(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】振動発生装置、振動低減装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240611BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240611BHJP
H02K 33/16 20060101ALI20240611BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
F16F15/02 A
H02K33/16 B
G03B21/14 F
(21)【出願番号】P 2022029117
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】若林 慎一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 竜矢
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-247810(JP,A)
【文献】特開2001-352742(JP,A)
【文献】特開2018-074781(JP,A)
【文献】特開2019-180147(JP,A)
【文献】国際公開第2021/200423(WO,A1)
【文献】特開2019-097227(JP,A)
【文献】特開2003-305409(JP,A)
【文献】特開2001-304332(JP,A)
【文献】特開2021-094527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
F16F 15/02
H02K 33/16
G03B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を対象物に伝える
平板状のベースと、
回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、
前記ベースに設けられ、前記振り子の端部を挟み、前記回転軸を前記ベースの平面に対して平行となるよう支持する一対の支持部と、
第1磁石を有し、前記振り子において前記回転軸とは反対側の端部に設けられ、前記振り子の揺動を誘導する第1誘導部と、
第1コイルを有し、前記振り子に駆動力を付与する第1駆動部と、を備え、
前記振り子は、前記一対の支持部に支持される接続部と、前記接続部から延出する延出部と、前記延出部の端部に設けられ前記延出部より幅が広い拡大部と、前記拡大部に設けられた配置部に配置された錘部と、を有し、
前記第1駆動部は、前記ベースに固定され、
前記第1駆動部の第1コイルは、前記ベースに沿う長手軸を有するトラック状に導線が平面的に巻回された第1空芯コイルであり、
前記第1空芯コイルの前記トラック状の平面は、前記ベースの平面に対して直交する向きに配置され、前記第1誘導部の
第1磁石に非接触で
対向し、
前記第1誘導部の前記第1磁石は、前記第1空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の一方の延在部に対向する第1磁石部材と、前記第1空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の他方の延在部に対向する第2磁石部材を有し、
前記第1磁石の前記第1磁石部材の前記一方の延在部に対向する面の磁極と、前記第1磁石の前記第2磁石部材の前記他方の延在部に対向する面の磁極とは、異なる、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動発生装置において、
前記第1駆動部のコイルに通電する電流の向きを交互に切り替える制御部を備える、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の振動発生装置において、
前記第1駆動部のコイルに対する前記回転軸とは反対側の位置、及び、前記第1誘導部の磁石に対する前記回転軸側の位置のうち、少なくとも一方の位置に配置されるヨークを備える、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の振動発生装置において、
前記ヨークは、前記第1駆動部のコイルに対する前記回転軸とは反対側の位置に設けられる第1ヨークを含み、
前記第1ヨークは、前記ベースに設けられ、前記第1駆動部のコイルを保持する保持部材である、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の振動発生装置において、
前記振り子の重心は、前記回転軸と前記振り子における前記第1駆動部側の端部との間における中間位置よりも前記第1駆動部側に位置する、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の振動発生装置において、
前記振り子の延出部は、貫通孔を有する、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の振動発生装置において、
前記第1磁石の前記第1磁石部材と前記第2磁石部材は、前記第1空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の一方の延在部と、前記第1空芯コイルの前記長手軸の他方の延在部との間で、離間している、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の振動発生装置において、
前記第1駆動部は、前記ベースに沿う長手軸を有するトラック状に導線が平面的に巻回された第2空芯コイルでなる第2コイルを有し、
前記第2空芯コイルの前記トラック状の平面は、前記ベースの平面に対して直交する向きに配置され、
前記第1コイルと前記第2コイルは、前記回転軸に沿う方向に並列に配置され、
前記第1誘導部の前記第1磁石は、前記第1コイル及び前記第2コイルに非接触で対向し、
前記第1磁石部材は、前記第2空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の一方の延在部に対向し、
前記第2磁石部材は、前記第2空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の他方の延在部に対向する、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の振動発生装置において、
前記第1駆動部は、前記ベースに沿う長手軸を有するトラック状に導線が平面的に巻回された第2空芯コイルでなる第2コイルを有し、
前記第2空芯コイルの前記トラック状の平面は、前記ベースの平面に対して直交する向きに配置され、前記回転軸に沿う方向に前記第1コイルと前記第2コイルは並列に配置され、
前記第1誘導部は、第2磁石を有し、
前記第2磁石は、前記第2空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の一方の延在部に対向する第1磁石部材と、前記第2空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の他方の延在部に対向する第2磁石部材を有し、
前記第2磁石の前記第1磁石部材の前記一方の延在部に対向する面の磁極と、前記第2磁石の前記第2磁石部材の前記他方の延在部に対向する面の磁極とは、異なる、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項10】
請求項9に記載の振動発生装置において、
前記第2磁石の前記第1磁石部材と前記第2磁石部材は、前記第2空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の一方の延在部と、前記第2空芯コイルの前記長手軸の他方の延在部との間で、離間している、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項11】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の振動発生装置において、
第2磁石を有し、前記振り子において前記第1誘導部に設けられた端部とは反対側の端部に設けられ、前記振り子の揺動を誘導する第2誘導部と、
第2コイルを有し、前記振り子に駆動力を付与する第2駆動部と、を備え、
前記第2駆動部は、前記ベースに固定され、
前記第2駆動部の第2コイルは、前記ベースに沿う長手軸を有するトラック状に導線が平面的に巻回された第2空芯コイルであり、
前記第2空芯コイルの前記トラック状の平面は、前記ベースの平面に対して直交する向きに配置され、前記第2誘導部の第2磁石に非接触で対向し、
前記第2誘導部の前記第2磁石は、前記第2空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の一方の延在部に対向する第1磁石部材と、前記第2空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の他方の延在部に対向する第2磁石部材を有し、
前記第1誘導部の前記第1磁石の前記第1磁石部材は、前記第1磁石の前記第2磁石部材より前記ベースから離れた位置にあり、
前記第2誘導部の前記第2磁石の前記第1磁石部材は、前記第2磁石の前記第2磁石部材より前記ベースから離れた位置にあり、
前記第2誘導部の前記第2磁石の前記第1磁石部材の磁極は、前記第1誘導部の前記第1磁石の前記第1磁石部材の磁極と同じであり、
前記第2誘導部の前記第2磁石の前記第2磁石部材の磁極は、前記第1誘導部の前記第1磁石の前記第2磁石部材の磁極と同じである、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項12】
振動を対象物に伝える平板状のベースと、
回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持され、前記回転軸を中心に前記回転軸に直交する方向に沿って互いに反対方向に延出する第1アームと第2アームを有する振り子と、
前記ベースに設けられ、前記振り子を挟み、前記回転軸を前記ベースの平面に対して平行となるよう支持する一対の支持部と、
第1磁石を有し、前記第1アームにおいて前記回転軸とは反対側の端部に設けられ、前記第1アームの揺動を誘導する第1誘導部と、
第2磁石を有し、前記第2アームにおいて前記回転軸とは反対側の端部に設けられ、前記第2アームの揺動を誘導する第2誘導部と、
第1コイルを有し、前記第1アームに駆動力を付与する第1駆動部と、
第2コイルを有し、前記第1アームに駆動力を付与する第2駆動部と、を備え、
前記第1アームは、前記回転軸から離間した位置に設けられた第1錘部を有し、
前記第2アームは、前記回転軸から離間した位置に設けられた第2錘部を有し、
前記第1駆動部は、前記ベースに固定され、
前記第1駆動部の第1コイルは、前記ベースに沿う長手軸を有するトラック状に導線が平面的に巻回された第1空芯コイルであり、
前記第1空芯コイルの前記トラック状の平面は、前記ベースの平面に対して直交する向きに配置され、前記第1誘導部の第1磁石に非接触で対向し、
前記第1誘導部の前記第1磁石は、前記第1空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の一方の延在部に対向する第1磁石部材と、前記トラック状の前記長手軸の他方の延在部に対向する第2磁石部材を有し、
前記第1磁石の前記第1磁石部材の前記一方の延在部に対向する面の磁極と、前記第1磁石の前記第2磁石部材の前記他方の延在部に対向する面の磁極とは、異なり、
前記第2駆動部は、前記ベースに固定され、
前記第2駆動部の第2コイルは、前記ベースに沿う長手軸を有するトラック状に導線が平面的に巻回された第2空芯コイルであり、
前記第2空芯コイルの前記トラック状の平面は、前記ベースの平面に対して直交する向きに配置され、前記第2誘導部の第2磁石に非接触で対向し、
前記第2誘導部の前記第2磁石は、前記第2空芯コイルの前記トラック状の前記長手軸の一方の延在部に対向する第1磁石部材と、前記トラック状の前記長手軸の他方の延在部に対向する第2磁石部材を有し、
前記第2磁石の前記第1磁石部材の前記一方の延在部に対向する面の磁極と、前記第2磁石の前記第2磁石部材の前記他方の延在部に対向する面の磁極とは、異なる、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項13】
請求項
12に記載の振動発生装置において、
前記回転軸を構成する板材を備え、
前記板材は、前記振り子に固定される固定部と、前記ベースに固定され前記固定部を挟む位置に設けられた一対の取付部と、前記固定部と前記一対の取付部との間に配置され、前記振り子が揺動する時に捻れる捻れ部とを有する、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項14】
請求項1から請求項
13のいずれか一項に記載の振動発生装置と、
振動を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された振動と逆位相の振動を、前記振動発生装置に発生させる動作制御部と、を備えることを特徴とする振動低減装置。
【請求項15】
請求項
14に記載の振動低減装置を備える、ことを特徴とする電子機器。
【請求項16】
請求項
15に記載の電子機器において、
画像を投射する投射光学装置を備え、
前記振動低減装置は、前記投射光学装置に取り付けられている、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動発生装置、振動低減装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の振動機能を実現する振動アクチュエーターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の振動アクチュエーターは、固定体と、固定体に設けられた軸部を支点として揺動するように、固定体に支持された可動体と、を備える。可動体は、固定体に対してマグネットの吸引力による磁気バネによって可動可能に支持される。可動体は、磁性体であるコアと、コアに巻回されるコイルと、を備え、コイルに異なる周波数の電流が通電されて、コアの貫通孔を挿通する軸部を中心に可動する。コアの一端部には、コイルに電力を供給するフレキシブル基板が設けられている。
【0003】
固定体は、ベースプレート及びケースが組み合わされて構成される。固定体は、マグネット及び緩衝部を備える。マグネットは、可動体のコイルとの協働によって、可動体を可動する。緩衝部には、振動する可動体の自由端が接触する。これにより、可動体の振動を振動アクチュエーターの筐体に伝達でき、緩衝部は、大きな振動を発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の振動アクチュエーターでは、マグネットは、固定体に設けられ、コイルは、可動体を構成するコアに巻回されている。更に、コアに設けられたフレキシブル基板は、可動体とともに振動する。このような構成のため、振動アクチュエーターの振動が、長期的に見てコイルに電力を供給する配線の接続に悪影響を及ぼす可能性がある。
このため、信頼性を高められる振動発生装置が要望されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石を有し、前記振り子において前記回転軸とは反対側の端部に設けられ、前記振り子の揺動を誘導する第1誘導部と、コイルを有し、前記振り子に駆動力を付与する第1駆動部と、を備え、前記第1駆動部のコイルは、前記第1誘導部の磁石に非接触で対向する。
【0007】
本開示の第2態様に係る振動低減装置は、上記第1態様に係る振動発生装置と、振動を検出する検出部と、前記検出部によって検出された振動と逆位相の振動を、前記振動発生装置に発生させる動作制御部と、を備える。
【0008】
本開示の第3態様に係る電子機器は、上記第2態様に係る振動低減装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るプロジェクターを示す斜視図。
【
図2】第1実施形態に係る振動低減装置の装置本体を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態に係る蓋部材を取り外した装置本体を示す平面図。
【
図4】第1実施形態に係る振動発生装置を示す斜視図。
【
図5】第1実施形態に係る振動発生装置を示す平面図。
【
図6】第1実施形態に係る振り子を取り外した振動発生装置を示す斜視図。
【
図9】第1実施形態に係る振動発生装置の一部を拡大して示す断面図。
【
図10】第1実施形態の第1変形例に係る振動発生装置を示す図。
【
図11】第1実施形態の第2変形例に係る振動発生装置を示す図。
【
図12】第2実施形態に係るプロジェクターの振動低減装置が備える振動発生装置を示す平面図。
【
図13】第2実施形態に係る振り子を取り外した振動発生装置を示す斜視図。
【
図14】第2実施形態の第1変形例に係る振動発生装置を示す図。
【
図15】第2実施形態の第2変形例に係る振動発生装置を示す図。
【
図16】第2実施形態の第3変形例に係る振動発生装置を示す図。
【
図17】第3実施形態に係るプロジェクターの振動低減装置が備える振動発生装置を示す平面図。
【
図18】第4実施形態に係るプロジェクターの振動低減装置が備える振動発生装置を示す平面図。
【
図19】第4実施形態に係る振動発生装置を示す斜視図。
【
図20】第4実施形態の変形に係る振動発生装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1を示す斜視図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、光源から出射された光を変調して画像情報に応じた画像光を形成し、形成した画像光を被投射面に拡大投射する電子機器である。プロジェクター1は、
図1に示すように、外装筐体11、投射光学装置12及び振動低減装置2を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、光源、光変調装置、電源装置、冷却装置及び制御装置を備える。
光変調装置は、光源から出射された光を変調し、画像情報に応じた画像光を形成する。
電源装置は、プロジェクター1の電子部品に電力を供給する。
冷却装置は、プロジェクター1の内部に設けられた冷却対象を冷却する。
制御装置は、プロジェクター1の動作を制御する。
【0011】
[外装筐体の構成]
外装筐体11は、プロジェクター1の外装を構成し、上記した光源、光変調装置、電源装置、冷却装置及び制御装置を内部に収容する。外装筐体11は、略直方体形状に形成されている。
外装筐体11は、投射光学装置12による画像の投射方向の面111に、後述する振動低減装置2のケーブル28が接続される接続端子112を有する。接続端子112は、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子であり、振動低減装置2に電力を供給する。
【0012】
[投射光学装置の構成]
投射光学装置12は、上記した光変調装置によって形成された画像光を被投射面に投射する。本実施形態では、投射光学装置12は、外装筐体11に装着及び脱離可能に取り付けられる。すなわち、投射光学装置12は、交換可能である。
図1に示す投射光学装置12は、投射光学装置12に入射する画像光の進行方向を2段階に順次屈曲させ、投射光学装置12に対する画像光の入射方向とは反対方向に画像光を投射する。すなわち、投射光学装置12は、+X方向から見て反時計回りに90°回動された略U字形状に構成されている。
投射光学装置12は、鏡筒121を備える他、図示を省略するが、鏡筒121内に設けられる複数のレンズ及び複数の反射部材を備える。
【0013】
[振動低減装置の構成]
振動低減装置2は、振動低減対象に取り付けられ、振動低減対象に作用する振動に対して逆位相の振動である振動を発生させることによって、振動低減対象の振動を低減するものである。本実施形態では、振動低減装置2は、鏡筒121に設けられ、鏡筒121に作用する振動を低減させる。
ここで、プロジェクター1に外部から振動が伝播された場合や、プロジェクター1のファン等の内的要因によって振動が発生した場合、外装筐体11の外側に突出するように設けられた投射光学装置12は、外装筐体11よりも大きく振動しやすい。このように、投射光学装置12が振動した場合、投射光学装置12によって被投射面に投射された画像が、大きく揺れることとなる。
このような問題から、本実施形態では、振動低減装置2を投射光学装置12に設けることによって、投射光学装置12の振動を低減させ、ひいては画像の揺れを抑制している。
以下、振動低減装置2の構成について詳述する。
【0014】
振動低減装置2は、装置本体21、ケーブル28及び固定具29を備える。
ケーブル28は、装置本体21から延出している。ケーブル28は、接続端子112と接続され、接続端子112から供給される電力を装置本体21に供給する。
固定具29は、装置本体21を振動低減対象に固定する。本実施形態では、固定具29は、ベルトによって構成されており、振動低減対象である投射光学装置12が有する鏡筒121の外周面に巻かれる。しかしながら、これに限らず、固定具29は、筐体22を振動低減対象に固定可能であれば、ねじ等の締結部材であってもよい。
【0015】
図2は、装置本体21を示す斜視図であり、
図3は、蓋部材24を取り外した状態の装置本体21を示す平面図である。
装置本体21は、鏡筒121の振動に対する逆位相の振動を発生させて、鏡筒121の振動を低減させる。装置本体21は、
図2に示すように、筐体22及び検出部25を備える他、
図3に示すように、動作制御部26及び振動発生装置3Aを備える。
筐体22は、検出部25、動作制御部26及び振動発生装置3Aを収容する。筐体22は、
図2に示すように、フレーム23及び蓋部材24を備え、フレーム23及び蓋部材24が組み合わされることによって略直方体形状に形成されている。
なお、蓋部材24は、矩形板状に形成されており、フレーム23の第1面23Aに着脱可能に取り付けられる。
【0016】
フレーム23は、
図2及び
図3に示すように、第1面23A、第2面23B、第3面23C、第4面23D、第5面23E及び第6面23Fを有する矩形枠状に形成されている。第1面23A及び第2面23Bは、互いに反対側の面である。第3面23C及び第4面23Dは、互いに反対側の面であり、第5面23E及び第6面23Fは、互いに反対側の面である。
フレーム23は、
図2に示すように、固定具取付部231、センサー取付部232、端子部233を有する。
【0017】
固定具取付部231は、
図2に示すように、フレーム23において第3面23C側の部分、及び、第4面23D側の部分に設けられた棒状部分である。各固定具取付部231には、固定具29の端部が取り付けられる。
センサー取付部232は、第3面23Cに配置されている。センサー取付部232には、検出部25が取り付けられる。
端子部233は、第6面23Fの略中央に設けられている。端子部233には、ケーブル28が接続され、接続端子112からケーブル28を介して電力が供給される。
【0018】
検出部25は、振動低減装置2に作用する振動を検出する。検出部25は、プリント基板251と、プリント基板251に設けられたセンサー(図示省略)と、を備える。プリント基板251は、センサー取付部232に取り付けられ、センサーによって検出された振動方向及び振幅を、動作制御部26に出力する。なお、検出部25が有するセンサーとしては、加速度センサー及びジャイロセンサーが挙げられる。
【0019】
フレーム23は、
図3に示すように、配置部234及び取付部235を更に有する。
配置部234及び取付部235は、第1面23Aに取り付けられる蓋部材24によって覆われる。換言すると、配置部234及び取付部235は、蓋部材24がフレーム23から取り外されることによって露出される。
配置部234には、動作制御部26が配置される。
取付部235には、振動発生装置3Aが取り付けられる。
【0020】
動作制御部26は、複数の回路素子が実装されたプリント基板であり、配置部234に配置される。動作制御部26は、振動低減装置2の動作を制御する。具体的に、動作制御部26は、検出部25による検出結果に基づいて、振動発生装置3Aを動作させる。詳述すると、動作制御部26は、振動発生装置3Aに駆動電力を供給するとともに、検出部25によって検出された振動の逆位相の振動を発生させるように、振動発生装置3Aを動作させる。
【0021】
[振動発生装置の構成]
図4は、振動発生装置3Aを示す斜視図であり、
図5は、振動発生装置3Aを示す平面
図である。
振動発生装置3Aは、フレーム23内に設けられた取付部235に取り付けられる。振
動発生装置3Aは、動作制御部26による制御の下、振動低減対象物である鏡筒121の
振動を低減させる振動を発生させる。振動発生装置3Aは、
図4及び
図5に示すように、
ベース4A、振り子5A、第1誘導部6A及び第1駆動部7Aを備える。
なお、以下の説明では、互いに直交する三方向を+X方向、+Y方向及び+Z方向とす
る。+X方向は、振り子5Aの回転軸Rxに沿う方向であり、上記した第3面23Cから
第4面23Dに向かう方向である。+Y方向は、ベース4Aに対して垂直な方向であり、
上記した第2面23Bから第1面23Aに向かう方向である。+Z方向は、+Y方向から
見て回転軸Rxから第1駆動部7Aに向かう方向であり、上記した
第6面23Fから第5
面23Eに向かう方向である。また、図示を省略するが、+X方向の反対方向を-X方向
とし、+Y方向の反対方向を-Y方向とし、+Z方向の反対方向を-Z方向とする。
【0022】
[ベースの構成]
図6は、振り子5Aを取り外した状態の振動発生装置3Aを示す斜視図である。
ベース4Aは、平板状に形成された板状部材である。ベース4Aは、振動発生装置3Aによって発生した振動を、ベース4Aが設置された対象物、すなわち、フレーム23に伝える。ベース4Aは、振り子5A、第1誘導部6A及び第1駆動部7Aを支持し、取付部235(
図3)に取り付けられる。ベース4Aは、一対の支持部41、固定部42及び逃げ部43を有する。
一対の支持部41は、振り子5Aにおける-Z方向の端部を回転可能に支持する。一対の支持部41は、ベース4Aにおいて-Z方向の端部に、+X方向において振り子5Aにおける-Z方向の端部を挟む位置に設けられている。一対の支持部41のそれぞれは、
図6に示すように、振り子5Aの回転軸Rxを形成するピン411を有する。一対の支持部41のうち、-X方向に配置された支持部41Lが有するピン411は、支持部41Lから+X方向に突出し、+X方向に配置された支持部41Rが有するピン411は、支持部41Rから-X方向に突出している。各ピン411は、振り子5Aに挿入され、これにより、振り子5Aは、+X方向に沿う回転軸Rxを中心に回転可能に支持される。
【0023】
固定部42は、
図4~
図6に示すように、ベース4Aにおいて第1駆動部7Aが固定される部分である。固定部42は、ベース4Aにおいて+Z方向の端部に設けられている。
逃げ部43は、+Z方向において一対の支持部41と固定部42との間に設けられている。逃げ部43は、振り子5Aが回転軸Rxを中心に揺動するときに、振り子5Aにおける+Z方向の部分及び第1誘導部6Aがベース4Aに接触しないようにするための部分である。本実施形態では、逃げ部43は、+Y方向に沿ってベース4Aを貫通する開口部である。しかしながら、これに限らず、逃げ部43は、振り子5Aに対向する方向とは反対方向に開口する凹部であってもよい。具体的に、逃げ部43は、+Y方向又は-Y方向に開口する凹部であってもよい。逃げ部43が凹部である場合でも、振り子5Aにおける+Z方向の部分及び第1誘導部6Aの端部がベース4Aに接触しないように、逃げ部43を構成できる。
【0024】
[振り子の構成]
図7は、振り子5Aを示す斜視図である。
図8は、振り子5Aを+X方向から見た側面図である。
振り子5Aは、回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4Aに支持されている。振り子5Aは、第1駆動部7Aによって回転軸Rxを中心に揺動されることによって、振動を発生する。振り子5Aは、
図7及び
図8に示すように、アーム51及び錘部52を有する。
【0025】
アーム51は、
図7に示すように、+Y方向から見て、+Z方向の端部が-Z方向の端部よりも大きい略T字状に形成されている。アーム51は、
図7及び
図8に示すように、接続部511、延出部512、拡大部513、配置部514,515及び取付部516を有する。
接続部511は、アーム51において一対の支持部41によって支持される部分である。本実施形態では、接続部511は、アーム51における-Z方向の端部に設けられている。接続部511は、+X方向を向く接続部511の面及び-X方向を向く接続部511の面のそれぞれに孔部5111が設けられている。各孔部5111の内部には、ベアリングBR(
図6参照)が配置される。そして、ベアリングBRの内部に各支持部41が有するピン411がワッシャー(図示省略)を介して挿入されることによって、アーム51、ひいては、振り子5Aが一対の支持部41に支持される。
【0026】
延出部512は、接続部511から拡大部513に至るまでの延出部分である。延出部512において+X方向に沿う寸法は、拡大部513における+X方向に沿う寸法より小さく、延出部512において+X方向に沿う寸法は、接続部511から拡大部513に至る範囲において同じである。延出部512には、振り子5Aの軽量化を図るとともに、振り子5Aの重心位置をより+Z方向に位置させるために、貫通孔5121が設けられている。しかしながら、これに限らず、貫通孔5121に代えて凹部を設けてもよく、貫通孔5121は無くてもよい。
【0027】
拡大部513は、アーム51における+Z方向の部分である。+X方向に沿う拡大部513の寸法は、+X方向に沿う接続部511の寸法よりも大きい。このような拡大部513を有する振り子5Aの重心は、回転軸Rxと振り子5Aにおける+Z方向の端部との間における中間位置よりも+Z方向に位置する。すなわち、振り子5Aの重心は、錘部52の構成及び配置に関わらず、回転軸Rxと振り子5Aにおける第1駆動部7A側の端部との間における中間位置よりも第1駆動部7A側に位置する。
【0028】
配置部514は、拡大部513における+Y方向の面に設けられ、配置部515は、拡大部513における-Y方向の面に設けられている。配置部514は、拡大部513における+Y方向の面から-Y方向に凹んだ凹部であり、+Y方向から見て略正方形状に形成されている。配置部515は、拡大部513における-Y方向の面から+Y方向に凹んだ凹部であり、-Y方向から見て略正方形状に形成されている。配置部514,515の少なくとも1つの配置部には、錘部52が配置される。すなわち、配置部514,515は、回転軸Rxから取付部516側に離間した位置に設けられ、錘部52が配置可能な部分である。
【0029】
錘部52は、少なくとも1つの錘部材53によって構成される。
錘部材53は、+X方向に沿う長手軸を有する略直方体形状に形成され、配置部514,515のうち一方の配置部に+X方向に沿って配置される。錘部材53は、+Y方向に沿って錘部材53を貫通する貫通孔531を有する。錘部材53は、貫通孔531を挿通するねじS1によって、配置部514,515のうち一方の配置部に固定される。
なお、配置部514には、+Z方向に沿って3つの錘部材53を配置可能であり、配置部514に配置された錘部材53に対する+Y方向に、錘部材53を更に配置可能である。+Y方向に複数の錘部材53を重ねて配置する場合には、ねじS1は、各錘部材53の貫通孔531を挿通した状態にて、配置部514に固定される。配置部515も同様である。このような構成により、振り子5Aに設けられる錘部材53の数及び配置を調節できる。
【0030】
取付部516は、+Z方向におけるアーム51の端部に設けられている。すなわち、取付部516は、回転軸Rxに交差する方向のうち、回転軸Rxから延出する振り子5Aの延出方向(+Z方向)において、振り子5Aの中心に対して回転軸Rxとは反対側の端部である。すなわち、取付部516は、回転軸Rxから延出するアーム51において+Z方向を向く先端部であり、アーム51の自由端である。このような取付部516は、+Z方向におけるアーム51の端部において-Z方向に凹む凹部であり、取付部516には、第1誘導部6Aが有する板部材64が取り付けられる。
【0031】
[第1誘導部の構成]
第1誘導部6Aは、振り子5Aにおいて回転軸Rxとは反対側の端部に固定される。すなわち、第1誘導部6Aは、取付部516に取り付けられている。第1誘導部6Aは、第1駆動部7Aによって生じる磁界と作用して、振り子5Aの揺動を誘導する。第1誘導部6Aは、磁石61A及び板部材64を有する。
【0032】
磁石61Aは、第1駆動部7Aの後述するコイル73によって生じる磁力に対して吸着又は反発する。磁石61Aは、第1磁石部材62及び第2磁石部材63を含んで構成されている。
第1磁石部材62及び第2磁石部材63のそれぞれは、+X方向に沿う長手軸を有する略直方体形状に形成されている。第1磁石部材62の+X方向に沿う寸法と、第2磁石部材63の+X方向に沿う寸法は、第1駆動部7Aの後述するコイル73の+X方向に沿う寸法と略一致する。
第1磁石部材62は、+Y方向に配置されている。+Z方向を向く第1磁石部材62の面62Aは、XY平面と略平行な面であり、後述するコイル73の第1延在部731と対向する。面62Aの磁極は、本実施形態ではS極である。
第2磁石部材63は、第1磁石部材62に対して-Y方向に離間して配置されている。詳述すると、第2磁石部材63は、コイル73において第1延在部731から後述する第2延在部732に向かう-Y方向に、第1磁石部材62から離間している。+Z方向を向く第2磁石部材63の面63Aは、XY平面と略平行な面であり、第2延在部732と対向する。面63Aの磁極は、本実施形態ではN極である。すなわち、第1磁石部材62において第1延在部731に対向する面62Aの磁極と、第2磁石部材63において第2延在部732に対向する面63Aの磁極とは異なる。
【0033】
板部材64は、磁石61Aを支持した状態にて、取付部516に接着剤等によって固定される。具体的に、板部材64は、+Z方向を向く面における+Y方向の部分にて第1磁石部材62を支持し、-Y方向の部分にて第2磁石部材63を支持する。
板部材64は、金属によって平板状に形成されており、磁石61Aの吸着力を増幅するヨークとして機能する。すなわち、振動発生装置3Aは、第1誘導部6Aの磁石に対する回転軸Rx側の位置に配置される磁石側ヨークである板部材64を備える。
【0034】
[第1駆動部の構成]
第1駆動部7Aは、
図4~
図6に示すように、ベース4Aに固定され、振り子5Aに設けられた第1誘導部6Aに駆動力を付与して、振り子5Aを揺動させる。詳述すると、第1駆動部7Aは、動作制御部26から入力する制御信号に基づいて、振り子5Aに駆動力を付与して振り子5Aを揺動させる。第1駆動部7Aは、保持部材71、端子部72及びコイル73を有する他、図示しない制御部を有する。
【0035】
保持部材71は、端子部72及びコイル73を保持した状態にて、固定部42に固定さ
れる。保持部材71は、XZ平面に沿う第1板状部711と、XY平面に沿う第2板状部
712とを有し、-X方向から見て略L字状に形成されている。
第1板状部711における-Y方向の面は、固定部42と接触する。第1板状部711
における+Y方向の面には、端子部72が取り付けられている。
第2板状部712は、第1板状部711における-Z方向の端部から+Y方向に起立し
ている。第2板状部712における-Z方向の面には、コイル73が取り付けられている
。すなわち、第2板状部712において磁石61Aと対向する面には、コイル73が取り
付けられる。保持部材71は、強磁性体によって形成されていることから、第2板状部7
12は、コイル73によって発生する磁界の向きを制御するヨークとして機能する。すな
わち、振動発生装置3Aは、コイル73を保持するとともに、コイル73に対して磁石6
1Aとは反対側に配置されるコイル側ヨークである第2板状部712を有する保持部材7
1を備える。換言すると、保持部材71は、コイル73に対して回転軸Rxとは反対側に
配置される第1ヨークである第2板状部712を有する。
【0036】
端子部72は、振動低減装置2の動作制御部26と電気的に接続され、動作制御部26から供給される電流を図示しない制御部に供給する。制御部は、コイル73に通電させることによって、コイル73にて磁界を発生させ、これにより、磁石61Aが設けられた振り子5Aに駆動力を付与して、振り子5Aを揺動させる。詳述すると、制御部は、コイル73に交流電流を通電させて、コイル73によって発生する磁界の向きを交互に反転させることによって、回転軸Rxを中心に振り子5Aを揺動させる。すなわち、制御部は、第1駆動部7Aのコイル73に通電する電流の向きを交互に切り替える。
【0037】
コイル73は、振り子5A以外の構成に設けられる。本実施形態では、コイル73は、
保持部材71によってベース4Aに固定される。コイル73は、磁石61Aに非接触で対
向して配置され、
磁石61Aに作用する磁界を発生させる。
コイル73は、
図6に示すように、磁石61A側である-Z方向から見て、+X方向に
長手軸を有するトラック状又は長円形状に導線が平面的に巻回されて構成された空芯コイ
ルである。このため、磁石61A側から見て、長手軸に沿うコイル73の寸法は、長手軸
に直交する短手軸に沿うコイル73の寸法よりも大きい。
【0038】
このようなコイル73は、第1延在部731及び第2延在部732を有する。
第1延在部731は、コイル73の長手軸に沿って直線状に延在した部分である。第1延在部731は、コイル73の空芯部分SPに対して+Y方向に配置されている。
第2延在部732は、コイル73の空芯部分SPを挟んで第1延在部731とは反対側に配置されている。すなわち、第2延在部732は、第1延在部731に対して-Y方向に配置されている。第2延在部732は、コイル73の長手軸に沿って直線状に延在している。コイル73の長手軸に沿う第2延在部732の寸法は、コイル73の長手軸に沿う第1延在部731の寸法と略同じである。制御部によってコイル73に電流が通電した場合、第2延在部732における電流の向きは、第1延在部731における電流の向きとは反対方向となる。
【0039】
このため、コイルに電流が通電すると、第1延在部731及び第2延在部732のうち、一方の延在部から他方の延在部に磁力が向かう磁界が発生する。すなわち、一方の延在部がN極となり、他方の延在部がS極となる。そして、制御部が所定周波数の交流電流をコイル73に通電させることによって、第1延在部731の磁極と第2延在部732の磁極とが交互に切り替えられる。
本実施形態では、コイル73は、上記のようにコアを有しない空芯コイルであるが、第1延在部731と第2延在部732との間にコアを有するコイルであってもよい。
【0040】
[振り子の振動]
図9は、振動発生装置3Aにおける+Z方向の端部を拡大して示す断面図である。
振動発生装置3Aでは、回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4Aに支持された振り子5Aには、磁石61Aが設けられている。磁石61Aを構成する第1磁石部材62及び第2磁石部材63のうち、第1磁石部材62は、第1延在部731と非接触で対向し、第2磁石部材63は、第2延在部732と非接触で対向する。そして、第1磁石部材62において第1延在部731に対向する面62Aの磁極と、第2磁石部材63において第2延在部732に対向する面63Aの磁極とは、異なる。
一方、コイル73には、制御部によって交流電流が通電する。このため、第1延在部731の磁極と、第2延在部732の磁極とは、交互に切り替えられる。
このことから、振り子5Aは、交流電流の周波数に応じて、回転軸Rxを中心とする第1方向D1と、第1方向とは反対方向である第2方向D2とに、交互に揺動する。
そして、コイル73に通電する交流電流の周波数は、振動低減装置2が備える検出部25によって検出された投射光学装置12の振動に応じて設定される。
これにより、振動発生装置3Aは、投射光学装置12に伝播された振動の逆位相の振動を発生させることができるので、投射光学装置12の振動を低減できる。
【0041】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
プロジェクター1は、電子機器に相当する。プロジェクター1は、振動低減装置2を備える。振動低減装置2は、振動発生装置3Aと、振動を検出する検出部25と、検出部25によって検出された振動と逆位相の振動を、振動発生装置3Aに発生させる動作制御部26と、を備える。
振動発生装置3Aは、ベース4A、振り子5A、第1誘導部6A及び第1駆動部7Aを備える。ベース4Aは、振動を対象物に伝える。振り子5Aは、回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4Aに支持されている。第1誘導部6Aは、磁石61Aを有し、振り子5Aにおいて回転軸Rxとは反対側の端部に設けられ、振り子5Aの揺動を誘導する。第1駆動部7Aは、コイル73を有し、振り子5Aに駆動力を付与する。コイル73は、磁石61Aに非接触で対向する。
【0042】
このような構成によれば、コイル73と非接触で対向し、かつ、コイル73によって発生する磁界と作用する磁石61Aは、振り子5Aに設けられている。これによれば、回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4Aに支持される振り子5Aに、電流を通電させる配線を設ける必要が無い。このため、振り子5Aの揺動に際して、コイル73に電流を通電させる配線が損傷することを抑制でき、振り子5Aを確実に揺動させることができる。従って、振動発生装置3Aの信頼性を高めることができる。更に、検出部25によって検出された振動と逆位相の振動を振動発生装置3Aによって発生できるので、プロジェクター1の振動を低減できる。
【0043】
振動発生装置3Aでは、第1駆動部7Aのコイル73に通電する電流の向きを交互に切り替える制御部を備える。換言すると、第1駆動部7Aのコイル73には、交流電流が通電する。
このような構成によれば、コイル73にて発生する磁界の向きを交互に反転させることができる。これにより、磁石61Aが設けられた振り子5Aを揺動させることができる。従って、振動発生装置3Aによって振動を発生させることができる。
【0044】
振動発生装置3Aでは、第1駆動部7Aのコイル73に対する回転軸Rxとは反対側の位置には、保持部材71の第2板状部712が設けられる。第2板状部712は、コイル73にとってのヨークとして機能する。第1誘導部6Aの磁石61Aに対する回転軸Rx側の位置には、板部材64が設けられる。板部材64は、磁石61Aにとってのヨークとして機能する。
このような構成によれば、第2板状部712によって、コイル73にて発生する磁力を磁石61Aに向けることができる。また、板部材64によって、磁石61Aによる吸着力を高めることができる。従って、コイル73にて発生する磁界と振り子5Aに設けられた磁石61Aとの相互作用を強めることができるので、振り子5Aを揺動させるためにコイル73に通電する電流を低くすることができる。
【0045】
振動発生装置3Aでは、ヨークとして機能する第2板状部712は、第1駆動部7Aのコイル73に対する回転軸Rxとは反対側の位置に設けられる第1ヨークに相当する。第2板状部712を有する保持部材71は、ベース4Aに設けられ、コイル73を保持する。
このような構成によれば、コイル73をベース4Aに固定する部材を別途設ける必要がない。従って、振動発生装置3Aの部品点数の増加を抑制できる。
【0046】
振動発生装置3Aでは、振り子5Aの重心は、回転軸Rxと振り子5Aにおける第1駆動部7A側の端部との間における中間位置よりも第1駆動部7A側に位置している。すなわち、振り子5Aの重心は、回転軸Rxと、回転軸Rxからの振り子5Aの延出方向において回転軸Rxとは反対側の端部との間における中間位置よりも、回転軸Rxとは反対側に位置している。
このような構成によれば、振り子5Aの揺動時に生じる回転トルクを増加させることができる。従って、振動発生装置3Aによって発生する振動を大きくできる。
【0047】
振動発生装置3Aでは、振り子5Aは、回転軸Rxから第1駆動部7A側に離間した位置に、錘部52が配置される配置部514,515を有する。
このような構成によれば、錘部52を構成する錘部材53の数を調節する等して、配置部514,515に設けられる錘部52の重量を調節することによって、振り子5Aの揺動時に生じる回転トルクを増加させることができる。従って、振動発生装置3Aによって発生する振動を調節できる。
【0048】
振動発生装置3Aでは、第1駆動部7Aのコイル73は、+X方向に沿う長手軸を有する空芯コイルである。第1誘導部6Aの磁石61Aは、コイル73の長手軸に沿ってコイル73に対向して配置されている。
このような構成によれば、振動発生装置3Aに採用されるコイル73が空芯コイルであることによって、コアを有するコイルに比べてコイルのコストを低減でき、ひいては、振動発生装置3Aの製造コストを低減できる。
また、コイル73の長手軸に沿って磁石61Aが配置されることにより、コイル73によって生じる磁界と磁石61Aとの相互作用を高めることができる。
【0049】
振動発生装置3Aでは、コイル73は、コイル73の長手軸に沿って延在する第1延在部731と、コイル73の長手軸に沿って延在し、第1延在部731とは反対向きに電流が通電する第2延在部732と、を有する。第1誘導部6Aの磁石61Aにおいて第1延在部731に対向する面の磁極と、第2延在部732に対向する面の磁極とは、異なる。
このような構成によれば、コイル73にて発生する磁界の向きが交互に変化することによって、磁石61Aが固定された振り子5Aを確実に揺動させることができる。
【0050】
振動発生装置3Aでは、磁石61Aは、第1磁石部材62及び第2磁石部材63を含む。第1磁石部材62は、第1延在部731に対向して配置される。第2磁石部材63は、第2延在部732に対向し、第1延在部731から第2延在部732に向かう-Y方向に第1磁石部材62から離間して配置される。第1磁石部材62において第1延在部731に対向する面の磁極と、第2磁石部材63において第2延在部732に対向する面の磁極とは異なる。
このような構成によれば、第2磁石部材63が、第1延在部731から第2延在部732に向かう-Y方向に第1磁石部材62から離間して設けられていることによって、コイル73によって発生する磁界に対する磁石61Aの吸着力及び反発力を高めることができる。従って、振り子5Aの揺動時のトルクを高めることができる。
【0051】
振動発生装置3Aでは、ベース4Aは、振り子5Aとの接触を避ける逃げ部43を有する。
このような構成によれば、振り子5Aの揺動時に、振り子5Aがベース4Aに接触して騒音が発生することを抑制できる。従って、振動発生装置3Aの静音化を図ることができる。
【0052】
[第1実施形態の第1変形例]
上記した振動発生装置3Aでは、磁石61Aは、第1延在部731から第2延在部732に向かう-Y方向において互いに離間した第1磁石部材62及び第2磁石部材63を含むとした。しかしながら、これに限らず、振り子5Aに設けられる磁石は、第1延在部731及び第2延在部732に対向する1つの磁石によって構成されていてもよい。
【0053】
図10は、振動発生装置3Aの第1変形例を示す断面図である。詳述すると、
図10は、振動発生装置3Aの磁石61Aの変形である磁石61Bを示す断面図である。
例えば、振動発生装置3Aは、磁石61Aに代えて、
図10に示す磁石61Bを第1誘導部6Aの磁石として採用してもよい。
磁石61Bは、第1磁石部材62及び第2磁石部材63を有する磁石61Aとは異なり、1つの磁石部材により構成されている。
磁石61Bは、コイル73の長手軸と略平行な+X方向に沿う長手軸を有する直方体形状に形成されており、コイル73と非接触で対向するように配置される。長手軸に沿う磁石61Bの寸法は、長手軸に沿うコイル73の寸法と略同じであり、長手軸に直交する+Y方向に沿う磁石61Bの寸法は、+Y方向に沿うコイル73の寸法と略同じである。
磁石61Bは、コイル73の第1延在部731と対向する部分61B1と、コイル73の第2延在部732と対向する部分61B2と、を有し、部分61B1と部分61B2とは、接続されている。部分61B1において第1延在部731と対向する面の磁極と、部分61B2において第2延在部732と対向する面の磁極とは異なる。例えば部分61B1において第1延在部731と対向する面の磁極はS極であり、部分61B2において第2延在部732と対向する面の磁極はN極である。
このような磁石61Bが採用された振動発生装置3Aによっても、上記と同様の効果を奏することができる。
【0054】
[第1実施形態の第2変形例]
上記した振動発生装置3Aでは、振り子5Aは、ベース4Aにおいて-Z方向の端部に設けられた一対の支持部41によって、回転軸Rxを中心に揺動可能に支持されるとした。換言すると、回転軸Rxを中心に揺動可能に振り子5Aを支持する一対の支持部41は、ベース4Aにおいて-Z方向の端部に設けられているとした。しかしながら、これに限らず、一対の支持部41の位置は、ベース4Aにおいて-Z方向の端部よりも+Z方向の位置に設けられていてもよい。
【0055】
図11は、振動発生装置3Aの第2変形例を示す平面図である。詳述すると、
図11は、振動発生装置3Aのベース4A及び振り子5Aの変形であるベース4C及び振り子5Cを示す平面図である。
例えば、振動発生装置3Aは、ベース4A及び振り子5Aに代えて、
図11に示すベース4C及び振り子5Cを採用してもよい。ベース4Cは、一対の支持部41の位置がベース4Aと相違し、振り子5Cは、接続部511と拡大部513との間の寸法が振り子5Aと相違する。
具体的に、ベース4Cにおいて一対の支持部41は、ベース4Cにおける-Z方向の端部よりも+Z方向に配置されている。すなわち、一対の支持部41は、ベース4Cにおいて-Z方向の端部と逃げ部43との間の位置に設けられている。
また、ベース4Cにおける一対の支持部41の位置に応じて、振り子5Cにおける接続部511と拡大部513との間の寸法は、振り子5Aにおける接続部511と拡大部513との間の寸法よりも小さくなっている。すなわち、振り子5Cは、接続部511から拡大部513に連なる延出部512を備えず、拡大部513と、拡大部513に連なる部分であって一対の支持部41によって支持される部分とで構成される。そして、拡大部513における-Z方向の端部は、一対の支持部41に隣接する。
このようなベース4C及び振り子5Cが採用された振動発生装置3Aによっても、上記と同様の効果を奏することができる他、振動発生装置3Aをより小型に構成できる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、振動発生装置が複数のコイル及び複数の磁石を有する点で、第1実施形態に係るプロジェクター1と相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
図12は、本実施形態に係るプロジェクターの振動低減装置が備える振動発生装置3Dを+Y方向から見た平面図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、振動発生装置3Aに代えて、
図12に示す振動発生装置3Dを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る振動低減装置は、振動発生装置3Aに代えて振動発生装置3Dを備える他は、第1実施形態に係る振動低減装置2と同様の構成及び機能を備える。
振動発生装置3Dは、第1誘導部6A及び第1駆動部7Aに代えて、第1誘導部6D及び第1駆動部7Dを備える他は、第1実施形態に係る振動発生装置3Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、振動発生装置3Dは、ベース4A、振り子5A、第1誘導部6D及び第1駆動部7Dを備える。
【0058】
[第1誘導部の構成]
第1誘導部6Dは、第1実施形態に係る第1誘導部6Aと同様に、振り子5Aにおける+Z方向の端部に設けられている。第1誘導部6Dは、磁石61D及び板部材64Dを備える。
磁石61Dは、後述する第1コイル77及び第2コイル78と非接触で対向する。磁石61Dは、第1磁石65及び第2磁石66を含む。第2磁石66は、回転軸Rxに沿う方向に第1磁石65と並列に配置されている。すなわち、第2磁石66は、第1磁石65に対して+X方向に配置される。なお、第1磁石65及び第2磁石66の構成については、後に詳述する。
【0059】
板部材64Dは、磁石61Dを振り子5Aの取付部516に取り付けるための部材である。板部材64Dは、第1板部材64D1と、回転軸Rxに沿う方向に第1板部材64D1と並列に配置された第2板部材64D2と、を有する。第1板部材64D1は、第1磁石65を支持し、第2板部材64D2は、第2磁石66を支持する。
なお、第1板部材64D1は、第1磁石65に対して回転軸Rx側に配置される磁石側ヨークであり、第2板部材64D2は、第2磁石66に対して回転軸Rx側に配置される磁石側ヨークである。すなわち、振動発生装置3Dは、第1磁石65及び第2磁石66に対して回転軸Rx側に配置されるヨークとして機能する第1板部材64D1及び第2板部材64D2を備える。
【0060】
[第1駆動部の構成]
第1駆動部7Dは、第1実施形態に係る第1駆動部7Aと同様に、ベース4Aに固定されて、振り子5Aに設けられた第1誘導部6Dに駆動力を付与して、振り子5Aを揺動させる。第1駆動部7Dには、動作制御部26から入力する制御信号に基づいて、振り子5Aを揺動させる。第1駆動部7Dは、保持部材74、端子部75及びコイル76を有する他、図示しない制御部を有する。
【0061】
保持部材74は、端子部75及びコイル76を保持した状態にて、ベース4Aの固定部42に固定される。保持部材74は、第1保持部材741と、+X方向に沿って第1保持部材741と並列に配置される第2保持部材742と、を有する。
第1保持部材741は、-X方向から見て略L字状に形成されている。第1保持部材741は、XZ平面に沿う第1板状部7411と、第1板状部7411における-Z方向の端部から+Y方向に起立してXY平面に沿う第2板状部7412と、を有する。
第1板状部7411における+Y方向の面には、端子部75の第1端子部751が配置される。第2板状部7412における-Z方向の面には、コイル76の第1コイル77が取り付けられる。第2板状部7412は、第1コイル77にとってのヨーク(コイル側ヨーク)として機能する。
【0062】
第2保持部材742は、第1保持部材741と同様の構成を有する。すなわち、第2保持部材742は、-X方向から見て略L字状に形成されており、第1板状部7411と同様の第1板状部7421と、第2板状部7412と同様の第2板状部7422と、を有する。
第1板状部7421における+Y方向の面には、端子部75の第2端子部752が配置される。第2板状部7422における-Z方向の面には、コイル76の第2コイル78が取り付けられる。第2板状部7422は、第2コイル78にとってのヨーク(コイル側ヨーク)として機能する。
すなわち、振動発生装置3Dは、第1コイル77及び第2コイル78に対する回転軸Rxとは反対側の位置に設けられる第1ヨークとしての第2板状部7412,7422を有する。第2板状部7412は、第1コイル77に対して第1磁石65とは反対側に設けられ、第2板状部7422は、第2コイル78に対して第2磁石66とは反対側に設けられている。
【0063】
先に、コイル76について説明する。
コイル76は、図示しない制御部から交流電流が通電することによって磁界を発生させる。コイル76は、第1コイル77と、回転軸Rxに沿って第1コイル77と並列に配置される第2コイル78と、を有する。すなわち、第2コイル78は、第1コイル77に対して+X方向に配置される。
【0064】
図13は、振り子5Aを取り外した状態の振動発生装置3Dを示す斜視図である。換言すると、
図13は、第1駆動部7Dを示す斜視図である。
第1コイル77及び第2コイル78のそれぞれは、
図13に示すように、-Z方向から見て、+X方向に沿う長手軸を有するトラック状又は長円形状に導線が平面的に巻回されて構成された空芯コイルである。長手軸に沿う第1コイル77の寸法は、長手軸に直交する+Y方向に沿う第1コイル77の寸法よりも大きく、長手軸に沿う第2コイル78の寸法は、長手軸に直交する+Y方向に沿う第2コイル78の寸法よりも大きい。
【0065】
第1コイル77は、コイル73と同様に、第1コイル77の長手軸である+X方向に沿って延在した第1延在部771及び第2延在部772を有する。
第1延在部771は、第1コイル77の空芯部分SP1に対して+Y方向に配置されている。第2延在部772は、第1コイル77の空芯部分SP1を挟んで第1延在部771とは反対側に配置されている。+X方向に沿う第2延在部772の寸法は、+X方向に沿う第1延在部771の寸法と略同じである。
【0066】
本実施形態では、第2コイル78は、第1コイル77と同じ構成及び同じ寸法を有するコイルである。すなわち、第2コイル78は、第1延在部771と同様の第1延在部781と、第2延在部772と同様の第2延在部782と、を有する。
なお、第1コイル77及び第2コイル78は、上記のようにコアを有しない空芯コイルであるが、コアを有するコイルであってもよい。
【0067】
端子部75は、第1実施形態に係る端子部72と同様に、振動低減装置2の動作制御部
26と電気的に接続され、動作制御部26から供給される電流を制御部に供給する。端子
部75は、
図12及び
図13に示すように、第1保持部材741に設けられる第1端子部
751と、第2保持部材742に設けられる第2端子部752とを含む。
第1端子部751は、上記のように、第1板状部7411に取り付けられる。
第2端子部752は、上記のように、第1板状部7421に取り付けられる。
なお、
第1駆動部7Dの制御部は、交流電流をコイル76に通電させることによって磁
界を発生させ、これにより、磁石61Dが設けられた振り子5Aを揺動させる。このとき
、制御部は、第1延在部771,781が同じ磁極となり、第2延在部772,782が
同じ磁極となるように、第1コイル77及び第2コイル78に交流電流を通電させる。
【0068】
[第1磁石及び第2磁石の詳細構成]
図12に示したように、第1磁石65は、第1コイル77と非接触で対向して配置され、第2磁石66は、第2コイル78と非接触で対向して配置される。
第1磁石65は、磁石61Aと同様に、第1磁石部材651及び第2磁石部材652を有する。第1磁石部材651及び第2磁石部材652のそれぞれは、+X方向に沿う長手軸を有する略直方体形状に形成されている。
第1磁石部材651は、第1コイル77の第1延在部771に対向して配置される。
第2磁石部材652は、第1磁石部材651に対して-Y方向に離間して配置され、第1コイル77の第2延在部772に対向して配置される。
第1磁石部材651において第1延在部771と対向する面の磁極は、第2磁石部材652において第2延在部772と対向する面の磁極と異なる。例えば、第1磁石部材651において第1延在部771と対向する面の磁極は、S極であり、第2磁石部材652において第2延在部772と対向する面の磁極は、N極である。
【0069】
第2磁石66は、第1磁石65と同様に、第1磁石部材661及び第2磁石部材662を有する。第1磁石部材661及び第2磁石部材662のそれぞれは、+X方向に沿う長手軸を有する略直方体形状に形成されている。
第1磁石部材661は、第2コイル78の第1延在部781に対向して配置される。
第2磁石部材662は、第1磁石部材661に対して-Y方向に離間して配置され、第2コイル78の第2延在部782に対向して配置される。
第1磁石部材661において第1延在部781と対向する面の磁極は、第2磁石部材662において第2延在部782と対向する面の磁極と異なる。例えば、第1磁石部材661において第1延在部781と対向する面の磁極は、S極であり、第2磁石部材662において第2延在部782と対向する面の磁極は、N極である。
【0070】
本実施形態では、第1磁石部材651において第1延在部771と対向する面の磁極と、第1磁石部材661において第1延在部781と対向する面の磁極とは、同じである。また、第2磁石部材652において第2延在部772と対向する面の磁極と、第2磁石部材662において第2延在部782と対向する面の磁極と、同じである。
また、上記のように、第1駆動部7Dの制御部は、第1延在部771,781が同じ磁極となり、第2延在部772,782が同じ磁極となるように、第1コイル77及び第2コイル78に交流電流を通電させる。
これにより、第1コイル77によって発生する磁界と、第2コイル78によって発生する磁界とが、互いに干渉することを抑制しつつ、回転軸Rxを中心に振り子5Aを揺動させることができる。
【0071】
なお、例えば第1コイル77と第2コイル78とが十分に離間している場合等においては、制御部は、第1延在部771,781が異なる磁極となり、第2延在部772,782が異なる磁極となるように、第1コイル77及び第2コイル78に交流電流を通電させてもよい。
この場合、第1磁石部材651において第1延在部771と対向する面の磁極と、第1磁石部材661において第1延在部781と対向する面の磁極とが異なり、また、第2磁石部材652において第2延在部772と対向する面の磁極と、第2磁石部材662において第2延在部782と対向する面の磁極とが異ならせればよい。
【0072】
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
振動発生装置3Dでは、第1駆動部7Dは、第1コイル77及び第2コイル78を有する。第2コイル78は、回転軸Rxに沿う+X方向に第1コイル77と並列に配置されている。第1誘導部6Dの磁石61Dは、第1コイル77及び第2コイル78に非接触で対向する。
このような構成によれば、振り子5Aに設けられた磁石61Dに作用する磁界を大きくできる。従って、振り子5Aの揺動によって発生する振動を大きくできる。
【0073】
振動発生装置3Dでは、第1誘導部6Dは、第1誘導部6Dの磁石61Dである第1磁石65及び第2磁石66を有する。第1磁石65は、第1コイル77に対向して配置され、第2磁石66は、回転軸Rxに沿う+X方向に第1磁石65と並列に離間して配置され、第2コイル78に対向して配置されている。
このような構成によれば、第1磁石65及び第2磁石66が設けられた振り子5Aの揺動時の回転トルクを高めることができる。従って、振り子5Aの揺動によって発生する振動を大きくできる。
【0074】
[第2実施形態の変形]
上記した振動発生装置3Dでは、磁石61Dは、第1コイル77と非接触で対向する第1磁石65と、第2コイル78と非接触で対向する第2磁石66と、を含むとした。そして、第1磁石65は、第1延在部771に対向する第1磁石部材651と、第1磁石部材651に対して-Y方向に離間して配置され、第2延在部772に対向する第2磁石部材652と、を含むとした。また、第2磁石66は、第1延在部781に対向する第1磁石部材661と、第1磁石部材661に対して-Y方向に離間して配置され、第2延在部782に対向する第2磁石部材662と、を含むとした。しかしながら、これに限らず、磁石61Dに代えて、他の磁石を採用してもよい。
【0075】
[第2実施形態の第1変形例]
図14は、振動発生装置3Dの第1変形例を示す図である。詳述すると、
図14は、振動発生装置3Dの磁石61Dの変形である磁石61Eを示す図である。
例えば、振動発生装置3Dは、磁石61Dに代えて、
図14に示す磁石61Eを第1誘導部6Dの磁石として採用してもよい。磁石61Eは、第1磁石65及び第2磁石66を有する磁石61Dとは異なり、第1磁石部材62E及び第2磁石部材63Eを有する。
第1磁石部材62E及び第2磁石部材63Eは、+X方向に沿う長手軸を有する略直方体形状に形成され、+X方向に沿う第1磁石部材62Eの寸法、及び、+X方向に沿う第2磁石部材63Eの寸法は、-X方向の第1コイル77の端部から+X方向の第2コイル78の端部までの寸法と略一致する。
【0076】
第1磁石部材62Eは、第1コイル77の第1延在部771と第2コイル78の第1延在部781とに跨って配置され、第2磁石部材63Eは、第1コイル77の第2延在部772と第2コイル78の第2延在部782とに跨って配置されている。そして、第1磁石部材62Eにおいて第1延在部771,781に対向する面の磁極と、第2磁石部材63Eにおいて第2延在部772,782に対向する面の磁極とは異なる。例えば、第1磁石部材62Eにおいて第1延在部771,781に対向する面の磁極はS極であり、第2磁石部材63Eにおいて第2延在部772,782に対向する面の磁極はN極である。
このような磁石61Eが採用された振動発生装置3Dによっても、上記と同様の効果を奏することができる。
【0077】
[第2実施形態の第2変形例]
図15は、振動発生装置3Dの第2変形例を示す図である。詳述すると、
図15は、振動発生装置3Dの磁石61Dの変形である磁石61Fを示す図である。
例えば、振動発生装置3Dは、磁石61Dに代えて、
図15に示す磁石61Fを第1誘導部6Dの磁石として採用してもよい。磁石61Fは、第1磁石65及び第2磁石66を有する磁石61Dとは異なり、第1磁石65F及び第2磁石66Fを有する。
第1磁石65F及び第2磁石66Fは、+X方向に沿う長手軸を有する略直方体形状に形成され、+X方向に沿う第1磁石65Fの寸法は、+X方向に沿う第1コイル77の寸法と略一致し、+X方向に沿う第2磁石66Fの寸法は、+X方向に沿う第2コイル78の寸法と略一致する。また、+Y方向に沿う第1磁石65Fの寸法は、+Y方向に沿う第1コイル77の寸法と略一致し、+Y方向に沿う第2磁石66Fの寸法は、+Y方向に沿う第2コイル78の寸法と略一致する。
【0078】
第1磁石65Fは、第1コイル77と非接触で対向する。第1磁石65Fは、第1コイル77の第1延在部771と対向する部分65F1と、第1コイル77の第2延在部772と対向する部分65F2と、を有する。部分65F1における第1延在部771に対向する面の磁極と、部分65F2における第2延在部772に対向する面の磁極とは異なっている。例えば、部分65F1における第1延在部771に対向する面の磁極はS極であり、部分65F2における第2延在部772に対向する面の磁極はN極である。
【0079】
第2磁石66Fは、第2コイル78と非接触で対向する。第2磁石66Fは、第2コイル78の第1延在部781と対向する部分66F1と、第2コイル78の第2延在部782と対向する部分66F2と、を有する。部分66F1における第1延在部781に対向する面の磁極と、部分66F2における第2延在部782に対向する面の磁極とは異なっている。例えば、部分66F1における第1延在部781に対向する面の磁極はS極であり、部分66F2における第2延在部782に対向する面の磁極はN極である。
このような磁石61Fが採用された振動発生装置3Dによっても、上記と同様の効果を奏することができる。
【0080】
なお、上記のように、第1コイル77及び第2コイル78に通電する電流の向きによっては、部分65F1における第1延在部771に対向する面の磁極と、部分66F1における第1延在部781に対向する面の磁極とは異なり、部分65F2における第2延在部772に対向する面の磁極と、部分66F2における第2延在部782に対向する面の磁極とは異なっていてもよい。
【0081】
[第2実施形態の第3変形例]
図16は、振動発生装置3Dの第3変形例を示す図である。詳述すると、
図16は、振動発生装置3Dの磁石61Dの変形である磁石61Gを示す図である。
例えば、振動発生装置3Dは、磁石61Dに代えて、
図16に示す磁石61Gを第1誘導部6Dの磁石として採用してもよい。磁石61Gは、第1磁石65及び第2磁石66を有する磁石61Dとは異なり、1つの磁石部材である。
磁石61Gは、+X方向に沿う長手軸を有する略直方体形状に形成されている。+X方向に沿う磁石61Gの寸法は、-X方向の第1コイル77の端部から+X方向の第2コイル78の端部までの寸法と略一致し、+Y方向に沿う磁石61Gの寸法は、+Y方向に沿う第1コイル77及び第2コイル78の寸法と略一致する。
【0082】
磁石61Gは、第1コイル77の第1延在部771及び第2コイル78の第1延在部781のそれぞれと対向する部分61G1と、第1コイル77の第2延在部772及び第2コイル78の第2延在部782のそれぞれと対向する部分61G2と、を有する。部分61G1における第1延在部771,781に対向する面の磁極と、部分61G2における第2延在部772,782に対向する面の磁極とは異なっている。例えば、部分61G1における第1延在部771,781に対向する面の磁極はS極であり、部分61G2における第2延在部772,782に対向する面の磁極はN極である。
このような磁石61Gが採用された振動発生装置3Dによっても、上記と同様の効果を奏することができる。
【0083】
[第2実施形態の他の変形]
上記した振動発生装置3Dでは、ベース4A及び振り子5Aを備えるとした。しかしながら、これに限らず、振動発生装置3Dは、ベース4A及び振り子5Aに代えて、ベース4C及び振り子5Cを備えていてもよい。
【0084】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、第2誘導部及び第2駆動部を更に備える点が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
図17は、本実施形態に係るプロジェクターの振動低減装置が備える振動発生装置3Hを+Y方向から見た平面図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、振動発生装置3Aに代えて、
図17に示す振動発生装置3Hを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る振動低減装置は、振動発生装置3Aに代えて振動発生装置3Hを備える他は、第1実施形態に係る振動低減装置2と同様の構成及び機能を備える。
振動発生装置3Hは、第2誘導部6H及び第2駆動部7Hを更に備える他は、第1実施形態に係る振動発生装置3Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、振動発生装置3Hは、ベース4A、振り子5A、第1誘導部6A、第1駆動部7A、第2誘導部6H及び第2駆動部7Hを備える。詳述すると、振動発生装置3Hは、第1実施形態に係る振動発生装置3Aと同様の構成に加えて、振り子5Aにおける-Z方向の端部に振り子5Aを揺動させる駆動力を付与するために、第2誘導部6H及び第2駆動部7Hを更に備える。
【0086】
[第2誘導部の構成]
第2誘導部6Hは、振り子5Aにおける-Z方向の端部に設けられている。すなわち、第2誘導部6Hは、振り子5Aにおいて回転軸Rxに対して第1誘導部6Aとは反対側の端部に設けられている。第2誘導部6Hは、第1誘導部6Aと同様に、磁石61A及び板部材64を有する。
第2誘導部6Hでは、板部材64は、振り子5Aにおける-Z方向の端部に、一対の支持部41に隣接して設けられている。板部材64において-Z方向を向く面には、磁石61Aを構成する第1磁石部材62及び第2磁石部材63(
図17では図示省略)が長手軸である+X方向に沿って配置される。上記のように、板部材64は、磁石61Aにとってのヨークとして機能する磁石側ヨークである。
【0087】
第2駆動部7Hは、第2誘導部6Hに対して-Z方向に設けられている。第2駆動部7Hは、第1駆動部7Aと同様に、保持部材71、端子部72及びコイル73を有する他、図示しない制御部を有する。
保持部材71は、端子部72及びコイル73を保持する。本実施形態では、保持部材71は、フレーム23(
図3参照)に固定される。しかしながら、これに限らず、ベース4Aを-Z方向に延長する等して、ベース4Aに保持部材71が固定される固定部を設けてもよい。
コイル73は、上記のように、+X方向に長手軸を有するトラック状又は長円形状に導線が平面的に巻回されて構成された空芯コイルである。第2誘導部6Hの第1磁石部材62は、コイル73の第1延在部731に非接触で対向配置される。第2誘導部6Hの第2磁石部材63は、第2誘導部6Hの第1磁石部材62に対して-Y方向に離間し、コイル73の第2延在部732(
図17では図示省略)に非接触で対向配置される。
【0088】
本実施形態では、詳しい図示を省略するが、第2誘導部6Hにおいて第1延在部731と対向する第1磁石部材62の面の磁極は、第1誘導部6Aにおいて第1延在部731と対向する第1磁石部材62の面の磁極と同じである。また、第2誘導部6Hにおいて第2延在部732と対向する第2磁石部材63の面の磁極は、第1誘導部6Aにおいて第2延在部732と対向する第2磁石部材63の面の磁極と同じである。このため、第2駆動部7Hの制御部は、第1誘導部6Aの制御部がコイル73に通電させる交流電流の逆位相の交流電流を、第2駆動部7Hのコイル73に通電させる。これにより、回転軸Rxを中心に振り子5Aを揺動させることができる。
【0089】
なお、第2誘導部6Hにおいて第1延在部731と対向する第1磁石部材62の面の磁極が、第1誘導部6Aにおいて第1延在部731と対向する第1磁石部材62の面の磁極と異なり、第2誘導部6Hにおいて第2延在部732と対向する第2磁石部材63の面の磁極が、第1誘導部6Aにおいて第2延在部732と対向する第2磁石部材63の面の磁極と異なる場合には、第2駆動部7Hの制御部は、第1駆動部7Aの制御部がコイル73に通電させる交流電流と同じ位相の交流電流を、第2駆動部7Hのコイル73に通電させてもよい。この場合でも、回転軸Rxを中心に振り子5Aを揺動させることができる。
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏することができる。
なお、第1駆動部7Aと第2駆動部7Hとは、制御部を共有してもよい。
【0090】
[第3実施形態の変形]
上記した振動発生装置3Hでは、第2誘導部6Hは、振り子5Aにおける-Z方向の端部に設けられているとした。しかしながら、これに限らず、第2誘導部6Hは、第1実施形態の第2変形例として説明した振り子5Cにおける-Z方向の端部に設けられていてもよい。
この他、振動発生装置3Hは、第1誘導部6A及び第1駆動部7Aに代えて、上記した他の第1誘導部及び他の第1駆動部を採用してもよい。また、振動発生装置3Hは、第2誘導部6H及び第2駆動部7Hに代えて、上記した他の第1誘導部及び他の第1駆動部と同様の構成を備える第2誘導部及び第2駆動部を採用してもよい。
【0091】
[第4実施形態]
次に、本開示の第4実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、振動発生装置の構成が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
図18は、本実施形態に係るプロジェクターの振動低減装置が備える振動発生装置3Jを+Y方向から見た平面図である。
図19は、振動発生装置3Jを示す斜視図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、振動発生装置3Aに代えて、
図18及び
図19に示す振動発生装置3Jを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る振動低減装置は、振動発生装置3Aに代えて振動発生装置3Jを備える他は、第1実施形態に係る振動低減装置2と同様の構成及び機能を備える。
振動発生装置3Jは、ベース4J、振り子5J、第1誘導部6A、第1駆動部7A、第2誘導部6H及び第2駆動部7Hを備え、第1実施形態に係る振動発生装置3Aと同様の構成及び機能を備える。
【0093】
[ベースの構成]
ベース4Jは、+Y方向から見て+Z方向に長い矩形枠状に形成されている。ベース4Jは、逃げ部44、一対の支持部45、第1取付部46及び第2取付部47を有する。
【0094】
逃げ部44は、第1及び第2実施形態に係る逃げ部43と同様に、振り子5Jが回転軸Rxを中心に揺動するときに、振り子5Jがベース4Jに接触しないようにするための部分である。詳述すると、逃げ部44は、+Y方向から見てベース4Jにおける+Z方向の部分に設けられた第1逃げ部441と、ベース4Jにおける-Z方向の部分に設けられた第2逃げ部442と、を有する。
第1逃げ部441は、振り子5Jにおける+Z方向の部分と第1誘導部6Aとがベース4Jに接触しないようにするための開口部である。第2逃げ部442は、振り子5Jにおける-Z方向の部分と第2誘導部6Hとがベース4Jに接触しないようにするための開口部である。
しかしながら、このような構成に限らず、逃げ部44は、1つの開口部であってもよい。また、逃げ部44は、振り子5Jと対向する方向とは反対方向(+Y方向又は-Y方向)に開口する凹部であってもよい。この場合、第1逃げ部441及び第2逃げ部442のうち、少なくとも1つの逃げ部が、凹部であってもよい。
【0095】
一対の支持部45は、ベース4Jにおいて+Y方向の中央で、かつ、+X方向の両端に設けられている。一対の支持部45は、板材57における+X方向の両端を支持する。
第1取付部46は、ベース4Jにおいて+Z方向の端部の中央に設けられている。第1取付部46には、第1駆動部7Aが取り付けられる。
第2取付部47は、ベース4Jにおいて-Z方向の端部の中央に設けられている。第2取付部47には、第2駆動部7Hが取り付けられる。
【0096】
[振り子の構成]
振り子5Jは、第1誘導部6A及び第2誘導部6Hを保持し、第1誘導部6Aに磁力を作用させる第1駆動部7Aと、第2誘導部6Hに磁力を作用させる第2駆動部7Hによって回転軸Rxを中心に揺動し、これにより、振動を発生する。振り子5Jは、錘部52、アーム54及び板材57を備える。
【0097】
アーム54は、振り子5Jの回転軸Rxから+Z方向に延出する第1アーム55と、回転軸Rxから-Z方向に延出する第2アーム56とが一体的に構成されたものである。すなわち、アーム54は、回転軸Rxを中心に、回転軸Rxに直交する方向に沿って互いに反対方向に延出する第1アーム55及び第2アーム56を有する。すなわち、アーム54は、回転軸Rxから第1駆動部7A側に延出する第1アーム55と、回転軸Rxから第1アーム55とは反対側に延出する第2アーム56と、を有する。
【0098】
第1アーム55は、第1配置部551及び第1取付部552を有する。
第1配置部551は、+Y方向を向く第1アーム55の面において回転軸Rxから第1駆動部7A側に離間した位置に設けられ、錘部材53が配置される配置部である。第1配置部551は、長手軸が+X方向に沿うように錘部材53が配置可能である。本実施形態では、第1配置部551に配置可能な錘部材53の数は1であり、+Y方向に沿って錘部材53を複数積層可能である。しかしながら、第1配置部551に配置可能な錘部材53の数は適宜変更可能であり、また、第1アーム55は、第1配置部551に代えて、又は加えて、-Y方向を向く第1アーム55の面に、錘部材53を配置可能な配置部が設けられていてもよい。
第1取付部552は、+Z方向の第1アーム55の端部に設けられている。第1取付部552は、取付部516と同様の構成を有し、第1取付部552には、第1誘導部6Aが有する板部材64が取り付けられる。
【0099】
第2アーム56は、第2配置部561及び第2取付部562を有する。
第2配置部561は、第1配置部551と同様の構成を有する。すなわち、第2配置部561は、+Y方向を向く第2アーム56の面において回転軸Rxから第2駆動部7H側に離間した位置に設けられ、錘部材53が配置される配置部である。なお、第2配置部561に配置可能な錘部材53の数は適宜変更可能であり、また、第2アーム56は、第2配置部561に代えて、又は加えて、-Y方向を向く第2アーム56の面に、錘部材53を配置可能な配置部が設けられていてもよい。
第2取付部562は、-Z方向の第2アーム56の端部に設けられている。第2取付部562には、第2誘導部6Hが有する板部材64が取り付けられる。
なお、振り子5Jにおいて、錘部52は、第1アーム55に設けられる錘部材53によって構成される第1錘部と、第2アーム56に設けられる錘部材53によって構成される第2錘部と、を含む。
【0100】
板材57は、+X方向に沿うようにベース4Jに固定されて、振り子5Jの回転軸Rxを構成する。板材57は、固定部571と、一対の取付部572と、一対の捻れ部573と、を有する。
固定部571は、板材57においてアーム54に固定される部分である。固定部571は、+X方向における板材57の中央に設けられている。固定部571は、アーム54において第1アーム55の一部と第2アーム56の一部とに跨るように配置され、ねじS2によってアーム54に固定される。
一対の取付部572は、固定部571を+X方向において挟む位置に設けられている。一対の取付部572のそれぞれは、一対の支持部45のうち対応する支持部45に取り付けられる。なお、一対の取付部572は、ねじS3によって一対の支持部45に固定される。
【0101】
一対の捻れ部573は、固定部571と一対の取付部572との間に配置されている。具体的に、一対の捻れ部573のうち一方の捻れ部573は、固定部571と一対の取付部572のうち+X方向の取付部572との間に設けられ、他方の捻れ部573は、固定部571と一対の取付部572のうち-X方向の取付部572との間に設けられている。一対の捻れ部573のそれぞれは、+X方向に沿って直線状に延出している。
一対の捻れ部573は、振り子5Jが第1駆動部7A及び第2駆動部7Hによって揺動されるときに、+X方向に沿う軸を中心に捻れることによって、振り子5Jの揺動を可能とする。すなわち、一対の捻れ部573を結ぶ軸の延長線が、振り子5Jの回転軸Rxである。
【0102】
[振動発生装置の作用]
以上説明した振動発生装置3Jにおいて、振り子5Jは、第2実施形態に係る振動発生
装置3Hにおける振り子5Aと同様に、第1駆動部7A及び第2駆動部7Hによって、回
転軸Rxを中心に揺動する。このような振動発生装置3Jによって発生する振動は、振動
低減対象である鏡筒121の振動に対する逆位相の振動である。これにより、振動発生装
置3Jを有する振動低減装置2によって、鏡筒121の振動が低減される。
なお、第1配置部551及び第2配置部561の錘部材53を、振り子5Jの回転軸R
xから離れた位置に配置すれば、振り子5Jの駆動力を増加させることができる。また、
第1配置部551の錘部材53の回転軸Rxからの位置と、第2配置部561の錘部材5
3の回転軸Rxからの位置とを、回転軸Rxを中心として対称に配置して、振り子5Jの
重心位置を回転軸Rx上に配置することによって、振り子5Jを安定した揺動させること
ができる。また、錘部材53を対称に配置することに限らず、錘部材53の位置又は数を
第1アーム55と第2アーム56とで異ならせて、振り子5Jの重心位置を回転軸Rxか
らずらしてもよい。
【0103】
[第4実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター
1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
振動発生装置3Jは、第2誘導部6H及び第2駆動部7Hを備える。振り子5Jは、回
転軸Rxから第1駆動部7A側に延出する第1アーム55と、回転軸Rxから第1アーム
55とは反対側に延出する第2アーム56と、を有する。第1誘導部6Aは、第1アーム
55において回転軸Rxとは反対側の端部に設けられ、第1アーム55の揺動を誘導し、
第1駆動部7Aは、第1アーム55に駆動力を付与する。第2誘導部6Hは、磁石61A
を有し、第2アーム56において回転軸Rxとは反対側の端部に設けられる。第2誘導部
6Hは、第2アーム56の揺動を誘導する。第2駆動部7Hは、コイル73を有し、第2
誘導部6Hの磁石61Aに対向し、第2アーム56に駆動力を付与する。第2駆動部7H
のコイル73は、第2誘導部6Hの磁石61Aに非接触で対向する。
このような構成によれば、第1アーム55及び第2アーム56を有する振り子5Jをシ
ーソーのように揺動させることができる。従って、振り子5Jを安定的に揺動させること
ができる。このとき、第1アーム55及び第2アーム56のそれぞれに、振り子5Jを揺
動させる駆動力を作用させることができるので、振り子5Jを安定的に揺動させることが
できる。
【0104】
振動発生装置3Jでは、振り子5Jは、ベース4Jに固定されて、回転軸Rxを構成する板材57を備える。
このような構成によれば、振り子5Jを簡易な構成でベース4Jに揺動可能に取り付けることができる。従って、振動発生装置3Jの構成を簡略化できる。
【0105】
[第4実施形態の変形]
上記した振動発生装置3Jでは、板材57は、+X方向に沿う一対の捻れ部573を有するとした。すなわち、一対の捻れ部573のそれぞれは、+X方向に沿う直線状に延出しているとした。しかしながら、これに限らず、一対の捻れ部573は、他の形状であってもよい。
【0106】
図20は、振動発生装置3Jの変形例を示す平面図である。詳述すると、
図20は、振動発生装置3Jの板材57の変形である板材58を示す平面図である。
例えば、振動発生装置3Jは、板材57に代えて、
図20に示す板材58を採用してもよい。
板材58は、板材57と同様に、ベース4Jの一対の支持部45に固定されて、振り子5Jの回転軸Rxを構成する。板材58は、一対の捻れ部573に代えて、一対の捻れ部574を有する他は、板材57と同様の構成及び機能を備える。
【0107】
一対の捻れ部574は、一対の捻れ部573と同様に、固定部571と一対の取付部5
72との間に配置されている。一対の捻れ部574は、振り子5Jが第1駆動部7A及び
第2駆動部7Hによって揺動されるときに、+X方向に沿う軸を中心に捻れることによっ
て、振り子5Jの揺動を可能とする。すなわち、一対の捻れ部574を結ぶ軸の延長線が
、振り子5Jの回転軸Rxである。
一対の捻れ部574のそれぞれは、+Y方向から見て+Z方向に開口する略U字状に形
成されている。このような形状に一対の捻れ部574が形成されていることによって、一
対の捻れ部574の強度を高めることができる。
【0108】
[第4実施形態の他の変形]
上記した振動発生装置3Jは、第1誘導部6A及び第1駆動部7Aと、第2誘導部6H及び第2駆動部7Hとを備えるとした。しかしながら、これに限らず、振動発生装置3Jは、第1誘導部6A及び第1駆動部7Aの組と、第2誘導部6H及び第2駆動部7Hの組とのうち、一方の組は無くてもよい。
また、振動発生装置3Jは、第1誘導部6A及び第1駆動部7Aに代えて、上記した他の第1誘導部及び他の第1駆動部を採用してもよい。同様に、振動発生装置3Jは、第2誘導部6H及び第2駆動部7Hに代えて、上記した他の第1誘導部及び他の第1駆動部と同様の構成を備える第2誘導部及び第2駆動部を採用してもよい。
【0109】
[実施形態の変形]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記第1~第3実施形態及び上記第1~第3実施形態の変形では、振動発生装置3A,3D,3Hの振り子5A,5Cは、ベース4A,4Cに設けられた一対の支持部41によって揺動可能にベース4A,4Cに支持されるとした。しかしながら、これに限らず、振動発生装置3A,3D,3Hの振り子5A,5Cは、板材57,58によって回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4A,4Cに支持されてもよい。
上記第4実施形態及び上記第4実施形態の変形では、振動発生装置3Jの振り子5Jは、板材57,58によって揺動可能にベース4Jに支持されるとした。しかしながら、これに限らず、振り子5Jは、ベース4A,4Cが有する一対の支持部41と同様の支持部によって、ベース4Jに揺動可能に支持されてもよい。
【0110】
上記各実施形態では、第1駆動部7A,7Dのコイル73,76は、保持部材71,74によってベース4A,4C,4Jに固定されるとした。しかしながら、これに限らず、コイル73,76は、ベース4A,4C,4J以外の構成、例えばフレーム23に固定されていてもよい。
【0111】
上記各実施形態では、振動発生装置3A,3D,3H,3Jを備える振動低減装置2を、電子機器であるプロジェクター1に適用した例を挙げた。しかしながら、振動低減装置2が適用される電子機器は、プロジェクターに限らず、他の電子機器に適用してもよい。
また、本開示の振動発生装置は、振動を発生するものとして、単独で用いてもよく、電子機器に採用してもよい。
【0112】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
本開示の第1態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石を有し、前記振り子において前記回転軸とは反対側の端部に設けられ、前記振り子の揺動を誘導する第1誘導部と、コイルを有し、前記振り子に駆動力を付与する第1駆動部と、を備え、前記第1駆動部のコイルは、前記第1誘導部の磁石に非接触で対向する。
【0113】
このような構成によれば、コイルと非接触で対向し、かつ、コイルによって発生する磁界と作用する磁石は、振り子に固定される。これによれば、回転軸を中心に揺動可能にベースに支持される振り子に、電流を通電させる配線を設ける必要が無い。このため、振り子の揺動に際して、コイルに電流を通電させる配線が損傷することを抑制でき、振り子を確実に揺動させることができる。従って、振動発生装置の信頼性を高めることができる。
【0114】
上記第1態様では、前記第1駆動部のコイルに通電する電流の向きを交互に切り替える制御部を備えてもよい。
このような構成によれば、コイルにて発生する磁界の向きを交互に反転させることができる。これにより、磁石が設けられた振り子を揺動させることができる。従って、振動発生装置によって振動を発生させることができる。
【0115】
上記第1態様では、前記第1駆動部のコイルに対する前記回転軸とは反対側の位置、及び、前記第1誘導部の磁石に対する前記回転軸側の位置のうち、少なくとも一方の位置に配置されるヨークを備えてもよい。
このような構成によれば、コイルに対する振り子の回転軸とは反対側の位置にヨークが設けられている場合には、コイルにて発生する磁力を磁石に向けることができる。また、磁石に対する回転軸側の位置にヨークが設けられている場合には、磁石による吸着力を高めることができる。従って、コイルにて発生する磁界と振り子に設けられた磁石との相互作用を強めることができるので、振り子を揺動させるためにコイルに通電する電流を低くすることができる。
【0116】
上記第1態様では、前記ヨークは、前記第1駆動部のコイルに対する前記回転軸とは反対側の位置に設けられる第1ヨークを含み、前記第1ヨークは、前記ベースに設けられ、前記第1駆動部のコイルを保持する保持部材であってもよい。
このような構成によれば、第1ヨークが、第1駆動部のコイルを保持する保持部材として機能することによって、コイルをベースに固定する部材を別途設ける必要がない。従って、振動発生装置の部品点数の増加を抑制できる。
【0117】
上記第1態様では、前記振り子の重心は、前記回転軸と前記振り子における前記第1駆動部側の端部との間における中間位置よりも前記第1駆動部側に位置していてもよい。
このような構成によれば、振り子の重心が上記位置に設定されていることによって、振り子の揺動時に生じるトルクを調節することができる。従って、振動発生装置によって発生する振動を大きくできる。
【0118】
上記第1態様では、前記振り子は、前記回転軸から前記第1駆動部側に離間した位置に、錘部が配置される配置部を有していてもよい。
このような構成によれば、配置部に設けられる錘部の重量を調節することによって、振り子の揺動時に生じるトルクを増加させることができる。従って、振動発生装置によって発生する振動を調節できる。
【0119】
上記第1態様では、前記第1駆動部のコイルは、長手軸を有する空芯コイルであり、前記第1誘導部の磁石は、前記長手軸に沿って前記第1駆動部のコイルに対向して配置されていてもよい。
このような構成によれば、振動発生装置に採用されるコイルが空芯コイルであることによって、コアを有するコイルに比べてコイルのコストを低減でき、ひいては、振動発生装置の製造コストを低減できる。
また、コイルの長手軸に沿って磁石が配置されることにより、コイルによって生じる磁界と磁石との相互作用を高めることができる。
【0120】
上記第1態様では、前記第1駆動部のコイルは、前記長手軸に沿って延在する第1延在部と、前記長手軸に沿って延在し、前記第1延在部とは反対向きに電流が通電する第2延在部と、を有し、前記第1誘導部の磁石において前記第1延在部に対向する面の磁極と、前記第2延在部に対向する面の磁極とは、異なっていてもよい。
このような構成によれば、コイルにて発生する磁界の向きが交互に変化することによって、磁石が固定された振り子を確実に揺動させることができる。
【0121】
上記第1態様では、前記第1誘導部の磁石は、前記第1延在部に対向して配置される第1磁石部材と、前記第2延在部に対向し、前記第1延在部から前記第2延在部に向かう方向に前記第1磁石部材から離間して配置される第2磁石部材と、を含み、前記第1磁石部材において前記第1延在部に対向する面の磁極と、前記第2磁石部材において前記第2延在部に対向する面の磁極とは異なっていてもよい。
このような構成によれば、第2延在部と対向する第2磁石部材が、第1延在部から第2延在部に向かう方向に第1磁石部材から離間して設けられていることによって、コイルによって発生する磁界に対する磁石の吸着力及び反発力を高めることができる。従って、振り子の揺動時のトルクを高めることができる。
【0122】
上記第1態様では、前記第1駆動部は、前記第1駆動部のコイルとして第1コイル及び
第2コイルを有し、前記第2コイルは、前記回転軸に沿う方向に前記第1コイルと並列に
配置され、前記第1誘導部の磁石は、前記第1コイル及び前記第2コイルに非接触で対向
してもよい。
このような構成によれば、振り子に設けられた磁石に作用する磁界を大きくできる。従
って、振り子の揺動によって発生する振動を大きくできる。
【0123】
上記第1態様では、前記第1誘導部は、前記第1誘導部の磁石である第1磁石及び第2磁石を有し、前記第1磁石は、前記第1コイルに対向して配置され、前記第2磁石は、前記回転軸に沿う方向に前記第1磁石と並列に離間して配置され、前記第2コイルに対向して配置されていてもよい。
このような構成によれば、第1コイルに対向して第1磁石が設けられ、第2コイルに対向して第2磁石が設けられる。これによれば、第1磁石及び第2磁石が設けられた振り子の揺動時のトルクを高めることができる。従って、振り子の揺動によって発生する振動を大きくできる。
【0124】
上記第1態様では、第2誘導部及び第2駆動部を備え、前記振り子は、前記回転軸から前記第1駆動部側に延出する第1アームと、前記回転軸から前記第1アームとは反対側に延出する第2アームと、を有し、前記第1誘導部は、前記第1アームにおいて前記回転軸とは反対側の端部に設けられ、前記第1アームの揺動を誘導し、前記第1駆動部は、前記第1アームに駆動力を付与し、前記第2誘導部は、磁石を有し、前記第2アームにおいて前記回転軸とは反対側の端部に設けられて、前記第2アームの揺動を誘導し、前記第2駆動部は、コイルを有し、前記第2誘導部の磁石に対向し、前記第2アームに駆動力を付与し、前記第2駆動部のコイルは、前記第2誘導部の磁石に非接触で対向していてもよい。
このような構成によれば、第1アーム及び第2アームを有する振り子をシーソーのように揺動させることができる。従って、振り子を安定的に揺動させることができる。
【0125】
上記第1態様では、前記振り子は、前記ベースに固定され、前記回転軸を構成する板材を備えてもよい。
このような構成によれば、振り子を簡易な構成でベースに揺動可能に取り付けることができる。従って、振動発生装置の構成を簡略化できる。
【0126】
上記第1態様では、前記ベースは、前記振り子との接触を避ける逃げ部を有していてもよい。
このような構成によれば、振り子の揺動時に、振り子がベースに接触して騒音が発生することを抑制できる。従って、振動発生装置の静音化を図ることができる。
【0127】
本開示の第2態様に係る振動低減装置は、上記第1態様に係る振動発生装置と、振動を検出する検出部と、前記検出部によって検出された振動と逆位相の振動を、前記振動発生装置に発生させる動作制御部と、を備える。
このような構成によれば、上記第1態様に係る振動発生装置と同様の効果を奏することができる。また、検出部によって検出された振動と逆位相の振動を振動発生装置によって発生できるので、振動低減装置の設置対象の振動を低減できる。
【0128】
本開示の第3態様に係る電子機器は、上記第2態様に係る振動低減装置を備える。
このような構成によれば、上記第2態様に係る振動低減装置と同様の効果を奏することができ、電子機器の振動を低減できる。
【0129】
上記第3態様では、画像を投射する投射光学装置を備え、前記振動低減装置は、前記投射光学装置に取り付けられていてもよい。
このような構成によれば、電子機器の内的要因、又は、電子機器に対する外的要因による投射光学装置の振動を低減できる。従って、投射光学装置によって被投射面に投射された画像が揺動することを抑制できる。
【符号の説明】
【0130】
1…プロジェクター(電子機器)、12…投射光学装置、121…鏡筒、2…振動低減装置、25…検出部、26…動作制御部、3A,3D,3H,3J…振動発生装置、4A,4J…ベース、43,44…逃げ部、441…第1逃げ部、442…第2逃げ部、5A,5C,5J…振り子、51…アーム、514,515…配置部、52…錘部、53…錘部材、54…アーム、55…第1アーム、551…第1配置部(配置部)、56…第2アーム、561…第2配置部(配置部)、6A、6D…第1誘導部、6H…第2誘導部、61A,61B,61D、61G…磁石、62…第1磁石部材、63…第2磁石部材、64…板部材(ヨーク)、65…第1磁石、651…第1磁石部材、652…第2磁石部材、66…第2磁石、661…第1磁石部材、662…第2磁石部材、7A,7D…第1駆動部、7H…第2駆動部、71…保持部材、711…第1板状部、712…第2板状部(ヨーク、第1ヨーク)、72…端子部、73…コイル、731…第1延在部、732…第2延在部、74…保持部材、741…第1保持部材、7411…第1板状部、7412…第2板状部、742…第2保持部材、7421…第1板状部、7422…第2板状部、75…端子部、751…第1端子部、752…第2端子部、76…コイル、77…第1コイル、771…第1延在部、772…第2延在部、78…第2コイル、781…第1延在部、782…第2延在部、Rx…回転軸。