより、計時情報が同期されていない照射装置1と撮影装置2での動態撮影を防止することができる。
また、照射装置1及び撮影装置2は、動態撮影を実行している間は、同期処理を実行しないとしてもよい。
また、静止画撮影を実行する場合、コンソール4の制御部41は、計時情報が同期された照射装置1と撮影装置2で撮影を実施することも可能であり、計時情報が同期されていない照射装置1と撮影装置2で撮影を実施することも可能である。
【0075】
〔効果〕
以上、説明してきた本実施形態に係る放射線撮影システム100が備える制御端末(コンソール4)は、動態画像データを生成する放射線撮影装置(撮影装置2)と、被写体に対して放射線を順次照射するための制御を行う放射線照射装置(照射装置1)との間で、放射線照射のタイミングを示す信号を同期させる同期処理を実行する同期部(制御部41)と、複数の放射線撮影装置のうち、放射線照射装置との間で信号が同期された放射線撮影装置を特定する特定部(制御部41)と、を備える。
従って、放射線を発生させる放射線照射装置と、放射線画像を生成する放射線撮影装置と、がケーブルで接続されていない状態であっても、複数のフレーム画像を生成する動態撮影をより好適に行うことができる。
【0076】
また、本実施形態に係る放射線撮影システム100が備える制御端末において、同期部は、放射線撮影装置と放射線照射装置が有線接続された場合、放射線撮影装置と放射線照射装置が有線接続中に放射線撮影装置と放射線照射装置間の通信において切断と再接続が発生した場合、ユーザーからの同期指示を受け付けた場合、放射線撮影装置と放射線照射装置間の通信においてリセット処理が実行された場合のうち、いずれかの場合に該当したタイミングで同期処理を実行する。
従って、有線接続された放射線撮影装置と放射線照射装置において同期を実施することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る放射線撮影システム100が備える制御端末は、特定部により特定された放射線撮影装置にのみ、動態画像データの撮影を指示する撮影指示部(制御部41)を備える。
従って、同期されていない放射線照射装置と放射線撮影装置での動態撮影を防止することができる。
【0078】
また、本実施形態に係る放射線撮影システム100が備える制御端末において、撮影指示部は、特定部により特定されない放射線照射装置に静止画データの撮影のみを指示する。
従って、放射線照射装置と放射線撮影装置間で同期がされていない場合でも、静止画データの撮影を実施することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る放射線撮影システム100が備える制御端末において、同期部は、同期済みである放射線照射装置の数が上限に達していない場合において、一の放射線撮影装置が同期対応している装置であって、且つ未同期である場合、当該一の放射線撮影装置と前記放射線照射装置との間で、前記同期処理を実行する。
従って、放射線照射装置と放射線撮影装置間の同期をより好適に実施することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る放射線撮影システム100が備える制御端末は、放射線撮影装置の同期状態を表示部44に表示する表示制御部(制御部41)を備える。
従って、ユーザーは容易に放射線撮影装置の同期状態を確認することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る放射線撮影システム100が備える制御端末において、表示制御部は、放射線撮影装置と放射線照射装置の信号の同期が解除された旨を表示部44に表示する。
従って、ユーザーは放射線撮影装置と放射線照射装置の同期が解除されたことを容易に確認することができる。
【0082】
なお、本実施形態における記述は、本発明に係る好適な放射線撮影システムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0083】
例えば、上記実施形態の放射線撮影システム100は、回診車1Aを備えるとしたがこれに限らない。放射線撮影システム100は、病院の撮影室等に据え付けて用いることも可能である。
【0084】
また、上記実施形態の放射線撮影システム100において、コンソール4の制御部41が計時情報の同期を伴う照射装置1と撮影装置2の対応付けを管理するとしたがこれに限らない。撮影装置2の記憶部24は、計時情報が同期され、対応付けられた照射装置1と撮影装置2の組を、それぞれを識別するIDを用いて記憶する。また、記憶部24は、当該照射装置1と撮影装置2の組の数、及びその上限数を記憶するとして、撮影側制御部21が計時情報の同期を伴う照射装置1と撮影装置2の対応付けを管理してもよい。
【0085】
その他、放射線撮影システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
100 放射線撮影システム
1A 回診車
1 放射線照射装置
1a 放射線制御装置
11 照射側制御部
11a 照射側発振器
12 高電圧発生部
13 記憶部
14 照射側インターフェース部
1b 管球
2 放射線撮影装置
21 撮影側制御部
21a 撮影側発振器
22 放射線検出部
23 読み出し部
24 記憶部
25 撮影側インターフェース部
3 通信ケーブル
4 コンソール(制御端末)
41 制御部(同期部、特定部、撮影指示部、表示制御部)
42 記憶部
43 通信部
44 表示部
45 操作部
5 操作盤
5a 曝射スイッチ
6 収納部
7 充電部
8 アクセスポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9