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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ブラックマトリクス基板及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240611BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240611BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20240611BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02B5/20
G09F9/33
H10K59/38
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022089636
(22)【出願日】2022-06-01
(65)【公開番号】P2023176987
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2023-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】塩満 一彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】川田 京慧
(72)【発明者】
【氏名】港 浩一
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-191466(JP,A)
【文献】特表2020-521990(JP,A)
【文献】国際公開第2015/174464(WO,A1)
【文献】特開2015-026049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0328183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
G09F 9/33
H10K 50/00-102/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有している透明基板と、
前記第1主面上に設けられ、複数の第1貫通孔を有しているブラックマトリクスと、
前記ブラックマトリクス上に設けられ、前記複数の第1貫通孔の位置に複数の第2貫通孔をそれぞれ有している樹脂層であって、前記樹脂層のうち前記複数の第2貫通孔の隣り合ったものに挟まれた部分である隔壁部は、第1樹脂部、及び、前記第1樹脂部と前記ブラックマトリクスとの間に介在した第2樹脂部を含み、前記隔壁部の側面は前記第2樹脂部の位置で凹んだ樹脂層と
を備えたブラックマトリクス基板。
【請求項2】
前記複数の第2貫通孔の中にそれぞれ設けられた複数の充填部を更に備えた請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項3】
前記複数の充填部の少なくとも一部は波長変換層である請求項2に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項4】
前記第1樹脂部は、前記隔壁部の長さ方向に垂直な断面が矩形状又は順テーパ状である請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項5】
前記第2樹脂部は、前記隔壁部の長さ方向に垂直な断面が逆テーパ状である請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項6】
前記第1樹脂部は、前記隔壁部の長さ方向に垂直な断面が矩形状又は順テーパ状であり、前記第2樹脂部は、前記隔壁部の長さ方向に垂直な断面が逆テーパ状である請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項7】
前記第1樹脂部の厚さT1と前記樹脂層の厚さTとの比T1/Tは0.6乃至0.99の範囲内にある請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項8】
前記隔壁部の側面は、前記第2樹脂部の位置で、0.1乃至4.0μmの範囲内の深さで凹んでいる請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項9】
前記側面の少なくとも一部を被覆した部分を含んだ反射層を更に備えた請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項10】
前記反射層は、前記第1樹脂部の側面を被覆した請求項9に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項11】
前記反射層は、前記第2樹脂部の側面を少なくとも部分的に更に被覆した請求項9に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項12】
前記反射層は、前記第2貫通孔の前記透明基板側の開口の位置で、前記開口の周縁部から前記開口の中央へ向けて伸びた部分を更に含んだ請求項11に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項13】
前記ブラックマトリクスと前記樹脂層との間に介在したオーバーコート層を更に備えた請求項12に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項14】
前記樹脂層は光散乱層である請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項15】
前記複数の第1貫通孔の少なくとも一部の位置にそれぞれ配置された複数の着色層を含んだカラーフィルタを更に備えた請求項1に記載のブラックマトリクス基板。
【請求項16】
請求項1乃至14の何れか1項に記載のブラックマトリクス基板と、
前記第1主面と向き合うように設置された調光装置と
を備えた表示装置。
【請求項17】
前記調光装置は、基板と、前記複数の第1貫通孔に対応して前記基板上に配置された複数の発光ダイオードとを備えた請求項16に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラックマトリクス基板及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置において、発光ダイオードなどの発光素子は、例えば、バックライトユニットの光源として、又は、画素若しくはサブ画素の構成要素として利用されている。そのような表示装置では、発光素子又は画素若しくはサブ画素を互いから区画する隔壁を設けることがある(特許文献1乃至4を参照)。隔壁は、例えば、発光素子が射出する光を効率的に利用すること、又は、或る発光素子が射出した光を入射させるべき領域へ他の発光素子が射出した光が入射するのを防止することを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/191714号
【文献】特開2018-189920号公報
【文献】特開2015-064391号公報
【文献】国際公開第2019/026826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、隔壁を設けたブラックマトリクス基板において、層の剥離又は脱落を生じ難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によると、第1主面及び第2主面を有している透明基板と、前記第1主面上に設けられ、複数の第1貫通孔を有しているブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクス上に設けられ、前記複数の第1貫通孔の位置に複数の第2貫通孔をそれぞれ有している樹脂層であって、前記樹脂層のうち前記複数の第2貫通孔の隣り合ったものに挟まれた部分である隔壁部は、第1樹脂部、及び、前記第1樹脂部と前記ブラックマトリクスとの間に介在した第2樹脂部を含み、前記隔壁部の側面は前記第2樹脂部の位置で凹んだ樹脂層とを備えたブラックマトリクス基板が提供される。
【0006】
本発明の他の観点によると、前記複数の第2貫通孔の中にそれぞれ設けられた複数の充填部を更に備えた上記観点に係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0007】
本発明の更に他の観点によると、前記複数の充填部の少なくとも一部は波長変換層である上記観点に係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0008】
本発明の更に他の観点によると、前記第1樹脂部は、前記隔壁部の長さ方向に垂直な断面が矩形状又は順テーパ状である上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0009】
本発明の更に他の観点によると、前記第2樹脂部は、前記隔壁部の長さ方向に垂直な断面が逆テーパ状である上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0010】
本発明の更に他の観点によると、前記第1樹脂部は、前記隔壁部の長さ方向に垂直な断面が矩形状又は順テーパ状であり、前記第2樹脂部は、前記隔壁部の長さ方向に垂直な断面が逆テーパ状である上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0011】
本発明の更に他の観点によると、前記第1樹脂部の厚さT1と前記樹脂層の厚さTとの比T1/Tは0.6乃至0.99の範囲内にある上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0012】
本発明の更に他の観点によると、前記隔壁部の側面は、前記第2樹脂部の位置で、0.1乃至4.0μmの範囲内の深さで凹んでいる上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0013】
本発明の更に他の観点によると、前記側面の少なくとも一部を被覆した部分を含んだ反射層を更に備えた上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0014】
本発明の更に他の観点によると、前記反射層は、前記第1樹脂部の側面を被覆した上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0015】
本発明の更に他の観点によると、前記反射層は、前記第2樹脂部の側面を少なくとも部分的に更に被覆した上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0016】
本発明の更に他の観点によると、前記反射層は、前記第2貫通孔の前記透明基板側の開口の位置で、前記開口の周縁部から前記開口の中央へ向けて伸びた部分を更に含んだ上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0017】
本発明の更に他の観点によると、前記ブラックマトリクスと前記樹脂層との間に介在したオーバーコート層を更に備えた上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0018】
本発明の更に他の観点によると、前記樹脂層は光散乱層である上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0019】
本発明の更に他の観点によると、前記複数の第1貫通孔の少なくとも一部の位置にそれぞれ配置された複数の着色層を含んだカラーフィルタを更に備えた上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板が提供される。
【0020】
本発明の更に他の観点によると、上記観点の何れかに係るブラックマトリクス基板と、前記第1主面と向き合うように設置された調光装置とを備えた表示装置が提供される。
【0021】
本発明の更に他の観点によると、前記調光装置は、基板と、前記複数の第1貫通孔に対応して前記基板上に配置された複数の発光ダイオードとを備えた上記観点に係る表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、隔壁を設けたブラックマトリクス基板において、層の剥離又は脱落を生じ難くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置の一部を示す平面図である。
図2図2は、図1に示す表示装置の等価回路図である。
図3図3は、図1に示す表示装置のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、図1に示す表示装置のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図1に示す表示装置のV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、図1に示す表示装置のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す平面図である。
図8図8は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
図9図9は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板を製造するための第1工程を示す断面図である。
図10図10は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板を製造するための第2工程を示す断面図である。
図11図11は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板を製造するための第3工程を示す断面図である。
図12図12は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板を製造するための第4工程を示す断面図である。
図13図13は、比較例に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
図14図14は、本発明の第2実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
図15図15は、図14のブラックマトリクス基板を製造するための一工程を示す断面図である。
図16図16は、本発明の第3実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
図17図17は、図16のブラックマトリクス基板を製造するための一工程を示す断面図である。
図18図18は、本発明の第4実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
図19図19は、本発明の第5実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
図20図20は、本発明の第6実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記観点の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記観点の各々に組み入れることができる。
【0025】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0026】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0027】
<1>第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置の一部を示す平面図である。図2は、図1に示す表示装置の等価回路図である。図3は、図1に示す表示装置のIII-III線に沿った断面図である。図4は、図1に示す表示装置のIV-IV線に沿った断面図である。図5は、図1に示す表示装置のV-V線に沿った断面図である。図6は、図1に示す表示装置のVI-VI線に沿った断面図である。図7は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す平面図である。図8は、図1の表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。なお、図1において、破線で囲まれた領域は、後述するように、ブラックマトリクス32が有している第1貫通孔の透明基板31側の開口を表している。
【0028】
図1乃至図6に示す表示装置1Aは、アクティブマトリクス駆動方式によるカラー表示が可能であり、各サブ画素が発光ダイオード(LED)を含んだマイクロLEDディスプレイである。
【0029】
なお、各図において、X方向及びY方向は、表示装置1Aの表示面に対して平行であり且つ互いに交差する方向である。一例によれば、X方向及びY方向は、互いに対して垂直である。また、Z方向は、X方向及びY方向に対して垂直な方向である。即ち、Z方向は、表示装置1Aの厚さ方向である。
【0030】
表示装置1Aは、図2に示すように、映像信号線VSLと、電源線PSLと、走査信号線SSLと、画素PXと、映像信号線ドライバVDRと、走査信号線ドライバSDRとを含んでいる。
【0031】
映像信号線VSL及び電源線PSLは、Y方向へ各々が伸びており、X方向へ交互に配列している。走査信号線SSLは、X方向へ各々が伸びており、Y方向へ配列している。
【0032】
画素PXは、X方向及びY方向へ配列している。各画素PXは、第1サブ画素PXRと、第2サブ画素PXGと、第3サブ画素PXBとを含んでいる。第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、映像信号線VSLと走査信号線SSLとの交差部に対応して配列している。
【0033】
第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、異なる色の光を射出する。ここでは、一例として、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、それぞれ、赤色光、緑色光及び青色光を射出することとする。
【0034】
各画素PXにおいて、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、X方向へこの順に配列している。各画素PXにおける、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBの配列順序は変更可能である。
【0035】
また、ここでは、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、ストライプ配列を形成している。第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBは、デルタ配列及びモザイク配列などの他の配列を形成していてもよい。
【0036】
第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBの各々は、発光素子Dと、駆動制御素子DRと、スイッチSWと、キャパシタCとを含んでいる。
【0037】
発光素子Dは、発光ダイオードである。発光ダイオードは、例えば、無機物からなる発光ダイオードである。無機物からなる発光ダイオードは、例えば、これらと同様の層構造を有している積層体を、複数の部分へと個片化することにより得られる。発光素子Dは、有機物からなる発光ダイオードであるエレクトロルミネッセンス素子であってもよい。発光素子Dの陰極は、接地電極へ接続されている。ここでは、一例として、発光素子Dは、無機物からなり、青色光を射出する青色発光ダイオードであるとする。
【0038】
駆動制御素子DR及びスイッチSWは、電界効果トランジスタである。ここでは、駆動制御素子DRはpチャネル薄膜トランジスタであり、スイッチSWはnチャネル薄膜トランジスタである。駆動制御素子DRは、ゲートがスイッチSWのドレインへ接続され、ソースが電源線PSLへ接続され、ドレインが発光素子Dの陽極へ接続されている。スイッチSWは、ゲートが走査信号線SSLへ接続され、ソースが映像信号線VSLへ接続されている。
【0039】
キャパシタCは、例えば、薄膜キャパシタである。キャパシタCは、一方の電極が駆動制御素子DRのゲートへ接続されており、他方の電極が電源線PSLへ接続されている。
【0040】
第1サブ画素PXRは、図3乃至図6に示す第1波長変換層36Rを更に含んでいる。第1波長変換層36Rは、第1サブ画素PXRの発光素子Dと向き合うように設置されている。第1波長変換層36Rは、第1サブ画素PXRの発光素子Dが射出した光を特定の色の第1光へと変換する。第1波長変換層36Rは、例えば、第1サブ画素PXRの発光素子Dが射出した青色光を赤色光へと変換する。
【0041】
第2サブ画素PXGは、図3に示す第2波長変換層36Gを更に含んでいる。第2波長変換層36Gは、第2サブ画素PXGの発光素子Dと向き合うように設置されている。第2波長変換層36Gは、第2サブ画素PXGの発光素子Dが射出した光を、第1光とは色が異なる第2光へと変換する。第2波長変換層36Gは、例えば、第2サブ画素PXGの発光素子Dが射出した青色光を緑色光へと変換する。
【0042】
第3サブ画素PXBは、図3及び図4に示す充填層36Bを更に含んでいる。充填層36Bは、第3サブ画素PXBの発光素子Dと向き合うように設置されている。充填層36Bは、例えば、無色透明な層である。充填層36Bは省略することができる。
【0043】
映像信号線ドライバVDR及び走査信号線ドライバSDRは、図2に示すように、表示パネルにCOG(chip on glass)実装されている。映像信号線ドライバVDR及び走査信号線ドライバSDRは、COG実装の代わりに、TCP(tape carrier package)実装されてもよい。
【0044】
映像信号線ドライバVDRには、映像信号線VSLと電源線PSLとが接続されている。映像信号線ドライバVDRは、映像信号線VSLに、映像信号として電圧信号を出力する。
【0045】
走査信号線ドライバSDRには、走査信号線SSLが接続されている。走査信号線ドライバSDRは、走査信号線SSLに走査信号として電圧信号を出力する。電源線PSLは、映像信号線ドライバVDRに接続する代わりに、走査信号線ドライバSDRに接続してもよい。
【0046】
表示装置1Aについて、更に詳しく説明する。
表示装置1Aは、図3乃至図6に示すように、調光基板2と、ブラックマトリクス基板3Aと、接着層4とを含んでいる。
【0047】
調光基板は、ブラックマトリクス基板へ向けて光を射出するとともに、この光の強さ及びこの光を射出する時間の少なくとも一方を、画素毎に又はサブ画素毎に調節可能な基板である。図3乃至図6に示す調光基板2は、基板21と、半導体層22と、導体層23A、23B、23C及び23Dと、絶縁層24A、24B及び24Cと、発光素子25と、隔壁層26と、充填層27と、導体層28とを含んでいる。
【0048】
基板21は、例えば、ガラス基板などの絶縁基板を含んでいる。基板21は、絶縁基板のブラックマトリクス基板3Aと向き合った主面に設けられたアンダーコート層を更に含んでいてもよい。アンダーコート層は、例えば、絶縁基板上に順次積層されたシリコン窒化物層とシリコン酸化物層との積層体である。基板21は、シリコン基板などの半導体基板であってもよい。基板21は、硬質であってもよく、可撓性であってもよい。
【0049】
半導体層22は、基板21のブラックマトリクス基板3Aと向き合った主面上で配列している。半導体層22は、例えば、ポリシリコン層である。半導体層22は、駆動制御素子DR又はスイッチSWを構成している薄膜トランジスタの半導体層である。各半導体層22は、ソース及びドレインと、それらの間に介在したチャネル領域とを含んでいる。
【0050】
導体層23Aは、基板21の上記主面上に設けられた導体パターンである。導体層23Aは、映像信号線VSL、電源線PSL、ソース電極SE、ドレイン電極DE、及びキャパシタCの下部電極(図示せず)を構成している。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、それぞれ、半導体層22のソース及びドレインへ接続されている。導体層23Aは、金属又は合金からなる。導体層23Aは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0051】
絶縁層24Aは、導体層23Aと基板21の上記主面とを被覆している。絶縁層24Aは、例えばTEOS(tetraethyl orthosilicate)を用いて形成することができる。駆動制御素子DR又はスイッチSWを構成している各薄膜トランジスタのゲート絶縁膜は、絶縁層24Aの一部である。また、各キャパシタCの誘電体層は、絶縁層24Aの他の一部である。
【0052】
導体層23Bは、絶縁層24A上に設けられた導体パターンである。駆動制御素子DR又はスイッチSWを構成している各薄膜トランジスタのゲート電極GEは、導体層23Bの一部である。各ゲート電極GEは、絶縁層24Aを間に挟んで半導体層22のチャネル領域と向き合っている。また、各キャパシタCの上部電極(図示せず)は、導体層23Bの他の一部である。各上部電極は、絶縁層24Aを間に挟んで、この上部電極を含んだキャパシタCの下部電極と向き合っている。導体層23Bは、金属又は合金からなる。導体層23Bは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0053】
絶縁層24Bは、導体層23Bと絶縁層24Aとを被覆している。絶縁層24Bは、層間絶縁膜である。絶縁層24Bは、例えば、シリコン酸化物などの無機絶縁体からなる。無機絶縁体からなる絶縁層は、例えば、プラズマCVD(chemical vapor deposition)法により成膜することができる。
【0054】
導体層23Cは、図5及び図6に示すように、絶縁層24B上に設けられた導体パターンである。導体層23Cは、走査信号線SSLを構成している。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、絶縁層24A上に設ける代わりに、絶縁層24B上に設けてもよい。即ち、導体層23Cで、走査信号線SSLとソース電極SE及びドレイン電極DEとを構成してもよい。
【0055】
絶縁層24Cは、導体層23Cと絶縁層24Bとを被覆している。絶縁層24Cは、パッシベーション膜である。絶縁層24Cは、例えば、シリコン窒化物などの無機絶縁体からなる。
【0056】
導体層23Dは、絶縁層24C上に設けられた導体パターンである。導体層23Dは、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBに対応してX方向及びY方向へ配列した電極パッドを構成している。絶縁層24A、24B及び24Cからなる積層体には、駆動制御素子DRのドレインへ接続されたドレイン電極DEの位置に貫通孔が設けられている。各電極パッドは、この貫通孔を介してドレイン電極DEへ接続されている。導体層23Dは、例えば、金属又は合金からなる。導体層23Dは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0057】
各電極パッドのZ方向に対して垂直な平面への正射影の輪郭は、この電極パッド上に設置された発光素子25の先の平面への正射影から離間するとともに、この正射影を取り囲んでいる。即ち、電極パッドは、発光素子25と比較して、Z方向に対して垂直な方向の寸法がより大きい。それ故、電極パッドは、基板21へ向けて進行する光を反射する反射層としての役割も果たす。電極パッドには、この反射層としての役割を担わせなくてもよい。この場合、この役割を果たす反射層は、電極パッドとは別に設けてもよく、設けなくてもよい。
【0058】
図3乃至図5に示す発光素子25は、図2に示す発光素子Dである。発光素子25は、電極パッド上に配置されている。
【0059】
発光素子25は、ここでは、無機物からなる発光ダイオードである。なお、発光素子25として発光ダイオードを含んだ基板は、「LED基板」と呼ぶこともある。
【0060】
発光素子25は、複数の層、例えば、第1層251、第2層252及び第3層253を含んだ多層構造を有している。ここでは、発光素子25が含んでいる層の積層方向はZ方向である。この積層方向は、Z方向に対して垂直であってもよい。
【0061】
各発光素子25は、陽極及び陰極を含んでいる。発光素子25は、一方の面に陽極と陰極とを有している。発光素子25の陽極は、図示しないボンディングワイヤを介して電極パッドへ接続されている。発光素子25が一方の面に陽極を有し、他方の面に陰極を有している場合、発光素子25の電極パッドへの接合と陽極の電極パッドへの接続とを、導電ペーストなどの導電材料を接合材として用いたダイボンディングによって行ってもよい。発光素子25が一方の面に陽極と陰極とを有している場合、導体層28を省略するとともに、発光素子25の陰極と接続するための電極パッドを絶縁層24C上に更に設け、これら電極パッドと接続された配線を絶縁層間に更に設け、発光素子25の電極パッド及び導体層28への接合と、陽極及び陰極の電極パッドへの接続とを、フリップチップボンディングによって行ってもよい。
【0062】
発光素子25のX方向及びY方向における寸法は、好ましくは1乃至100μmの範囲内にあり、より好ましくは5乃至80μmの範囲内にあり、更に好ましくは10乃至60μmの範囲内にある。発光素子25のZ方向における寸法は、好ましくは1乃至20μmの範囲内にあり、より好ましくは1乃至15μmの範囲内にあり、更に好ましくは1乃至10μmの範囲内にある。
【0063】
隔壁層26は、絶縁層24C上に設けられている。隔壁層26は、電極パッドの位置に貫通孔を有している。発光素子25は、それぞれ、これら貫通孔内に位置している。隔壁層26は、例えば、樹脂からなる。そのような隔壁層26は、感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィによって形成することができる。隔壁層26は、貫通孔を有する樹脂層と、それら貫通孔の側壁と任意に樹脂層の上面とを被覆した反射層とを含んでいてもよい。反射層は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。反射層が含む層は、例えば、金属、合金又は透明誘電体である。隔壁層26は省略することができる。
【0064】
充填層27は、発光素子25と隔壁層26との間の隙間を埋め込んでいる。充填層27は、発光素子25が射出した光を透過させる光透過層である。また、充填層27は、発光素子25及びこれと電極との接合部等を保護する保護層としての役割も果たす。充填層27は、例えば、樹脂からなる。充填層27の屈折率は、隔壁層26の表面を構成している材料の屈折率とは異なることが好ましい。
【0065】
導体層28は、隔壁層26及び充填層27上に設けられている。発光素子25の陰極は、導体層28へ接続されている。導体層28は、導電性透明酸化物からなる場合、発光素子25の陰極全体を覆うように設けることができる。導体層28は、金属又は合金からなる場合、発光素子25の陰極を部分的に覆うように設けることが好ましい。
【0066】
ブラックマトリクス基板3Aは、調光基板2と向き合っている。具体的には、ブラックマトリクス基板3Aは、発光素子25等を間に挟んで基板21と向き合っている。
【0067】
ブラックマトリクス基板3Aは、透明基板31と、ブラックマトリクス32と、オーバーコート層33OCと、樹脂層34と、反射層35と、第1波長変換層36Rと、第2波長変換層36Gと、充填層36Bとを含んでいる。
【0068】
透明基板31は、可視光透過性を有している。透明基板31は、例えば、無色の基板である。透明基板31は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。透明基板31は、例えば、ガラス、透明樹脂又はそれらの組み合わせからなる。透明基板31は、硬質であってもよく、可撓性であってもよい。透明基板31は、調光基板2と向き合った第1主面と、その裏面である第2主面とを有している。
【0069】
ブラックマトリクス32は、透明基板31の第1主面上に設けられている。ブラックマトリクス32は、可視光を遮る黒色層である。ブラックマトリクス32は、例えば、バインダ樹脂と着色剤とを含んだ混合物からなる。着色剤は、例えば、黒色顔料であるか、又は、減法混色によって黒色を呈する顔料の混合物、例えば、青色顔料、緑色顔料及び赤色顔料を含んだ混合物である。
【0070】
ブラックマトリクス32は、発光素子25の位置に第1貫通孔を有している。各第1貫通孔の透明基板31側の開口は、発光素子25と比較して、Z方向に垂直な方向の寸法がより大きい。
【0071】
ここでは、第1貫通孔の透明基板31側の開口は、図1に破線で示すように、Y方向へ伸びた形状を有している。ブラックマトリクス32のうち画素PXに対応した各部分は、第1サブ画素PXRの位置に設けられた第1貫通孔と、第2サブ画素PXGの位置に設けられた第1貫通孔と、第3サブ画素PXBの位置に設けられた第1貫通孔とを含んでおり、これら3つの第1貫通孔はX方向へ配列している。これら3つの第1貫通孔から各々がなる複数の第1貫通孔群は、X方向及びY方向へ配列している。X方向へ隣り合った第1貫通孔群間の距離は、同一の貫通孔群が含んでいる第1貫通孔間の距離と比較してより大きい。Y方向へ隣り合った第1貫通孔群間の距離も、同一の貫通孔群が含んでいる第1貫通孔間の距離と比較してより大きい。
【0072】
ブラックマトリクス32の開口率は、好ましくは5乃至66%の範囲内にあり、より好ましくは5乃至40%の範囲内にあり、更に好ましくは5乃至20%の範囲内にある。無機物からなる発光ダイオードは、光射出面が小さい場合であっても明るく発光させることができ、また、長寿命である。それ故、発光素子25が無機物からなる発光ダイオードである場合、ブラックマトリクス32の開口率を小さくしても、明るい表示が可能である。そして、ブラックマトリクス32の開口率を小さくすると、外光の反射を抑制でき、深みがより強い黒色を表示することができ、従って、より高いコントラスト比を実現することができる。
【0073】
ブラックマトリクス32の厚さは、好ましくは1乃至30μmの範囲内にあり、より好ましくは1乃至15μmの範囲内にあり、更に好ましくは1乃至5μmの範囲内にある。厚いブラックマトリクス32は、高い遮光性を達成するうえで有利である。但し、ブラックマトリクス32を厚くすると、感光性黒色組成物からなる塗膜へのパターン露光において、塗膜の深部へ光が十分な強さで到達できず、高い形状精度を達成できない可能性がある。
【0074】
オーバーコート層33OCは、図3乃至図6に示すように、ブラックマトリクス32を被覆するとともに、ブラックマトリクス32の第1貫通孔を埋め込んでいる。オーバーコート層33OCは、例えば、透明樹脂からなる。一例によれば、オーバーコート層33OCは無色透明である。オーバーコート層33OCは、紫外線吸収剤、イエロー顔料及び透明粒子の1以上を更に含むことができる。オーバーコート層33OCは、樹脂層34等に対して平坦な下地を提供する。
【0075】
樹脂層34は、オーバーコート層33OC上に設けられている。一例によれば、樹脂層34は透明である。この場合、樹脂層34は、着色していてもよく、無色であってもよい。樹脂層34は、光散乱性を有していてもよい。
【0076】
樹脂層34は、第1貫通孔の位置に第2貫通孔をそれぞれ有している。これら第2貫通孔は、上記の第1貫通孔群に対応した第2貫通孔群を構成している。第2貫通孔群の各々は、ここでは、X方向へ配列した3つの第2貫通孔からなる。第2貫通孔群は、互いに交差する第1方向及び第2方向、ここでは、X方向及びY方向へ配列している。
【0077】
図7に示すように、X方向へ隣り合った第2貫通孔群間の距離W1は、同一の貫通孔群が含んでいる第2貫通孔間の距離W1と比較してより大きい。Y方向へ隣り合った第2貫通孔群間の距離W1も、同一の貫通孔群が含んでいる第2貫通孔間の距離W1と比較してより大きい。
【0078】
距離W1は、好ましくは5乃至80μmの範囲内にあり、より好ましくは5乃至40μmの範囲内にあり、更に好ましくは5乃至20μmの範囲内にある。
【0079】
距離W1は、好ましくは5乃至250μmの範囲内にあり、より好ましくは50乃至214.5μmの範囲内にあり、更に好ましくは100乃至214.5μmの範囲内にある。
【0080】
距離W1は、好ましくは5乃至250μmの範囲内にあり、より好ましくは5乃至100μmの範囲内にあり、更に好ましくは5乃至50μmの範囲内にある。
【0081】
距離W1と距離W1との比W1/W1は、好ましくは0.5乃至20の範囲内にあり、より好ましくは2乃至20の範囲内にあり、更に好ましくは10乃至20の範囲内にある。距離W1は、距離W1と等しくてもよく、距離W1よりも小さくてもよい。
【0082】
距離W1と距離W1との比W1/W1は、好ましくは0.5乃至40の範囲内にあり、より好ましくは1乃至10の範囲内にあり、更に好ましくは1.1乃至5の範囲内にある。距離W1は、距離W1と等しくてもよく、距離W1よりも小さくてもよい。
【0083】
第2貫通孔は、ここでは、透明基板31側の開口の第1主面への正射影の輪郭(以下、第2輪郭という)が、それぞれ、第1貫通孔の第1主面への正射影の輪郭(以下、第1輪郭という)を取り囲むように設けられている。第2輪郭は、第1輪郭を取り囲んでいなくてもよい。第2輪郭が第1輪郭を取り囲んだ構造では、第2輪郭が第1輪郭を取り囲んでいない構造と比較して、迷光が表示へ及ぼす影響が小さい。
【0084】
樹脂層34のうち隣り合った第2貫通孔によって挟まれた部分は、隔壁部である。これら隔壁部は、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG及び第3サブ画素PXBの位置に、凹部を形成している。ここでは、これら凹部は、Y方向へ伸びた溝形状を有している。
【0085】
樹脂層34の厚さTは、好ましくは5乃至50μmの範囲内にあり、より好ましくは5乃至40μmの範囲内にあり、更に好ましくは10乃至25μmの範囲内にある。樹脂層34の厚さTが小さい場合、第2貫通孔内に形成する層の合計厚さを大きくすることが難しい。樹脂層34の厚さTを大きくすると、隣り合った第2貫通孔間に挟まれた隔壁部の形状精度が低下する。
【0086】
隔壁部は、図8に示すように、第1樹脂部34aと第2樹脂部34bとを含んでいる。
【0087】
第1樹脂部34aは、隔壁部の長さ方向に垂直な断面が矩形状である。即ち、第1樹脂部34aのうちY方向へ伸びたものは、Y方向に垂直な断面が矩形状である。また、第1樹脂部34aのうちX方向へ伸びたものは、X方向に垂直な断面が矩形状である。第1樹脂部34aの上記断面は、順テーパ状であってもよい。この場合、隔壁部の側面がZ方向に対して成す角度は、10°以下であることが好ましく、5°以下であることがより好ましい。なお、製造のばらつき等に起因して、第1樹脂部34aの上記断面は、逆テーパ状となることもある。この場合、隔壁部の側面がZ方向に対して成す角度は、10°以下であることが好ましく、5°以下であることがより好ましい。光取り出し効率の観点では、第1樹脂部34aの上記断面は、矩形状であることが好ましい。
【0088】
第1樹脂部の厚さT1と樹脂層の厚さTとの比T1/Tは、0.6乃至0.99の範囲内にあることが好ましく、0.7乃至0.95の範囲内にあることがより好ましく、0.8乃至0.9の範囲内にあることが更に好ましい。比T1/Tを小さくすると、後述するアンカー効果を大きくすることが容易になる。但し、比T1/Tを過剰に小さくすると、光取り出し効率が低下する可能性がある。
【0089】
第2樹脂部34bは、第1樹脂部34aとブラックマトリクス32との間に介在している。隔壁部の側面は、第2樹脂部34bの位置で凹んでいる。即ち、第2貫通孔は、オーバーコート層33OCの近傍で拡径している。ここでは、第2樹脂部34bは、隔壁部の長さ方向に垂直な断面が逆テーパ状である。
【0090】
隔壁部の側面は、第2樹脂部34bの位置で、0.1乃至4.0μmの範囲内の深さD1で凹んでいることが好ましい。深さD1は、0.5乃至3.0μmの範囲内にあることがより好ましく、1.0乃至2.0μmの範囲内にあることが更に好ましい。深さD1を大きくすると、後述するアンカー効果が大きくなる。但し、深さD1を過剰に大きくすると、光取り出し効率が低下する可能性がある。
【0091】
反射層35は、隔壁部の側面の少なくとも一部を被覆している。ここでは、反射層35は、図8に示すように、第1部分351と第2部分352とを含んでいる。
【0092】
第1部分351は、隔壁部の上面を被覆している。第1部分351は、ここでは、隔壁部の上面全体を被覆している。第1部分351は、隔壁部の上面を部分的に被覆していてもよい。即ち、第1部分351には、1以上の開口が設けられていてもよい。第1部分351は省略することができる。
【0093】
第2部分352は、隔壁部の側面を被覆している。第2部分352は、ここでは、隔壁部の側面全体を被覆している。第2部分352は、隔壁部の側面に対してコンフォーマルである。
【0094】
反射層35は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。反射層35が含む層は、例えば、金属、合金又は透明誘電体である。一例によれば、反射層35は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
【0095】
第1波長変換層36R、第2波長変換層36G及び充填層36Bは、第2貫通孔の中にそれぞれ設けられた充填部である。
【0096】
第1波長変換層36Rは、第1サブ画素PXRの位置で隔壁部が形成している凹部の少なくとも底部を埋め込んでいる。第1波長変換層36Rは、量子ドット蛍光体などの蛍光体と透明樹脂とを含んだ層である。上記の通り、ここでは、第1波長変換層36Rは、第1サブ画素PXRの発光素子Dが射出した青色光を赤色光へと変換する。
【0097】
第2波長変換層36Gは、第2サブ画素PXGの位置で隔壁部が形成している凹部の少なくとも底部を埋め込んでいる。第2波長変換層36Gは、量子ドット蛍光体などの蛍光体と透明樹脂とを含んだ層である。上記の通り、ここでは、第2波長変換層36Gは、第2サブ画素PXGの発光素子Dが射出した青色光を赤色光へと変換する。
【0098】
充填層36Bは、第3サブ画素PXBの位置で隔壁部が形成している凹部の少なくとも底部を埋め込んでいる。上記の通り、ここでは、充填層36Bは無色透明な層である。この場合、充填層36Bは、例えば、透明樹脂からなる。
【0099】
接着層4は、調光基板2とブラックマトリクス基板3Aとの間に介在しており、それらを互いに対して貼り合わせている。接着層4は、発光素子25が射出した光を透過させる。接着層4は、例えば、無色透明な層である。接着層4は、接着剤又は粘着剤からなる。
【0100】
この表示装置1Aは、例えば、以下の方法により製造することができる。
表示装置1Aの製造においては、先ず、ブラックマトリクス基板3Aを準備する。
【0101】
即ち、先ず、図9に示す構造を得る。図9の構造は、透明基板31、ブラックマトリクス32、オーバーコート層33OC及び樹脂層34を含んでいる。
【0102】
ブラックマトリクス32は、例えば、ネガ型の感光性黒色組成物を使用したフォトリソグラフィにより形成することができる。オーバーコート層33OCは、例えば、樹脂の塗工及び塗膜の硬化を順次行うことにより形成することができる。
【0103】
樹脂層34は、例えば、ネガ型の感光性組成物を使用したフォトリソグラフィにより第2樹脂部34bを形成し、次いで、ネガ型の感光性組成物を使用したフォトリソグラフィにより第1樹脂部34aを形成することにより得ることができる。露光条件及び現像条件等を適宜設定することにより、上述した断面形状を有する第1樹脂部34a及び第2樹脂部34bを形成することができる。
【0104】
或いは、樹脂層34は、露光条件及び現像条件等を適宜設定すれば、ネガ型の感光性組成物を使用した1回のフォトリソグラフィにより形成することもできる。或いは、樹脂層34は、第2貫通孔の内部空間に対応した形状のダミー層をオーバーコート層33OC上に形成しておき、次いで、ダミー層をオーバーコート層33OC上に形成している凹部が埋め込まれるように樹脂を塗工し、この塗膜を硬化させ、その後、ダミー層を除去することにより得ることもできる。
【0105】
次に、図10に示すように、反射層35を形成する。具体的には、スパッタリング法及び真空蒸着法などの気相堆積法により、反射層35の材料を樹脂層34及びオーバーコート層33OC上に堆積させる。この際、気相の圧力を高めると、隔壁部の側面に設けられた凹みにおいても上記材料を堆積させることができる。このようにして、隔壁部の上面を被覆した第1部分351と、隔壁部の側面を被覆した第2部分352とに加え、オーバーコート層33OCを被覆したOC被覆部分355を更に含んだ反射層35を得る。
【0106】
次に、図11に示すように、エッチングマスク39を形成する。エッチングマスク39は、反射層35のうち、隔壁部の上面及び側面を被覆している部分を覆い、他の部分が露出するように形成する。エッチングマスクは、感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィにより形成することができる。
【0107】
次いで、ウェットエッチングなどのエッチングを行うことにより、OC被覆部分355を除去する。なお、このエッチングでは、OC被覆部分355のうち、先ず、エッチングマスク39によって被覆されていない部分が除去される。そして、このエッチングを更に継続することにより、図12に示すように、OC被覆部分355のうちオーバーコート層33OCとエッチングマスク39との間に介在した部分も除去される。
【0108】
次に、エッチングマスク39を除去する。その後、第1波長変換層36R、第2波長変換層36G及び充填層36Bを形成する。
【0109】
第1波長変換層36R、第2波長変換層36G及び充填層36Bの各々は、例えば、ネガ型の感光性組成物を使用したフォトリソグラフィにより形成することができる。
【0110】
或いは、第1波長変換層36R、第2波長変換層36G及び充填層36Bの各々は、X方向へ画素PXと等しいピッチで配列した複数のノズルが設けられたノズルヘッドを用いて形成することもできる。即ち、このノズルヘッドを、図9乃至図12を参照しながら説明した方法により得られた構造に対してY方向へ相対的に移動させながら、各ノズルから、第1波長変換層36Rの材料としての樹脂組成物を、第1サブ画素PXRの位置で隔壁部が形成している凹部内へ吐出させる。このようにして凹部内に形成した塗膜を硬化させることにより、第1波長変換層36Rを得る。そして、第2波長変換層36G及び充填層36Bも、これと同様の方法により形成する。
【0111】
なお、第1波長変換層36R、第2波長変換層36G及び充填層36Bの形成順は任意である。
【0112】
以上のようにして得られたブラックマトリクス基板3Aと、別途用意した調光基板2とを、接着層4を介して貼り合わせる。これにより、表示装置1Aを得る。
【0113】
この表示装置1Aのブラックマトリクス基板3Aについて上述した構造を採用すると、層の剥離又は脱落を生じ難くすることが可能となる。これについて、以下に説明する。
【0114】
図13は、比較例に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
【0115】
図13に示すブラックマトリクス基板3Xは、隔壁部の側面が何れの位置においても凹んでいないこと、即ち、Z方向に平行な何れの断面においても、第2貫通孔の径は深さ方向に一定であること以外は、ブラックマトリクス基板3Aと同様である。
【0116】
第1波長変換層36Rなどの充填部は、反射層35やオーバーコート層33OCに対して高い密着性を有している訳ではない。それ故、ブラックマトリクス基板3Xのように第2貫通孔が矩形状の断面形状を有している場合や、第2貫通孔が順テーパ状の断面形状を有している場合、充填部の剥離又は脱落を生じ易い。また、これらの場合、反射層35のうち第2貫通孔の側壁を被覆している部分の剥離又は脱落も生じ易い。
【0117】
上記の通り、ブラックマトリクス基板3Aでは、隔壁部の側面は、第2樹脂部34bの位置で凹んでいる。即ち、第2貫通孔は、オーバーコート層33OCの近傍で拡径している。この拡径部は、充填部の剥離又は脱落を生じ難くするとともに、反射層35のうち第2貫通孔の側壁を被覆している部分の剥離又は脱落を生じ難くする効果、即ち、アンカー効果を奏する。従って、ブラックマトリクス基板3Aでは、層の剥離又は脱落を生じ難い。
【0118】
なお、このアンカー効果は、第2貫通孔の断面形状を逆テーパ状とした場合にも得ることができる。しかしながら、この場合、隔壁部は大きなオーバーハング部を有することになり、例えば、このオーバーハング部とオーバーコート層33OCとによって挟まれた領域において、充填部を形成するための光硬化が十分に進行しない可能性がある。硬化が不十分な充填部は、剥離又は脱落を生じ易い。また、隔壁部が大きなオーバーハング部を有していると、充填部を形成するべく、隔壁部がオーバーコート層33OC上に形成している凹部内へ樹脂組成物を供給したときに、凹部の内面と塗膜との間に大きな気泡を生じ易い。これら気泡は、画質の劣化をもたらし得る。
【0119】
また、ブラックマトリクス基板3Aについて上述した構造を採用すると、以下に説明するように、高い光取り出し効率を達成することができる。
【0120】
第2貫通孔の断面形状を逆テーパ状とした場合、例えば、第1サブ画素PXRでは、発光素子25が射出した光の一部は第2貫通孔内へ入射しない。そして、第2貫通孔内へ入射した光の一部は第1波長変換層36Rによって赤色光へと変換され、この赤色光の一部はブラックマトリクス32によって吸収される。
【0121】
これに対し、ブラックマトリクス基板3Aについて上述した構造を採用した場合、第1樹脂部34aは矩形状又は順テーパ状の断面形状を有しているため、第1サブ画素PXRにおいて、発光素子25が射出した光の多くは第2貫通孔内へ入射し得る。また、第2樹脂部34bは逆テーパ状の断面形状を有しているが、第2樹脂部34bの厚さは樹脂層34の厚さTと比較して小さいので、ブラックマトリクス32による赤色光の吸収は少ない。それ故、ブラックマトリクス基板3Aについて上述した構造を採用した場合、第2貫通孔の断面形状を逆テーパ状とした場合と比較して、より高い光取り出し効率を達成することができる。
【0122】
<2>第2実施形態
図14は、本発明の第2実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
【0123】
第2実施形態に係る表示装置は、ブラックマトリクス基板3Aの代わりに、図14に示すブラックマトリクス基板3Bを含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。ブラックマトリクス基板3Bは、反射層35の第2部分352が、第1樹脂部34aの側面と、第2樹脂部34bの側面のうち第1樹脂部34aの側面と隣接した領域とを被覆し、第2樹脂部34bの側面のうちオーバーコート層33OCと隣接した領域を被覆していないこと以外は、ブラックマトリクス基板3Aと同様である。
【0124】
ブラックマトリクス基板3Bは、例えば、以下の方法により製造することができる。先ず、図9を参照しながら説明した構造を準備する。次に、図10を参照しながら説明した方法により、反射層35を形成する。但し、ここでは、気相の圧力をより低くする。こうすると、図15に示すように、反射層35の材料が、隔壁部の側面に設けられた凹みの深部へ堆積するのを抑制することができる。その後、図11を参照しながら説明したエッチングマスク39の形成、図12を参照しながら説明したエッチング、及びエッチングマスク39の除去を順次行う。更に、第1波長変換層36R、第2波長変換層36G及び充填層36Bを形成することにより、ブラックマトリクス基板3Bを得る。
【0125】
ブラックマトリクス基板3Bでは、ブラックマトリクス基板3Aと同様に、層の剥離又は脱落を生じ難い。また、ブラックマトリクス基板3Bによると、ブラックマトリクス基板3Aほどではないにしろ、高い光取り出し効率を達成することができる。更に、ブラックマトリクス基板3Bの製造においては、ブラックマトリクス基板3Aの製造と比較して、反射層35のエッチングをより短い時間で完了することができる。
【0126】
<3>第3実施形態
図16は、本発明の第3実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
【0127】
第3実施形態に係る表示装置は、ブラックマトリクス基板3Aの代わりに、図16に示すブラックマトリクス基板3Cを含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。ブラックマトリクス基板3Cは、以下の構成を採用したこと以外は、ブラックマトリクス基板3Aと同様である。
【0128】
即ち、ブラックマトリクス基板3Cは、反射層35が、第1部分351及び第2部分352に加え、第3部分353を更に含んでいる。第3部分353の各々は、第2貫通孔の透明基板31側の開口の位置で、この開口の周縁部からこの開口の中央へ向けて伸びている。
【0129】
ブラックマトリクス基板3Cは、例えば、以下の方法により製造することができる。先ず、図9を参照しながら説明した構造を準備する。次に、図10を参照しながら説明した方法により、反射層35を形成する。次いで、図11を参照しながら説明したエッチングマスク39の形成及び図12を参照しながら説明したエッチングを順次行う。ここでは、エッチングマスク39は、図17に示すように、第2部分352を被覆している部分をより厚く形成する。こうすると、OC被覆部分355のうち、第2部分352と隣接した部分は、エッチングされずに第3部分353として残留し、残りの部分はエッチングによって除去される。その後、エッチングマスク39の除去を行う。更に、第1波長変換層36R、第2波長変換層36G及び充填層36Bを形成することにより、ブラックマトリクス基板3Bを得る。
【0130】
ブラックマトリクス基板3Cでは、ブラックマトリクス基板3Aと同様に、層の剥離又は脱落を生じ難い。また、ブラックマトリクス基板3Cによると、ブラックマトリクス基板3Aと同等以上の光取り出し効率を達成することができる。また、ブラックマトリクス基板3Cによると、或るサブ画素から、これと隣り合った他のサブ画素への、オーバーコート層33OCを介した光漏れを生じ難い。更に、ブラックマトリクス基板3Cの製造においては、ブラックマトリクス基板3Aの製造と比較して、反射層35のエッチングをより短い時間で完了することができる。
【0131】
<4>第4実施形態
図18は、本発明の第4実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
【0132】
第4実施形態に係る表示装置は、ブラックマトリクス基板3Aの代わりに、図18に示すブラックマトリクス基板3Dを含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。ブラックマトリクス基板3Dは、第2樹脂部34bが矩形状の断面形状を有しており、第2部分352が第1樹脂部34aの側面のみを被覆していること以外は、ブラックマトリクス基板3Aと同様である。ブラックマトリクス基板3Dは、第2樹脂部34bの断面を矩形状とすること以外は、ブラックマトリクス基板3Bについて上述したのと同様の方法により製造することができる。
【0133】
ブラックマトリクス基板3Dでは、ブラックマトリクス基板3Aと比較して、充填部の剥離又は脱落を更に生じ難い。また、ブラックマトリクス基板3Dによると、ブラックマトリクス基板3Aほどではないにしろ、高い光取り出し効率を達成することができる。更に、ブラックマトリクス基板3Dの製造においては、ブラックマトリクス基板3Aの製造と比較して、反射層35のエッチングをより短い時間で完了することができる。
【0134】
<5>第5実施形態
図19は、本発明の第5実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
【0135】
第5実施形態に係る表示装置は、ブラックマトリクス基板3Aの代わりに、図19に示すブラックマトリクス基板3Eを含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。ブラックマトリクス基板3Eは、反射層35を含んでおらず、樹脂層34が光散乱層であること以外は、ブラックマトリクス基板3Aと同様である。この光散乱層としての樹脂層34は、屈折率が互いに異なる透明樹脂及び透明粒子を含んでいる。ブラックマトリクス基板3Eは、例えば、樹脂層34の材料として透明粒子を更に含んだものを使用し、反射層35を省略すること以外は、ブラックマトリクス基板3Aについて上述したのと同様の方法により製造することができる。
【0136】
ブラックマトリクス基板3Eでは、ブラックマトリクス基板3Aと同様に、充填部の剥離又は脱落を生じ難い。また、ブラックマトリクス基板3Eでは、反射層35を省略しているため、その剥離又は脱落は生じず、反射層35に起因して密着性が不十分となることもない。また、ブラックマトリクス基板3Eによると、高い光取り出し効率を達成することができる。更に、ブラックマトリクス基板3Eは反射層35を含んでいないので、その製造において反射層35を形成するための工程は不要である。
【0137】
<6>第6実施形態
図20は、本発明の第6実施形態に係る表示装置が含んでいるブラックマトリクス基板の一部を示す断面図である。
【0138】
第6実施形態に係る表示装置は、ブラックマトリクス基板3Aの代わりに、図20に示すブラックマトリクス基板3Fを含んでいること以外は、表示装置1Aと同様である。ブラックマトリクス基板3Fは、以下の構成を採用したこと以外は、ブラックマトリクス基板3Aと同様である。
【0139】
即ち、ブラックマトリクス基板3Fは、透明基板31とオーバーコート層33OCとの間に介在したカラーフィルタ33CFを更に含んでいる。カラーフィルタ33CFは、第1貫通孔の少なくとも一部の位置にそれぞれ配置された複数の着色層を含んでいる。ここでは、カラーフィルタ33CFは、第1サブ画素PXRの位置で第1貫通孔を埋め込んだ第1着色層と、第2サブ画素PXGの位置で第1貫通孔を埋め込んだ第2着色層とを含んでいる。一例によれば、第1着色層及び第2着色層は、それぞれ、赤色着色層及び緑色着色層である。カラーフィルタ33CFは、第3サブ画素PXBの位置で第1貫通孔を埋め込んだ第3着色層を更に含むことができる。この場合、例えば、第1着色層、第2着色層及び第3着色層は、それぞれ、赤色着色層、緑色着色層及び青色着色層である。
【0140】
ブラックマトリクス基板3Fでは、ブラックマトリクス基板3Aと同様に、層の剥離又は脱落を生じ難い。また、ブラックマトリクス基板3Fによると、ブラックマトリクス基板3Aと同様に、高い光取り出し効率を達成することができる。更に、ブラックマトリクス基板3Fについて上述した構成を採用すると、例えば、第1サブ画素PXR及び第2サブ画素PXGにおいて、発光素子25が射出した光の一部が波長変換されずに表示に利用されるのを防止できる。それ故、高い色再現性を達成できる。
【0141】
<7>変形例
上述した表示装置及びブラックマトリクス基板には、以下に例示するように、様々な変形が可能である。
【0142】
調光基板2等に設ける回路には、図2とは異なる構成を採用することができる。
例えば、映像信号線ドライバVDRは、映像信号線VSLへ映像信号として電流信号を供給するものであってもよい。この場合、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBの各々は、映像信号を書き込む書込期間においては、駆動制御素子DRのゲート-ソース間電圧がこの電流信号に対応した値に設定され、発光期間においては、上記ゲート-ソース間電圧に対応した大きさの駆動電流を発光素子Dへ流すように構成してもよい。また、調光基板2には、アクティブマトリクス駆動方式により画像を表示するための回路を採用する代わりに、パッシブマトリクス駆動方式により画像を表示するための回路を採用してもよい。
【0143】
第6実施形態において説明したカラーフィルタ33CFは、ブラックマトリクス基板3A乃至3Eに設けてもよい。
【0144】
発光素子25として、青色発光ダイオードを使用する代わりに、紫外発光ダイオードを使用してもよい。この場合、充填層36Bは、第3サブ画素PXBの発光素子25が射出した光を、第1光及び第2光とは色が異なる第3光へと変換する波長変換層である。例えば、第1波長変換層36R、第2波長変換層36G、及び充填層36Bは、発光素子25が射出した紫外光を、それぞれ、赤色光、緑色光及び青色光へと変換する。
【0145】
発光素子25として、単一種類の発光ダイオードを使用する代わりに、複数種類の発光ダイオードを使用してもよい、例えば、第1サブ画素PXR、第2サブ画素PXG、及び第3サブ画素PXBにおいて、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード及び青色発光ダイオードをそれぞれ使用してもよい。この場合、第1波長変換層36R及び第2波長変換層36Gの代わりに、充填層36Bについて上述したのと同様の層を設けてもよい。
【0146】
上記の表示装置はカラー画像の表示が可能であるが、表示装置は、モノクローム画像を表示するものであってもよい。例えば、表示装置1Aにおいて、第1サブ画素PXR及び第2サブ画素PXGを省略し、発光素子25として青色発光ダイオードを使用し、充填層36Bを、青色光を黄色光へ変換する波長変換層とする。充填層36Bが、これに入射した青色光の一部を黄色光へ変換し、残りを透過させる場合、青色と黄色との加法混色による白色の表示が可能である。
【0147】
表示装置は、液晶表示装置であってもよい。そのような表示装置は、例えば、ブラックマトリクス基板と、調光基板と、それらの間に介在した液晶層とを備えた液晶表示パネルを含む。この表示装置は、液晶表示パネルを調光基板側から照明するバックライトユニットを更に含むことができる。
【符号の説明】
【0148】
1A…表示装置、2…調光基板、3A…ブラックマトリクス基板、3B…ブラックマトリクス基板、3C…ブラックマトリクス基板、3D…ブラックマトリクス基板、3E…ブラックマトリクス基板、3F…ブラックマトリクス基板、3X…ブラックマトリクス基板、4…接着層、21…基板、22…半導体層、23A…導体層、23B…導体層、23C…導体層、23D…導体層、24A…絶縁層、24B…絶縁層、24C…絶縁層、25…発光素子、26…隔壁層、27…充填層、28…導体層、31…透明基板、32…ブラックマトリクス、33CF…カラーフィルタ、33OC…オーバーコート層、34…樹脂層、34a…第1樹脂部、34b…第2樹脂部、35…反射層、36B…充填層、36G…第2波長変換層、36R…第1波長変換層、251…第1層、252…第2層、253…第3層、351…第1部分、352…第2部分、353…第3部分、355…OC被覆部分、C…キャパシタ、D…発光素子、D1…深さ、DE…ドレイン電極、DR…駆動制御素子、PSL…電源線、PX…画素、PXB…第3サブ画素、PXG…第2サブ画素、PXR…第1サブ画素、SDR…走査信号線ドライバ、SE…ソース電極、SSL…走査信号線、SW…スイッチ、T…厚さ、T1…厚さ、VDR…映像信号線ドライバ、VSL…映像信号線、W1…距離、W1…距離、W1…距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20