(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】指針制御装置及び指針制御方法
(51)【国際特許分類】
G04C 3/00 20060101AFI20240611BHJP
G04F 8/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G04C3/00 B
G04F8/02 A
(21)【出願番号】P 2022074088
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2020028980の分割
【原出願日】2020-02-25
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】石川 友樹
(72)【発明者】
【氏名】及川 宗飛
(72)【発明者】
【氏名】田中 仁
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 千春
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特許第7070593(JP,B2)
【文献】特開2018-169362(JP,A)
【文献】特開2008-241541(JP,A)
【文献】特表2016-533490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0075305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 3/00
G04F 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示再開時に前回の表示時間を引き継いで積算式に経過時間を表示する第1表示モードと、表示再開時に前回の表示時間を引き継がずに非積算式に経過時間を表示する第2表示モードと、で指針の動作態様が異な
り、
前記指針は、分針である第1の指針と、時針と秒針との少なくとも一方である第2の指針とを含み、
前記第1の指針によって経過時間を表示し、
前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで動作態様が異なるように、前記第2の指針の動作を制御する、
ことを特徴とする指針制御装置。
【請求項2】
表示再開時に前回の表示時間を引き継いで積算式に経過時間を表示する第1表示モードと、表示再開時に前回の表示時間を引き継がずに非積算式に経過時間を表示する第2表示モードと、で指針の動作態様が異なり、
前記指針は、第1の指針と第2の指針とを含み、
時計モードと経過時間表示モードとを有し、
前記経過時間表示モードは、前記第1表示モード及び前記第2表示モードを含み、
前記時計モード時には、前記第1の指針及び前記第2の指針は現在時刻を指し示し、前記経過時間表示モード時には、前記第1の指針は計測された時間を指し示す、
ことを特徴とする指針制御装置。
【請求項3】
表示再開時に前回の表示時間を引き継いで積算式に経過時間を表示する第1表示モードと、表示再開時に前回の表示時間を引き継がずに非積算式に経過時間を表示する第2表示モードと、で指針の動作態様が異なり、
前記指針は、第1の指針と第2の指針とを含み、
前記第1の指針によって経過時間を表示し、
前記第1表示モードで表示している場合、前記第2の指針は右回りで回転するように制御され、前記第2表示モードで表示している場合、前記第2の指針は反時計回りで回転するように制御される、
ことを特徴とする指針制御装置。
【請求項4】
前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで動作態様が異なるように、前記第2の指針の動作を制御する、
ことを特徴とする
請求項2に記載の指針制御装置。
【請求項5】
前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで、前記第2の指針の動作方向を異ならせる、
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の指針制御装置。
【請求項6】
前記第1表示モードでは表示中に前記第2の指針が前記第1の指針に重なるように制御し、前記第2表示モードでは当該制御を行わない、
ことを特徴とする請求項
1から5の何れか1項に記載の指針制御装置。
【請求項7】
前記第1表示モードによる表示をしている間と前記第2表示モードによる表示をしている間とで、前記第2の指針の動作速度を異ならせる、
ことを特徴とする請求項
1から6の何れか1項に記載の指針制御装置。
【請求項8】
前記第1表示モードと前記第2表示モードとの一方では表示中に前記第2の指針を連続的に動作させ、他方では所定の時間間隔でステップ式に動作させる、
ことを特徴とする請求項
1から7の何れか1項に記載の指針制御装置。
【請求項9】
前記第1表示モードは、ダイバーの潜水時間を表示するための表示モードであり、
前記第2表示モードは、ダイバーの休憩時間を表示するための表示モードである、
ことを特徴とする請求項
1から8の何れか1項に記載の指針制御装置。
【請求項10】
表示再開時に前回の表示時間を引き継いで積算式に経過時間を表示する第1表示モードと、表示再開時に前回の表示時間を引き継がずに非積算式に経過時間を表示する第2表示モードと、で
指針の動作態様が異な
り、
前記指針は、分針である第1の指針と、時針と秒針との少なくとも一方である第2の指針とを含み、
前記第1の指針によって経過時間を表示し、
前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで動作態様が異なるように、前記第2の指針の動作を制御する、
ことを特徴とする指針制御方法。
【請求項11】
表示再開時に前回の表示時間を引き継いで積算式に経過時間を表示する第1表示モードと、表示再開時に前回の表示時間を引き継がずに非積算式に経過時間を表示する第2表示モードと、で指針の動作態様が異なり、
前記指針は、第1の指針と第2の指針とを含み、
時計モードと経過時間表示モードとを有し、
前記経過時間表示モードは、前記第1表示モード及び前記第2表示モードを含み、
前記時計モード時には、前記第1の指針及び前記第2の指針は現在時刻を指し示し、前記経過時間表示モード時には、前記第1の指針は計測された時間を指し示す、ように指針の動作を制御する、
ことを特徴とする指針制御方法。
【請求項12】
表示再開時に前回の表示時間を引き継いで積算式に経過時間を表示する第1表示モードと、表示再開時に前回の表示時間を引き継がずに非積算式に経過時間を表示する第2表示モードと、で指針の動作態様が異なり、
前記指針は、第1の指針と第2の指針とを含み、
前記第1の指針によって経過時間を表示し、
前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで、前記第2の指針の回転方向を逆とさせる、ように指針の動作を制御する、
ことを特徴とする指針制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針制御装置及び指針制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高水圧環境下でも使用可能な耐久性に優れた腕時計であるダイバーズウォッチが普及している。特許文献1に開示されているダイバーズウォッチは、指針で時間を表示するアナログ式のダイバーズウォッチである。ダイバーズウォッチのなかには、潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとの2種類の表示モードを有し、表示モードを切り替えて計測した経過時間を表示する機能を有するものも知られている。
【0003】
潜水時間表示モードは、ダイバーの潜水時間を表示する際に利用されるモードである。潜水時間表示モードでは、積算式で表示が行われる。即ち、潜水時間表示モードでは、表示が終了した場合も潜水時間は保持されており、潜水時間表示モードが再開した場合は、前回終了した時間から計測が開始されて潜水時間が表示される。
【0004】
一方、休憩時間表示モードは、ダイバーの休憩時間を表示する際に利用されるモードである。休憩時間表示モードでは、非積算式で表示が行われる。即ち、休憩時間表示モードでは、表示が終了する毎に計測時間はリセットされ、休憩時間表示モードが再開した場合は0から計測が開始されて休憩時間が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダイバーは、自分の潜水時間と休憩時間とを正しく把握しておかなければならない。そのため、上述したような潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとを有するダイバーズウォッチでは、現在どちらの表示モードで経過時間を表示しているかをダイバーが確実に判別できるようにしておくことが重要である。しかしながら、特許文献1に開示されているようなアナログ式のダイバーズウォッチでは表示に制限があるため、どちらの表示モードで表示しているかをダイバーが判別することが困難になる虞がある。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、指針で時間を表示する指針制御装置において、経過時間を積算式で表示しているのか非積算式で表示しているのかをユーザが確実に判別することができる指針制御装置及び指針制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の指針制御装置は、
表示再開時に前回の表示時間を引き継いで積算式に経過時間を表示する第1表示モードと、表示再開時に前回の表示時間を引き継がずに非積算式に経過時間を表示する第2表示モードと、で指針の動作態様が異なり、
前記指針は、分針である第1の指針と、時針と秒針との少なくとも一方である第2の指針とを含み、
前記第1の指針によって経過時間を表示し、
前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで動作態様が異なるように、前記第2の指針の動作を制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、指針で時間を表示する指針制御装置において、経過時間を積算式で表示しているのか非積算式で表示しているのかをユーザが確実に判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るダイバーズウォッチの外観図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るダイバーズウォッチの内部構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る経過時間表示処理を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る経過時間表示処理のフローチャートである。
【
図5】(A)、(B)は、本発明の実施形態に係る経過時間表示処理時のメイン表示部の表示例を示す図(その1)である。
【
図6】(A)、(B)は、本発明の実施形態に係る経過時間表示処理時のメイン表示部の表示例を示す図(その2)である。
【
図7】(A)、(B)は、本発明の実施形態に係る経過時間表示処理時のメイン表示部の表示例を示す図(その3)である。
【
図8】(A)、(B)は、本発明の実施形態に係る経過時間表示処理時のメイン表示部の表示例を示す図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るダイバーズウォッチ1の外観図である。ダイバーズウォッチ1は、上面が強化ガラスで構成された耐水性を有するケース10と、ケース10の側面に配置された操作部20(ボタンスイッチ21~23)と、を備える。ケース10の内部には、強化ガラス越しから視認可能に、メイン表示部30と、サブ表示部40と、24時間表示部50と、モード選択部60と、が設けられている。
【0013】
メイン表示部30は、時刻を表す標識や目盛りが設けられている文字盤31と、文字盤31の中心に回転自在に取り付けられた指針(時針32、分針33、秒針34)と、を備える。時計モード時には、時針32と分針33と秒針34は現在時刻(時、分、秒)を指し示す。一方、後述するダイバーズモード時には、分針33が計測された経過時間(潜水時間又は休憩時間)を示す。分針33は、本発明の第1の指針の一例である。また、その際、時針32と秒針34は、潜水時間と休憩時間のどちらを表示しているかに応じて、異なる態様で動作するよう制御される。時針32と秒針34との少なくとも一方は、本発明の第2の指針の一例である。ダイバーズモード時のメイン表示部30の表示の詳細については後述する。
【0014】
サブ表示部40は、メイン表示部30の8時方向に設けられており、時刻を表す標識や目盛りが設けられている文字盤41と、文字盤41の中心に回転自在に取り付けられた指針(時針42、分針43)と、を備える。サブ表示部40では、メイン表示部30と同様に、文字盤41上の時針42と分針43が、現在時刻(時、分)を示す。なお、サブ表示部40に指定したタイムゾーンの現在時刻を表示してもよい。
【0015】
24時間表示部50は、メイン表示部30の10時方向に設けられており、時刻を表す標識や目盛りが設けられている文字盤51と、文字盤51の中心に回転自在に取り付けられている指針52と、を備える。指針52は、メイン表示部30の時針32と連動して動作し、現在の時刻(時)を示し、24時間で1回転する。即ち、メイン表示部30の時針32が2回転(24時間経過)すると指針52は1回転する。
【0016】
モード選択部60は、メイン表示部30の3時方向に設けられており、ダイバーズウォッチ1の各モードを選択するため等に利用される。モード選択部60は、文字盤61と、文字盤61の中心に回転自在に取り付けられている指針62と、を備える。文字盤61の周辺には、曜日に対応したアルファベット、各モードに対応したアルファベット等が所定の間隔で表示されている。例えば、文字盤上のST、TR、AL、D、AT、STD、DSTは、それぞれ、ストップウォッチモード、タイマーモード、アラームモード、ダイバーズモード、オートモード、標準時モード、サマータイムモードに対応している。ダイバーズウォッチ1のユーザであるダイバーが操作部20から特定の操作をすることで指針62は回転し、指針62が示したアルファベットに対応するモードにダイバーズウォッチ1を設定することができる。例えば、
図1では、指針62は文字盤61のDを示しているため、ダイバーズウォッチ1はダイバーズモードに設定されている。なお、通常の時計モード時には、指針62は、曜日を表すアルファベット(SU、MO、TH、WE、TH、FR、SA)の中から現在の曜日に対応したものを示すように制御されている。
【0017】
ここで、ダイバーズウォッチ1の有するモードの1つであるダイバーズモードについて説明する。ダイバーズモードは、ダイバーが潜水若しくは休憩をする際に利用されるモードである。ダイバーズモードは、さらにサブモードとして、潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとを有する。潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとは、ダイバーが操作部20から特定の操作を行う度に切り替えられる。
【0018】
潜水時間表示モードは、ダイバーの潜水時間を表示するためのサブモードである。潜水時間表示モードでは、計測された潜水時間(分)が、メイン表示部30の分針33で示される。なお、潜水時間表示モードでの潜水時間の表示は積算式で行われる。そのため、潜水時間表示モードから休憩時間表示モードに切り替えられると潜水時間の表示は終了するが、その後、潜水時間表示モードが再開されると、前回表示が終了した時間から潜水時間が表示される。なお、潜水時間表示モードでは、時針32は分針33と重なるように動く。よって、潜水時間表示モードでは、時針32と分針33とは同一の動作をする。一方、秒針34は時計モード時と同様の動作をする。潜水時間表示モードは、本発明の第1表示モードの一例である。
【0019】
休憩時間表示モードは、ダイバーの休憩時間を表示するためのサブモードである。休憩時間表示モードでは、潜水時間表示モードと同様に、計測された休憩時間(分)が、メイン表示部30の分針33で示される。なお、休憩時間表示モードでの休憩時間の表示は非積算式で行われる。そのため、休憩時間表示モードから潜水時間表示モードに切り替えられると休憩時間の表示は終了するが、その後、休憩時間表示モードが再開されると、前回表示した休憩時間はリセットされており、0から休憩時間が表示される。なお、休憩時間表示モードでは、秒針34は通常時とは逆方向(即ち、反時計回り)に回転する。一方、時針32は時計モード時と同様の動作をする。休憩時間表示モードは、本発明の第2表示モードの一例である。
【0020】
続いて、
図2を用いて、ダイバーズウォッチ1の内部構造について説明する。ダイバーズウォッチ1は、内部的な構成として、第1~第6のステッピングモータ71~76と、駆動回路77と、計時回路81と、通信部82と、電源部83と、制御部90と、を備える。
【0021】
第1~3のステッピングモータ71~73は、それぞれ、1または複数の歯車を介して、メイン表示部30の時針32、分針33、秒針34を駆動する。時針32、分針33、秒針34は、別々の第1~3のステッピングモータ71~73によって駆動されるため、それぞれで独立した動きをすることが可能である。
【0022】
第4のステッピングモータ74は、1または複数の歯車を介して、サブ表示部40の時針42と分針43とを駆動する。第5のステッピングモータ75は、1または複数の歯車を介して、24時間表示部50の指針52を駆動する。第6のステッピングモータ76は、1または複数の歯車を介して、モード選択部60の指針62を駆動する。
【0023】
駆動回路77は、制御部90からの指令に応じて、第1~第6のステッピングモータ71~76を駆動させる。
【0024】
計時回路81は、発振回路、分周回路等を備え、現在時刻を計数する。発振回路は、水晶などの振動子と組み合わせて発振する回路が用いられ固有の周波数信号を生成して分周回路に出力する。分周回路は、発振回路から入力された信号を周波数の信号に分周して出力する。計時回路81は、分周回路から出力された所定の周波数信号の回数を計数し、初期時刻に加算していくことで現在時刻を計数する。また、計時回路81は、通信部82により受信した時刻情報に基づいて現在時刻を補正する。
【0025】
通信部82は、時刻情報を受信する。時刻情報は、GPS(Global Positioning System)衛星より送信される時刻情報および標準周波数報時電波による時刻情報を含む。通信部82は、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信モジュールから構成される。
【0026】
電源部83は、ケース10の上面に設けられた透過性を有するソーラーパネルを備え、ダイバーズウォッチ1に電力を供給する。
【0027】
制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。制御部90は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、経過時間表示部91と、指針制御部92として機能する。
【0028】
経過時間表示部は、潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとを切り替えて、切り替えた表示モードに対応した経過時間(潜水時間、休憩時間)を分針33によって表示する。
【0029】
指針制御部92は、ダイバーズウォッチの備える各指針を制御する。例えば、指針制御部92は、潜水時間表示モードで表示をしている間と休憩時間表示モードで表示をしている間とで動作態様が異なるように、時針32と秒針34の動作を制御する。
【0030】
続いて、
図3~8を用いて、ダイバーズウォッチ1でダイバーの潜水時間と休憩時間とを表示する経過時間表示処理の動作について、具体例を挙げながら説明する。ダイバーは、
図3に示すように、時刻t1(10:00)~時刻t5(11:15)にかけて、潜水と休憩とを交互に2回ずつ行うものとし、この間、ダイバーズウォッチ1の制御部90は、
図4のフローチャートに示す経過時間表示処理を実行する。なお、
図5~8は、時刻t1~t5の何れかの時点でのダイバーズウォッチ1のメイン表示部30を示したものである。図面を見易くするため、
図5~8では、メイン表示部30上に配置されているサブ表示部40、24時間表示部50、及びモード選択部60は図示していない。
【0031】
まず、ダイバーは、時刻t1の直前の時刻にダイバーズウォッチ1の操作部20を操作してモード選択部60の指針62が文字盤61のDを差し示すようにする。当該操作に応答して、制御部90は、ダイバーズウォッチ1をダイバーズモードに設定する(
図4、ステップS10)。
【0032】
続いて、ダイバーは、時刻t1に操作部20を操作して、サブモードを潜水時間表示モードに切り替えるための操作を行い、潜水を開始する。当該操作に応じて、制御部90は、サブモードを潜水時間表示モードに切り替え、0分から潜水時間の計測を開始して、計測した潜水時間を分針33で表示する(ステップS20)。
【0033】
図5(A)は、時刻t1で潜水時間表示モードに切り替えられた直後のメイン表示部30を示したものである。1回目の潜水開始時点でありこれまでに潜水時間は計測されていないため分針33は0分を示している。また、時針32は分針33に重なるように制御されている。以降は、潜水時間表示モードの間、制御部90は、計測した潜水時間を分単位で示すように分針33を制御するとともに、分針33と重なった状態を保持するように時針32を制御する。即ち、潜水時間表示モードの間、時針32と分針33とは同じ動きをする。なお、秒針34は、時計モードと同様に、潜水時間表示モードの間、時計回りに60秒で1回転するように制御される。
【0034】
続いて、ダイバーは、時刻t2(10:20)において、
図5(B)に示す表示から潜水時間が20分になったことを確認すると、1回目の潜水を終了して水面に浮上する。そして、ダイバーは、操作部20を操作して、サブモードを休憩時間表示モードに切り替えるための操作を行い、休憩する。当該操作に応じて、制御部90は、サブモードを休憩時間表示モードに切り替え、0分から休憩時間の計測を開始して、計測した休憩時間を分針33で表示する(ステップS30)。なお、このとき制御部90は、計測した潜水時間20分をRAM等に記憶しておく。
【0035】
図6(A)は、時刻t2で休憩時間表示モードに切り替えられた直後のメイン表示部30を示したものである。休憩開始時点であるため、分針33は0分を示している。以降は、休憩時間表示モードの間、制御部90は、計測した休憩時間を分単位で示すように分針33を制御する。また、休憩時間表示モードの間、制御部90は、図の点線矢印で示すように、秒針34を反時計回りに60秒で1回転するように制御する。なお、時針32は、時計モードと同様に、現在の時刻の時を示すように制御される。
【0036】
続いて、ダイバーは、時刻t3(10:30)において、
図6(B)に示す表示から休憩時間が10分になったことを確認すると、休憩を終了する。そして、ダイバーは、操作部20を操作して、サブモードを潜水時間表示モードに切り替えるための操作を行い、2回目の潜水を開始する。当該操作に応じて、制御部90は、サブモードを潜水時間表示モードに切り替え、1回目の潜水時間である20分から潜水時間の計測を開始して、計測した潜水時間を分針33で表示する(ステップS40)。
【0037】
図7(A)は、時刻t3で潜水時間表示モードに切り替えられた直後のメイン表示部30を示したものである。2回目の潜水開始時点であるため、分針33は前回計測した潜水時間である20分を示しており、時針32は分針33に重なっている。以降は、20分から加算される形で計測した潜水時間を示すように分針33は制御される。また、時針32は分針33に重なるように制御され、秒針34は時計モードと同様に右回りに制御される。
【0038】
続いて、ダイバーは、時刻t4(11:00)において、
図7(B)に示す表示から2回目の潜水時間が30分(1回目と合算した潜水時間が50分)になったことを確認すると、2回目の潜水を終了して水面に浮上する。そして、ダイバーは、操作部20を操作して、サブモードを休憩時間表示モードに切り替えるための操作を行い、休憩する。当該操作に応じて、制御部90は、サブモードを休憩時間表示モードに切り替え、0分から休憩時間の計測を開始して、計測した休憩時間を分針33で表示する(ステップS50)。
【0039】
図8(A)は、時刻t4で休憩時間表示モードに切り替えられた直後のメイン表示部30を示したものである。休憩時間表示モードでは、潜水時間表示モードと異なり、計測が開始される度に、計測時間はリセットされるため分針33は0分を示している。以降は、休憩時間表示モードの間、制御部90は、計測した休憩時間を分単位で示すように分針33を制御し、反時計回りに60秒で1回転するように秒針34を制御する。
【0040】
続いて、ダイバーは、時刻t5(11:15)において、
図8(B)に示す表示から2回目の休憩時間が15分になったことを確認すると休憩を終了する。そして、ダイバーは、操作部20からモード選択部60の指針62を操作してダイバーズモードを終了するための操作を行う。当該操作に応答して、制御部90は、ダイバーズモードを終了し(ステップS60)、現在時刻を示すようにメイン表示部30の時針32、分針33、秒針34を制御する。以上で経過時間表示処理は終了する。
【0041】
このように、本実施形態に係るダイバーズウォッチ1は、積算式に経過時間を表示する潜水時間表示モードと非積算式に経過時間を表示する休憩時間表示モードとの2種類の表示モードを有しており、どちらの表示モードでも分針33によって計測した時間が表示される。一方、時針32と秒針34は、潜水時間表示モードで表示している間と休憩時間表示モードで表示している間とで異なる動作態様を示す。具体的には、潜水時間表示モードで表示している場合、時針32は分針33と重なるように制御されるが、休憩時間表示モードで表示している場合には、時針32でこのような制御はされない。また、潜水時間表示モードで表示している場合、秒針34は通常の時計のように右回りで回転するように制御されるが、休憩時間表示モードで計測中している場合、秒針34は反時計回りで回転するように制御される。従って、ダイバーは、このような時針32や秒針34の動作の違いから、経過時間を積算式で表示(潜水時間表示)しているのか非積算式で表示(休憩時間表示)しているのかを確実に判別することができる。なお、潜水時間表示モード又は休憩時間表示モードで表示している間でも、ダイバーは、サブ表示部40から現在時刻を知ることが可能である。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない部分での種々の修正は勿論可能である。
【0043】
例えば、潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとで、メイン表示部30の時針32と秒針34の動作態様をどのように異ならせるかは任意であり、種々の形式が採用可能である。例えば、潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとで、時針32と秒針34の動作が上述した実施形態とは逆になっていてもよい。
【0044】
また、潜水時間表示モードで表示している間と休憩時間表示モードで表示している間とで、時針32や秒針34の動作速度を異ならせてもよい。また、一方の表示モードでは連続的に秒針34を動作(連続秒針)させ、他方の表示モードでは1~数秒間隔毎に秒針34をステップ式に動作(ステップ秒針)させてもよい。
【0045】
例えば、上記実施形態では、潜水時間表示モード及び休憩時間表示モードにおいて、メイン表示部30の分針33によって潜水時間及び休憩時間を表示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、時針32又は秒針34によってこれらの時間を表示してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとをダイバーズモードのサブモードの1つとして説明したが、ダイバーズモードを経由せずに、潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとをダイバーがモード選択部60から直接選択できるようにしてもよい。
【0047】
また、ダイバーズウォッチ1に気圧計や水圧計の機能を持たせ、ダイバーズモード時にこれらの計測値からダイバーが潜水中か否かを判別し、判別結果に応じて自動的に潜水時間表示モードと休憩時間表示モードとを切り替えて、潜水時間及び休憩時間の計測を行うようにしてもよい。
【0048】
また、本発明は、上述したようなダイバーズウォッチ1に限定されるものではない。本発明は、積算式の表示モードと非積算式の表示モードとを備えた、指針によって時刻を表示する全ての時計等の指針制御装置に適用可能である。
【0049】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0051】
(付記1)
表示再開時に前回の表示時間を引き継いで指針を動作させて積算式に経過時間を表示する第1表示モードと、表示再開時に前回の表示時間を引き継がずに前記指針を動作させて非積算式に経過時間を表示する第2表示モードと、を切り替えて経過時間を表示する経過時間表示部と、
前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで動作態様が異なるように、前記指針の動作を制御する指針制御部と、を備える、
ことを特徴とする指針制御装置。
【0052】
(付記2)
前記指針は、第1の指針と第2の指針とを含み、
前記経過時間表示部は、前記指針制御部により制御された少なくとも前記第1の指針によって経過時間を表示し、
前記指針制御部は、前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで動作態様が異なるように、前記第2の指針の動作を制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の指針制御装置。
【0053】
(付記3)
前記指針制御部は、前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで、前記第2の指針の動作方向を異ならせる、
ことを特徴とする付記2に記載の指針制御装置。
【0054】
(付記4)
前記指針制御部は、前記第1表示モードと前記第2表示モードとの一方では表示中に前記第2の指針が前記第1の指針に重なるように制御し、他方では当該制御を行わない、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の指針制御装置。
【0055】
(付記5)
前記指針制御部は、前記第1表示モードによる表示をしている間と前記第2表示モードによる表示をしている間とで、前記第2の指針の動作速度を異ならせる、
ことを特徴とする付記2から4の何れか1つに記載の指針制御装置。
【0056】
(付記6)
前記指針制御部は、前記第1表示モードと前記第2表示モードとの一方では表示中に前記第2の指針を連続的に動作させ、他方では所定の時間間隔でステップ式に動作させる、
ことを特徴とする付記2から5の何れか1つに記載の指針制御装置。
【0057】
(付記7)
前記第1表示モードは、ダイバーの潜水時間を表示するための表示モードであり、
前記第2表示モードは、ダイバーの休憩時間を表示するための表示モードである、
ことを特徴とする付記2から6の何れか1つに記載の指針制御装置。
【0058】
(付記8)
表示再開時に前回の表示時間を引き継いで指針を動作させて積算式に経過時間を表示する第1表示モードと、表示再開時に前回の表示時間を引き継がずに前記指針を動作させて非積算式に経過時間を表示する第2表示モードと、を切り替えて経過時間を表示する経過時間表示部を備える指針制御装置の指針制御方法であって、
前記第1表示モードで表示をしている間と前記第2表示モードで表示をしている間とで動作態様が異なるように、前記指針の動作を制御する、
ことを特徴とする指針制御方法。
【符号の説明】
【0059】
1…ダイバーズウォッチ、10…ケース、20…操作部、21~23…ボタンスイッチ、
30…メイン表示部、40…サブ表示部、50…24時間表示部、60…モード選択部、31,41,51,61…文字盤、32,42…時針、33,43…分針、34…秒針、52,62…指針、71~76…第1~第6のステッピングモータ、77…駆動回路、81…計時回路、82…通信部、83…電源部、90…制御部、91…経過時間表示部、92…指針制御部