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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240611BHJP
   B65G 1/14 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B65G1/04 501
B65G1/14 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021178753
(22)【出願日】2021-11-01
(65)【公開番号】P2023067477
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉本 忠浩
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-126682(JP,A)
【文献】特開2001-261130(JP,A)
【文献】特開昭54-045085(JP,A)
【文献】実開昭60-053705(JP,U)
【文献】特開平05-105214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を収容可能な収容棚と、前記収容棚の正面に沿って移動して前記物品を搬送する搬送装置と、制御装置と、を備えた自動倉庫であって、
前記収容棚は、それぞれに前記物品が載置される複数の載置部と、複数の前記載置部を支持する枠部材と、カバーと、を備え、
前記カバーは、前記収容棚の背面を覆うように設けられ、
前記収容棚の前記正面及び前記背面の一方から他方へ向かう方向を奥行方向とし、前記奥行方向に沿う奥行方向視で上下方向に直交する方向を幅方向とし、前記奥行方向における前記背面から前記正面へ向かう側を奥行方向正面側とし、前記奥行方向における前記正面から前記背面へ向かう側を奥行方向背面側として、
複数の前記載置部は、前記上下方向及び前記幅方向にそれぞれ複数並ぶように配置され、前記上下方向に隣接する2つの前記載置部の間に、前記物品が収容される領域である収容領域が形成され、
1つの前記載置部又は前記幅方向に互いに隣接する複数の前記載置部を備えた載置部モジュールを複数備え、
複数の前記載置部モジュールのそれぞれは、スライド機構を介して前記枠部材に支持され、
前記スライド機構は、前記載置部モジュールを、基準位置と、前記基準位置よりも前記奥行方向背面側の位置である突出位置との間で、前記枠部材に対してスライド移動自在に支持し、
前記基準位置は、前記載置部が前記枠部材の前記奥行方向背面側の面である枠部材背面よりも前記奥行方向正面側に配置される位置であり、
前記突出位置は、前記載置部が前記枠部材背面よりも前記奥行方向背面側に突出する位置であり、
前記載置部モジュールの前記奥行方向背面側の面が前記カバーの一部を構成するカバー部材により覆われており、
複数の前記載置部モジュールのそれぞれは、当該載置部モジュールが前記突出位置にある状態で、前記収容領域の上側が解放された状態となるように構成されており、
複数の前記載置部モジュールの前記スライド機構によるスライド移動を規制するロック機構を更に備え、
前記ロック機構は、全ての前記載置部モジュールのスライド移動を規制するロック状態と、全ての前記載置部モジュールのスライド移動を許容するロック解除状態とに切り替え可能に構成されており、
前記制御装置は、前記搬送装置に電力が供給されている状態で、前記ロック機構を前記ロック状態とし、前記搬送装置への電力供給が遮断されると、前記ロック機構を前記ロック状態から前記ロック解除状態に切り替える、自動倉庫。
【請求項2】
複数の前記載置部モジュールが、前記上下方向に並ぶように配置され、
複数の前記載置部モジュールのそれぞれは、互いに独立してスライド移動自在となるように、前記スライド機構を介して前記枠部材に支持され、
複数の前記載置部モジュールのそれぞれは、当該載置部モジュールが前記突出位置にあり、且つ、上側に隣接する別の前記載置部モジュールが前記基準位置にある状態で、前記収容領域の上側が開放された状態となるように構成されている、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記載置部モジュールが前記基準位置にあることを検出する基準位置検出装置を更に備え、
前記基準位置検出装置により、前記載置部モジュールが前記基準位置にあることを検出できない場合には、前記制御装置は、前記搬送装置の動作を禁止する、請求項1又は2に記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記制御装置は、前記搬送装置への電力供給が再開された場合に、複数の前記載置部モジュールのうちの少なくとも1つが前記基準位置になければ、前記搬送装置の動作を禁止する、請求項1又は2に記載の自動倉庫。
【請求項5】
複数の前記載置部モジュールのそれぞれは、前記幅方向に互いに隣接する複数の前記載置部を備え、
前記ロック機構は、複数の被係合部と、それぞれの前記被係合部に対応する複数の係合部と、を備え、
前記被係合部及び対応する前記係合部は、1つの前記載置部モジュールにつき1つずつ設けられ、
前記係合部は、前記枠部材に支持されており、
前記被係合部は、前記載置部モジュールに支持されており、
前記ロック状態では、前記被係合部は、前記係合部に係合していると共に、前記係合部から外れないように前記係合部に保持されており、
前記ロック解除状態では、前記被係合部は、前記係合部から外れて前記載置部モジュールと一体的に前記奥行方向にスライド移動可能に構成され、
前記制御装置は、前記被係合部が前記係合部に係合することで、前記載置部モジュールが前記基準位置にあることを検出するように構成されている、請求項1又は2に記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を収容可能な収容棚と、前記収容棚の正面に沿って移動して前記物品を搬送する搬送装置と、を備えた自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
このような自動倉庫の一例が、国際公開第2015/052998号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号又は名称は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に記載された自動倉庫は、物品を保管する収容棚(ストッカ2)と、収容棚(ストッカ2)に対し出し入れ自在に構成されている引出棚ユニット(4)と、搬送装置(50)とを備えている。引出棚ユニット(4)には、容器を載置する複数の載置部(棚受14)が、上下方向に並んで設けられている。すなわち、引出棚ユニット(4)は、収容棚(ストッカ2)の一部として、物品を保管する機能を果たす。また、この引出棚ユニット(4)は、収容棚(ストッカ2)の背面から引き出されることにより、収容棚(ストッカ2)内への作業者の出入口を開くことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/052998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記自動倉庫の構成では、例えば停電や故障等により搬送装置(50)を動かすことができない場合に、作業者が、引出棚ユニット(4)を収容棚(ストッカ2)の背面から引き出して、当該引出棚ユニット(4)の載置部(棚受14)に載置された物品を取り出すことも可能である。しかしながら、複数段の載置部(棚受14)が上下に並んで配置された構造であるため、取り出し対象の物品の直ぐ上にある載置部(棚受14)が邪魔になり、物品の重量が大きい場合には特に、作業者による物品の取り出しは容易ではなかった。一方、このような作業者による物品の取り出しを容易化するためには、載置部(棚受14)上の物品とその直ぐ上の載置部(棚受14)との上下方向の隙間を、作業者による物品の持ち上げに必要な隙間以上に大きく確保する必要があった。そのため、複数の載置部(棚受14)の上下方向の間隔が大きくなり易く、自動倉庫における物品の保管効率が低下する要因となる。
【0006】
そこで、物品の保管効率の低下を回避しつつ、収容棚の背面側からの作業者による物品の取り出しを容易化することができる自動倉庫の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、自動倉庫の特徴構成は、複数の物品を収容可能な収容棚と、前記収容棚の正面に沿って移動して前記物品を搬送する搬送装置と、制御装置と、を備えた自動倉庫であって、前記収容棚は、それぞれに前記物品が載置される複数の載置部と、複数の前記載置部を支持する枠部材と、カバーと、を備え、前記カバーは、前記収容棚の背面を覆うように設けられ、前記収容棚の前記正面及び前記背面の一方から他方へ向かう方向を奥行方向とし、前記奥行方向に沿う奥行方向視で上下方向に直交する方向を幅方向とし、前記奥行方向における前記背面から前記正面へ向かう側を奥行方向正面側とし、前記奥行方向における前記正面から前記背面へ向かう側を奥行方向背面側として、複数の前記載置部は、前記上下方向及び前記幅方向にそれぞれ複数並ぶように配置され、前記上下方向に隣接する2つの前記載置部の間に、前記物品が収容される領域である収容領域が形成され、1つの前記載置部又は前記幅方向に互いに隣接する複数の前記載置部を備えた載置部モジュールを複数備え、複数の前記載置部モジュールのそれぞれは、スライド機構を介して前記枠部材に支持され、前記スライド機構は、前記載置部モジュールを、基準位置と、前記基準位置よりも前記奥行方向背面側の位置である突出位置との間で、前記枠部材に対してスライド移動自在に支持し、前記基準位置は、前記載置部が前記枠部材の前記奥行方向背面側の面である枠部材背面よりも前記奥行方向正面側に配置される位置であり、前記突出位置は、前記載置部が前記枠部材背面よりも前記奥行方向背面側に突出する位置であり、前記載置部モジュールの前記奥行方向背面側の面が前記カバーの一部を構成するカバー部材により覆われており、複数の前記載置部モジュールのそれぞれは、当該載置部モジュールが前記突出位置にある状態で、前記収容領域の上側が解放された状態となるように構成されており、複数の前記載置部モジュールの前記スライド機構によるスライド移動を規制するロック機構を更に備え、前記ロック機構は、全ての前記載置部モジュールのスライド移動を規制するロック状態と、全ての前記載置部モジュールのスライド移動を許容するロック解除状態とに切り替え可能に構成されており、前記制御装置は、前記搬送装置に電力が供給されている状態で、前記ロック機構を前記ロック状態とし、前記搬送装置への電力供給が遮断されると、前記ロック機構を前記ロック状態から前記ロック解除状態に切り替える点にある。
【0008】
本構成によれば、載置部モジュールを突出位置にスライド移動させることで、載置部モジュールの上側から物品の取り出しを容易に行うことができる。また、載置部モジュールが基準位置にある状態では、カバー部材を含むカバーにより、収容棚の背面が覆われた状態とすることができる。
このように、載置部モジュールを突出位置にスライド移動させた状態で、当該載置部モジュールの上側から物品の取り出しを行う構成とすることで、単に複数の載置部の背面を覆うカバーを取り外して奥行方向に物品を取り出す場合に比べて、作業者による物品の取り出しを容易化することができる。また、奥行方向に物品を取り出す場合のように、作業者による物品の取り出しを容易化するために複数の載置部の上下方向の間隔を大きく確保する必要がないため、収容棚における物品の保管効率を高め易い。
更に本構成によれば、収容棚の背面側からの物品の取り出しを行う必要がない通常時には、ロック機構をロック状態としておくことにより、作業者が誤って載置部モジュールをスライド移動させてしまうことを回避できる。
【0009】
自動倉庫のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】自動倉庫の幅方向視断面図
図2】収容棚の背面の部分拡大図
図3】突出位置にある載置部モジュールの平面図
図4】基準位置にある載置部モジュールの平面図
図5】載置部モジュール及び背面側枠部の位置関係を示す奥行方向視における部分拡大図
図6】スライド機構の幅方向視断面図
図7】突出位置にある載置部モジュール及びスライド機構の側面図
図8】基準位置にある載置部モジュール及び突出位置にある載置部モジュールの斜視図
図9】制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.自動倉庫
自動倉庫1の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、自動倉庫1は、複数の物品Wを収容可能な収容棚2と、収容棚2の正面2Aに沿って移動して物品Wを搬送する搬送装置4と、を備えている。図示の例では、自動倉庫1は、搬送装置4を挟んで対向するように配置された一対の収容棚2を備えている。なお、本例では、物品Wは、半導体基板(ウェハ)を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)とされている。
【0012】
以下では、自動倉庫1の各構成について説明するが、図1及び図2に示すように、一対の収容棚2のそれぞれにおける正面2A及び背面2Bの一方から他方へ向かう方向を奥行方向Xとし、奥行方向Xに沿う奥行方向視で上下方向Zに直交する方向を幅方向Yとし、奥行方向Xにおける背面2Bから正面2Aへ向かう側を奥行方向正面側X1とし、奥行方向Xにおける正面2Aから背面2Bへ向かう側を奥行方向背面側X2として説明する。
【0013】
2.搬送装置
本実施形態では、図1に示すように、搬送装置4は移載機83を備えている。移載機83は、物品Wを保持すると共に収容棚2の載置部10との間で物品Wの移載を行う装置である。そして、搬送装置4は、移載機83を収容棚2の正面2Aに沿って幅方向Y及び上下方向Zの双方に沿って移動させることで、物品Wを収容棚2の正面2Aに沿って搬送する。本例では、搬送装置4は、移載機83に加えて、収容棚2の正面2Aに沿って幅方向Yに延在するように配置された通路5と、通路5に沿って走行する台車80と、台車80に固定された支柱81と、移載機83を支持して支柱81に沿って上下方向Zに昇降する昇降体82と、を備えている。ここでは、台車80は、通路5に沿って敷設されたレールRに案内されることで、幅方向Yに沿って移動する。このように、本例では、搬送装置4は、スタッカークレーンとされている。また、搬送装置4は、正面2Aが通路5を向くように配置された収容棚2のいずれかの載置部10から物品Wを受け取って、収容棚2の外部に物品Wを搬出するための搬出ポート(不図示)へ物品Wを搬送する。また、搬送装置4は、収容棚2の外部から物品Wを搬入するための搬入ポート(不図示)から物品Wを受け取って、収容棚2のいずれかの載置部10へ物品Wを搬送する。
【0014】
移載機83は、通路5を挟んで奥行方向Xの両側に配置された一対の収容棚2のいずれの載置部10に対しても、物品Wを移載できるように構成されている。具体的には、移載機83は、収容棚2が備える複数の載置部10等の移載対象箇所と自己との間で物品Wを移動させることで、当該物品Wを移載する。上記のとおり、移載機83の移載対象箇所は、載置部10以外に、収容棚2の外部から物品Wを搬入するための搬入ポート、及び、収容棚2の外部に物品Wを搬出するための搬出ポートが含まれる。本実施形態では、移載機83は、物品Wを支持すると共に、奥行方向Xに出退する搬送支持部84を備えている。本例では、搬送支持部84は、物品Wを下方から支持するように構成されている。説明を加えると、搬送支持部84は、物品Wの被係合部(不図示)に下方から係合する複数の搬送突起部(不図示)を備えており、これら複数の搬送突起部が物品Wの被係合部に下方から係合した状態で、搬送支持部84が物品Wの底面を下方から支持するように構成されている。なお、本例では、移載機83は、スライドフォーク式の移載装置である。
【0015】
3.収容棚
収容棚2は、それぞれに物品Wが載置される複数の載置部10と、複数の載置部10を支持する枠部材6と、カバー3と、を備えている。本実施形態では、収容棚2は、複数の載置部10のそれぞれに対応して設けられた載置部付属部材30を更に備えている。図1に示すように、一対の収容棚2のそれぞれは、収容棚2の正面2Aが通路5の側となる向きで、当該正面2Aが上下方向Z及び幅方向Yに沿うと共に通路5に隣接して設けられている。本例では、一対の収容棚2が、通路5を挟んで奥行方向Xの両側に配置されている。また、一対の収容棚2の正面2Aが、互いに対向するように配置されている。図示の例では、自動倉庫1は、気流発生装置Dを更に備えている(図1参照)。そして、一対の収容棚2は、気流発生装置Dよりも下方に配置されている。なお、この気流発生装置Dは、収容棚2及び搬送装置4の存在範囲において、上方から下方に向かう気流(ダウンフロー)を発生させる。
【0016】
3-1.載置部
図1及び図2に示すように、複数の載置部10は、上下方向Z及び幅方向Yにそれぞれ複数並ぶように配置され、上下方向Zに隣接する2つの載置部10の間に、物品Wが収容される領域である収容領域Sが形成されている。本実施形態では、複数の載置部10のそれぞれは、枠部材6により奥行方向背面側X2から片持ち状態で支持されている。そして、複数の載置部10のそれぞれは、収容領域Sに対し、奥行方向正面側X1から物品Wを出し入れするように構成されている。本例では、複数の載置部10のうちの一部の載置部10は、後述するスライド機構40を介して枠部材6に支持されている。そして、残りの載置部10は、枠部材6に直接支持されている。以下では、スライド機構40を介して枠部材6に支持されている載置部10が配置されている領域を、特定領域34とする。また、枠部材6に直接支持されている載置部10が配置されている領域を一般領域35とする。図示の例では、上下方向Zに並ぶ複数の載置部10のうちの、最下段を含む複数段(ここでは下から4段目まで)に配置された載置部10が、スライド機構40を介して枠部材6に支持されており、それより上の段に配置された載置部10は、枠部材6に直接支持されている。すなわち、図示の例では、最下段を含む下から4段目までの載置部10が配置された領域が特定領域34であり、それより上の段の載置部10が配置された領域が一般領域35である。
【0017】
本実施形態では、図3図4、及び図7に示すように、複数の載置部10のそれぞれは、収容した物品Wを下方から支持する支持体12と、後述する載置部モジュール20の支持部材18又は枠部材6に固定される被固定部11とを備えている。ここでは、支持体12と被固定部11とは、同一部材により一体的に形成されている。支持体12は、物品Wの被係合部(不図示)に下方から係合する複数の収容突起部Pを備えている(図3参照)。そして支持体12は、これらの収容突起部Pが物品Wの被係合部に下方から係合した状態で、物品Wの底面を下方から支持するように構成されている。
【0018】
3-2.枠部材
次に、枠部材6について説明する。本例では、一般領域35と特定領域34とにおいて、枠部材6の構成が異なる。まず、一般領域35における枠部材6について説明する。図1及び図2に示すように、枠部材6は、複数の正面側支柱14と、複数の背面側支柱15と、複数の梁17と、複数の連結梁21とを備えている。複数の背面側支柱15は、複数の収容領域Sに対して奥行方向背面側X2において、幅方向Yに分かれて配置されている。複数の正面側支柱14は、複数の収容領域Sに対して奥行方向正面側X1において、幅方向Yに分かれて配置されている。ここでは、正面側支柱14と背面側支柱15とは、幅方向Yにおいて対応する位置に配置されている。複数の連結梁21は、上下方向Zの複数個所に分かれて配置されている。そして、連結梁21は、奥行方向Xに沿う姿勢で配置され、対応する幅方向Yの位置に配置された正面側支柱14と背面側支柱15とを互いに連結している。複数の梁17は、上下方向Zの複数個所に分かれて配置されている。そして、梁17は、幅方向Yに沿う姿勢で配置され、幅方向Yに隣り合う一対の背面側支柱15を互いに連結している。図示の例では、連結梁21は、上下方向Zに分かれて一対配置されており、一方の連結梁21が、背面側支柱15の上端部と、対応する正面側支柱14の上端部とを互いに連結している。そして、他方の連結梁21が、背面側支柱15の下端部と、対応する正面側支柱14の下端部とを互いに連結している(図1参照)。また、図示の例では、一般領域35に配置された複数の載置部10のそれぞれは、梁17に支持されている。具体的には、載置部10の被固定部11が梁17に固定されることで、載置部10は、枠部材6に直接支持されている(図2参照)。
【0019】
次に、特定領域34における枠部材6について、一般領域35における枠部材6とは異なる構成を中心に説明する。図1図2、及び図4に示すように、特定領域34には、梁17が設けられていない。そして、特定領域34における枠部材6は、複数の連結部材47を備えている。複数の連結部材47は、上下方向Zの複数個所に分かれて配置されている。連結部材47は、奥行方向Xに沿う姿勢で配置されている。連結部材47は、背面側支柱15と、対応する幅方向Yの位置に配置された正面側支柱14とを互いに連結すると共に、スライド機構40を支持している。このように、一般領域35の枠部材6には、スライド機構40は設けられていないが、特定領域34の枠部材6には、スライド機構40が設けられている。
【0020】
3-3.載置部付属部材
本実施形態では、図5及び図7に示すように、載置部付属部材30は、対応する載置部10の上に形成された収容領域Sよりも奥行方向背面側X2であって、奥行方向視で収容領域Sと重複する位置に配置されている。また、本例では、載置部付属部材30は、カバー3よりも奥行方向正面側X1に配置されている。すなわち、載置部付属部材30は、カバー3と、収容領域Sとの間に配置されている。図示の例では、載置部付属部材30のそれぞれは、対応する載置部10の被固定部11に、第1ブラケット29を介して固定されている。載置部付属部材30と第1ブラケット29とは、第1締結部材31により締結固定されている。
【0021】
図示の例では、載置部付属部材30は、載置部10に載置された物品Wの有無を検出する物品検出センサ32を構成する部材である。具体的には、載置部付属部材30は、物品検出センサ32を構成する反射板部である。すなわち、載置部付属部材30は、移載機83に設けられた投受光部36(図1参照)と協同して、物品検出センサ32として機能する。具体的には、移載機83が、移載対象箇所として選択された載置部10に対応する移載準備位置に配置された状態で、当該載置部10に物品Wが載置されていない場合には、投受光部36から投光された光が載置部付属部材30(反射板部)に到達し、載置部付属部材30で反射した光が投受光部36で受光される。ここで、載置部付属部材30は、入射光を光源方向に向けて反射する再帰性反射材を用いて構成されている。一方、移載対象箇所として選択された載置部10に物品Wが載置されている場合には、投受光部36から投光された光は物品Wにより遮られ、載置部付属部材30に到達しないため、投受光部36で受光されない。物品検出センサ32は、投受光部36が反射光を受光するか否かにより、載置部10に載置された物品Wの有無を検出する。
【0022】
3-4.カバー
図1に示すように、カバー3は、収容棚2の背面2Bを覆うように設けられている。本実施形態では、カバー3は、収容棚2の背面2Bの全部を覆うように設けられている。また、カバー3は、複数の収容領域Sに対して奥行方向背面側X2に配置されている。本実施形態では、カバー3は、固定式カバー部材13Kと、後述する複数のカバー部材13とを備えている。固定式カバー部材13Kは、枠部材6に固定されている。一方、複数のカバー部材13のそれぞれは、後述する載置部モジュール20に取り付けられており、当該載置部モジュール20と共にスライド機構40により奥行方向Xにスライド移動するように構成されている。一方、固定式カバー部材13Kは、カバー部材13が設けられていない残りの部分の背面2Bを覆うように、枠部材6に固定されている。すなわち、本例では、スライド機構40が配置された特定領域34には、複数のカバー部材13が上下方向Z及び幅方向Yに並んで配置され、スライド機構40が配置されていない一般領域35に、固定式カバー部材13Kが配置されている。
【0023】
4.載置部モジュール及びスライド機構
図2及び図8に示すように、自動倉庫1は、1つの載置部10又は幅方向Yに互いに隣接する複数の載置部10を備えた載置部モジュール20を備えている。本実施形態では、自動倉庫1は、載置部モジュール20を複数備えている。そして、複数の載置部モジュール20のそれぞれは、幅方向Yに互いに隣接する複数の載置部10を備えている。本例では、複数の載置部モジュール20は、それぞれ同数の載置部10を備えている。図示の例では、1つの載置部モジュール20が3つの載置部10を備えている(図5参照)。ここで、1つの載置部モジュール20が備える載置部10の数は、3つに限られず、2つ又は4つ以上であっても良い。
【0024】
本実施形態では、図2及び図8に示すように、複数の載置部モジュール20は、上下方向Zに並ぶように配置されている。複数の載置部モジュール20は、更に、幅方向Yにも並ぶように配置されている。本例では、載置部モジュール20は、特定領域34に配置されている。そして、上下方向Zに並ぶ複数の載置部モジュール20を、1つの載置部モジュール群20Tとすると、複数の載置部モジュール群20Tが、幅方向Yに並ぶように配置されている(図2参照)。図示の例では、複数の載置部モジュール群20Tのそれぞれは、最下段を含む複数段(ここでは下から4段目まで)に配置された載置部10を含んでいる。そして、各載置部モジュール群20Tにおける、1つの段につき、1つの載置部モジュール20が配置されている。
【0025】
図2図3、及び図7に示すように、載置部モジュール20は、スライド機構40を介して枠部材6に支持されている。本実施形態では、載置部モジュール20は、奥行方向Xにスライド移動自在となるように、スライド機構40を介して枠部材6に支持されている。以下では、載置部モジュール20とスライド機構40との具体的な構成について説明する。
【0026】
本例では、図3図4、及び図5に示すように、載置部モジュール20は、複数の載置部10と、これら複数の載置部10を支持する支持部材18と、を備えている。支持部材18は、幅方向Yに沿う姿勢で配置されていると共に、スライド機構40を介して連結部材47に支持されている。また、支持部材18は、収容領域Sに対して奥行方向背面側X2に配置されている。図示の例では、複数の載置部10(ここでは3つ)が、幅方向Yに並んだ状態で支持部材18に支持されている。それぞれの載置部10は、被固定部11が支持部材18に固定されている。
【0027】
また、本例では、図3図4図6、及び図7に示すように、スライド機構40は、載置部モジュール20と枠部材6とを連結すると共に、載置部モジュール20を枠部材6に対して奥行方向Xに移動自在に案内する。スライド機構40は、奥行方向Xに沿う姿勢で、連結部材47に取り付けられている。また、スライド機構40は、載置部モジュール20に対して幅方向Yの両側のそれぞれに設けられている。そして、幅方向Yの両側の2つのスライド機構40が、1つの載置部モジュール20を支持している。図6及び図7に示すように、本例では、スライド機構40は、連結部材47に固定されている第1スライドレール部41と、第1スライドレール部41に保持されている第2スライドレール部42と、第2スライドレール部42に保持されているスライダ部43と、複数の球44とを備えている。第2スライドレール部42は、第1スライドレール部41に対し、奥行方向Xに移動自在に保持されている。スライダ部43は、第2スライドレール部42に対し、奥行方向Xに移動自在に保持されている。そして、スライダ部43は、載置部モジュール20に固定されている。より具体的には、支持部材18の幅方向Yにおける両端部のそれぞれに、幅方向Yの両側のスライド機構40に係るスライダ部43が固定されている。図示の例では、支持部材18とスライダ部43とは、第2ブラケット48を介して固定されている(図6参照)。支持部材18と第2ブラケット48とは、第2締結部材46により締結固定されている。なお、本例では、スライド機構40として、複数の球44を含むスライダ及びスライドレールを用いたが、例えば、ボールスプライン、リニアブッシュ等、公知の各種のスライド機構40を用いることができる。このような構成により、本実施形態では、複数の載置部モジュール20のそれぞれが、互いに独立してスライド移動自在となるように、スライド機構40を介して枠部材6に支持される。すなわち、複数の載置部モジュール20のそれぞれが、互いに独立して、枠部材6に対して奥行方向Xにスライド移動することができる。
【0028】
図3図4、及び図7に示すように、スライド機構40は、載置部モジュール20を、基準位置T1と、基準位置T1よりも奥行方向背面側X2の位置である突出位置T2との間で、枠部材6に対してスライド移動自在に支持している。ここで、基準位置T1は、載置部10が枠部材6の奥行方向背面側X2の面である枠部材背面22よりも奥行方向正面側X1に配置される位置であり、突出位置T2は、載置部10が枠部材背面22よりも奥行方向背面側X2に突出する位置である。これにより、載置部モジュール20は、基準位置T1と突出位置T2との間を移動することができる。本実施形態では、複数の載置部10及び支持部材18と、後述するカバー部材13とが、一体的な載置部モジュール20として、基準位置T1と突出位置T2との間でスライド移動する。
【0029】
図7及び図8に示すように、載置部モジュール20の奥行方向背面側X2の面23が、カバー3の一部を構成するカバー部材13により覆われている。本実施形態では、複数の載置部モジュール20のそれぞれにおける奥行方向背面側X2の面23がカバー3の一部を構成するカバー部材13により覆われている。また、1つの載置部モジュール20につき、1つのカバー部材13が設けられている。そして、1つのカバー部材13により、1つの載置部モジュール20における奥行方向背面側X2の面23の全体が覆われるように構成されている。本例では、カバー部材13は、板状の部材である。そして、カバー部材13は、載置部モジュール20の支持部材18に取り付けられている。より詳細には、カバー部材13は、支持部材18の、奥行方向背面側X2を向く面に固定されている。そして、カバー部材13は、奥行方向視で、幅方向Yに並ぶ複数の載置部10と、それぞれの載置部10の上に形成された収容領域S(すなわち載置部10の上に載置された物品W)と、スライド機構40とを覆うように配置されている。また、カバー部材13は、上下方向Zに隣り合う2つの載置部モジュール20の双方が基準位置T1にある状態で、上下方向Zに隣接するカバー部材13同士が隙間なく接するように形成されている。図示の例では、カバー部材13は、幅方向Yに長い矩形状に形成されている。カバー部材13の上下方向Zの寸法は、載置部10に物品Wを載置した状態で、載置部10の下端から物品Wの上端までの長さよりも大きく設定されている。また、カバー部材13の幅方向Yの寸法は、1つの載置部モジュール20の幅方向Yの寸法よりも大きく設定されている。図示の例では、複数の載置部モジュール群20Tが幅方向Yに並んで配置されている。そして、幅方向Yに隣り合う2つの載置部モジュール20の双方が基準位置T1にある状態で、幅方向Yに隣接するカバー部材13同士が隙間なく接するように形成されている。
【0030】
本例では、カバー部材13に、取手部38が取り付けられている。取手部38は、載置部モジュール20を基準位置T1から突出位置T2に移動させる場合に、作業者等が把持する部分である。取手部38は、カバー部材13の奥行方向背面側X2を向く面に固定されている。図示の例では、1つのカバー部材13につき2個の取手部38が、幅方向Yに並んで設けられている。
【0031】
図3及び図8に示すように、載置部モジュール20は、当該載置部モジュール20が突出位置T2にある状態で、収容領域Sの上側が開放された状態となるように構成されている。本実施形態では、載置部モジュール20を覆うカバー部材13は、載置部モジュール20の奥行方向背面側X2を覆うように設けられているが、載置部モジュール20の上面にはカバー部材13のような載置部モジュール20を覆う部材は設けられていない。そのため、複数の載置部モジュール20のそれぞれは、載置部モジュール20が突出位置T2にあり、且つ、上側に隣接する別の載置部モジュール20が基準位置T1にある状態で、収容領域Sの上側が解放された状態となるように構成されている。これにより、作業者等は、上下方向Zに並ぶ複数の載置部モジュール20のうちの1つを突出位置T2にスライド移動させて、当該載置部モジュール20の上側から物品Wの取り出しを容易に行うことができる。
【0032】
5.ロック機構
本実施形態では、自動倉庫1は、複数の載置部モジュール20のスライド機構40によるスライド移動を規制するロック機構9を備えている。ロック機構9は、全ての載置部モジュール20のスライド移動を規制するロック状態と、全ての載置部モジュール20のスライド移動を許容するロック解除状態とに切り替え可能に構成されている。本実施形態では、搬送装置4に電力が供給されている状態、すなわち、搬送装置4による物品Wの移載を行うことができる状態では、ロック機構9がロック状態となり、全ての載置部モジュール20の奥行方向Xのスライド移動が規制される。一方、搬送装置4に電力が供給されていない状態では、ロック機構9がロック解除状態となり、全ての載置部モジュール20の奥行方向Xのスライド移動が許容される。ここで、搬送装置4による物品Wの移載を行うことができる状態では、収容棚2の背面2B側から物品Wを取り出す必要はない。このため、全ての載置部モジュール20が基準位置T1にある状態で、ロック機構9がロック状態となり、全ての載置部モジュール20の奥行方向Xへのスライド移動が規制される。一方、搬送装置4に電力が供給されていない状態では、搬送装置4による物品Wの取り出しができないため、必要な物品Wを作業者等が取り出すことができるようにする必要がある。そこで、ロック機構9がロック解除状態となり、全ての載置部モジュール20が、基準位置T1と突出位置T2との間を移動自在となる。
【0033】
図3及び図4に示すように、ロック機構9は、複数の係合突起54と、複数の係合突起54のそれぞれに対応する複数の係合部53とを備えている。係合突起54と係合部53とは、1つの載置部モジュール20につき1つ設けられている。具体的には、係合突起54は、カバー部材13に取り付けられており、係合部53は背面側支柱15に取り付けられている。係合突起54と係合部53とは、上下方向Z及び幅方向Yの対応する位置に配置されている。そして、載置部モジュール20が基準位置T1よりも奥行方向背面側X2から基準位置T1にスライド移動すると、係合突起54と係合部53とが係合するように構成されている。係合突起54と係合部53とが係合した状態では、係合部53の内部に設けられた電磁ロック55(図9参照)の機能により、係合突起54が係合部53から外れないように係合部53に保持される。これにより、ロック機構9は、ロック状態となる。一方、本例では、搬送装置4に電力が供給されていない状態では、電磁ロック55に電力が供給されないように構成されている。そのため、ロック解除状態では、係合突起54は係合部53から容易に外れ、載置部モジュール20と一体的に奥行方向Xにスライド移動する。このようにして、ロック解除状態では、載置部モジュール20の奥行方向Xのスライド移動が許容される。また、本例では、収容棚2に操作部58(図9参照)が設けられている。そして、作業者が操作部58を操作することにより、ロック機構9を、ロック状態とロック解除状態とに切り換えることもできる。本例では、操作部58は、収容棚2に設けられた操作スイッチとされている。なお、これには限らず、操作部58は、制御装置8の操作パネル等に設けられた操作スイッチとし、或いは、制御装置8を構成する端末によって操作可能なソフトウェアスイッチとしても良い。
【0034】
6.基準位置検出装置
本実施形態では、図2図3、及び図5に示すように、自動倉庫1は、載置部モジュール20が基準位置T1にあることを検出する基準位置検出装置7を更に備えている。本例では、基準位置検出装置7は、複数の載置部モジュール20のそれぞれに対応して複数設けられている。また、図示の例では、係合突起54と係合部53とが、基準位置検出装置7としての役割を果たす。すなわち、係合突起54が係合部53に係合すると、係合部53に内蔵されたセンサ61(図9参照)により、係合突起54の存在を検出する。これにより、基準位置検出装置7は、載置部モジュール20が基準位置T1にあることを検出することができる。このように、本実施形態では、基準位置検出装置7は、係合突起54と係合部53とセンサ61とを有して構成されている。
【0035】
7.制御装置
このような構成を実現するため、本実施形態では、図9に示すように、自動倉庫1は、搬送装置4を制御する制御装置8を更に備えている。本例では、制御装置8は、搬送装置4に電力が供給されている状態、すなわち、搬送装置4による物品Wの移載を行うことができる状態で、ロック機構9をロック状態とするように、全ての電磁ロック55を制御する。これにより、搬送装置4の動作中に作業者が誤って載置部モジュール20をスライド移動させてしまうことを回避できる。そして、例えば、停電の発生等により、搬送装置4への電力供給が遮断されると、それぞれの電磁ロック55への電力の供給も遮断されるため、ロック機構9は自動的にロック状態からロック解除状態に切り替わる。これにより、作業者は、載置部モジュール20を基準位置T1から突出位置T2に移動させて、収容棚2の背面側から物品Wを取り出すことができるようになる。また、本例では、制御装置8は、作業者等による操作部58の操作によっても、ロック機構9をロック状態とロック解除状態とに切り替えるように電磁ロック55を制御する。この場合、制御装置8は、搬送装置4に電力が供給されているか否かに関わらず、電磁ロック55にのみ電力を供給したり、遮断したりすることができる。このようにして、制御装置8は、ロック機構9をロック状態とロック解除状態とに切り替えるように電磁ロック55を制御する。
【0036】
本実施形態では、基準位置検出装置7により、載置部モジュール20が基準位置T1にあることを検出できない場合には、制御装置8は、搬送装置4の動作を禁止する。本例では、基準位置検出装置7により、複数の載置部モジュール20のうちの少なくとも1つについて、基準位置T1にあることを検出できない場合、制御装置8は、搬送装置4の動作を禁止、すなわち搬送装置4を停止させる。言い換えると、制御装置8は、基準位置検出装置7により全ての載置部モジュール20が基準位置T1にあることを検出している場合以外、搬送装置4の動作を禁止する。これにより、例えば、停電からの復旧により搬送装置4を再起動した場合に、複数の載置部モジュール20のうちの少なくとも1つが基準位置T1になければ、搬送装置4は動作しない。また、作業者が、操作部58を操作して、ロック機構9をロック解除状態からロック状態に切り換えた場合にも、複数の載置部モジュール20のうちの少なくとも1つが基準位置T1になければ、搬送装置4は動作しない。
【0037】
8.その他の実施形態
次に、自動倉庫のその他の実施形態について説明する。
【0038】
(1)上記の実施形態では、載置部モジュール20が、幅方向Yに互いに隣接する複数の載置部10を備える構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、1つの載置部モジュール20が1つの載置部10のみを備える構成としても良い。また、複数の載置部モジュール20のうちの一部の載置部モジュール20が1つの載置部10のみを備えており、残りの載置部モジュール20が複数の載置部10を備える構成としても良い。
【0039】
(2)上記の実施形態では、自動倉庫1は、複数の載置部モジュール20を備え、複数の載置部モジュール20が、上下方向Z及び幅方向Yに並ぶように配置されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、自動倉庫1が、単一の載置部モジュール20のみを備える構成としても良い。また、載置部モジュール20が、上下方向Zのみに複数並び、幅方向Yには一列のみ配置されている構成としても良い。そして、載置部モジュール20が幅方向Yのみに複数並ぶ構成としても良い。
【0040】
(3)上記の実施形態では、複数の載置部モジュール20のうちの一部が基準位置T1にない場合に、制御装置8が搬送装置4の動作を禁止する構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、複数の載置部モジュール20のうちの一部が基準位置T1にない場合であっても、制御装置8が搬送装置4の動作を禁止しないようにしても良い。この場合、制御装置8は、基準位置T1にない載置部モジュール20に対する物品Wの移載のみを禁止し、基準位置T1にある他の載置部モジュール20に対しては物品Wの移載を許可するように、搬送装置4を制御すると好適である。
【0041】
(4)上記の実施形態では、自動倉庫1は、ロック機構9を備えており、当該ロック機構9は、全ての載置部モジュール20のスライド移動を規制するロック状態と、全ての載置部モジュール20のスライド移動を許容するロック解除状態とに切り替え可能である構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、自動倉庫1は、複数のロック機構9を備え、それぞれのロック機構9が一部の載置部モジュール20のロック状態とロック解除状態とを切り替えるように構成されていても良い。或いは、自動倉庫1は、ロック機構9を備えていなくても良い。
【0042】
(5)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0043】
9.上記実施形態の概要
以下では、上記において説明した自動倉庫の概要について説明する。
【0044】
自動倉庫は、複数の物品を収容可能な収容棚と、前記収容棚の正面に沿って移動して前記物品を搬送する搬送装置と、を備えた自動倉庫であって、前記収容棚は、それぞれに前記物品が載置される複数の載置部と、複数の前記載置部を支持する枠部材と、カバーと、を備え、前記カバーは、前記収容棚の背面を覆うように設けられ、前記収容棚の前記正面及び前記背面の一方から他方へ向かう方向を奥行方向とし、前記奥行方向に沿う奥行方向視で上下方向に直交する方向を幅方向とし、前記奥行方向における前記背面から前記正面へ向かう側を奥行方向正面側とし、前記奥行方向における前記正面から前記背面へ向かう側を奥行方向背面側として、複数の前記載置部は、前記上下方向及び前記幅方向にそれぞれ複数並ぶように配置され、前記上下方向に隣接する2つの前記載置部の間に、前記物品が収容される領域である収容領域が形成され、1つの前記載置部又は前記幅方向に互いに隣接する複数の前記載置部を備えた載置部モジュールを備え、前記載置部モジュールは、スライド機構を介して前記枠部材に支持され、前記スライド機構は、前記載置部モジュールを、基準位置と、前記基準位置よりも前記奥行方向背面側の位置である突出位置との間で、前記枠部材に対してスライド移動自在に支持し、前記基準位置は、前記載置部が前記枠部材の前記奥行方向背面側の面である枠部材背面よりも前記奥行方向正面側に配置される位置であり、前記突出位置は、前記載置部が前記枠部材背面よりも前記奥行方向背面側に突出する位置であり、前記載置部モジュールの前記奥行方向背面側の面が前記カバーの一部を構成するカバー部材により覆われており、前記載置部モジュールは、当該載置部モジュールが前記突出位置にある状態で、前記収容領域の上側が解放された状態となるように構成されている。
【0045】
本構成によれば、載置部モジュールを突出位置にスライド移動させることで、載置部モジュールの上側から物品の取り出しを容易に行うことができる。また、載置部モジュールが基準位置にある状態では、カバー部材を含むカバーにより、収容棚の背面が覆われた状態とすることができる。
このように、載置部モジュールを突出位置にスライド移動させた状態で、当該載置部モジュールの上側から物品の取り出しを行う構成とすることで、単に複数の載置部の背面を覆うカバーを取り外して奥行方向に物品を取り出す場合に比べて、作業者による物品の取り出しを容易化することができる。また、奥行方向に物品を取り出す場合のように、作業者による物品の取り出しを容易化するために複数の載置部の上下方向の間隔を大きく確保する必要がないため、収容棚における物品の保管効率を高め易い。
【0046】
ここで、複数の前記載置部モジュールが、前記上下方向に並ぶように配置され、複数の前記載置部モジュールのそれぞれは、互いに独立してスライド移動自在となるように、前記スライド機構を介して前記枠部材に支持され、複数の前記載置部モジュールのそれぞれは、当該載置部モジュールが前記突出位置にあり、且つ、上側に隣接する別の前記載置部モジュールが前記基準位置にある状態で、前記収容領域の上側が開放された状態となるように構成されていると好適である。
【0047】
本構成によれば、上下方向に並ぶ複数の載置部モジュールのうちの1つを突出位置にスライド移動させることで、載置部モジュールの上側から物品の取り出しを容易に行うことができる。このように、上下方向に載置部モジュールを複数並べることで、複数の載置部モジュールのそれぞれから、物品を容易に取り出すことができる。また、奥行方向に物品を取り出す場合のように、それぞれの載置部モジュールにおける載置部の上下方向の間隔を大きく確保する必要がないため、収容棚における物品の保管効率をより高め易い。
【0048】
ここで、前記載置部モジュールが前記基準位置にあることを検出する基準位置検出装置と、前記搬送装置を制御する制御装置と、を更に備え、前記基準位置検出装置により、前記載置部モジュールが前記基準位置にあることを検出できない場合には、前記制御装置は、前記搬送装置の動作を禁止すると好適である。
【0049】
載置部モジュールが基準位置にない状態で、搬送装置により当該載置部モジュールに含まれる載置部に対して物品を移載しようとすると、適切に物品を移載することができないばかりか、物品を破損させる可能性もある。本構成によれば、基準位置検出装置により、載置部モジュールが基準位置にあることを検出できない場合は、搬送装置は動作しない。よって、これらの事態を回避することができる。
【0050】
また、前記載置部モジュールを複数備え、複数の前記載置部モジュールの前記スライド機構によるスライド移動を規制するロック機構を更に備え、前記ロック機構は、全ての前記載置部モジュールのスライド移動を規制するロック状態と、全ての前記載置部モジュールのスライド移動を許容するロック解除状態とに切り替え可能に構成されていると好適である。
【0051】
本構成によれば、収容棚の背面側からの物品の取り出しを行う必要がない通常時には、ロック機構をロック状態としておくことにより、作業者が誤って載置部モジュールをスライド移動させてしまうことを回避できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示に係る技術は、自動倉庫に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 :自動倉庫
2 :収容棚
2A :正面
2B :背面
3 :カバー
4 :搬送装置
6 :枠部材
7 :基準位置検出装置
8 :制御装置
9 :ロック機構
10 :載置部
13 :カバー部材
20 :載置部モジュール
22 :枠部材背面
30 :載置部付属部材
40 :スライド機構
S :収容領域
T1 :基準位置
T2 :突出位置
W :物品
X :奥行方向
X1 :奥行方向正面側
X2 :奥行方向背面側
Y :幅方向
Z :上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9