(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】レーダシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/72 20060101AFI20240611BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20240611BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240611BHJP
G01S 13/88 20060101ALI20240611BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G01S13/72
G01S7/02 212
G01S7/03 230
G01S13/88
H01Q21/24
(21)【出願番号】P 2021200242
(22)【出願日】2021-12-09
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 亮介
(72)【発明者】
【氏名】中田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】谷本 尚生
(72)【発明者】
【氏名】藤井 啓太
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-287857(JP,A)
【文献】特開2000-180540(JP,A)
【文献】特開2005-121496(JP,A)
【文献】米国特許第3007151(US,A)
【文献】特開2006-201013(JP,A)
【文献】国際公開第2013/128820(WO,A1)
【文献】特開2014-115119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/00 - 1/68
G01S 3/00 - 3/74
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
H01Q 3/00 - 3/46
H01Q 21/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方位角方向に回転可能に設けられた方位角用アンテナ(21)と、仰角方向に回転可能に設けられた仰角用アンテナ(22、221、222、223、224)と、を有し、電波を放射し、検知対象物による前記電波の反射波を受信するアンテナ装置(20)と、
前記方位角用アンテナにより検知された反射波に基づいて、前記アンテナ装置から前記検知対象物までの距離と前記検知対象物の方位角とを取得する方位角情報取得部(42)と、
前記仰角用アンテナにより検知された反射波に基づいて、前記アンテナ装置から前記検知対象物までの距離と前記検知対象物の仰角とを取得する仰角情報取得部(43)と、
前記方位角情報取得部により得られた距離と、前記仰角情報取得部により得られた距離との距離比較を実行し、同一の値をとる前記検知対象物を同一検知物と判定する判定部(44)と、
前記同一検知物の方位角、仰角、および距離に基づいて、前記同一検知物の位置情報を検出する位置検出部(45)と、
を備え、
前記アンテナ装置は、前記仰角用アンテナを複数有し、
複数の前記仰角用アンテナは、検知範囲を分担するように方位角方向に離間して配置され、
複数の前記仰角用アンテナのそれぞれは、仰角方向において一方向に連続して回転可能である、レーダシステム。
【請求項2】
複数の前記仰角用アンテナのそれぞれは、一定の速度で回転する、請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項3】
前記アンテナ装置は、前記仰角用アンテナを2つ有し、
2つの前記仰角用アンテナは、方位角方向に90°ずれて配置されている、請求項1または請求項2に記載のレーダシステム。
【請求項4】
前記アンテナ装置は、前記仰角用アンテナを2つ有し、
2つの前記仰角用アンテナは、方位角方向に180°ずれて配置されている、請求項1または請求項2に記載のレーダシステム。
【請求項5】
複数の前記仰角用アンテナは、上空方向の検知タイミングが互いに異なるように回転し、
上空方向を検知している前記仰角用アンテナに対して給電するように給電を切り替える給電制御部(28)を備える、請求項1~4いずれか1項に記載のレーダシステム。
【請求項6】
前記位置検出部は、前記位置情報として、前記同一検知物の緯度、経度、および高度を検出する、請求項1~5いずれか1項に記載のレーダシステム。
【請求項7】
前記方位角情報取得部および前記仰角情報取得部は、対応する反射波の受信強度および/または反射波に基づいて算出される前記検知対象物の速度をそれぞれ取得し、
前記判定部は、前記距離比較に加えてさらに、前記方位角情報取得部により得られた受信強度と前記仰角情報取得部により得られた受信強度との受信強度比較、および/または、前記方位角情報取得部により得られた速度と前記仰角情報取得部により得られた速度との速度比較を実行し、前記距離比較において互いに同一の値をとり、かつ、前記受信強度比較および/または前記速度比較において互いに同一の値をとる前記検知対象物を前記同一検知物と判定する、請求項1~6いずれか1項に記載のレーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、レーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、航空管制用のレーダシステムを開示している。このシステムでは、レーダ局から送信される信号に対して、航空機のトランスポンダが位置や高度の情報を返すことで、航空機の位置をセンシングする。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に代表されるレーダシステムでは、トランスポンダを持たないドローンなどの飛行体や鳥については検知することができない。空域に存在する物体のうち、こうしたトランスポンダを持たない物体についても、長期にわたって正確な位置情報を得られる技術が望まれる。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、レーダシステムにはさらなる改良が求められている。
【0005】
開示されるひとつの目的は、トランスポンダをもたない物体についても、長期にわたって正確な位置情報を得ることができるレーダシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示されたレーダシステムは、
方位角方向に回転可能に設けられた方位角用アンテナ(21)と、仰角方向に回転可能に設けられた仰角用アンテナ(22、221、222、223、224)と、を有し、電波を放射し、検知対象物による電波の反射波を受信するアンテナ装置(20)と、
方位角用アンテナにより検知された反射波に基づいて、アンテナ装置から検知対象物までの距離と検知対象物の方位角とを取得する方位角情報取得部(42)と、
仰角用アンテナにより検知された反射波に基づいて、アンテナ装置から検知対象物までの距離と検知対象物の仰角とを取得する仰角情報取得部(43)と、
方位角情報取得部により得られた距離と、仰角情報取得部により得られた距離との距離比較を実行し、同一の値をとる検知対象物を同一検知物と判定する判定部(44)と、
同一検知物の方位角、仰角、および距離に基づいて、同一検知物の位置情報を検出する位置検出部(45)と、
を備え、
アンテナ装置は、仰角用アンテナを複数有し、
複数の仰角用アンテナは、検知範囲を分担するように方位角方向に離間して配置され、
複数の仰角用アンテナのそれぞれは、仰角方向において一方向に連続して回転可能である。
【0007】
開示されたレーダシステムによれば、方位角用アンテナおよび仰角用アンテナにより検知された反射波に基づく距離を比較することで、距離が同一である検知対象物を同一検知物であると判定する。そして、同一検知物の方位角、仰角、および距離に基づいて、同一検知物の位置情報を検出する。これにより、空域に存在する物体のうち、トランスポンダを持たない物体についても、正確な位置情報を得ることができる。
【0008】
また、検知範囲を分担するように複数の仰角用アンテナを方位角方向に離間して配置する。そして、仰角用アンテナのそれぞれが、仰角方向において一方向に連続して回転可能である。これにより、揺動せずに、検知エリアの仰角を検知することができる。よって、アンテナ装置において仰角用アンテナを回転させる部分の負荷を低減し、長期にわたって正確な位置情報を得ることができる。
【0009】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、及び効果は、後続の詳細な説明、及び添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るレーダシステムを示す図である。
【
図3】アンテナ装置をX1方向から見た側面図である。
【
図4】アンテナ装置をY1方向から見た側面図である。
【
図5】方位角用アンテナおよび仰角用アンテナのビーム形状を示す図である。
【
図6】方位角用アンテナおよび仰角用アンテナの動きと放射面の位置を示す図である。
【
図9】制御装置が実行する同一物標の検出処理を示すフローチャートである。
【
図10】第2実施形態に係るレーダシステムにおいて、アンテナ装置を示す上面視平面図である。
【
図11】アンテナ装置をX2方向から見た側面図である。
【
図12】アンテナ装置をY2方向から見た側面図である。
【
図13】方位角用アンテナおよび仰角用アンテナの動きと放射面の位置を示す図である。
【
図17】第3実施形態に係るレーダシステムを示す図である。
【
図20】第4実施形態に係るレーダシステムにおいて、制御装置が実行する同一物標の検出処理を示すフローチャートである。
【
図21】第5実施形態に係るレーダシステムにおいて、アンテナ装置を示す上面視平面図である。
【
図22】アンテナ装置をX3方向から見た側面図である。
【
図23】アンテナ装置をY3方向から見た側面図である。
【
図24】方位角用アンテナおよび仰角用アンテナの動きと放射面の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0012】
(第1実施形態)
まず、
図1に基づき、レーダシステムについて説明する。
図1は、レーダシステムを示す機能ブロック図である。
【0013】
<レーダシステム>
図1に示すレーダシステム10は、たとえば上空の飛行物体を検知するためのシステムである。レーダシステム10は、特に、トランスポンダを持たない飛行体や鳥などの検知対象物についての位置情報を正確に得るためのシステムである。飛行体は、たとえばドローンである。以下では、検知対象物を、物標と示すことがある。
【0014】
レーダシステム10は、アンテナ装置20と、制御装置40を備えている。アンテナ装置20は、物標へ電波を照射するとともに、物標からの反射波を受信する装置である。アンテナ装置20は、方位角用アンテナ21と、仰角用アンテナ22と、方位角用回転機構部23と、仰角用回転機構部24と、送受信部25を備えている。方位角用アンテナ21、仰角用アンテナ22、方位角用回転機構部23、および仰角用回転機構部24の詳細については、後述する。以下では、方位角用アンテナ21および仰角用アンテナ22を、単にアンテナ21,22と示すことがある。また、方位角用回転機構部23および仰角用回転機構部24を、単に回転機構部23,24と示すことがある。
【0015】
送受信部25は、少なくとも、送信信号を変調して送信する送信機能、および、受信信号を復調する受信機能を有している。送受信部25は、送信と受信とを切り替える切替機能を有している。送受信部25は、送受信回路部、無線回路部、給電回路部、高周波回路部などと称されることがある。
【0016】
制御装置40は、アンテナ制御部41と、方位角情報取得部42と、仰角情報取得部43と、判定部44と、位置検出部45と、追跡部46を備えている。
【0017】
制御装置40は、レーダシステム10の全体を制御する。たとえば制御装置40は、プロセッサ、メモリ、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを含んで構成される。プロセッサは、演算処理のためのハードウェアである。プロセッサは、たとえばコアとしてCPUを含んでいる。CPUは、Central Processing Unitの略称である。メモリは、コンピュータにより読み取り可能なプログラムおよびデータ等を非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。メモリは、プロセッサによって実行される種々のプログラムを格納している。
【0018】
プロセッサは、たとえばメモリに格納されたプログラムに含まれる複数の命令を実行する。これにより、制御装置40は、上記したアンテナ制御部41、方位角情報取得部42、仰角情報取得部43、判定部44、位置検出部45、および追跡部46を含む複数の機能部を構築する。このように、制御装置40では、メモリに格納されたプログラムが複数の命令をプロセッサに実行させることで、複数の機能部が構築される。
【0019】
アンテナ制御部41は、アンテナ装置20を制御する。アンテナ制御部41は、送受信部25に制御信号を送信することで、方位角用アンテナ21および仰角用アンテナ22への給電を制御する。つまり、送受信を制御する。アンテナ制御部41は、方位角用回転機構部23および仰角用回転機構部24の駆動を制御する。
【0020】
方位角情報取得部42は、方位角用アンテナ21により検知された反射波に基づいて、アンテナ装置20から物標までの距離と物標の方位角を取得する。仰角情報取得部43は、仰角用アンテナ22により検知された反射波に基づいて、アンテナ装置20から物標までの距離と物標の仰角を取得する。
【0021】
判定部44は、方位角情報取得部42により得られた情報と、仰角情報取得部43により得られた情報とを比較し、同一の値をとる物標(検知対象物)を同一物標(同一検知物)と判定する。本実施形態の判定部44は、方位角情報取得部42により得られた距離と、仰角情報取得部43により得られた距離とを比較し、同一の値をとる物標を同一物標と判定する。
【0022】
位置検出部45は、同一物標の方位角、仰角、および距離に基づいて、同一物標の位置情報を検出する。本実施形態では、位置情報として、物標の緯度、経度、および高度を検出する。追跡部46は、検知した同一物標の追跡処理を実行する。追跡部46は、同一物標を個別にラベリングし、同一物標のトラッキング(追跡)を実施する。ラベリングは、識別と称されることがある。追跡は、追尾と称されることがある。
【0023】
なお、
図1に示した構成は、一例に過ぎない。たとえば送受信部25の機能の少なくとも一部を、制御装置40が有してもよい。制御装置40の機能の少なくとも一部をアンテナ装置20が有してもよい。
【0024】
<アンテナ装置>
次に、
図2~
図7に基づき、アンテナ装置20の構造について説明する。
図2は、アンテナ装置20の上面視平面図である。
図3は、アンテナ装置20を
図2に示すX1方向から見た側面図である。
図4は、アンテナ装置20を
図2に示すY1方向から見た側面図である。
図2~
図4では、方位角用アンテナ21および仰角用アンテナ22の回転前の基準位置の状態を示している。
図3および
図4では、明確化のために、放射面21RS、22RSにハッチングを付している。
図5は、方位角用アンテナ21と仰角用アンテナ22のビーム形状を示す図である。
図5は、電磁界シミュレーションの結果を示している。
図5は、指向性を示している。
【0025】
以下においては、アンテナ装置20の設置面に垂直な方向をZ方向とし、Z方向に直交する一方向をX方向とする。Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。方位角とは、アンテナ装置20の設置面に垂直な軸周りの角度であり、アンテナ装置20の設置面に対する水平方向の向きを示す。仰角とは、アンテナ装置20の設置面内の軸周りの角度であり、アンテナ装置20の設置面に対する垂直方向の向きを示す。仰角は、厳密には仰俯角である。本実施形態では、アンテナ装置20の設置面に垂直な軸がZ方向に平行であり、設置面内の軸がX方向に平行である。このため、アンテナ装置20の設置面に垂直な軸をZ軸、設置面内の軸をX軸と示すことがある。方位角方向とはZ軸周りの方向であり、仰角方向とはX軸周りの方向である。
【0026】
図2~
図4に示すように、アンテナ装置20は、台座26と、支柱27をさらに備えている。支柱27の下端は、台座26に固定されている。支柱27は、台座26からZ方向に延びている。台座26は、支柱27を介して、アンテナ21,22および回転機構部23,24を支持している。台座26および支柱27は、アンテナ21,22を回転可能に支持している。支柱27は、複数のアンテナ21,22に対して個別に設けてもよいし、複数のアンテナ21,22の少なくとも一部で共通としてもよい。本実施形態では、すべてのアンテナ21,22が、共通(単一)の支柱27に取り付けられている。回転機構部23,24は、共通の支柱27において互いにZ方向の異なる位置に取り付けられている。
【0027】
図2~
図4に示すように、アンテナ装置20は、ひとつの方位角用アンテナ21と、2つの仰角用アンテナ22(221,222)を備えている。方位角用アンテナ21と仰角用アンテナ22とは、互いに独立して回転可能である。
【0028】
方位角用アンテナ21は、レーダシステム10から物標までの距離と物標の方位角を検知するために、電波を送受信する。方位角用アンテナ21としては、たとえば導波管スロットアレイアンテナ、パラボラアンテナなど、所望の指向性を有するアンテナを採用することができる。本実施形態では、方位角用アンテナ21として、導波管スロットアレイアンテナを採用している。方位角用アンテナ21の基準位置において、導波管の長手方向は、Y方向に略平行である。そして、YZ平面に略平行な側面のひとつに、図示しない複数のスロットが長手方向に並んで形成されている。つまり、導波管の側面のひとつが、電波を放射する放射面21RSをなしている。このように構成される方位角用アンテナ21は、
図5に示すように、方位角方向に幅の狭いビーム(主ビーム)を主として放射面21RSの前方に放射する。
【0029】
方位角用回転機構部23は、図示しない固定部材を介して支柱27の上端に固定されている。方位角用回転機構部23は、方位角用アンテナ21の放射面21RSの位置(向き)、つまり電波の放射方向を、モータ駆動により制御するユニットである。モータの回転軸は、Z方向に略平行である。モータの回転軸は、Z方向の平面視において、方位角用アンテナ21を構成する導波管の略中心に直接的または間接的に取り付けられている。モータは、たとえば一定の速度で回転する。方位角用回転機構部23の駆動により、方位角用アンテナ21は方位角方向に回転する。放射面21RSは、Z軸周りを回転する。
【0030】
このように、方位角用アンテナ21は、方位角方向に回転可能に設けられている。方位角用アンテナ21は、方位角方向であって一方向に連続的に回転可能である。本実施形態の方位角用アンテナ21は、
図2に実線矢印で示すようにZ軸周りを反時計方向に回転する。方位角用アンテナ21は、
図5に示すビームを放射しつつ、方位角方向に360°回転する。方位角用アンテナ21は、方位角用回転機構部23の駆動により、方位角方向の送受信角度を調整することが可能とされている。
【0031】
仰角用アンテナ22は、レーダシステム10から物標までの距離と物標の仰角を検知するために、電波を送受信する。仰角用アンテナ22についても、方位角用アンテナ21同様、所望の指向性を有するアンテナを採用することができる。本実施形態では、仰角用アンテナ22として、導波管スロットアレイアンテナを採用している。仰角用アンテナ22の基準位置において、導波管の長手方向はZ方向に略平行である。そして、ZX平面に略平行な側面のひとつに、図示しない複数のスロットが形成されている。つまり、導波管の側面のひとつが、電波を放射する放射面22RSをなしている。このように構成される仰角用アンテナ22は、
図5に示すように、仰角方向に幅の狭いビーム(主ビーム)を主として放射面22RSの前方に放射する。仰角用アンテナ22と方位角用アンテナ21とは、共通の構成でもよいし、互いに異なる構成でもよい。
【0032】
仰角用回転機構部24は、図示しない固定部材を介して、支柱27における上端と下端との間の中間位置に固定されている。仰角用回転機構部24は、仰角用アンテナ22の放射面21RSの位置(向き)、つまり電波の放射方向を、モータ駆動により制御するユニットである。モータの回転軸は、X方向に略平行である。モータの回転軸は、X方向の平面視において、仰角用アンテナ22を構成する導波管の略中心に直接的または間接的に取り付けられている。モータは、たとえば一定の速度で回転する。仰角用回転機構部24の駆動により、仰角用アンテナ22は仰角方向に回転する。放射面22RSは、X軸周りを回転する。
【0033】
仰角用回転機構部24は、2つの仰角用アンテナ22に対して個別に設けてもよい。本実施形態では、仰角用回転機構部241のモータの回転軸に仰角用アンテナ221が取り付けられ、仰角用回転機構部242のモータの回転軸に仰角用アンテナ222が取り付けられている。これに代えて、2つの仰角用アンテナ221,222で仰角用回転機構部24を共通としてもよい。回転軸の一端側に仰角用アンテナ221が取り付けられ、他端側に仰角用アンテナ222が取り付けられた構成としてもよい。
【0034】
上記したように、仰角用アンテナ22は、仰角方向に回転可能に設けられている。仰角用アンテナ22のそれぞれは、仰角方向であって一方向に連続的に回転可能である。つまり、仰角用アンテナ22は揺動しない。仰角用アンテナ22は、仰角方向に360°回転する。2つの仰角用アンテナ22は、検知エリアを分担するように、方位角方向に離間して配置されている。具体的には、2つの仰角用アンテナ22の回転中心位置は、方位角方向に180°ずれて配置されている。2つの仰角用アンテナ22は、X方向に並んで配置されている。検知エリアは、たとえば全天でもよいし、全天から一部を除外したものでもよい。本実施形態の検知エリアは全天である。
【0035】
2つの仰角用アンテナ22の回転方向は、同一の向きでもよいし、互いに逆向きでもよい。また、方位角用アンテナ21の回転数に対する、仰角用アンテナ22の回転数は、特に限定されない。方位角用アンテナ21が一回転する間に、仰角用アンテナ22が一方向の回転を複数回してもよい。ただし、同一物標を検知する観点では、方位角用アンテナ21による走査と、仰角用アンテナ22による走査との時間のずれが小さいほど好ましい。
【0036】
本実施形態では、方位角用アンテナ21が一回転する間に、仰角用アンテナ22がそれぞれ一回転する。2つの仰角用アンテナ22は、ともに
図3に実線矢印で示すようにX軸周りを時計方向に回転する。仰角用アンテナ22は、
図5に示すビームを放射しつつ、仰角方向に360°回転する。
【0037】
基準位置において、仰角用アンテナ221は、ZX平面に略平行な側面のひとつを放射面22RSとし、仰角用アンテナ222は、仰角用アンテナ221の放射面22RSとはY方向において反対に位置する側面を放射面22RSとする。このため、2つの仰角用アンテナ22(221,222)の放射面22RSは、仰角方向において常に180°ずれた位置関係となる。2つの仰角用アンテナ22は、ひとつが上空方向を検知しているときに、他のひとつが地面方向を検知するように回転する。
【0038】
これに代えて、仰角用アンテナ221,222におけるY方向の同じ側の側面を放射面22RSとし、2つの仰角用アンテナ22の回転方向を互いに逆向きとしてもよい。この場合、上記した構成に対して、基準位置における仰角用アンテナ221の放射面22RSを
図2とは反対の側面とし、仰角用アンテナ221の回転方向を反時計方向にすればよい。
【0039】
上記したように、アンテナ装置20は2つの仰角用アンテナ221,222を備えている。各仰角用アンテナ221,222は、仰角用回転機構部24により、仰角方向に360°回転可能である。
【0040】
アンテナ21,22は、たとえばパルス波を送信する。パルスの幅や繰り返し周波数などは、検知エリアの広さ、つまり検知したい物標との距離などに基づいて設定される。アンテナ21,22は、パルス波を送信する期間において電波を放射する送信用アンテナとして機能する。アンテナ21,22は、パルス波の送信期間と次のパルス波の送信期間との間の期間において電波(反射波)を受信する受信用アンテナとして機能する。つまり、送信と受信を繰り返す。送受信は、送受信部25によって切り替えられる。
【0041】
送受信部25は、たとえば台座26に固定されてもよいし、台座26とは別に部材に固定されてもよい。固定された状態で、図示しない給電線を介して対応するアンテナ21,22に接続されている。
【0042】
<アンテナの動きと検知エリア>
次に、
図6~
図8に基づき、アンテナ21,22の動きと検知エリアについて説明する。
図6は、検知エリアを走査する際の各アンテナ21,22の動きと放射面21RS,22RSの位置を示す図である。
図6では、便宜上、
図2から方位角用アンテナ21と2つの仰角用アンテナ22(221,222)を抜き出して示している。
【0043】
図6(a)は、基準位置の状態を示している。基準位置において、方位角用アンテナ21の導波管の長手方向は、Y方向に略平行である。また、YZ平面に略平行な側面のうち、仰角用アンテナ221側の面が、放射面21RSをなしている。この状態から、方位角用アンテナ21は、Z軸周りを反時計方向に回転する。基準位置において、仰角用アンテナ221,222の導波管の長手方向は、Z方向に略平行である。この状態から、仰角用アンテナ221,222は、X軸周りを時計方向に回転する。仰角用アンテナ221の導波管におけるZX平面に略平行な側面のうち、回転によって上空方向に向く側の面が、放射面22RSをなしている。仰角用アンテナ222の導波管におけるZX平面に略平行な側面のうち、回転によって地面方向に向く側の面が、放射面22RSをなしている。
【0044】
図6(b)は、基準位置に対して90度回転した状態を示している。方位角用アンテナ21の放射面21RSは、ZX平面に略平行となる。仰角用アンテナ221の放射面22RSは、XY平面に略平行であって上空側に向く。仰角用アンテナ222の放射面22RSは、XY平面に略平行であって地面側に向く。
【0045】
図6(c)は、基準位置に対して180度回転した状態を示している。方位角用アンテナ21の放射面21RSは、YZ平面に略平行であって基準位置とは反対の位置となる。仰角用アンテナ221,222の放射面22RSは、ZX平面に略平行であって基準位置とは反対の位置となる。
【0046】
図6(d)は、基準位置に対して270度回転した状態を示している。方位角用アンテナ21の放射面21RSは、ZX平面に略平行となる。仰角用アンテナ221の放射面22RSは、XY平面に略平行であって地面側に向く。仰角用アンテナ222の放射面22RSは、XY平面に略平行であって上空側に向く。
【0047】
図6(e)は、360°回転して基準位置に戻った状態を示している。各アンテナ21,22は、(a)→(b)→(c)→(d)→(e)の順に変位する。
【0048】
図7および
図8は、各アンテナ21,22の検知エリアを示している。
図7に示す半球が上記した全天に相当する。
図7では、方位角用アンテナ21の放射面21RSを実線、仰角用アンテナ221の放射面22RSを破線、仰角用アンテナ222の放射面22RSを二点鎖線で示している。実線矢印が放射面21RSの変位方向、破線矢印が仰角用アンテナ221の放射面22RSの変位方向、二点鎖線の矢印が仰角用アンテナ222の放射面22RSを示している。上記した構成において、仰角用アンテナ222の放射面22RSは仰角方向に180°ずれた位置に存在するが、便宜上、仰角用アンテナ221の放射面22RSと同じ側に示している。
【0049】
図8は、
図7の検知エリアを簡素化して図示している。
図8は、
図7の検知エリアをZ方向から平面視した図である。
図8では、便宜上、放射面21RSが基準位置から少し回転した状態を示している。
図8に示す第1検知エリアDA1および第2検知エリアDA2は、
図7に示す半球上の検知エリアを二等分したものである。第1検知エリアDA1および第2検知エリアDA2は、平面視においてX方向に並んでいる。
図8に示す破線矢印は、仰角用アンテナ221の放射面22RSの変位方向、つまり仰角用アンテナ221による走査方向を示している。二点鎖線の矢印は、仰角用アンテナ222の放射面22RSの変位方向、つまり仰角用アンテナ222による走査方向を示している。
【0050】
図7および
図8に示すように、方位角用アンテナ21の放射面21RSは、Z軸周りを反時計方向に回転する。方位角用アンテナ21は、
図5に示すビームを放射しつつ、方位角方向に360°回転する。方位角用アンテナ21は、方位角方向に360°回転することで機械的に電磁波を走査して、方位角方向の全周囲を検知する。
図8に示すように、方位角用アンテナ21は、まず第1検知エリアDA1を走査し、次いで第2検知エリアDA2を走査する。
【0051】
仰角用アンテナ221,222の放射面22RSは、X軸周りを時計方向に回転する。仰角用アンテナ22は、
図5に示すビームを放射しつつ、仰角方向に360°回転する。仰角用アンテナ221は、仰角方向に360°回転することで機械的に電磁波を走査して、全天の半分、つまり第1検知エリアDA1を検知する。仰角用アンテナ221は、方位角用アンテナ21が360°回転する周期のうち、前半の半周期で第1検知エリアDA1を走査する。仰角用アンテナ222は、仰角方向に360°回転することで機械的に電磁波を走査して、全天の残り半分、つまり第2検知エリアDA2を検知する。仰角用アンテナ222は、方位角用アンテナ21が360°回転する周期のうち、後半の半周期で第2検知エリアDA2を走査する。
【0052】
<同一物標の検出処理>
次に、
図9に基づき、制御装置40が実行する同一物標の検出処理について説明する。制御装置40は、この検出処理を繰り返し実行する。
【0053】
図9に示すように、制御装置40のアンテナ制御部41は、まずアンテナ装置20の操作を実行する(ステップS10)。上記したように、アンテナ制御部41は、回転機構部23,24および送受信部25に制御信号を出力する。これにより、各アンテナ21,22が送信と受信を切り替えながら360°回転する。方位角用アンテナ21は、方位角方向に回転する。仰角用アンテナ22(221,222)は、仰角方向に回転する。
【0054】
次いで、制御装置40の方位角情報取得部42は、回転駆動中の方位角用アンテナ21が受信した反射波から、物標の方位角と距離を取得する(ステップS20)。
【0055】
また、制御装置40の仰角情報取得部43は、回転駆動中の仰角用アンテナ22(221,222)が受信した反射波から、物標の仰角と距離を取得する(ステップS30)。
【0056】
なお、方位角方向の回転と仰角方向の回転とは同期して行われる。このため、ステップS20、S30の処理は、実質的にほぼ同じタイミングで行われる。
【0057】
次いで、制御装置40の判定部44は、同一物標が存在するか否かを判定する(ステップS40)。判定部44は、ステップS20の処理で得られた距離と、ステップS30の処理で得られた距離とを比較する。このように、2つ以上の物標情報に基づいて、同一距離の物標を探し出す。判定部44は、同一の値をとる物標、つまり距離が等しい物標が存在する場合、この物標を同一物標と判定する。
【0058】
同一物標が存在しない場合、制御装置40は一連の処理を終了する。一方、同一物標が存在する場合、制御装置40の位置検出部45は、同一物標の方位角、仰角、および距離に基づいて、同一物標の位置情報を検出する(ステップS50)。位置検出部45は、同一物標の位置(緯度、経度)と高度を検出する。
【0059】
位置情報の検出後、制御装置40の追跡部46は、トラッキングを実施する(ステップS60)。追跡部46は、同一物標に対してラベリングを行い、トラッキングを開始する。そして、一連の処理を終了する。
【0060】
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態のレーダシステム10によれば、方位角用アンテナ21および仰角用アンテナ22により検知された反射波に基づく距離を比較することで、距離が同一である物標(検知物)を同一物標(同一検知物)であると判定する。そして、同一物標の方位角、仰角、および距離に基づいて、同一物標の位置情報を検出する。これにより、空域に存在する物体のうち、レーダ局からの信号に対して応答を返すトランスポンダを持たない、飛行体や鳥などの物標についても、正確な位置情報を検出することができる。具体的には、正確な緯度、経度、高度を把握することができる。
【0061】
また、仰角用アンテナを揺動することで全天を走査する場合、回転駆動部は順方向と逆方向との回転を連続して交互に繰り返すことになるため、回転駆動部に負荷がかかる。本実施形態では、検知エリアを分担するように複数の仰角用アンテナ22を方位角方向に離間して配置する。そして、仰角用アンテナ22のそれぞれが、仰角方向において一方向に連続して回転可能である。これにより、揺動せずに、検知エリアの仰角を検知することができる。よって、アンテナ装置20において仰角用回転機構部24の負荷を低減することができる。以上より、長期にわたって正確な位置情報を検出ことができる。
【0062】
また、複数の仰角用アンテナ22を用いて検知エリアを分担するため、仰角用アンテナ22をひとつのみ備える構成に較べて回転速度を低くしても、方位角用アンテナ21が360°回転する間に検知エリア全体を走査することができる。回転速度が低くなることで反射波の受信感度が高くなるため、レーダの性能を落とすことなく、物標の位置情報を検出することができる。
【0063】
本実施形態では、仰角用アンテナ22のそれぞれが、一定の速度で回転する。定速回転により、仰角用回転機構部24の負荷をさらに低減することができる。これにより、レーダシステム10は、さらに長期にわたって性能を発揮することができる。
【0064】
本実施形態では、アンテナ装置20が2つの仰角用アンテナ221,222を有している。2つの仰角用アンテナ221,222は、方位角方向に180°ずれて配置されている。これによれば、2つの仰角用アンテナ221,222で全天を検知することができる。また、回転軸が略平行となり、回転軸に沿う方向において仰角用アンテナ221,222の少なくとも一部が対向するため、アンテナ装置20、ひいてはレーダシステム10の体格を小型化することができる。
【0065】
アンテナ21,22の配置は上記した例に限定されない。アンテナ21,22の回転方向も、上記した例に限定されない。たとえば上記した配置において、方位角用アンテナ21が時計方向に回転し、仰角用アンテナ22が反時計方向に回転してもよい。
【0066】
放射面21RSがZ方向に略平行となるように方位角用アンテナ21を配置する例を示したが、これに限定されない。たとえば主ビームの放射方向が斜め上方となるように、つまり放射面21RSがZ方向に対して傾斜するように方位角用アンテナ21を配置してもよい。
【0067】
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、2つの仰角用アンテナ221,222を、方位角方向に180°離間して配置した。これに代えて、2つの仰角用アンテナ221,222を、方位角方向に90°離間して配置してもよい。
【0068】
図10は、本実施形態に係るレーダシステム10において、アンテナ装置20の上面視平面図である。
図10は、
図2に対応している。
図11は、アンテナ装置20を
図10に示すX2方向から見た側面図である。
図12は、アンテナ装置20を
図10に示すY2方向から見た側面図である。
図10~
図12では、基準位置の状態を示している。
図12では、明確化のために、放射面22RSにハッチングを付している。
【0069】
図10~
図12に示すように、方位角用アンテナ21は、支柱271の上端に、方位角用回転機構部23を介して取り付けられている。方位角用アンテナ21は、Z軸周りを時計方向に回転可能である。基準位置において、方位角用アンテナ21をなす導波管は、X方向を長手方向とする。導波管の側面のうち、仰角用アンテナ222側の面が、放射面21RSである。
【0070】
2つの仰角用アンテナ221,222は、方位角方向に90°離間して配置されている。仰角用アンテナ221,222の半値角は、方位角方向において略90°である。仰角用アンテナ221は、支柱272の上端付近に、仰角用回転機構部241を介して取り付けられている。支柱272は、仰角用アンテナ221と、他のアンテナ21,222との接触を避けるように、所定の高さを有して台座26の所定位置に固定されている。支柱272の高さは、支柱271よりも低い。支柱271,272は、Y方向に並んでいる。仰角用アンテナ221は、Y軸周りを反時計方向に回転可能である。基準位置において、仰角用アンテナ221をなす導波管は、Z方向を長手方向とする。導波管の側面のうち、X方向において仰角用アンテナ222側の面の裏面が、放射面22RSである。
【0071】
仰角用アンテナ222は、支柱273の上端付近に、仰角用回転機構部242を介して取り付けられている。支柱273は、仰角用アンテナ222と、他のアンテナ21,221との接触を避けるように、所定の高さを有して台座26の所定位置に固定されている。支柱273の高さは、支柱271よりも低い。支柱271,273は、X方向に並んでいる。仰角用アンテナ222は、Y軸周りを反時計方向に回転可能である。基準位置において、仰角用アンテナ222をなす導波管は、Z方向を長手方向とする。導波管の側面のうち、Y方向において仰角用アンテナ221側の面の裏面が、放射面22RSである。
【0072】
レーダシステム10において、その他の構成について先行実施形態に記載の構成と同様である。
【0073】
図13は、検知エリアを走査する際の各アンテナ21,22の動きと放射面21RS、22RSの位置を示す図である。
図13は、
図6に対応している。
【0074】
図13(a)は、回転前の基準位置の状態を示している。基準位置において、方位角用アンテナ21の導波管の長手方向は、X方向に略平行である。また、ZX平面に略平行な側面のうち、仰角用アンテナ222側の面が、放射面21RSをなしている。この状態から、方位角用アンテナ21は、Z軸周りを時計方向に回転する。基準位置において、仰角用アンテナ221,222の導波管の長手方向は、Z方向に略平行である。この状態から、仰角用アンテナ221はY軸周りを反時計方向に回転し、仰角用アンテナ222はX軸周りを反時計方向に回転する。仰角用アンテナ221の導波管におけるYZ平面に略平行な側面のうち、回転によって上空方向に向く側の面が、放射面22RSをなしている。仰角用アンテナ222の導波管におけるZX平面に略平行な側面のうち、回転によって地面方向に向く側の面が、放射面22RSをなしている。
【0075】
図13(b)は、基準位置に対して90度回転した状態を示している。方位角用アンテナ21の放射面21RSは、YZ平面に略平行となり、仰角用アンテナ222側に向く。仰角用アンテナ221の放射面22RSは、XY平面に略平行であって上空側に向く。仰角用アンテナ222の放射面22RSは、XY平面に略平行であって地面側に向く。
【0076】
図13(c)は、基準位置に対して180度回転した状態を示している。方位角用アンテナ21の放射面21RSは、ZX平面に略平行であって基準位置とは反対の位置となる。仰角用アンテナ221,222の放射面22RSは、ZX平面に略平行であって基準位置とは反対の位置となる。
【0077】
図13(d)は、基準位置に対して270度回転した状態を示している。方位角用アンテナ21の放射面21RSは、YZ平面に略平行となる。仰角用アンテナ221の放射面22RSは、XY平面に略平行であって地面側に向く。仰角用アンテナ222の放射面22RSは、XY平面に略平行であって上空側に向く。
【0078】
図13(e)は、360°回転して基準位置に戻った状態を示している。各アンテナ21,22は、(a)→(b)→(c)→(d)→(e)の順に変位する。
【0079】
図14は、各アンテナ21,22の検知エリアを示している。
図14は、
図8に対応している。
図14でも、便宜上、基準位置から少し回転した状態を示している。破線矢印は、仰角用アンテナ221の放射面22RSの変位方向、つまり仰角用アンテナ221による走査方向を示している。二点鎖線の矢印は、仰角用アンテナ222の放射面22RSの変位方向、つまり仰角用アンテナ222による走査方向を示している。
【0080】
検知エリアは、仰角用アンテナ221のみが検知する第1検知エリアDA1と、仰角用アンテナ222のみが検知する第2検知エリアDA2を含む。第1検知エリアDA1と第2検知エリアDA2が交差するため、共通エリアDA12を含む。共通エリアDA12は、交差エリアと称されることがある。共通エリアDA12は、第1検知エリアDA1の一部であり、第2検知エリアDA2の一部でもある。
【0081】
方位角用アンテナ21の放射面21RSは、Z軸周りを時計方向に回転する。方位角用アンテナ21は、
図5に示したビームを放射しつつ、方位角方向に360°回転する。方位角用アンテナ21は、方位角方向に360°回転することで機械的に電磁波を走査して、方位角方向の全周囲を検知する。
【0082】
仰角用アンテナ221の放射面22RSは、Y軸周りを反時計方向に回転する。仰角用アンテナ221は、
図5に示したビームを放射しつつ、仰角方向に360°回転する。仰角用アンテナ221は、仰角方向に360°回転することで機械的に電磁波を走査して、全天のうち、共通エリアDA12を含む第1検知エリアDA1を検知する。仰角用アンテナ221の検知エリアは、Z方向の平面視において、Y方向の端部領域を含まない。つまり、走査方向に対して両サイドの半球下端付近を含まない。仰角用アンテナ221は、方位角用アンテナ21が360°回転する周期のうち、前半の半周期で共通エリアDA12を含む第1検知エリアDA1を走査する。
【0083】
仰角用アンテナ222の放射面22RSは、X軸周りを反時計方向に回転する。仰角用アンテナ222は、
図5に示したビームを放射しつつ、仰角方向に360°回転する。仰角用アンテナ222は、仰角方向に360°回転することで機械的に電磁波を走査して、全天のうち、共通エリアDA12を含む第2検知エリアDA2を検知する。仰角用アンテナ222の検知エリアは、Z方向の平面視において、X方向の端部領域を含まない。つまり、走査方向に対して両サイドの半球下端付近を含まない。仰角用アンテナ222は、方位角用アンテナ21が360°回転する周期のうち、後半の半周期で共通エリアDA12を含む第2検知エリアDA2を走査する。
【0084】
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態のレーダシステム10によれば、先行実施形態に記載の構成と同等の効果を奏することができる。
【0085】
本実施形態では、アンテナ装置20が2つの仰角用アンテナ221,222を有している。2つの仰角用アンテナ221,222は、方位角方向に90°ずれて配置されている。これによれば、2つの仰角用アンテナ221,222で全天を検知することができる。また、仰角の精度、つまり仰角分解能を高めることができる。この点について、
図15および
図16を用いて説明する。
【0086】
図15は、2つの仰角用アンテナ221,222を方位角方向に180°ずらして配置した場合の、仰角用アンテナ221の放射面22RSの位置を示している。
図16は、2つの仰角用アンテナ221,222を方位角方向に90°ずらして配置した場合の、仰角用アンテナ221の放射面22RSの位置を示している。
図15および
図16では、仰角80°のときの放射面22RSの位置を破線で示し、仰角81°のときの放射面22RSの位置を実線で示している。つまり、仰角方向に1°回転させたときの放射面22RSの位置の変化を示している。
【0087】
仰角の精度は、放射面が1°動いたときのArctan(z/(x
2+y
2)
0.5)の差で決まる。上記したように180°ずらして配置する場合、仰角用アンテナ221,222は、半球を二等分したエリアをそれぞれ走査する。つまり、仰角用アンテナ221,222のそれぞれは、半球の下端付近まで検知エリアに含む。下端に近づくほどZ方向の変化が大きい。よって、
図15に示すようにZ方向の変化が大きい。
【0088】
一方、本実施形態に示したように、90°ずらして配置する場合、仰角用アンテナ221,222の検知エリアが交差する。Z方向の平面視において、仰角用アンテナ221の検知エリアはY方向の半球下端付近を含まず、仰角用アンテナ222の検知エリアはX方向の半球下端付近を含まない。このように、角度が急峻な半球の下端付近まで検知しなくてよい。よって、
図16に示すようにZ方向の変化が小さい。このため、仰角の精度を高めることができる。
【0089】
アンテナ21,22の配置は上記した例に限定されない。アンテナ21,22の回転方向も、上記した例に限定されない。たとえば上記した配置において、方位角用アンテナ21が時計方向に回転し、仰角用アンテナ22が反時計方向に回転してもよい。
【0090】
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、回転駆動中において2つの仰角用アンテナ221,222に常時給電した。これに代えて、2つの仰角用アンテナ221,222への給電を切り替えてもよい。
【0091】
図17は、本実施形態に係るレーダシステム10を示す図である。
図17は、
図1に対応している。
図18は、アンテナ装置20を示す平面図である。
図18は、
図2に対応している。
図19は、給電の切り替えを示す図である。
【0092】
図17および
図18に示すように、レーダシステム10は、上空方向を検知している仰角用アンテナ22に対して給電するように給電を切り替える給電制御部28を備えている。給電制御部28は、たとえば給電線に設けられたスイッチ281と、スイッチ281のオンオフを制御するスイッチ制御部282を含む。スイッチ281は、仰角用アンテナ22に対して個別に設けられている。
図18に示す例では、仰角用アンテナ221の給電線にスイッチ281aが設けられ、仰角用アンテナ222の給電線にスイッチ281bが設けられている。
【0093】
スイッチ制御部282は、たとえば送受信部25が有している。これに代えて、制御装置40が有してもよい。スイッチ制御部282は、上空方向を検知するタイミングで仰角用アンテナ22に給電するように、スイッチ281のオンオフを制御する。
【0094】
本実施形態では、先行実施形態同様、方位角用アンテナ21が360°回転する1周期の前半(0~0.5周期)において、仰角用アンテナ221が上空方向を検知し、後半(0.5~1周期)において、仰角用アンテナ222が上空方向を検知する。このため、
図19に示すように、周期の前半において、仰角用アンテナ221に対応するスイッチ281aをオンし、仰角用アンテナ221に給電する。このとき、スイッチ281bはオフし、仰角用アンテナ222に対する給電を遮断する。つまり、給電しない。一方、周期の後半において、仰角用アンテナ222に対応するスイッチ281bをオンし、仰角用アンテナ222に給電する。このとき、スイッチ281aはオフし、仰角用アンテナ221に対する給電を遮断する。
【0095】
<第3実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、複数の仰角用アンテナ22は、上空方向の検知タイミングが互いに異なるように回転する。そして、給電制御部28は、上空方向を検知している仰角用アンテナ22に対して給電するように給電を切り替える。給電制御部28は、放射面22RSが地面側を向いている期間には給電せず、上空側を向いているときに給電する。よって、レーダシステム10の性能低下を抑制しつつ、電力消費を低減することができる。また、2つの仰角用アンテナ22において給電回路を共通化することができる。つまり、給電回路(送受信部25)の構成を簡素化することができる。
【0096】
仰角用アンテナ22の構成は、上記した例に限定されない。たとえば方位角方向に90°ずれて配置された構成にも適用することができる。
【0097】
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、物標情報である距離が同一の場合に同一物標と判定した。これに代えて、距離に加えて、他のパラメータが同一の場合、同一物標と判定するようにしてもよい。
【0098】
図20は、本実施形態に係るレーダシステム10において、制御装置40が実行する同一物標の検出処理を示すフローチャートである。
図20は、
図9に対応している。
【0099】
図20に示すように、まず制御装置40は、先行実施形態同様にステップS10の処理を実行する。
【0100】
次いで、制御装置40の方位角情報取得部42は、回転駆動中の方位角用アンテナ21が受信した反射波から、物標の方位角、距離、受信強度、および速度を取得する(ステップS20A)。
【0101】
また、制御装置40の仰角情報取得部43は、回転駆動中の仰角用アンテナ22(221,222)が受信した反射波から、物標の方位角、距離、受信強度、および速度を取得する(ステップS30A)。
【0102】
受信強度は、反射波の受信強度である。速度は、物標の速度である。物標とレーダシステム10との間の相対速度がゼロでない場合、物標からの反射波の受信信号においてドップラ成分が生じ、ドップラ周波数に応じた位相の変化が現れる。方位角情報取得部42および仰角情報取得部43のそれぞれは、ドップラ周波数の変動から速度を算出することで、速度を取得する。
【0103】
次いで、制御装置40の判定部44は、同一物標が存在するか否かを判定する(ステップS40A)。このとき、判定部44は、ステップS20の処理で得られた距離と、ステップS30の処理で得られた距離とを比較する。判定部44は、ステップS20の処理で得られた受信強度と、ステップS30の処理で得られた受信強度とを比較する。判定部44は、ステップS20の処理で得られた速度と、ステップS30の処理で得られた速度とを比較する。このように、複数の物標情報を対比する。判定部44は、距離が同一であり、受信強度が同一であり、速度が同一の物標を同一物標と判定する。同一物標が存在しない場合には、一連の処理を終了する。
【0104】
同一物標が存在する場合、制御装置40は、先行実施形態同様にステップS50,S60の処理を実行する。
【0105】
<第4実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、同一物標を判定する際に、距離だけでなく受信強度および速度をパラメータとして加味し、距離比較、受信強度比較、および速度比較のいずれにおいても互いに同一の値をとる物標を同一物標と判定する。これにより、たとえば同一距離の物標が複数検知されたときなど、同一距離に加えて、同一受信強度、同一速度という条件が追加されていることで、正確に同一物標を判定することができる。
【0106】
本実施形態では、距離に加えて、受信強度および速度を判定のパラメータとする例を示したが、これに限定されない。距離に加えて、受信強度および/または速度を判定のパラメータとすればよい。たとえば、距離同一と受信強度同一をもって同一物標と判定してもよいし、距離同一と速度同一をもって同一物標と判定してもよい。
【0107】
(第5実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、アンテナ装置20が仰角用アンテナ22を2つ備えていた。これに代えて、仰角用アンテナ22を3つ以上備えてもよい。
【0108】
【0109】
図21~
図23に示すように、アンテナ装置20は、ひとつの方位角用アンテナ21と、4つの仰角用アンテナ221,222,223,224を備えている。方位角用アンテナ21の構成および配置は、
図2~
図4に示した構成と同じである。方位角用アンテナ21は、Z軸周りを反時計方向に回転する。基準位置において、導波管の長手方向は、Y方向に略平行である。導波管のYZ平面に略平行な側面のうち、仰角用アンテナ221,223の配置側の面が放射面21RSをなしている。
【0110】
仰角用アンテナ22は、方位角方向において180°離間するように、2つずつ配置されている。仰角用アンテナ221,223は、共通の仰角用回転機構部241に取り付けられている。仰角用回転機構部241のモータの回転により、仰角用アンテナ221,223はX軸周りを時計方向に回転する。仰角用アンテナ221,223は、たとえば共通のプレートに固定されており、一体的に回転する。基準位置において、仰角用アンテナ221,223の導波管の長手方向は、いずれもZ方向に略平行である。仰角用アンテナ221,223は、Y方向において対向配置されている。導波管のZX平面に略平行な側面のうち、互いに対向する面の裏面が放射面22RSをなしている。
【0111】
仰角用アンテナ222,224は、共通の仰角用回転機構部242に取り付けられている。仰角用回転機構部242のモータの回転により、仰角用アンテナ222,224はX軸周りを時計方向に回転する。仰角用アンテナ222,224は、たとえば共通のプレートに固定されており、一体的に回転する。
【0112】
基準位置において、仰角用アンテナ222,224の導波管の長手方向は、いずれもZ方向に略平行である。仰角用アンテナ222,224は、Y方向において対向配置されている。導波管のZX平面に略平行な側面のうち、互いに対向する面の裏面が放射面22RSをなしている。その他の構成は、先行実施形態に記載した構成と同様である。
【0113】
図24は、検知エリアを走査する際の各アンテナ21,22の動きと放射面21RS、22RSの位置を示す図である。
図24は、
図6に対応している。
【0114】
図24(a)は、回転前の基準位置の状態を示している。基準位置において、方位角用アンテナ21の導波管の長手方向は、Y方向に略平行である。また、YZ平面に略平行な側面のうち、仰角用アンテナ221,223側の面が、放射面21RSをなしている。この状態から、方位角用アンテナ21は、Z軸周りを反時計方向に回転する。基準位置において、仰角用アンテナ221~224の導波管の長手方向は、Z方向に略平行である。この状態から、仰角用アンテナ221~224はX軸周りを時計方向に回転する。仰角用アンテナ221,223の導波管におけるZX平面に略平行な側面のうち、互いの対向面の裏面が、放射面22RSをなしている。仰角用アンテナ222,224の導波管におけるZX平面に略平行な側面のうち、互いの対向面の裏面が、放射面22RSをなしている。
【0115】
図24(b)は、基準位置に対して90度回転した状態を示している。方位角用アンテナ21の放射面21RSは、ZX平面に略平行となる。仰角用アンテナ221,222の放射面22RSは、XY平面に略平行であって上空側に向く。仰角用アンテナ223,224の放射面22RSは、XY平面に略平行であって地面側に向く。
【0116】
図24(c)は、基準位置に対して180度回転した状態を示している。方位角用アンテナ21の放射面21RSは、YZ平面に略平行であって基準位置とは反対の位置となる。仰角用アンテナ221の放射面22RSは、基準位置における仰角用アンテナ223の放射面22RSの位置となる。仰角用アンテナ223の放射面22RSは、基準位置における仰角用アンテナ221の放射面22RSの位置となる。同様に、仰角用アンテナ222の放射面22RSは、基準位置における仰角用アンテナ224の放射面22RSの位置となる。仰角用アンテナ224の放射面22RSは、基準位置における仰角用アンテナ222の放射面22RSの位置となる。
【0117】
図24(d)は、基準位置に対して270度回転した状態を示している。方位角用アンテナ21の放射面21RSは、ZX平面に略平行となる。仰角用アンテナ221,222の放射面22RSは、XY平面に略平行であって地面側に向く。仰角用アンテナ223,224の放射面22RSは、XY平面に略平行であって上空側に向く。
【0118】
図24(e)は、360°回転して基準位置に戻った状態を示している。各アンテナ21,22は、(a)→(b)→(c)→(d)→(e)の順に変位する。
【0119】
<第5実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、方位角用アンテナ21が一回転する間に仰角用アンテナ22のそれぞれが一回転する構成において、仰角用アンテナ22が上空方向を検知する期間を長くすることができる。これにより、物標の検出精度を高めることができる。
【0120】
本実施形態では、共通の回転軸に対して複数の仰角用アンテナ22が取り付けられている。これにより、簡素な構成で、物標の検出精度を高めることができる。
【0121】
本実施形態では、共通の第1回転軸を挟むように2つの仰角用アンテナ221,223が配置されている。仰角用アンテナ221,223において、対向面の裏面が放射面22RSとされている。共通の第2回転軸を挟むように2つの仰角用アンテナ222,224が配置されている。仰角用アンテナ222,224において、対向面の裏面が放射面22RSとされている。これにより、対をなす仰角用アンテナ221,223のひとつが地面方向を検知するとき、他のひとつが上空方向を検知する。つまり、方位角用アンテナ21が方位角方向の全周を検知する間中、第1検知エリアDA1を検知することができる。同様に、方位角用アンテナ21が方位角方向の全周を検知する間中、第2検知エリアDA2を検知することができる。
【0122】
仰角用アンテナ22の数が、4つの例を示したが、これに限定されない。
【0123】
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0124】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0125】
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
【0126】
本開示に記載の制御装置40は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムを実行するプロセッサとひとつ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成されたひとつ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。
【0127】
方位角用アンテナ21を、仰角用アンテナ22の上方に配置する例を示したが、これに限定されない。たとえば方位角用アンテナ21と仰角用アンテナ22の位置をZ方向において入れ替えてもよい。つまり、方位角用アンテナ21の上方に仰角用アンテナ22を配置してもよい。方位角用アンテナ21と仰角用アンテナ22とを、Z方向に直交する方向に横並びで配置してもよい。
【符号の説明】
【0128】
10…レーダシステム、20…アンテナ装置、21…方位角用アンテナ、21RS…放射面、22,221,222,223,224…仰角用アンテナ、22RS…放射面、23…方位角用回転機構部、24,241,242…仰角用回転機構部、25…送受信部、26…台座、27、271,272,273…支柱、28…給電制御部、281,281a,281b…スイッチ、282…スイッチ制御部、40…制御装置、41…アンテナ制御部、42…方位角情報取得部、43…仰角情報取得部、44…判定部、45…位置検出部、46…追跡部