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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】容器保管設備
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20240611BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240611BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65G1/00 521D
B65G1/00 511A
H01L21/68 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021183244
(22)【出願日】2021-11-10
(65)【公開番号】P2023070864
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】福島 秀基
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140379(JP,A)
【文献】特開2014-241377(JP,A)
【文献】特開2017-186161(JP,A)
【文献】特開2013-140893(JP,A)
【文献】特開2015-009913(JP,A)
【文献】特開2015-012042(JP,A)
【文献】国際公開第2015/114981(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
H01L 21/677
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに容器が載置される容器載置部を複数備えた容器保管棚と、前記容器載置部に載置された前記容器のそれぞれに対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を備えた容器保管設備であって、
前記容器保管棚は、天井から吊り下げられて支持され、水平方向に沿う第1方向に複数の容器載置部が並んで配置され、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第2方向の一方側を第2方向第1側とし、前記第2方向の他方側を第2方向第2側とし、前記容器載置部に載置された前記容器と重複する高さを重複高さとして、
前記重複高さであって前記容器に対して前記第2方向第1側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第1センサ群と、
前記重複高さであって前記容器に対して前記第2方向第2側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第2センサ群と、
前記重複高さよりも下側に設定された第1規定高さであって前記第1センサ群よりも前記第2方向第1側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第3センサ群と、
前記重複高さよりも下側に設定された第2規定高さであって前記第2センサ群よりも前記第2方向第2側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第4センサ群と、を備える、容器保管設備。
【請求項2】
制御装置と、人を検知する人感センサと、を更に備え、
前記容器保管棚、前記第1センサ群、前記第2センサ群、前記第3センサ群、及び前記第4センサ群を含む空間が複数の監視エリアに区分され、前記人感センサは、それぞれの前記監視エリアに侵入しようとする人の有無を検知するように構成され、
前記制御装置は、前記第1センサ群、前記第2センサ群、前記第3センサ群、及び、前記第4センサ群を構成する複数の前記酸素濃度センサのそれぞれの検出値に基づいて、前記複数の監視エリアのそれぞれの酸素濃度を推定し、推定した前記酸素濃度が規定の判定しきい値以下となっている前記監視エリアである酸素濃度低下エリアがある場合であって、当該酸素濃度低下エリアに人が侵入しようとしていることを前記人感センサにより検知した場合に、警報を出力する、請求項1に記載の容器保管設備。
【請求項3】
前記人感センサは、前記複数の監視エリアのそれぞれに対応して複数配置されている、請求項2に記載の容器保管設備。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1センサ群、前記第2センサ群、前記第3センサ群、及び、前記第4センサ群を構成する全ての前記酸素濃度センサの検出値に基づいて、空間補により前記複数の監視エリアのそれぞれの酸素濃度の最低値を推定し、前記最低値が前記判定しきい値以下である前記監視エリアを、前記酸素濃度低下エリアと判定する、請求項2又は3に記載の容器保管設備。
【請求項5】
表示装置を更に備え、
前記制御装置は、前記複数の監視エリアのそれぞれについて推定した酸素濃度を、前記容器保管棚の位置に関連付けた酸素濃度マップとして前記表示装置に表示する、請求項2から4のいずれか一項に記載の容器保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれに容器が載置される容器載置部を複数備えた容器保管棚と、前記容器載置部に載置された前記容器のそれぞれに対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を備えた容器保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような容器保管設備の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号及び名称を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1に記載のパージ装置は、クリーンルーム内に設置されるストッカ(2)に備えられる。ストッカ(2)の内部スペース(6)は、作業エリア(12)と、非作業エリア(14)とに分割される。作業エリア(12)と非作業エリア(14)との境界には、非作業エリア(14)から作業エリア(12)へのパージガスの侵入を制限するパーティション(30)が置かれる。パージ装置は、作業者が内部スペース(6)に立ち入る際には、作業エリア(12)でのパージを停止する。作業エリア(12)での酸素濃度を監視し、酸素濃度センサ(54)から取得した、作業エリア(12)内の酸素濃度の検出結果が、所定値以下の場合、非作業エリア(14)でもパージガスの供給を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/045582号(〔0017〕段落、〔0018〕段落、〔0021〕段落、〔0030〕段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、作業者が内部スペースに立ち入る際に、作業エリアのパージを停止して作業者の安全を確保している。更に、作業エリアの酸素濃度が所定値以下になった場合には、非作業エリアのパージを停止することで、作業エリアの酸素濃度の回復を図っている。ところで、例えば容器保管棚には、天井から吊り下げられて支持され、複数の容器載置部が並んで配置されるものがある。このような容器保管棚では、容器からの不活性ガスの漏れの程度に応じて、酸素濃度が局所的に低下しているエリアが存在することがあり、このような場合、作業者は当該酸素濃度が低下したエリアに入ることはできない。そのため、このような容器保管棚に対する作業を作業者が行うためには、酸素濃度が局所的に低下しているエリアの有無を適切に検出する必要がある。しかしながら、特許文献1には、このような天井から吊り下げられた容器保管棚の周囲の局所的な酸素濃度の低下を検出することについては開示されていない。
【0006】
そこで、天井から吊り下げられて支持されていると共に複数の容器載置部が並んで配置される容器保管棚の周囲の酸素濃度を適切に検知することができる容器保管設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、容器保管設備の特徴構成は、
それぞれに容器が載置される容器載置部を複数備えた容器保管棚と、前記容器載置部に載置された前記容器のそれぞれに対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を備えた容器保管設備であって、
前記容器保管棚は、天井から吊り下げられて支持され、水平方向に沿う第1方向に複数の容器載置部が並んで配置され、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第2方向の一方側を第2方向第1側とし、前記第2方向の他方側を第2方向第2側とし、前記容器載置部に載置された前記容器と重複する高さを重複高さとして、
前記重複高さであって前記容器に対して前記第2方向第1側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第1センサ群と、
前記重複高さであって前記容器に対して前記第2方向第2側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第2センサ群と、
前記重複高さよりも下側に設定された第1規定高さであって前記第1センサ群よりも前記第2方向第1側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第3センサ群と、
前記重複高さよりも下側に設定された第2規定高さであって前記第2センサ群よりも前記第2方向第2側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第4センサ群と、を備える点にある。
【0008】
それぞれに容器が載置される容器載置部を複数備えた容器保管棚と、容器載置部に載置された容器のそれぞれに対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を備えた容器保管設備において、容器からの不活性ガスの漏れの程度に応じて、局所的に酸素濃度が低下する場合がある。この場合、酸素濃度が低下したエリアには作業者が入ることができない。特に、天井から吊り下げられて支持された容器保管棚では、容器保管棚に対して接近する作業者の頭部付近において、酸素濃度が局所的に低下していることがある。このような場合には、それを適切に検知して警告などを行う必要がある。本構成によれば、作業者の頭部が下方から接近することが想定される、天井から吊り下げられて支持された容器保管棚の周囲の酸素濃度を適切に検知することができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る容器保管設備の斜視図
図2】第1方向第2側から見た容器保管棚
図3】第2方向第1側から見た容器保管棚
図4】第2方向第2側から見た容器保管棚
図5】制御装置による警報の出力に係る機能部を示すブロック図
図6】人感センサの配置図
図7】監視エリアの設定例
図8】人感センサにより検知範囲の一例を示す図
図9】表示装置に表示するマップの一例
図10】容器を搬送する物品搬送装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る容器保管設備の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、容器保管設備が、清浄空気が天井側から床側に向けて下向きに通流するダウンフロー式のクリーンルーム内に設置された場合を例として説明する。
【0012】
容器保管設備1は、図1に示すように、容器保管棚10と不活性ガス供給装置45とを備えている。容器保管棚10は容器4を保管する棚であり、本実施形態では、容器保管棚10は、周囲を囲む周壁部を有さない開放型の棚が例示される。容器保管棚10は、それぞれに容器4が載置される容器載置部11を複数備えている。そして、容器載置部11に載置された容器4のそれぞれに対して不活性ガス供給装置45により不活性ガスが供給される。
【0013】
ここで、本実施形態では、水平方向に沿う特定の方向(本実施形態では、水平方向に沿う容器保管棚10の長手方向)を第1方向Xとし、上下方向に沿う上下方向視で第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交する方向である上下方向に沿う方向を第3方向Zとする。また、本実施形態では、第1方向Xの一方側を第1方向第1側X1とし、第1方向Xの他方側を第1方向第2側X2として説明する。また、本実施形態では、第2方向Yの一方側を第2方向第1側Y1とし、第2方向Yの他方側を第2方向第2側Y2として説明する。
【0014】
容器保管棚10は、天井から吊り下げられて支持されるように構成される。容器保管棚10は、第1方向Xに離間して配置された一対の吊下部10Aを備えている。容器保管棚10は、この吊下部10Aを、例えばクリーンルームの天井に設けられる支持体(図示せず)に連結することにより、天井から吊り下げられる。一対の吊下部10Aは、容器保管棚10における容器載置部11よりも上側に配置される。
【0015】
本実施形態では、図6に示すように、容器載置部11には、容器4の底部に係合して容器4の位置決めを行う位置決めピン11aが配置されている。また、容器載置部11には、容器4の底部に設けられた接続口に接続し、不活性ガスを容器4に供給するための給気部11bも設けられている。また、容器保管棚10は、第1方向Xに複数並んで配置される。本実施形態の容器載置部11は、容器載置部11を4つ備えている。よって、1つの容器載置部11には、最大で4つの容器4を載置することが可能である。
【0016】
本実施形態では、容器4は、内部空間を気密状態とするように密閉可能な容器である。容器4の内部には、例えば、半導体基板やレチクル基板等が収容される。本実施形態では、容器4は、本体部と、当該本体部に対して着脱自在な蓋部とを備え、本体部に対して蓋部が取り付けられた状態において、容器4の内部空間が気密状態となるように構成されている。
【0017】
不活性ガス供給装置45は、複数の容器載置部11に載置される容器4の内部に、図示しない供給部を介して不活性ガスを供給するように構成されている。不活性ガスとは、容器4に収容されている収容物に対する反応性が低い(問題となる化学反応を実質的に生じさせない)気体であり、本実施形態では、不活性ガスとして窒素ガスを用いている。なお、不活性ガスは、窒素ガスに代えて、二酸化炭素であっても良いし、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどのような希ガスでも良い。
【0018】
不活性ガス供給装置45は、不活性ガスの供給源に接続された第1配管45aと、第1配管45aと容器4とを接続する第2配管45bとを備えている。本実施形態では、第1配管45aは、第3方向Zに延びるように配設されており、第2配管45bは、第1配管45aから分岐して第1方向X及び第2方向Yに延びるように配設されている。そして、第2配管45bは、容器載置部11に設けられた給気部11bに接続されている。
【0019】
不活性ガス供給装置45は、第1配管45a及び第2配管45bにおける不活性ガスの流量を調節可能な流量調節装置45cも備えている。流量調節装置45cにより、第1配管45a及び第2配管45bにおける不活性ガスの流量を調節することで、容器4に供給する不活性ガスの供給流量を調節することができる。図1では、流量調節装置45cは第1配管45aに設けられているが、流量調節装置45cは第2配管45bに設けても良い。不活性ガス供給装置45からの不活性ガスは、容器4のそれぞれに供給され、容器4の内部を陽圧にする。そして、容器4の内圧が一定以上になると、容器4の内部の不活性ガスの一部が容器4の外部(クリーンルームにおける容器保管設備1の保管空間90)に排出される。容器4から排出された不活性ガスを含む保管空間90の空気は、クリーンルーム内の清浄空気の循環に応じて、天井側から床側に向けて下向きに通流する。
【0020】
容器保管設備1は、複数の酸素濃度センサ20を備える。酸素濃度センサ20は、それぞれの位置において酸素の濃度を検出する。酸素濃度センサ20は、ジルコニア式、磁気式、半導体レーザ分光式、電極式等、これらに限定されず、どのような方式のものであっても良い。本実施形態では、容器保管設備1は、それぞれが複数の酸素濃度センサ20からなる、第1センサ群31、第2センサ群32、第3センサ群33、及び第4センサ群34を備える。
【0021】
第1センサ群31は、重複高さSであって容器4に対して第2方向第1側Y1において第1方向Xに並んで配置された複数の酸素濃度センサ20からなる。図2には、第1方向第2側X2から見た容器保管棚10が示される。重複高さSとは、図2に示されるように、第1方向Xに沿って容器保管棚10を見て、容器載置部11に載置された容器4と重複する高さである。すなわち、第3方向Zにおける容器載置部11に載置された容器4の下端4Bから上端4Uまでの高さである。本実施形態では、第2方向第1側Y1とは、例えば図2に示されるように第1方向第1側X1に向かって容器保管棚10を見た場合における、第2方向Yの左側及び右側のうちの右側にあたる。第1方向Xに並んで配置されるとは、第1センサ群31を構成する複数の酸素濃度センサ20が、第1方向Xに沿って整列していることをいう。したがって、第1センサ群31は、第1方向Xに沿って容器保管棚10を見て、第3方向Zにおける容器載置部11に載置された容器4の下端4Bから上端4Uまでの高さの範囲内で、且つ、第1方向第1側X1に向かって容器保管棚10を見た場合における、容器保管棚10に対して第2方向Yの右側に配置される。
【0022】
ここで、図3には、第2方向第1側Y1から見た容器保管棚10が示される。本実施形態では、図3に示されるように、第1センサ群31は、第1方向Xに並んで配置された2つの酸素濃度センサ20を含んでいる。また、本例では、第1センサ群31は、図3に示されるように、容器保管棚10における第1方向第1側X1の端部と第1方向第2側X2の端部とに配置されている。なお、第1センサ群31が、第1方向Xに並んで配置された3つ以上の酸素濃度センサ20を含んでいても良い。この場合、第1センサ群31における、隣り合う2つの酸素濃度センサ20の第1方向Xの間隔は、図3に示す例よりも短くなる。
【0023】
第2センサ群32は、重複高さSであって容器4に対して第2方向第2側Y2において第1方向Xに並んで配置された複数の酸素濃度センサ20からなる。本実施形態では、第2方向第2側Y2とは、例えば図2に示されるように第1方向第1側X1に向かって容器保管棚10を見た場合における、第2方向Yの左側及び右側のうちの左側にあたる。したがって、第2センサ群32は、第1方向Xに沿って容器保管棚10を見て、第3方向Zにおける容器載置部11に載置された容器4の下端4Bから上端4Uまでの高さの範囲内で、且つ、第1方向第1側X1に向かって容器保管棚10を見た場合における、容器保管棚10に対して第2方向Yの左側に配置される。このように、第1センサ群31と第2センサ群32とは、容器保管棚10を挟んで、第2方向Yの両側に分かれて配置されている。
【0024】
ここで、図4には、第2方向第2側Y2から見た容器保管棚10が示される。本実施形態では、図4に示されるように、第2センサ群32は、第1方向Xに並んで配置された2つの酸素濃度センサ20を含んでいる。また、本例では、第2センサ群32は、図4に示されるように、容器保管棚10における第1方向第1側X1の端部と第1方向第2側X2の端部とに配置されている。なお、第2センサ群32が、第1方向Xに並んで配置された3つ以上の酸素濃度センサ20を含んでいても良い。この場合、第2センサ群32における、隣り合う2つの酸素濃度センサ20の第1方向Xの間隔は、図3に示す例よりも短くなる。
【0025】
第3センサ群33は、重複高さSよりも下側に設定された第1規定高さT1であって第1センサ群31よりも第2方向第1側Y1において第1方向Xに並んで配置された複数の酸素濃度センサ20からなる。第1規定高さT1は、図2に示されるように、第3方向Zにおける、容器載置部11に載置された容器4の下端4Bよりも下側に設定された高さである。本実施形態では、第1規定高さT1は、容器4の下端4Bからの第3方向Zの距離が重複高さSに相当する長さ以下となるような高さに設定されている。なお、図示の例では、第1規定高さT1は、床面Uからの高さとして設定されている。第1センサ群31よりも第2方向第1側Y1とは、図2に示されるように、第1センサ群31に比べて、容器保管棚10における第1方向Xの中央部から離間した領域を指す。したがって、第3センサ群33は、第1方向Xに沿って容器保管棚10を見た場合に、第3方向Zにおける重複高さSよりも下側に設定された第1規定高さT1において、第1センサ群31よりも容器保管棚10における第1方向Xの中央部から離間した位置に配置されている。
【0026】
ここで、本実施形態では、図3に示されるように、第3センサ群33は、第1方向Xに並んで配置された2つの酸素濃度センサ20を含んでいる。また、本例では、図3に示されるように、容器保管棚10における第1方向第1側X1の端部と第1方向第2側X2の端部とに配置されている。本例では、容器保管棚10の第2方向第1側Y1における、第1方向第1側X1の端部、及び、容器保管棚10における第1方向第2側X2の端部に、それぞれ支持部材12が設けられている。そして、第3センサ群33を構成する酸素濃度センサ20のそれぞれは、支持部材12によって容器保管棚10に支持されている。本例では、それぞれの支持部材12は、容器保管棚10の第2方向第1側Y1において、第1方向第1側X1の端部、又は、容器保管棚10における第1方向第2側X2の端部から、第3方向Zに沿って下方に延出する第1延出部12Aと、第1延出部12Aの下端部から第2方向第1側Y1に延出する第2延出部12Bとを有する。本例では、第3センサ群33を構成する酸素濃度センサ20は、第2延出部12Bにおける第2方向第1側Y1の先端部分に配置されている。
【0027】
第4センサ群34は、重複高さSよりも下側に設定された第2規定高さT2であって第2センサ群32よりも第1方向第2側X2において第1方向Xに並んで配置された複数の酸素濃度センサ20からなる。第2規定高さT2は、図2に示されるように、第3方向Zにおける、容器載置部11に載置された容器4の下端4Bよりも下側に設定された高さである。本実施形態では、第2規定高さT2は、容器4の下端4Bからの第3方向Zの距離が重複高さSに相当する長さ以下となるような高さに設定されている。なお、図示の例では、第2規定高さT2は、床面Uからの高さとして設定されている。第2センサ群32よりも第1方向第2側X2とは、図2に示されるように、第2センサ群32に比べて、容器保管棚10における第1方向Xの中央部から離間した領域を指す。したがって、第4センサ群34は、第1方向Xに沿って容器保管棚10を見た場合に、第3方向Zにおける重複高さSよりも下側に設定された第2規定高さT2において、第2センサ群32よりも容器保管棚10における第1方向Xの中央部から離間した位置に配置されている。
【0028】
ここで、本実施形態では、図4に示されるように、第4センサ群34は、第1方向Xに並んで配置された2つの酸素濃度センサ20を含んでいる。また、本例では、図4に示されるように、容器保管棚10における第1方向第1側X1の端部と第1方向第2側X2の端部とに配置されている。本例では、容器保管棚10の第2方向第2側Y2における、第1方向第1側X1の端部、及び、容器保管棚10における第1方向第2側X2の端部に、それぞれ支持部材13が設けられている。そして、第4センサ群34を構成する酸素濃度センサ20のそれぞれは、支持部材13によって容器保管棚10に支持されている。本例では、それぞれの支持部材13は、容器保管棚10の第2方向第2側Y2において、第1方向第1側X1の端部、又は、容器保管棚10における第1方向第2側X2の端部から、第3方向Zに沿って下方に延出する第1延出部13Aと、第1延出部13Aの下端部から第2方向第2側Y2に延出する第2延出部13Bとを有する。本例では、第4センサ群34を構成する酸素濃度センサ20は、第2延出部13Bにおける第2方向第2側Y2の先端部分に配置されている。
【0029】
本実施形態では、第1規定高さT1と第2規定高さT2とは、互いに同じ高さに設定されている。このように構成することで、容器保管棚10を第1方向Xに沿って見た場合に、第1センサ群31、第2センサ群32、第3センサ群33、及び第4センサ群34が、台形状に配置される。これにより、容器4から排出された後、クリーンルームの天井部から床部へ向かう気流に流され、床面Uに向かうに従って拡散する不活性ガスによる酸素濃度の低下を、適切に検出し易い構成となっている。
【0030】
なお、第1規定高さT1と第2規定高さT2とは互いに異なる高さであっても良い。この場合、第1規定高さT1が第2規定高さT2よりも高くても良いし、或いは、第2規定高さT2が第1規定高さT1よりも高くても良い。
【0031】
ここで、本実施形態では、容器保管設備1は、制御装置40と人感センサ50とを備え、制御装置40が、酸素濃度センサ20の検出結果、及び人感センサ50の検出結果に応じて、警報を出力するように構成されている。図5は、制御装置40による警報の出力に係る機能部を示したブロック図である。
【0032】
制御装置40は、監視エリア設定部41、酸素濃度推定部42、警報出力部43、マップ生成部44を備え、これらの機能部は酸素濃度の拡散に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0033】
人感センサ50は、検知範囲における人の存在を検知する。本例では、人感センサ50は、予め設定された検知範囲内の赤外線を検知し、当該赤外線の変化に基づき、検知範囲内における人の存在を検知する。もちろん、人感センサ50として、例えば、超音波を周囲に発信し、その反射波に基づき人の存在を検知する構成のものを用いることも可能である。本実施形態では、人感センサ50は、容器保管棚10の周囲に複数分散して配置されている。
【0034】
図6には、本実施形態に係る酸素濃度センサ20、及び人感センサ50の配置例が示される。本例では、図6に示されるように、酸素濃度センサ20は、容器保管棚10に8つ設けられている。また、本例では、人感センサ50は、容器保管棚10の下部に4つ設けられている。本実施形態では、人感センサ50は、容器載置部11よりも下側を検知範囲とするように配置されている。本例では、人感センサ50は、第3センサ群33の酸素濃度センサ20が設けられる一対の支持部材12の第2延出部12Bの先端部分と、第4センサ群34の酸素濃度センサ20が設けられる一対の支持部材13の第2延出部13Bの先端部分とのそれぞれに、床面Uの側を向けて設けられている。これにより、本例における人感センサ50は、容器載置部11よりも下側であって、第3方向Zに沿う第3方向視(上下方向視)で容器保管棚10と重複する範囲を検知範囲とするように配置されている。
【0035】
監視エリア設定部41は、容器保管棚10、第1センサ群31、第2センサ群32、第3センサ群33、及び第4センサ群34を含む空間を複数に区分した監視エリアAを設定する。「複数に区分した」とは、規定のサイズで複数に区分することを意味する。本実施形態では、監視エリア設定部41は、容器保管棚10、第1センサ群31、第2センサ群32、第3センサ群33、及び第4センサ群34の全体を含む空間(以下「保管棚周辺空間」)を、規定のサイズで複数に区分する。区分したエリアのそれぞれが、監視エリアAとして扱われる。本例では、図7に示されるように、監視エリア設定部41は、保管棚周辺空間を、第1方向Xに沿って2つに区分し、第2方向Yに沿って2つに区分している。なお、本例では、第3方向Zには1つの区分となっている。したがって、図7の例では、4つの監視エリアAが設定される。
【0036】
人感センサ50は、それぞれの監視エリアAに侵入しようとする人の有無を検知するように構成されている。図8に示すように、本実施形態では、人感センサ50は、容器保管棚10における容器載置部11よりも下側を検知範囲とするように配置されている。これにより、人感センサ50は、容器載置部11に対して下側から接近してくる人を検知することができる。ここで、容器保管棚10は天井から吊り下げられているため、監視エリアAに侵入しようとする人は、ほとんどの場合、容器載置部11に対して下側から接近してくることになる。よって、人感センサ50により検出される人は、監視エリアAに侵入しようとしている人であると判断できる。また、本実施形態では、人感センサ50は、複数の監視エリアAのそれぞれに対応して複数配置される。すなわち、複数の人感センサ50のそれぞれは、複数の監視エリアAのそれぞれの下側を検知範囲とするように配置されている。本例では、4つの監視エリアAのそれぞれに、1つの人感センサ50が配置されている。そして、それぞれの人感センサ50は、対応する監視エリアAに対して下側から接近してくる人を検知するように構成されている。
【0037】
酸素濃度推定部42は、複数の酸素濃度センサ20のそれぞれの検出値に基づいて、複数の監視エリアAのそれぞれの酸素濃度を推定する。複数の酸素濃度センサ20とは、第1センサ群31を構成する2つの酸素濃度センサ20、第2センサ群32を構成する2つの酸素濃度センサ20、第3センサ群33を構成する2つの酸素濃度センサ20、第4センサ群34を構成する2つの酸素濃度センサ20である。酸素濃度推定部42には、これらの酸素濃度センサ20から、検出値が伝達される。本例では、酸素濃度センサ20の検出値は、リアルタイムで、或いは、一定の時間間隔で、酸素濃度推定部42に伝達される。酸素濃度推定部42は、伝達された酸素濃度センサ20の検出値に基づき、複数の監視エリアAにおける酸素濃度を推定する。本例では、複数の監視エリアAのそれぞれに、2つの酸素濃度センサ20が含まれるように設定されているが、監視エリアAのそれぞれについて、2つの酸素濃度の検出値の最低値を用いても良いし、平均値を用いても良い。また、例えば、互いに隣接する2つの酸素濃度センサ20の検出値を利用して、酸素濃度の勾配(濃度勾配)を算出し、この算出した結果に基づき、複数の監視エリア毎に酸素濃度を推定しても良い。
【0038】
警報出力部43は、推定した酸素濃度が規定の判定しきい値以下となっている監視エリアAである酸素濃度低下エリアA1(図9参照)がある場合であって、当該酸素濃度低下エリアA1に人が侵入しようとしていることを人感センサ50により検知した場合に、警報を出力する。推定した酸素濃度とは、酸素濃度推定部42により推定された監視エリア毎の酸素濃度である。判定しきい値は、例えば、容器保管設備1における作業者が、支障が生じないように作業ができる酸素濃度を規定した下限値である。警報出力部43には、人感センサ50から検出結果が伝達される。警報出力部43は、酸素濃度推定部42により推定された監視エリア毎の酸素濃度が判定しきい値以下であるか否かをリアルタイムで判定する。そして、警報出力部43は、この判定において、酸素濃度が判定しきい値以下である監視エリアAがあった場合に、当該監視エリアAを酸素濃度低下エリアA1とし、人感センサ50の検出結果が、酸素濃度が判定しきい値以下である酸素濃度低下エリアA1に人が侵入しようとしていることを示すものである場合に、警報を出力する。ここで、警報は、酸素濃度低下エリアA1に侵入しようとしている人に対して、当該侵入しようとしている監視エリアAの酸素濃度が低下していることを示すものであっても良いし、その監視エリアAから離れることを促すものであっても良い。また、この警告は、例えば容器保管棚10やクリーンルームにスピーカを設け、このスピーカから出力するようにすると良い。また、クリーンルームの管理者が有する端末により警報を出力するようにしても良い。このような警報は、音声や画像表示や文字表示等を用いて出力することができる。或いは、警報は、単なるブザー音であっても良い。
【0039】
また、酸素濃度推定部42は、第1センサ群31、第2センサ群32、第3センサ群33、及び、第4センサ群34を構成する全ての酸素濃度センサ20の検出値に基づいて、空間補により複数の監視エリアAのそれぞれの酸素濃度の最低値を推定するように構成しても良い。すなわち、例えば、監視エリアA毎に、酸素濃度を推定するのではなく、互いに隣接する複数の酸素濃度センサ20の検出値を用いて、各所における酸素濃度の勾配(濃度勾配)を推定し、その推定値に基づいて複数の監視エリアAのそれぞれの中における酸素濃度分布を推定する。そして、酸素濃度推定部42は、このように推定した各監視エリアAの酸素濃度分布のうち、最も低い酸素濃度の値を、当該監視エリアAの酸素濃度の最低値として推定する。このような空間補を用いた酸素濃度の推定方法は、上記のように、複数の監視エリアAのそれぞれに2つの酸素濃度センサ20が含まれる構成に限らず、酸素濃度センサ20が含まれる監視エリアAと含まれない監視エリアAとが存在する構成や、1つの監視エリアAに1つ又は3つ以上の酸素濃度センサ20が含まれる構成においても、適切に酸素濃度を推定することができる。
【0040】
警報出力部43は、酸素濃度推定部42により推定される酸素濃度の最低値が判定しきい値以下である監視エリアAを、酸素濃度低下エリアA1として判定すると良く、人感センサ50により、このような酸素濃度低下エリアA1に人が侵入しようとしていることが検知された場合に、警報を出力するように構成すると良い。
【0041】
また、容器保管設備1が、表示装置60を備えている場合には、マップ生成部44が、複数の監視エリアAのそれぞれについて推定した酸素濃度を、容器保管棚10の位置に関連付けた酸素濃度マップとして表示装置60に表示すると良い。複数の監視エリアAのそれぞれについて推定した酸素濃度とは、酸素濃度推定部42が推定した酸素濃度である。したがって、マップ生成部44は、酸素濃度推定部42が酸素濃度を推定した推定結果を取得すると良い。容器保管棚10の位置に関連付けた酸素濃度マップとは、酸素濃度が推定された監視エリアAを、容器保管棚10をイメージ化した画像に対応付けした酸素濃度を示すマップである。すなわち、容器保管棚10が配置されたクリーンルームのモデルを作成し、そのモデル内における監視エリアAに対応して複数に区分けした酸素濃度を示すマップである。マップ生成部44は、このような酸素濃度マップを生成し、表示装置60に表示すると良い。なお、表示装置60は、制御装置40のモニタを利用することが可能である。
【0042】
図9には、表示装置60に表示される酸素濃度マップの一例が示される。このような酸素濃度マップを表示装置60の表示し、これを作業者が確認することで、容器保管設備1の保管空間90内における酸素濃度を視覚的に把握し易くできる。なお、図9の例では、酸素濃度の高低を示す区分けを6段階としているが、より細分化しても良い。また、図9に示されように酸素濃度マップを確認した作業者が、容易に把握できるようにするために、酸素濃度マップに容器保管棚10を表す画像を重ねると好適である。なお、図9には、上述した酸素濃度が規定の判定しきい値以下である監視エリアAが、酸素濃度低下エリアA1として示されている。
【0043】
例えば、クリーンルーム内に、図10に示すように、複数の容器保管設備1が設けられており、これらをつなぐように設けられた移動経路Rに沿って移動して容器4を搬送する搬送装置91が設けられる場合がある。搬送装置91は、例えば、容器4の搬送元や容器4の搬送先となる容器移載箇所をつないで移動経路Rに沿って走行する搬送車である。容器保管設備1は、この移動経路Rに沿って配置されている。このような構成において、搬送装置91は、周囲に設定された複数の監視エリアAの少なくとも1つが酸素濃度低下エリアA1であって、且つ、人感センサ50により当該酸素濃度低下エリアA1に人が侵入しようとしていることが検知された場合に、当該酸素濃度低下エリアA1となった監視エリアAが設定された容器保管設備1へ、容器4を搬送しないように制御されると好適である。図10では、搬送装置91が、容器4を搬送する容器保管設備1への移動経路に“O”が付され、搬送装置91が、容器4を搬送しない容器保管設備1への移動経路に“X”が付されている。これにより、容器保管設備1に近接している人(作業者)との接触を防止し、更には、酸素濃度低下エリアA1である監視エリアAが設定された容器保管設備1に容器4を載置した後、作業者が容器4に近づかなければいけない時に近づけないといった状況を回避することができる。
【0044】
〔その他の実施形態〕
次に、容器保管設備1のその他の実施形態について説明する。
【0045】
(1)上記の実施形態では、容器保管棚10は、周囲を囲む周壁部を有さない開放型の棚を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、容器保管棚10は、周囲が周壁部で囲まれた密閉型のものであっても良い。また、本例では、容器載置部11は、1段である場合を例示したが、容器載置部11は複数段であっても良い。更に、本例では、1つの容器保管棚10に、容器載置部11が第1方向Xに沿って4つ設けられている構成を例示したが、容器載置部11は1つであっても良いし、4つ以外の複数であっても良い。このような場合にも、容器保管棚10に、酸素濃度センサ20を設けることで、周囲の酸素濃度を適切に検知することができる。
【0046】
(2)上記の実施形態では、制御装置40は、推定した酸素濃度が規定の判定しきい値以下となっている監視エリアAである酸素濃度低下エリアA1がある場合であって、当該酸素濃度低下エリアA1に人が侵入しようとしていることを人感センサ50により検知した場合に、警報を出力するとして説明した。しかし、容器保管設備1の実施形態は、そのような構成に限定されるものではない。例えば、制御装置40は、推定した酸素濃度が規定の判定しきい値以下となっている監視エリアAである酸素濃度低下エリアA1がある場合に、不活性ガス供給装置45が備える流量調節装置45cにより容器保管棚10に供給する不活性ガスの流量を低減し、或いは、不活性ガスの供給を停止するように制御することも可能である。このような場合には、容器保管設備1が人感センサ50を備えていなくても良い。
【0047】
(3)上記実施形態では、人感センサ50が1つの監視エリアAに1つ設けられている場合を例示した。しかし、容器保管設備1の実施形態は、そのような構成に限定されるものではない。例えば、複数の監視エリアAに対して1つの人感センサ50が設けられていても良い。この場合、1つの人感センサ50が複数の監視エリアAに対応する検知範囲を有し、複数の監視エリアAのいずれかに人が侵入しようとしていることを検知できるように構成すると良い。例えば、第1方向第1側X1側の2つの人感センサ50に代えて、容器保管棚10における第1方向第1側X1側の第2方向Yの中央部に人感センサ50を1つ設け、第1方向第2側X2側の2つの人感センサ50に代えて、容器保管棚10における第1方向第2側X2側の第2方向Yの中央部に人感センサ50を1つ設けても良い。或いは、容器保管設備1が人感センサ50を備えていなくても良い。
【0048】
(4)上記の実施形態では、表示装置60が制御装置40のモニタであるとして説明した。しかし、容器保管設備1の実施形態は、そのような構成に限定されるものではない。表示装置60は、作業者が所持する携帯端末のモニタであっても良いし、作業者がスマートグラス(眼鏡と一体化された表示装置)を装着している場合には、スマートグラスであっても良い。
【0049】
(5)上記実施形態では、制御装置40が、監視エリア設定部41、酸素濃度推定部42、警報出力部43、マップ生成部44を備えて構成されるとして説明した。しかし、容器保管設備1の実施形態は、そのような構成に限定されるものではない。制御装置40を構成する機能部は、例示であって、機能部の分け方は適宜変更可能である。また、制御装置40が他の機能部を有するように構成することも可能である。
【0050】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0051】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した容器保管設備の概要について説明する。
【0052】
容器保管設備は、
それぞれに容器が載置される容器載置部を複数備えた容器保管棚と、前記容器載置部に載置された前記容器のそれぞれに対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を備えた容器保管設備であって、
前記容器保管棚は、天井から吊り下げられて支持され、水平方向に沿う第1方向に複数の容器載置部が並んで配置され、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第2方向の一方側を第2方向第1側とし、前記第2方向の他方側を第2方向第2側とし、前記容器載置部に載置された前記容器と重複する高さを重複高さとして、
前記重複高さであって前記容器に対して前記第2方向第1側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第1センサ群と、
前記重複高さであって前記容器に対して前記第2方向第2側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第2センサ群と、
前記重複高さよりも下側に設定された第1規定高さであって前記第1センサ群よりも前記第2方向第1側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第3センサ群と、
前記重複高さよりも下側に設定された第2規定高さであって前記第2センサ群よりも前記第2方向第2側において前記第1方向に並んで配置された複数の酸素濃度センサからなる第4センサ群と、を備える。
【0053】
それぞれに容器が載置される容器載置部を複数備えた容器保管棚と、容器載置部に載置された容器のそれぞれに対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を備えた容器保管設備において、容器からの不活性ガスの漏れの程度に応じて、局所的に酸素濃度が低下する場合がある。この場合、酸素濃度が低下したエリアには作業者が入ることができない。特に、天井から吊り下げられて支持された容器保管棚では、容器保管棚に対して接近する作業者の頭部付近において、酸素濃度が局所的に低下していることがある。このような場合には、それを適切に検知して警告などを行う必要がある。本構成によれば、作業者の頭部が下方から接近することが想定される、天井から吊り下げられて支持された容器保管棚の周囲の酸素濃度を適切に検知することができる。
【0054】
ここで、
制御装置と、人を検知する人感センサと、を更に備え、
前記容器保管棚、前記第1センサ群、前記第2センサ群、前記第3センサ群、及び前記第4センサ群を含む空間が複数の監視エリアに区分され、前記人感センサは、それぞれの前記監視エリアに侵入しようとする人の有無を検知するように構成され、
前記制御装置は、前記第1センサ群、前記第2センサ群、前記第3センサ群、及び、前記第4センサ群を構成する複数の前記酸素濃度センサのそれぞれの検出値に基づいて、前記複数の監視エリアのそれぞれの酸素濃度を推定し、推定した前記酸素濃度が規定の判定しきい値以下となっている前記監視エリアである酸素濃度低下エリアがある場合であって、当該酸素濃度低下エリアに人が侵入しようとしていることを前記人感センサにより検知した場合に、警報を出力すると好適である。
【0055】
本構成によれば、天井から吊り下げられて支持された容器保管棚に対して作業者が接近した場合であって、作業者の頭部付近の酸素濃度が局所的に低下している場合には、それを適切に検知して警報を出力することができる。
【0056】
また、
前記人感センサは、前記複数の監視エリアのそれぞれに対応して複数配置されていると好適である。
【0057】
本構成によれば、複数の監視エリアのそれぞれに侵入した人の有無を適切に検知することができる。
【0058】
また、
前記制御装置は、前記第1センサ群、前記第2センサ群、前記第3センサ群、及び、前記第4センサ群を構成する全ての前記酸素濃度センサの検出値に基づいて、空間補により前記複数の監視エリアのそれぞれの酸素濃度の最低値を推定し、前記最低値が前記判定しきい値以下である前記監視エリアを、前記酸素濃度低下エリアと判定すると好適である。
【0059】
本構成によれば、容器保管棚の周辺に配置された酸素濃度センサの数が比較的少ない場合であっても、高精度に酸素濃度低下エリアの有無を判定することができる。
【0060】
また、
表示装置を更に備え、
前記制御装置は、前記複数の監視エリアのそれぞれについて推定した酸素濃度を、前記容器保管棚の位置に関連付けた酸素濃度マップとして前記表示装置に表示すると好適である。
【0061】
本構成によれば、容器保管棚の周囲を区分した複数の監視エリア毎に酸素濃度を推定し、その結果を酸素濃度マップとして表示装置に表示するので、容器保管棚の周囲の各所における酸素濃度を分かり易く作業者に伝えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示に係る技術は、それぞれに容器が載置される容器載置部を複数備えた容器保管棚と、前記容器載置部に載置された前記容器のそれぞれに対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、を備えた容器保管設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 :容器保管設備
4 :容器
10 :容器保管棚
11 :容器載置部
20 :酸素濃度センサ
31 :第1センサ群
32 :第2センサ群
33 :第3センサ群
34 :第4センサ群
40 :制御装置
45 :不活性ガス供給装置
50 :人感センサ
60 :表示装置
A :監視エリア
A1 :酸素濃度低下エリア
S :重複高さ
T1 :第1規定高さ
T2 :第2規定高さ
X :第1方向
Y :第2方向
Y1 :第2方向第1側
Y2 :第2方向第2側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10